目次
特集・放射線治療を第1選択に
手術や抗がん剤よりも、放射線を利用したいがん
形態や機能を温存し、体への負担も少ない患者にやさしい治療
文●西尾正道 北海道がんセンター統合診療部長
確かに放射線はさまざまな障害をもたらす。しかし、その先入観やイメージだけで怖がるのは、損だ。この10年、放射線技術は大きな飛躍を遂げ、がん以外の部分へのダメージを最小限にとどめ、がん病巣だけをたたくという、ピンポイント照射を生み出し、患者にやさしい治療へと変身した。と同時に、もう一方では、抗がん剤の力を借りて自らの効果を大きく引き上げるという離れ業を行い、常識を破った。この放射線の力を見直し、がん治療に利用しなければ患者さんは損してしまう。
放射線の強度を変えた照射で、副作用が大きく減少
X線の最先端技術・IMRTの成果
監修●溝脇尚志 京都大学放射線科講師
放射線のピンポイント照射の第2弾は、IMRT。IMRTは、強度変調放射線治療の略称。放射線の強度を変えることによって正常組織を避けて病巣を狙い撃ちするところが、他の放射線治療と大きく異なる。そのため、コの字型のような複雑な形のがんにもピンポイントで照射でき、周囲の組織へのダメージは最小限にとどめることができる。現に、このIMRT治療の先駆けである京都大学では、主に前立腺がん、ことに3期の進行がんで大きな成果を上げており、副作用が大きく減少している。
ガンマナイフやIMRTをも凌ぐ放射線治療
頭頸部がん等、放射線の可能性を広げるノバリスの成果
監修●大西寛明 浅ノ川総合病院脳神経外科部長
ンポイント照射の第3弾は、ノバリス。ドイツのブレインラボ社が開発した、IMRTを凌ぐ高精度・高機能のX線発生装置、リニアックだ。ガンマナイフが苦手の3cm以上の腫瘍や視神経、脳幹に接する危険な部位の腫瘍でも苦痛なく、安全に治療でき、いびつな形の腫瘍にも威力を発揮して、放射線治療の可能性を広げている。日本で初めてこのノバリスを導入した浅ノ川総合病院で、導入約1年の成果を聞いた。
7センチ大の2期肺腫瘍が消滅。3年半が経ち、転移、再発もない
深いがん、大きいがんでも一点に狙い撃ちする陽子線治療
監修●荻野 尚 国立がんセンター東病院陽子線治療部部長
取材・文●高田昌彦
がん治療における放射線療法の躍進はめざましいものがあります。その中でも注目されているのが陽子線治療です。ピンポイントで腫瘍だけに強力に放射線を照射することができます。そのため病巣への効果が強く、正常組織への障害が少ないという大きな特徴があります。陽子線治療を開始して7年目の国立がんセンター東病院陽子線治療部長の荻野尚さんに、治療の成り立ちと最新の治療成績について聞きました。
体と心をケアする処方箋
放射線治療による副作用とその対策
皮膚炎には軟膏を、膀胱炎や下痢なら十分に水分を補給しよう
監修・アドバイス●山下浩介 神奈川県立がんセンター放射線治療科医長
取材・文●池内加寿子
患者さんにとって放射線治療という未知の世界への恐れや不安は大きく、副作用は最も気になるところです。いたずらに不安がらないためにも、どんな副作用が起こる可能性があるのか、正しい予備知識を持ち、万一症状がみられたら、日常生活に注意して早めに受診することが大切です。放射線治療の専門家で、患者さんのQOL(生活の質)にも関心を寄せる山下浩介さんにアドバイスしていただきました。
—————————————————以上特集———————————————
臓器別、進行別がんの標準治療 悪性リンパ腫編
分子標的薬の出現で大きく飛躍した悪性リンパ腫の治療法
監修●堀田知光 東海大学医学部長
取材・文●祢津加奈子 医療ジャーナリスト
悪性リンパ腫は白血球の中のリンパ球ががんになる病気です。が、この病気はわかりにくいという人が少なくありません。その理由は、まず、固形がんとは違って、全身のいたるところから生まれ、症状も多様であるためと思われます。さらに、悪性リンパ腫の種類、タイプが多く、しかもそれによって治療法も異なっているからと考えられます。しかし、患者さんが適切な治療を受けるためには、このわかりにくさから脱し、病気について正しく理解していくことから始まります。
注目の医療 Part2
前立腺がんのホルモン療法
精巣だけでなく、副腎からの男性ホルモンも抑制するMAB療法の効果と課題
監修●植村天受 近畿大学泌尿器科教授
前立腺は男性ホルモンによって増殖する臓器です。したがって、そこにできる前立腺がんも男性ホルモンの影響を受けて増殖します。そこで、その男性ホルモンの働きを抑制してがんを治療しようという方法が、ホルモン療法です。そのホルモン療法にも、様々な方法と歴史があります。その最新成果を報告します。
腫瘍内科の第一人者、渡辺亨が医療サポートする 乳がん骨転移編-3
新世代ホルモン剤とビスフォスフォネート剤で乳がん骨転移との長期共存生活へ
チームリーダー●渡辺 亨 医療法人圭友会浜松オンコロジーセンター長
12年前に手術した乳がんが骨に転移した小学校教員の村山佳代子さん(52歳)は、薬物治療の専門家の意見を求めてW大学腫瘍内科に転院した。新世代のホルモン剤と骨転移治療薬として新登場のビスフォスフォネート製剤を取り入れた治療が始まる。乳がんの再発という重い現実の中で、村山さんは新しい治療法の恩恵を感じることができた。
腫瘍内科の第一人者、渡辺亨が医療サポートする 食道がん編―3
食道を残そうと化学放射線療法を選んだのが奏功した
サポート医師●大津敦 国立がんセンター東病院内視鏡部長
ステージ1の食道がんにかかりながら、「なんとか食道を残したい」と考えた藤野憲一さん(56歳)が選んだ治療法は、化学放射線療法だった。治療の結果、一度はがんが消え、「完全寛解」を告げられる。しかし、1年後に局所に再発が発見される。果たして藤野さんの治療選択は正しかったのだろうか。
特別対談 日本のがん医療を考える
全てのがんには個性がある
養老猛司×中川恵一
人間には寿命があり、いつか死ぬ。当たり前のことだが、現代人はこのことを自然なこととして受け止めなくなっている。なぜなのか。『バカの壁』『死の壁』のベストセラーを生み出した元東大教授で解剖学者の養老孟司さんと、放射線治療、緩和ケアの第一人者である東大医学部助教授の中川恵一さんに、その点を医学的、文化論的、哲学的な面から縦横に語り合ってもらった。
「がんばらない」医師
鎌田實とがん患者の
こころの往復書簡 —第3回
「小さなトラブルを1つずつ克服しながら、毎日をできるだけ楽しく過ごしていこうと思います」
「今日まで、逃げずによく戦ってきました。自分自身にご褒美をあげて一休みしましょう」
未承認薬のドキシルとジェムザールの併用療法でがんに挑んだ金子さん。目立った副作用もなく、初回の治療は終了しましたが問題が発生してしまいます。未承認薬の使用に続き、金子さんは再び決断を迫られました。その決断を、鎌田さんは、実に見事だと讃えます。
がんに負けない安保免疫学実践講座 8
免疫力を高める生活法(原理編)
―現代生活の中でも自然のリズムに合わせて暮らそう―
文●柴田年彦(ヘルスプログラム研究所代表)
私たちは、免疫力そのものをコントロールしたり、高めたりは出来ません。
しかし、生き方やライフスタイルを通して、自律神経を操縦することが出来ます。仕事や家事、食事、運動、睡眠、趣味などでの対応が、その手段になります。がんを発病された方の多くは、交換神経優位の生活を長く続けていたのです。方法を知り、決意のもとに継続することで、副交感神経とのバランスを回復できます。意図的に、自律神経がしなやかにオン・オフ出来るように訓練しましょう。自律神経の正常化が免疫力を高め、がんを退縮させ、そして根治も可能になるのです。
いのちの食・養・卓
ミネラル豊富な野菜を使った秋メニュー
がんが扉を開いて
「病気という素敵な物語」
文●まつばらけい
「いいなぁ。僕もがんになれたら、あなたみたいな本が書けるのに」。日赤看護大学で「納得の医療、納得の人生を探して」と題してお話しをさせていただいた今年4月2日、講演後の交流の時間の際のこと。医療文化人類学を専攻しているらしい教員の方が、いかにも実感たっぷりの言葉を漏らされたのを耳にして、苦笑いしてしまった。(いいなぁ、なれたら?)。う〜ん。ならないで済むなら、それに越したことないと思うけど。赤々とした出血。激痛。不安。焦燥。メス。点滴。傷。白衣や白壁、白いベッドの白々とした世界。心配そうな家族や友人たち・・・・・・。瞬間的にフラッシュバックする。でも、確かに、そうかもしれない。見方を変えたら。がんにならなければ、紡ぎ出せない言葉がある。
患者のための抗がん剤事典20
UFT(一般名テガフール・ウラシル)
非小細胞肺がんの術後補助療法で延命効果が認められた初の抗がん剤
監修●畠清彦 癌研有明病院化学療法科部長
文●水田吉彦
UFTは、5-FUという抗がん剤を改良した飲み薬(経口抗がん剤)です。その用途は大変に広く、頭頸部がん、肺がん、乳がん、胃がん、結腸・直腸がん、肝臓がん、胆管がん、胆のうがん、膀胱がん、前立腺がん、子宮頸がんの治療に使われています。最近の明るい話題として、非小細胞肺がんの手術後にUFTを投与すると、生存期間の延びることがASCO(米国臨床腫瘍学会)で発表されました。今回は、そのデータを中心に解説しましょう。
がん早期発見のためのガイドライン
年齢とリスクを考慮し適切な時期に検診を
文●佐鳥麻美
監修●岩瀬哲 キャンサーネットジャパン科学ディレクター
米国がん協会(ACS)は、5年前から早期発見のために推奨できることを要約し、毎年発行しています。2005年版では、現行のガイドラインの要点をまとめ、がん検診関連の最近の科学的根拠と政策変更、米国疾患管理・予防センター(CDC)のデータベースから年齢・性・保険状況別のがん検診受診率についての情報が更新されました。今回は、このうち、がん検診のまとめと更新された情報についてご紹介します。
抗がん剤治療の賢い受け方 PART3
不安やストレスを軽減する心のサポートの重要性
正しく理解することから始まる、症状緩和のセルフケア
監修●飯野京子 国立看護大学校成人看護学教授
取材・文●林義人
抗がん剤治療を受ける患者は、副作用ばかりではなく、「つらくなるのではないか」「薬が効かないのではないか」「苦痛がいつまで続くのか」といった心の不安にも痛めつけられる。そのストレスのために、心のバランスを失っていくケースも少なくない。そうした不安を少しでも軽減するためにはどうすればいいのか。国立看護大学校教授の飯野京子さんは、患者と家族や医療者が正確な情報交換をしていくことが大切と、力説する。
情報戦を生き抜いて
微笑み
文●本田麻由美
生涯初めての入院が乳がんの手術――。読売新聞社社会保障部記者・本田麻由美さんは、34歳という若さでこの非情な体験をすることになる。全国紙で医療現場を取材し、記事を書く側から、一転して手術を受ける側になったのだ。その日の朝、本田さんは夫と2人で作ったベランダガーデンに降り、可憐な花びらをつけたペチュニアにしばしの別れを告げた。そして、夫を始め家族や先輩記者が見守る中、本田さんはついに手術台に上った。覚悟の上とはいえ、自分の体にメスを入れる瞬間が迫ったのだ。
サバイバーの肖像
カンボジアへの支援活動が闘病の支えに
岡村眞理子(「カンボジアに学校を贈る会」代表)
取材・文●崎谷武彦
カンボジアへの学校設立を目的とした、「カンボジアに学校を贈る会」の代表を務めている岡村眞理子さん。2001年に乳がんが判明してからも精力的に活動を続けてきた。
今年1月に再発。炎症性乳がんとの診断を受け、厳しい状態ながらも5月にカンボジアに出向いている。会の活動が闘病の支えであり、生きがいである。岡村さんはこれからも機会があればカンボジアを訪問したいと話す。
私が選んだがん治療
家族の協力で得た、自宅での穏やかな時間
田口園子・冠城実千代
取材・文●福原麻希
東京都在住の田口園子さんは、1年前、腎盂がんと診断され、3回の切除術を受けた。今年、さらに、腰の骨に転移して放射線治療に臨むが、その後は緩和ケアを選ぶ。
末期がんの緩和ケアの場合、病院、ホスピス、自宅の3種類の選択肢があり、田口さんは自宅でのケア(=在宅ホスピス)を始めた。
患者の生活、家族の生活はどう変化したか。詳しく話してもらった。
インターネットで探るがん情報
5年生存率「あくまで平均的な数値」という意見が多く見られる
文●諏訪邦夫(帝京大学八王子キャンパス)
今回は「5年生存率」を調べましたが、最初に定義の疑問を1つ。この「5年生存率」の定義はどの程度まで明確にされているのでしょうか。一般に「病気の予後」を評価する指標として確立していることは間違いないとして、案外明確に書いてありません。
がん相談
肺がん・頭頸部がん・大腸がん・婦人科がん
手術や抗がん剤よりも、放射線を利用したいがん
形態や機能を温存し、体への負担も少ない患者にやさしい治療
文●西尾正道 北海道がんセンター統合診療部長
確かに放射線はさまざまな障害をもたらす。しかし、その先入観やイメージだけで怖がるのは、損だ。この10年、放射線技術は大きな飛躍を遂げ、がん以外の部分へのダメージを最小限にとどめ、がん病巣だけをたたくという、ピンポイント照射を生み出し、患者にやさしい治療へと変身した。と同時に、もう一方では、抗がん剤の力を借りて自らの効果を大きく引き上げるという離れ業を行い、常識を破った。この放射線の力を見直し、がん治療に利用しなければ患者さんは損してしまう。
放射線の強度を変えた照射で、副作用が大きく減少
X線の最先端技術・IMRTの成果
監修●溝脇尚志 京都大学放射線科講師
放射線のピンポイント照射の第2弾は、IMRT。IMRTは、強度変調放射線治療の略称。放射線の強度を変えることによって正常組織を避けて病巣を狙い撃ちするところが、他の放射線治療と大きく異なる。そのため、コの字型のような複雑な形のがんにもピンポイントで照射でき、周囲の組織へのダメージは最小限にとどめることができる。現に、このIMRT治療の先駆けである京都大学では、主に前立腺がん、ことに3期の進行がんで大きな成果を上げており、副作用が大きく減少している。
ガンマナイフやIMRTをも凌ぐ放射線治療
頭頸部がん等、放射線の可能性を広げるノバリスの成果
監修●大西寛明 浅ノ川総合病院脳神経外科部長
ンポイント照射の第3弾は、ノバリス。ドイツのブレインラボ社が開発した、IMRTを凌ぐ高精度・高機能のX線発生装置、リニアックだ。ガンマナイフが苦手の3cm以上の腫瘍や視神経、脳幹に接する危険な部位の腫瘍でも苦痛なく、安全に治療でき、いびつな形の腫瘍にも威力を発揮して、放射線治療の可能性を広げている。日本で初めてこのノバリスを導入した浅ノ川総合病院で、導入約1年の成果を聞いた。
7センチ大の2期肺腫瘍が消滅。3年半が経ち、転移、再発もない
深いがん、大きいがんでも一点に狙い撃ちする陽子線治療
監修●荻野 尚 国立がんセンター東病院陽子線治療部部長
取材・文●高田昌彦
がん治療における放射線療法の躍進はめざましいものがあります。その中でも注目されているのが陽子線治療です。ピンポイントで腫瘍だけに強力に放射線を照射することができます。そのため病巣への効果が強く、正常組織への障害が少ないという大きな特徴があります。陽子線治療を開始して7年目の国立がんセンター東病院陽子線治療部長の荻野尚さんに、治療の成り立ちと最新の治療成績について聞きました。
体と心をケアする処方箋
放射線治療による副作用とその対策
皮膚炎には軟膏を、膀胱炎や下痢なら十分に水分を補給しよう
監修・アドバイス●山下浩介 神奈川県立がんセンター放射線治療科医長
取材・文●池内加寿子
患者さんにとって放射線治療という未知の世界への恐れや不安は大きく、副作用は最も気になるところです。いたずらに不安がらないためにも、どんな副作用が起こる可能性があるのか、正しい予備知識を持ち、万一症状がみられたら、日常生活に注意して早めに受診することが大切です。放射線治療の専門家で、患者さんのQOL(生活の質)にも関心を寄せる山下浩介さんにアドバイスしていただきました。
—————————————————以上特集———————————————
臓器別、進行別がんの標準治療 悪性リンパ腫編
分子標的薬の出現で大きく飛躍した悪性リンパ腫の治療法
監修●堀田知光 東海大学医学部長
取材・文●祢津加奈子 医療ジャーナリスト
悪性リンパ腫は白血球の中のリンパ球ががんになる病気です。が、この病気はわかりにくいという人が少なくありません。その理由は、まず、固形がんとは違って、全身のいたるところから生まれ、症状も多様であるためと思われます。さらに、悪性リンパ腫の種類、タイプが多く、しかもそれによって治療法も異なっているからと考えられます。しかし、患者さんが適切な治療を受けるためには、このわかりにくさから脱し、病気について正しく理解していくことから始まります。
注目の医療 Part2
前立腺がんのホルモン療法
精巣だけでなく、副腎からの男性ホルモンも抑制するMAB療法の効果と課題
監修●植村天受 近畿大学泌尿器科教授
前立腺は男性ホルモンによって増殖する臓器です。したがって、そこにできる前立腺がんも男性ホルモンの影響を受けて増殖します。そこで、その男性ホルモンの働きを抑制してがんを治療しようという方法が、ホルモン療法です。そのホルモン療法にも、様々な方法と歴史があります。その最新成果を報告します。
腫瘍内科の第一人者、渡辺亨が医療サポートする 乳がん骨転移編-3
新世代ホルモン剤とビスフォスフォネート剤で乳がん骨転移との長期共存生活へ
チームリーダー●渡辺 亨 医療法人圭友会浜松オンコロジーセンター長
12年前に手術した乳がんが骨に転移した小学校教員の村山佳代子さん(52歳)は、薬物治療の専門家の意見を求めてW大学腫瘍内科に転院した。新世代のホルモン剤と骨転移治療薬として新登場のビスフォスフォネート製剤を取り入れた治療が始まる。乳がんの再発という重い現実の中で、村山さんは新しい治療法の恩恵を感じることができた。
腫瘍内科の第一人者、渡辺亨が医療サポートする 食道がん編―3
食道を残そうと化学放射線療法を選んだのが奏功した
サポート医師●大津敦 国立がんセンター東病院内視鏡部長
ステージ1の食道がんにかかりながら、「なんとか食道を残したい」と考えた藤野憲一さん(56歳)が選んだ治療法は、化学放射線療法だった。治療の結果、一度はがんが消え、「完全寛解」を告げられる。しかし、1年後に局所に再発が発見される。果たして藤野さんの治療選択は正しかったのだろうか。
特別対談 日本のがん医療を考える
全てのがんには個性がある
養老猛司×中川恵一
人間には寿命があり、いつか死ぬ。当たり前のことだが、現代人はこのことを自然なこととして受け止めなくなっている。なぜなのか。『バカの壁』『死の壁』のベストセラーを生み出した元東大教授で解剖学者の養老孟司さんと、放射線治療、緩和ケアの第一人者である東大医学部助教授の中川恵一さんに、その点を医学的、文化論的、哲学的な面から縦横に語り合ってもらった。
「がんばらない」医師
鎌田實とがん患者の
こころの往復書簡 —第3回
「小さなトラブルを1つずつ克服しながら、毎日をできるだけ楽しく過ごしていこうと思います」
「今日まで、逃げずによく戦ってきました。自分自身にご褒美をあげて一休みしましょう」
未承認薬のドキシルとジェムザールの併用療法でがんに挑んだ金子さん。目立った副作用もなく、初回の治療は終了しましたが問題が発生してしまいます。未承認薬の使用に続き、金子さんは再び決断を迫られました。その決断を、鎌田さんは、実に見事だと讃えます。
がんに負けない安保免疫学実践講座 8
免疫力を高める生活法(原理編)
―現代生活の中でも自然のリズムに合わせて暮らそう―
文●柴田年彦(ヘルスプログラム研究所代表)
私たちは、免疫力そのものをコントロールしたり、高めたりは出来ません。
しかし、生き方やライフスタイルを通して、自律神経を操縦することが出来ます。仕事や家事、食事、運動、睡眠、趣味などでの対応が、その手段になります。がんを発病された方の多くは、交換神経優位の生活を長く続けていたのです。方法を知り、決意のもとに継続することで、副交感神経とのバランスを回復できます。意図的に、自律神経がしなやかにオン・オフ出来るように訓練しましょう。自律神経の正常化が免疫力を高め、がんを退縮させ、そして根治も可能になるのです。
いのちの食・養・卓
ミネラル豊富な野菜を使った秋メニュー
がんが扉を開いて
「病気という素敵な物語」
文●まつばらけい
「いいなぁ。僕もがんになれたら、あなたみたいな本が書けるのに」。日赤看護大学で「納得の医療、納得の人生を探して」と題してお話しをさせていただいた今年4月2日、講演後の交流の時間の際のこと。医療文化人類学を専攻しているらしい教員の方が、いかにも実感たっぷりの言葉を漏らされたのを耳にして、苦笑いしてしまった。(いいなぁ、なれたら?)。う〜ん。ならないで済むなら、それに越したことないと思うけど。赤々とした出血。激痛。不安。焦燥。メス。点滴。傷。白衣や白壁、白いベッドの白々とした世界。心配そうな家族や友人たち・・・・・・。瞬間的にフラッシュバックする。でも、確かに、そうかもしれない。見方を変えたら。がんにならなければ、紡ぎ出せない言葉がある。
患者のための抗がん剤事典20
UFT(一般名テガフール・ウラシル)
非小細胞肺がんの術後補助療法で延命効果が認められた初の抗がん剤
監修●畠清彦 癌研有明病院化学療法科部長
文●水田吉彦
UFTは、5-FUという抗がん剤を改良した飲み薬(経口抗がん剤)です。その用途は大変に広く、頭頸部がん、肺がん、乳がん、胃がん、結腸・直腸がん、肝臓がん、胆管がん、胆のうがん、膀胱がん、前立腺がん、子宮頸がんの治療に使われています。最近の明るい話題として、非小細胞肺がんの手術後にUFTを投与すると、生存期間の延びることがASCO(米国臨床腫瘍学会)で発表されました。今回は、そのデータを中心に解説しましょう。
がん早期発見のためのガイドライン
年齢とリスクを考慮し適切な時期に検診を
文●佐鳥麻美
監修●岩瀬哲 キャンサーネットジャパン科学ディレクター
米国がん協会(ACS)は、5年前から早期発見のために推奨できることを要約し、毎年発行しています。2005年版では、現行のガイドラインの要点をまとめ、がん検診関連の最近の科学的根拠と政策変更、米国疾患管理・予防センター(CDC)のデータベースから年齢・性・保険状況別のがん検診受診率についての情報が更新されました。今回は、このうち、がん検診のまとめと更新された情報についてご紹介します。
抗がん剤治療の賢い受け方 PART3
不安やストレスを軽減する心のサポートの重要性
正しく理解することから始まる、症状緩和のセルフケア
監修●飯野京子 国立看護大学校成人看護学教授
取材・文●林義人
抗がん剤治療を受ける患者は、副作用ばかりではなく、「つらくなるのではないか」「薬が効かないのではないか」「苦痛がいつまで続くのか」といった心の不安にも痛めつけられる。そのストレスのために、心のバランスを失っていくケースも少なくない。そうした不安を少しでも軽減するためにはどうすればいいのか。国立看護大学校教授の飯野京子さんは、患者と家族や医療者が正確な情報交換をしていくことが大切と、力説する。
情報戦を生き抜いて
微笑み
文●本田麻由美
生涯初めての入院が乳がんの手術――。読売新聞社社会保障部記者・本田麻由美さんは、34歳という若さでこの非情な体験をすることになる。全国紙で医療現場を取材し、記事を書く側から、一転して手術を受ける側になったのだ。その日の朝、本田さんは夫と2人で作ったベランダガーデンに降り、可憐な花びらをつけたペチュニアにしばしの別れを告げた。そして、夫を始め家族や先輩記者が見守る中、本田さんはついに手術台に上った。覚悟の上とはいえ、自分の体にメスを入れる瞬間が迫ったのだ。
サバイバーの肖像
カンボジアへの支援活動が闘病の支えに
岡村眞理子(「カンボジアに学校を贈る会」代表)
取材・文●崎谷武彦
カンボジアへの学校設立を目的とした、「カンボジアに学校を贈る会」の代表を務めている岡村眞理子さん。2001年に乳がんが判明してからも精力的に活動を続けてきた。
今年1月に再発。炎症性乳がんとの診断を受け、厳しい状態ながらも5月にカンボジアに出向いている。会の活動が闘病の支えであり、生きがいである。岡村さんはこれからも機会があればカンボジアを訪問したいと話す。
私が選んだがん治療
家族の協力で得た、自宅での穏やかな時間
田口園子・冠城実千代
取材・文●福原麻希
東京都在住の田口園子さんは、1年前、腎盂がんと診断され、3回の切除術を受けた。今年、さらに、腰の骨に転移して放射線治療に臨むが、その後は緩和ケアを選ぶ。
末期がんの緩和ケアの場合、病院、ホスピス、自宅の3種類の選択肢があり、田口さんは自宅でのケア(=在宅ホスピス)を始めた。
患者の生活、家族の生活はどう変化したか。詳しく話してもらった。
インターネットで探るがん情報
5年生存率「あくまで平均的な数値」という意見が多く見られる
文●諏訪邦夫(帝京大学八王子キャンパス)
今回は「5年生存率」を調べましたが、最初に定義の疑問を1つ。この「5年生存率」の定義はどの程度まで明確にされているのでしょうか。一般に「病気の予後」を評価する指標として確立していることは間違いないとして、案外明確に書いてありません。
がん相談
肺がん・頭頸部がん・大腸がん・婦人科がん
商品情報・内容
- 出版社:エビデンス社
- 発行間隔:月刊
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がんサポートは、世界最新の科学的根拠(エビデンス)に基づいた視点から、良質な正しい医療情報を厳選し、提供していきます。エビデンス(Evidence)とは、根拠があって明白な証拠、を意味する英語。常に信頼の置ける情報と知識を提供することを使命と考えます。がんサポートは、がん患者さん・ご家族の方々の求めに応えるために、がん患者さんやがん患者団体の代表の方に企画に参加していただき、と同時にがん患者(読者)参加記事をできるだけ多くして、患者さんと共に考え編集していく考えです。患者さんにやさしい雑誌にしようと、できるだけ軽くて、環境にもやさしい用紙を用い、文字も大きくしました。「役立つ・読みやすい・わかりやすい・支え・癒し」をモットーに編集していきます。
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