200号記念特別企画
中曾根康弘インタビュー
21世紀日本の国家像を確立せよ
/聞き手 中西寛
冷戦後多くの国が自国のアイデンティティを模索する中で、日本の政治は依然漂流し続けている。複雑化・流動化の一途を辿る国際情勢にあって自国の足場を見失わないためにも、日本は確固たる自画像の確立を急ぐべきだ
特集
日米の絆は本物か
日本の国益にとってもっとも重要な存在がアメリカであることは言うまでもない。開国から今日に至るまで、日米両国は悲惨な戦争を乗り越え、徐々にその絆を強めてきた。今日、両国は政治・経済・文化あらゆる面で、他に類を見ない強固な関係を築きあげている。だが、国際関係が日々移り変わるなか、われわれは現在の対米関係に安住するわけにはいかない。日米関係は「絶対的」なものではなく、両国のたゆまない努力によって支えられているからである。創刊200号記念を迎え、アメリカとの絆を改めて考える
未来につなぐ日米関係
/加藤良三
ブッシュ大統領再選後も日米同盟の方向性は変わらない。今後は同盟関係のあり方については、日本側が所信、構想力、具体的提案を打ち出す積極性が求められている。日本の中長期的目標は、日本の国益増進という目的を達成するために日米同盟を主軸としつつ、日本の総合的国力を強化した上で、積極的に国際貢献を行なうことだ。国民の一人ひとりがアメリカを好きか嫌いかは別として、日本の国益にとって良好な日米関係が必要である。同盟を維持・強化するために、日々の絶え間ない努力を心がけたい
イラク安定化こそ戦時政権の歴史的使命
―成否問われる中間選挙
/伊奈久喜
第2期ブッシュ政権の最重要課題はイラクである。2005年中にその解決は難しいにせよ、06年11月の中間選挙までにイラクの混乱を除去できればブッシュ政権のイラク政策は成功と言える。米国の国際社会との対立は修復に向かいつつある。新たな人事はリアリストの復興を思わせる。米国の対日重視路線は変わらず、米軍再編に伴う基地問題解決に向けた、小泉政権の政治的力量が問われる
日米同盟―国益と制度のさらなる共有に向けて
/村田晃嗣
かつて同盟は国益と便宜からのみ考えられていたが、近年コア(軍事面の調整・統合)と外延(より広義の政治的支持基盤)両面での同盟の制度化も重要になってきた。東アジアにおいて安全保障上の懸念を抱える日本にとって日米同盟はより死活的になっており、グローバルな国益にも合致するものである。日米同盟をめぐる国益の共有と制度化をさらに進めるために、あらゆる努力が求められている
今こそ体系的なエネルギー対話を
/ケント・E・カルダー
北東アジアのエネルギー需要は中国を筆頭に著しく増加しており、エネルギーの世界的な供給不足が懸念される。また日米両国間の対中東石油依存率の差は、将来的に両国の中東問題に対する国益の相違をももたらしかねない。9・11以降日米の実務レベルでの交流は格段に深まっており、今後はトラック2レベルでエネルギー問題についてのより広範かつ根本的な問題の対話を進めるべきだ。
インタビュー
新しい時代の日米経済関係をいかに構築していくか
―ビジネスの現場から
/西室泰三
60年代の米国では日本企業の名を知るものも少なく、また富の差も明らかだった。その後日本経済の成長に伴う経済摩擦を経て、現在米国の日本経済への関心は再び低下している。日米財界人会議は環境問題や中国など二国間問題を越えた議題を設定し、日米経済協力の新たな方向性を示した。日本外交には、援助政策の国内的支持獲得への努力を求める。
座談会
ヒューマン・ヒストリーとしての日米関係
/五百旗頭真/ジェラルド・カーティス/グレン・S・フクシマ/山本正
日米市民交流は、150年の間徐々に深まってきた。アメリカは戦後政府が主導的に民間交流を進めてきたが、冷戦後は個人や企業が実利的観点から日本に関心をもちはじめた。反面、最近のアメリカの知識層は日本への関心を失いつつある。日本側も、政府に比べ市民交流に対する民間の意識は低い。日米関係の維持・強化のためにも、民間交流の重要性がますます高まっている。
日系米国人の歴史を後世に伝えるために
/ジョン・タテイシ
日系米国人たちにとって最も重要、かつ忘れてはならない出来事は強制収容所での経験である。日系米国人社会を支え、育んできた彼らの歴史をひもとく
日米交流に貢献するために
/デビッド・H・サターホワイト
日本育ちの米国人、サターホワイト氏に日米交流の大切さを聞く
響け!交流のメロディー
―ミュージック・フロム・ジャパン30年の軌跡
/福中琴子
日本人作曲家たちの、個々のアイデンティティを内包した音楽が30年間米国で伝えられていることの意義深さをみる
現地レポート
総領事館からみる 現代アメリカ
シカゴ 親しまれる国、日本
/吉澤裕
デンバー 時代と共に変貌し、活力を保つ都市
/太田裕造
サンフランシスコ 侍から葡萄王へ
/山中誠
資料篇
日米関係の軌跡
特集外
沖縄米軍基地訪問記
日本の安全保障政策における沖縄問題
/林奈津子
日本の安全保障は、米軍基地の75%を抱える沖縄を見ずして語れない。現地に赴き、人々の生の声を聞くことで、沖縄の抱える今日的課題が浮き彫りとなった
連載
新連載 変化する世界経済情勢とOECD
グローバリゼーションの挑戦
―自由、平等、ガバナンス
/川村泰久
OECDには豊かな先進国が集まって、経済・貿易の自由化を協議するフォーラムというイメージがある。だが世界情勢の変動とともにOECDの性格も変化している。今OECDノアイデンティティはどこに見出せるのか
カラー・グラビア 大学ゼミ訪問 第75回
日本女子大学 尾中文哉ゼミ
悲観・楽観・世界観
/千野境子
巻頭随筆
/藤原作弥/イヴ・ブゴン
談話室 第81回
医薬品に国境はない
/庄田隆
戦後経済外交の軌跡 第5回
危機のなかの経済外交
/井上寿一
繁栄を極めた六〇年代から一転、七〇年代の日本はドル・ショックとオイル・ショックという二つの「危機」に直面する。混乱の日本を救ったのは、対米「自主」としてのアラブ外交と、対米「協調」の側面をもつサミットへの働きかけであった。危機を乗り越えた日本は、ODAを武器に、アジアに対する影響力の拡大を再び図るのだが・・・・・・
WTOからみる国際社会との付き合い方 第9回
WTOと見えない貿易
/鈴木庸一
WTOにおいて、サービス貿易に関するルールはいまだ不十分だ。その思わぬ“落とし穴”にはまったのが、ほかならぬ米国であった
よみがえる絵、追いかける言葉 第6回
声は体を表す?
/藤原章生
書評フォーラム 選評 苅部直
『丸山眞男書簡集』
『第三帝国のR・シュトラウス』
『坂本多加雄◎対談・書評集 歴史を語る作法』
INFORMATION&読者投稿
外交フォーラムの内容
- 出版社:都市出版
- 発行間隔:月刊
- サイズ:B5判
日本で唯一の外交問題・国際関係論専門のオピニオン誌
国際社会の中で、日本の外交はどうあるできか。内外の著名な筆者が問題の核心を鋭く分析、世界の動きがリアルにつかめる情報を満載。研究者・ビジネスマン・官界・学生をはじめ国際問題に関心ある人々の必読誌として1988年の創刊以来、高い評価を得る。
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