■特集:微小気泡を用いた超音波医学の新展開
○マイクロバブルと超音波を利用したがん免疫療法の開発
/帝京大学 鈴木亮・宗像理紗・小俣大樹
がんに対する治療として養子免疫療法が開発され、劇的な治療効果が報告されている。本稿では、超音波を利用した抗腫瘍免疫の誘導やがん免疫療法への応用に関して紹介する。
○マイクロバブルと超音波を用いた膠芽腫への薬物送達法の開発
/帝京大学 小俣大樹・宗像理紗・鈴木亮
マイクロバブルと超音波を用いることで、原発性脳腫瘍である膠芽腫へシスプラチンやmRNA搭載脂質ナノ粒子を効率的に送達することができた。マイクロバブルと超音波は、新たな膠芽腫治療法の構築に貢献すると期待される。
■製品紹介特集:超音波洗浄機
○電解式・超音波金型洗浄装置
/オタリ㈱ 橋本芳樹
本稿では、当社が新たに開発した「金型・金属部品用・超音波洗浄装置モールドクリーナー」の特徴、原理、洗浄効果等について詳しく紹介する。使い易さとメンテナンスのやり易さとデザイン性を追求し、金型を新品に近いまでに洗浄できる。
○新開発超音波振動子「200 kHzスポットシャワー」
/㈱カイジョー 山口穂隆
当社は枚葉式洗浄のツールとして、「スポットシャワー」や、「メガチューブ(導波路管型超音波振動子)」を用意しているが、対応の幅をさらに広げるため、 200 kHz仕様のスポットシャワーを開発した。
○棒状超音波洗浄機
/新科産業㈲ 中原理暉
棒状振動子を採用し、360度方向に超音波を放射でき、かつ簡単に設置することができ、特に容器、管状物内部の洗浄に適する棒状超音波洗浄機SPMシリーズを紹介する。
○最新の超音波技術を搭載した総合的な洗浄装置の在り方
/日本アレックス㈱ 新倉充
最新の超音波技術はもとより、洗浄~リンス~乾燥までをシャワー、バブリング、揺動、エアーブロー、熱風・吸引乾燥等の技術と組み合わせた総合的な洗浄装置として提供する事を当社は主幹としている。
○カスタムオーダーメイド超音波洗浄装置
/㈱ヒメジ理化イノテック 和泉一弘・岡安嵩也
自社で設計・製作した低周波領域から高周波領域の超音波発振器および振動板を搭載している当社の洗浄装置は、洗浄物に合わせて振動素子の個数、配置、接着板の厚み等を最適な構成にすることにより高品質な洗浄を実現し、故障時の修理や仕様変更時にもスピーディに対応することができる。
○汎用性のある標準・超音波バリ取り洗浄装置300機種のほか用途別に特化した多数の専用機
/㈱ブルー・スターR&D 柴野佳英
当社は、超音波バリ取り洗浄機などの汎用機メーカーであるが、顧客の要望で、バリ取り技術で培った、超音波利用技術を活かし、様々な専用機も製作している。本稿では、当社の専用機の一部を紹介する。
■解説
○溶融金属中の音響バブルの気泡径
/大阪公立大学 山本卓也
鋳造プロセス中で溶融金属に超音波を照射すると、金属組織を改質する効果があり、応用が期待されているが、その際に発生している音響バブルの気泡径は不明な点が多い。本稿では、溶融金属中のキャビテーション気泡径を安定性解析によって推定した研究を紹介する。
○超音波浴装置を用いたサブナノ厚半導体の効率的かつ選択的な調整手法
/大阪公立大学 中本竜弥
/東京大学 桐谷乃輔
本稿では超音波を用いた手法により、積層された数百層のバルク結晶から、単層を含む4層以下の薄層のみを剥離して単離する手法を解説する。
○市販有限要素法ソフトを用いた超音波振動工具のトポロジー最適化
/東京科学大学 和田有司・中村健太郎
超音波接合等を目的とする振動工具を平坦に振動させるための設計手段として、設計領域内の空隙を含めた材料配置を制御するトポロジー最適化を検討する。市販の有限要素法のライブリンク機能を用いて最適化プログラムを構成し、振動子を設計した。
○ウイスカー超音波RNP法を用いた植物ゲノム編集
/(国研)産業技術総合研究所 中村彰良
植物のゲノム編集は、植物細胞には硬い細胞壁があるため、動物細胞と比べてゲノム編集ツール(RNP)の導入が難しい。本研究では、従来DNA導入に用いられてきたウイスカー超音波法が、RNP導入にも適用でき植物のゲノム編集に利用できることを発見し、「ウイスカー超音波RNP法」と命名した。
○AIを搭載した沈殿槽自動監視システム
/栗田工業㈱ 原田要
排水処理施設において沈殿処理は重要な処理技術である。そのシステムの適切な監視および運用管理のために、人工知能(AI)技術を活用した自動監視システムを開発し、既にいくつかの現場で導入を開始した。本稿では、そのシステムの設計、機能、および実運用における効果について紹介する。
○高専生による超音波センサを用いた簡易水位監視システムによるBCP強化の提案
/長野工業高等専門学校 田中秀登
長野高専専攻科の学生と指導教員により、水害対策の重要度の高い長野県北部工業団地のBCP委員会へ簡易水位監視システムの試作と提案を行った、その取り組みを紹介する。
○エレクトレットAEセンサを用いた植物の活動モニタリング
/埼玉大学 蔭山健介
突発的な事象に伴い放出される弾性波をアコースティック・エミッション(AE)の検出には工業分野では圧電素子が用いられる。一方、圧電素子と比較して低コストで素子の形状自由度が大きいエレクトレット・コンデンサ・センサ(以下、ECS)は、生物が発するAEの検出に適していると考えられる。本稿では、 ECSを用いた植物の茎でのAE測定や微細藻類の光合成由来AE測定について紹介する。
○水晶振動子マイクロバランス法による細菌接着の3次元的描像の取得
/東京科学大学 林智広・Glenn Villena Latag
異なる表面物理化学特性を持つ自己組織化単分子膜上に細菌がどのように接着し、その接着挙動が表面の化学特性によってどのように変化するか、水晶振動子マイクロバランス法を応用し詳細に観察した。
○低周波超音波治療による骨格筋再生
/広島大学 東幸仁
低周波超音波(LIPUS)による筋肉再生機序を明らかにした。LIPUS治療は、筋損傷のみならず、長期臥床に伴う四肢の筋肉量低下、サルコペニア、寝たきり老人の筋肉量の低下に対し、安全かつ簡便で、有効な手段となる可能性が期待される。
■製品紹介
○オールインワン型超音波式IoT距離センサー
/TSTジャパン㈱ 古田兼三
欧州を中心に超音波センサーを用いたゴミ箱、タンク、河川水位などをIoTで遠隔監視する商品を提供するTST Sistemasの日本現地法人である当社は、IoTデバイスへの要求に応じ、国内市場向けに改良・カスタマイズし、IoT距離センサーを提供している。
○ゾルゲル複合体スプレー技術によるウェアラブル医用超音波プローブの開発
/㈱サーモンテック/熊本大学 田邉将之
/NOK㈱ 佐藤航介・宇田徹
/熊本大学 小林牧子
ゾルゲル複合体スプレー技術を用いて、無機圧電材料で柔軟な超音波アレイセンサを開発した。本稿では、この新しいセンサ技術の特性や製造プロセス、具体的な応用例を紹介する。
■連載:産業技術総合研究所 超音波音場計測クラブと、関連する計量標準及び工業標準①
○超音波音場計測クラブについて
/(国研)産業技術総合研究所 内田武吉
超音波音場計測クラブは、水中を伝搬する超音波の計量標準や計測技術に関する知識、情報の共有を測る場として運営されている。本稿では、超音波音場計測クラブの成り立ちと現在、今後の連載の概要に関して紹介する。