目次
特集●創傷における感染対策 ~この10年で何が変わったか~
企画編集/菅野恵美(東北大学大学院 医学系研究科 看護アセスメント学分野 准教授)
<特集にあたって>
皮膚創傷は,受傷直後から始まり,炎症期,増殖期,再構築期の3つの過程が互いにオーバーラップしながら進行する一連のプロセスです。順調に治癒に至るためには,治癒過程のなかでも,炎症期をいかにうまく乗り切るかがKeyであり,炎症期の良し悪しは増殖期や再構築期の‘質’にも影響してくる可能性が指摘されています。炎症期を遷延させる要因はさまざまありますが,細菌感染や真菌感染が遷延要因となることが多く,感染対策はすべての創傷で求められてきます。
創傷の管理・感染対策において,多職種連携は欠かせません。創傷に関わる看護師(WOCナース)は,感染徴候の観察(全身状態・局所状態)からケアまで広く関わりますので,知識や技術のupdateが求められます。創傷管理方法は,この30年の間に飛躍的に研究が進み,この10年で本国での治療の選択肢が拡充しています。たとえば,陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy;NPWT)は,現在の様式で1995年に製品化され,適応疾患,吸引圧の設定,機器の軽量化などが模索されつづけています。陰圧閉鎖療法のみでは,創面の細菌数減少効果が低いことがさまざまな研究から報告され,感染創への効果を高めるために,洗浄を伴う陰圧閉鎖療法や洗浄液が開発され,広く用いられています。
また,2020年に「早期の抗バイオフィルム戦略で難治性創傷を克服する」というWound hygiene(創傷衛生)の国際的なコンセンサスドキュメントが発表され,初期からの感染対策(バイオフィルム戦略)の重要性が,より強調されはじめています。
基礎的な研究領域では,解析装置の進化により,単球(マクロファージ)1つをとってみても,その機能により,数種類に分類できることがわかってきました。今後,細胞標的薬,分子標的薬による創傷感染対策も夢ではないかもしれません。また,好中球の存在・活性化がバイオフィルム誘導に関わることが示されていますので,感染対策を考えるうえで免疫細胞の挙動にも注目していく必要があります。
本特集では,「この10年で変わったこと」を中心に,各分野のエキスパートの方々にご解説いただける機会が得られました。本特集が,皆さまの日常的な疑問を解決し,知識・技術のupdateに役立つと幸いです。
菅野恵美
東北大学大学院 医学系研究科 看護アセスメント学分野 准教授
<目次>
1. 創傷における感染防御機構,影響を与える要因/丹野寛大,菅野恵美
2. Wound hygiene(ウンドハイジーン)の概念/菅野恵美,丹野寛大
3. 重度四肢外傷における深部感染を回避するためのポイント/伊師森葉,今井啓道,鳥谷部荘八
4. 術後創傷に対する感染対策~SSIの予防と治療~/吉村美音,松村 一
5. ドレーン管理と感染対策/松井憲子
6. 熱傷における感染対策/原 幸司,村木健二,今井啓道
7. 人工物手術における感染対策/庄司未樹,今井啓道
8. 慢性創傷(褥瘡/重症下肢虚血など)における感染対策/齋藤順平,市岡 滋
9. 糖尿病性足潰瘍における感染対策/藤井美樹,寺師浩人
10. 栄養学の観点からの感染対策/飯坂真司
企画編集/菅野恵美(東北大学大学院 医学系研究科 看護アセスメント学分野 准教授)
<特集にあたって>
皮膚創傷は,受傷直後から始まり,炎症期,増殖期,再構築期の3つの過程が互いにオーバーラップしながら進行する一連のプロセスです。順調に治癒に至るためには,治癒過程のなかでも,炎症期をいかにうまく乗り切るかがKeyであり,炎症期の良し悪しは増殖期や再構築期の‘質’にも影響してくる可能性が指摘されています。炎症期を遷延させる要因はさまざまありますが,細菌感染や真菌感染が遷延要因となることが多く,感染対策はすべての創傷で求められてきます。
創傷の管理・感染対策において,多職種連携は欠かせません。創傷に関わる看護師(WOCナース)は,感染徴候の観察(全身状態・局所状態)からケアまで広く関わりますので,知識や技術のupdateが求められます。創傷管理方法は,この30年の間に飛躍的に研究が進み,この10年で本国での治療の選択肢が拡充しています。たとえば,陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy;NPWT)は,現在の様式で1995年に製品化され,適応疾患,吸引圧の設定,機器の軽量化などが模索されつづけています。陰圧閉鎖療法のみでは,創面の細菌数減少効果が低いことがさまざまな研究から報告され,感染創への効果を高めるために,洗浄を伴う陰圧閉鎖療法や洗浄液が開発され,広く用いられています。
また,2020年に「早期の抗バイオフィルム戦略で難治性創傷を克服する」というWound hygiene(創傷衛生)の国際的なコンセンサスドキュメントが発表され,初期からの感染対策(バイオフィルム戦略)の重要性が,より強調されはじめています。
基礎的な研究領域では,解析装置の進化により,単球(マクロファージ)1つをとってみても,その機能により,数種類に分類できることがわかってきました。今後,細胞標的薬,分子標的薬による創傷感染対策も夢ではないかもしれません。また,好中球の存在・活性化がバイオフィルム誘導に関わることが示されていますので,感染対策を考えるうえで免疫細胞の挙動にも注目していく必要があります。
本特集では,「この10年で変わったこと」を中心に,各分野のエキスパートの方々にご解説いただける機会が得られました。本特集が,皆さまの日常的な疑問を解決し,知識・技術のupdateに役立つと幸いです。
菅野恵美
東北大学大学院 医学系研究科 看護アセスメント学分野 准教授
<目次>
1. 創傷における感染防御機構,影響を与える要因/丹野寛大,菅野恵美
2. Wound hygiene(ウンドハイジーン)の概念/菅野恵美,丹野寛大
3. 重度四肢外傷における深部感染を回避するためのポイント/伊師森葉,今井啓道,鳥谷部荘八
4. 術後創傷に対する感染対策~SSIの予防と治療~/吉村美音,松村 一
5. ドレーン管理と感染対策/松井憲子
6. 熱傷における感染対策/原 幸司,村木健二,今井啓道
7. 人工物手術における感染対策/庄司未樹,今井啓道
8. 慢性創傷(褥瘡/重症下肢虚血など)における感染対策/齋藤順平,市岡 滋
9. 糖尿病性足潰瘍における感染対策/藤井美樹,寺師浩人
10. 栄養学の観点からの感染対策/飯坂真司
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