目次
【特集】認知症患者の排尿・排便障害
企画編集/榊原隆次
〈特集にあたって〉
認知症は,いったん進行すると,機能性尿便失禁が必発します。これは,トイレで排泄する意志がない,または合併する歩行障害などのために失禁してしまうものです。一方,認知症が軽度であるにもかかわらず,頻尿・尿失禁がみられることがあります。これは,膀胱抑制的に働く中枢部位の障害による過活動膀胱(overactive bladder;OAB)のことが多く,アルツハイマー病(Alzheimer’s disease;AD)よりも,白質型多発性脳梗塞(white matter lesion;WML),レヴィー小体型認知症(dementiawith Lewy bodies;DLB,パーキンソン病〔Parkinson’s disease;PD〕の類縁疾患)で多くみられます。さらに,認知症が軽度であるにもかかわらず,便秘・イレウスがみられることがあります。これは,腸管壁内神経叢の障害によるもので,レヴィー小体型認知症(パーキンソン病)で特徴的にみられ,輸送遅延型と直腸肛門型が同時にみられます。これらの認知症に伴う排泄障害に対して,病態に応じた積極的な加療が望まれます。
認知症における過活動膀胱治療については,認知症改善薬(中枢性コリン薬など)のみで過活動膀胱が改善する場合があるため,少し経過をみるとよいでしょう。過活動膀胱治療薬(末梢性抗コリン薬)を使用する際は,認知症の増悪を防ぐため,中枢移行の少ない薬剤を選ぶとよいでしょう。抗コリン薬は,便秘の増悪に注意しながら使用します。
認知症における便秘治療については,レヴィー小体型認知症の歩行障害改善薬(レボドパなど)のみで便秘が改善する場合があるため,少し経過をみるとよいでしょう。通過遅延型便秘の治療として,モサプリド(セロトニン5-HT4刺激薬),大だいけんちゅうとう建中湯(5-HT3刺激作用),マグネシウム製剤/ポリカルボフィル(軟化膨張薬),ルビプロストン(腸液分泌・Cl刺激薬)などがあります。直腸肛門型便秘の治療としては,レシチン炭酸座薬(排便反射促進)などがあります。機能性尿便失禁の対処としては,トイレ誘導とともに,認知症の行動療法,歩行障害のリハビリテーションを行います。これらにより,おむつ,摘便を減らすことができた事例も最近知られるようになってきました。
認知症患者の排尿・排便障害に対して,積極的な関与が望まれます。
榊原隆次
東邦大学医療センター佐倉病院 内科学 神経内科 准教授
〈目次〉
1章 認知症患者とは
2章 認知症患者と家族の心理
3章 アルツハイマー病と排尿障害
4章 レヴィー小体型認知症と排尿障害
5章 脳卒中(大脳白質病変含め)と排尿障害
6章 認知症患者の過活動膀胱の薬物療法
7章 認知症患者の残尿と「ゆりりん」評価・治療
8章 認知症患者における尿閉と尿道留置カテーテル管理
9章 認知症患者の適切なおむつはずし
10章 認知症と排便障害
11章 認知症患者と家族の排泄ケア
12章 認知症をもつ患者の摘便を減らす方法
企画編集/榊原隆次
〈特集にあたって〉
認知症は,いったん進行すると,機能性尿便失禁が必発します。これは,トイレで排泄する意志がない,または合併する歩行障害などのために失禁してしまうものです。一方,認知症が軽度であるにもかかわらず,頻尿・尿失禁がみられることがあります。これは,膀胱抑制的に働く中枢部位の障害による過活動膀胱(overactive bladder;OAB)のことが多く,アルツハイマー病(Alzheimer’s disease;AD)よりも,白質型多発性脳梗塞(white matter lesion;WML),レヴィー小体型認知症(dementiawith Lewy bodies;DLB,パーキンソン病〔Parkinson’s disease;PD〕の類縁疾患)で多くみられます。さらに,認知症が軽度であるにもかかわらず,便秘・イレウスがみられることがあります。これは,腸管壁内神経叢の障害によるもので,レヴィー小体型認知症(パーキンソン病)で特徴的にみられ,輸送遅延型と直腸肛門型が同時にみられます。これらの認知症に伴う排泄障害に対して,病態に応じた積極的な加療が望まれます。
認知症における過活動膀胱治療については,認知症改善薬(中枢性コリン薬など)のみで過活動膀胱が改善する場合があるため,少し経過をみるとよいでしょう。過活動膀胱治療薬(末梢性抗コリン薬)を使用する際は,認知症の増悪を防ぐため,中枢移行の少ない薬剤を選ぶとよいでしょう。抗コリン薬は,便秘の増悪に注意しながら使用します。
認知症における便秘治療については,レヴィー小体型認知症の歩行障害改善薬(レボドパなど)のみで便秘が改善する場合があるため,少し経過をみるとよいでしょう。通過遅延型便秘の治療として,モサプリド(セロトニン5-HT4刺激薬),大だいけんちゅうとう建中湯(5-HT3刺激作用),マグネシウム製剤/ポリカルボフィル(軟化膨張薬),ルビプロストン(腸液分泌・Cl刺激薬)などがあります。直腸肛門型便秘の治療としては,レシチン炭酸座薬(排便反射促進)などがあります。機能性尿便失禁の対処としては,トイレ誘導とともに,認知症の行動療法,歩行障害のリハビリテーションを行います。これらにより,おむつ,摘便を減らすことができた事例も最近知られるようになってきました。
認知症患者の排尿・排便障害に対して,積極的な関与が望まれます。
榊原隆次
東邦大学医療センター佐倉病院 内科学 神経内科 准教授
〈目次〉
1章 認知症患者とは
2章 認知症患者と家族の心理
3章 アルツハイマー病と排尿障害
4章 レヴィー小体型認知症と排尿障害
5章 脳卒中(大脳白質病変含め)と排尿障害
6章 認知症患者の過活動膀胱の薬物療法
7章 認知症患者の残尿と「ゆりりん」評価・治療
8章 認知症患者における尿閉と尿道留置カテーテル管理
9章 認知症患者の適切なおむつはずし
10章 認知症と排便障害
11章 認知症患者と家族の排泄ケア
12章 認知症をもつ患者の摘便を減らす方法
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