SUMAI no SEKKEI(住まいの設計)の編集長インタビュー

編集長プロフィール

扶桑社
「SUMAInoSEKKEI(住まいの設計)」編集長 鈴木康之さん

すずきやすゆき 1960年東京生まれ。学習研究社を経て‘96年に扶桑社に入社。『ESSE』編集部を経て、2005年より『新しい住まいの設計(現・SUMAInoSEKKEI)』編集長。’09年からは中古マンション×リノベの専門誌『relife+(リライフプラス)』)の編集長を兼ねる。

編集長写真

第80回 SUMAInoSEKKEI(住まいの設計) 編集長 鈴木康之さん

―富士山マガジンサービスで定期購読すると、この雑誌のデジタル版バックナンバーが全部読めます。これって画期的なサービスですよね。

自分らしい家づくりと実現したい<暮らし>を応援したい

自分らしい家づくりと
実現したい<暮らし>を応援したい

お陰さまで好評をいただいています。建築家の実例だけでも700軒以上チェックでき、1000万円台の家、10坪台の家、気になる建築家の名前など、キーワードを検索することで、簡単に手に入るわけですから。いままで図書館に行ったり、いろんな手間をかけて取り寄せていた情報が、居ながらにして手に入るというのは画期的だと思います。
家を建てようと思っている人には、とっても魅力のあるサービスだと思いますが、実は工務店さんなんかにとってもすごく便利だと思います。いま、お客さんがどんな家に魅力を感じているとか、人気の仕上げや設備が手に取るように分かりますしね。目を通しておくと話が早いかも知れません(笑)。

―なるほど、そういう使い方ができる雑誌なんですね。やはり読者は、これから家を持とうとされている世代の方々ですか。

そうですね。30代の第一次取得世代を主な読者対象にしています。
この世代はいつの時代も住宅取得の願望が高いんです。東京に住んでいると、30代で一軒家なんて無理とお考えになるかも知れませんが、狭小敷地を見つけて1000万円台の家を建てれば、23区内でも新築マンションより少ない資金でいい家が建てることも可能です。また郊外や地方に行くと、子どもが小さいうちに家を建てるというのが、割と自然なことなんですよね。

―創刊されてかなりになると思いますが、以前と編集方針が大きく変わったりしているのでしょうか。


創刊は1960年で、この9月で52周年を迎えます。その頃は高度経済成長の真っただ中。平均的なサラリーマンでも結婚したら郊外に一軒家、というのがブームになっていたようです。以後、時代の波の中で扱いう事例は変わってきましたが、「家づくりを考えている人にまず最初に手に取る住宅誌」でありたい、という意味では変っていません。
住宅環境は、バブル期にはちょっとマーケットが異様な状態もありました。今は景気も良くないし給料もそんなに上がりそうもないけど、等身大で、自分たちの暮らしを楽しむ家を建てるには、逆にいい環境じゃないかと思っています。
私自身、女性誌経験が長いので、やはりそこに住む人たちの<暮らし>が気になります。だから事例としていい家を紹介するだけでなく、住んでいる人が、実現したかった暮らしも読者に伝えたいと思って編集しています。その部分が編集方針が若干変わった点といえるかも知れません。

―最新号は<総工事費2000万円台で理想の家を手に入れる>といったタイトルがついています。こういう現実的な数字が入ってくることがいまの読者には響くということでしょうか。

はい。1000万円台の家を特集したときは、売れました(笑)。今の時代、建てたいけど、あきらめムードの人も多いので、こういう特集がヒットしますね。うちの雑誌では東京都内の1000万円台で建った家を結構紹介しているんですよ。先ほどもお話ししたように、小さな敷地とか変形敷地って、都内でも探せば結構ありますし、周囲の土地価格よりかなり割安です。そういうところに建築家が感動的な家を建てる。金額的に月々の返済額が賃貸より安くなる例も多いし、絶対おススメです。

――そうか、みんな最初からあきらめているんですか。


そういう人は多いと思います。ただ、人には<建てどき>ってあると思うんです。具体的に言うと、まだ夫婦2人かお子さんが小さい30代の時期。その時期が、たまたま景気が悪く収入が増えていくか不安だとしても、先延ばしにすれば、子どもたちも大きくなっていきますし、家で過ごす時間は少なくなるだけです。家の思い出も、家族と過ごす時間も当然減っていきます。だから、<建てどき>を逃さないでほしいと思っているんです。
住宅誌って<マタニティ雑誌>と似ているなと思っています(笑)。マタニティ雑誌って、妊娠が分かって初めてそういう雑誌の存在に気づき、手に取るじゃないですか。住宅誌も同じ感じで、家を建てようと思いはじめて初めて手にとってもらうケースが多いと思います。そのときに「住まいの設計」で家づくりの様々な情報とたくさんの実例を見て、自分たちにとっての理想の家のイメージをつくり上げていってほしいと思って編集しています。 限られた予算でもいい家は建つんだよ~、実現したかった暮らしをあきらめないで~、といったメッセージは随所に織り込んでいます。

――30代の家づくり適齢期の人たちには、無理なくいい家を建ててほしいというメッセージですね。。

そうです。以前、「住宅の手触り」という本を出しました。この題名は、建築家・中村弘文さんの「住まいへの愛着は手触りから生まれる」という言葉からもらいました。その本の帯に私は、「豊かな人生は、家の中にある」というコピーをつけました。この、「豊かな人生は、家の中にある」という言葉を心に秘めつつ、いまも雑誌を作っています。 住宅誌というと、器としての「住宅」を紹介しているだけと思われるかも知れませんが
そこで「暮らし」が始まって、初めて「家」になると思います。ですから、紹介する事例は、素晴らしい住宅であるとともに、そこに住む人たちが実現したかった暮らしがある家を紹介しているつもりです。それが、紹介したい「住まい」だと思っているので。

――なるほど、いいコピーですね。

ありがとうございます。ですから、うちの雑誌と他の住宅誌との違いはこのあたりにあるかも知れませんね。家というと「間取り」とか建築物そのものに目が行く傾向がありますが、部屋がある、というだけでなく、家の中でくつろげる場所、リフレッシュできる場所、ホッとできる場所…そういう「場所」がたくさんある家がいいよね!と読者に感じてもらえたらということを大事にしています。
 具体的な例でいうと、キッチンと一体になったカウンタータイプのダイニングをよく見ますがそこは間取りの発想だと「ダイニング」なのですが、家族が本を読んだり、パソコンをしたら「勉強部屋」にも「書斎」にもなるし、「リビング」にもなる。そういう「場所」ができる家はいい家だと思っています。

――都心で暮らしていると、どうも一軒家よりマンションのほうが現実的だとも思いますが、そんなニーズに対しては、何か特集などを組まれたりとかするのですか。


確かにそうですが、都市部には味のある古家や中古マンションが多いですよね。最近は、国の支援制度が整い中古住宅を買ってリノベーションする人も増えています。そこで、戸建てのリノベ特集も積極的に企画しています。
 また、ここ数年、都市部の値下がりした中古マンションを手に入れ、古さもいい味ととらえてカッコよくリノベーションしたいという人も増えているので、 中古マンション×リノベとライフスタイルを紹介した『relife+(リライフプラス)』というMOOKを、3年前から年3回刊で出しています。

――編集部構成はどうなっていますか。

私を含めて4人です(笑)。まあ少人数ですが、ライターさんとカメラマンさんは外部の方にお願いしています。うちはDTPのワークフローも進んでいるほうで、編集部内でハンドリングできることも多いので割とうまく行っています。
私たちは人間にとって欠かせないもの、「衣食住」の「住」の部分を扱っているわけですから、もっともっとそこをしっかりと考え、みんなが幸せになれるような「家」と「暮らし」を大切にして雑誌を作っていきたいと思っています。

編集長の愛読誌

(2012年6月)

SUMAI no SEKKEI(住まいの設計)の無料サンプル

2021年6月号 (2021年05月14日発売)
2021年6月号 (2021年05月14日発売)をまるごと1冊ご覧いただけます
サンプルを見る

SUMAI no SEKKEI(住まいの設計)の無料記事

この雑誌の読者はこちらの雑誌も買っています!

SUMAI no SEKKEI(住まいの設計)の所属カテゴリ一覧

Fujisanとは?

日本最大級雑誌の定期購読サービスを提供

デジタル雑誌をご利用なら

最新号〜バックナンバーまで7000冊以上の雑誌
(電子書籍)が無料で読み放題!
タダ読みサービスを楽しもう!

総合案内
マイページ
マイライブラリ
アフィリエイト
採用情報
プレスリリース
お問い合わせ
©︎2002 FUJISAN MAGAZINE SERVICE CO., Ltd.