目次
【特集】丈夫な皮膚をつくる 正しい保湿剤の使い方
企画編集/大谷道輝
〈特集にあたって〉
生命が水の中で誕生して魚類から哺乳動物への進化に伴い,陸上で生活するようになり,大気による『乾燥』が大きな問題となりました。生物は体内に約70%の水分を保持しており,この水分の蒸発を防ぐバリアとして皮膚が機能しています。皮膚疾患では多くの場合,このバリア機能が破綻しています。アトピー性皮膚炎のガイドラインでも,「アトピー性皮膚炎の患者では,皮膚バリア機能の低下のため,非特異的な刺激に対する皮膚の被刺激性が亢進し,炎症がおこりやすくなると想定されている。」と明記されています。
皮膚疾患においても,臨床現場では「ドライスキン」など皮膚の状態が悪い患者に疾患の増悪傾向が強く認められます。アトピー性皮膚炎患者において病態の指標である「TARC」と「皮膚水分量」の関係を調べた結果,TARCが750 pg/mL以上の中等症の患者は750 pg/mL未満の軽症の患者に比べ,皮膚水分量が約半分の値でした。普段から保湿剤を繁用しているアトピー性皮膚炎患者では,皮膚水分量が健康成人に近く,病態が良好にコントロールされていました。
褥瘡治療においても,再発を繰り返す症例を経験しますが,創部のみに治療が限られて周囲のドライスキンの治療がされていない患者が多くみられます。これら皮膚の乾燥に対しては,普段から皮膚に関心を持って積極的に「丈夫な皮膚」を作ることが大切です。
ドライスキンはとくに高齢者に多く認められることは周知されています。皮膚水分量は天然保湿因子(natural moisturing factor;NMF)が関与しており,年齢に伴うNMF減少により老人性乾皮症となり,かゆみによる睡眠障害も問題視されています。一方,皮膚水分量は,男性ホルモンが関与している毛穴から分泌される皮脂によっても影響されます。皮脂は汗と混ざり,皮脂膜を形成し,皮膚表面を覆うことで水分の蒸発を防いでいます。男性ホルモンは女性のほうが30歳代からと早期に分泌量が減少するため,乾燥に注意します。子供も男性ホルモンの分泌が少ないことから,冬など足が白くなって乾燥しています。
ドライスキンに対しては保湿剤の有用性が示されているものの,いまだに多くの人が問題を抱えています。この一因として,医療従事者でも保湿剤の使用に関して正しく理解していないことが考えられます。
今回の特集では,ドライスキンに対して保湿剤を正しく使用するために,皮膚の乾燥,保湿剤の作用機序,種類,選び方・使い方,副作用,高齢者・乳幼児・女性の保湿など,広く臨床での活用を考慮して項目を作りました。スキンケアに対して臨床経験が少ない看護師の方でも理解できるように,各分野で経験の豊富なエキスパートである医師,薬剤師の先生方に丁寧にわかりやすく解説していただきました。この特集が,スキンケアの入門誌としてばかりでなく,褥瘡対策チームで活躍されている看護師の方にも,明日からの回診でご活用いただくことを切望しますす。
大谷道輝
公益財団法人佐々木研究所附属 杏雲堂病院 診療技術部 部長/薬剤科 科長
〈目次〉
1. 皮膚の乾燥
2. 保湿剤の作用機序
3. 保湿剤の種類と特徴
4. 保湿剤の選び方~ビデオマイクロスコープ診断の有用性~
5. 保湿剤の使い方
6. 保湿剤による副作用
7. 保湿剤と他外用剤の併用
8. 高齢者の保湿
9. 乳幼児の保湿
10. 女性の保湿
11. 保湿を考慮すべき疾患
12. 分子標的薬投与時の保湿について
〔コラム〕
1. 医薬品,医薬部外品および化粧品の違い
2. 市販のスキンケア関連商品は?
〔お知らせ〕
第28回日本保健科学学会学術集会開催のお知らせ
快適な排尿をめざすセミナー~間歇導尿指導認定セミナー 中級~のお知らせ
企画編集/大谷道輝
〈特集にあたって〉
生命が水の中で誕生して魚類から哺乳動物への進化に伴い,陸上で生活するようになり,大気による『乾燥』が大きな問題となりました。生物は体内に約70%の水分を保持しており,この水分の蒸発を防ぐバリアとして皮膚が機能しています。皮膚疾患では多くの場合,このバリア機能が破綻しています。アトピー性皮膚炎のガイドラインでも,「アトピー性皮膚炎の患者では,皮膚バリア機能の低下のため,非特異的な刺激に対する皮膚の被刺激性が亢進し,炎症がおこりやすくなると想定されている。」と明記されています。
皮膚疾患においても,臨床現場では「ドライスキン」など皮膚の状態が悪い患者に疾患の増悪傾向が強く認められます。アトピー性皮膚炎患者において病態の指標である「TARC」と「皮膚水分量」の関係を調べた結果,TARCが750 pg/mL以上の中等症の患者は750 pg/mL未満の軽症の患者に比べ,皮膚水分量が約半分の値でした。普段から保湿剤を繁用しているアトピー性皮膚炎患者では,皮膚水分量が健康成人に近く,病態が良好にコントロールされていました。
褥瘡治療においても,再発を繰り返す症例を経験しますが,創部のみに治療が限られて周囲のドライスキンの治療がされていない患者が多くみられます。これら皮膚の乾燥に対しては,普段から皮膚に関心を持って積極的に「丈夫な皮膚」を作ることが大切です。
ドライスキンはとくに高齢者に多く認められることは周知されています。皮膚水分量は天然保湿因子(natural moisturing factor;NMF)が関与しており,年齢に伴うNMF減少により老人性乾皮症となり,かゆみによる睡眠障害も問題視されています。一方,皮膚水分量は,男性ホルモンが関与している毛穴から分泌される皮脂によっても影響されます。皮脂は汗と混ざり,皮脂膜を形成し,皮膚表面を覆うことで水分の蒸発を防いでいます。男性ホルモンは女性のほうが30歳代からと早期に分泌量が減少するため,乾燥に注意します。子供も男性ホルモンの分泌が少ないことから,冬など足が白くなって乾燥しています。
ドライスキンに対しては保湿剤の有用性が示されているものの,いまだに多くの人が問題を抱えています。この一因として,医療従事者でも保湿剤の使用に関して正しく理解していないことが考えられます。
今回の特集では,ドライスキンに対して保湿剤を正しく使用するために,皮膚の乾燥,保湿剤の作用機序,種類,選び方・使い方,副作用,高齢者・乳幼児・女性の保湿など,広く臨床での活用を考慮して項目を作りました。スキンケアに対して臨床経験が少ない看護師の方でも理解できるように,各分野で経験の豊富なエキスパートである医師,薬剤師の先生方に丁寧にわかりやすく解説していただきました。この特集が,スキンケアの入門誌としてばかりでなく,褥瘡対策チームで活躍されている看護師の方にも,明日からの回診でご活用いただくことを切望しますす。
大谷道輝
公益財団法人佐々木研究所附属 杏雲堂病院 診療技術部 部長/薬剤科 科長
〈目次〉
1. 皮膚の乾燥
2. 保湿剤の作用機序
3. 保湿剤の種類と特徴
4. 保湿剤の選び方~ビデオマイクロスコープ診断の有用性~
5. 保湿剤の使い方
6. 保湿剤による副作用
7. 保湿剤と他外用剤の併用
8. 高齢者の保湿
9. 乳幼児の保湿
10. 女性の保湿
11. 保湿を考慮すべき疾患
12. 分子標的薬投与時の保湿について
〔コラム〕
1. 医薬品,医薬部外品および化粧品の違い
2. 市販のスキンケア関連商品は?
〔お知らせ〕
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