目次
【特集】炎症性腸疾患のストーマ造設とストーマケア
企画編集/池内浩基
〈特集にあたって〉
炎症性腸疾患(以下IBD)には多くの疾患が含まれていますが,その代表選手が潰瘍性大腸炎(以下UC)とクローン病(以下CD)です。両疾患ともに増加は著しく,UCの患者数は20万人前後,CDの患者数は4万人前後と推定され,ここ10年間で倍増しているのが現状です。IBDの患者の手術は主に専門病院でおこなわれていましたが,患者数の増加とともに,一般病院でも遭遇する機会が増加しています。とくに,消化管穿孔などを生じてしまうと,緊急手術が必要となるため,専門施設への転送は不可能です。このような状態の患者では,ストーマを造設しなければならないような場合も多く,外科医のみならず,WOCナースは,IBDにおいても最低限の知識は身につけておかなければなりません。
UCの患者は,術前の内科的治療として,免疫を抑える治療を受けていることが多く,そのために分割手術が多くおこなわれます。最終的にはストーマ閉鎖が可能な症例が多いわけですが,術後のトラブルにより,永久ストーマとなる患者もいます。術後のトラブルとして最近注目されているのが,loop ileostomy造設時の術後の排泄障害です。ストーマの出口で便が出なくなるため,ストーマからバルーンを挿入して吸引をおこなうと症状は早期に改善しますが,このようなトラブルを繰り返す症例も少なくありません。また,最近の傾向としてUC手術症例の高齢化が著明です。このような症例では,大腸全摘・永久回腸ストーマ造設術がおこなわれるわけですが,ストーマケアが困難なために,訪問看護などのサポートが必要な症例もあります。
一方,CD症例でストーマ造設が必要となるのは,術後の縫合不全と肛門病変の悪化が大きな要因として挙げられます。術後のトラブルでストーマ造設が必要な症例は,多くは一時的なストーマが多いわけですが,肛門病変が増悪したためにストーマ造設が必要になった症例は,多くは永久ストーマであるという現実があります。CD症例は若年者が多く,肛門病変の悪化に伴い,ストーマ造設が必要なことはわかっていても,受容までに時間を要する症例は多く存在します。当然このような症例では心のサポートも必要になります。また,CDの最近の問題として重要なことは,長期に存在する肛門病変からの発がん症例が増加していることです。その予後はきわめて不良であり,このような症例ではストーマケアとともに,予後に対する心のサポートも必要になります。CD症例は術後の再燃,再手術が多いことはすでに知られています。ストーマの口側は再燃の好発部位であり,ストーマの口側の狭窄や瘻孔形成を生じる症例も多く存在し,ストーマケアに難渋する症例も多く存在します。
いずれにしてもIBDの手術症例はその経過中にストーマが必要となる症例が多く,ストーマのトラブルを軽減させるためには,術前からの準備が必要であることは言うまでもありません。本特集ではIBDの専門施設の医師,WOCナースからの貴重なアドバイスが多く含まれていると思います。お役に立てることを希望しています。
池内浩基
兵庫医科大学 炎症性腸疾患学講座 外科部門 主任教授
〈目次〉
1. 炎症性腸疾患とストーマ(総論)
2.潰瘍性大腸炎の術前準備
3. 潰瘍性大腸炎患者のストーマ造設の実際と工夫
4. 潰瘍性大腸炎患者のストーマ造設後の合併症と対策
5. 潰瘍性大腸炎患者の外来でのストーマケアの実際
6. クローン病でストーマが必要となる病態
7. クローン病の肛門病変のskin careの実際とストーマが必要となる病態
8. クローン病でストーマが必要となる症例の術前準備
9. クローン病患者のストーマ造設の実際と工夫
10. クローン病ストーマ症例の長期経過
11. クローン病患者の外来でのストーマケアの実際
企画編集/池内浩基
〈特集にあたって〉
炎症性腸疾患(以下IBD)には多くの疾患が含まれていますが,その代表選手が潰瘍性大腸炎(以下UC)とクローン病(以下CD)です。両疾患ともに増加は著しく,UCの患者数は20万人前後,CDの患者数は4万人前後と推定され,ここ10年間で倍増しているのが現状です。IBDの患者の手術は主に専門病院でおこなわれていましたが,患者数の増加とともに,一般病院でも遭遇する機会が増加しています。とくに,消化管穿孔などを生じてしまうと,緊急手術が必要となるため,専門施設への転送は不可能です。このような状態の患者では,ストーマを造設しなければならないような場合も多く,外科医のみならず,WOCナースは,IBDにおいても最低限の知識は身につけておかなければなりません。
UCの患者は,術前の内科的治療として,免疫を抑える治療を受けていることが多く,そのために分割手術が多くおこなわれます。最終的にはストーマ閉鎖が可能な症例が多いわけですが,術後のトラブルにより,永久ストーマとなる患者もいます。術後のトラブルとして最近注目されているのが,loop ileostomy造設時の術後の排泄障害です。ストーマの出口で便が出なくなるため,ストーマからバルーンを挿入して吸引をおこなうと症状は早期に改善しますが,このようなトラブルを繰り返す症例も少なくありません。また,最近の傾向としてUC手術症例の高齢化が著明です。このような症例では,大腸全摘・永久回腸ストーマ造設術がおこなわれるわけですが,ストーマケアが困難なために,訪問看護などのサポートが必要な症例もあります。
一方,CD症例でストーマ造設が必要となるのは,術後の縫合不全と肛門病変の悪化が大きな要因として挙げられます。術後のトラブルでストーマ造設が必要な症例は,多くは一時的なストーマが多いわけですが,肛門病変が増悪したためにストーマ造設が必要になった症例は,多くは永久ストーマであるという現実があります。CD症例は若年者が多く,肛門病変の悪化に伴い,ストーマ造設が必要なことはわかっていても,受容までに時間を要する症例は多く存在します。当然このような症例では心のサポートも必要になります。また,CDの最近の問題として重要なことは,長期に存在する肛門病変からの発がん症例が増加していることです。その予後はきわめて不良であり,このような症例ではストーマケアとともに,予後に対する心のサポートも必要になります。CD症例は術後の再燃,再手術が多いことはすでに知られています。ストーマの口側は再燃の好発部位であり,ストーマの口側の狭窄や瘻孔形成を生じる症例も多く存在し,ストーマケアに難渋する症例も多く存在します。
いずれにしてもIBDの手術症例はその経過中にストーマが必要となる症例が多く,ストーマのトラブルを軽減させるためには,術前からの準備が必要であることは言うまでもありません。本特集ではIBDの専門施設の医師,WOCナースからの貴重なアドバイスが多く含まれていると思います。お役に立てることを希望しています。
池内浩基
兵庫医科大学 炎症性腸疾患学講座 外科部門 主任教授
〈目次〉
1. 炎症性腸疾患とストーマ(総論)
2.潰瘍性大腸炎の術前準備
3. 潰瘍性大腸炎患者のストーマ造設の実際と工夫
4. 潰瘍性大腸炎患者のストーマ造設後の合併症と対策
5. 潰瘍性大腸炎患者の外来でのストーマケアの実際
6. クローン病でストーマが必要となる病態
7. クローン病の肛門病変のskin careの実際とストーマが必要となる病態
8. クローン病でストーマが必要となる症例の術前準備
9. クローン病患者のストーマ造設の実際と工夫
10. クローン病ストーマ症例の長期経過
11. クローン病患者の外来でのストーマケアの実際
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