目次
特集●食べるよろこびを伝えるPOTTプログラム~ポジショニングで低栄養・誤嚥・褥瘡予防~
企画編集/迫田綾子(POTTプロジェクト 代表,日本赤十字広島看護大学 名誉教授)
<特集にあたって>
改めて看護を問い直します。V・ヘンダーソンは,“看護の基本となるもの-飲食を助ける-”の項で「四六時中患者と共にいて,患者の食べたり飲んだりを最もよく力づけることができるのは看護師である」と述べています。現代の看護は,その期待に応えているでしょうか。
我が国では超高齢化の進行により,食事を起因とした誤嚥性肺炎や窒息,低栄養など命の危機に,多くの看護師が直面しています。安全・安楽であるはずの食事時のポジショニングでは,看護師の習慣的な姿勢調整が散見され,エビデンスに基づいた体系化や教育が遅れてきました。社会の変化に看護が追いついていない観があります。
筆者らは,13年前より“誤嚥を防ぐ食事時のポジショニング教育プログラム”を摂食・嚥下障害看護認定看護師らと実践研究を始め,POTTプログラムを開発しました。POTTとは,“ポジショニングで(PO)食べるよろこびを(T)伝える(T)”の愛称で,新たな臨床知です。
基本枠組みは,ヘルスプロモーションのPRECEDE-PROCEEDモデルです。知識や技術,環境を整え行動(実践)します。ヘルスプロモーション介入の目的は,健康関連行動や生活状態の変化・改善による罹病期間の短縮,QOLの向上です。POTTプログラムも最終目標は同様です。自分で選んで食べることは基本的欲求であり,究極のQOLです。そのプロセスでは,口腔ケアやポジショニングは基本の看護ケアとなります。
食事姿勢は,安全性や安楽に大きく影響し,誤嚥や窒息のリスクは褥瘡リスクになります。共に“Silent Sick”であり,静かに忍び寄ります。適切なポジショニングは,全身状態や摂食嚥下機能や食事姿勢などの理解が基盤となります。それらを理解し,考えつつ行動できることをめざしたのがPOTT基本スキルです。
POTT基本スキルは,ベッド上および車椅子(座位姿勢)での,アセスメントと食前・中・後のポジショニングで構成しています。効果検証では自力摂取,食事量増加,食事時間短縮,誤嚥性肺炎減少などがあります。なによりも患者の笑顔が戻り,患者も介助者も幸せな時になります。そんな場面を目の当たりにすると「看護っていいな!」と思うのです。
教育方法は,基礎から体験的に学び次の人へと伝承して,チームで実践します。理論枠組みは,P・ベナーの“包括的徒弟式学習”法です。この学習法は,単にスキルの模倣ではなく,創造的で批判的に思考し疑問を問いただし,さらに革新していきます。新たなスキル獲得は,患者体験から反復練習し内省を経て自らの技術としていきます。こうしてPOTTプログラムは,多くの意志ある人々の手を経て実践し深化を続けています。
本稿では,POTTプログラムの概要および現場での実践を紹介します。今の今,姿勢を整えれば食べられ,かつ褥瘡をも防げる人たちが待っておられます。看護師の「心と技」は,患者の「食べるよろこび」につながります。WOCナースや食事ケアに関わる方々と共に素敵な看護を実践し,ケアする人も受ける人も共に成長できることを期待しています。
迫田綾子
POTTプロジェクト 代表,日本赤十字広島看護大学 名誉教授
<目次>
1. 食事姿勢のアセスメントと食事形態の選択/竹内富貴
2. POTTポジショニングスキル①ベッド上でのポジショニング(リクライニング位30°,60°)/佐藤幸浩,廣瀬真由美,土井淳詩
3. POTTポジショニングスキル②車椅子のポジショニング/定松ルリ子
4. 適切な食事介助~食べて低栄養予防~/竹市美加
5. 食べるよろこびを取り戻すポジショニングと食事ケア/芳村直美
6. 在宅におけるPOTTプログラムの実践/藤沢武秀
7. 褥瘡予防から食べるよろこびをつなぐ/清水徳子
8. 高齢者に食べるよろこびを拡げる活動~POTT in 種子島~/下江理沙,戸川英子
9. 食事の自立支援~POTTプログラム導入と褥瘡予防~/川端直子
10. 最期まで食べたい願いを支えるPOTTプログラム/藤田裕子
企画編集/迫田綾子(POTTプロジェクト 代表,日本赤十字広島看護大学 名誉教授)
<特集にあたって>
改めて看護を問い直します。V・ヘンダーソンは,“看護の基本となるもの-飲食を助ける-”の項で「四六時中患者と共にいて,患者の食べたり飲んだりを最もよく力づけることができるのは看護師である」と述べています。現代の看護は,その期待に応えているでしょうか。
我が国では超高齢化の進行により,食事を起因とした誤嚥性肺炎や窒息,低栄養など命の危機に,多くの看護師が直面しています。安全・安楽であるはずの食事時のポジショニングでは,看護師の習慣的な姿勢調整が散見され,エビデンスに基づいた体系化や教育が遅れてきました。社会の変化に看護が追いついていない観があります。
筆者らは,13年前より“誤嚥を防ぐ食事時のポジショニング教育プログラム”を摂食・嚥下障害看護認定看護師らと実践研究を始め,POTTプログラムを開発しました。POTTとは,“ポジショニングで(PO)食べるよろこびを(T)伝える(T)”の愛称で,新たな臨床知です。
基本枠組みは,ヘルスプロモーションのPRECEDE-PROCEEDモデルです。知識や技術,環境を整え行動(実践)します。ヘルスプロモーション介入の目的は,健康関連行動や生活状態の変化・改善による罹病期間の短縮,QOLの向上です。POTTプログラムも最終目標は同様です。自分で選んで食べることは基本的欲求であり,究極のQOLです。そのプロセスでは,口腔ケアやポジショニングは基本の看護ケアとなります。
食事姿勢は,安全性や安楽に大きく影響し,誤嚥や窒息のリスクは褥瘡リスクになります。共に“Silent Sick”であり,静かに忍び寄ります。適切なポジショニングは,全身状態や摂食嚥下機能や食事姿勢などの理解が基盤となります。それらを理解し,考えつつ行動できることをめざしたのがPOTT基本スキルです。
POTT基本スキルは,ベッド上および車椅子(座位姿勢)での,アセスメントと食前・中・後のポジショニングで構成しています。効果検証では自力摂取,食事量増加,食事時間短縮,誤嚥性肺炎減少などがあります。なによりも患者の笑顔が戻り,患者も介助者も幸せな時になります。そんな場面を目の当たりにすると「看護っていいな!」と思うのです。
教育方法は,基礎から体験的に学び次の人へと伝承して,チームで実践します。理論枠組みは,P・ベナーの“包括的徒弟式学習”法です。この学習法は,単にスキルの模倣ではなく,創造的で批判的に思考し疑問を問いただし,さらに革新していきます。新たなスキル獲得は,患者体験から反復練習し内省を経て自らの技術としていきます。こうしてPOTTプログラムは,多くの意志ある人々の手を経て実践し深化を続けています。
本稿では,POTTプログラムの概要および現場での実践を紹介します。今の今,姿勢を整えれば食べられ,かつ褥瘡をも防げる人たちが待っておられます。看護師の「心と技」は,患者の「食べるよろこび」につながります。WOCナースや食事ケアに関わる方々と共に素敵な看護を実践し,ケアする人も受ける人も共に成長できることを期待しています。
迫田綾子
POTTプロジェクト 代表,日本赤十字広島看護大学 名誉教授
<目次>
1. 食事姿勢のアセスメントと食事形態の選択/竹内富貴
2. POTTポジショニングスキル①ベッド上でのポジショニング(リクライニング位30°,60°)/佐藤幸浩,廣瀬真由美,土井淳詩
3. POTTポジショニングスキル②車椅子のポジショニング/定松ルリ子
4. 適切な食事介助~食べて低栄養予防~/竹市美加
5. 食べるよろこびを取り戻すポジショニングと食事ケア/芳村直美
6. 在宅におけるPOTTプログラムの実践/藤沢武秀
7. 褥瘡予防から食べるよろこびをつなぐ/清水徳子
8. 高齢者に食べるよろこびを拡げる活動~POTT in 種子島~/下江理沙,戸川英子
9. 食事の自立支援~POTTプログラム導入と褥瘡予防~/川端直子
10. 最期まで食べたい願いを支えるPOTTプログラム/藤田裕子
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