目次
特集:禁煙 up to date -新型タバコなど喫煙対策の最新情報-
≪今月の視点≫
人々はなぜタバコを吸うのか
私事で恐縮だが,医師になった後どうにもならない病が多いことを理解し,予防が最もよい治療だと考えるようになった.1988年『喫煙と健康』が発行され,喫煙対策の重要性を認識した.
患者になぜタバコを吸うのかたずねると意外な答えが返ってきた.「なぜ始めたのだろう……」,「病気になると考えていなかった」,「後悔している」などである.本当はタバコをやめたい人は相当いるだろうと想像した.
ニコチン依存症に対する禁煙補助剤としてニコチンガムが発売され,1994年禁煙外来を始めた.受診者は多いものと思っていたが外来は閑散としていた.まれに受診し,成功した方もしばらく時が経つと喫煙が再発していた.理由をうかがうと,酒席で勧められたなどであった.禁煙の困難さを実感するうち,喫煙防止のための授業を依頼されるようになった.学校へ行くと,喫煙経験をもつ生徒がいた.喫煙の問題には社会のありようが根底にあるのではないかと考えた.
2002年『医師とたばこ』(参考文献 1))が発刊された.医師がタバココントロールに取り組む理由が書かれており,ストンと腑に落ちた:① 診療のかなりの部分が喫煙に起因する疾患をもつ患者のために費やされている,②医師は,喫煙によって起こされる悲劇と苦痛に日々直面しており,予防し得る疾患原因のなかで最も大きいものがタバコである,③タバココントロールに参加することは,時代が抱えている公衆衛生上の課題に取り組む絶好の機会である,④健康問題について最も信頼性の高い情報と助言を提供してくれるのは医師であると認識されており,医師は市民のお手本である.
2016年,新たな知見を含む『喫煙の健康影響に関する報告書』(参考文献 2))が公開された.タバコ煙には多くの有害化学物質が含まれ,喫煙は健康に大きな悪影響を与えている.受動喫煙やサードハンドスモークの問題も報告される.喫煙は自らの体を害する自己への危害性,受動喫煙を介した他者への危害性があり,さらに喫煙そのものは依存症という病のためやめづらい.
『治療』誌では2000年の特集号を皮切りに喫煙の問題に関する特集が3回組まれてきた.4回目の今回は,とくに新型タバコについての研究の最前線を詳述していただいた.さらに,臨床上遭遇する諸問題について第一線でご活躍の先生方にご執筆をいただいた.本特集が皆さまの診療のお役に立つことができれば幸いである.
参考文献
1)デビット・シンプソン(著),日本医師会(訳):医師とたばこ─ 医師・医師会はいま何をすべきか,タバココントロールリソースセンター,日本医師会,2002.
http://dl.med.or.jp/dl-med/nosmoke/dandt.pdf
2)厚生労働省喫煙の健康影響に関する検討会(編):喫煙と健康─ 喫煙の健康影響に関する検討会報告書,平成28年8月,2016.
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000135586.html
[編集幹事]たかの呼吸器科内科クリニック/一般社団法人くまもと禁煙推進フォーラム 髙野義久
≪特集の目次≫
■特別座談会
新型タバコとは何か? われわれはどう対応すべきか?(作田 学,欅田尚樹,野村英樹,髙野義久)
■新型タバコの分析
電子タバコ(欅田尚樹)
加熱式タバコ(欅田尚樹)
■総 論
喫煙と疾患(井門 明,他)
ニコチン依存症(臼井洋介)
■喫煙と社会
なぜ人はタバコを吸い始めるのか(磯村 毅)
タバコフリー教育─未来を生き抜く力をつけるために─(栗岡成人,他)
病院敷地内禁煙の問題点と進め方(川合厚子)
職場の喫煙対策(村田千里)
タバコ産業の戦略を知って,タバコ対策を進めよう!(田淵貴大)
FCTC をご存知ですか? ─FCTC の理解と応用─ (郷間 厳)
■治 療
禁煙サポート:5A アプローチ(髙野義久)
禁煙サポート:認知行動療法(安陪隆明)
禁煙サポート:動機づけ面接 ─行動変容へ向けて準備ができていない人へのアプローチ─(北田雅子)
禁煙外来の始め方(飯田真美)
禁煙治療(村松弘康)
女性と妊婦のための禁煙支援(中村 靖)
未成年者・若年者の禁煙治療(清水隆裕)
看護職とともに行う禁煙支援(谷口千枝)
■受動喫煙対策:「分煙」ではなぜダメか
受動喫煙とサードハンドスモーク(大和 浩,他)
受動喫煙と法 (岡本光樹)
受動喫煙症(倉田文秋,他)
≪連 載≫
今月のお薬ランキング(20)
ステロイド外用薬(浜田康次)
「治療」「薬局」合同連載 Dr. ヤンデルの言葉のネタ帳
~“病院ことば”の,じっくり,例えば,結局は?(8)
簡単に考えてはいかんぞう~ Note 8.「γ-GTP」を言い換える~(市原 真)
「治療」「薬局」合同企画 ポリファーマシー “処方整理力”を鍛える! Dトレ(19)
おしっこ問題の表と裏(矢吹 拓)
≪今月の視点≫
人々はなぜタバコを吸うのか
私事で恐縮だが,医師になった後どうにもならない病が多いことを理解し,予防が最もよい治療だと考えるようになった.1988年『喫煙と健康』が発行され,喫煙対策の重要性を認識した.
患者になぜタバコを吸うのかたずねると意外な答えが返ってきた.「なぜ始めたのだろう……」,「病気になると考えていなかった」,「後悔している」などである.本当はタバコをやめたい人は相当いるだろうと想像した.
ニコチン依存症に対する禁煙補助剤としてニコチンガムが発売され,1994年禁煙外来を始めた.受診者は多いものと思っていたが外来は閑散としていた.まれに受診し,成功した方もしばらく時が経つと喫煙が再発していた.理由をうかがうと,酒席で勧められたなどであった.禁煙の困難さを実感するうち,喫煙防止のための授業を依頼されるようになった.学校へ行くと,喫煙経験をもつ生徒がいた.喫煙の問題には社会のありようが根底にあるのではないかと考えた.
2002年『医師とたばこ』(参考文献 1))が発刊された.医師がタバココントロールに取り組む理由が書かれており,ストンと腑に落ちた:① 診療のかなりの部分が喫煙に起因する疾患をもつ患者のために費やされている,②医師は,喫煙によって起こされる悲劇と苦痛に日々直面しており,予防し得る疾患原因のなかで最も大きいものがタバコである,③タバココントロールに参加することは,時代が抱えている公衆衛生上の課題に取り組む絶好の機会である,④健康問題について最も信頼性の高い情報と助言を提供してくれるのは医師であると認識されており,医師は市民のお手本である.
2016年,新たな知見を含む『喫煙の健康影響に関する報告書』(参考文献 2))が公開された.タバコ煙には多くの有害化学物質が含まれ,喫煙は健康に大きな悪影響を与えている.受動喫煙やサードハンドスモークの問題も報告される.喫煙は自らの体を害する自己への危害性,受動喫煙を介した他者への危害性があり,さらに喫煙そのものは依存症という病のためやめづらい.
『治療』誌では2000年の特集号を皮切りに喫煙の問題に関する特集が3回組まれてきた.4回目の今回は,とくに新型タバコについての研究の最前線を詳述していただいた.さらに,臨床上遭遇する諸問題について第一線でご活躍の先生方にご執筆をいただいた.本特集が皆さまの診療のお役に立つことができれば幸いである.
参考文献
1)デビット・シンプソン(著),日本医師会(訳):医師とたばこ─ 医師・医師会はいま何をすべきか,タバココントロールリソースセンター,日本医師会,2002.
http://dl.med.or.jp/dl-med/nosmoke/dandt.pdf
2)厚生労働省喫煙の健康影響に関する検討会(編):喫煙と健康─ 喫煙の健康影響に関する検討会報告書,平成28年8月,2016.
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000135586.html
[編集幹事]たかの呼吸器科内科クリニック/一般社団法人くまもと禁煙推進フォーラム 髙野義久
≪特集の目次≫
■特別座談会
新型タバコとは何か? われわれはどう対応すべきか?(作田 学,欅田尚樹,野村英樹,髙野義久)
■新型タバコの分析
電子タバコ(欅田尚樹)
加熱式タバコ(欅田尚樹)
■総 論
喫煙と疾患(井門 明,他)
ニコチン依存症(臼井洋介)
■喫煙と社会
なぜ人はタバコを吸い始めるのか(磯村 毅)
タバコフリー教育─未来を生き抜く力をつけるために─(栗岡成人,他)
病院敷地内禁煙の問題点と進め方(川合厚子)
職場の喫煙対策(村田千里)
タバコ産業の戦略を知って,タバコ対策を進めよう!(田淵貴大)
FCTC をご存知ですか? ─FCTC の理解と応用─ (郷間 厳)
■治 療
禁煙サポート:5A アプローチ(髙野義久)
禁煙サポート:認知行動療法(安陪隆明)
禁煙サポート:動機づけ面接 ─行動変容へ向けて準備ができていない人へのアプローチ─(北田雅子)
禁煙外来の始め方(飯田真美)
禁煙治療(村松弘康)
女性と妊婦のための禁煙支援(中村 靖)
未成年者・若年者の禁煙治療(清水隆裕)
看護職とともに行う禁煙支援(谷口千枝)
■受動喫煙対策:「分煙」ではなぜダメか
受動喫煙とサードハンドスモーク(大和 浩,他)
受動喫煙と法 (岡本光樹)
受動喫煙症(倉田文秋,他)
≪連 載≫
今月のお薬ランキング(20)
ステロイド外用薬(浜田康次)
「治療」「薬局」合同連載 Dr. ヤンデルの言葉のネタ帳
~“病院ことば”の,じっくり,例えば,結局は?(8)
簡単に考えてはいかんぞう~ Note 8.「γ-GTP」を言い換える~(市原 真)
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おしっこ問題の表と裏(矢吹 拓)
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