目次
【特集】褥瘡と紛らわしい皮膚疾患
〈特集にあたって〉
かつては「看護の恥」といわれ,誰も関心を持たなかった褥瘡に対する認識が高まり,その予防と管理に医師や看護師のみならず,薬剤師・栄養士・理学療法士・医用工学研究者などによるチーム医療が大きく貢献し,褥瘡の発生率が激減したことは,この30 年ほど褥瘡診療に携わってきた者として大きな喜びを感じます。進歩を続ける褥瘡診療にあって,仙骨部など自重による体圧が集中しやすい部位の古典的な褥瘡のみならず,医療機器などによるmedical device-related pressure ulcer(医療関連機器圧迫創傷),皮膚脆弱によるスキンテア,deep tissue injury(DTI)など,かつては褥瘡とは想定していなかった新たな圧迫損傷のコンセプトが認識されるようになったのも,最近の褥瘡をめぐるトレンドの1つでしょう。
逆に負の側面として,褥瘡の認知度が高まるあまり,褥瘡の好発部位にできた皮膚病変はなんでも「褥瘡」と短絡する傾向にあることは,ゆゆしい問題です。臀部や踵,外踝部などには褥瘡以外にも多彩な皮膚疾患がみられ,実は感染症や悪性腫瘍であることも少なくありません。しかし,これらを“褥瘡好発部位の皮膚病変”という理由で,一瞥しただけで褥瘡と即断してしまう事例が後を絶ちません。体圧が集中することで発症する圧迫性皮膚潰瘍という褥瘡の基本を押さえておけば,「褥瘡としてはおかしいのではないか?」という素朴な疑問を発することができ,皮膚科専門医が鑑別診断をしてくれるはずです。皮膚科医は,褥瘡前史からこれらの皮膚疾患を丹念に鑑別してきたため,その鑑別のコツや落とし穴には精通しているつもりです。そこで,どういう場合に褥瘡以外の皮膚疾患を疑って,皮膚科医に紹介すべきか,ぜひ,褥瘡に遭遇するすべての医療従事者に周知いただきたい,という趣旨で本特集を企画しました。実際には皮膚悪性腫瘍であった皮膚病変が,「肉芽形成良好な褥瘡」として看過され,皮膚科に紹介されてきたときには転移性病変が増大していた症例を経験するに及んで,ぜひ一度,「褥瘡と紛らわしい皮膚疾患」について医師を含めたすべての医療専門職の方々にご理解いただくべきと痛感した次第です。
本特集では,褥瘡への関心が高い皮膚科専門医にお願いして,褥瘡と少しでも誤診する可能性のある皮膚疾患について,ビジュアルな解説をお願いしました。一読することで,「褥瘡としてはちょっとおかしい」という直感にも似た慧眼を涵養できれば,本企画の到達目標はほぼ達成されたと考えられるでしょう。
〈目次〉
Ⅰ. 褥瘡と誤診しやすい皮膚感染症
1章 おむつ部の皮膚真菌感染症
2章 皮膚ウイルス感染症
3章 皮膚細菌感染症
Ⅱ. 褥瘡と即断してはいけない皮膚腫瘍
1章 乳房外パジェット病
2章 皮膚がん・肉腫
Ⅲ. 他科疾患と関連した褥瘡鑑別疾患
1章 静脈瘤による潰瘍,糖尿病性水疱(あるいは潰瘍),壊疽性膿皮症,ベーチェット病
2章 末梢動脈疾患,血管炎,カルシフィラキシスなどによる下肢の潰瘍
3章 滑液包炎,coccygeal pad,肛門・仙骨部皮膚アミロイドーシス,感染性股関節炎
Ⅳ. 褥瘡好発部位にびらん・水疱を生じる皮膚疾患
1章 接触皮膚炎,おむつ皮膚炎など
2章 術中大臀筋傷害に伴う臀部皮膚傷害 - 褥瘡(deep tissue injury)および
術後臀部皮膚障害との異同について
3章 消毒薬による化学熱傷・放射線皮膚炎
4章 スキンテア(皮膚粗鬆症)
〈特集にあたって〉
かつては「看護の恥」といわれ,誰も関心を持たなかった褥瘡に対する認識が高まり,その予防と管理に医師や看護師のみならず,薬剤師・栄養士・理学療法士・医用工学研究者などによるチーム医療が大きく貢献し,褥瘡の発生率が激減したことは,この30 年ほど褥瘡診療に携わってきた者として大きな喜びを感じます。進歩を続ける褥瘡診療にあって,仙骨部など自重による体圧が集中しやすい部位の古典的な褥瘡のみならず,医療機器などによるmedical device-related pressure ulcer(医療関連機器圧迫創傷),皮膚脆弱によるスキンテア,deep tissue injury(DTI)など,かつては褥瘡とは想定していなかった新たな圧迫損傷のコンセプトが認識されるようになったのも,最近の褥瘡をめぐるトレンドの1つでしょう。
逆に負の側面として,褥瘡の認知度が高まるあまり,褥瘡の好発部位にできた皮膚病変はなんでも「褥瘡」と短絡する傾向にあることは,ゆゆしい問題です。臀部や踵,外踝部などには褥瘡以外にも多彩な皮膚疾患がみられ,実は感染症や悪性腫瘍であることも少なくありません。しかし,これらを“褥瘡好発部位の皮膚病変”という理由で,一瞥しただけで褥瘡と即断してしまう事例が後を絶ちません。体圧が集中することで発症する圧迫性皮膚潰瘍という褥瘡の基本を押さえておけば,「褥瘡としてはおかしいのではないか?」という素朴な疑問を発することができ,皮膚科専門医が鑑別診断をしてくれるはずです。皮膚科医は,褥瘡前史からこれらの皮膚疾患を丹念に鑑別してきたため,その鑑別のコツや落とし穴には精通しているつもりです。そこで,どういう場合に褥瘡以外の皮膚疾患を疑って,皮膚科医に紹介すべきか,ぜひ,褥瘡に遭遇するすべての医療従事者に周知いただきたい,という趣旨で本特集を企画しました。実際には皮膚悪性腫瘍であった皮膚病変が,「肉芽形成良好な褥瘡」として看過され,皮膚科に紹介されてきたときには転移性病変が増大していた症例を経験するに及んで,ぜひ一度,「褥瘡と紛らわしい皮膚疾患」について医師を含めたすべての医療専門職の方々にご理解いただくべきと痛感した次第です。
本特集では,褥瘡への関心が高い皮膚科専門医にお願いして,褥瘡と少しでも誤診する可能性のある皮膚疾患について,ビジュアルな解説をお願いしました。一読することで,「褥瘡としてはちょっとおかしい」という直感にも似た慧眼を涵養できれば,本企画の到達目標はほぼ達成されたと考えられるでしょう。
〈目次〉
Ⅰ. 褥瘡と誤診しやすい皮膚感染症
1章 おむつ部の皮膚真菌感染症
2章 皮膚ウイルス感染症
3章 皮膚細菌感染症
Ⅱ. 褥瘡と即断してはいけない皮膚腫瘍
1章 乳房外パジェット病
2章 皮膚がん・肉腫
Ⅲ. 他科疾患と関連した褥瘡鑑別疾患
1章 静脈瘤による潰瘍,糖尿病性水疱(あるいは潰瘍),壊疽性膿皮症,ベーチェット病
2章 末梢動脈疾患,血管炎,カルシフィラキシスなどによる下肢の潰瘍
3章 滑液包炎,coccygeal pad,肛門・仙骨部皮膚アミロイドーシス,感染性股関節炎
Ⅳ. 褥瘡好発部位にびらん・水疱を生じる皮膚疾患
1章 接触皮膚炎,おむつ皮膚炎など
2章 術中大臀筋傷害に伴う臀部皮膚傷害 - 褥瘡(deep tissue injury)および
術後臀部皮膚障害との異同について
3章 消毒薬による化学熱傷・放射線皮膚炎
4章 スキンテア(皮膚粗鬆症)
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