目次
【特集】足を診るのに必要な知識
企画編集/高山かおる
〈特集にあたって〉
人間は,手を自由に使いこなし,平地を歩行するのに適した形状に進化したとされます。そのため,重い頭を首だけで支え,2本足で歩くという移動速度の限られた手段に頼らざるをえなくなりました。体のなかで足という部位は,解剖学的に体の最下部にあり,地面と接する唯一の部位です。解剖学的な構造についてレオナルド・ダ・ヴィンチは「足は人間工学上の最高傑作である」と述べたという有名な話がありますが,その構造は種子骨を含め片足計28個の骨からなり,それらはすべて靱帯や腱,筋肉で結ばれ,1つ1つが関節を有し,アーチ構造が重い体を支えるという,複雑ですぐれた構造をしています。
しかし当然,足は地面からの影響とともに,体の使い方の影響,血流やリンパの影響を大きく受けます。さらに,その足をさまざまな過酷な環境から守るために,靴という媒体が存在します。そのため,足には体の影響,靴の影響,地面の影響が映し出されています。皮膚には胼胝や鶏眼といった角化,爪の変形,色の変化が起きており,形の変化として外反母趾,扁平足,開張足といった変形が起きていることがわかります。人にとって足は移動手段であり,人生の営みをあらゆる場面で支える大切な臓器であるにもかかわらず,目が届きにくく,現代では靴や靴下で隠れてしまうことも多いため,疼痛などの体の訴えがなければ観察も手入れも行き届かない現実があり,気がついたときには,体が硬くなって足に手が届かない,目が見えなくなって何が起きているか観察できないなど,体の老化が足にさらに影響をもたらします。足を診れば,足の形はもちろん,歩き方や姿勢,血流の状態,筋力や柔軟性がわかるだけではなく,その人の足に関する生活習慣,靴の選び方・履き方,運動習慣などまで読み取れます。足の診療に関しても上記のようなさまざまな要因が関わってくるため,一長一短でいかない難しさがあります。そのため,本特集のようにさまざまな専門職がタッグを組み,トータルで足の構造やトラブル,トラブル対策を考えていく必要性があるのです。
日本は誰もが認める超高齢社会であり,高騰する医療費,介護負担,少子化問題など社会的問題を抱え,現在は健康長寿をめざしたAIやITを駆使した予防医学がさかんになろうとしていますが,歩行なくしてこれらの政策や対策はうまくいかない可能性があります。糖尿病,高血圧などの生活習慣病,ロコモティブシンドローム,認知症でさえ,ウォーキングがそれらの疾患の予防になることがわかっているからです。フットケアは主に糖尿病壊疽を予防するために発展してきた分野で,日本でもこの数年で認知がひろまり,学術的,技術的にも非常に成熟してきました。しかしながら,一般的には足の問題は認識されることがまだまだ少ない印象は否めません。私たち医療従事者だけではなく,靴屋,フットケアスペシャリスト,健康運動指導士,介護福祉士,スポーツインストラクター,学校の教育者など,人の体を育て,健康を守ることに従事する人たちが,社会のなかで足や歩行を守るための営みが必要であることがわかっていただけると思います。
本特集は足を診るのに必要な知識として,足の構造から始まる基礎的な知識の整理,実際の治療やケア,その他,足に関わるさまざまなトピックスを臨床的にもすぐれた先生方に非常にわかりやすくまとめていただきました。まさに異業種の連携で成り立っていることがおわかりいただけると思います。本特集号を足の知識の整理として使用していただくとともに,足の大切さを社会へ啓発するためにご利用いただければ幸いです。
高山かおる
埼玉県済生会川口総合病院 皮膚科 主任部長
〈目次〉
1. はじめに~足を診るとわかること~
【基礎編】正常な構造を知ってトラブルとの関連を学ぶ
2. 足のトラブルを診るのに必要な足の解剖の知識
3. 足をトラブルから守るために必要な皮膚科の知識(1)皮膚編
4. 足をトラブルから守るために必要な皮膚科の知識(2)爪編
5. 足のトラブルを診るのに必要な脈管の知識(1)静脈・動脈編
6. 足のトラブルを診るのに必要な脈管の知識(2)リンパ編
7. フットケアを適切におこなうために必要な器具の知識と扱うポイント
【応用編】トラブル回避のポイントについて学ぶ
8. 足や爪のトラブルに対する非侵襲的治療
9. 足の健康を保つためのフットケアのポイント(セルフケア指導を含む)と実例
10. 糖尿病壊疽から守るためのフットケアのポイントと実例
11. フットウェアの選択・処方のポイント(1)靴屋編-履き古した靴から見るトラブル回避の靴選び-
12. フットウェアの選択・処方のポイント(2)病院編
13. フットウェアの選択・処方のポイント(3)足の機能を高める靴下の選び方
14. 歩行指導のポイント
15. 足の機能向上のためのストレッチ・筋力トレーニング指導
【コラム】
1. 足から紐解く心~サイコポディアトリー(psychopodiatry)とフットケア心理士の視点から~
2. 足と栄養の関係
3. 足と健康寿命
4. 「足の番人」育成のこころみ
5. 地域包括ケアのなかで取り組むフットケア啓発
企画編集/高山かおる
〈特集にあたって〉
人間は,手を自由に使いこなし,平地を歩行するのに適した形状に進化したとされます。そのため,重い頭を首だけで支え,2本足で歩くという移動速度の限られた手段に頼らざるをえなくなりました。体のなかで足という部位は,解剖学的に体の最下部にあり,地面と接する唯一の部位です。解剖学的な構造についてレオナルド・ダ・ヴィンチは「足は人間工学上の最高傑作である」と述べたという有名な話がありますが,その構造は種子骨を含め片足計28個の骨からなり,それらはすべて靱帯や腱,筋肉で結ばれ,1つ1つが関節を有し,アーチ構造が重い体を支えるという,複雑ですぐれた構造をしています。
しかし当然,足は地面からの影響とともに,体の使い方の影響,血流やリンパの影響を大きく受けます。さらに,その足をさまざまな過酷な環境から守るために,靴という媒体が存在します。そのため,足には体の影響,靴の影響,地面の影響が映し出されています。皮膚には胼胝や鶏眼といった角化,爪の変形,色の変化が起きており,形の変化として外反母趾,扁平足,開張足といった変形が起きていることがわかります。人にとって足は移動手段であり,人生の営みをあらゆる場面で支える大切な臓器であるにもかかわらず,目が届きにくく,現代では靴や靴下で隠れてしまうことも多いため,疼痛などの体の訴えがなければ観察も手入れも行き届かない現実があり,気がついたときには,体が硬くなって足に手が届かない,目が見えなくなって何が起きているか観察できないなど,体の老化が足にさらに影響をもたらします。足を診れば,足の形はもちろん,歩き方や姿勢,血流の状態,筋力や柔軟性がわかるだけではなく,その人の足に関する生活習慣,靴の選び方・履き方,運動習慣などまで読み取れます。足の診療に関しても上記のようなさまざまな要因が関わってくるため,一長一短でいかない難しさがあります。そのため,本特集のようにさまざまな専門職がタッグを組み,トータルで足の構造やトラブル,トラブル対策を考えていく必要性があるのです。
日本は誰もが認める超高齢社会であり,高騰する医療費,介護負担,少子化問題など社会的問題を抱え,現在は健康長寿をめざしたAIやITを駆使した予防医学がさかんになろうとしていますが,歩行なくしてこれらの政策や対策はうまくいかない可能性があります。糖尿病,高血圧などの生活習慣病,ロコモティブシンドローム,認知症でさえ,ウォーキングがそれらの疾患の予防になることがわかっているからです。フットケアは主に糖尿病壊疽を予防するために発展してきた分野で,日本でもこの数年で認知がひろまり,学術的,技術的にも非常に成熟してきました。しかしながら,一般的には足の問題は認識されることがまだまだ少ない印象は否めません。私たち医療従事者だけではなく,靴屋,フットケアスペシャリスト,健康運動指導士,介護福祉士,スポーツインストラクター,学校の教育者など,人の体を育て,健康を守ることに従事する人たちが,社会のなかで足や歩行を守るための営みが必要であることがわかっていただけると思います。
本特集は足を診るのに必要な知識として,足の構造から始まる基礎的な知識の整理,実際の治療やケア,その他,足に関わるさまざまなトピックスを臨床的にもすぐれた先生方に非常にわかりやすくまとめていただきました。まさに異業種の連携で成り立っていることがおわかりいただけると思います。本特集号を足の知識の整理として使用していただくとともに,足の大切さを社会へ啓発するためにご利用いただければ幸いです。
高山かおる
埼玉県済生会川口総合病院 皮膚科 主任部長
〈目次〉
1. はじめに~足を診るとわかること~
【基礎編】正常な構造を知ってトラブルとの関連を学ぶ
2. 足のトラブルを診るのに必要な足の解剖の知識
3. 足をトラブルから守るために必要な皮膚科の知識(1)皮膚編
4. 足をトラブルから守るために必要な皮膚科の知識(2)爪編
5. 足のトラブルを診るのに必要な脈管の知識(1)静脈・動脈編
6. 足のトラブルを診るのに必要な脈管の知識(2)リンパ編
7. フットケアを適切におこなうために必要な器具の知識と扱うポイント
【応用編】トラブル回避のポイントについて学ぶ
8. 足や爪のトラブルに対する非侵襲的治療
9. 足の健康を保つためのフットケアのポイント(セルフケア指導を含む)と実例
10. 糖尿病壊疽から守るためのフットケアのポイントと実例
11. フットウェアの選択・処方のポイント(1)靴屋編-履き古した靴から見るトラブル回避の靴選び-
12. フットウェアの選択・処方のポイント(2)病院編
13. フットウェアの選択・処方のポイント(3)足の機能を高める靴下の選び方
14. 歩行指導のポイント
15. 足の機能向上のためのストレッチ・筋力トレーニング指導
【コラム】
1. 足から紐解く心~サイコポディアトリー(psychopodiatry)とフットケア心理士の視点から~
2. 足と栄養の関係
3. 足と健康寿命
4. 「足の番人」育成のこころみ
5. 地域包括ケアのなかで取り組むフットケア啓発
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