目次
【特集】めざせ! 褥瘡発生ゼロ
企画編集/立花隆夫
〈特集にあたって〉
日本褥瘡学会実態調査委員会による2013年の第3回調査(2016年度の第4回調査結果は2018年に公表予定)では,褥瘡有病率は病院(一般病院,大学病院,精神病院,小児専門病院):0.46~2.20%,介護保険施設(介護老人福祉施設,介護老人保健施設):0.89~1.27%,訪問看護ステーション:2.61%,また,施設別褥瘡推定発症率はそれぞれ0.36~1.89%,0.62~0.81%,2.08%であり(1),その有病率,発症率はいまや世界一低いといわれるようになりました。それらの低下には,まず第一に行政の政策(褥瘡対策未実施減算;2002年,褥瘡患者管理加算;2004年,褥瘡ハイリスク患者ケア加算と重度褥瘡処置・老人処置の処置料新設:2006年,など)が挙げられますが,それ以外に,褥瘡ケア用創部アセスメントツールのDESIGN(2002年),褥瘡予防・管理ガイドライン(第1版;2005年,第2版;2009年,第3版;2012年,第4版;2015年)などを作成した日本褥瘡学会(設立;1998年)の関与のみならず,他職種によるチーム医療の実施などが大きく貢献したことは言うに及びません。
今回,「めざせ! 褥瘡発生ゼロ」というテーマで本企画を担当しましたが,人為ミス,すなわちヒヤリハットによる褥瘡発生をゼロにするという意味であって,たとえば高齢者の臨終,すなわち,老衰死の1,2週間前に認められる仙骨部の発赤,びらん(1あるいは2度褥瘡)も含め,すべての褥瘡発生をゼロにするというものではありません(予防できない褥瘡もある)。また,当初は高齢者に生じる仙骨部の深い潰瘍を褥瘡(元来は,寝床でできたキズを意味する)とイメージしたものですが,その有病率,発症率の低下に伴い,高齢者でなくても生じることがある手術室,ICUでの褥瘡,車椅子での褥瘡,あるいは,在宅での褥瘡などがクローズアップされるようになってきました。さらには,痩せた高齢者,すなわちガリガリのおじいちゃん,おばあちゃんのイメージから,食生活の変化に伴いメタボリックシンドロームが話題になるなど,高血圧,糖尿病,脂質異常症などを持病に持った患者が増え,動脈硬化によるPAD(末梢性動脈疾患:厳密にはバージャー病なども含むが,圧倒的にASO〔閉塞性動脈硬化症〕が多いため,その同義語として用いられている)が取り沙汰されるようになってきました。また,褥瘡の予防・治療には,患者の栄養状態,体位などが大きく関与することもわかってきました。
今回,褥瘡予防の問題点とその対応策についての各専門家の意見を聞いてみたく,日本褥瘡学会設立当時よりDESIGN,ガイドラインなどの作成にご尽力,さらには,各分野をリードされている先生方に原稿を依頼しました。本編集の企画により,各病院,施設,在宅などでの褥瘡発生が限りなくゼロに近づくことを期待します。
立花隆夫
大阪赤十字病院 皮膚科 部長
(1)日本褥瘡学会教育委員会:褥瘡の定義と疫学.日本褥瘡学会(編):褥瘡ガイドブック(第2版).照林社,pp8-17,2015.
〈目次〉
1. 褥瘡発生予防の観点からみた「診療計画書の危険因子の評価」(厚生労働省)
2. ベッド上での褥瘡予防の問題点とその対応策(高齢者の場合)
3. ベッド上での褥瘡予防の問題点とその対応策(手術室の場合)
4. ベッド上での褥瘡予防の問題点とその対応策(ICUの場合)
5. 車椅子での褥瘡予防の問題点とその対応策
6. 私がおこなっている在宅での褥瘡予防の問題点とその対応策
7. 栄養からみた褥瘡予防の問題点とその対応策
8. 理学療法からみた褥瘡予防の問題点とその対応策
企画編集/立花隆夫
〈特集にあたって〉
日本褥瘡学会実態調査委員会による2013年の第3回調査(2016年度の第4回調査結果は2018年に公表予定)では,褥瘡有病率は病院(一般病院,大学病院,精神病院,小児専門病院):0.46~2.20%,介護保険施設(介護老人福祉施設,介護老人保健施設):0.89~1.27%,訪問看護ステーション:2.61%,また,施設別褥瘡推定発症率はそれぞれ0.36~1.89%,0.62~0.81%,2.08%であり(1),その有病率,発症率はいまや世界一低いといわれるようになりました。それらの低下には,まず第一に行政の政策(褥瘡対策未実施減算;2002年,褥瘡患者管理加算;2004年,褥瘡ハイリスク患者ケア加算と重度褥瘡処置・老人処置の処置料新設:2006年,など)が挙げられますが,それ以外に,褥瘡ケア用創部アセスメントツールのDESIGN(2002年),褥瘡予防・管理ガイドライン(第1版;2005年,第2版;2009年,第3版;2012年,第4版;2015年)などを作成した日本褥瘡学会(設立;1998年)の関与のみならず,他職種によるチーム医療の実施などが大きく貢献したことは言うに及びません。
今回,「めざせ! 褥瘡発生ゼロ」というテーマで本企画を担当しましたが,人為ミス,すなわちヒヤリハットによる褥瘡発生をゼロにするという意味であって,たとえば高齢者の臨終,すなわち,老衰死の1,2週間前に認められる仙骨部の発赤,びらん(1あるいは2度褥瘡)も含め,すべての褥瘡発生をゼロにするというものではありません(予防できない褥瘡もある)。また,当初は高齢者に生じる仙骨部の深い潰瘍を褥瘡(元来は,寝床でできたキズを意味する)とイメージしたものですが,その有病率,発症率の低下に伴い,高齢者でなくても生じることがある手術室,ICUでの褥瘡,車椅子での褥瘡,あるいは,在宅での褥瘡などがクローズアップされるようになってきました。さらには,痩せた高齢者,すなわちガリガリのおじいちゃん,おばあちゃんのイメージから,食生活の変化に伴いメタボリックシンドロームが話題になるなど,高血圧,糖尿病,脂質異常症などを持病に持った患者が増え,動脈硬化によるPAD(末梢性動脈疾患:厳密にはバージャー病なども含むが,圧倒的にASO〔閉塞性動脈硬化症〕が多いため,その同義語として用いられている)が取り沙汰されるようになってきました。また,褥瘡の予防・治療には,患者の栄養状態,体位などが大きく関与することもわかってきました。
今回,褥瘡予防の問題点とその対応策についての各専門家の意見を聞いてみたく,日本褥瘡学会設立当時よりDESIGN,ガイドラインなどの作成にご尽力,さらには,各分野をリードされている先生方に原稿を依頼しました。本編集の企画により,各病院,施設,在宅などでの褥瘡発生が限りなくゼロに近づくことを期待します。
立花隆夫
大阪赤十字病院 皮膚科 部長
(1)日本褥瘡学会教育委員会:褥瘡の定義と疫学.日本褥瘡学会(編):褥瘡ガイドブック(第2版).照林社,pp8-17,2015.
〈目次〉
1. 褥瘡発生予防の観点からみた「診療計画書の危険因子の評価」(厚生労働省)
2. ベッド上での褥瘡予防の問題点とその対応策(高齢者の場合)
3. ベッド上での褥瘡予防の問題点とその対応策(手術室の場合)
4. ベッド上での褥瘡予防の問題点とその対応策(ICUの場合)
5. 車椅子での褥瘡予防の問題点とその対応策
6. 私がおこなっている在宅での褥瘡予防の問題点とその対応策
7. 栄養からみた褥瘡予防の問題点とその対応策
8. 理学療法からみた褥瘡予防の問題点とその対応策
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