目次
Feature Articles
規格間競争の「新しい現実」を探る
デファクト・スタンダードの真実
山田英夫 早稲田大学 ビジネススクール 教授
デファクト・スタンダードという言葉は、1990年代から人口に膾炙するようになったが、いまだ誤用や曲解が見られる。このような間違いは戦略プランニングをミスリードさせかねない。なぜなら、一般的な消費財の競争と規格競争は性質が異なり、必然的に戦略や戦術も異ならざるをえないからである。しかも、たとえば「デファクト・スタンダードを一度獲得すれば、大きな利益にあずかれ、当面安泰である」といった誤解も根強い。しかし、いまや状況はまったく変わっている。本稿では、デファクト・スタンダードの正しい定義を再提示すると共に、今後のデファクト競争の姿、そしてそこでの戦い方について解説する。
「ハード・パワー」と「ソフト・パワー」を駆使する
補完企業との戦略的パートナーシップ
デイビッド B.ヨッフィー ハーバード・ビジネススクール 教授
メアリー・クワック 元ハーバード・ビジネススクール リサーチ・アソシエート
現在の競争において、パートナーが戦略の成否を左右する。このようなパートナーは、サプライヤーや流通業者だけではない。資本関係も取引関係もないが、同じ顧客を共有し、補完的な製品やサービスを提供する「補完企業」も同じく、自社の命運を握る重要なパートナーである。代表的な例には、インテルとマイクロソフトをはじめ、アップルとレコード会社などが挙げられるが、いまやどの業界にもこのような補完関係が存在している。しかし、利害関係が一致しない、どちらかが優位に立つなど、この戦略的な関係をマネジメントするのはきわめて難しい。そのためのツールは「ハード・パワー」と「ソフト・パワー」に大別されるが、状況に応じて使い分けないと、みずから墓穴を掘るはめになりかねない。本稿では、さまざまな事例をひも解きながら、その活用法を検討する。
市場の二面性を生かす
ツーサイド・プラットフォーム戦略
トーマス・アイゼンマン ハーバード・ビジネススクール 准教授
ジェフリー・パーカー チュレーン大学A.B.フリーマン・スクール・オブ・ビジネス 准教授
マーシャル・W・ヴァン・アルスタイン ボストン大学スクール・オブ・マネジメント 准教授
異なる二つのユーザー・グループを相互に結びつけることで、ネットワークを構築する製品・サービスをプラットフォームと呼ぶ。二つのユーザー・グループに製品・サービスを提供しながら双方でコストを負担し、双方で利益を挙げるという仕組みだ。ただし、従来の市場とはバリューチェーンが根本的な異なるため、その経済構造を十分に理解したうえで戦略を立てる必要がある。プラットフォーム・プロバイダーとして成功を収めるには、プライシング、一人勝ちの力学、包囲の脅威といった課題に取り組むことがカギとなる。
ライバルを出し抜く
カーブボール戦略
ジョージ・ストーク・ジュニア ボストン コンサルティング グループ シニア・ヴァイス・プレジデント
二〇〇四年に、本稿の著者はロブ・ラユナウアーとの共著論文で、情け容赦のない攻撃を仕掛ける「ハードボール戦略」を紹介した。その目的はライバルを打ち負かすことではなく、競争優位を獲得することだ。同様の手法に、「変化球」でライバルの裏をかくという方法もある。カーブボール、すなわち、変則的なアプローチによって、敵のミスを誘い出す、あるいは敵の反撃を封じ込めることができる。なかでも効率的なのが、成功をカムフラージュする、成功のカギを誤解させるなど、四つのカーブボール戦略である。
ビジネスモデルの寿命は短縮化している
新たなコア事業を発見する法
クリス・ズーク ベイン・アンド・カンパニー ディレクター
ポラロイドやボシュロムの例が教えるように、自社の歴史ともいえるコア事業が「突然死」してしまうことがある。94年の「フォーチュン500」にランキングされた企業のうち、この10年の間で、コア事業の転換を強いられた企業は130社に上る。とはいえ、これらがすべて必ずしも成功しているわけではない。コア事業の転換に成功した企業を見てみると、社内の「隠れた資産」、未活用の経営資源やケイパビリティを見出し、業界のプロフィット・プールの入念に分析しながら、既存のコア事業の周辺もしくは延長線上の、新たなコア事業を創造している。本稿では、アップル、IBM、デビアス・グループ、パーキンエルマーなどいくつかのベスト・プラクティスを紹介しながら、その方法論を解説する。
6つのステップで実践する
アフター・サービスの収益モデル
モリス A.コーエン ペンシルベニア大学 ウォートン・スクール 教授
ナレンドラ・アグラワル サンタクララ大学 リービー・スクール・オブ・ビジネス 准教授
製造業の大半がアフター・サービスを軽視しており、またこれを効果的に提供する方法について不勉強であるため、本来の利益機会を十分に生かしているとは言いがたい。本稿では、アフター・サービスのサプライチェーンと製造のサプライチェーンの違いを分析したうえで、アフター・サービスのイノベーションを提案する。ここに挙げた6つのステップを実践することで、アフター・サービスの質の向上とコストの低減が同時実現できる。
「規模の経済」「ローカル適応」「差異の利用」
トリプルAのグローバル戦略
パンカジ・ゲマワット ハーバード・ビジネススクール 教授
営業活動のみならず、生産活動もグローバル化していくなか、グローバル戦略をいま一度問い直す必要がある。そのポイントは、国境の両側に存在する差異にどのように対応するかである。IBM、P&G、GEヘルスケアなどの先進的なグローバル企業や、オフショアリングの波に乗るインドのソフトウエア企業などは、「適応」「集約」「アービトラージ」という3つの基本戦略を統合したグローバル戦略を構築している。「トリプルAトライアングル」というフレームワークは正しいグローバル戦略を構築するうえでの基盤となろう。戦略上の選択肢を具体的に検討できれば、戦略の選択力も研ぎ澄まされ、パフォーマンスもグローバルに高まるだろう。
OPINION
レピュテーションのマネジメント
花堂靖仁 早稲田大学 ビジネススクール 教授
HBR Articles
多国籍企業の限界と現地企業の躍進
新興市場で成長する企業の条件
タルン・カナ ハーバード・ビジネススクール 教授
クリシュナ G.パレプ ハーバード・ビジネススクール 教授
過去20余年にわたる経済自由化の波によって、開発途上国の保護主義政策のほとんどがなくなった。そして、これらの国々がグローバル経済に組み込まれるにつれて、多国籍企業の参入が激しくなっていった。しかしこのような攻勢に屈することなく迎え撃ち、さらには先進諸国へと事業を拡大している新興国企業が登場している。アルゼンチン、ブラジル、チリ、中国、インド、インドネシア、メキシコ、ポーランド、南アフリカ、トルコなど新興国10カ国から主要企業134社を選び、戦略から株価まで、さまざまなデータを分析した結果、これらの企業が世界水準の経営力を獲得したパターンが明らかになった。
明日のマネジメントの糧となる
2007年のパワー・コンセプト(中)
常時接続シンドローム
リンダ・ストーン コンサルタント
賢いM&AはPEファンドに学ぶ
マイケル C.マンキンス ベイン・アンド・カンパニー パートナー
無意識の意思決定力
アプ・ダイクステルハウス ラドボウド大学ナイメーヘン校 教授
XBRLの衝撃
ロバート G.エクレス パーセプション・パートナーズ 創立者兼マネージング・ディレクター
リブ・ワトソン EDGARオンライン バイス・プレジデント
マイク・ウィリス プライスウォーターハウス・クーパーズ 共同パートナー
イノベーションと富を増やす法則
ジェフリー B.ウェスト サンタフェ研究所 所長
「葛藤する消費者」の影響力
カレン・フレーザー フレーザー・コンサルタンシー 設立者
保守化が家父長制を復活させる
フィリップ・ロングマン ニュー・アメリカ財団 シニア・フェロー
BOOKS IN REVIEW
「ワーク・ライフ・バランス」が求められる社会構造
武石恵美子 法政大学キャリアデザイン学部 教授
CHIEF OFFICERS
日本発のソフトウエア・ビジネスを一〇〇年続くグローバル企業にする
平野洋一郎 インフォテリア 代表取締役社長
McKinsey Awards
二〇〇六年度マッキンゼー賞受賞論文
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商品情報・内容
- 出版社:ダイヤモンド社
- 発行間隔:月刊
- 発売日:毎月10日
- サイズ:A4変型判
■ 世界50ヵ国以上で愛読されるマネジメント誌の日本版
『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)は、世界50ヵ国以上で愛読されるマネジメント誌『Harvard Business Review』(HBR)の日本版です。企業の経営戦略、ビジネスコンセプト、フレームワークなどを通じて、よりよい未来をつくるためのアイデアと思考の軸を提供しています。マイケル・ポーターの競争戦略、チャン・キムのブルーオーシャン戦略、クレイトン・クリステンセンのイノベーションのジレンマ等、これまで数々の理論やノウハウがこの雑誌から生まれ、広まっていきました。企業トップやマネジャー、コンサルタント、アカデミアからの信頼も厚く、リーダーの必読誌として長く支持されています。
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