目次
◆記 事◆
改正民法が民事裁判実務に及ぼす影響(10)
消費貸借、賃貸借に関する見直し……遠藤研一郎
再審制度の課題に関する多角的考察(2)
客観的状況の取扱いについて
──大崎事件を素材として……福崎伸一郎
現代型取引をめぐる裁判例(450)……升田 純
◆最高裁判例要旨(2019(令1)年10月分)
◆判決録細目◆
行 政
▽東京都教育委員会によりエンカレッジスクールとして指定された高校の校長であった原告が、その入学者選抜において東京都立高等学校入学者選抜実施要綱に違反したことを理由としてなされた懲戒免職処分の取消しを求めたところ、同懲戒免職処分に裁量権を逸脱濫用した違法があるとは認められないとして、原告の請求が棄却された事例
(東京地判平30・5・15)
民 事
○児童相談所長が児童養護施設に入所中である未成年者の親権者に対する親権喪失の審判を求めた事案で、未成年者については、①親権者による不適切な監護養育から切り離されて保護されており、親権者による不当な引取要求に対しても児童福祉法28条に基づく入所措置または入所措置更新により対応することができること、②児童虐待の防止等に関する法律において親権者による面会通信や接近を禁止できると規定されていることから、親権者の未成年者に対する親権を喪失・停止させる必要があるのは、児童福祉法28条に基づく各措置、あるいは面会通信や接近の禁止によっては未成年者の保護を図れない特段の事情がある場合に限定されるとして申立てを却下した原審判を取り消し、親権者には民法834条所定の親権喪失事由があるとして、抗告人(原審申立人)の申立てを認容した事例
(大阪高決令1・5・27〈参考原審:神戸家姫路支審平31・3・15掲載〉)
○乳幼児期に受けた集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染し、成人になって慢性肝炎を発症したときのHBe抗原セロコンバージョン後(同抗原陰性化後)に発生した損害につき、HBe抗原セロコンバージョン後のHBe抗原陰性慢性肝炎は、HBe抗原セロコンバージョン前のHBe抗原陽性慢性肝炎と質的に異なるものではなく、その罹患によって新たな損害が発生したということはできないから、HBe抗原陰性慢性肝炎の発症による損害賠償請求権に係る民法724条後段所定の除斥期間の起算点は、HBe抗原セロコンバージョン前のHBe抗原陽性慢性肝炎を発症したときであるとした事例
──B型肝炎九州訴訟・控訴審判決
(福岡高判平31・4・15〈参考原審:福岡地判平29・12・11本誌2397・59掲載〉)
▽1 募集型企画旅行契約において、契約後に旅程先で大地震が発生したことに関し、解除権行使の前提となる情報収集・提供義務違反があったとして損害賠償請求を認めた事例
2 前記情報収集・提供義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求において、弁護士費用を請求できるとした事例
(大阪地判平31・3・26)
▽医療法人の病院で膠原病等の治療を受け、麻酔医から経皮吸収型麻酔性鎮痛剤オピオイドパッチを断続的に処方されていた患者に対して、死亡まで同剤処方が継続されず取りやめられたこと及び患者や家族になされたその理由の説明の時期や程度について、過誤がないとされた事例
(那覇地判平31・4・16)
知的財産権
▽1 タイプフェイスの著作物性が否定された事例
2 タイプフェイスの利用につき、利用許諾の抗弁が認められた事例
(東京地判平31・2・28)
労 働
○1 会員制のスポーツクラブの支店長が労働基準法41条2号に定める管理監督者に当たらないとされた事例
2 給与規程で定められた時間外労働等の割増率が労働基準法所定の割増率を上回る場合において、管理監督者に当たらないとされた労働者の割増賃金を労働基準法所定の割増率で算定した事例
(東京高判平30・11・22〈参考原審:東京地判平29・10・6掲載〉)
刑 事
○1 以前から、麻薬取締官に依頼されて覚せい剤取引の情報提供を行い、麻薬取締官らにその取引状況を監視させるなどの捜査協力を行いつつ、当該密売の仲介者等として利益を得ていた被告人が、共犯者から覚せい剤密輸への協力を依頼された際に、麻薬取締官の求めに応じてこれに加担した事案について、被告人に営利の目的が認められ、共同正犯が成立するとされた事例
2 覚せい剤密輸等を行う際の被告人の保身のため、ひいては密輸等による利益のためになされていた捜査協力を量刑上被告人に有利に考慮する余地はなく、また、被告人が、麻薬取締官から捜査協力のために覚せい剤密輸への加担を求められるなどの助長を受けていたという事実により、被告人の意思決定に対する非難の程度が原判決の量刑を左右するほど減弱するとはいえないなどとされた事例
(東京高判平30・10・18〈参考原審:東京地判平29・7・3掲載〉)
▽1 夜間路上に横臥していた人を自動車で轢過したという事案において、被告人が前方等を注視していたとしても本件事故を回避することができなかった疑いがあるとして、過失運転致死につき無罪とした事例
2 被告人が本件事故時に人に傷害を負わせたとの認識があったと認めることはできないとして、道路交通法違反(救護義務違反、報告義務違反)について、無罪とした事例
(神戸地判平30・10・24)
改正民法が民事裁判実務に及ぼす影響(10)
消費貸借、賃貸借に関する見直し……遠藤研一郎
再審制度の課題に関する多角的考察(2)
客観的状況の取扱いについて
──大崎事件を素材として……福崎伸一郎
現代型取引をめぐる裁判例(450)……升田 純
◆最高裁判例要旨(2019(令1)年10月分)
◆判決録細目◆
行 政
▽東京都教育委員会によりエンカレッジスクールとして指定された高校の校長であった原告が、その入学者選抜において東京都立高等学校入学者選抜実施要綱に違反したことを理由としてなされた懲戒免職処分の取消しを求めたところ、同懲戒免職処分に裁量権を逸脱濫用した違法があるとは認められないとして、原告の請求が棄却された事例
(東京地判平30・5・15)
民 事
○児童相談所長が児童養護施設に入所中である未成年者の親権者に対する親権喪失の審判を求めた事案で、未成年者については、①親権者による不適切な監護養育から切り離されて保護されており、親権者による不当な引取要求に対しても児童福祉法28条に基づく入所措置または入所措置更新により対応することができること、②児童虐待の防止等に関する法律において親権者による面会通信や接近を禁止できると規定されていることから、親権者の未成年者に対する親権を喪失・停止させる必要があるのは、児童福祉法28条に基づく各措置、あるいは面会通信や接近の禁止によっては未成年者の保護を図れない特段の事情がある場合に限定されるとして申立てを却下した原審判を取り消し、親権者には民法834条所定の親権喪失事由があるとして、抗告人(原審申立人)の申立てを認容した事例
(大阪高決令1・5・27〈参考原審:神戸家姫路支審平31・3・15掲載〉)
○乳幼児期に受けた集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染し、成人になって慢性肝炎を発症したときのHBe抗原セロコンバージョン後(同抗原陰性化後)に発生した損害につき、HBe抗原セロコンバージョン後のHBe抗原陰性慢性肝炎は、HBe抗原セロコンバージョン前のHBe抗原陽性慢性肝炎と質的に異なるものではなく、その罹患によって新たな損害が発生したということはできないから、HBe抗原陰性慢性肝炎の発症による損害賠償請求権に係る民法724条後段所定の除斥期間の起算点は、HBe抗原セロコンバージョン前のHBe抗原陽性慢性肝炎を発症したときであるとした事例
──B型肝炎九州訴訟・控訴審判決
(福岡高判平31・4・15〈参考原審:福岡地判平29・12・11本誌2397・59掲載〉)
▽1 募集型企画旅行契約において、契約後に旅程先で大地震が発生したことに関し、解除権行使の前提となる情報収集・提供義務違反があったとして損害賠償請求を認めた事例
2 前記情報収集・提供義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求において、弁護士費用を請求できるとした事例
(大阪地判平31・3・26)
▽医療法人の病院で膠原病等の治療を受け、麻酔医から経皮吸収型麻酔性鎮痛剤オピオイドパッチを断続的に処方されていた患者に対して、死亡まで同剤処方が継続されず取りやめられたこと及び患者や家族になされたその理由の説明の時期や程度について、過誤がないとされた事例
(那覇地判平31・4・16)
知的財産権
▽1 タイプフェイスの著作物性が否定された事例
2 タイプフェイスの利用につき、利用許諾の抗弁が認められた事例
(東京地判平31・2・28)
労 働
○1 会員制のスポーツクラブの支店長が労働基準法41条2号に定める管理監督者に当たらないとされた事例
2 給与規程で定められた時間外労働等の割増率が労働基準法所定の割増率を上回る場合において、管理監督者に当たらないとされた労働者の割増賃金を労働基準法所定の割増率で算定した事例
(東京高判平30・11・22〈参考原審:東京地判平29・10・6掲載〉)
刑 事
○1 以前から、麻薬取締官に依頼されて覚せい剤取引の情報提供を行い、麻薬取締官らにその取引状況を監視させるなどの捜査協力を行いつつ、当該密売の仲介者等として利益を得ていた被告人が、共犯者から覚せい剤密輸への協力を依頼された際に、麻薬取締官の求めに応じてこれに加担した事案について、被告人に営利の目的が認められ、共同正犯が成立するとされた事例
2 覚せい剤密輸等を行う際の被告人の保身のため、ひいては密輸等による利益のためになされていた捜査協力を量刑上被告人に有利に考慮する余地はなく、また、被告人が、麻薬取締官から捜査協力のために覚せい剤密輸への加担を求められるなどの助長を受けていたという事実により、被告人の意思決定に対する非難の程度が原判決の量刑を左右するほど減弱するとはいえないなどとされた事例
(東京高判平30・10・18〈参考原審:東京地判平29・7・3掲載〉)
▽1 夜間路上に横臥していた人を自動車で轢過したという事案において、被告人が前方等を注視していたとしても本件事故を回避することができなかった疑いがあるとして、過失運転致死につき無罪とした事例
2 被告人が本件事故時に人に傷害を負わせたとの認識があったと認めることはできないとして、道路交通法違反(救護義務違反、報告義務違反)について、無罪とした事例
(神戸地判平30・10・24)
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