目次
【特集】創傷と細菌感染を考える~細菌感染を考慮した創傷管理~
〈特集にあたって〉
創傷治癒メカニズムの解明が進む前,ほんの30 年前までですが,創部は乾かすという処置がスタンダードでした。すなわち,消毒液を塗って創部の細菌を死滅させ,乾燥させて痂皮形成を促していたわけです。1980 年代ごろから,実際の創傷管理の現場にも湿潤療法が浸透し,急性創傷では創傷処置のスタンダードとなっていきましたが,慢性創傷と湿潤療法に関しては試行錯誤の時代が続いていました。臨床での詳細な検討から,創傷と細菌の関係において,“クリティカルコロナイゼーション”という病態があることが明らかとなってきました。そのため,局所に抗菌薬を使用することのメリットが再認識され,さまざまな製品が上市されています。それらの製品の適応と効果に関しても,十分に吟味すべき時期にあります。ただし,クリティカルコロナイゼーションの診断法は,まだ十分には確立されていません。さらに最近はバイオフィルム形成が創傷の慢性化に関係するという見解も多く示されていますが,その一方で解決すべき問題も多く残っています。
ナースにとって,局所に進展する感染症の管理は非常に重要です。具体的な疾患としては,手術部位感染症,糖尿病性足壊疽,褥瘡などが挙げられます。手術部位感染症は,表在性のものから深部組織に及ぶ深在性のものまであり,治療期間や重症度が異なります。基礎疾患や発生部位によって,難治化したり,ストーマ近傍の手術部位感染症のように細心のケアが必要になったりします。また縦隔炎のように,生命予後にも大きく関与する場合があります。糖尿病性神経障害では,感染症が大きな問題となります。神経障害に伴って生じる足の変形や皮膚の乾燥・亀裂によって皮膚バリアが破壊され,潰瘍が生じます。さらに易感染性も伴うため,患肢のみならず生命予後まで危うくなる場合もあります。組織破壊が大きくなれば,治療期間の延長につながります。さらに医療機関への長期間の通院は耐性菌の発生を伴いやすいため,患者の治療のみならず,院内感染対策の観点からもその制御は重要な意味を有しています。耐性菌の蔓延は医療者を悩ませる問題であり,菌種もどんどん変わっていくため,院内感染対策の最新の知識と実践が求められます。褥瘡においては感染が近傍の関節腔に及ぶケースや,敗血症になるケースも経験します。易感染性の患者では,深部組織損傷から局所の進展性感染症として発症する場合もあります。
創面のデブリードマンはナースが行える行為へと拡大・進歩しつつありますが,実施に当たっては各種のデブリードマンの特徴・利点・欠点を把握し,新たなデバイスの知識と,マゴットや局所陰圧閉鎖療法(negative pressure wound theraphy;NPWT)の応用などが求められます。
非常に多岐にわたる内容となりましたが,その分野の専門家の方にご解説いただける機会が得られました。明日からの臨床に役立つ内容であると思います。
〈目次〉
1章 総論-湿潤環境療法と感染症,クリティカルコロナイゼーションとバイオフィルム
3章 重症下肢虚血と感染症
4章 糖尿病性足壊疽
5章 褥瘡
6章 糖尿病性足潰瘍における骨髄炎の診断と治療
7章 デブリードマン
8章 外用剤(ヨウ素製剤・銀製剤),銀含有ドレッシング材の使用方法
9章 看護師による院内感染対策
10章 陰圧閉鎖療法と感染管理
11章 耐性菌,抗菌薬の使用方法
12章 壊死性筋膜炎
〈特集にあたって〉
創傷治癒メカニズムの解明が進む前,ほんの30 年前までですが,創部は乾かすという処置がスタンダードでした。すなわち,消毒液を塗って創部の細菌を死滅させ,乾燥させて痂皮形成を促していたわけです。1980 年代ごろから,実際の創傷管理の現場にも湿潤療法が浸透し,急性創傷では創傷処置のスタンダードとなっていきましたが,慢性創傷と湿潤療法に関しては試行錯誤の時代が続いていました。臨床での詳細な検討から,創傷と細菌の関係において,“クリティカルコロナイゼーション”という病態があることが明らかとなってきました。そのため,局所に抗菌薬を使用することのメリットが再認識され,さまざまな製品が上市されています。それらの製品の適応と効果に関しても,十分に吟味すべき時期にあります。ただし,クリティカルコロナイゼーションの診断法は,まだ十分には確立されていません。さらに最近はバイオフィルム形成が創傷の慢性化に関係するという見解も多く示されていますが,その一方で解決すべき問題も多く残っています。
ナースにとって,局所に進展する感染症の管理は非常に重要です。具体的な疾患としては,手術部位感染症,糖尿病性足壊疽,褥瘡などが挙げられます。手術部位感染症は,表在性のものから深部組織に及ぶ深在性のものまであり,治療期間や重症度が異なります。基礎疾患や発生部位によって,難治化したり,ストーマ近傍の手術部位感染症のように細心のケアが必要になったりします。また縦隔炎のように,生命予後にも大きく関与する場合があります。糖尿病性神経障害では,感染症が大きな問題となります。神経障害に伴って生じる足の変形や皮膚の乾燥・亀裂によって皮膚バリアが破壊され,潰瘍が生じます。さらに易感染性も伴うため,患肢のみならず生命予後まで危うくなる場合もあります。組織破壊が大きくなれば,治療期間の延長につながります。さらに医療機関への長期間の通院は耐性菌の発生を伴いやすいため,患者の治療のみならず,院内感染対策の観点からもその制御は重要な意味を有しています。耐性菌の蔓延は医療者を悩ませる問題であり,菌種もどんどん変わっていくため,院内感染対策の最新の知識と実践が求められます。褥瘡においては感染が近傍の関節腔に及ぶケースや,敗血症になるケースも経験します。易感染性の患者では,深部組織損傷から局所の進展性感染症として発症する場合もあります。
創面のデブリードマンはナースが行える行為へと拡大・進歩しつつありますが,実施に当たっては各種のデブリードマンの特徴・利点・欠点を把握し,新たなデバイスの知識と,マゴットや局所陰圧閉鎖療法(negative pressure wound theraphy;NPWT)の応用などが求められます。
非常に多岐にわたる内容となりましたが,その分野の専門家の方にご解説いただける機会が得られました。明日からの臨床に役立つ内容であると思います。
〈目次〉
1章 総論-湿潤環境療法と感染症,クリティカルコロナイゼーションとバイオフィルム
3章 重症下肢虚血と感染症
4章 糖尿病性足壊疽
5章 褥瘡
6章 糖尿病性足潰瘍における骨髄炎の診断と治療
7章 デブリードマン
8章 外用剤(ヨウ素製剤・銀製剤),銀含有ドレッシング材の使用方法
9章 看護師による院内感染対策
10章 陰圧閉鎖療法と感染管理
11章 耐性菌,抗菌薬の使用方法
12章 壊死性筋膜炎
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