〈特集〉
ユーラシアのパワー・バランス
ヨーロッパとアジアに跨る広大な領域、「ユーラシア」。そこでは古くから、大国による覇権争いが幾度となく繰り返されてきた。特に中央アジア地域は、ヨーロッパとアジアの交差点として、そして豊富な天然資源を産出する土地として、さまざまな思惑に翻弄されてきた。新たな「グレート・ゲーム」の時代が始まったとも言われる現在、今またこの地域に熱い視線が注がれている。「ユーラシア」は今後、どこへ向かって行くのか。そして日本は、どのように関わっていけばよいのか
「ユーラシア」という視点
――焦点としてのアフガニスタンと中央アジア
/河東哲夫
古来、諸文明を結びつける「統合の地」であったユーラシア。近代における幾多の分断の歴史を経て、いま再び一体を為そうとしているこの地域を、歴史の縦軸と「六すくみ」の国際政治の現実から読み解く
座談会 過剰な戦略論に陥るな
――中央アジアをめぐる国際政治と日本外交
/石郷岡建/斎藤元秀/孫崎享/本村真澄/
古くから大国のパワーゲームの舞台としての歴史を持つ中央アジア。冷戦の終焉から20年。オバマ政権の誕生、再興するロシア、中国の台頭、資源とテロをめぐる外交戦略が入り交じる、国際政治の交差路を読み解く
ヨーロッパの東方政策とロシア問題
――新しいアイデンティティの模索
/六鹿茂夫
冷戦の終結によって、その範囲と役割について新たな模索の時代に入ったヨーロッパ。ユーラシアへの「拡大」は、どのような論理と政治力学のなかで進んでいるのか。ロシアとの関係調整の難しさを踏まえつつ、錯綜するユーラシア関係の見取り図を描く
中央アジアを理解するための六つの鍵
/宇山智彦
地政学的重要さと資源の豊富さから注目が集まる中央アジア。効果的な外交を展開するためには地域情勢への深い認識が欠かせない。中央アジアを理解するうえで重要な「鍵」を解説する
「寅さんの日本」を大切にしたい
/ウマロフ・ブニョード
十九歳で中央アジアのウズベキスタンからやってきた日本。留学先で、仕事のなかで感じた日本とは
トゥルクメン葦笛の謎
――中央アジア伝統音楽をめぐるエピソード
/瀧知也
かつてシルクロードの途上にあって栄えた砂漠の文化が、今も風前の灯火の如く伝承されている。トルクメニスタンに伝わる笛「トゥイドゥク」もそのひとつだ。哀切と陶酔に満ち、イスラーム神秘主義の影響も感じさせるその音色の由来に迫る
資料篇 世界と日本はアフガニスタンにどう関わっているか
資料篇 ひとめでわかる中央アジア
グラビア ユーラシア―国際政治の交差点
<特集外>
インタビュー 北朝鮮ミサイル発射で、何が変わるのか
/伊豆見元
二〇〇九年四月五日、北朝鮮は、自制を求める国際社会の声を無視し、日本の上空に「ミサイル」を通過させた。これは、日本の安全保障と北東アジアの安定への重大な挑戦である。今回の事件をどのように読み解けばよいのか。北朝鮮問題の現状と展望を聞く
対談 統合の深化がもたらしたもの
―『原典ヨーロッパ統合史』の試み
/遠藤乾/岩間陽子
日本の研究者の手により、世界水準のヨーロッパ統合史資料集が生まれた。この本はいかにして作られたのか。そしてその制作過程で、どのような課題が浮かび上がってきたのか。気鋭のヨーロッパ研究者が語り合う
ポップ・カルチャー外交の実践と理論
―オタク外交官と呼ばれて
/山田彰
海外で高い人気を誇る日本のポップ・カルチャー。外交ツールの一つとして、それを活用しない手はない。しかし、実際にどのようにポップ・カルチャーを外交に活かせばよいのだろうか。スペインでアニメ・マンガを通じた外交を展開し、「オタク外交官」として親しまれていた筆者が語る、ポップ・カルチャー外交の真髄
日露学生フォーラムに参加して
――本音の交流で実感する「国際交流」の意味
/野本和宏
エネルギー分野や輸出産業など経済的結びつきを中心に新たな局面を迎えている日露関係。しかし環境は大きく変化しても、人間がそれに追いつかなければ意味は薄い。学生交流はそうした国際関係の前線とも言える。ロシアという「他者」と本音で語らった学生が見た「国際交流」のあり方とは
<連載>
悲観・楽観・世界観
/千野境子
巻頭随筆
/根本かおる/吉田重信/奈良岡聰智
書評フォーラム 選評・佐々木卓也
『CIA秘録』
『アメリカ政治外交史教材』
『平和を勝ち取る』
INFORMATION&読者投稿
外交フォーラムの内容
- 出版社:都市出版
- 発行間隔:月刊
- サイズ:B5判
日本で唯一の外交問題・国際関係論専門のオピニオン誌
国際社会の中で、日本の外交はどうあるできか。内外の著名な筆者が問題の核心を鋭く分析、世界の動きがリアルにつかめる情報を満載。研究者・ビジネスマン・官界・学生をはじめ国際問題に関心ある人々の必読誌として1988年の創刊以来、高い評価を得る。
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