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注目判決動向
2006年5月12日-2006年6月22日

連載[裁判例総覧]第9回
第2 ゴルフ場の営業譲渡をめぐる裁判例(1)
升田 純

判例解説 [民・商事]
升田 純
○1 破産者は、破産手続中、その自由財産から破産債権に対して任意の弁済をすることができるか(積極)
2 地方公務員共済組合の組合員が破産手続中に自由財産である退職手当の中から地方公務員等共済組合法115条2項所定の弁済方法により組合の破産債権に対して弁済したことが任意の弁済に当たらず、法律上の原因を欠くものとされた事例
(最高裁平成18年1月23日第二小法廷判決)

○1 日賦貸金業者につき貸金業法17条1項所定の書面に当たらないとされた事例
2 日賦貸金業者につき貸金業法18条1項所定の書面に当たらないとされた事例
3 期限の利益喪失特約のうち、支払期日に制限超過部分の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は、利息制限法1条1項の趣旨に反して無効であり、この特約に基づいて支払われた利息は、貸金業法43条1項所定の任意の支払に当たらないとされた事例
4 日賦貸金業者に貸金業法43条1項の規定が適用されるためには、出資法附則9項所定の各要件が実際の貸付けにおいて現実に充足されていることが必要であるか(積極)
5 日賦貸金業者につき出資法附則9項2号の要件を満たさないとされた事例
(最高裁平成18年1月24日第三小法廷判決)

○1 日賦貸金業者につき貸金業法17条1項所定の書面に当たらないとされた事例
2 日賦貸金業者に貸金業法43条1項の規定が適用されるためには、出資法附則9項所定の各要件が実際の貸付けにおいて現実に充足されていることが必要であるか(積極)
3 日賦貸金業者につき出資法附則9項2号、3号の各要件を満たさないとされた事例
(最高裁平成18年1月24日第三小法廷判決)

○不実の所有権移転登記がされたことが所有者の余りにも不注意な行為によるものである場合に、民法94条2項、110条の類推適用が認められた事例(最高裁平成18年2月23日第一小法廷判決)

○取締役らが会社の株式を大量に買い占めた大株主に要求され、金員を喝取され、債務を肩代わり等させられたことにつき、取締役の忠実義務違反、善管注意義務違反、株主に対する利益供与禁止規定違反が肯定された事例(最高裁平成18年4月10日第二小法廷判決)
○勤務先における定期健康診断において胸部レントゲン写真に異常な所見があったのに、検査結果が検査票に記載されず、その1年後に肺癌が発見されたことにつき、健康診断を実施した法人の逸失利益等の損害についての不法行為責任が肯定された事例(仙台地裁平成18年1月26日判決)
○ポイント制を採用する外国語教室の受講を中途解約した場合において、消化済み受講料の算定に関する契約上の規定が特定商取引法49条7項により無効とされた事例(京都地裁平成18年1月30日判決)

○信用金庫の融資につき、大口信用供与規制、安全性の原則違反が認められ、融資を決裁した理事の善管注意義務違反による信用金庫に対する損害賠償責任が肯定された事例(京都地裁平成18年2月3日判決)

○森林組合の参事が長年にわたり簿外資産を形成し、延滞税等を課税されたことにつき組合員代表訴訟が提起され、理事の監督義務を内容とする善管注意義務違反が否定された事例(青森地裁平成18年2月7日判決)

○1 弁護士法23条の2所定の弁護士会による照会は、照会を受けた者に弁護士会に対する法的な報告義務を負わせるか(積極)
2 民事訴訟法186条所定の調査嘱託は、嘱託を受けた者に対する法的な報告義務を負わせるか(積極)
3 弁護士法23条の2所定の照会に対する回答を拒否し、民事訴訟法186条所定の調査嘱託に対する回答を拒否した銀行の不法行為責任が否定された事例
(大阪地裁平成18年2月22日判決)

○住宅供給公社の経理事務を担当していた従業員が巨額な横領事故を生じさせたことにつき、公社の役員の一部、幹部従業員の善管注意義務違反が肯定された事例(青森地裁平成18年2月28日判決)

○信用金庫の従業員が定期健康診断における胸部X線間接撮影によって異常陰影があり、その翌年に肺癌と診断され、死亡したことにつき、定期健康診断を実施した法人の不法行為(使用者責任)が否定された事例(大阪地裁平成18年3月17日判決)

[行政]
越智敏裕
○良好な景観に近接する地域内に居住する者が有するその景観の恵沢を享受する利益は、法律上保護に値するものと解するのが相当であるが、ある行為が良好な景観の恵沢を享受する利益に対する違法な侵害に当たるといえるためには、少なくとも、その行為が、刑罰法規や行政法規の規制に違反するものであるなど、その態様や程度の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠くことが求められる等とされた事例(最高裁平成18年3月30日第一小法廷判決)

[税法]
立命館大学税法判例研究会
浪花健三
○確定申告事務を受任した税理士が自己の利益を図るため独断で過少な申告を行った場合に、納税者本人に対する重加算税の賦課要件は満たされないが、過少申告加算税は賦課されるとされた事例(最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決)

○確定申告事務を受任した税理士が自己の利益を図るため独断で過少な申告を行った場合に、納税者本人に対する重加算税の賦課要件及び過少申告加算税の賦課要件は充足されないとされた事例(最高裁平成18年4月25日第三小法廷判決)

[知的財産権]…侵害訴訟
岩原将文
○1 平成6年改正前特許法36条5項2号に違反しないとされた事例
2 新規性が欠如しないとされた事例
(東京地裁平成18年3月24日判決)

[知的財産権]…審決取消訴訟
伊藤信和・森岡誠
○特許法29条の2における「出願公開」は、後願の出願後になされれば足り、後願の特許査定後に先願の出願公開がされた場合であっても「出願公開」の要件を満たし、同法123条1項2号に該当するものとして、特許無効理由が認められた事例(知財高裁平成18年1月25日判決)

市川穣
○商標法50条2項の「使用」が認められなかった事例(知財高裁平成18年5月30日判決)

読み切り
最近のセクシュアル・ハラスメント判例
―対策の再構築を考える事業主のための概観―
吉川英一郎

米国注目訴訟
コーポレート・ガバナンス関連/檀 柔正・安達 理
知的財産関連/岩瀬吉和
クラスアクション関連/中野雄介
注目判決動向
2006年4月10日-2006年5月18日

連載[裁判例総覧]
第8回 営業権侵害をめぐる裁判例(8)
升田 純

判例解説
[民・商事]
升田 純
○不動産の取得時効完成後にその不動産の譲渡を受け、所有権移転登記を経た者が背信的悪意者に当たるとするためには、多年にわたる占有継続の事実を認識することが必要であるとし、背信的悪意者を肯定した原判決が破棄された事例(最高裁平成18年1月17日第三小法廷判決)
○期限の利益喪失特約のうち、支払期日に制限超過部分の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は、利息制限法1条1項の趣旨に反して無効であり、この特約に基づいて支払われた利息は、貸金業法43条1項所定の任意の支払に当たらないとされた事例(最高裁平成18年1月19日第一小法廷判決)
○不動産の買戻特約付売買契約の形式が採られていても、占有を伴わない契約は、特段の事情のない限り、債権担保の目的で締結されたものと推認され、その性質は、譲渡担保契約と解するのが相当である(最高裁平成18年2月7日第三小法廷判決)
○高校のサッカー部に所属する生徒が課外活動としてのサッカー大会に参加して競技中、落雷により負傷した事故について、引率者兼監督の教諭に落雷事故発生の予見義務違反が認められた事例(最高裁平成18年3月13日第二小法廷判決)
○コンビニエンスストアのフランチャイズシステムを経営するフランチャイジーが売上げ等の予測を誤り、フランチャイジーが経営不振となり、閉店に至った場合について、フランチャイザーの情報提供義務(保護義務)違反が肯定された事例(福岡高裁平成18年1月31日判決)
○1 市役所の上司が公務出張中、自動車内で部下の女性の手を握るなどしたことがセクシュアル・ハラスメントに当たるとし、上司の不法行為が肯定された事例
2 上記女性が相談をした者が市役所内に設置されたセクシュアル・ハラスメント苦情処理委員会に苦情相談を申し立てた後、上記上司らが女性に対して苦情相談の取下げ(取下げの依頼)を強要したことにつき共同不法行為が肯定された事例
(さいたま地裁平成17年11月25日判決)
○妻から夫の浮気調査の依頼を受け、夫の関係者の自宅マンション前にビデオカメラを設置される等したことにつき、調査を実施した業者のプライバシー侵害による損害賠償責任が肯定された事例(京都地裁平成18年1月24日判決)

[民事手続]
慶應義塾大学民事手続判例研究会
(監修)三木浩一
○本訴及び反訴が係属中に、反訴請求債権を自働債権とし本訴請求債権を受働債権として相殺の主張をすることは、反訴請求債権のうち本訴において判断された部分を反訴請求としない趣旨の予備的反訴に変更するものとして許される(最高裁平成18年4月14日第二小法廷判決)
○委任者が委任事務の処理のために受任者に交付した前払費用についての返還請求権は、当該委任事務の終了前においては、券面額を有するものとはいえず、被転付適格を有しない(最高裁平成18年4月14日第二小法廷決定)

[国際民商事]
(監修)櫻田嘉章・渡辺惺之
申美穂
○日本在住の日本人が、日本法人の従業員としてなした職務発明に係る日本及び外国において特許を受ける権利の譲渡対価について、譲渡契約の準拠法は日本法であるとしつつも、使用者と従業者が属する国の産業政策に基づき決定された法律であるところの日本特許法35条は、我が国における両者間の雇用関係上の利害調整を図る強行法規であり、同条は日本のみならず外国における特許を受ける権利に関しても適用されると判示した事例(東京高裁平成16年1月29日判決)
渡辺惺之
○外国に輸出販売している製造品につき、競業日本会社が知的財産権の侵害に当たるとして外国の代理店に輸入販売の即時停止を求める警告文書を送付した行為に対する差止仮処分請求について、条理により最密接関係国法として日本法を適用し判断した例(知財高裁平成17年12月27日判決)

[行政]
越智敏裕
○国民健康保険診療報酬明細書に記録された個人の診療に関する情報に係る京都市個人情報保護条例(平成5年京都市条例第1号)21条1項に基づく同人からの訂正請求につき市長が行った訂正をしない旨の処分が違法とはいえないとされた事例(最高裁平成18年3月10日第二小法廷判決)
橋本勇
○1 情報公開条例に基づき開示請求がされた公文書に虚偽の情報が記載されていた場合において県の担当職員が当該公文書の記載内容の真否を調査せずに当該情報が同条例の定める非開示情報に当たると判断したことが国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
2 情報公開条例に基づき一部非開示決定がされた公文書に虚偽の情報が記載されていた場合において実施機関がこの事実を知った後も同決定を取り消すことなく同決定に係る取消訴訟に応訴したことが国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
(最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決)

[税法]
立命館大学税法判例研究会
伊川正樹
○国民健康保険料には憲法84条は直接適用されないものの、その趣旨が及ぶとした事例(最高裁平成18年3月1日大法廷判決)
○土地改良区の組合員が同区内の農地を転用目的で譲渡するにあたり土地改良法42条2項に基づいて同区に支払った決済金等が所得税法33条3項所定の譲渡費用に当たるとされた事例(最高裁平成18年4月20日第一小法廷判決)
三木義一
○歯科技工所の事業がサービス業とされた事例(名古屋高裁平成18年2月9日判決)
望月爾
○海外関連会社と締結したノウハウ等の譲渡契約を実体の伴わない仮装の取引としてなした課税処分を取り消した原判決を相当とした事例(名古屋高裁平成18年2月23日判決)
三木義一
○ペット供養が収益事業に該当するとされた事例(名古屋高裁平成18年3月7日判決)
伊川正樹
○外国税額控除の適用に当たり、確定申告書の作成過程に誤りを生じたために、その誤った金額を基礎として控除税額計算がなされた結果、控除金額が過少となるとともに納付すべき法人税額が過大となった場合に、更正の請求が認められなかった事例(大分地裁平成18年2月13日判決)

[知的財産権]…審決取消訴訟
南かおり
○商標法4条1項7号に基づき、商標出願行為が、他人の標章の剽窃であって、不正の目的をもってされたものであるから、登録出願の経緯は著しく社会的妥当性を欠くものがあり、その商標登録を認めることは、商取引の秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであり、容認できないとして、同条項同号により登録無効とした審決が維持された事例(知財高裁平成18年1月26日判決)

[知的財産権]…著作権等
小倉秀夫
○一般向けの法律解説書の著作物性が否定されたが、これと酷似した書籍を発行した出版社らに対する損害賠償責任が認められた事例(知財高裁平成18年3月15日判決)

米国注目訴訟
コーポレート・ガバナンス関連/檀 柔正・安達 理
知的財産関連/岩瀬吉和
クラスアクション関連/中野雄介
注目判決動向
2006年3月13日-2006年4月14日

連載
[裁判例総覧]第7回
営業権侵害をめぐる裁判例(7)
升田 純

判例解説
[民・商事]
升田 純
○1 期限の利益喪失特約につき貸金業法17条所定の記載を満たすとされた事例
2 貸金業法施行規則15条2項のうち、同法18条1項1号から3号までに掲げる事項の記載に代えることができる旨定めた部分は、内閣府令に対する法の委任の範囲を逸脱した規定として無効と解すべきである
3 期限の利益喪失特約のうち、支払期日に制限超過部分の支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は、利息制限法1条1項の趣旨に反して無効であり、この特約に基づいて支払われた利息は、貸金業法43条1項所定の任意の支払に当たらないとされた事例
(最高裁平成18年1月13日第二小法廷判決)
○1 株式会社が政治資金を寄付することが会社の目的の範囲外の行為ではないとされた事例
2 株式会社が政治資金を寄付したことにつき、取締役の善管注意義務が否定された事例
(名古屋高裁金沢支部平成18年1月11日判決)
○1 C型ウイルス性肝炎に罹患した患者につき、医師のインターフェロン療法をしなかった過失、肝細胞癌の早期発見のための検査を怠った過失が肯定された事例
2 C型ウイルス性肝炎に罹患した患者が肝細胞癌により死亡した事故につき、医師のインターフェロン療法をしなかった過失と死亡との因果関係が否定されたものの、肝細胞癌の早期発見のための検査を怠った過失との因果関係が肯定された事例
(東京地裁平成17年11月30日判決)
○1 市民から国民健康保健被保険証の交付をめぐり苦情を申し立てられ、市民の暴言等に挑発された市職員が、「殺したろか」と暴言等をしたことにつき、市の国家賠償責任が肯定された事例
2 上記暴言と市民の外傷後ストレス障害(PTSD)との因果関係が認められ、慰謝料として50万円が認められた事例
(京都地裁平成17年12月14日判決)
○病院における異型輸血後患者が1年後に死亡した旨を記載した新聞記事が異型輸血により患者が死亡したとの印象を読者に与えるものとして名誉毀損に当たるとされた事例(大阪地裁平成17年12月16日判決)
○1 工場に設置された焼却炉を工場の従業員が運転中、必要もなく灰出し口の扉を開けたことによってバックファイヤーが発生し、工場が全焼する等した事故につき、焼却炉の製造者の設計上の欠陥が否定された事例
2 上記事故につき、焼却炉の製造者の指示・警告上の欠陥が肯定された事例
(富山地裁平成17年12月20日判決)
○テレテキストビジョンシステムと称するシステムの開発、販売が違法であるとされ、会社の取締役の商法266 条ノ3所定の損害賠償責任、販売代理店の不法行為責任が肯定された事例(東京地裁平成17年12月22日判決)
○不動産競売手続において、鉱泉地等を買い受けたものの、温泉が湧出しなかった場合について、執行官の現況調査、裁判官の最低売却価額の決定が違法ではないとし、国家賠償責任が否定された事例(宇都宮地裁平成17年12月22日判決)
○企業買収に係る株式譲渡契約における表明・保証特約違反による売主の買主に対する損害補償責任が認められた事例(東京地裁平成18年1月17日判決)

[民事手続]
慶應義塾大学民事手続判例研究会
(監修)三木浩一
○補足意見において、控訴審判決書における第1審判決書の引用につき、継ぎはぎ的な引用の問題点が指摘された事例(最高裁平成18年1月19日第一小法廷判決)
○銀行の本部の担当部署から各営業店長等にあてて発出されたいわゆる社内通達文書であって一般的な業務遂行上の指針等が記載されたものが民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらないとされた事例(最高裁平成18年2月17日第二小法廷決定)

[行政]
越智敏裕
○農業振興地域の整備に関する法律(平成17年法律第53号による改正前のもの)15条の15第1項(現15条の2第1項)に基づく開発許可申請に対する審査は、行政手続法5条の審査基準を定めるべき場合に当たるが、その定めがなかったとしても不許可処分の取消事由には該当せず、また、当該不許可処分をするに当たって、理由提示に欠けることはなかったとした事例
(仙台高裁平成18年1月19日判決)
○改正前の行政事件訴訟法による取消訴訟が控訴審に係属中に、改正後の同法19条1項に基づいて控訴審に提起された同法3条6項2号の義務付けの訴えを却下した事例(仙台高裁平成18年1月19日判決)

[税法]
立命館大学税法判例研究会

大森健
○非上場株式の譲渡等の価額を純資産価額方式で評価する場合に、法人税額等相当額を控除することを相当とした事例(最高裁平成17年11月8日第三小法廷判決)

望月爾
○航空機リース契約は民法上の組合契約に該当し、これを否定してなした課税処分を取り消した原判決を相当とした事例(名古屋高裁平成17年10月27日判決)

浪花健三
○納税者本人が認知し得ない受任者たる税理士と現職税務職員との共謀による不正行為は、納税者本人に対する重加算税の賦課要件を満たさないとされた事例(東京高裁平成18年1月18日判決)

安井栄二
○税理士の妻への税理士報酬支払と所得税法56条適用の可否(第二次訴訟)(東京高裁平成18年1月31日判決)

伊川正樹
○1 所得税額控除の適用に当たり、確定申告書の作成過程に誤りを生じたために、その誤った金額を基礎として控除税額計算がなされた結果、控除金額が過少となるとともに納付すべき法人税額が過大となった場合に、更正の請求が認められた事例
2 外国税額控除の適用に当たり、確定申告書の作成過程に誤りを生じたために、その誤った金額を基礎として控除税額計算がなされた結果、控除金額が過少となるとともに納付すべき法人税額が過大となった場合に、更正の請求が認められなかった事例
(熊本地裁平成18年1月26日判決)

奥谷健
○ストックオプションの権利行使益は給与所得に該当するとされ、それについて一時所得として申告したことには、国税通則法65条4項における「正当な理由」が認められるとされた事例(東京地裁平成18年2月10日判決)

[知的財産権]…審決取消訴訟

南かおり
○原告による不使用に基づく取消審判請求に対して、被告の各商標の不使用につき商標法50条2項ただし書の定める「正当な理由」を認めた特許庁の審決が、「正当な理由」を認められないとして取り消された事例(知財高裁平成17年12月20日判決)

橋口尚幸
○1 原告の特許権について、被告が無効審判を提起し、特許庁は、請求項1~3に係る発明について無効とする審決を下した。それに対して、原告が不服を申し立てた事件
2 原告が、審決には、冒認出願についての主張立証責任の判断を誤り、本件発明の発明者についての認定を誤った結果、本件特許を無効と判断した誤りがあるとしてその取消しを求めたが、知財高裁は、冒認出願の主張立証責任について判断を示した上で原告の主張を退け、審決の取消しを認めなかった事例
(知財高裁平成18年1月19日判決)

米国注目訴訟
コーポレート・ガバナンス関連/檀 柔正・安達 理
知的財産関連/岩瀬吉和
クラスアクション関連/中野雄介
注目判決動向 2006年2月10日-2006年3月20日

裁判例総覧
第6回
営業権侵害をめぐる裁判例(6)
升田 純

判例解説
[民・商事]
升田 純
○架空請求詐欺事件に利用された預金口座の名義人、携帯電話のレンタル事業者の共同不法行為責任が肯定された事例(京都地裁平成17年10月26日判決)

○大臣等の要職を歴任した衆議院議員、その経営する会社がリゾート開発に関して法律違反をした等の旨の写真週刊誌の記事が議員に対する名誉毀損に当たるとし、100万円の慰謝料が認められた事例(東京地裁平成17年11月17日判決)

○1 夜間における冷凍基地の操業が60ないし70デシベルの騒音である等の場合の騒音につき、近隣住民の受忍限度を超えるとされた事例
2 近隣の住民による夜間における50デシベルを超える騒音の流入禁止請求が認容された事例
3 近隣住民が冷凍基地の操業等に対する抗議的活動の一環として自宅に電光掲示板を設置、運用し、冷凍基地を操業する会社の取引先に対して抗議の手紙を送付したことが違法ではないとされた事例
(名古屋地裁平成17年11月18日判決)

○医師が上眼瞼切除術を行った際、切除幅と症状改善の程度、顔貌変化の程度との相関関係をできる限り具体的に説明した上、症状改善を重視してある程度の顔貌変化は許容するのかどうか、特にまぶたが一重から二重になる程度の顔貌変化は許容するのかどうかについて質問し、そのような顔貌変化が生じても症状改善の効果がより大きい方をよしとするのか等の選択の機会を与えるべき診療上の義務ないし注意義務を負うとし、医師の義務違反が肯定された事例(東京地裁平成17年11月21日判決)

○市町村合併をめぐる村内の反対運動が激化している状況において、賛成派の元村長が反対派村議会議員のリコールに係る住民投票の数日前にテレビ放送の取材に対して反対派議員が暴力団と結託している等と発言等したことにつき反対派議員に対する名誉毀損による損害賠償責任が肯定された事例
(鹿児島地裁平成17年11月22日判決)

○1 2度の交通事故によって負傷したと主張する者の症状が詐病であるとされた事例
2 上記傷害につき診断、治療をした医師、病院の共同不法行為が肯定された事例
(さいたま地裁平成17年12月14日判決)

[国際民商事]
(監修)櫻田嘉章、渡辺惺之
渡辺惺之
○外国の港を陸揚地とする船荷証券の無効を宣言する除権決定を求めるため申し立てられた公示催告について、これら手続は義務履行地国で行われるのが最も適当であるとして、日本の裁判管轄を否定し、申立てを却下した事例(東京簡裁平成17年10月20日決定)

[民事手続]
慶應義塾大学民事手続判例研究会
(監修)三木浩一
○1 特許庁職員の過失により特許権を目的とする質権を取得することができなかったことによる損害の額
2 特許庁職員の過失により特許権を目的とする質権を取得することができなかったことを理由とする国家賠償請求事件において損害額の立証が困難であったとしても民訴法248条により相当な損害額が認定されなければならないとされた事例
(最高裁平成18年1月24日第三小法廷判決)

○弁済の抗弁の主張及び立証を、時機に後れた防御方法として却下した原審の訴訟指揮が、違法ということはできないとした事例(名古屋高裁平成17年12月9日判決)

○1 民事再生法(平成16年法律第76号による改正前のもの)127条に基づく無償否認について、行為時における再生債務者の債務超過の要否(消極)
2 否認権を行使された相手方において他の再生債権の不存在等を理由に否認権行使の効果を否定することの可否(消極)
(名古屋高裁平成17年12月14日判決)

[行政]
橋本 勇
○1 公立学校施設の目的外使用の許可における管理者の裁量判断は、許可申請に係る使用の日時、場所、目的及び態様、使用者の範囲、使用の必要性の程度、許可をするに当たっての支障又は許可をした場合の弊害若しくは影響の内容及び程度、代替施設確保の困難性など許可をしないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及び程度等の諸般の事情を総合考慮してされるものであり、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って、裁量権の逸脱又は濫用として違法となるとすべきものと解するのが相当である
2 公の施設の使用許可の申請を拒否するには正当な理由の存在を管理者において立証しなければならないわけではない
3 公立小中学校の教職員の職員団体が教育研究集会の会場として市立中学校の学校施設を使用することを不許可とした市教育委員会の処分が裁量権を逸脱したものであるとされた事例
(最高裁平成18年2月7日第三小法廷判決)

○道路を一般交通の用に供するために管理している地方公共団体は、その管理の内容、態様によれば、道路がその事実的支配に属するものというべき客観的関係にあると認められる場合には、道路を構成する敷地について占有権を有する(最高裁平成18年2月21日第三小法廷判決)

越智敏裕
○保険医の登録及び保険医療機関の指定を取り消された申立人による行政事件訴訟法25条に基づく執行停止の申立てが認容された事例(甲府地裁平成18年2月2日決定)

[税法]
立命館大学税法判例研究会

安井栄二
○外国税額控除余裕枠を利用するために行われた外国会社との間のローン契約等は、外国税額控除制度を濫用するものであるとして、その利息収入に係る外国源泉税の税額控除が認められなかった事例(最高裁平成17年12月19日第二小法廷判決)

山名隆男
○本来の納税義務者に対する課税処分について第二次納税義務者がする不服申立ての可否及び不服申立期間の起算日(最高裁平成18年1月19日第一小法廷判決)

奥谷 健
オウブンシャホールディング事件
○外国子会社が親会社の関連会社に、その新株を著しく有利な価額で割り当て、親会社の保有する子会社株式の資産価値を当該関連会社に移転させたことが、法人税法22条2項にいう「取引」に当たるとされた事例(最高裁平成18年1月24日第三小法廷判決)

浪花健三
○民法上の組合を利用した映画フィルムリース契約による減価償却費の計上額を、当組合員である法人の所得の金額の計算上損金の額に算入することが否認された事例(最高裁平成18年1月24日第三小法廷判決)

三木義一
○契約の錯誤無効による更正の請求等が否定された事例(高松高裁平成18年2月23日判決)


[知的財産権]・・・不競法
今給黎泰弘
○被包括関係を解消した天理教の地方分教会が「天理教豊文教会」を宗教法人の名称として用いることは、不正競争防止法による規制の対象とはならないとし、さらに、宗教法人天理教の氏名権を違法に侵害するものでもないとした事例(最高裁平成18年1月20日第二小法廷判決)

小倉秀夫
○医療用医薬品のカプセル及びPTPシートの色彩構成が不正競争防止法2条1項1号の「商品等表示」に当たるとする要件を判示した事例(東京地裁平成18年1月13日判決)

米国注目訴訟
コーポレート・ガバナンス関連/檀 柔正・安達 理
知的財産関連/岩瀬吉和
クラスアクション関連/中野雄介
□注目判決動向
2006年1月10日-2006年2月20日

□連載[裁判例総覧]
第5回
営業権侵害をめぐる裁判例(5)
升田 純

□判例解説
[民・商事]
升田 純
○1 貸金業の規制等に関する法律17条1項所定の書面の該当性を判断する基準
2 貸金業者によるリボルビング方式の貸付けに係る書面について、貸金業の規制等に関する法律17条1項6号所定の「返済期間及び返済回数」、同法施行規則13条1項1号チ所定の各回の「返済金額」の記載がない書面が同法17条1項所定の書面に該当せず、同法43条1項所定のみなし弁済が否定された事例
(最高裁平成17年12月15日第一小法廷判決) 

○賃貸建物につき賃借人が通常の使用に伴って生ずる損耗の原状回復義務を負う旨の特約の成立が否定された事例(最高裁平成17年12月16日第二小法廷判決) 

○個人が注文者である建物の建築請負契約につき民間連合協定工事請負契約約款32条による仲裁合意が、訴訟に比較して消費者保護に欠けることがない等として有効であるとされた事例(名古屋地裁平成17年9月28日判決) 

○弁護士が弁護士会館に展示されていた裸婦画をめぐる週刊誌の記事により名誉が毀損され、記事が真実でもなく、真実と信じたことにつき相当の理由もないとされた事例(慰謝料が300万円認められた事例)(京都地裁平成17年10月18日判決) 

○全国紙発行会社の持株会社の経営者につき自宅居室内のガウン姿の写真を週刊誌に掲載したことがプライバシーの侵害に当たるとされた事例(東京地裁平成17年10月27日判決) 

○1 モニター契約一体型寝具販売システムにおける寝具に関する売買契約とモニターに関する業務委託契約は、法形式的には別個の契約であるものの、密接不可分の関係にあり、売買契約と業務委託契約の全体から観察して瑕疵がある場合には、売買契約の瑕疵に当たるとされた事例
2 上記寝具販売システムは破綻必至のものであり、公序良俗に反し、無効であるから、寝具の売買契約は無効であり、この無効を信販会社に対して主張することができるとされた事例
3 上記寝具販売システムにおける寝具の売買契約が無効であるとして全額につき抗弁の接続が認められると、顧客らは、対価に見合うだけの労務を提供することなく、何らの金銭的出捐もなしに、受領したモニター料等の金員から信販会社らへの既払金を差し引いた差額の金員及び布団を取得することになり、顧客らがこれらの金員等を保持する結果となる主張をすることは信義則に反するといえること等から、顧客らは、各モニター料等受領金額に、寝具の実質的価値に相当する価額を加えた金額から、その既払金額を控除した金額については、信義則上、抗弁権を主張して支払を拒むことはできないとされた事例
(名古屋地裁平成17年10月27日判決) 

○1 妻が数回にわたり同居の夫の郵便貯金を担保として貸付けを受けたり、払戻しを受けたことが、郵便貯金法26条の正当な払渡しとして有効であるとされた事例
2 上記の妻が同居の夫の農業協同組合の貯金を夫の代理人又は使者として払戻しを受けたことが、民法478条の債権の準占有者に対する弁済として有効であるとされた事例
(松山地裁平成17年10月27日判決) 

○約束手形を利用した金融商品、抵当権付債権を利用した金融商品を販売していた会社の関連会社の元役員につき、商品内容の助言等をした幇助による不法行為責任が肯定された事例(大阪地裁平成17年11月14日判決) 

○1 美容院において顧客の十分な確認を得ないで顧客が希望したデザインと異なるカット、カラーリングを受けたことが美容契約上の注意義務違反、違法行為に当たるとされた事例
2 上記注意義務違反による損害として通院慰謝料30万円が認められた事例
(東京地裁平成17年11月16日判決) 


民事手続
慶應義塾大学民事手続判例研究会
(監修)三木浩一
○民訴法209条1項の過料の裁判についての訴訟の当事者の申立権(最高裁平成17年11月18日第二小法廷決定) 

○根抵当権の実行としての競売の申立書に被担保債権及び請求債権の表示としてされた「金8億円 但し、債権者が債務者に対して有する下記債権のうち、下記記載の順序にしたがい上記金額に満つるまで。」との記載が被担保債権の一部について担保権の実行をする趣旨の記載ではないとされた事例(最高裁平成17年11月24日第一小法廷判決) 

○健康保険法上の保険医療機関、生活保護法上の指定医療機関等の指定を受けた病院又は診療所が社会保険診療報酬支払基金に対して取得する診療報酬債権は、民事執行法151条の2第2項に規定する「継続的給付に係る債権」に当たる(平成17年12月6日最高裁第三小法廷決定) 

○不作為を目的とする債務の強制執行として間接強制決定をするには、債権者において、債務者がその不作為義務に違反するおそれがあることを立証すれば足り、債務者が現にその不作為義務に違反していることを立証する必要はない(最高裁平成17年12月9日第二小法廷決定) 

○差押えがされている動産引渡請求権を更に差し押さえた債権者が、先行する差押事件で実施される配当手続に参加するために、執行裁判所に対して競合差押債権者の存在を認識させる措置を執るべき義務の有無(消極)(最高裁平成18年1月19日第一小法廷判決) 


[行政]
橋本 勇
○地方自治法237条2項の議会の議決があったというためには、当該譲渡等が適正な対価によらないものであることを前提として審議がされた上当該譲渡等を行うことを認める趣旨の議決がされたことを要する(最高裁平成17年11月17日第一小法廷判決) 

○情報公開条例に基づき多数の食糧費の支出に関する文書の写しの交付を受けた日から約4か月後にされた住民監査請求について地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由がないとされた事例(最高裁平成17年12月15日第一小法廷判決) 


[知的財産権]…侵害訴訟
岩原将文
○キヤノンインクタンク事件
1 物の発明に関する特許製品の使用済み品を再利用したリサイクル製品について、国内消尽が認められず、特許権を行使することができるとされた事例
2 物の発明に関する特許製品の使用済み品を再利用したリサイクル製品について、国際消尽が認められず、特許権を行使することができるとされた事例
3 物を生産する方法の発明に関する特許製品の使用済み品を再利用したリサイクル製品について、国内消尽が認められず、特許権を行使することができるとされた事例
4 物を生産する方法の発明に関する特許製品の使用済み品を再利用したリサイクル製品について、国際消尽が認められず、特許権を行使することができるとされた事例
(知財高裁平成18年1月31日判決) 


[知的財産権]…審決取消訴訟
上沼紫野
○同日出願において、事前協議が不成立な場合、商標法8条5項によって特許庁長官が行うくじにおいて、第2順位以下の出願人を定めることができ、くじの実施に際して、出願人に対し、順位を定めることを明確に伝え、くじの実施に対して意見を述べる機会を与えなくても違法ではないとされた事例(知財高裁平成17年11月8日判決) 


[知的財産権]…著作権等
小倉秀夫
○海外に居住する利用者を対象にテレビチューナー付きコンピュータのホスティングサービスを営む業者が複製の主体とされた事例(知財高裁平成17年11月15日決定) 

○広告用のパンフレットの製作を外部のパンフレット製作会社に委託した者は、特段の事情のない限り、パンフレットに使用される写真の著作権については、パンフレット製作会社において適切な対応がされていると信じ、その写真を使用することが他者の著作権を侵害するものではないものと考えたとしても、注意義務に違反するものとはいえないとした事例(大阪地裁平成17年12月8日判決) 

□米国注目訴訟
コーポレート・ガバナンス関連/檀 柔正・安達 理
知的財産関連/岩瀬吉和
クラスアクション関連/中野雄介
□注目判決動向
2005年12月10日―2006年1月17日

□連載[裁判例総覧]
第4回
営業権侵害をめぐる裁判例(4)
升田 純

□判例解説
[民・商事]
升田 純
○船舶の衝突によって生じた不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効(商法798条1項による1年間)の起算点は、民法724条所定の被害者が損害及び加害者を知った時から進行する(最高裁平成17年11月21日第二小法廷判決)

○公立病院の診療に関する債権の時効期間は、地方自治法236条1項所定の5年ではなく、民法170条1号所定の3年である(最高裁平成17年11月21日第二小法廷判決)

○JVが請け負った土木工事のための工事用土砂の運送について、JVが商法753条1項所定の荷受人と認められなかった事例(名古屋高裁平成17年9月8日判決)

○1 ゴルフ場の経営会社が会社分割(物的分割)により新設会社にゴルフ場の営業を承継させた場合において、ゴルフクラブの会員の契約上の地位が新設会社に承継されていないとされた事例
2 前記の会社分割において、新設会社が商法26条1項の類推適用により、分割会社のゴルフクラブの会員に対する保証金の返還債務を負うとされた事例
(名古屋高裁平成17年10月6日判決)

○1 証券会社の従業員が高齢者に円建他社転換特約付債券(EB)を勧誘して販売したことにつき、適合性の原則違反が否定された事例
2 上記勧誘につき証券会社の従業員の説明義務違反が肯定された事例
(名古屋地裁平成17年8月10日判決)

○高齢者の作成した自筆遺言証書が自書したものではないとして無効とされた事例(松山地裁平成17年9月27日判決)

○1 新築建物の瑕疵が認められ、請負業者の瑕疵担保責任が認められた事例
2 前記請負業者の代表取締役の商法266条ノ3所定の責任が認められた事例
3 前記建物の工事監理を行った建築士の不法行為責任が認められた事例
(札幌地裁平成17年10月28日判決)

○生命保険会社の従業員が高齢者に相続税対策として銀行から融資を受けて保険料を支払うことにより変額保険に加入することを勧誘し、高齢者が変額保険に加入した場合について、説明義務違反による生命保険会社、銀行の共同不法行為責任が肯定された事例(東京地裁平成17年10月31日判決)

○1 広汎性発達障害等を有し、保育園における給食指導が原因で外傷性ストレス障害(PTSD)を発症した児童が小学校に就学中症状が悪化したことにつき、担任教諭の給食指導上の義務違反が否定された事例
2 上記児童の症状悪化につき、小学校の校長の児童の状態、配慮すべき事項について、十分な聞き取りを行い、担任教諭等に周知する体制を整えるべき義務違反が肯定された事例
(大阪地裁平成17年11月4日判決)

○1 準共有株主による権利行使者の指定に当たり、一部の準共有者が参加の機会が与えられなくても、やむを得ない事情があるとし、指定が有効とされた事例
2 真実の株主に招集通知を発することなく、実質的権利を有しない名義上の株主に招集通知を発することは、株主に対する株主総会の招集通知を定めた商法232条1項に違反するとされた事例
3 代表取締役が、株主名簿上の株主が実質的な株主でないことにつき疑いが生じた場合には、その株主に権利の行使を認めることにより株主総会における決議等会社の行為の効力が後に覆滅することがないよう、株主権の帰属につき必要な調査を尽くすべき注意義務に違反しないとされた事例
4 株主総会開催禁止の仮処分命令を肯定するだけの会社に回復困難な損害が認められなかった事例
(東京地裁平成17年11月11日決定)

[民事手続]
慶應義塾大学民事手続判例研究会
(監修)三木浩一
○1 宗教法人の責任役員及び代表役員を選定する檀信徒総会決議の不存在確認の訴えにつき確認の利益があるとされた事例
2 責任役員又は責任役員代務者と称して宗教法人の運営にかかわってきた檀信徒が責任役員及び代表役員を選定するための檀信徒総会を招集することが許されるとされた事例
 (最高裁平成17年11月8日第三小法廷判決)

○更生会社の管財人が旧会社更生法(平成14年法律第154号による改正前のもの)78条1項1号に該当する行為についてした否認の効果は、当該行為の目的物が複数で可分であったとしても、目的物すべてに及ぶ(最高裁平成17年11月8日第三小法廷判決)

○市の議会の会派に所属する議員が政務調査費を用いてした調査研究の内容及び経費の内訳を記載して当該会派に提出した調査研究報告書が、民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるとされた事例(最高裁平成17年11月10日第一小法廷決定)

○根抵当権者が競売の申立ての際に提出した登記事項証明書に、当該根抵当権の登記のほかに譲渡担保を原因とする同人への所有権移転登記が記載されていても、同登記事項証明書は、民事執行法181条1項3号の文書に当たる(最高裁平成17年11月11日第二小法廷決定)


[行政]
橋本 勇
○1 町が設置した公の施設を運営する団体に対する補助金の支出が「公益上必要がある場合」に該当しないとすることはできないとされた事例
2 住民訴訟において原告である住民は請求を放棄することはできない
(最高裁平成17年10月28日第二小法廷判決)

○市と外国都市との間の高速船運航事業を目的として設立された第3セクターに対する市の補助金の交付が地方自治法232条の2所定の「公益上必要がある場合」に当たるとされた事例(最高裁平成17年11月10日第一小法廷判決)

○市の助役が民間団体の開催する会合に出席した際の会費相当額として支出された市長交際費が社会通念上相当と認められる範囲を超えるものとした原審の判断に違法があるとされた事例(最高裁平成17年11月15日第三小法廷判決)

越智敏裕
○1 都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち事業が実施されることにより騒音、振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は同事業認可の取消しを求める訴訟の原告適格を有する
2 鉄道の連続立体交差化を内容とする都市計画事業認可の取消訴訟において事業地の周辺に居住する住民が原告適格を有するとされた事例
3 鉄道の連続立体交差化に当たり付属街路を設置することを内容とする都市計画事業認可の取消訴訟において事業地の周辺に居住する住民が原告適格を有しないとされた事例
(最高裁平成17年12月7日大法廷判決)


[知的財産権]…著作権等
小倉秀夫
○社内的に反対を受けつつも作成したプログラムや在外研修中に作成したプログラムについても職務著作の成立を認めた事例(東京地裁平成17年12月12日判決)


[知的財産権]…不競法
今給黎泰弘
○競業者が「特許権を無断で実施したため仮処分を申し立てた」旨記載した文書を自社のインターネット上のウェブサイトにのせた行為が不法行為にあたらないとされた事例(大阪地裁平成17年10月31日判決)

□米国注目訴訟
企業経営・株主代表訴訟関連/知的財産関連/クラスアクション関連
注目判決動向 6
2005年11月10日▶2005年12月16日
連載[裁判例総覧]第3回 16
営業権侵害をめぐる裁判例(3)
升田 純
判例解説 26
[民・商事]
升田 純
○相続財産である預金につき共同相続人の一部が銀行からその相続分を超えて払戻しを受けた場合には、銀行には民法703条所定の損失が発生するとされた事例(最高裁平成17年7月11日第二小法廷判決) 26

○マンションの専有部分の売主から委託を受けて買主との売買契約の締結事務を処理した宅地建物取引業者が専有部分内に設置された防火戸の操作方法等につき説明すべき義務を負い、説明義務違反が認められた事例(最高裁平成17年9月16日第二小法廷判決) 31

○共同相続が開始し、遺産分割が未了の間に相続人が死亡した場合、その相続人が取得した先行する相続の遺産についての相続分に応じた共有持分権は、遺産分割の対象になるか(積極)(最高裁平成17年10月11日第三小法廷決定) 38

○会社が経営の悪化した取引先の会社に経済的な合理性のない資金援助をした場合について、資金援助に関与した従業員を経て取締役になった者の損害賠償責任が肯定された事例(大阪地裁平成17年7月13日判決) 42

○患者が腰椎骨折のため市立病院の医師の治療を受けたところ、HIVに感染していたことが判明したため、医師が手術的治療を回避したことにつき、患者の適切な治療を受ける期待権、人格権の侵害による医師の不法行為が肯定された事例(慰謝料が100万円認められた事例)(甲府地裁平成17年7月26日判決) 45

○1 警察官が捜査用報償費に係る支払精算書に、窃盗に関する情報の提供を受け、その謝礼として1万円を支払った旨の虚偽の事実を記載した場合について、捜査協力者として氏名を無断で使用された者に対する氏名権侵害による国家賠償責任が認められた事例

 2 前記の氏名権侵害による無形の損害の損害額が10万円と認められた事例
 (札幌地裁平成17年8月18日判決) 48

○結婚式場の予約を挙式の1年以上前にし、その数日後に予約を取り消した場合について、予約金の返還を認めない結婚式場の約定が消費者契約法9条1号により無効とされた事例(東京地裁平成17年9月9日判決) 50

○発注期間・契約期間を1年間とする肉まんの供給契約につき期限の定めのない契約であると認定した上、この契約の解約につき正当な事由が必要であり、発注者の解約に正当な事由がないと認め、発注者の債務不履行責任を肯定した事例(1年間の逸失利益等の損害を認めた事例)(大阪地裁平成17年9月16日判決) 52

○プリペイドカードシステムを利用した電話サービスの開発について、開発を依頼した会社がこのシステムを採用してサービスを開始する義務に違反したとし、その債務不履行責任が肯定された事例(東京地裁平成17年9月21日判決) 56

[民事手続]
慶應義塾大学民事手続判例研究会
(監修)三木浩一

○1 民訴法220条4号ロにいう「公務員の職務上の秘密」と公務員が職務上知ることができた私人の秘密

 2 民訴法220条4号ロにいう「その提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある」の意義

 3 いわゆる災害調査復命書のうち、行政内部の意思形成過程に関する情報に係る部分は民訴法220条4号ロ所定の文書に該当するが、労働基準監督官等の調査担当者が職務上知ることができた事業者にとっての私的な情報に係る部分は同号ロ所定の文書に該当しないとされた事例
 (最高裁平成17年10月14日第三小法廷決定) 60

○1 再生手続開始の決定前から存続する契約につき、再生手続開始後の債務不履行を理由とする解除に基づく原状回復請求権は、再生債権にあたらないとされた事例

 2 契約中に契約上の地位等の譲渡を禁止する特約がある場合に、契約上の債務が民事再生法42条に基づく営業譲渡によって移転したことを理由として解除をすることは信義則に反して許されないとされた事例
 (東京高裁平成17年9月29日判決) 68

○1 裁判上の自白の撤回が認められなかった事例

 2 過払金返還請求事件において、被告が原告との金銭消費貸借取引履歴に関する書面の文書提出命令に従わなかったことから、裁判所が原告の主張する取引履歴を真実と認めて、過払金の存在と額を認定した事例
 (さいたま地裁平成17年8月10日判決) 71

○著作権及び著作隣接権の侵害を理由としてテレビ放送を対象としたハードディスクビデオレコーダーシステムの販売の差止め等を求めた訴訟において、請求の対象物の特定は商品名による特定で足りるとされた事例(大阪地裁平成17年10月24日判決) 73

○訴えの追加的変更が著しく訴訟手続を遅滞させるものとして許されなかった事例(大阪地裁平成17年10月31日判決) 75

○1 請求が既判力によって遮断された事例
 2 請求及び主張が訴訟上の信義則により許されないとされた事例
 (東京地裁平成17年11月1日判決) 77
[行政]
越智敏裕

○1 土地開発公社が個人から買収した土地の買収価格に関する情報は、名古屋市公文書公開条例所定の非公開情報(所得、財産等に関する個人識別情報のうち通常他人に知られたくないと認められるもの)に当たらないとされた事例

 2 土地開発公社が個人に対して支払った建物、工作物、立木、動産等に係る補償金の額に関する情報は、名古屋市公文書公開条例所定の非公開情報(所得、財産等に関する個人識別情報のうち通常他人に知られたくないと認められるもの)に当たるとされた事例
 (最高裁平成17年7月15日第二小法廷判決) 80

○1 土地開発公社が個人から買収した土地の買収価格に関する情報は、「公表することを目的として実施機関が作成し、又は取得した情報」に当たり、旧奈良県情報公開条例所定の個人に関する非開示情報に当たらないとされた事例

 2 土地開発公社が個人に対して支払った建物、工作物、動産、植栽等に係る補償金の額に関する情報は、旧奈良県情報公開条例所定の個人に関する非開示情報に当たるとされた事例
 (最高裁平成17年10月11日第三小法廷判決) 86
[知的財産権]…審決取消訴訟
市川 穣

○商標登録出願についての拒絶審決に対する審決取消訴訟が係属中に、分割出願がされ、もとの商標登録出願について指定商品等を削除する補正がなされたとき、その補正は商標法68条の40第1項に規定する補正ではなく、その効力は出願時に遡及しないとされた事例(最高裁平成17年7月14日第一小法廷判決) 97
森岡 誠

○いわゆるパラメータ特許について、特許出願の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載が特許法36条5項1号(平成6年法律第116号による改正前)の規定(サポート要件)に適合しないとされた事例(知財高裁平成17年11月11日判決) 103
[知的財産権]…不競法
今給黎泰弘

○マクロス事件
 映画の題名が、不正競争防止法2条1項1号、2号所定の商品等表示に該当しないとされた事例(知財高裁平成17年10月27日判決) 107
米国注目訴訟 111
企業経営・株主代表訴訟関連/知的財産関連/集団訴訟関連
●注目判決動向 2005年10月日2005年11月15日
●連載[裁判例総覧]
第2回 営業権侵害をめぐる裁判例(2)
●判例解説
[民・商事]升田 純 ○自筆証書遺言につき、遺言書の記載のみに依拠して遺言書の条項を形式的に解釈した原審の判断に明らかな法令違反があるとされた事例(最高裁平成17年7月22日第二小法廷判決)
○相続開始から遺産分割までに共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権は、共同相続人において各相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、賃料債権の帰属がその後の遺産分割に影響されるか(消極)(最高裁平成17年9月8日第一小法廷判決)

○衆議院議員の政治資金等に関する週刊誌の記事が名誉毀損に当たるとされた事例(東京高裁平成17年7月7日判決)

○商工信用組合の定期預金の払戻しの遅延損害金につき、商工信用組合の商人性を否定し、民法所定の年5分の割合の範囲で認められた事例(名古屋高裁平成17年7月15日)

○有限会社が取締役に対して訴訟を提起した場合につき、会社を代表して訴訟を提起した者が社員総会が定めた者ではないとされた事例(甲府地裁平成17年9月9日判決)

○1 賃貸住宅を賃借していた者が風呂の水道の蛇口を閉め忘れて就寝したため、階下の事務室に水漏れ事故が発生した場合について、賃借人の不法行為責任が認められ、賃貸人等の土地工作物責任が否定された事例
 2 前記事故の責任につき連帯保証をする旨の書面に署名をした前記賃借人の父親、賃貸人の連帯保証が認められた事例
 (甲府地裁平成17年9月16日判決)

○県立高校の生徒がラグビー部の練習試合中に熱中症を発症して死亡した事故について、部活動を指導した担当教諭に指導上の過失があったとし、県の国家賠償責任が認められた事例(佐賀地裁平成17年9月16日判決)

○貸金業者が、債務者の代理人から民事再生手続開始の申立てをした旨の通知を受けた後、債務者の給料債権の差押えをした場合、貸金業者の不法行為が認められた事例(富山地裁平成17年9月29日判決)

○景観を楽しむために設計されたスーパービュー踊り子号の展望室グリーン席に乗車した乗客が旅行中後方のみを眺めざるを得ない座席の構造であったことについて、鉄道会社の債務不履行責任が否定された事例(東京地裁平成17年10月4日判決)

○従業員の会社に対する損害賠償責任とその責任制限(東京地裁平成17年7月12日判決)

○脱税の証拠隠滅工作を行った者が資金を詐取された場合における詐取した者の不法行為に基づく損害賠償責任につき民法708条の趣旨が類推され、詐取された者の損害賠償請求が棄却された事例(東京地裁平成17年10月4日判決)

●判例解説[民事手続]
慶應義塾大学民事手続判例研究会
(監修)三木浩一 ○捜索差押許可状及び捜索差押令状請求書が民事訴訟法220条3号所定の法律関係文書に当たる等とされた事例(最高裁平成17年7月22日第二小法廷決定)
○法務省がパキスタン公機関に照会を行った際に外務省に交付した依頼文書の控え、上記照会に関して外務省がパキスタン公機関に交付した照会文書の控え及びこれに対する回答文書の提出を命じた原審の判断に違法があるとされた事例(最高裁平成17年7月22日第二小法廷決定)
 

●判例解説[行政]
橋本 勇
越智敏裕

橋本 勇
○在外国民の選挙権の制限は違憲であり、それを正すための立法をしなかったことは違法である(最高裁平成17年9月14日大法廷判決)
○医療法(平成12年法律第141号による改正前のもの)30条の7の規定に基づき都道府県知事が病院を開設しようとする者に対して行う病床数削減の勧告は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる(最高裁平成17年10月25日第三小法廷判決)

○足利市が設置していた小学校の廃止措置等について、特定の小学校において教育を受けさせる利益は法的に保護された権利あるいは法的地位ということはできず、条例による廃止措置は行政処分に当たらないとして、これらの措置等に関する取消請求を却下し、併せて、これらの措置によって精神的被害を被ったとする慰謝料請求についてもこれを認めなかった事例(宇都宮地裁平成17年8月10日判決)

○地方議会の会派に対する政務調査費の交付が違法とされた事例(函館地裁平成17年8月22日判決)

○1 地方議会の会派が選挙の前後を通じて同一性を有するとされた事例
 2 地方議会の会派に対する政務調査費の交付に違法はないとされた事例
 (京都地裁平成17年8月25日判決)
 

●判例解説
[知的財産権]…審決取消訴訟

南 かおり

橋口尚幸
  ○登録商標「国際自由学園」が商標法4条1項8号所定の他人の名称の著名な略称を含む商標に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例(最高裁平成17年7月22日第二小法廷判決)
○2社の共有に係る特許出願の拒絶査定に、当該2社のうち1社のみから審判請求がなされたのに対し、不適法な請求であって補正することができないものであるとして請求を却下した特許庁の審決について、上記2社がその取消しを求めたところ、知財高裁は特許庁の判断を追認し、審決の取消しを認めなかった事例(知財高裁平成17年6月22日判決)
 

●判例解説
[知的財産権]…著作権等
小倉秀夫
○ヨミウリ・オンライン見出し事件
 ニュース報道における記事見出しにつき、著作物性が肯定されることは必ずしも容易ではないとしたものの、法的保護に値する利益となり得るとした上で、新聞社に無断で、営利の目的をもって、かつ反復継続して、しかも、記事見出しが作成されて間もない時期に、記事見出しをデッドコピー等してリンク見出しを作成し実質的に配信した者に対する損害賠償請求を認めた事例
(知財高裁平成17年10月6日判決)
 
●米国注目訴訟 企業経営・株主代表訴訟関連/知的財産関連/集団訴訟関連
●注目判決動向 2005 年9月1日▶2005 年9月30 日
●連載[裁判例総覧]
第1回 営業権侵害をめぐる裁判例(1)
●判例解説
[民・商事]升田 純 ○証券会社の担当者が、顧客の意向と実情に反して、明らかに過
大な危険を伴う取引を積極的に勧誘するなど、適合性の原則から著しく逸脱した証券取引の勧誘をしてこれを行わせたときは、不法行為上も違法になるところ、顧客である株式会社に株価指数オプョンの売り取引を勧誘したことが適合性の原則から著しく逸脱したとはいえないとし、不法行為が否定された事例 (最高裁平成17 年7月14 日第一小法廷判決)
○貸金業者は、債務者から取引履歴の開示を求められた場合、開
示義務を負うか(積極) (最高裁平成17 年7月19 日第三小法廷判決)

○会員制リゾートクラブを経営していた会社から顧客らが預託金を預託して会員権を購入したところ、会社が倒産するとともに、会員権の預託金返還債務を保証していた会社が倒産したため、顧客らが保証会社の親会社である銀行に対してした預託金の返還債務の保証の履行請求、損害賠償の請求を棄却した事例
(札幌高裁平成17 年5月18 日判決)

○有責配偶者からの離婚請求を認容した事例 (名古屋高裁平成
17 年5月19 日判決)

○ニレコ事件
敵対的買収者が出現した場合に新株予約権が行使され、会社の
発行済株式総数が増加することを内容とする敵対的買収の事前
対策として実施された新株予約権の発行が不公正な取引方法に
当たるとされ、差止請求を認めた仮処分に対する保全抗告が棄
却された事例 (東京高裁平成17 年6月15 日決定)

○株式の所有者の死亡、名義貸しの伴う株主をめぐる紛争がある
場合において、抗告人が一応株主であることを認めたものの、会社に回復困難な損害を与えるということができない等とし、株主総会開催禁止の仮処分の申立てを却下した原決定を維持し、即時抗告を棄却した事例 (東京高裁平成17 年6月28 日決定)

○権利能力のない社団につき犯罪行為を指摘する週刊誌の記事が名誉毀損に当たり、記事を掲載、出版した出版社が真実と信じ
る相当の理由がないとし、出版社の不法行為責任を肯定した事例(慰謝料を200 万円認めた事例) (東京地裁平成17 年5月13 日決)

○経営破綻した銀行の元取締役につき違法配当に関する善管注意義務違反、忠実義務違反が否定された事例 (東京地裁平成17年5月19 日判決)

○弁護士が会社の法務担当者らにつき民事事件における承認に対して偽証教唆があった旨の告発、記者会見をした場合について、その内容が真実と信じる相当な理由があるとし、名誉毀損を否定し、名誉毀損を主張した民事訴訟の提起が不法行為に当たらないとした事例 (大分地裁平成17 年5月26 日判決)

○マンションの販売業者の従業員がマンションの販売に当たって顧客に対してペットの飼育の許否につき正確な情報の提供をしなかった場合について、マンションの販売業者の顧客に対する不法行為を肯定し、慰謝料の損害を認めた事例 (大分地裁平成17 年5月30 日判決)

○ニレコ事件
1 企業買収の事前の対抗策としての新株予約権の発行が法令に違反しないとされた事例
2 前記新株予約権の発行が著しく不公正な方法によるものとされ、新株予約権の発行の差止仮処分申請が認容された事例 (東京地裁平成17 年6月1日決定)

○1 スキューバダイビングのライセンス取得を目的とした主催旅行に参加した者がダイビングスクールの海洋実習中に溺死した事故につき、ダイビングスクールのインストラクターの不法行為責任が肯定された事例
2 ダイビングスクールの開催者の使用者責任が肯定された事例
3 旅行を主催した旅行業者の安全配慮義務違反による債務不履行責任が否定された事例 (大阪地裁平成17 年6月8日判決)

○ニレコ事件
敵対的買収者が出現した場合に新株予約権が行使され、会社の
発行済株式総数が増加することを内容とする敵対的買収の事前対策として実施された新株予約権の発行が不公正な取引方法に当たるとされ、差止請求を認めた仮処分が認可された事例 (東京地裁平成17 年6月9日決定)

○夢真HD 事件
株式分割につき商法280 条ノ10 の規定の適用、類推適用が否
定され、株式分割の差止を請求する仮処分申請が却下された事
例 (東京地裁平成17 年7月29 日決定)

●判例解説[民事手続]
慶應義塾大学民事手続判例研究会
(監修)三木浩一 ○被告が、抗弁として主張する弁済の事実に対応する書証を提出しているものと誤解していることが明らかであるにもかかわらず、裁判所が、同抗弁に係る立証等について釈明権を行使せずに同抗弁を排斥したことには、釈明権の行使を怠った違法があるとされた事例 (最高裁平成17 年7月14 日第一小法廷判決)
  
○第三者異議の訴えの原告の法人格が執行債務者に対する強制執行を回避するために濫用されている場合には、原告は、執行債務者と別個の法人格であることを主張して強制執行の不許を求
めることは許されないとされた事例 (最高裁平成17 年7月15
日第二小法廷判決)
 
●判例解説[行政]
越智敏裕 ○指定確認検査機関の確認に係る建築物について確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体は、指定確認検査機関の当該確認につき行政事件訴訟法21 条1項所定の「当該処
分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体」に当たると
された事例 (最高裁平成17 年6月24 日第二小法廷決定)
○医療法(平成9年法律第125 号による改正前のもの)30 条の7の規定に基づき都道府県知事が病院を開設しようとする者に対して行う病院開設中止の勧告は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとされた事例 (最高裁平成17 年7月15 日第二小法廷判決)

○医療法に基づく病院開設中止勧告に従わないことを理由とする
健康保険法(平成10 年法律第109 号による改正前のもの)43条ノ3第2項に基づく保険医療機関指定拒否処分が適法である等とされた事例 (最高裁平成17 年9月8日第一小法廷判決)
 

●判例解説
[知的財産権]…侵害訴訟
岩原将文 ○一太郎事件
 ソフトウエアの製造、譲渡等が特許法101 条4号所定の間接侵
害に該当せず、進歩性が欠如するとして特許法104 条の3第1項により特許権を行使することができないとされた事例 (知的財産高裁平成17 年9月30 日判決)
●判例解説
[知的財産権]…著作権等
小倉秀夫 ○被告が著作権侵害を行って利益を得ていたと指摘する判決に目を付けて、その利益を損害賠償金として取得しようとして当該
著作権を譲受した者による著作権侵害に基づく損害賠償請求は
権利の濫用に当たるとされた事例 (東京地裁平成17 年9月9
日判決)
●米国注目訴訟 企業経営・株主代表訴訟関連/知的財産関連
 

商品情報・内容

■ アメリカに本拠を置く世界最大級の法律情報出版及びデータベースサービス企業、レクシスネクシスによる判例誌。

著名な学者、実務家による重要判例のコメントをどこよりも「早く」「わかり易く」提供することに編集の主眼を置く。また、膨大な裁判例をテーマ毎に類型化し、解説した「裁判例総覧」(執筆:元東京高裁判事 升田純・中央大学法科大学院教授)や、米国の株主代表訴訟、集団訴訟、知的財産権に関する訴訟等を紹介した「米国注目訴訟」、最新の裁判例を網羅した「注目判決動向」など、他のコーナーも充実。

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