【前立腺がん/がんの食事療法特集】
1 前立腺がんの基礎知識
前立腺がんの特徴/前立腺とは/検査法/病期分類/PSAとは/グリソンスコアとは/治療法/疫学
編集●「がんサポート」編集部
人口の高齢化とともに、前立腺がんの罹患数が増加している。国立がん研究センターがん対策情報センターの2015年のがん統計予測では、部位別の罹患数で前立腺が女性乳房を抜いて第4位となっている(2014年のがん統計予測では第5位)。また男性においては、胃および肺を抜いて首位になると予測されている。早期の段階で治療を行えば治癒が期待できる前立腺がん、最低限知っておきたい基礎知識をまとめた。
2 治療をしないことも選択肢の1つ
正確なリスク評価で 限局性がんの過剰治療を避けることが重要
監修●古賀文隆 がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
PSA(前立腺特異抗原)検診が普及し、前立腺がんは早期発見が可能になった。限局性前立腺がん(いわゆる早期がん)は、どのような治療法があり、どう選択されるのだろう。体への負担を少なくする治療法はあるのだろうか。最先端で治療に当たる専門医に伺った。
3 治療回数を減らす寡分割照射法
放射線の外照射治療に新しい流れ 1回の照射量を増やして総線量を減らす
監修●萬 篤憲 国立病院機構東京医療センター放射線科医長
放射線療法において、1回の照射線量を増やして回数を減らす方法を寡分割照射法という。前立腺がんは前立腺の性質上、1回に高線量を当てるのが効果的とされている。一方で、高線量となると副作用も心配される。欧米では広まりつつあるが、日本ではまだ数施設で臨床試験として行われている段階で、今後の展開が注目される。日本での寡分割照射法の現状を専門医に伺った。
4 新薬の効果認める
去勢抵抗性前立腺がんの治療選択 個別化・適正化で患者の利益が求められる
監修●赤倉功一郎 JCHO東京新宿メディカルセンター副院長・泌尿器科部長
初回ホルモン療法が効かなくなった状態を「去勢抵抗性前立腺がん」というが、従来はそうなった際の対策は限られていた。しかし、2014年に3つの新薬が承認され、治療風景は大きく変化した。一方で、延命効果はあるものの、薬価が非常に高いという医療経済上の課題も指摘され始めている。専門医に、去勢抵抗性前立腺がん治療における2016年の展望を伺った。
5 新薬で全生存期間延長という臨床試験結果も!
骨転移と併せて骨粗しょう症対策が重要。前立腺がんの骨転移治療
監修●鈴木啓悦 東邦大学医療センター佐倉病院泌尿器科教授
骨に転移しやすいという特徴がある前立腺がん。骨転移による痛みや骨折は患者のQOL(生活の質)に大きく影響を及ぼす。この骨転移に対して、最近では骨の健康“Bone health(ボーンヘルス)”という考え方が広まってきており、骨転移と併せて骨粗しょう症に対する対策も重要になってきている。登場が期待される新たな骨転移治療薬の最新情報も踏まえ、最新トピックをレポートする。
6 日常生活に支障のないレベルまで回復
前立腺がん術後の重い尿失禁を改善!「人工尿道括約筋埋込手術」
監修●増田 均 がん研有明病院泌尿器科副部長授
前立腺がんの手術後の尿失禁は時間とともに改善するが、中には重症な尿失禁が残ってしまう患者もいる。重い尿失禁があると日常生活に支障が出るばかりでなく、気持ちも塞ぎがちだ。2012年に保険適用となった「人工尿道括約筋埋込手術」は、重い尿失禁を劇的に改善させる効果がある。どんな手術なのだろうか。
7 経口的栄養補助、消化酵素補助(補充)剤、在宅経腸栄養など方法は様々ある
体重を維持してこそ治癒につながる がん治療には「栄養」が欠かせない
監修●大村健二 上尾中央総合病院栄養サポートセンターセンター長/外科・腫瘍内科顧問
かつては胃がんなど消化器系の手術で臓器を切除すれば、体重が減ってやせ細るのは当たり前とされていた。しかし、今はそれが誤りで、治療中に体重を減らさないことが治癒につながるとわかっている。また消化器系以外でも、化学療法や放射線療法を行う上で適切な栄養摂取が欠かせなくなっている。
8 乳がん化療レジメン別で味の感じ方に違いも
ひと工夫で乗り切ろう!化学療法時の味覚障害に対する食事
監修●鍋谷圭宏 千葉県がんセンター消化器外科部長
監修●前田恵理 千葉県がんセンター栄養科・管理栄養士
化学療法時に味覚障害を訴える患者は多い。ただ味覚障害といっても、主観的な要素が強く、味の変化の尺度も対処法も確立されていないのが現状だ。そうした中、千葉県がんセンターでは乳がん患者を対象に、化学療法中の味覚障害に対する調査を実施。レジメン別に味覚障害の現れ方に違いがあることなどがわかってきており、それに対する食事レシピも開発している。
9 味、形態、容量などを見極めて選択
栄養補助食品を利用して 食べる意欲へつなげる
監修●千歳はるか 国立がん研究センター東病院栄養管理室長
監修●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室・管理栄養士
コンビニや薬局などでよく見かけるようになった栄養補助食品。がん治療中に、体重や食欲の低下から、こうした栄養補助食品を利用したいという患者は少なくない。たくさんの種類の中から、どの栄養補助食品を選び、どう役立てていけばよいのだろうか。
【医療】
凄腕の医療人 万全の態勢で臨み、機能温存を目指す
●絹笠祐介 静岡県立静岡がんセンター大腸外科部長
食習慣の欧米化とともに、近年にわかに増えてきたのが大腸(結腸・直腸)がんだ。その大腸がんの手術において、全国一の症例数を誇るロボット支援下手術をはじめ、早期から進行例、高齢者や併存症を持つ患者の難症例まで、あらゆる手術に対して、万全の態勢で臨み、根治と機能温存を実現する静岡県立静岡がんセンター大腸外科。そのチームを率いるリーダー、絹笠祐介さんの手術に密着し、治療に対する信念と情熱、そして素顔に迫った。
がんのチーム医療・施設訪問 患者を地域で支える診療体制を構築 前立腺がん地域チーム医療
●千葉県がんセンター 前立腺センター(千葉県千葉市)
PSA(前立腺特異抗原)検査の普及もあり、患者数が増加している前立腺がん。それに加え、ロボット支援下手術や新薬の数も増えている。病院で患者を抱え込まずに、1人ひとりに合ったケアをするためは的確な診断と地域のクリニックとの連係が必要だ。日本有数の前立腺がん治療実績を持つ千葉県がんセンターを取材した。
がん看護専門看護師山田みつぎの 副作用はこうして乗り切ろう! 9 抗がん薬治療中の脱毛
監修●山田みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長
髪の毛が抜けるショック、それは他の副作用とは種類の違う苦しみです。抗がん薬治療が終われば、また生えてきます。今はつらいけれど、ウイッグや帽子でオシャレを楽しみながら、新しい髪の毛を待ちましょう。
患者のためのがんの薬事典 多剤併用の2つの治療法 切除不能膵がんの治療薬
監修●林 和彦 東京女子医科大学がんセンター長/化学療法・緩和ケア科教授
現在、日本膵臓学会の「科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン」では、遠隔転移のある膵がんに対する最初の化学療法として、FOLFIRINOX療法とアブラキサン+ジェムザール併用療法の2つを推奨しています。ただ、どちらを選択すべきかについては明らかにされていません。手術ができない膵がんの治療をどのように考えるか、2つの治療法の特徴から考えてみましょう。
【対談】
鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談
患者さんが幸せに生きてもらうための「あたたかながん診療」を目指して
医療スタッフ編●諏訪中央病院(長野県茅野市)
鎌田さんが名誉院長を務める諏訪中央病院は、緩和ケアに力を入れている病院としても知られている。前号では鎌田さんに、緩和ケア病棟の患者さんや、病院を支えるグリーンボランティアの人たちを紹介いただいたが、今号では緩和ケア病棟に携わる医療スタッフに、諏訪中央病院が目指す緩和医療の在り方について語り合ってもらった。
【生き方】
私の生きる道 早期発見、治療が1番 先生にタン(舌)キューべろマッチです!
●2005年に舌がんを経験した医事漫談の巨匠・ケーシー高峰さん(81歳)
話芸で生きる芸人にとって、舌がんは極めて厄介な病気である。早期であっても、手術で舌の一部を切除せざるを得ないため、術後、発音が不明瞭になることがあるからだ。医事漫談のケーシー高峰さんは、71歳のとき舌がんになり、トレードマークの白衣をパジャマに着替えて、大学病院に入院することになってしまった。
がん闘病記 3 「再発乳がんと付き合っていくしかない」 3
●野田澤郁子さん(主婦)
90歳近い認知症の両親を介護しながら再発乳がん闘病生活全記録
【患者サポート】
がん相談 皮膚がん/相談支援/乳がん
皮膚がん●回答者:吉野公二・がん・感染症センター都立駒込病院皮膚腫瘍科医長
相談支援●回答者:大沢かおり・東京共済病院がん相談支援センター医療ソーシャルワーカー
乳がん●回答者:上野貴史・板橋中央総合病院外科医師
症状別おすすめ・レシピ (8)消化器がん術後の方に
レシピ・料理製作●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室 管理栄養士
消化器がんの手術をした方は、体の変化に合わせた食べ方が必要です。体調に応じて増減したり、1食量が少ないときは間食で補うか、少量で栄養価の高いものを選びましょう。
患者会レポート 「小児脳幹部グリオーマ」に関する要望書を厚生労働大臣宛に提出
文●貫井孝雄・小児脳幹部グリオーマの会代表
文●高木伸幸・小児脳幹部グリオーマの会署名活動リーダー
「小児脳幹部グリオーマ(びまん性内在性橋グリオーマ)」は、年間の小児がん患児の死亡原因の20%近くを占めるともいわれる難病です。患者会「小児脳幹部グリオーマの会」は、難治性の小児脳腫瘍治療研究の推進と、制度上の諸問題点を解消すべきとの要望書を厚生労働大臣及び関係課宛に提出しました。この活動に賛同する歌手、菅原洋一さんからのメッセージも届いています。
がん哲学外来 今月の言葉「過ぎたことを思い患わない」
●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授
人生の意味がわからなくなった(T・G さん、元会社員 63歳)
がんサポートの内容
- 出版社:エビデンス社
- 発行間隔:月刊
信頼度NO.1のがん実用誌!がんと生きるすべての人を応援します。
がんサポートは、世界最新の科学的根拠(エビデンス)に基づいた視点から、良質な正しい医療情報を厳選し、提供していきます。エビデンス(Evidence)とは、根拠があって明白な証拠、を意味する英語。常に信頼の置ける情報と知識を提供することを使命と考えます。がんサポートは、がん患者さん・ご家族の方々の求めに応えるために、がん患者さんやがん患者団体の代表の方に企画に参加していただき、と同時にがん患者(読者)参加記事をできるだけ多くして、患者さんと共に考え編集していく考えです。患者さんにやさしい雑誌にしようと、できるだけ軽くて、環境にもやさしい用紙を用い、文字も大きくしました。「役立つ・読みやすい・わかりやすい・支え・癒し」をモットーに編集していきます。
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