がんサポート 発売日・バックナンバー

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1,222円
【婦人科がん/診療サポート特集】

1 手術と同時化学放射線療法のメリット・デメリット
子宮頸がんⅡ(II)B期の治療はどのように選択するか
監修●的田眞紀 がん研有明病院婦人科副医長
子宮頸がんⅡ(II)B期の治療法として、『子宮頸癌治療ガイドライン』(日本婦人科腫瘍学会編)では「手術」と「同時化学放射線療法」の2つの治療法が推奨されている。ではⅡ(II)B期と診断された場合、患者はどのように治療法を選択すればいいのか。治療を選択する際の考え方について、専門家に話をうかがった。

2 QOLを維持するための治療法の選択を
Ⅳ(IV)B期および再発子宮頸がんの化学療法とサイバーナイフ
監修●鈴木光明 新百合ヶ丘総合病院がんセンター長/自治医科大学名誉教授
監修●宮﨑紳一郎 新百合ヶ丘総合病院放射線治療科サイバーナイフ診療部長
子宮頸がんの罹患者数は20代後半から40代前半が多く、若年層の罹患者が増えているのが特徴だ。初発Ⅳ(IV)B期と再発子宮頸がんでは、症状の緩和やQOL(生活の質)の向上のため、化学療法が行われる場合が多い。また、がんの局所制御に効果を発揮する、サイバーナイフによる放射線治療も注目されている。

3 今ある治療薬の有効活用を促進
子宮体がんの治療は遺伝子診断による個別化治療へ
監修●織田克利 東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座生殖腫瘍学准教授
子宮がんといえば子宮頸がんをイメージする人々が多い。しかし、現在は年間罹患数では子宮体がんが子宮頸がんを上回っている。以前はスポットライトが当たらなかった進行・再発がんに対する化学療法の考え方も変わり、柔軟な治療薬の使用と新薬に向けての遺伝子レベルの研究が進んでいる。

4 腹腔内化学療法の臨床試験も進行中
進行卵巣がんの治療は 手術と化学療法を組み合わせて行う
監修●藤原恵一 埼玉医科大学国際医療センター婦人科腫瘍科教授
卵巣がんは早期発見が難しく、発見された時点で進行がんになっているケースが多い。その場合、治療は手術だけでなく、化学療法も組み合わせることが必要になる。手術と化学療法をどう組み合わせるのか? 化学療法の有効な投与法とは? 期待される腹腔内化学療法の効果は?――進行卵巣がんの最新治療について専門医に話をうかがった。

5 意外と知られていない公的支援制度
傷病手当金、障害年金を上手に活用しよう
監修●賢見卓也 NPO法人がんと暮らしを考える会理事長/看護師
監修●石田周平 NPO法人がんと暮らしを考える会理事/特定社会保険労務士
がんの治療には一般にお金がかかる。その上、今まで通り働けない場合もあり、生活面で助けが必要になれば、そこでもお金がかかる。マイナスを少しでもプラスに転じられないか? それはがん患者に共通の悩みだ。しかし、自分にあった制度に何があり、どう使えば役に立つのか知るのは至難の業だ。がん患者のお金の悩みに寄り添ってきた、NPO法人がんと暮らしを考える会の専門家のお2人に話を聞いた。

6 同じ悩みを持つ仲間や医療者がサポート
リンパ浮腫について知ろう、語ろう、「リンパカフェ」
監修●田端 聡 がん研有明病院リンパケアルーム看護師
乳がんや婦人科がん治療の後遺症の1つであるリンパ浮腫。残念ながら完治は難しいが、日常生活での注意やケアの仕方次第で良好な状態を保つことができる。がん研有明病院(東京都・江東区)では、リンパ浮腫に悩む患者が集まり、サバイバーや医療者も交えて意見交換を行う「リンパカフェ」が定期的に開催されている。どのように患者をサポートしているのだろうか。

7 高齢者機能評価ツールを用いて判断できる可能性
進行再発がんの薬物治療 進め方と止めどき
監修●長島文夫 杏林大学医学部内科学腫瘍内科准教授
昨今、抗がん薬や分子標的薬の開発が進み、たとえがんが進行再発した場合でも、治療選択肢は増えてきた。そうした中、新たな問題も生じてきている。それが「いつまで治療を続けるか」という点だ。ここでは、実際にがん患者の多くを占める高齢者を対象に、機能評価の指標を用いて治療を行う専門医に、薬物治療を進めていく上での考え方について話をうかがった。

【医療】

凄腕の医療人 あらゆる治療の可能性を考え 難治がんの膵がんに挑む
●神澤輝実 がん・感染症センター都立駒込病院副院長(消化器内科)
総合診療体制の基盤の上でがん医療に従事する、がん・感染症センター都立駒込病院。1975年(昭和50年)以来、膵がんの症例は通算で約3,000例。そんな中で胆膵がんの治療に日々励み、そこから得たヒントを糧に、自己免疫性膵炎とIgG4関連疾患の研究で世界的に脚光を浴びた副院長(消化器内科)の神澤輝実さん。医学誌『ランセット』の膵がん部門の総括者も務める凄腕の医療人に迫った。

がんのチーム医療・施設訪問 診断から退院後までを有機的連携で支える
●三井記念病院がん診療センター(東京都千代田区)
医師は目の前の患者の病気を治すことに集中する。一方で、ほかの治療選択はないか、患者の心のケアはどうなっているのか……といったことまではなかなか考えが回らない。そこで求められるのが、各科や様々な医療従事者との協力だ。三井記念病院では、昨年(2015年)6月にがん診療センターを発足させ、アクティブな連携を実現している。

医学会レポート ~AACR2016/2016ASCOクオリティケアシンポジウムから~
編集●「がんサポート」編集部
2016年3月に米ニューオリンズで開かれた米国癌学会(AACR2016)と、2月にフェニックスで開かれた2016年米国臨床腫瘍学会(ASCO)クオリティケアシンポジウムから話題を拾った。

臨床試験ガイド 2 服薬規定などは厳しい 医師やCRCとの連係が大切
監修●宋 菜緒子 がん研有明病院臨床試験・研究センター臨床研究コーディネーター主任・看護師
先月号では臨床試験や治験とは何かという基本を振り返った後に、どのような人が選ばれるのかということを見てきた。今号では、臨床試験が終わるまでを解説する。

患者のためのがんの薬事典 生存期間を延ばす新薬が登場 前立腺がん骨転移の治療薬
監修●湯浅 健 がん研有明病院泌尿器科がん分子標的治療・化学療法担当副部長
前立腺がんは骨転移を起こしやすく、ホルモン療法が効かなくなった患者さんの8~9割は骨転移を起こしています。その治療に、従来はランマーク、ゾメタ、メタストロンといった薬剤が使われてきましたが、今年(2016年)3月、新しい薬剤が承認されました。それがゾーフィゴです。これまでの3剤と大きく異なるのは、痛みや骨折といった骨関連事象(SRE)を抑えるだけでなく、生存期間を延ばす効果が証明されている点です。

【対談】

鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談 遺伝子を検査することで 白血病の治療成績は向上します
●小島勢二さん(名古屋大学名誉教授)/●リカ・アルカザイルさん(イラク小児科医師)・前編
鎌田さんが代表を務めるJIM-NET(NPO 日本イラク医療支援ネットワーク)がイラクの白血病の子どもたちの支援を行っているのは周知の事実だが、信州大学で遺伝子検査を学んだイラクの医師、リカ・アルカザイルさんと、「名古屋小児がん基金」を5月に発足させた名古屋大学名誉教授の小島勢二さんに、東京・高田馬場のオフィスで、白血病治療から医療支援まで、大いに語り合ってもらった。

【生き方】

私の生きる道 30代でがんを経験「何か意味があると信じたい」
●皮膚がんの一種、有棘細胞がんを経験したアカペラグループ「INSPi」の奥村伸二さん(36歳)
アカペラグループ「INSPi」のメンバー奥村伸二さんは、昨年(2015年)、皮膚がんの一種、有棘細胞がんを患った。「がんを経験したことで、自分の中で生き方のスタンスが確立しました」。奥村さんはそう淡々と話す。30代という若さで患ったがん。病気というものを奥村さんはどう捉えたのか、当時の心境、現在の思いを伺った。

がん闘病記 4 「思えば遠くに来たもんだ」 2
●泉 幸夫さん
悪性リンパ腫発症後1年、今度は大腸がんを発症した男の人生の仕舞い方

【患者サポート】

がん相談 甲状腺がん/子宮頸がん/乳がん
甲状腺がん●回答者:杉谷 巌・日本医科大学付属病院内分泌外科部長
子宮頸がん●回答者:織田克利・東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座生殖腫瘍学准教授
乳がん●回答者:上野貴史・板橋中央病院外科医師

症状別おすすめ・レシピ (13)下痢・便秘の方の食事
レシピ・料理製作●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室 管理栄養士
快適な便通を保つには適量の食物繊維と水分の摂取、腸の働きを良好に保つことがポイントです。

患者会レポート 「乳房再建手術がわかる」セミナーを開催
文●片野佐保 NPO法人E-BeC
「乳房再建手術」の正しい理解の普及と乳がん患者さんのQOL向上をめざして活動するNPO法人エンパワリング ブレストキャンサー(E-BeC)は、3月27日、東京銀座の時事通信ホールで第2回特別セミナーを開催しました。

がん哲学外来 今月の言葉「病床にも知恵あり」
●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授
会いたい友人が訪ねてくれない(K・T さん、男性 63歳)
1,222円
【最新大腸がん特集】

1 大腸がんの基礎知識 大腸がんはどんな病気?
大腸がんは早期発見の場合 9割が治る!
編集●「がんサポート」編集部
国立がん研究センターが昨年(2015年)4月に発表した2015年のがん患者数の推計で、これまで3位だった大腸がんが、胃がん、肺がんを抜いてトップになった。増加傾向にある大腸がんについて、基礎から治療までをまとめた。

2 人工肛門のほうが良いケースも。手術選択は慎重に
究極の肛門温存術「ISR」 治療成績とその適応は?
監修●船橋公彦 東邦大学医療センター大森病院一般・消化器外科教授
たとえ肛門に近い部位にがんができたとしても、肛門を温存することができる手術法がある。それが、肛門括約筋の一部を切除する「内肛門括約筋切除術」、いわゆるISRと呼ばれる手術だ。「究極の肛門温存術」とも言われるが、どんな人にも向いているわけではない。その適応は?治療成績は?専門家に話を聞いた。

3 基本的には治療ガイドラインに沿って治療
高齢者の大腸がん治療では 併存疾患対策を十分に
監修●中野大輔 がん・感染症センター都立駒込病院大腸外科
大腸がんの罹患率は50歳代から増加し、高齢になるほど高くなる。近年、高齢で大腸がんになる患者の数は増え続けている。では、高齢者が大腸がんになった場合、治療法は若年者と違うのだろうか。治療を受ける際、気をつけるべきポイントは何だろうか。高齢者における大腸がん治療上の注意点を聞いた。

4 側方郭清を省略しても治療成績は同じ
局所再発を抑える 下部直腸がんの術前化学放射線療法
監修●川合一茂 東京大学医学部附属病院腫瘍外科講師
局所進行した下部直腸がんでは、手術時に直腸の左右にある側方リンパ節を切除する側方郭清が標準治療となっている。ただ、直腸周辺には、排尿や性機能などに関わる大事な神経が走っているため、側方郭清を行う際に傷つけてしまう可能性がゼロではない。そうした中、注目されているのが側方郭清を省略して術前に化学放射線療法を行う治療法だ。

5 ステージⅢ(III)と再発リスクの高いステージⅡ(II)が対象に
大腸がん術後補助化学療法は、再発リスクを考慮して行う
監修●鶴田雅士 慶應義塾大学医学部外科学教室(一般・消化器)助教
大腸がんは手術でがんを取り切ることができれば、他のがん種よりも治癒率が高い。しかし、進行がんでは、CTやPETでも捉えられない微小ながんが残されている可能性が高く、これが再発のもとになる。そのリスクを下げるのが、手術後に抗がん薬を投与する術後補助化学療法だ。効果と副作用、ライフスタイルなどを踏まえ、患者にとってベストな治療法を選びたいものだ。

6 ストーマの専門家に相談を
化学療法中のストーマ対策は ストーマ周囲のスキンケアから
監修●工藤礼子 国立がん研究センター中央病院看護部皮膚・排泄ケア認定看護師
大腸がん治療では、術前、あるいは術後に抗がん薬や分子標的薬による化学療法を実施することが一般的な治療法として普及してきている。ただし、化学療法を行うと、皮膚障害、下痢、末梢神経障害など多様な副作用が現れることも少なくなく、ストーマ保有者には大きな問題となる。一方、抗がん薬治療を受けた患者の排泄物による曝露対策も、患者とその家族にとって重要な問題である。

【医療】

凄腕の医療人 がん治療の最前線 温かい眼差しで患者を見守る
●中山優子 神奈川県立がんセンター放射線治療部部長
2015年12月、日本で5番目、がん専門病院としては初の重粒子線治療施設『i-ROCK(ion-beam Radiation Oncology Center in Kanagawa)』を開設し、他の放射線治療装置とともに総合的にきめ細かい放射線治療を目指す神奈川県立がんセンター。その放射線治療の責任者として日々患者のための診療に励む、放射線治療部部長の中山優子さんに話を聞いた。

がんのチーム医療・施設訪問 新設のブレストセンター チームを率いるのは3人の医師
●川口工業総合病院ブレストセンター(埼玉県川口市)
荒川を渡れば東京という埼玉県川口市。かつては映画『キューポラのある町』で描かれたような鋳物生産の町だったが、今は高層マンションが林立する住宅街となっている。地域医療で重要な役割を担うのは今も昔も川口工業総合病院だ。同院では機能を高めるため、2015年12月に乳がんを専門に扱うブレストセンターを立ち上げた。

医学会レポート ~2016年米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO GI2016)から~
編集●「がんサポート」編集部
1月下旬に米サンフランシスコで開かれた2016年米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO GI2016)から、プレスリリースをもとに話題を拾った。

臨床試験ガイド 1 治験を受けられるのは〝代表選手〟 意義、メリット、デメリットを理解して参加
監修●宋 菜緒子 がん研有明病院臨床試験・研究センター臨床研究コーディネーター主任・看護師
臨床試験や治験というと、言葉は知っていても、どのように行われているのかよく知らない、自分とは縁遠いものだ、と思っている患者や家族も多い。近年は免疫チェックポイント阻害薬に代表される新薬の研究が相次いでおり、医療機関に持ち込まれる治験の数も増えている。2回にわたり、臨床試験、とくに新薬を対象とした治験について分かりやすく解説する。

患者のためのがんの薬事典 奏効率の高い第1選択薬に、第2、第3選択薬が続く GIST(消化管間質腫瘍)の治療薬
監修●尾阪将人 がん研有明病院消化器センター肝胆膵内科副医長
GIST(消化管間質腫瘍)の治療は、手術による切除が第1選択です。発見されにくい腫瘍であるため、切除できない状態で治療を開始する場合も少なくありませんが、2003年に承認された治療薬グリベックは奏効率が8割近く、万一耐性ができても、第2、第3の選択薬が2剤あり、GIST患者の生存期間を延ばしています。

【対談】

鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談 「糖質」の摂取が、がんに一番悪いと思います
●福田一典さん(銀座東京クリニック院長)・後編
がん細胞へのブドウ糖の補給を絶つ「ケトン食」で、がん医療に新たなアプローチをしている銀座東京クリニック院長の福田一典さん。今月号では、がん患者さんに適したケトン食の具体例や、ケトン食はがん予防にも効果があるらしいという興味深い話も伺った。

【生き方】

私の生きる道 がんになって初めて、人生の区切りを実感しました
●議員中に大腸がんを経験した、医師であり元厚生労働大臣の坂口 力さん(82歳)
坂口力さんが大腸の回盲部にがんが見つかったのは、厚生労働大臣を退任した5年後の2009年のことだ。手術をし、その後化学療法を行うかどうか、主治医は自らも医師である坂口さんに、その判断を委ねた。「それでは、私は化学療法を行いません」。坂口さんは躊躇することなく、そう答えたという。

がん闘病記 4 「思えば遠くに来たもんだ」 1
●泉 幸夫さん
悪性リンパ腫発症後1年、今度は大腸がんを発症した男の人生の仕舞い方

【患者サポート】

がん相談 乳がん放射線治療/子宮体がん/胃がん
乳がん放射線治療●回答者:関口建次・苑田会放射線クリニック副院長
子宮体がん●回答者:織田克利・東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座生殖腫瘍学准教授
胃がん●回答者:山口俊晴・がん研有明病院長

症状別おすすめ・レシピ (12)食欲不振の方の食事
レシピ・料理製作●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室 管理栄養士
食欲不振の原因は、消化吸収機能の低下やがん治療の副作用症状など様々です。いつでもとれる間食を用意しておくと手軽に栄養補給できます。

がん哲学外来 今月の言葉「偉大なものの源流は 驚くほど小さい」
●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授
がん患者さんの力になりたい(Y・T さん、会社役員 53歳)
1,222円
【統合医療特集】

1 玉石混交の情報に振り回されないために
統合医療の膨大な情報を見極め 自分の価値観で行うかを判断
監修●大野 智 大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄附講座准教授
統合医療に関心を持つがんの患者さんは多い。まず大切なのは、膨大な情報の中から信頼できるものをふるい分けることだ。次に、その情報が自分に当てはまるかどうかを考え、最終的に自分の価値観に基づいて、行うかどうかを判断する。統合医療とうまくつき合うには、情報をうまく使いこなす能力が必要となる。

2 肺がんⅣ(IV)期の介入研究で期待以上の治療成績が得られた
進行再発がんで ケトン食療法が有効か⁉
監修●萩原圭祐 大阪大学大学院医学系研究科漢方医学寄附講座准教授
がんになると、それまでの食事を見直す人は多い。ただ、何を食べれば、再発を防げるか、また進行再発がんに対してどういった食事がいいのか、現時点では確固たるエビデンス(科学的根拠)は存在しないのが現状のようだ。そうした中、新たな可能性として注目されているのがケトン食。進行再発がんに著しく有効だったという研究結果が明らかとなった。化学療法などと併用した新たな治療法として注目されている。

3 『がん補完代替医療ガイドライン』にヨガ項目が加わる予定
ヨガが、がん患者の副作用軽減に効果あり
監修●岡 孝和 九州大学大学院医学研究院心身医学准教授
がん治療を行っていく過程で、倦怠感や疲労感を訴える人は多い。また、精神的にも不安定となり、抑うつ状態に陥っている人も中にはいるだろう。そういった人に対して有効ではないかと、今注目されているのがヨガだ。エビデンス(科学的根拠)が徐々に確立されつつあり、2016年度には日本緩和医療学会の『がん補完代替医療ガイドライン』に新たな項目として加えられる予定だという。

4 副作用の軽減効果を認める臨床試験結果も
相互作用を見極めるため サプリメントは1種類を慎重に
監修●伊藤壽記 大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄附講座特任教授/千里金蘭大学看護学部教授
統合医療の中でも、がん患者に一番多く用いられているのが、健康食品・サプリメントだという。抗がん薬と同じように体内で代謝されるため、がん治療中のサプリメントの併用には注意点も多い中、期待できる効果が臨床試験によって明らかになっているものもある。最新の知見を専門家に聞いた。

5 がん患者に鍼灸治療で緩和ケア!
西洋医学でコントロールしきれない つらい症状を緩和する鍼灸治療
監修●里見絵理子 国立がん研究センター中央病院緩和医療科科長
監修●佐々木久子 国立がん研究センター中央病院緩和医療科鍼灸スタッフ
鍼灸は、専用の鍼や灸を使って、体表にあるツボを刺激する治療法。がん治療中の術後の痛みや、終末期の倦怠感など、西洋医学だけでは取り除くことができない症状を緩和する効果があると言われている。国立がん研究センター中央病院の緩和医療科には鍼灸専用の治療室があり、艾の心地よい香りの中、「刺さない鍼」での治療が行われている。

6 家族や患者自身がケアできるのもメリット
香りで不快な症状を緩和し、心身を癒すアロマトリートメント
監修●長谷川記子 薬剤師/アロマテラピスト
植物の芳香成分を利用して、不快な症状を軽減するアロマテラピー。現在、アロマテラピー介入後のがん患者の症状を評価した臨床研究に基づき、様々なエビデンス(科学的根拠)が集積されつつある。がん患者にはどのような効果があるのだろう。また、精油(エッセンシャルオイル)はどう選び、どのようにトリートメント(マッサージ)を行えばよいのだろうか。

【医療】

凄腕の医療人 「長く生きる」から「治癒」へ トータルテラピーで骨髄腫に挑む
●鈴木憲史 日本赤十字社医療センター副院長・血液内科部長
多発性骨髄腫(MM)は治療法の開発が遅れて1990年代までは余命が短いがんの代名詞でもあったが、相次ぐ新薬の開発や自家末梢造血幹細胞移植により、患者を取り巻く状況は格段に良くなった。この領域で39年間にわたって治療を続けてきた日本赤十字社医療センター副院長・血液内科部長の鈴木憲史さんは、さらに「延命」から「治癒」に向けた取り組みを続けている。

がんのチーム医療・施設訪問 自由な雰囲気のカンファレンスで討議 多くの専門家で1人の患者を診る
●順天堂大学医学部附属順天堂医院がん治療センター(東京都文京区)
がん治療で大切なのは、各科の医師による治療だ。一方で、各科だけでは対応に迷う症例や科を跨いだ共通の問題もある。それを解決するのがチーム医療。専門家が参加するカンファレンスで知恵を集め、治療に生かす。それは患者さんにも届き、支えられているという安心感につながる。順天堂大学医学部附属順天堂医院がん治療センターの取り組みを追った。

医学会レポート ~2016年米国臨床腫瘍学会泌尿生殖器がんシンポジウム(ASCO GU2016)から~
編集●「がんサポート」編集部
2016年米国臨床腫瘍学会泌尿生殖器がんシンポジウム(ASCO GU2016)が1月上旬に米サンフランシスコで開かれた。開催前にメディア対象に行われたプレスキャスト(presscast)から話題を拾った。

がん看護専門看護師山田みつぎの 副作用はこうして乗り切ろう! 12 むくみ
監修●山田みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長
がん治療についてまわる「むくみ」。タキソテールやアリムタなどの抗がん薬で頻度の高い副作用ですが、いかに早くその徴候に気づき、治療を開始するかがカギになります。日常生活に注意しながら、予防することが大切です。

患者のためのがんの薬事典 再発・難治例にアーゼラ、マブキャンパスが保険適用に 慢性リンパ性白血病の治療薬
監修●塚崎邦弘 国立がん研究センター東病院血液腫瘍科科長
高齢者に多く、進行が緩やかで、早期発見されることも多い慢性リンパ性白血病(CLL)。早期は経過観察が標準治療ですが、病気が「活動性徴候」を示したら治療を開始します。このとき、「通常量多剤併用療法可能」と判断された場合は、FCR療法が標準治療になっています。また、再発・難治例に対しては、2013年にアーゼラが、2014年にはマブキャンパスが、保険で使えるようになりました。

【対談】

鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談 「ケトン食」はがん患者への福音になるか?
●福田一典さん(銀座東京クリニック院長)
来院する患者さんの99%ががん患者さんだという銀座東京クリニック院長の福田一典さんは、東洋医学的な立場からがん医療にアプローチしている医師だが、3年前に出した『ブドウ糖を絶てばがん細胞は死滅する!』が根強い支持を受けている。いま改めて注目を集める「ケトン食」とは何か2号にわたり鎌田さんが福田さんに聞いた。

【生き方】

私の生きる道 がんになったことで 幸福度がアップしました
●濾胞性リンパ腫と闘う元プロレスラー・垣原賢人さん(43歳)
一昨年(2014年)の12月、元プロレスラーの垣原賢人さんは、悪性リンパ腫の一種である濾胞性リンパ腫(FL)であることが発覚した。病期は最終ステージのⅣ(IV)期。それでも彼は穏やかな表情で話す。「がんになったことで、自分の中での幸福度が上がりました」と――。

がん闘病記 3 「再発乳がんと付き合っていくしかない」 6
●野田澤郁子さん(主婦)
90歳近い認知症の両親を介護しながら再発乳がん闘病生活全記録

【患者サポート】

がん相談 悪性リンパ腫/頭頸部がん/大腸がん
悪性リンパ腫●回答者:岡元るみ子・千葉西総合病院外来化学療法センター長/腫瘍内科部長
頭頸部がん●回答者:岸本誠司・亀田総合病院頭頸部外科部長
大腸がん●回答者:大矢雅敏・獨協医科大学越谷病院外科教授

症状別おすすめ・レシピ (11)味覚変化がある方の食事
レシピ・料理製作●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室 管理栄養士
がん治療中は味を強く感じたり、感じにくくなったり、本来の味と異なって感じたりすることがあります。まず「比較的食べられるもの」の味や特徴を知りましょう。

患者会レポート BCネットワークでは初めて、患者さんの経験談をメインに開催
文●山本眞基子 NPO法人BCネットワーク代表
日本と米国に在住している日本人女性に、乳がんについての医療情報と早期発見への啓蒙活動を目的に活動しているNPO法人BCネットワーク。今回は東京の開場で、乳がん経験者の交流会が開かれました。その様子をレポートしてもらいました。

がん哲学外来 今月の言葉「小さなきっかけから 人生が拓けることもある」
●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授
妻の他界後、世捨て人になってしまった(K・T さん、会社員 58歳)
1,222円
【肺がん最新特集】

1 肺がんの基礎知識 自分の肺がんのタイプを理解する
肺がん丸わかり基礎
編集●「がんサポート」編集部
肺がんは大腸がんに次いで2番目に罹患数の多いがん。そして死亡数では全てのがん種の中で最も多い。呼吸器ということで他の臓器にはない独特な症状があり、それに応じた治療、管理も必要となる。肺がんの特徴、診断、治療について基本的な情報をまとめた。

2 T790M変異陽性例に効果的な新薬が登場
非小細胞肺がん 耐性後は再生検を行い適切なEGFR-TKIで治療する
監修●木浦勝行 岡山大学病院呼吸器・アレルギー内科教授
EGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの治療を大きく進展させた「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)」。しかし、使い続けると1年ほどで耐性が生じるのが課題となっていた。最近の治療戦略について、耐性に効果を発揮する新しいタイプのEGFR-TKIの登場を含めて紹介する。

3 超低侵襲な肺がん手術を目指して
過不足のない肺切除を実現!注目の「VAL-MAP」法
監修●佐藤雅昭 東京大学医学部附属病院呼吸器外科講師
肺がん手術の標準術式は肺葉切除だが、高齢患者が増えたことなどから、早期肺がんに対する縮小手術が増加すると考えられている。しかし縮小手術は、切除範囲を把握するのが難しく、難易度が高い。その問題点をクリアにするのが「気管支鏡下バーチャル肺マッピング(VAL-MAP)法」だ。国内外から、大きな注目を集めている。

4 診療科の枠を越えた対応が必要に
非小細胞肺がんⅢ(III)期は治療選択が多く 正確な診断が重要
監修●中島崇裕 千葉大学大学院医学研究院呼吸器病態外科学助教
非小細胞肺がんのⅢ(III)期と言ってもその範囲は広く、治療の選択肢は多岐にわたる。放射線療法と化学療法を組み合わせた集学的治療がいいのか、そこに手術を加えたほうがいいのか、個々の患者の状況によって、判断が必要になってくるという。そしてその前提として、正確な診断・評価が重要になってくることは言うまでもない。Ⅲ(III)期の診断、治療はどのように進めていくべきか、専門家に聞いた。

5 免疫チェックポイント阻害薬 併用療法の臨床試験も進行中
期待が高まる免疫療法 いよいよオプジーボが承認!
監修●神田慎太郎 国立がん研究センター中央病院呼吸器内科
新しいタイプのがん治療薬である、免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボに対し、2015年12月、肺がんへの適応拡大が承認された。待ち望まれた薬剤だけに期待が高まるが、具体的にはどんな症例に使われ、どんな効果が見込めるのだろうか。また、副作用はどの程度あるのだろうか。その使われ方と今後の見通しについて話を伺った。

6 新薬の臨床試験で QOL改善効果を確認
初となる治療薬登場の可能性 肺がんに対するがん悪液質対策
監修●横山琢磨 杏林大学医学部付属病院呼吸器内科助教
肺がんの進行期でしばしば見られることの多いがん悪液質。現在のところ有効な治療法はなく、この病態になると、食事が食べられなくなり、どんどん体重が減少し、それに伴い倦怠感も出現してきて、QOL(生活の質)が著しく低下してしまうのが問題になっていた。そうした中、新たな薬の開発が進んでいる。臨床試験においてQOL改善効果も認められたという。

【医療】

凄腕の医療人 胃がん腹腔鏡下手術のパイオニア 日々難症例にチャレンジを続ける
●福永 哲 順天堂大学医学部消化器・低侵襲外科教授/順天堂大学附属浦安病院外科教授
胃や食道・大腸など消化器に対する腹腔鏡下手術を、黎明期である1994年から手掛けてきた順天堂大学医学部附属浦安病院外科教授の福永哲さん。がんに対する通算腹腔鏡下手術症例数は約1,500例にものぼる。数多くの患者を救い、数多くの消化器外科医に腹腔鏡下手術の手技を伝え続けてきた。現在も全国から福永さんの手術を見学に来る医師は引きも切らない。

がんのチーム医療・施設訪問 カンファレンスで情報共有 看護師がチームワークのカギ
●日本赤十字社医療センター血液内科(東京都渋谷区)
白血病、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫……。血液がんと聞くと昔は〝不治の病〟のような捉えられ方もあったが、今は治療法が進化して治療成績はぐんと上がっている。その患者さんたちの1日も早い社会復帰をサポートしているのが、血液内科チームだ。頻繁なカンファレンス(会議)で情報交換に努めている。

医学会レポート ~サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2015)から~
編集●「がんサポート」編集部
昨年(2015年)12月、米テキサス州サンアントニオで開かれたサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2015)からトピックスを取り上げた。いずれも学会期間中にプレスカンファレンスで取り上げられた研究報告をダイジェスト化したものである。

がん看護専門看護師山田みつぎの 副作用はこうして乗り切ろう! 11 性機能への影響
監修●山田みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長
1度、性機能にダメージが生じると、回復に時間がかかったり、場合によっては永久的に元に戻らないこともあります。だからこそ、治療法を決めるとき医師から十分に話を聞き、パートナーとよく話し合っておくことが重要です。体の変化や心の状態をパートナーに伝え、一緒に考えていくことが大切です。お互いにいたわりあう気持ちが、何よりの薬ですから……。

患者のためのがんの薬事典 3年ぶりに新薬が登場 悪性軟部腫瘍(軟部肉腫)の治療薬
監修●松本誠一 がん研有明病院副院長/整形外科部長
悪性軟部腫瘍(軟部肉腫)は、悪性腫瘍全体の1%、国内での患者数は5,000~6,000人ほどの希少がんです。これまで、アドリアシンとイホマイドが治療の中心でしたが、ここ数年で新薬が保険で認められるようになりました。悪性軟部腫瘍の治療における、新薬の位置づけ、従来の薬剤との違いについて、さらに、全身の様々な部位に生じるという、肉腫に特徴的な病態の中で、新薬を安全に効果的に使用するためのポイントを紹介します。

【対談】

鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談 こんなに望んでくれていたら、生きなきゃいけない
●阿南里恵さん(日本がん・生殖医療学会 患者ネットワーク担当)
ベンチャーのマンション販売会社で颯爽と働き始めた23歳のOLが、ある日、突然、子宮頸がんを宣告され、術前化学療法のあと、子宮全摘手術を受けることに――。現在、がん患者さんへの啓蒙活動をボランティアで行っている阿南里恵さん。術後11年、鎌田さんと闘病生活の苦悩について語り合ってもらった。

【生き方】

私の生きる道 10㎝大の腫瘍、人工肛門……俳優業は、もうできないと思いました
●希少がんGISTを乗り越え、見事復帰した俳優・相島一之さん(54歳)
テレビドラマで一癖も二癖もある役どころを演じることの多い俳優の相島一之さんは、2008年に希少がんの1つGIST(消化管間質腫瘍)を患っていることが判明した。見つかったときには腫瘍の大きさは10㎝ほどと、野球ボールの大きさまでになっていたという。

がん闘病記 3 「再発乳がんと付き合っていくしかない」 5
●野田澤郁子さん(主婦)
90歳近い認知症の両親を介護しながら再発乳がん闘病生活全記録

【患者サポート】

がん相談 肝細胞がん/舌がん/肺がん&皮膚障害
肝細胞がん●回答者:小池幸宏・関東中央病院消化器内科部長
舌がん●回答者:岸本誠司・亀田総合病院頭頸部外科部長
肺がん&皮膚障害●回答者:久保田 馨・日本医科大学付属病院がん診療センター長

症状別おすすめ・レシピ (10)口内炎・食道炎のある方に
レシピ・料理製作●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室 管理栄養士
口内炎や食道炎のある方は、薄味で軟らかく調理することがポイントです。スープやあんかけなど、水分の多いものをとるようにしましょう。

患者会レポート 患者さんや家族の気持ちが、少しでも楽になるように「まる」と名付ける
文●相田なおこ がん患者・家族会「まるネットワーク」代表
主婦で、仕事をしながら子育てしている相田なおこさんは、がんと告知されてから、怒濤の日々が始まりました。いまは健康を取り戻した相田さん。自分のがん体験から、楽しいことは免疫力を高めると実感し、患者さんやその家族を楽しくサポートしたいと、患者会を作りました。

がん哲学外来 今月の言葉「明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい」
●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授
自分よりも夫が心配で仕方ない(F・T さん、主婦 53歳)
1,222円
【血液がん/がんの再発・転移特集】

1 新薬や投薬スケジュールの変更などの新たな動き
病型ごとに治療の開発が進むB細胞性リンパ腫
監修●丸山 大 国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科病棟医長
悪性リンパ腫は種類が多く、治療選択もそれぞれで異なる。近年は新薬の開発が進むとともに、薬剤の組み合わせ、さらに投薬スケジュールの工夫など様々な取り組みが行われている。今回はB細胞性リンパ腫の中のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)の最新治療についてリポートする。

2 治療の選択肢が広がり、生存期間の延長も
新薬が次々に登場!多発性骨髄腫は共存の時代に
監修●今井陽一 東京女子医科大学医学部血液内科学講師
多発性骨髄腫(MM)は高齢者に多く、40歳未満では稀な病気。国内では年間に10万人あたり2、3人が罹患するといわれている。サレド、ベルケイド、レブラミドなどの治療薬で治療法は大きく進み、さらなる新薬が相次いで登場。治療の選択肢が広がり、病気と共存する時代になりつつある。

3 身体機能の改善の他、QOL、倦怠感の改善も
造血幹細胞移植患者のリハビリは「継続する」ことが大切
監修●石川愛子 慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室助教
造血幹細胞移植とは、患者のがん細胞を根絶するため、大量の抗がん薬と放射線治療を組み合わせた非常に強力な治療法となるが、その一方で問題となるのが移植後の身体機能の低下だ。「移植は成功したが、寝たきりになってしまった」では、何のための治療かわからない。そこで今、重要性が指摘されているのが、造血幹細胞移植患者に対するリハビリテーションだ。

4 グリベック投薬中止試験の結果報告
深い寛解後に70%が投薬中止可能〜慢性骨髄性白血病の治療〜
監修●高橋直人 秋田大学医学部血液・腎臓・膠原病内科学講座教授
慢性骨髄性白血病(CML)は、かつては数年で急性に転化してしまい、予後が良くないという厳しい病気だった。しかし、21世紀になって分子標的薬グリベックが救世主のごとく現れ、生存率をぐんと上げた。一方で、グリベックには服用し続けなければいけないという難点もある。そこに切り込んだのが投薬中止療法だ。日本で行われた臨床試験の画期的な結果が報告された。

5 治療薬、がん種、既往の有無で対策も変わる
血栓症リスクを知り、血液がんの治療中は症状に早く気づき受診を
監修●岡元るみ子 千葉西総合病院腫瘍内科部長
協力●白幡拓也 千葉西総合病院薬剤部
血液がんの治療薬には、血栓症リスクを高める治療薬があり、また、高齢者に多い脳血管障害対策の抗凝固薬のワルファリンとの相互増強作用に配慮が必要なものもある。治療に際し、どのような対策が必要なのだろうか。そもそも、がんと診断され、治療を行うこと自体で血栓症のリスクが高くなるという、その基本事項から解説する。

6 医学会レポート
米国血液がん学会(ASH2015)から
編集●「がんサポート」編集部
昨年(2015年)12月、米オーランドで開かれた米国血液がん学会(ASH2015)からトピックスを取り上げた。いずれも学会期間中にプレスカンファレンスで取り上げられた研究報告をダイジェスト化したものである。

7 再発・転移の基礎知識
がん種と転移部位(臓器)/転移の機序/他臓器・全身への転移の仕方/転移の診断・治療
編集●「がんサポート」編集部
がん患者の約7割でみられる「再発・転移」。この再発・転移が最終的な予後を決定すると言われる。「再発・転移」の基礎知識について、各種の資料をもとにまとめた。

8 日常活動動作や生活の質を維持するために
「骨を守る」対策も並行して行う 乳がん骨転移治療
監修●公平 誠 国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科医員
乳がんは骨に転移しやすい。痛みや骨折、脊髄の麻痺などを起こすことがあり、そうなると日常生活に悪影響を及ぼすことになってしまう。また、加齢によって骨が脆くなった上に骨転移が重なれば、より症状が悪化することにもなりかねず、十分な骨転移対策が必須となっている。

9 肝切除においては肝臓の機能、容積の確保が重要
いかに手術に持ち込めるかがカギ 大腸がんの肝転移治療戦略
監修●吉留博之 さいたま赤十字病院外科部長
大腸がんは肝臓に転移しやすい。ただ転移したとしても、決して諦める必要はない時代になってきた。手術で切除できれば、長期生存が可能になってきており、例え手術ができないと判断されても、手術のアプローチ法を変えたり、近年登場した新規薬剤を組み合わせることで、手術に持ち込めるケースも増えてきている。

10 分子標的薬や放射線療法の進化で治療が大きく進歩
分子標的薬、サイバーナイフなど 肺がん脳転移しても治療法はある
監修●岡本浩明 横浜市立市民病院呼吸器内科部長兼腫瘍内科部長(がんセンター長)
肺がんは脳転移しやすい。すべての脳転移のうち、半分以上を肺がんが占める。以前は予後がとても厳しかったが、近年は分子標的薬の登場や放射線療法の進化で治療できるようになった。肺がんの脳転移にどう対処するのか、最新の学会報告を交えてレポートする。

【医療】

凄腕の医療人 病院全体に目を向け、様々な改革に取り組む
●中山治彦 神奈川県立がんセンター副院長/診療施設管理部長(呼吸器外科医)
肺がんをメインに呼吸器腫瘍の手術と日々立ち向かいながら、呼吸器チームのリーダーとして若手医師の教育にも注力するのが神奈川県立がんセンター副院長・診療施設管理部長の中山治彦さんだ。さらに重粒子線、免疫療法と多彩な治療法に挑む、がん専門病院の幹部として、病院の未来に向けて、日夜尽力する中山さんに手術、そしてがん医療に対するポリシーについて聞いた。

寄稿・学会レポート ~第3回 進行・再発乳がん国際コンセンサス会議に参加して~
●三輪教子 西脇市立西脇病院乳腺外科部長/昭和大学病院乳腺外科
筆者はmBC(進行・再発乳がん)診療医として、また一患者として、初回からすべての「進行・再発乳がん国際コンセンサス(ABC)会議」に参加してきました。ここでは、ABC会議の紹介とともに、Patient Advocacy Program による調査結果を交えて、mBC(進行・再発乳がん)をめぐる状況と展望について報告します。

がん看護専門看護師山田みつぎの 副作用はこうして乗り切ろう! 10 抗がん薬治療中の倦怠感
監修●山田みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長
抗がん薬による倦怠感は、単に抗がん薬の副作用だけではなく、食欲低下によるエネルギー不足や貧血によるもの、精神的なものなど様々な原因が重なって起こる場合が多いです。すぐに症状をなくすことは難しいかもしれませんが、体力の消耗を予防しながら、うまく気分転換することが実は大切なのです。

患者のためのがんの薬事典 グレード4の治療にアバスチンの併用も登場 悪性神経膠腫の治療薬
監修●田部井勇助 日本赤十字社医療センター脳神経外科
神経膠腫の中でも悪性度の高いグレード3と4を、悪性神経膠腫と呼びます。中でも治療が難しいのは、グレード4の膠芽腫です。悪性神経膠腫の初発治療は、手術に、放射線治療とテモダールによる治療を組み合わせます。グレード4に対しては、日本ではアバスチンを併用することもできます。アバスチンを加えることで、再発までの期間が長くなります。

【対談】

鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談 人間は死ぬ瞬間まで生きています
●柳 美里さん(作家)
昨年10月下旬、福島県南相馬市で「海と山の結婚式~草花をまとって自然を祝福しよう~」というイベントが開かれた。芥川賞作家の柳美里さんと、本欄のホスト・鎌田さんが、同イベントに参加すると聞き、普段から交流があるお2人に、お互いの境遇から、柳さんの今は亡き彼とのがん闘病の顛末など、しみじみと語り合ってもらった。

【生き方】

私の生きる道 早期の大腸がんのはずが……術後の合併症にトコトン苦しみました
●がん手術、腸閉塞、人工肛門造設。1年間に4度手術を経験した落語家・三遊亭歌笑さん(76歳)
古典落語の名匠・三遊亭歌笑さんは術後1週間で退院できると言われて、早期大腸がんの手術を受けた。ところが退院前に激しい腹痛に襲われ、そこから全てが悪いほうに転がり出した。結局、歌笑さんは11カ月の間に、手術を4回、入院を3回経験。人工肛門とのつらい闘いも強いられることになってしまった。

がん闘病記 3 「再発乳がんと付き合っていくしかない」 4
●野田澤郁子さん(主婦)
90歳近い認知症の両親を介護しながら再発乳がん闘病生活全記録

【患者サポート】

がん相談 子どものケア/歯科治療/疼痛管理
子どものケア●回答者:大沢かおり・東京共済病院がん相談支援センター医療ソーシャルワーカー
歯科治療●回答者:上野尚雄・国立がん研究センター中央病院歯科医長
疼痛管理●回答者:服部政治・がん研有明病院がん疼痛治療科部長

症状別おすすめ・レシピ (9)貧血の方の食事
レシピ・料理製作●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室 管理栄養士
貧血ぎみの方は鉄分の多い食品をとりましょう。あさり、ひじき、ほうれん草などは鉄分が豊富。ビタミンCの多い野菜と一緒にとると鉄分の吸収に効果的です。

わたしの町の在宅クリニック 21 泌尿器科を専門とし、がんの症状緩和にもしっかりと対応
●目黒クリニック
大阪市東成区の商業ビル内クリニックフロアにある目黒クリニック。大阪府立成人病センターなど主要な医療施設に近く、病診連携を図るのにも好都合である。院長の目黒則男さんは「患者さんご自身に思いがあって、自分の生き方がある。それを継続的に見ることができ、最期の時間に付き合う在宅緩和ケアは、患者さんから様々なことを学びます」と語る。

がん哲学外来 今月の言葉「見上げれば、必ずどこかに青空が」
●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授
家族に見捨てられ、大腸がんを患った(K・T さん、会社員 60歳)
1,222円
【前立腺がん/がんの食事療法特集】

1 前立腺がんの基礎知識
前立腺がんの特徴/前立腺とは/検査法/病期分類/PSAとは/グリソンスコアとは/治療法/疫学
編集●「がんサポート」編集部
人口の高齢化とともに、前立腺がんの罹患数が増加している。国立がん研究センターがん対策情報センターの2015年のがん統計予測では、部位別の罹患数で前立腺が女性乳房を抜いて第4位となっている(2014年のがん統計予測では第5位)。また男性においては、胃および肺を抜いて首位になると予測されている。早期の段階で治療を行えば治癒が期待できる前立腺がん、最低限知っておきたい基礎知識をまとめた。

2 治療をしないことも選択肢の1つ
正確なリスク評価で 限局性がんの過剰治療を避けることが重要
監修●古賀文隆 がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
PSA(前立腺特異抗原)検診が普及し、前立腺がんは早期発見が可能になった。限局性前立腺がん(いわゆる早期がん)は、どのような治療法があり、どう選択されるのだろう。体への負担を少なくする治療法はあるのだろうか。最先端で治療に当たる専門医に伺った。

3 治療回数を減らす寡分割照射法
放射線の外照射治療に新しい流れ 1回の照射量を増やして総線量を減らす
監修●萬 篤憲 国立病院機構東京医療センター放射線科医長
放射線療法において、1回の照射線量を増やして回数を減らす方法を寡分割照射法という。前立腺がんは前立腺の性質上、1回に高線量を当てるのが効果的とされている。一方で、高線量となると副作用も心配される。欧米では広まりつつあるが、日本ではまだ数施設で臨床試験として行われている段階で、今後の展開が注目される。日本での寡分割照射法の現状を専門医に伺った。

4 新薬の効果認める
去勢抵抗性前立腺がんの治療選択 個別化・適正化で患者の利益が求められる
監修●赤倉功一郎 JCHO東京新宿メディカルセンター副院長・泌尿器科部長
初回ホルモン療法が効かなくなった状態を「去勢抵抗性前立腺がん」というが、従来はそうなった際の対策は限られていた。しかし、2014年に3つの新薬が承認され、治療風景は大きく変化した。一方で、延命効果はあるものの、薬価が非常に高いという医療経済上の課題も指摘され始めている。専門医に、去勢抵抗性前立腺がん治療における2016年の展望を伺った。

5 新薬で全生存期間延長という臨床試験結果も!
骨転移と併せて骨粗しょう症対策が重要。前立腺がんの骨転移治療
監修●鈴木啓悦 東邦大学医療センター佐倉病院泌尿器科教授
骨に転移しやすいという特徴がある前立腺がん。骨転移による痛みや骨折は患者のQOL(生活の質)に大きく影響を及ぼす。この骨転移に対して、最近では骨の健康“Bone health(ボーンヘルス)”という考え方が広まってきており、骨転移と併せて骨粗しょう症に対する対策も重要になってきている。登場が期待される新たな骨転移治療薬の最新情報も踏まえ、最新トピックをレポートする。

6 日常生活に支障のないレベルまで回復
前立腺がん術後の重い尿失禁を改善!「人工尿道括約筋埋込手術」
監修●増田 均 がん研有明病院泌尿器科副部長授
前立腺がんの手術後の尿失禁は時間とともに改善するが、中には重症な尿失禁が残ってしまう患者もいる。重い尿失禁があると日常生活に支障が出るばかりでなく、気持ちも塞ぎがちだ。2012年に保険適用となった「人工尿道括約筋埋込手術」は、重い尿失禁を劇的に改善させる効果がある。どんな手術なのだろうか。

7 経口的栄養補助、消化酵素補助(補充)剤、在宅経腸栄養など方法は様々ある
体重を維持してこそ治癒につながる がん治療には「栄養」が欠かせない
監修●大村健二 上尾中央総合病院栄養サポートセンターセンター長/外科・腫瘍内科顧問
かつては胃がんなど消化器系の手術で臓器を切除すれば、体重が減ってやせ細るのは当たり前とされていた。しかし、今はそれが誤りで、治療中に体重を減らさないことが治癒につながるとわかっている。また消化器系以外でも、化学療法や放射線療法を行う上で適切な栄養摂取が欠かせなくなっている。

8 乳がん化療レジメン別で味の感じ方に違いも
ひと工夫で乗り切ろう!化学療法時の味覚障害に対する食事
監修●鍋谷圭宏 千葉県がんセンター消化器外科部長
監修●前田恵理 千葉県がんセンター栄養科・管理栄養士
化学療法時に味覚障害を訴える患者は多い。ただ味覚障害といっても、主観的な要素が強く、味の変化の尺度も対処法も確立されていないのが現状だ。そうした中、千葉県がんセンターでは乳がん患者を対象に、化学療法中の味覚障害に対する調査を実施。レジメン別に味覚障害の現れ方に違いがあることなどがわかってきており、それに対する食事レシピも開発している。

9 味、形態、容量などを見極めて選択
栄養補助食品を利用して 食べる意欲へつなげる
監修●千歳はるか 国立がん研究センター東病院栄養管理室長
監修●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室・管理栄養士
コンビニや薬局などでよく見かけるようになった栄養補助食品。がん治療中に、体重や食欲の低下から、こうした栄養補助食品を利用したいという患者は少なくない。たくさんの種類の中から、どの栄養補助食品を選び、どう役立てていけばよいのだろうか。

【医療】

凄腕の医療人 万全の態勢で臨み、機能温存を目指す
●絹笠祐介 静岡県立静岡がんセンター大腸外科部長
食習慣の欧米化とともに、近年にわかに増えてきたのが大腸(結腸・直腸)がんだ。その大腸がんの手術において、全国一の症例数を誇るロボット支援下手術をはじめ、早期から進行例、高齢者や併存症を持つ患者の難症例まで、あらゆる手術に対して、万全の態勢で臨み、根治と機能温存を実現する静岡県立静岡がんセンター大腸外科。そのチームを率いるリーダー、絹笠祐介さんの手術に密着し、治療に対する信念と情熱、そして素顔に迫った。

がんのチーム医療・施設訪問 患者を地域で支える診療体制を構築 前立腺がん地域チーム医療
●千葉県がんセンター 前立腺センター(千葉県千葉市)
PSA(前立腺特異抗原)検査の普及もあり、患者数が増加している前立腺がん。それに加え、ロボット支援下手術や新薬の数も増えている。病院で患者を抱え込まずに、1人ひとりに合ったケアをするためは的確な診断と地域のクリニックとの連係が必要だ。日本有数の前立腺がん治療実績を持つ千葉県がんセンターを取材した。

がん看護専門看護師山田みつぎの 副作用はこうして乗り切ろう! 9 抗がん薬治療中の脱毛
監修●山田みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長
髪の毛が抜けるショック、それは他の副作用とは種類の違う苦しみです。抗がん薬治療が終われば、また生えてきます。今はつらいけれど、ウイッグや帽子でオシャレを楽しみながら、新しい髪の毛を待ちましょう。

患者のためのがんの薬事典 多剤併用の2つの治療法 切除不能膵がんの治療薬
監修●林 和彦 東京女子医科大学がんセンター長/化学療法・緩和ケア科教授
現在、日本膵臓学会の「科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン」では、遠隔転移のある膵がんに対する最初の化学療法として、FOLFIRINOX療法とアブラキサン+ジェムザール併用療法の2つを推奨しています。ただ、どちらを選択すべきかについては明らかにされていません。手術ができない膵がんの治療をどのように考えるか、2つの治療法の特徴から考えてみましょう。

【対談】

鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談
患者さんが幸せに生きてもらうための「あたたかながん診療」を目指して
医療スタッフ編●諏訪中央病院(長野県茅野市)
鎌田さんが名誉院長を務める諏訪中央病院は、緩和ケアに力を入れている病院としても知られている。前号では鎌田さんに、緩和ケア病棟の患者さんや、病院を支えるグリーンボランティアの人たちを紹介いただいたが、今号では緩和ケア病棟に携わる医療スタッフに、諏訪中央病院が目指す緩和医療の在り方について語り合ってもらった。

【生き方】

私の生きる道 早期発見、治療が1番 先生にタン(舌)キューべろマッチです!
●2005年に舌がんを経験した医事漫談の巨匠・ケーシー高峰さん(81歳)
話芸で生きる芸人にとって、舌がんは極めて厄介な病気である。早期であっても、手術で舌の一部を切除せざるを得ないため、術後、発音が不明瞭になることがあるからだ。医事漫談のケーシー高峰さんは、71歳のとき舌がんになり、トレードマークの白衣をパジャマに着替えて、大学病院に入院することになってしまった。

がん闘病記 3 「再発乳がんと付き合っていくしかない」 3
●野田澤郁子さん(主婦)
90歳近い認知症の両親を介護しながら再発乳がん闘病生活全記録

【患者サポート】

がん相談 皮膚がん/相談支援/乳がん
皮膚がん●回答者:吉野公二・がん・感染症センター都立駒込病院皮膚腫瘍科医長
相談支援●回答者:大沢かおり・東京共済病院がん相談支援センター医療ソーシャルワーカー
乳がん●回答者:上野貴史・板橋中央総合病院外科医師

症状別おすすめ・レシピ (8)消化器がん術後の方に
レシピ・料理製作●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室 管理栄養士
消化器がんの手術をした方は、体の変化に合わせた食べ方が必要です。体調に応じて増減したり、1食量が少ないときは間食で補うか、少量で栄養価の高いものを選びましょう。

患者会レポート 「小児脳幹部グリオーマ」に関する要望書を厚生労働大臣宛に提出
文●貫井孝雄・小児脳幹部グリオーマの会代表
文●高木伸幸・小児脳幹部グリオーマの会署名活動リーダー
「小児脳幹部グリオーマ(びまん性内在性橋グリオーマ)」は、年間の小児がん患児の死亡原因の20%近くを占めるともいわれる難病です。患者会「小児脳幹部グリオーマの会」は、難治性の小児脳腫瘍治療研究の推進と、制度上の諸問題点を解消すべきとの要望書を厚生労働大臣及び関係課宛に提出しました。この活動に賛同する歌手、菅原洋一さんからのメッセージも届いています。

がん哲学外来 今月の言葉「過ぎたことを思い患わない」
●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授
人生の意味がわからなくなった(T・G さん、元会社員 63歳)
1,222円
【がんと併存症特集】

1 がん併存疾患の基礎知識 人口高齢化に伴い罹患者数が増加
がん治療に支障を来すケースも 併存疾患を見極めた治療法の選択が重要に
監修●渡邊清高 帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科准教授
人口の高齢化に伴い、がん患者の平均年齢も高くなり、多くのがん患者が、がんと診断された際に糖尿病などがん以外の病気、つまり併存疾患(併存症)を持っていることが明らかになっている。併存疾患はがん治療の効果、副作用などの面で大きな影響を及ぼすことになるため、併存疾患を持つ人にはより慎重な対応が必要となってくる。
併存疾患別のがん治療への影響については各論で詳細が紹介されるので、ここではわが国におけるがん患者の動向(発症率、死亡率などの推移)、併存疾患の種類、がん治療との関係などについて、その概要を国立がん研究センターなどでがん対策に取り組み、現在がん診療の現場で携わっている帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科准教授の渡邊清高さんに伺った。

2 高齢がん患者の機能評価 臨床研究を積み重ねることが急務
高齢がん患者の治療選択に役立つ包括的な機能評価ツール
監修●長島文夫 杏林大学医学部内科学腫瘍内科准教授
日本のがん罹患者の65歳以上の割合は約3分の2。併存疾患を抱えていたり、生理的・精神的な機能の低下が見られる高齢者も多く、標準的ながん治療を行うかどうかの見極めは重要だ。そのため、高齢がん患者に対し、リスクを評価して治療法を選択していく必要性が高まっている。高齢期のがん治療の現状と対策、高齢がん患者の機能評価などについて、専門医に伺った。

3 循環器疾患を併存するがん患者への対応
心疾患をしっかりケアしてがん治療 手術や化学療法を乗り越えるカギとなる
監修●志賀太郎 がん研究会有明病院総合診療部循環器内科医長
心臓や血管など循環器に疾患を併発する患者は多い。がんになる前からの病気が顕在化したり、がん治療の副作用で起こってしまったりとその形態は様々だ。循環器診療とがん診療との連携を強めようという動きも出てきている。循環器疾患を併発する症例への対応について専門家に伺った。

4 糖尿病を併存するがん患者への対応
血糖を上手くコントロールしながら がん治療を進めていくことがカギ
監修●納 啓一郎 国立がん研究センター中央病院総合内科医長
日本人の2人に1人ががんに罹る時代、高齢化社会の進行と糖尿病患者数の増加とが相まって、糖尿病とがんを併発する患者数は増加の一途をたどっている。では、実際に糖尿病を患っているがん患者の治療はどのように進めていくべきなのか。高血糖を来してしまう薬剤の存在、食欲不振時の対応などについては、患者もぜひ知っておきたいところだ。

5 肺疾患を併存するがん患者への対応
長引く咳は慢性閉塞性肺疾患(COPD)を疑うことが重要
監修●滝口裕一 千葉大学大学院医学研究院先端化学療法学/医学部付属病院臨床腫瘍部教授
肺疾患の中でも潜在患者が530万人以上と推測されている慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙歴が深く関係している病気。高齢者になるほど有病率が高く、COPDを併存していても気づいていないがん患者が少なくないという。COPDの症状や治療法、がん治療への影響や治療中に注意することなどについてレポートする。

6 腎疾患を併存するがん患者への対応
定期的なスクリーニングが重要 透析患者の腎がん治療
監修●中澤速和 東京女子医科大学東医療センター泌尿器科臨床教授
透析治療を受けている患者は腎がんの発症頻度が高くなることが知られている。透析期間が長くなると発症リスクはさらに高まり、他臓器に転移している場合は予後が非常に悪い。早期発見のための定期的な検査が欠かせない。

7 肝疾患を併存するがん患者への対応
肝機能改善によりがん治療が可能に――肝炎などによる治療不能例
監修●持田 智 埼玉医科大学教授/消化器内科・肝臓内科診療部長
慢性肝炎や肝硬変など、肝疾患を抱えたままがんになる人が少なくないが、肝機能が著しく低下していると、がんの手術や化学療法が十分にできないことがある。しかし、肝疾患に対する治療が進歩して、かつては「治らない病気」といわれた肝硬変も治せる時代となり、肝疾患を上手にコントロールしながらのがんの治療が可能になっている。

8 認知症を併存するがん患者への対応
まず、本人の意向を大切に!認知症患者のがん治療
監修●小川朝生 国立がん研究センター東病院精神腫瘍科長/先進医療開発センター精神腫瘍学開発分野長
高齢のがん患者が増えているのに伴い、認知症を併存している患者も増加している。認知症を併存している場合、家族や医療者は患者の意思決定をどのようにサポートしていけばよいのだろう。また治療にはどのような問題があり、家族はどう対応したらよいのだろうか。がん患者の認知症の現状と課題についてレポートする。

9 米国のがん患者における併存疾患の有病率と重症度別の生存率
【コラム】データからみた、がん患者における併存疾患の有病率
文●「がんサポート」編集部
特集1 併存疾患の基礎知識においても述べられているように、わが国においては「がん登録」のより充実した整備が進められているものの、残念ながら「がん患者における併存疾患の罹患動向」に関しては、具体的な数字(有病者数、生存率など)が得られていないのが現状だ。既存のデータから併存疾患の有病者数(率)を算出する試みもなされているが、如何せん現在実施されている「がん登録」では、登録項目に「併存疾患」が存在しないため、十分な成果が得られていない。そこで、人種や医療体制などは異なるが、米国で65歳以上の高齢者における併存疾患の有病者数(率)などを示したレポートがあるので紹介する。
「がん患者における併存疾患の動向」を具体的数字で示すことにより、今後、高齢化に伴いわが国でも大きな問題になると思われる「がん患者における併存疾患」への理解を深める一助としたい。

【医療】

凄腕の医療人 チーム一丸となって肺がんの攻略に取り組む
●鈴木健司 順天堂大学医学部呼吸器外科学講座主任教授
肺がん治療の最前線で20年。幾多の研鑽を重ねながら、数々の患者と出会い、早期肺がんの縮小手術から、根治が見込めずとも、人生の総決算を穏やかに過ごしてもらうための救済手術まで、常に患者本位の医療を実践してきた。そして、臨床、研究、教育にわたり、肺がんを攻略するためにチーム一丸となって取り組み続ける、順天堂大学医学部呼吸器外科教授の鈴木健司さんに、治療に対する信念、率いるチームのポリシーなどについて聞いた。

がん看護専門看護師山田みつぎの 副作用はこうして乗り切ろう! 8 抗がん薬治療中の便秘
監修●山田みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長
抗がん薬の副作用としての便秘は、様々な原因によって起こります。誰でも悩まされる便秘だからこそ、予防策と薬をうまく使って、できるだけ回避したいものです。

患者のためのがんの薬事典 新たな選択肢も登場 閉経前ホルモン受容体陽性乳がんの治療薬
監修●荒木和浩 がん研有明病院乳腺センター乳腺内科医長
「ホルモン受容体陽性(ER+)乳がん」とは、女性ホルモンのエストロゲンの刺激によって増殖する乳がんのことです。「ホルモン感受性乳がん」や「ホルモン依存性乳がん」などとも呼ばれます。閉経前のホルモン受容体陽性乳がんは、ノルバデックスの5年間投与が標準治療ですが、リスクによって抗がん薬やLH-RHアゴニスト(作動薬)の併用も可能とされています。併用するべき条件とは何か、そして新たな治療の選択肢についても整理しました。

【対談】

鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談
植物の生きる力が患者さんに希望を与えている
患者・ボランティア編●諏訪中央病院(長野県茅野市)
初秋のさわやかな風が吹きわたる、長野県茅野市の諏訪中央病院――。「がんばらない&あきらめない対談」のホスト役、鎌田實さんはこの病院の名誉院長である。この日は、この対談の特別版として、鎌田さんに緩和ケア病棟を案内してもらいながら、そこに関わるボランティアや患者さん、医師らと語り合ってもらった。題して「鎌田實の諏訪中央病院へようこそ!」その患者・ボランティア編をお届けする――。

【生き方】

私の生きる道 声を失う位なら、手術せずに行ける所まで行こうと思いました
●2012年にⅣ(IV)期の甲状腺がんが見つかった河内音頭・河内家菊水丸さん(52歳)
甲状腺がんの中でも最も多い甲状腺乳頭がんは、進行の遅い大人しいがんだが、声が命である河内家菊水丸さんにとって、これほどまでに深刻なものはなかった。手術で声を失う可能性があるからだ。治療を優先するか、治療せずに河内音頭を歌い続けるか――。菊水丸さんは苦渋の選択を迫られることになった。

がん闘病記 3 「再発乳がんと付き合っていくしかない」 2
●野田澤郁子さん(主婦)
90歳近い認知症の両親を介護しながら再発乳がん闘病生活全記録

【患者サポート】

がん相談 大腸がん/胃がん/乳がん
大腸がん●回答者:大矢雅敏・獨協医科大学越谷病院外科教授
胃がん●回答者:山口俊晴・がん研有明病院長
乳がん●回答者:上野貴史・板橋中央総合病院外科医師

症状別おすすめ・レシピ (7)吐き気・嘔吐のある方の食事
レシピ・料理製作●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室 管理栄養士
吐き気や嘔吐のある方は、口当たりや喉ごしがよい食材、料理を試してください。ごはん、肉、根菜などはさわやかな風味を使い、やわらかく調理すると食べやすくなります。

わたしの町の在宅クリニック 20 化学療法や緩和ケアにも精通した在宅クリニック
●すみれホームケアクリニック
腫瘍内科医として大学病院でがん患者を診ていた市場保さんが、 在宅医療中心のクリニック「すみれホームケアクリニック」(東京都練馬区)を開設したのは2014年11月。現在患者数は約30人で、そのうちがん患者は5~10人程。ここでは、患者の希望があればホルモン療法や骨転移治療を行いながら在宅で過ごすサポートを行っている。

患者会レポート 最後まで自分らしく生きたい 患者さんが緩和ケア冊子を作成
文●池谷光江
池谷光江さんと前田典子さんの2人の乳がん患者さんが、自分たちはこんな緩和ケア情報が欲しいと患者目線の「緩和ケア冊子」を企画。後に続く患者さんのためにも、実用的な冊子が欲しいと、2人は1年をかけて自費で、2015年秋、完成させました。

がん哲学外来 今月の言葉「些細な出来事が宝石のように美しく感じられる」
●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授
苦労をかけた父親に報いたい(K・F さん、主婦 38歳)
1,222円
【乳がん最新特集・乳がん市民セミナー再録】

1 乳がん基礎知識
乳がん基礎知識
監修●中山可南子 聖路加国際病院乳腺外科クリニカルフェロー
乳がん診断・治療のフローチャート/乳がんのチーム医療

2 新薬の登場で全生存期間などが有意に延長
HER2陽性・進行再発乳がんの薬物療法に大きな変化
監修●田村研治 国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科長
2013年パージェタ、2014年カドサイラと、次々に新薬が登場。その結果、HER2陽性・進行再発乳がん患者さんの生存率の延長が、より期待できるようになったという。パージェタ、カドサイラとはどのような薬剤なのだろうか。ハーセプチンとパージェタの作用の違い、カドサイラの特徴と治療効果、さらなる使用法などについて、専門医に伺った。

3 新規薬剤の登場と明確にすべき課題
総合的な対応が必要に ER陽性HER2陰性進行再発乳がん
監修●荒木和浩 がん研有明病院乳腺センター乳腺内科医長 
乳がんを分子生物学的に分析し、どの薬剤が効果が高いのかを判断するためにサブタイプとして分類することが一般的な治療として広がり、それぞれの患者さんに適した治療選択が行われている。その中で「閉経後進行再発乳がんの ホルモン受容体陽性HER2受容体陰性タイプ」について最新情報をリポートする。

4 新ガイドラインでサブタイプの再検査を推奨
乳がん再発・転移時には HER2発現の陰転化に配慮を
監修●林 直輝 聖路加国際病院乳腺外科副医長
乳がん細胞のHER2発現やホルモン受容体の陽性/陰性の検査結果が、化学療法後に一定割合の患者さんで変化する。これが生じると、治療方針に影響するため、再発・転移時にはこれらの再検査が必要とされており、2015年に改訂された日本乳癌学会「乳癌診療ガイドライン」でも新たに記載が加わった。

5 予後は変わらないという臨床試験結果も
乳がんはより低侵襲治療に センチネルリンパ節陽性でも郭清省略へ
監修●井本 滋 杏林大学医学部外科(乳腺)教授
乳がん治療では、患者さんの特性にあった個別化と低侵襲の治療が進んでいる。手術の分野でも、センチネルリンパ節生検を行って転移を認めても腋窩リンパ節郭清を行わない流れが加速している。やがてセンチネルリンパ節生検を行わなくて済む時代がやってくるかもしれない。

6 サブタイプに応じた治療も必要に
治療対象が広がり、進化するガンマナイフの乳がん脳転移治療
監修●永野 修 千葉県循環器病センター脳神経外科ガンマナイフ治療部部長
乳がんは骨、肺、肝臓などと共に脳にも転移しやすい。脳転移の治療法としては主に手術や放射線治療があげられるが、最近、急速に進歩し治療対象の範囲を広げ、成績を向上させているのが定位放射線治療の1つ、ガンマナイフ治療だ。ガンマナイフ治療の現状について専門家に伺った。

7 産婦人科と密に連携して取り組む
妊孕性温存は乳がん治療の準備と並行して迅速に行う
監修●土屋恭子 聖マリアンナ医科大学乳腺・内分泌外科医長
若い乳がん患者さんは、化学療法やホルモン療法により、妊孕性(妊娠する力)への影響が心配される。しかし近年、受精卵や卵子、卵巣組織の凍結などの妊孕性温存療法の発展に伴い、がん治療と妊娠・出産の両方を実現したいと考える患者さんが増えている。妊孕性温存についての取り組みと今後の課題についてレポートする。

8 再録レポート・乳がん市民セミナー「自分にあった治療選択を」
乳がん治療はここまで来た!2つの遺伝子検査が未来を拓く
講演・パネラー●山内英子 聖路加国際病院ブレストセンター長・乳腺外科部長
講演・パネラー●中山可南子 聖路加国際病院乳腺外科クリニカルフェロー
パネラー●立花夏子 聖路加国際病院がん化学療法看護認定看護師
患者ゲスト●吉岡一恵さん
ここ10数年で格段の進歩を遂げたがん医療。がんのタイプは細分化され、治療法も確立されつつある。乳がんと診断されたら、まずは落ち着いて、自分の体に起きていることを知る勇気を持とう。知は力。自らの乳がんタイプを知り、最適な治療法を選択することが大切な一歩になる。去る8月、東京・秋葉原で、乳がん市民セミナー「自分にあった治療選択を!」(共催:エビデンス社/ジェノミック・ヘルス・ジャパン合同会社)が開催された。
講演1「乳がんと診断されたら」、講演2「乳がんの遺伝子検査を知って、自分にあった治療をうけましょう」に続き、各講演に対する質疑応答。およびパネルディスカッションが開かれ、活発な応答が行われた。会場は真剣な眼差しに包まれた。同セミナーを誌上再録した。

【医療】

凄腕の医療人 安全と根治を常に検証しながら新しい食道がんの手術に挑む
●大幸宏幸 国立がん研究センター東病院食道外科科長
食道がんの手術は、頸部から胸部、そして腹部までの幅広い領域にわたる大掛かりなものとなる。従来は、各部位を大きく切り開くことにより、安全で根治に導ける手術を担保するという考え方だった。そんな食道がん手術の領域で、低侵襲性と安全性、根治性のすべてを実現しようと模索してきたのが、国立がん研究センター東病院食道外科科長の大幸宏幸さんとそのチームだ。

がん看護専門看護師山田みつぎの 副作用はこうして乗り切ろう! 7 抗がん薬治療中の下痢
監修●山田みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長
抗がん薬治療中に下痢の症状で悩む人は少なくありません。でも「下痢なんて……」と軽く見てはいけません。下痢は栄養や水分の吸収を阻害して栄養状態を悪化させ、全身状態を悪化させる要因になりますから、適切に対処することが大切です。

患者のためのがんの薬事典 新適応の薬剤を用いた多剤併用療法が登場 B細胞性リンパ腫の治療薬
監修●岡元るみ子 千葉西総合病院腫瘍内科外来化学療法センター長
悪性リンパ腫にはいろいろな種類がありますが、日本人に多い「びまん性大細胞型B 細胞性リンパ腫(DLBCL)」に対しては、リツキサンの登場で治療成績が大幅に向上したR-CHOP療法が標準治療となっています。同じB細胞性のリンパ腫である「マントル細胞リンパ腫(MCL)」には、VR-CAP療法という新たな治療法が登場してきました。自家移植の対象とならないマントル細胞リンパ腫に、優れた治療効果を発揮します。

【対談】

鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談
抗がん薬の患者さんに対するメリットはデメリットを上回る
●大場 大さん(東京オンコロジークリニック院長)(後編)
がん患者さんに正しい知識を持ってもらい、納得できるがん治療に取り組んでほしいとの思いから、『がんとの賢い闘い方――「近藤誠理論」徹底批判』(新潮新書)を出した外科医・腫瘍内科医の大場大さんと、「がんばらない&あきらめない」の鎌田さんの対談後編は、がん患者さんを叱咤激励する内容となった。

【生き方】

私の生きる道 胃がん・膵がんの疑い――。それでもレジェンドの挑戦は続く
●胃に新たながんが発覚しつつも、今年5月の大会に出場した重量挙げの王者・三宅義信さん(75歳)
五輪2連覇の偉業を達成した重量挙げのレジェンド三宅義信さんは、2011年に胃がんが発覚。ただ、胃がんは「早期の早期」の段階で見つけて事なきを得ることができた。しかし安心したのも束の間、今度は治療が難しいとされる膵がんの疑いが生じたのだ――。

がん闘病記 3 「再発乳がんと付き合っていくしかない」 1
●野田澤郁子さん(主婦)
90歳近い認知症の両親を介護しながら再発乳がん闘病生活全記録

【患者サポート】

がん相談 肺がん/乳がん/食道がん
肺がん●回答者:久保田 馨・日本医科大学付属病院がん診療センター長
乳がん●回答者:上野貴史・板橋中央総合病院医師
食道がん●回答者:出江洋介・がん・感染症センター都立駒込病院食道外科部長

症状別おすすめ・レシピ (6)下痢や便秘の方に
レシピ・料理製作●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室 管理栄養士
快適な便通を保つために、適量の食物繊維をとりましょう。野菜は食物繊維が豊富なので毎食とりたいもの。加熱するとかさが減ってたくさん食べられます。

わたしの町の在宅クリニック 19 がんのプライマリケア医として患者さんに必要な治療の提案も
●しんじょう医院
しんじょう医院(神戸市北区)院長の新城拓也さんは、脳外科・内科を経て緩和ケアの道に進み、病院の緩和ケア病棟で10年勤めた後、2012年に開業した。体の調子が悪く、病院に通えなくなった患者さんに対して新城さんは、「通院を止めるのはつらいことですが、その機会に地元の医者とつながることは大事だと思います。ここならば具合が悪ければ僕が行きますと言えますから」と語る。

がん哲学外来 今月の言葉「赦し赦されることこそが人にとって最大の癒しになる」
●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授
パワハラ上司ががんを患った(S・T さん、男性 58歳)
1,222円
【抗がん薬・副作用対策&肝胆膵がん特集】

1 期待されるこれからのがん免疫療法
エビデンスとともに適応拡大へ 免疫チェックポイント阻害薬
監修●北野滋久 国立がん研究センター中央病院先端医療科
がんの免疫療法というと、「エビデンス(科学的根拠)のない民間療法」と引き気味になってしまう患者さんや医療関係者もいるのではないだろうか。しかし近年、新しい作用機序をもつ免疫療法薬と従来の化学療法薬との比較試験で、免疫療法薬の優位性が証明され、保険適用されるなど様相が変わってきた。最新のがん免疫療法である「免疫チェックポイント阻害薬」とはどのようなものか、専門家に伺った。

2 がん治療中は歯科医のサポートが重要
化学療法治療前からの口腔管理で口腔内の合併症を防ぐ
監修●上野尚雄 国立がん研究センター中央病院歯科医長
化学療法中には副作用で口腔内が乾燥して話しにくくなったり、口腔粘膜がただれて食事がしづらくなることがある。そのため最近では、化学療法を始める前から歯科と協力して口腔ケアを行うことで口腔内のトラブルを予防しようという取り組みが始まっている。また、がん専門病院と全国の開業歯科医との連携も進んでいる。

3 予防的ケアで皮膚障害を防げるという臨床試験結果も
分子標的薬の皮膚障害は予防と適切な対応でコントロール可能
監修●植竹宏之 東京医科歯科大学大学院総合外科学分野教授
相次いで登場している分子標的薬。大きなメリットとして治療効果とともに正常細胞への作用が少ないことによる副作用の軽減があげられるが、分子標的薬ならではの副作用も問題になっている。それは皮疹や手足症候群などの皮膚障害で、中には治療を中断せざるを得ないものまである。その対策は?

4 空咳、息切れ、発熱が出たらすぐに相談を
化学療法時の肺障害の頻度は低いが重篤化の危険性も
監修●弦間昭彦 日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野主任教授
抗がん薬の投与を受け、肺に障害が起こるケースがある。消化器・消化管や皮膚に比べると発生頻度は低いものの、問題は使用する薬剤によって、命にかかわることがあり得ることだ。早期発見や治療の注意点をレポートする。

5 必要に応じて抗ウイルス薬の予防投与を
見逃さないことが重要 化学療法時のB型肝炎の再活性化対策
監修●池田公史 国立がん研究センター東病院肝胆膵内科科長
抗がん薬治療をきっかけに、肝臓に潜んでいたB型肝炎ウイルスが再活性化してくることがある。適切な治療が行われず、劇症化し、患者さんの中にはがんの治療はうまくいったものの、B型肝炎の再活性化で命を落としたというケースも実際には起きているという。

6 適切な症例選択で開腹手術と遜色のない治療が
安全性と根治性を備えた肝胆膵領域の腹腔鏡下手術
監修●本田五郎 がん・感染症センター都立駒込病院肝胆膵外科医長
胃がんや大腸がんに比べ、普及が遅れている肝胆膵領域の腹腔鏡下手術。腹腔鏡下手術用に開発された新しい手術器具が登場したことで、手術に要する時間は開腹手術に比べて長くなるものの、適切な症例を選ぶことで、安全性や根治性において、開腹手術と遜色ない結果を残せるようになっている。肝胆膵がんにおける腹腔鏡下手術の現状について、専門家に伺った。

7 手術は肝がん、化学療法は胆管がんの考え方で
手術ができれば根治も!肝内胆管がんの治療法
監修●齋浦明夫 がん研有明病院消化器外科肝胆膵外科部長
肝内胆管がんは、肝臓原発のがんの中で肝細胞がんに次いで2番目に多く、肝がん全体の約10%を占める。近年増えつつあるがんだが、手術ができない場合の予後は極めて悪いと言われている。肝内胆管がんの特徴や症状、手術や化学療法などの治療法について専門医に伺った。

8 切除後は再発もなく過ごせる例も
腫瘍を小さくし手術につなげる 切除不能局所進行胆道がんの術前化学療法
監修●加藤 厚 千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学講師
胆道がんは早期発見が難しいため、手術ができない進行がんの状態で見つかる場合が多い。それでも、化学療法でがんを小さくすれば外科切除が可能になるのではと、「術前化学療法」の臨床研究が行われており、その有効性が明らかになってきた。手術ができた結果、生存率が改善したという報告もある。切除不能と診断されても諦めなくていい時代の到来はいつなのか。

9 GSL療法という新たな治療法も臨床試験中
治療選択肢が増え、切除不能膵がんは個々に応じた治療の時代へ
監修●伊佐山浩通 東京大学大学院医学系研究科消化器内科学准教授
ここのところ立て続けに新たな治療薬が登場し、治療選択肢が増えた切除不能の膵がん。一昨年(2013年)にFOLFIRINOX、昨年(2014年)にアブラキサンが保険適用されたことで、切除不能膵がんは次の治療ステージに入った。

【医療】

凄腕の医療人 婦人科悪性腫瘍 腹腔鏡下手術で根治を目指す
●金尾祐之 がん研有明病院婦人科医長
骨盤内の狭いところで、正確かつ安全な手技を発揮しなくてはならないのが婦人科がんの手術だ。そんな手術に対して、腹腔鏡下というアプローチで、全国屈指のクオリティによる手術を実践するのが、がん研有明病院婦人科医長の金尾祐之さんだ。この日は、午前と午後、2例の手術を執刀した金尾さん。午前中に行われた子宮体がんの手術現場に迫った。

がんのチーム医療・施設訪問 多職種による切れ目のない訪問看護 スタッフ間の密な連絡が鍵
●東大宮訪問看護ステーション(埼玉県さいたま市)
在宅訪問看護で求められるのは何だろう。体調の管理やリハビリテーション(以下リハビリ)であったり、生活の補助であったりする。しかし、ただそれを機械的に行うだけでは患者さんの回復も遅い。1人ひとりに合った接し方で、患者さんの生活スタイルまで考えた看護が有効のようだ。

がん看護専門看護師山田みつぎの 副作用はこうして乗り切ろう! 6 味覚障害
監修●山田みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長
抗がん薬治療をすると、かなりの割合で味覚に異変を感じます。原因の多くは神経障害。有効な治療法はありませんが、治療終了後はゆっくり回復してきます。それまでは、おいしく食べられる味を見つけてしのぎましょう。

患者のためのがんの薬事典 代表的な2つの標準治療と動向を紹介 子宮頸がんの化学療法
監修●尾松公平 がん研有明病院婦人科
子宮頸がんの治療は手術が主体だと思われがちですが、実は子宮頸がんのうち手術のみで治療の完結が見込めるのは、がんが子宮頸部の表面だけに存在しわずかに浸潤を認めるⅠA期の場合のみです。それ以外では、摘出臓器の病理組織診断の結果、再発リスクが大きいと判断されると、放射線療法、もしくは放射線療法と抗がん薬の併用治療が行われます。子宮頸がんを病期別にみると、手術だけの治療よりも、同時化学放射線療法を行う割合のほうが多いです。また、進行・再発子宮頸がんの治療では、放射線療法が主体であり、抗がん薬治療は放射線療法の治療効果を増幅させるために行うという位置づけにあります。

【対談】

鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談
間違った情報・考え方に対応できる批判的手法を持つことが大切
●大場 大さん(東京オンコロジークリニック院長)
8月半ばに『がんとの賢い闘い方「近藤誠理論」徹底批判』(新潮新書)を出した外科医・腫瘍内科医の大場大さん。このところ、「週刊新潮」や「週刊文春」誌上でも、これまで「がんと闘うな」「がんは放置しろ」などと主張してきた近藤誠氏の批判を展開している。鎌田さんが近藤氏批判の背景を問い質した。

【生き方】

私の生きる道 最後まで後悔しないように、前のめりで生きていきたい
●2007年に大腸がんを経験した「ザ・ワイルドワンズ」の植田芳暁さん(67歳)
人はいつか死ぬ、だからこそ後悔はしたくない――。「ザ・ワイルドワンズ」の植田芳暁さんは、病気をきっかけに、そう強く思うようになった。「ザ・ワイルドワンズ」としての活動を精力的に行う傍ら、それとはまた別に、自分のやりたい音楽を作品として残していきたいという想いが強くなったという。

がん闘病記 7 「骨外性粘液型軟骨肉腫」を知っていますか 3
●田村ひとみさん(主婦・コンビニパート)
痛くも痒くもない盛り上がっているこぶが希少がんと診断されて

【患者サポート】

がん相談 悪性リンパ腫/精巣腫瘍/頭頸部がん
悪性リンパ腫●回答者:岡元るみ子・千葉西総合病院外来化学療法センター長/腫瘍内科部長
精巣腫瘍●回答者:古賀文隆・都立駒込病院腎泌尿器外科部長
頭頸部がん●回答者:林 隆一・国立がん研究センター東病院副院長/頭頸部外科長

症状別おすすめ・レシピ (5)味覚変化のある方の食事
レシピ・料理製作●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室 管理栄養士
化学療法の副作用などで、本来の味と異なって感じたり、味が感じにくくなったりする方がいます。薄味にしたり、ソースを変えたりしてみましょう。

わたしの町の在宅クリニック 18 患者さんが〝幸せ〟と思って過ごせることを大切に
●宍戸内科医院
宍戸内科医院(千葉県佐倉市)は、現在院長の宍戸英樹さんの父、英雄さんが1986年に開設。宍戸さんが医院に戻ってきた05年から、本格的な訪問診療が始まった。「目指すのは、その人らしい生活を送れること」と宍戸さん。患者さん本人が〝幸せ〟と思って過ごせるよう、サポートしていきたいと話す。

患者会レポート 正しい知識は患者自身の力、支えになると信じて講演会を開催
●NPO法人BCネットワーク
日米両国に在住している日本人女性に、乳がんについて最新の情報を発信しているNPO法人のBCネットワークが、2015年の夏、京都と東京でイベントを開催した。東京でのイベントでは、BCネットワーク代表 山本眞基子さんが、日頃の活動に対して日本乳癌学会から感謝状をもらった。

がん哲学外来 今月の言葉「愛はことさら起こすなかれ」
●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授
長年の友人が大腸がんを患った(Y・M さん、男性 62歳)
1,222円
【肺がん&リハビリテーション特集】

1 罹患数・死亡数の推移と検査・治療法の最新動向
肺がん患者さんの併存症の治療と 的確な治療選択で予後の向上を図る
監修●高橋和久 順天堂大学大学院医学研究科呼吸器内科学教授
たくさんあるがん種の中で死者数が一番多いのが肺がん。一方で、新薬の開発など治療法も進化しており、予後の改善も期待されている。肺がんの罹患数・死亡数の推移、検査・治療法に関する最新の動向を伺った。

2 再発治療として新たな3剤併用療法の効果認められる
最も有効な治療をできるだけ早く!小細胞肺がんの治療戦略
監修●軒原 浩 国立がん研究センター中央病院呼吸器内科医長
進行が早く、転移もしやすい一方で、抗がん薬や放射線治療がよく効くとされる小細胞肺がん。最も効果的な治療法を、できるだけ早く受けることが、治癒を目指すという意味で重要だと言えそうだ。

3 縮小手術や再手術でもメリットは大きい
安全性と根治性の確保が重要 肺がんの胸腔鏡手術
監修●文 敏景 がん研有明病院呼吸器外科副部長
肺がんにおいても普及しつつある胸腔鏡手術。ただ、未だに専門家の間では、胸腔鏡手術に対して安全性と根治性を疑問視する風潮が根強いという。胸腔鏡手術の現状は? 開胸手術との比較は? 専門家に話を伺った。

4 有効性と安全性が証明され、さらなる期待
進行非小細胞肺がんに対する抗PD-1抗体オプジーボの効果
監修●西尾誠人 がん研有明病院呼吸器内科部長
現在肺がんの治療薬の開発で、最も過熱しているのが免疫チェックポイント阻害薬。今年(2015年)のASCO(米国臨床腫瘍学会)年次学術集会では抗PD-1抗体オプジーボに対する注目の臨床試験の結果が発表された。日本でも免疫チェックポイント阻害薬の様々な臨床試験が行われ、今後の肺がん治療への期待が広まっている。

5 下痢は早期から薬で対処することが大切
第2世代EGFR阻害薬の肺がん治療中の副作用対策
監修●加藤晃史 神奈川県立循環器呼吸器病センター肺がん包括診療センター呼吸器内科・臨床研究室
EGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの治療には、イレッサ、タルセバに加え、第2世代のジオトリフも使われるようになった。ジオトリフの副作用には下痢、口腔粘膜炎(口内炎)、皮膚症状などがあげられる。そこで、副作用対策の情報提供を積極的に行っている専門医に、下痢対策を中心に伺った。

6 運動能維持のための呼吸法の調整
社会復帰目標に個別的な対応を図る 肺がん手術前後のリハビリテーション
監修●鵜澤吉宏 亀田総合病院リハビリテーション室副室長(理学療法士)
手術後のリハビリテーション(以下リハビリ)はどのがん種でも大切だが、胸を開き、しかも呼吸器の一部を切除する肺がんでは息苦しさへの対応がより求められる。術前の指導から実際のリハビリまでを聞いた。

7 乳がんのリハビリテーション 体力・QOLを向上させる
乳がん術後に行いたい肩関節可動域訓練と運動療法
監修●村岡香織 慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室助教
乳がん術後の痛みなどの不快な症状は、すぐに解消されるものではありません。しかし、そのために日々の活動量が減ると、筋力・体力が落ちて次第に栄養状態や心肺機能に影響を及ぼすことも少なくありません。術後は、敢えて運動を生活に取り入れ、基礎体力をしっかり維持することが大切。そのための方法を紹介します。

8 骨転移のリハビリテーション 最期まで自分の足で歩けるように
多様な職種の連携で、骨転移患者さんのQOLを維持する
監修●篠田裕介 東京大学医学部附属病院リハビリテーション部講師
監修●澤田良子 東京大学医学部附属病院整形外科・脊椎外科
骨転移は骨の病気であることから、運動器を専門にしている整形外科医による診療が有用だ。骨転移のがん患者さんが急増するなか、リハビリの必要性や他職種との連携など新しい診療体制が求められている。様々な科が連携して治療にあたる、東京大学医学部附属病院の骨転移キャンサーボードの取り組みについて伺った。

9 訓練を習慣化し、退院後の継続したトレーニングが重要
患者に適した細やかなリハビリテーション 頭頸部がん・食道がん治療後の嚥下障害
監修●髙橋浩二 昭和大学歯学部口腔リハビリテーション医学部門教授
頭頸部がんや食道がん治療後に嚥下障害が起きるケースがあるが、治療によるダメージに加えて、口から物を食べられないというのは、QOL(生活の質)の観点からも、患者さんにとってつらいことだ。こうしたがん治療後の嚥下障害にどういったリハビリテーションが有効なのか。個々のケースからひも解く。

【医療】

凄腕の医療人
神経膠腫に対する最大限の腫瘍摘出と 最小限の術後神経症状の両立を実現
凄腕の医療人●村垣善浩 東京女子医科大学先端生命医科学研究所大学院研究科先端生命科学系専攻先端工学外科学分野教授/医学部脳神経外科(兼任)
神経膠腫(グリオーマ)は、腫瘍と正常組織の境界が不鮮明で、グレードがあがるとより悪性となり、摘出が極めて難しく予後も悪い。そんな神経膠腫に対して、あらゆる技術とテクノロジーを駆使して、最大限の腫瘍摘出と最小限の術後神経症状の両立を実現してきたのが、東京女子医科大学の脳神経外科悪性脳腫瘍チームだ。そのチームを率い、新しい治療法の開発も仕切るのが村垣善浩さんだ。

がんのチーム医療・施設訪問 活発な議論が出来るカンファレンス 診療科をつなぐ接着剤
●国立成育医療研究センター小児がんセンター「こどもサポートチーム」(東京都世田谷区)
小児がんは全てのがんの中では1%ほどの希少がんではあるが、毎年新たに診断される2,000~2,500人という数は決して少なくない。東京の住宅街にある国立成育医療研究センターは小児がん拠点病院に指定され、様々な取り組みを行っている。その潤滑油となっているのが、昨年(2014年)発足した「こどもサポートチーム」だ。

がん看護専門看護師山田みつぎの 副作用はこうして乗り切ろう! 5 皮膚症状
監修●山田みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長
吐き気や感染症に比べたら、皮膚の症状なんてまだマシ……仕方がない。そう言い聞かせて、つらい症状を我慢してはいませんか? 心がけ1つで予防も可能、症状緩和も可能です。それでも出たときは、迷わずステロイドで速やかに対処。まずは知識を。

患者のためのがんの薬事典 新たに2つの選択肢が登場 再発・進行胃がん治療の化学療法
監修●陳 勁松 がん研有明病院消化器化学療法科副部長
切除不能な再発・進行胃がんの治療は、「化学療法が第一に考慮されるべき治療法である」と、胃癌治療ガイドラインでは記されています。がんを縮小して、がんの進行に伴う様々な症状を抑え、より良い時間をより長く過ごすことが、再発・進行胃がんの治療の目標ですが、最近の治療薬の開発進歩によって、がんを小さくする効果が、より高くなってきました。今年(2015年)6月には、従来の標準治療に加えて、新しい分子標的薬も登場しています。

【対談】

鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談
政治も健康も「あきらめない」精神でがんばりたい
●小沢一郎さん(生活の党と山本太郎となかまたち共同代表)
かつては自民党幹事長、民主党代表として永田町をリードした小沢一郎さんも、すでに73歳。議員2年目には甲状腺がんの手術を、次期首相最有力と見られていたときには狭心症の治療を受けながら、政治の表舞台を歩いてきた小沢さんに、鎌田實さんが「日本はどうなるのか」を単刀直入に聞いた。

【生き方】

私の生きる道 胃がんの手術後、食の楽しみが失われてしまいました
●胃がん、劇症肝炎と2度の大病を患ったシンガーソングライター小椋佳さん(71歳)
胃がんは早期なら手術で切除してしまえばそれで終わりと思われがちだが、実際はそうではない。手術後、まともに食事ができなくなり、「すぐに戻してしまう」など、つらい後遺症に悩む人も多い。胃がんで14年前に手術をした小椋佳さんもその1人だ。胃がんを患ってからは、食べるものが限られてしまい、食欲そのものもなくなり、食に対する楽しみが失われてしまったという。

がん闘病記 6 「骨外性粘液型軟骨肉腫」を知っていますか 2
●田村ひとみさん(主婦・コンビニパート)
痛くも痒くもない盛り上がっているこぶが希少がんと診断されて

【患者サポート】

がん相談 乳がん/前立腺がん/肺がん
乳がん●回答者:関口建次・苑田会放射線クリニック副院長
前立腺がん●回答者:古賀文隆・都立駒込病院腎泌尿器外科部長
肺がん●回答者:久保田 馨・日本医科大学付属病院がん診療センター長

症状別おすすめ・レシピ (4)食欲のない方に、ぜひ!
レシピ・料理製作●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室 管理栄養士
食欲が落ちる原因は様々です。消化吸収機能が低下している方は、胃腸の働きが弱まっているのかもしれません。消化のよい食材で、さっぱりした食事を試してみてください。

わたしの町の在宅クリニック 17 明るい看取りを目指して。地域で患者さんを診る
●ホームケアクリニックこうべ
クリニックの名称には院長の名前が入っていることが多い。「ホームケアクリニックこうべ」の院長・五島正裕さんがあえてそうしなかったのは「五島クリニックという院長色の強いクリニックではなく、看護師や非常勤医師、スタッフたちみんなで取り組んでいるという意味を込めたかったから」だという。そして2011年4月の開業以来、地域に根づいた在宅医療を推進するため、奔走する日々が続いている。

がん哲学外来 今月の言葉「勇ましき、高尚なる生涯」
●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授
健康的な暮らしにストレスが(M・S さん、男性 42歳)

1,222円
【放射線治療&希少がん特集】

1 正常組織のダメージを減らし、より精度の高い放射線治療を実現
X線応用の新規治療法開発と粒子線治療の開発が進む
監修●秋元哲夫 国立がん研究センター東病院放射線治療科科長/粒子線医学開発分野長
放射線治療では従来から行われてきたX線、ガンマ線治療に加え、より集中性を高めてがん組織を叩くことができる陽子線、重粒子線などによる粒子線治療も行われるようになった。また従来に比べ、腫瘍周辺の正常細胞や重要臓器への照射をできるだけ減らし、なおかつ腫瘍に高線量の放射線を照射する技術も開発されている。そこで国立がん研究センター東病院放射線治療科科長の秋元哲夫さんに放射線治療の最新動向について伺った。

2 頭頸部がんの化学放射線療法 根治と機能温存の両立を目指す
セツキシマブ承認で頭頸部がんの化学放射線療法はどう変わる?
監修●稲葉浩二 国立がん研究センター中央病院放射線治療科医師
根治を目指すとともにできる限り機能を温存したいのが頭頸部がんの治療。近年、放射線と化学療法を併用した治療法の有効性が明らかとなり、根治と機能温存の両立が可能になってきた。2012年12月、分子標的薬が加わったことにより、治療選択肢はますます広がっている。

3 口腔乾燥、粘膜炎はセルフケアを積極的に
頭頸部がんの化学療法と放射線同時併用療法の副作用対策
監修●久保田 彰 神奈川県立がんセンター頭頸部外科部長
手術がメインだった従来の治療から、化学療法と放射線治療を組み合わることで「切らない治療」が可能になった頭頸部がん。近年注目されている化学療法と放射線同時併用療法で起こりうる副作用とその対策には、どのようなものがあるのだろうか。

4 救済手術も視野に入れた新たな治療法も開発中
切らずに根治も可能に――。食道がんの化学放射線療法
監修●伊藤芳紀 国立がん研究センター中央病院放射線治療科医長
食道がんの根治を目指す治療法として化学放射線療法の有効性が明らかになり、手術が可能な症例でも化学放射線療法が選択肢の1つとなるまでになっている。さらに現在、初回の化学放射線療法で効果が認められなかった場合の救済治療を見越した治療戦略も検討されており、患者さんの治療選択肢は増えている。

5 「患者の力」に着目したセルフケア支援が重要に
放射線治療開始前から副作用を推測して、患者に伝える
監修●後藤志保 がん研有明病院看護部副看護師長・がん看護専門看護師
放射線治療は通院で治療を受ける患者さんが多い。そのため、副作用対策はセルフケアに頼らざるを得ない。いつ頃、どのような症状が現れてくるのかを前もって知らせ、適切に対応できるようにすることが大切だ。「患者の力」を最大限に引き出すセルフケア支援が、治療中のQOL(生活の質)維持に役立っている。

6 希少がんの基礎知識 日本唯一のホットラインも機能
政府も動き出した希少がん対策
監修●川井 章 国立がん研究センター中央病院希少がんセンター長
「希少がん」の定義が日本では定まっていないことはあまり知られていない。希少がんと診断された患者さんはどうすればいいのか、治療はどうあるべきか、国内唯一の希少がんセンターを持つ国立がん研究センター中央病院希少がんセンター長の川井章さんに伺った。

7 今春には再発膠芽腫に新たな治療機器が承認
治療法は着実に進歩!神経膠腫の最新治療
監修●成田善孝 国立がん研究センター中央病院脳脊髄腫瘍科科長
悪性脳腫瘍で最も多い神経膠腫。悪性度により、治療は手術だけではなく、放射線治療や化学療法が必要となってくる。そうした中、今年(2015年)3月には、神経膠腫の中でも最も悪性度の高い膠芽腫に対する再発治療として、新たな治療機器が承認された。神経膠腫の治療は着実に進歩している。

8 小児がんの新たな取り組み スタートした医師主導治験
小児がんの新薬開発で再発治療の充実を!
監修●河本 博 国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科医長
小児がんは子どもがかかるがんの総称だが、希少がんということで治療法の開発が遅れてきた分野だ。しかし、近年では医師主導型の臨床試験が立ち上がるなど新しい動きが出ている。その先端にいる専門医に小児がんの新たな取り組みについて聞いた。

9 皮膚がん治療の新しい動向 新しい治療薬・治療法の効果に期待
メラノーマ(悪性黒色腫)、血管肉腫の治療が大きく変わる
監修●吉野公二 がん・感染症センター都立駒込病院皮膚腫瘍科医長
皮膚がんには、基底細胞がん、メラノーマ(悪性黒色腫)など数種があるが、それぞれ病気の性格が大きく異なり、治療法も違う。患者数は少なく、これまで新しい治療法の開発が進みにくい状況にあったが、メラノーマについては、昨年(2014年)から新薬が次々に発売され、血管肉腫では、治療法が変わり生存期間を大きく伸長している。激変する皮膚がんの治療を紹介する。

10 特別企画「世界頭頸部がんの日」~世界頭頸部癌学会(IFHNOS)が宣言~
「世界頭頸部がんの日」予防と早期発見を目指して、正しい知識を世界規模で普及
取材・文●「がんサポート」編集部
世界頭頸部癌学会(IFHNOS)が、昨年(2014年)7月に米ニューヨークで開催した第5回IFHNOS会議において、頭頸部がんの予防と早期発見を目指して正しい知識を世界規模で普及させることを目的として、毎年7月27日を「世界頭頸部がんの日」とすることを宣言し、定められた。がんサポートでは、「世界頭頸部がんの日」を機に、日本頭頸部癌学会(理事長:林 隆一・国立がん研究センター東病院頭頸部外科長)の協力を得て、特別企画として予防から最新治療までを取材した。

【医療】

凄腕の医療人
がん体験者が充実した生活を送れるよう「がんサバイバーシップ」普及に情熱を傾ける
凄腕の医療人●山内英子 聖路加国際病院ブレストセンター長/乳腺外科部長
がんは「不治の病」のイメージが強いが、治療法などの進歩により、治療後もケアをしながらずっと付き合っていく「慢性疾患」と捉えるべきケースが増えている。若い患者さんや早期発見の多い乳がんはとくにその要素が強い。このようなケースを嚆矢として「がんの治療を終えてからの人生をどう充実させるか」を重視する〝がんサバイバーシップ〟という闘病の仕方が注目されるようになってきた。聖路加国際病院ブレストセンター長の山内英子さんはその国内での普及の先頭を切っている。

がん看護専門看護師山田みつぎの 副作用はこうして乗り切ろう!
4 感染症
監修●山田みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長
感染を怖れるあまり、やりたいことを諦めて、家に閉じこもっていませんか?抗がん薬治療で抵抗力が落ちる時期は、おおよそ前もってわかります。その期間はポイントをおさえて対処。なるべく普段通り、気持ちよく過ごしましょう。大切なのは、正しい知識です。

患者のためのがんの薬事典
タキソテール(一般名:ドセタキセル)/イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)/ザイティガ(一般名:アビラテロン)/ジェブタナ(一般名:カバジタキセル)去勢抵抗性前立腺がんの治療薬
監修●湯浅 健 がん研有明病院泌尿器科
前立腺がんの治療では、ホルモン療法が行われることがあります。それが効かなくなったのが、「去勢抵抗性前立腺がん」です。かつて、治療薬はタキソテールだけでしたが、2014年に、イクスタンジ、ザイティガ、ジェブタナが承認され、これらも治療に使用できるようになりました。選択肢が増えたことで、治療の可能性が広がったと言えます。ただし、これらの薬をどの順番で使うのがよいのかについては、現在のところ明確なエビデンス(科学的根拠)はありません。

【対談】

鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談
遺伝性がんの予防的切除は保険適用にしてほしい
●太宰牧子さん(遺伝性乳がん卵巣がん当事者の会「クラヴィスアルクス」代表)
2年前、ハリウッド女優アンジェリーナ・ジョリーが遺伝性がんに配慮して乳房を摘出したことは、世界的なニュースとなったが、昨年5月、日本に遺伝性乳がん・卵巣がん当事者の会「クラヴィス(鍵)アルクス(虹)」が誕生した。自ら遺伝性乳がんの患者さんで、左乳房を全摘している太宰牧子代表に、鎌田さんが会設立の経緯などを聞いた――。

【生き方】

私の生きる道 落語を通して倍返しをしたい
●腎盂がんと膀胱がんを経験し、さらに芸に磨きがかかった落語家・柳家権太楼さん(68歳)
闘病生活を通して、本当に沢山の人に救われた。だからこそ「その人たちに、落語を通して倍返ししないといけない。そうしないと、落語の神様は許してくれないと思っています」。こう話すのは、落語家の柳家権太楼さんだ。闘病生活を支えたのは、落語をしたい、高座に上がりたいという、落語に対する強い思いだった。

がん闘病記 5 「骨外性粘液型軟骨肉腫」を知っていますか 1
●田村ひとみさん(主婦・コンビニパート)
痛くも痒くもない盛り上がっているこぶが希少がんと診断されて

【患者サポート】

がん相談 脳腫瘍/卵巣がん/乳がん
脳腫瘍●回答者:田部井勇助・日本赤十字社医療センター脳神経外科専門医
卵巣がん●回答者:織田克利・東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座生殖腫瘍学准教授
乳がん●回答者:上野貴史・板橋中央総合病院外科医師

症状別おすすめ・レシピ (3)口内炎・食道炎のときの食事
レシピ・料理製作●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室 管理栄養士
がんの治療中に口内炎ができたり、食道炎になる方がいます。刺激が強い、固い、弾力があるなどの食材は避け、やわらかで、なめらかな料理に仕上げることがポイントです。

わたしの町の在宅クリニック 16
患者さんの気持ちや物語に寄り添い、納得度の高いケアを
●鈴木内科医院
鈴木内科医院(東京都大田区)は、院長である鈴木央さんの父、荘一さんが1961年に開業した。日本にターミナルケアという言葉すらあまり知られていなかった70年代にいち早くその概念を取り入れ、積極的に終末期の患者さんのケアを行ってきた。医院としてその方針は引き継がれ、央さんが院長となった今、在宅で最期を迎える患者さんの気持ちやこれまで歩んできた〝物語〟を大切したケアが施されている。

患者会レポート
自分の闘病体験から生まれた、これまでにない「支え合いサイト」
●非営利社団法人運営「5years」
2007年にマラソンのトレーニング中に怪我をして入院した大久保さんは、退院間際に精巣腫瘍と診断されました。手術後、困難な闘病生活の末、100kmマラソンを完走できるまでに回復。生かされた次の人生は「がん患者さんのために」と決意し、今年2月、ウェブサイト患者会「5years」を立ち上げました。

がん哲学外来 今月の言葉「正論よりも配慮を」
●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授
がんになっても仕事を休まない父(T・Y さん、女性 25歳)
1,222円
【大腸がん/胃・食道がん最新特集】

1 大腸がんの基礎知識 大腸がんってどんな病気?
大腸がんは早期発見すれば9割が治る!
監修●石黒めぐみ 東京医科歯科大学大学院応用腫瘍学講座准教授
国立がん研究センターが今年4月に発表した2015年のがん罹患数の推計で、これまで3位だった大腸がんが、胃がん、肺がんを抜いてトップになった。大腸がんはどんな病気なのか。大腸がんの基本的なことから治療の進め方まで専門医に聞いた。

2 進化する個別化医療──遺伝子検査による治療選択の時代へ
大規模ゲノムスクリーニング 産学連携「SCRUM-Japan」が発進
監修●吉野孝之 国立がん研究センター東病院消化管内科科長
大腸がん治療で特徴的なのが、無駄な薬剤投与をしないための遺伝子検査だ。近年確立された方法だが、さらに進化を続けている。大規模な遺伝子診断ネットワークづくりも進行中だ。

3 大腸がんの腹腔鏡下手術 術後の身体の回復が早い!
高齢者への負担が少ない 大腸がん腹腔鏡下手術
監修●渡邉一輝 NTT東日本関東病院外科医長
腹腔鏡下手術は開腹手術に比べると傷が小さくて済むため、早期に離床でき、入院期間も短い。高齢のがん患者さんには低侵襲の手術が求められるが、果たして腹腔鏡下手術は有効なのだろうか。高齢者の開腹vs.腹腔鏡下手術の比較試験の結果と、大腸がんの腹腔鏡下手術の今後を探った。

4 進行大腸がんの最新薬物治療 病勢安定期間を延ばす
進行再発大腸がんの4次治療での 新規2剤のよりよい活用法とは
監修●水沼信之 がん研有明病院消化器センター消化器化療担当部長
治癒切除不能の進行・再発大腸がんの治療は、分子標的薬の登場で飛躍的に向上している。それでも3次治療、4次治療の段階になると治療薬がない状態になっていたが、2013年に分子標的薬スチバーガ、14年に抗悪性腫瘍薬ロンサーフが新たに加わって選択肢が増え、最適な治療を続けることができるようになってきた。

5 術前の閉塞解除治療と手術不能例に対する緩和的治療
がんによる腸閉塞に対し 大腸ステント治療で人工肛門を回避
監修●斉田芳久 東邦大学医療センター大橋病院外科教授
がんのために大腸が閉塞した場合、かつては緊急手術が行われ、人工肛門を造設するのが一般的だった。しかし、2012年に大腸ステント治療が保険で認められ、現在では、閉塞部にステントを留置する治療が可能になっている。治療に要する時間は、通常15分程度。ステントが入ると速やかに閉塞が解除され、人工肛門を回避することができる。日本における大腸ステント治療は、欧米に比べて安全性が高いことをデータが示している。専門家に治療の現状を聞いた。

6 腸閉塞、排便・排尿障害、便秘を緩和する
大腸がん術後のQOLアップのために
監修●舛田佳子 神奈川県立がんセンター主任看護師/皮膚・排泄ケア認定看護師
大腸がんの手術をされた患者さんは、術後の身体の変化やトラブルが気になるだろう。術後に起こりやすい症状とは?食事はどのように進めていけばいいのか?排便障害や排尿障害は起こるのか?患者さんが悩みがちな術後の生活について、専門家に聞いた。

7 エルプラット、サイラムザと新たな治療選択肢も登場
進行・再発胃がんに新しい治療法。着実に広がる治療の選択肢
監修●朴 成和 国立がん研究センター中央病院副院長/消化管内科科長
手術による切除が困難と判断された進行・再発胃がんの化学療法に、ファーストラインではエルプラット(2015年3月承認)、セカンドラインでは分子標的薬のサイラムザ(同)が加わった。かつて胃がんは抗がん薬が効きにくいがんと言われたが、着実に治療の選択肢が広がりつつある。

8 マウスモデルで体重減少を抑制し、生存期間を延長
ナノ粒子を用いた光線力学療法による腹膜播種治療
監修●辻本広紀 防衛医科大学校上部消化管外科講師
これまで胃がんの腹膜播種では抗がん薬が効かなくなると、それ以上打つ手がなかったが、昨年(2014年)11月、光増感剤内包ナノ粒子を用いた光線力学療法(PDT)により、ヒト胃がん細胞を移植したマウスの腹膜播種モデルで体重減少の抑制と生存期間の延長効果が得られたとの報告があり、将来的には食道がんや肺がんなどでも臨床応用が期待されている。

9 腹膜播種治療の最新動向 進化する化学療法
腹膜播種に対する3つの腹腔内投与療法が先進医療に
文●「がんサポート」編集部
胃がんの怖さに腹膜播種がある。決して珍しい症状ではなく、胃がんでの死亡者のうち、半数近くが腹膜播種に苦しむとされている。これまでは化学療法を受けても予後が悪いとされてきたが、近年は新しい併用療法の研究が進んでいる。その中でも、とくに注目されているのが、パクリタキセルなどを用いた腹腔内投与併用療法。この併用療法に2006年から取り組んでいるのが東京大学医学部附属病院腫瘍外科。本誌では、これまでにも数回、同治療法について紹介してきたが、今回はその後の研究の進捗状況について、入手した資料をもとにまとめてみた。

10 術後の社会復帰までをサポート
体への負担が少ない 食道がん胸腔鏡・腹腔鏡下手術
監修●大幸宏幸 国立がん研究センター東病院食道外科科長
食道がんは早い段階からリンパ節転移を起こしやすい。そのため手術では食道の切除に加え、頸部、胸部、腹部に及ぶリンパ節を取り除く必要があり、体への負担が大きい。そこで、患者さんの社会復帰までを見据え、開胸・開腹よりも傷や痛みの少ない「胸腔鏡・腹腔鏡下手術」が注目されている。

【医療】

凄腕の医療人
世界中が待望していた〝首に手術痕が残らない甲状腺内視鏡手術〟を開発
凄腕の医療人●清水一雄 日本医科大学名誉教授・医療法人金地病院名誉院長
喉ぼとけの下方に位置する甲状腺のがんは女性に多い。治療の中心は手術だが、首筋を横断するように残る手術痕が、取り分け女性患者や子供たちを悩ませてきた。そんな中、日本医科大学名誉教授(現医療法人金地病院名誉院長)の清水一雄さんは頸部にほとんど傷跡のない内視鏡手術を確立した。治癒率も通常手術と遜色はない。今、その内視鏡手術は内外で普及しつつある。

がんのチーム医療・施設訪問
多職種で移植の様々な局面をカバー 退院後のフォローアップも大切に
●国立がん研究センター中央病院造血幹細胞移植科チーム(東京都中央区)
血液がんにおいて、造血幹細胞移植は最後の砦だ。しかし、完治が期待できる一方で、リスクも高い。大量の化学療法で副作用に悩まされ、移植後にはつらい合併症などに苦労するケースも多い。国立がん研究センター中央病院では、広汎な職種によるチーム医療を取り入れ、細やかな対応を目指している。

がん看護専門看護師山田みつぎの 副作用はこうして乗り切ろう!
3 抗がん薬治療中のしびれ
監修●山田みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長
抗がん薬治療をやめたくないから、医師にしびれがつらいと言えない……そんな葛藤を抱えていませんか?特効薬はなくとも、方法はあります。まずは伝えてください。大切なのは、自分らしい毎日を生きることです。

患者のためのがんの薬事典
ジェムザール(一般名:ゲムシタビン)/ブリプラチン・ランダ(一般名:シスプラチン)胆道がんのGC療法
監修●林 和彦 東京女子医科大学がんセンター長/化学療法・緩和ケア科教授
胆道がんの化学療法では、有効な治療法がわずかしかありません。標準治療は、ジェムザールとシスプラチンを併用するGC療法。GC療法は肺がんの治療でも用いられますが、胆道がんのGC療法は、シスプラチンの投与量が少なく、それを分割投与するのが特徴。そのため副作用が軽く、無理なく継続することができます。この併用療法以外に、TS-1も治療薬として承認されています。現在、ジェムザールとTS-1を併用するGS療法を、GC療法と比較する臨床試験が進行中です。

【対談】

鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談
「ナノマシン」が体内を循環し、診断・治療することができるように
●片岡一則さん(東京大学大学院工学系研究科教授)(後編)
がん治療における〝超新薬〟とも言うべき「ナノマシン」開発のリーダー、東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻教授の片岡一則さんに、鎌田さんが前号に引き続き、「ナノマシン」の将来展望について掘り下げた。驚いたことに、「ナノマシン」はがん治療のみならず、再生医療、認知症、動脈硬化などにも大きく貢献するという――。

【生き方】

私の生きる道 行司は声が命。命が助かっても、手術で声を失ったらおしまいなんです
2008年に食道がんの手術を経験した立行司第37代木村庄之助さん(65歳)
今年(2015年)3月、大相撲春場所・千秋楽の結びの一番は白鵬と日馬富士の横綱同士の対戦となった。両者を裁くのはこの日限りで50年の行司人生に終止符を打つ第37代木村庄之助である。「番数も、取り進みましたるところ。かたや、白鵬、白鵬。こなた、日馬富士、日馬富士。この相撲一番にて、千秋楽にござりまする」大相撲ファンに愛されたこの威厳に満ちた声は7年前に大きな危機にさらされる。食道がんが見つかり、まともに声を出せなくなるリスクが生じたのである。

がん闘病記 4 いつも誰かが助けてくれた
●伊藤充子さん(元塾講師)
心室細動、肺がん、夫の肺がん死、そして乳がん。あんまりじゃないの

【患者サポート】

がん相談 肝細胞がん・子宮がん・甲状腺がん
肝細胞がん●回答者:小池幸宏・関東中央病院消化器内科部長
子宮がん●回答者:織田克利・東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座生殖腫瘍学准教授
甲状腺がん●回答者:杉谷 巌・日本医科大学付属病院内分泌外科部長

症状別おすすめ・レシピ (2)貧血の方の鉄分強化メニュー
レシピ・料理製作●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室 管理栄養士
がん患者さんの中には、治療の影響や食事量の低下などが原因で貧血になる方がいます。鉄欠乏性貧血の場合は鉄分を多く含む食事を心がけましょう。

わたしの町の在宅クリニック
最期まで「生き切る」ことのお手伝いをしていきたい
●出水クリニック
出水 明さんが院長を務める出水クリニック(大阪府岸和田市)は、外来診療と並行して在宅診療を行っている。慣れ親しんだ家の中では患者さんではなく、家族として自分が果たす役割があり、それが結果的に患者さんが最期まで「生き切る」ことにつながるのではないか――。出水さんはそのためのお手伝いをしていきたいと話す。

聞いて! 私たち患者の声
スキルス胃がん患者さんだけでなく 正確な診断のためにも
●NPO法人 希望の会
2年前の2013年に健康診断を受けた轟さんは、病院から電話で呼び出され、スキルス胃がんのⅣ期で、手術はできませんと告げられた。情報を探すうち、スキルス胃がんの患者会がないことに気がつきます。そこで、昨年10月、患者会「希望の会」を立ち上げました。今年3月にはNPO法人化され、活動の幅を広げています。

がん哲学外来 今月の言葉「がんになっても与える喜びはある」
●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授
夫の行く末が不安で仕方ない(S・I さん、主婦 62歳)
1,222円
【血液がん/免疫療法特集】

1 多彩な種類、治療法も様々
血液がんの基礎、生存率の改善と最近の話題
監修●鈴木憲史 日本赤十字社医療センター副院長・血液内科部長
種類も治療法も多岐にわたる血液のがん。新しい治療薬の登場で、一昔前に比べて生存率も飛躍的に高まってきている。同時に解決を必要とする課題もまだ多く残されている。血液がんの基礎的な知識のまとめと、最近の話題を拾った。

2 「相談窓口の設立を」といった要望も
貴重な患者さんの声が明らかに!急性白血病治療後の患者QOL調査
監修●黒澤彩子 国立がん研究センター中央病院造血幹細胞移植科
新薬や移植などの治療法の改善により、白血病などの血液疾患を完治させるケースも増えており、最近ではいかに治療を終えた後のQOL(生活の質)を維持することができるかが問われるようになってきた。そうした中、国立がん研究センター中央病院造血幹細胞移植科では、急性白血病患者さんを対象に治療後のQOL調査を実施。回答内容を吟味することで、QOLを加味した治療の選択につながると、注目を集めている。

3 薬剤の使い分けが重要に
治療薬に新たにボスチニブが加わる 慢性骨髄性白血病の最新治療
監修●鈴木憲史 日本赤十字社医療センター副院長・血液内科部長
慢性骨髄性白血病(CML)は、近年の分子標的薬の登場で治療法が目覚しく進歩している。昨年(2014年)新たに2次治療、3次治療に有効なボスチニブが加わり、他にも新規薬剤の登場が待たれているが、完全治癒により薬を服用し続けなくてもよい時代の到来も決して夢ではなくなってきた。

4 最新治療と新薬の動向
悪性リンパ腫は病型によって化学療法や経過観察が選択肢に
監修●塚崎邦弘 国立がん研究センター東病院血液腫瘍科長
悪性リンパ腫には多くの病型があり、様々な臓器に生じ、それぞれ治療法も異なる。ここでは日本人に多いびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マルト(MALT)リンパ腫の3つのB細胞性リンパ腫を取り上げ、新薬も交えて、最新治療情報をリポートする。

5 貧血治療薬としてネスプも登場!
リスクに応じた治療戦略がカギ 骨髄異形成症候群の最新治療
監修●原田浩徳 順天堂大学医学部内科学血液内科准教授
正常な血液細胞が造られなくなる病気である骨髄異形成症候群(MDS)。完治させる唯一の治療法は造血幹細胞移植だが、たとえ造血幹細胞移植ができなくても、新たな薬の登場で、治療オプションは広がってきている。

6 移植の年齢が上がり、病気と付き合う時代に
新薬が次々に登場し、多発性骨髄腫の治療が変わる
監修●竹迫直樹 災害医療センター血液内科部長
多発性骨髄腫(MM)の治療戦略が大きく変わりつつある。これまで造血幹細胞移植は65歳以下の患者さんが適応とされてきたが、条件が整えば70歳でも移植を行う例が増えてきた。また、新規薬剤の登場で生存期間のさらなる延長が可能となり、薬を上手に使うことで病気と共存できる時代になってきた。

7 多方面からの研究と様々な臨床試験が進行中
再発予防やQOLの維持を目指すペプチドワクチン療法
監修●中面哲也 国立がん研究センター先端医療開発センター免疫療法開発分野長
がん治療では、外科療法、化学療法、放射線療法に続く第4の治療法として期待されている「がん免疫療法」だが、まだ標準治療とはなっていないのが現状だ。がん抗原の発見により、1990年代以降、副作用なくがん細胞だけをやっつける〝特異的免疫療法〟の時代となり、がんワクチン療法、抗体療法などの免疫療法の研究開発が盛んに行われてきた。その1つ、がん細胞だけに現れるがん抗原ペプチドを体外から注入し、ペプチドを目印に、細胞傷害性T細胞(CTL)にがん細胞を攻撃させるペプチドワクチン療法。延命効果や再発予防効果など、がん患者さんの期待は大きい。ペプチドワクチン療法の現状と今後の取り組みについて迫った。

8 ペプチドワクチンを用いた臨床試験
遺伝子変異由来の抗原を標的にした新規のがんワクチン療法
監修●笹田哲朗 神奈川県立がんセンター臨床研究所がんワクチンセンター長/がん免疫療法研究開発学部部長
従来のがんワクチン療法で使われていたのは、ほとんどが遺伝子変異のない自己抗原だった。そのため免疫原性が低く、十分な治療効果が得られなかったと考えられている。そこで期待されるのが、遺伝子変異由来のがん抗原だ。肺がん治療に使われるEGFR-TKI(上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬)に耐性となった患者さんの6割に、ある遺伝子変異が起きている。これを抗原としたワクチン療法の研究が進行中だという。

9 同治療を受けたい場合には、手術前に要相談
有効な治療成績も出てきた!肝がんの再発予防のための樹状細胞ワクチン療法
監修●小寺由人 東京女子医科大学消化器病センター外科医師
肝がんには大きく分けて、肝細胞がんと肝内胆管がんがあるが、両者ともに再発しやすく、たちの悪いがんと言えるだろう。この肝がんの再発予防を目的として、自己のがん組織を利用した樹状細胞ワクチン療法が効果を示しているという。

10 免疫クリニック探訪 最先端細胞加工施設を院内に保有する
NK細胞の優れた攻撃作用で、体に負担をかけずにがんを治療
監修●李 泰興 東京セルクリニック院長
免疫細胞療法とは、免疫細胞を体外で活性化させ、培養した細胞を再び体内に投与する治療法。東京セルクリニックのAKC(Autologous Killer Cell)免疫療法では、がん細胞を殺傷する能力の高いNK細胞を、600~1,800倍に増やして使用する。それによって免疫力が強化され、がんに対する治療効果を発揮するのだ。採血量が少なく、患者さん自身の免疫細胞を使うため、副作用はほぼないという。

【医療】

凄腕の医療人
他科とスクラムを組み、最良の治療を届けるための努力を惜しまない
凄腕の医療人●萬 篤憲 独立行政法人国立病院機構東京医療センター放射線科医長
前立腺がんに対する小線源療法の総本山とも称される国立病院機構東京医療センター。その黎明期から治療に携わってきたのが、放射線科医長の萬篤憲さんだ。放射線治療に関しては、マスコミの影響もあり、どうしても最先端の治療法や医療機器に目が行きがちだが、緩和ケアにも力を入れている萬さんは、放射線科や放射線科医がもつ本質的な要素にもっと目を向けて欲しいと訴える。

がんのチーム医療・施設訪問
充実した医療スタッフのもとで、層の厚い緩和ケアを提供
●聖路加国際病院緩和ケアチーム(東京都中央区)
都心の築地にある都内でも有数の大規模総合病院である聖路加国際病院。「最高の医療を最良のホスピタリティで」をモットーとする同院では、がん患者に対して、治療と緩和ケアを並行して進める、いわゆる「パラレルケア」を提唱している。同院の緩和ケアチームの1日の活動に密着した。

がん看護専門看護師山田みつぎの 副作用はこうして乗り切ろう!
2 抗がん薬治療中の吐き気
監修●山田みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長
抗がん薬治療はひどい吐き気を伴う、と決め込んでいませんか?今は、治療前に適切な制吐薬を使うことで、吐き気そのものをかなり抑えられるようになりました。大切なのは、その人に合った制吐薬にたどりつくことです。

患者のためのがんの薬事典
ネクサバール(一般名:ソラフェニブ)分化型甲状腺がんの治療薬
監修●杉谷 巌 日本医科大学付属病院内分泌外科部長
手術による切除が、分化型甲状腺がん治療の第一選択です。切除後は補助療法として、放射性ヨウ素治療、甲状腺ホルモン治療が行われます。進行が遅く、切除できれば予後も良好な場合がほとんどですが、中には治療に抵抗する例が少数ながらあります。そのような場合に用いる治療薬が、昨年(2014年6月)甲状腺がんに対する薬剤で初めて保険適用になった分子標的薬のネクサバールです。

【対談】

鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談
「ナノマシン」はがん細胞にとって「トロイの木馬」のようなもの
●片岡一則さん(東京大学大学院工学系研究科教授)(前編)
東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻の片岡一則教授が、がん医療に「革命」を起こそうとしている。ナノ技術を応用した「ナノマシン」により、がん細胞にピンポイントで抗がん薬を投与するシステムを開発し、治験の最終段階に入っているのだ。がん患者さんに福音をもたらす「ナノマシン」、鎌田さんが2回にわたって聞いた——。

【生き方】

私の生きる道 ホルモン薬でも副作用はある ためらわないで、相談してもいいのだよ
乳がんホルモン療法の副作用で、うつ状態も体験したと語るジャズピアニストの国府弘子さん(55歳)
「抗がん薬は副作用で大変ということを聞いていましたが、ホルモン薬でこんなにも大変だということは知りませんでした」。こう語るのはジャズピアニストの国府弘子さん。国府さんはホルモン薬の副作用でうつを経験。だからこそ、同じようにホルモン療法で苦しんで我慢している人に「主治医の先生にそのことを言ってもいいのだよ。相談してもいいのだよと伝えてあげたい」と語っている。

がん闘病記 3 いつも誰かが助けてくれた
●伊藤充子さん(元塾講師)
心室細動、肺がん、夫の肺がん死、そして乳がん。あんまりじゃないの

【患者サポート】

がん相談 胃がん・大腸がん・膵がん
胃がん●回答者:山口俊晴・がん研有明病院副院長/消化器センター長
大腸がん●回答者:大矢雅敏・獨協医科大学越谷病院外科教授
膵がん●回答者:神澤輝実・都立駒込病院副院長

症状別おすすめ・レシピ (1)消化器がん術後の方の食事
レシピ・料理製作●渡邊太一 国立がん研究センター東病院栄養管理室 管理栄養士
消化器の手術をした方は消化吸収力が低下し、嘔吐、つかえ、胸やけ、むかつきなどのトラブルが起こりがちです。消化の良い食品を選び、よく噛んでゆっくり食べましょう。

わたしの町の在宅クリニック
病気はもちろんのこと、患者さんやご家族の困り事にも耳を傾けサポート
●深澤りつクリニック
横浜市営地下鉄ブルーライン線センター北駅から歩いて2分。ビルの3階に深澤りつクリニック(神奈川県横浜市)は場所を構える。院長の深澤 立さんがクリニックを開業したのは2006年4月。開業当初から、外来診療と在宅診療を並行して、患者さんの治療にあたっている。

聞いて! 私たち患者の声
患者目線のがん療養手帳を作りたい
●NPO法人がんフォーラム山梨
2006年にがん対策基本法が成立して以来、各自治体でがん対策への取り組みが進んでいます。この法案を「絵に描いた餅にしたくない」と、乳がん患者会「山梨まんまくらぶ」の代表 若尾直子さんは、「NPO法人がんフォーラム山梨」を設立し、市民フォーラムの開催や患者さんを対象にした勉強会などを開催してきました。今年(2015年)はさらに山梨県との協議により部位別がん療養手帳「わたしの手帳」を作り、山梨県の医療環境の更なる向上を目指しています。

がん哲学外来 今月の言葉「ときには沈黙が金になる」
●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授
妻を亡くした同僚を励ましたい(A・T さん、会社員 60歳)
1,222円
【緩和ケア特集・漢方治療特集】

1 緩和ケアの基礎知識 言葉の意味を正しく理解する
緩和ケアとは患者・家族のつらさを和らげ、より豊かな人生を送れるように支えること
監修●林 章敏 聖路加国際病院緩和ケア科部長
緩和ケアに関してはいまだに誤解が多く、がんの終末期のケアと考えられがちだという。体や心の苦痛を取り除き、より豊かな人生を送れるように、患者さんやその家族を支えていくのが緩和ケアである。正しく理解してもらうための基礎知識をまとめてみた。

2 新たなレスキュー薬で、疼痛コントロールの選択肢も増加
いかに上手く痛みを表現できるかで、質の高い疼痛治療が受けられるかが決まる!
監修●余宮きのみ 埼玉県立がんセンター緩和ケア科科長
緩和ケアで使われる薬の種類は多くなり、様々な痛みに対応できるようになってきた。だからこそ、自分の痛みを上手く医師に伝えることが重要だと専門家は話す。それによって質の高い疼痛治療が受けられるかどうかが決まるからだ。

3 『患者さんと家族のためのがんの痛み治療ガイド』を解説
痛み治療はがん治療の一部。患者さんは痛みを積極的に訴えることが大事
監修●佐藤哲観 弘前大学医学部附属病院麻酔科緩和ケア診療室講師/診療教授
麻薬系鎮痛薬に対する患者さんの誤解は未だに多い。そうした中、2014年に発刊されたのが、日本緩和医療学会が作成した『患者さんと家族のためのがんの痛み治療ガイド』だ。これは、患者さんや家族に向けて初となるがんの痛み(がん性疼痛)治療に関するガイド。痛み治療はがん治療の一部であり、患者さんは積極的に痛みを訴えて欲しいと専門家は話す。

4 がん性疼痛に対する神経ブロック 効果が高く副作用が少ない
がんの痛みを取り除く神経ブロック療法
監修●安部洋一郎 NTT東日本関東病院ペインクリニック科部長
がん性疼痛に効果を発揮するのは、薬だけではない。神経ブロックという方法がある。痛みの信号を遮断して、感じなくさせる方法だ。疼痛薬は全身に作用するため便秘や眠気などの副作用も生じるが、神経ブロックにはそれらがなく、ADL(日常生活動作)を上げる効果もあるという。

5 終末期の栄養 「悪液質」の進み具合と食事の関係
がん終末期は時期に適した栄養管理が必要
監修●吉川貴己 神奈川県立がんセンター消化器外科部長
がん患者さんにとって食事はQOL(生活の質)を左右する重要なもの。がんが進行すると、がん特有の代謝異常によって「悪液質」になり、著しい体重減少が起こると言われている。「悪液質」とはどんな病態か、終末(ターミナル)期はどのように栄養をとればいいのか、食事のサポートのしかたも含めて専門医に伺った。

6 緩和ケアセンターのあり方 それぞれの専門性を活かした医療提供
地域連携も含めた切れ目のない緩和ケアを目指す
監修●服部政治 がん研有明病院緩和ケアセンター緩和・がん疼痛治療部長
全国各都道府県のがん診療連携拠点病院に「緩和ケアセンター」を整備することが、2016年3月までという期限付きで厚生労働省から通達された。緩和ケアセンターはがん患者さんをどう支えていくのか、医療者側の専門性はどう生かされるのか。厚労省が出した「新指針」の解説と、緩和ケアセンターのあり方を専門医に伺った。

7 がん治療における漢方 がん治療の補完療法としての役割
エビデンスの認められた漢方薬をがん患者さんへ届ける!
監修●上園保仁 国立がん研究センター研究所がん患者病態生理研究分野長
西洋医学の進歩により、がん患者さんの治療やQOL(生活の質)は大きく改善されてきた。ところが、その一方で治療中の不調や副作用などに悩む患者さんが数多くいる。そんな中、エビデンス(科学的根拠)の認められた漢方薬で症状を緩和したいという医師や患者さんが増えてきている。

8 副作用対策としての漢方薬 抗がん薬のつらい副作用は我慢しない
医師や認定薬剤師に相談して、正しい漢方薬の使い方を
監修●伊東俊雅 東京女子医科大学東医療センター薬剤部薬剤副師長
漢方薬に抵抗感を持つ医療関係者や患者さんは多い。しかし、医師や薬剤師による適切な薬剤の選択があれば、抗がん薬治療などによる副作用を大きく減らすことができる。治療と副作用ケアは表裏一体だ。漢方薬の正しい使い方について専門家に聞いた。

9 漢方外来 合併症の緩和と治療後の体調管理を図る
手術や抗がん薬投与前からの漢方薬服用も有効
監修●林 明宗 神奈川県立がんセンター漢方サポートセンター長
がんに対する漢方薬による治療というと抵抗感がある人もいるかもしれないが、抗がん薬治療や放射線治療の合併症の緩和には有効なことが多く、保険適用で受診できる。がん領域における漢方医療で先駆的な取り組みを続ける神奈川県立がんセンターの現況を聞いた。

【医療】

凄腕の医療人
第一線を退いても地域医療の現場から女性のための医療を実践し続ける
凄腕の医療人●上坊敏子 独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)相模野病院婦人科腫瘍センター長
女性の病気、中でも婦人科がんと長年向き合い続けてきた女性医師が、相模野病院婦人科腫瘍センター長の上坊敏子さんだ。子宮体がんの黄体ホルモン療法の第一人者として、数多くの女性の子宮を守り、妊娠に導き、幸せを授けてきた。現在も日々、地域医療の現場から女性のための医療を実践し続ける。

がんのチーム医療・施設訪問
チーム一団となって患者さんの栄養状態改善に対処
●東京慈恵会医科大学附属第三病院(東京都狛江市)
東京都の市で最も小さく、全国でも(埼玉県蕨市に次いで)2番目に小さい市である狛江市。市の南西~南部を多摩川が逆S字型のカーブを描きながらゆっくりと流れる。都区内への通勤率は約48%と高く、典型的なベッドタウンである。しかし地元に住む高齢者も多く、それら高齢者の医療の担い手となっているのが、東京慈恵会医科大学附属第三病院だ。地域医療の中核を担う総合大学病院として、多彩な診療部門を備えている。

がん看護専門看護師山田みつぎの 副作用はこうして乗り切ろう!
1 抗がん薬治療中の口内炎
監修●山田みつぎ 千葉県がんセンター看護局通院化学療法室看護師長
抗がん薬、分子標的薬、放射線治療による副作用対策のポイントを、がん化学療法認定看護師、がん看護専門看護師の山田みつぎさんが、看護師の視点から紹介します。第1回目は、抗がん薬治療中によく起こる口内炎のセルフケアについてです。

患者のためのがんの薬事典
卵巣がんのTC療法 タキソール(一般名パクリタキセル) カルボプラチン/パラプラチン(一般名カルボプラチン)
監修●尾松公平 がん研有明病院婦人科
卵巣がんの標準治療は、90年代前半のエンドキサンとシスプラチンの併用療法(CP療法)に代わり、90年代後半にタキソールとシスプラチンの併用療法(TP療法)の登場により高い効果が得られるようになりました。さらに、タキソールとカルボプラチンの併用療法(TC療法)はTP療法と比べて効果は同じでも副作用が少ないという臨床試験結果が示されました。その結果、現在ではTC療法が標準的治療として世界中で推奨されています。

【対談】

鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談
がんと闘う免疫力を上げるには腸内環境を整えることが大切
●辨野義己さん(理化学研究所特別招聘研究員)
〝STAP細胞〟事件で耳目を集めた特別行政法人・理化学研究所で、全世界から8,500 件からの大便を集めて、腸内細菌の役割を調べている特別招聘研究員がいる。その名も辨野義己(べんの・よしみ)さん。腸には免疫細胞の6割が集中し、「21世紀は腸の時代」と力説する辨野さんに、鎌田さんが切り込んだ――。

【生き方】

私の生きる道 4度のがんからの生還――。自分にしかできない「がんコント」を
大腸がん、肺がん、胃がん、小腸がんを経験し、お笑いの舞台に戻ってきた芸人・城後光義さん(65歳)
大腸がん、肺がん、胃がん、小腸がん――これまで4度のがんを経験して、「価値観は大きく変わりました。生きることが趣味になりました!」。こう笑いながら話すのは、かつて「ゴムぱっちん」で一世を風靡したお笑いコンビ・元ゆーとぴあのホープこと城後光義さんだ。自らのがん体験をも笑いに変えてしまう、最後の昭和芸人の生きざまを追った。

がん闘病記 2 いつも誰かが助けてくれた
●伊藤充子さん(元塾講師)
心室細動、肺がん、夫の肺がん死、そして乳がん。あんまりじゃないの

【患者サポート】

がん相談 肺がん・食道がん
肺がん●回答者:坪井正博・国立がん研究センター東病院呼吸器外科長
食道がん●回答者:出江洋介・都立駒込病院食道外科部長

がんとボクと先生と (10)ボクにとって大事件発生!
●福原正美(言語学講師)/織畑剛太郎(おりはた乳腺胃腸パラスクリニック院長)
ある日、突然がん患者になった言語学講師の福原正美さんが、主治医の織畑剛太郎さんとどうコミュニケーションを取りながら、がんと向き合っていったのか──。肝転移の手術後、また抗がん薬治療がはじまったら……。

わたしの町の在宅クリニック 病院と常に連携し、臨機応変な対応で患者さんをサポート
●川崎高津診療所
「在宅に移るということは病院とのお別れではない。主治医は何人いてもいいのです」。こう話すのは、神奈川県川崎市にある川崎高津診療所の院長・松井英男さんだ。病院と常に連携し、患者さんや家族の希望、患者さんの身体の状態から判断して、臨機応変な対応でサポートしてくれる。

私が目指すがん医療
仕事という「生きがい」を保てる体制づくりを医療者側からサポート
●門山 茂さん 東京労災病院脳神経血管内治療科部長/治療就労両立支援センター部長
治療と仕事の両立が難しいなどで、がん罹患後に離職する人はまだまだ多い。そんな中、東京労災病院は2012年、治療就労両立支援センターを設け、関連病院との協力体制のもと、がん患者さんの治療と職業の両立支援を始めている。同センター両立支援部部長としてがん分野を担当する医師が、門山茂さんだ。

がん哲学外来 今月の言葉「がんは親しい人を大きく育てる」
●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授
家族に発病を伝えられない(S・O さん、主婦 43歳)
1,222円
【最新乳がん・婦人科がん特集】

1 乳がん骨転移の基礎知識 定期的な検査で症状の悪化を防ぐ
乳がん骨転移は段階的な治療のリレーで対応
監修●川井 章 国立がん研究センター中央病院希少がんセンター長/骨軟部腫瘍・リハビリテーション科外来医長
乳がんは骨に転移しやすい。そのため多くの乳がん患者さんは、腰痛、膝痛などがあると、骨転移を疑って不安になりがちだ。骨転移とはどんな症状なのか、受診の目安は何か、骨粗鬆症との違いは何かなど、腫瘍専門の整形外科医に伺った。

2 閉経前乳がんに対する術後ホルモン療法 大規模臨床試験SOFTから明らかになったこととは?
閉経前乳がん患者さんには、リスクに応じたホルモン療法が重要
監修●木下貴之 国立がん研究センター中央病院乳腺外科科長
手術後、再発を予防するための治療として、ホルモン療法は重要な役割を果たす。とはいえ、ホルモン療法にも副作用はあり、闇雲に行えばいいというものではない。再発リスクに応じた薬剤投与が重要になってくる。

3 トリプルネガティブ乳がんの治療 新しいサブタイプ分類が開く治療の可能性
トリプルネガティブ乳がんに、PARP阻害薬、PD-1阻害薬などの新薬も登場
監修●向井博文 国立がん研究センター東病院乳腺・腫瘍内科医長
ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)受容体、HER2タンパク受容体がいずれも陰性のトリプルネガティブ乳がん。これまで治療法の少ない、予後不良の乳がんと考えられてきた。しかし、トリプルネガティブ乳がんは、非常に多種多様なものが雑多に集ったものの総称であり、近年、最新の分子生物学的手法を用いてサブタイプに分類し、そのサブタイプごとに有効な治療法を探し出そうという動きが高まっている。最新の研究内容を専門医に伺った。

4 抗がん薬の副作用対策 より強度の高い治療も選択肢に
乳がん化学療法による発熱性好中球減少を防ぐ新薬
監修●上野貴史 板橋中央総合病院外科医師
抗がん薬を投与する際に副作用として起こりうる好中球減少による発熱症状を対象とした新薬が承認された。より強い抗がん薬を使えるようになると期待する関係者も多いが、適応には慎重を期すべきとする意見もある。

5 がん性皮膚潰瘍臭の治療薬 95%以上の患者さんで「臭いが改善した」との報告も
もう悩まない! がん性皮膚潰瘍の臭いに効く薬が近々登場
監修●渡部一宏 昭和薬科大学准教授
がんが皮膚表面に現れ、潰瘍を形成し、強烈な臭いを発することがある。これを「がん性皮膚潰瘍臭」というが、がんの中でもとくに乳がんの患者さんで見られるケースは多く、この臭いは身体的にも精神的にも患者さんの大きな負担となっていた。そうした中、この臭いを改善する薬が日本で初めて承認された。臭い改善率は95%以上という非常によい成績が出ているという。

6 乳がん画像診断 日本人に多い高濃度乳腺
マンモグラフィ検診で乳がんの見逃しを避けるには
監修●戸﨑光宏 亀田京橋クリニック診療部部長(画像センター長・健康管理センター長)
日本人の乳がん罹患率は12人に1人と言われている。にもかかわらず、乳がん検診の受診率は欧米に比べて低く、発見したときには進行しているケースが少なくない。そのため日本人にとって有効で、個々に適した乳がん検診のシステムを求める声が上がっている。

7 子宮頸がんの放射線療法 周辺臓器への副作用を最小限に、局所制御効果はより高く
子宮頸がんの3次元画像誘導小線源治療
監修●田巻倫明 埼玉医科大学国際医療センター放射線腫瘍科講師
子宮頸がんは、予防や早期発見の試みがなされているがんではあるが、進行例や再発した場合では、予後は厳しい。治療の精度を上げるために、放射線治療の方法も様々に工夫されている。その1つが3次元画像誘導小線源治療だ。どのような腫瘍に対し、より効果が高いのか、豊富な実践例をもつ施設の専門医に聞いた。

8 卵巣明細胞腺がん 効果が期待できるが、副作用にも要注意
卵巣明細胞腺がんに対する分子標的薬の治療効果に期待
監修●織田克利 東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座生殖腫瘍学准教授
罹患者数が増加している卵巣がんの中でも、日本人にとくに多いのが卵巣明細胞腺がんだ。早期に発見されることが多いにもかかわらず、予後が悪いことで知られるが、新しい対処法も探られている。婦人科がんに詳しい専門医に最新情報を聞いた。

9 卵巣がん治療の最前線 従来の抗がん薬とは異なる治療効果が期待
難治性の再発・進行卵巣がんに、抗PD-1抗体薬を用いた新しい免疫療法
監修●濵西潤三 京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学助教
プラチナ製剤耐性の再発進行卵巣がんは、難治性で有効な治療選択肢も少ないため、早期の治療法開発が求められている。京都大学医学部附属病院産科婦人科では、「抗PD-1抗体薬」を用いた免疫療法の医師主導第Ⅱ相臨床試験(治験)を実施した。どのような治療法なのか、治験責任医師である濵西潤三さんに話を聞いた。

【医療】

凄腕の医療人
大腸がん治療の全国的な底上げを目指すオピニオンリーダー
凄腕の医療人●杉原健一 光仁会第一病院院長/東京医科歯科大学特任教授
大腸がん治療のオピニオンリーダーとして、臨床現場のみならず研究分野、ガイドライン作成の主導による治療指針の構築など、常に大腸がん治療の最前線で理論的な支柱としての役割を担ってきた。国際的な舞台での活躍から地域の高齢者医療まで、幅広いレンジで活躍し続ける、心優しき名医だ。

がんのチーム医療・施設訪問
患者さんの期待に応えるために院内スタッフ全員が唱える「ルール遵守と確認行動」
●がん・感染症センター都立駒込病院(東京・文京区)
患者さんの信頼を得た上での治療を行うときに土台となるのが「安全」だ。がん・感染症センター都立駒込病院では、ある〝ヒーロー〟の力を借りて、「安全」の確立・徹底に努めている。同院医療安全対策室の独自の取り組みを紹介する。

第3回日本HBOCコンソーシアム学術総会・市民公開シンポジウム
いま知りたい「遺伝性乳がん卵巣がん」
文●「がんサポート」編集部
女優アンジェリーナ・ジョリーさんの 〝予防的乳房切除〟で、日本でも俄然注目度の高まった「遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)」。欧米では、その経緯に至るまでの医療(診療)システムが完備しているが、日本ではまだ不備な点が多く、患者・家族を含め医療界全体での疾患に対する認識とスタッフを含めたシステム作りが叫ばれている。先ごろ東京で開かれた第3回日本HBOCコンソーシアム学術総会・市民公開シンポジウムでは、HBOCに詳しい国内外の専門家らが講演を行った。

患者のためのがんの薬事典
肺がんのALK阻害薬 ザーコリ(一般名クリゾチニブ) アレセンサ(一般名アレクチニブ)
監修●西尾誠人 がん研有明病院呼吸器内科部長
非小細胞肺がん(NSCLC)の治療は、分子標的薬の登場で大きく進歩しました。ALK阻害薬は、非小細胞肺がんの約5%を占めるALK融合遺伝子をもつ肺がんに対し、高い治療効果を発揮します。2012年に認可されたザーコリに続き、14年には第2世代薬のアレセンサも登場。従来の化学療法とALK阻害薬をどう組み合わせていくかの検討が進められています。

【対談】

鎌田實の「がんばらない&あきらめない」対談
自分と自分以外の生き物の連環を考えるようになりました
●山口ミルコさん(作家)
乳がんの抗がん薬治療の顛末を綴った『毛のない生活』の著者・山口ミルコさんが、昨年末、『毛の力』という本を出した。タイトルは〝毛つながり〟だが、こんどは極東ロシアのタイガの森に棲むという、かつて高級毛皮として珍重されたクロテンを追い求める話だ。鎌田対談のゲストは2度目、話は大いに弾んだ。

【生き方】

私の生きる道 大腸がんのおかげで、今生きています
ステージⅢの大腸がんと骨病変前立腺がんを乗り越えて活躍するサクソフォン奏者・苫米地義久さん(70歳)
「がん運」というものがあるとすれば、サクソフォン奏者として知られる苫米地義久さんは非常に「がん運」がいい方だ。直腸がんと前立腺がんを経験しているが、直腸がんは「人運」がよかったため末期になる前に発見できた。前立腺がんは発見が極めて難しいタイプだったが、「病院運」に恵まれて見つけることができた。苫米地さんはどのような「運」に恵まれたのだろう?

がん闘病記 1 いつも誰かが助けてくれた
●伊藤充子さん(元塾講師)
心室細動、肺がん、夫の肺がん死、そして乳がん。あんまりじゃないの

【患者サポート】

がん相談 放射線治療・血液がん・乳がん
放射線治療●回答者:全田貞幹・国立がん研究センター東病院粒子線医学開発分野
血液がん●回答者:鈴木憲史・日本赤十字社医療センター副院長・血液内科部長
乳がん●回答者:上野貴史・板橋中央総合病院外科医師

がんとボクと先生と (9)がんについて疑問がいっぱい
●福原正美(言語学講師)/織畑剛太郎(おりはた乳腺胃腸パラスクリニック院長)
ある日、突然がん患者になった言語学講師の福原正美さんが、主治医の織畑剛太郎さんとどうコミュニケーションを取りながら、がんと向き合っていったのか──。肝転移の手術も終わって、いろいろ疑問がでてきます。

わたしの町の在宅クリニック 患者さんにふわっと寄り添いしっかり支える
●さくらいクリニック
90年代、訪問診療の黎明期から病診連携による在宅ターミナルケアに取り組んできたさくらいクリニック(兵庫県尼崎市)の院長・桜井隆さん。家に帰りたいという意思表示があれば大抵願いは叶うという。「とりあえず帰って様子を見て、ダメならまた入院するという気持ちでスタートしてもいいのです」と話す。

聞いて! 私たち患者の声
病児のきょうだいが楽しめる空間を作りたい
●NPO法人「こどものちから」
難病の子どもがいると、親はどうしてもその子を最優先してしまいがち。病院で親が付き添っている間、きょうだいの面倒を見てくれる人がいたら親は安心でき、子どもも楽しく過ごすことができます。NPO法人「こどものちから」は、親と一緒に病院に来た病児のきょうだいを預かり、病児と家族を支える活動をしています。

私が目指すがん医療
薬剤師も看護師も医療秘書も……チーム全員の高いレベルの仕事が最良の治療をもたらす
●川口英俊さん 松山赤十字病院乳腺外科部長
全国でもまだ珍しい全科統一のCDTM(医師と薬剤師による共同薬物治療管理)を実施している松山赤十字病院(愛媛県)の乳腺外科医・川口英俊さんは、このシステムをさらに発展させた〝薬剤師外来〟などの様々なアイデアでチーム医療を推進、成功させている。取り組みの内容や、チーム医療への思いなどを伺った。

がん哲学外来 今月の言葉「がんは人間力を高めるチャンス」
●樋野興夫・順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授
がんになって自分に自信を失った(T・Y さん、会社役員 59歳)

がんサポートの内容

信頼度NO.1のがん実用誌!がんと生きるすべての人を応援します。
がんサポートは、世界最新の科学的根拠(エビデンス)に基づいた視点から、良質な正しい医療情報を厳選し、提供していきます。エビデンス(Evidence)とは、根拠があって明白な証拠、を意味する英語。常に信頼の置ける情報と知識を提供することを使命と考えます。がんサポートは、がん患者さん・ご家族の方々の求めに応えるために、がん患者さんやがん患者団体の代表の方に企画に参加していただき、と同時にがん患者(読者)参加記事をできるだけ多くして、患者さんと共に考え編集していく考えです。患者さんにやさしい雑誌にしようと、できるだけ軽くて、環境にもやさしい用紙を用い、文字も大きくしました。「役立つ・読みやすい・わかりやすい・支え・癒し」をモットーに編集していきます。

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