目次
特集テーマ:今こそ知りたい!JAK阻害薬 -適応の拡大を追いかける&免疫系に強くなる-
<特集の目次>
■特集にあたって(吉村 昭彦)
■免疫の地図(監修:吉村昭彦)
■免疫の基礎の基礎
・サイトカインによる情報伝達と炎症のしくみ(吉村 昭彦)
・全身のリンパ組織を巡る免疫の旅(片貝 智哉)
・人体の各臓器からみる免疫・バリアのしくみ(椛島 健治 ほか)
・T細胞のはたらきといろいろなT細胞の特徴(久保 允人)
・B細胞のはたらきと抗体のヒミツ(北村 大介)
・Ⅰ型アレルギーはどのようにして起こるのか(本村 泰隆)
・免疫寛容のメカニズムと自己免疫疾患(吉村 昭彦)
■JAK阻害薬と免疫系にはたらくくすり
・ヤヌスキナーゼとJAK阻害薬(吉村 昭彦)
・これまでの免疫を抑えるくすりのしくみ(和田 恭一)
・抗体医薬と比べてみました(山岡 邦宏)
■JAK阻害薬の効きどころ,使いどころ
・関節リウマチ(田中 良哉)
・炎症性腸疾患(清原 裕貴 ほか)
・アトピー性皮膚炎(小亀 敏明 ほか)
・乾癬(高橋 ちあき ほか)
■JAK阻害薬の薬学管理で患者さんをずっと支える
・JAK阻害薬の初回指導とフォローアップ(冨田 隆志)
・JAK阻害薬の投与に必要な検査とワクチン(萱野 勇一郎)
<シリーズ>
■ガチではじめる マジでわかる 経口抗がん薬
ロンサーフ(トリフルリジン/チピラシル)の発熱
(小澤 有輝)
■えびさんぽ
JAK阻害薬の有効性や安全性に関する最新知見は?
(青島 周一)
■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
・H2RAよりもPPIの方が腸内細菌叢が乱れる
・チアジド系利尿薬は低ナトリウム血症が起こりやすい?
(佐藤 宏樹 澤田 康文)
■薬剤師40年目の独り言
敷地内薬局の是非と元事務部長逮捕を混同してはいけない
(鎧のない薬剤師)
■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
〈第26回〉アリメジンシロップ0.05%
(小嶋 純 米子 真記)
■薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ)大井教授の皮膚×くすり講座
2時限目 生理学 皮膚の物理的なバリア機能
(大井 一弥)
■がん研有明病院薬剤部の ABCセミナーの楽屋話
・皮膚がんの薬物療法
・適応外使用
(前 勇太郎 庄司 大悟)
■「全(ZEN)か無(MU)か」じゃないんだよ 薬物相互作用
〈File 05〉ループ利尿薬関連薬物相互作用(カリウム編)
(平井 利典 児島 悠史)
■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
〈第14回〉「かぜの予防」+「胃もたれ治療」=「リウマチの薬」??
患者の「不定愁訴」にきめ細かく対応する漢方治療
(津田 篤太郎)
■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
〈第38回〉礼
(篠田 康孝)
■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
〈参拾捌ノ型〉パターン化された発熱性好中球減少症の対応からの脱却!
病態変化を考慮し,抗菌薬投与を個別化 せよ!
(菅原(鈴木)義紀)
<巻頭言>
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬は,関節リウマチ,炎症性腸疾患,アトピー性皮膚炎など,さまざまな疾患に適応が拡がり,新薬も次々と登場している.薬剤師がその名前を目にする機会は,ますます増えてくると思われる.JAK阻害薬は新しい作用機序の薬剤であり,また免疫や造血を抑制する作用をもつため感染症の副作用に注意が必要であるなど,薬学管理も必要である.
そもそもJAK阻害薬の効能はサイトカインの作用をブロックすることにある.サイトカインは広くはタンパク質性のホルモン全体をさすが,JAK阻害薬の対象は主に免疫系に作用するサイトカインで,例えば有名なものではインターロイキン(IL)-6やIL-4,IL-23,インターフェロン(IFN)があげられる.これらのサイトカインはそれぞれ関節リウマチ,炎症性腸疾患,アトピー性皮膚炎,全身性エリトマトーデス(SLE)などの免疫疾患において重要な役割を担っている.これまではこれらのサイトカインに対する抗体製剤が治療に用いられてきたが,今後,経口投与可能なJAK阻害薬に置き換わっていくと考えられている.そこでこれまで使われてきた免疫抑制薬との違いや,抗体製剤との差別化について十分なページを割いて解説している.
JAK阻害薬の意義を理解するには,そもそもこれらの免疫が関わる病気でサイトカインがどのような役割をしているのか? を知る必要がある.ところが今でも「免疫学」は難解で近寄りにくいもの,できれば避けたいと考えている薬剤師や薬学関係者は多い.これは,免疫には多数の細胞やサイトカインが関わるために役者が多過ぎること,学部における免疫学の講義が暗記中心で「面白くない」ものの代表になっていることがあげられる.そもそも「免疫学」の独立した講義がない薬学部も多い.そこで本特集では,第Ⅰ章「免疫の地図」にまず免疫学とサイトカインの役割を基礎からわかりやすく解説し,基礎から学べるよう配慮されている.ガイドマップ「免疫の地図」も参考にしていただきたい.この部分はすでに免疫学の十分な知識を得ている人には不要かもしれないが,「免疫記憶」や「免疫寛容」などの最新の話題も取り入れているため,目を通していただければありがたい.
一方で厄介なことに,広範なサイトカインがJAKを活性化するために副作用にも注意を払う必要がある.例えば帯状疱疹を含む感染症には常に注意しないといけない.また白血球を作る造血因子とよばれる血液を作るサイトカインもJAKを使っているために,骨髄抑制が起きる可能性もある.本特集ではJAK阻害薬の副作用についても十分配慮し,JAK阻害薬に必要な検査や確認事項についても解説している.
本特集では,JAK阻害薬や抗体医薬品,そのほかの免疫に作用する薬剤のしくみから,JAK阻害薬が適応となるそれぞれの疾患の病態と,治療におけるJAK阻害薬の位置づけ,薬学管理のポイントなど,JAK阻害薬について薬剤師が知っておきたいことを幅広くまとめた.本特集を機に,薬剤師の方々にとって免疫とJAK阻害薬がより身近なものとなり,適応が拡大するJAK阻害薬とともに患者さんを支える一助となれば幸いである.
東京理科大学 生命医科学研究所 分子病態学部門 教授
吉村 昭彦
<特集の目次>
■特集にあたって(吉村 昭彦)
■免疫の地図(監修:吉村昭彦)
■免疫の基礎の基礎
・サイトカインによる情報伝達と炎症のしくみ(吉村 昭彦)
・全身のリンパ組織を巡る免疫の旅(片貝 智哉)
・人体の各臓器からみる免疫・バリアのしくみ(椛島 健治 ほか)
・T細胞のはたらきといろいろなT細胞の特徴(久保 允人)
・B細胞のはたらきと抗体のヒミツ(北村 大介)
・Ⅰ型アレルギーはどのようにして起こるのか(本村 泰隆)
・免疫寛容のメカニズムと自己免疫疾患(吉村 昭彦)
■JAK阻害薬と免疫系にはたらくくすり
・ヤヌスキナーゼとJAK阻害薬(吉村 昭彦)
・これまでの免疫を抑えるくすりのしくみ(和田 恭一)
・抗体医薬と比べてみました(山岡 邦宏)
■JAK阻害薬の効きどころ,使いどころ
・関節リウマチ(田中 良哉)
・炎症性腸疾患(清原 裕貴 ほか)
・アトピー性皮膚炎(小亀 敏明 ほか)
・乾癬(高橋 ちあき ほか)
■JAK阻害薬の薬学管理で患者さんをずっと支える
・JAK阻害薬の初回指導とフォローアップ(冨田 隆志)
・JAK阻害薬の投与に必要な検査とワクチン(萱野 勇一郎)
<シリーズ>
■ガチではじめる マジでわかる 経口抗がん薬
ロンサーフ(トリフルリジン/チピラシル)の発熱
(小澤 有輝)
■えびさんぽ
JAK阻害薬の有効性や安全性に関する最新知見は?
(青島 周一)
■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
・H2RAよりもPPIの方が腸内細菌叢が乱れる
・チアジド系利尿薬は低ナトリウム血症が起こりやすい?
(佐藤 宏樹 澤田 康文)
■薬剤師40年目の独り言
敷地内薬局の是非と元事務部長逮捕を混同してはいけない
(鎧のない薬剤師)
■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
〈第26回〉アリメジンシロップ0.05%
(小嶋 純 米子 真記)
■薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ)大井教授の皮膚×くすり講座
2時限目 生理学 皮膚の物理的なバリア機能
(大井 一弥)
■がん研有明病院薬剤部の ABCセミナーの楽屋話
・皮膚がんの薬物療法
・適応外使用
(前 勇太郎 庄司 大悟)
■「全(ZEN)か無(MU)か」じゃないんだよ 薬物相互作用
〈File 05〉ループ利尿薬関連薬物相互作用(カリウム編)
(平井 利典 児島 悠史)
■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
〈第14回〉「かぜの予防」+「胃もたれ治療」=「リウマチの薬」??
患者の「不定愁訴」にきめ細かく対応する漢方治療
(津田 篤太郎)
■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
〈第38回〉礼
(篠田 康孝)
■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
〈参拾捌ノ型〉パターン化された発熱性好中球減少症の対応からの脱却!
病態変化を考慮し,抗菌薬投与を個別化 せよ!
(菅原(鈴木)義紀)
<巻頭言>
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬は,関節リウマチ,炎症性腸疾患,アトピー性皮膚炎など,さまざまな疾患に適応が拡がり,新薬も次々と登場している.薬剤師がその名前を目にする機会は,ますます増えてくると思われる.JAK阻害薬は新しい作用機序の薬剤であり,また免疫や造血を抑制する作用をもつため感染症の副作用に注意が必要であるなど,薬学管理も必要である.
そもそもJAK阻害薬の効能はサイトカインの作用をブロックすることにある.サイトカインは広くはタンパク質性のホルモン全体をさすが,JAK阻害薬の対象は主に免疫系に作用するサイトカインで,例えば有名なものではインターロイキン(IL)-6やIL-4,IL-23,インターフェロン(IFN)があげられる.これらのサイトカインはそれぞれ関節リウマチ,炎症性腸疾患,アトピー性皮膚炎,全身性エリトマトーデス(SLE)などの免疫疾患において重要な役割を担っている.これまではこれらのサイトカインに対する抗体製剤が治療に用いられてきたが,今後,経口投与可能なJAK阻害薬に置き換わっていくと考えられている.そこでこれまで使われてきた免疫抑制薬との違いや,抗体製剤との差別化について十分なページを割いて解説している.
JAK阻害薬の意義を理解するには,そもそもこれらの免疫が関わる病気でサイトカインがどのような役割をしているのか? を知る必要がある.ところが今でも「免疫学」は難解で近寄りにくいもの,できれば避けたいと考えている薬剤師や薬学関係者は多い.これは,免疫には多数の細胞やサイトカインが関わるために役者が多過ぎること,学部における免疫学の講義が暗記中心で「面白くない」ものの代表になっていることがあげられる.そもそも「免疫学」の独立した講義がない薬学部も多い.そこで本特集では,第Ⅰ章「免疫の地図」にまず免疫学とサイトカインの役割を基礎からわかりやすく解説し,基礎から学べるよう配慮されている.ガイドマップ「免疫の地図」も参考にしていただきたい.この部分はすでに免疫学の十分な知識を得ている人には不要かもしれないが,「免疫記憶」や「免疫寛容」などの最新の話題も取り入れているため,目を通していただければありがたい.
一方で厄介なことに,広範なサイトカインがJAKを活性化するために副作用にも注意を払う必要がある.例えば帯状疱疹を含む感染症には常に注意しないといけない.また白血球を作る造血因子とよばれる血液を作るサイトカインもJAKを使っているために,骨髄抑制が起きる可能性もある.本特集ではJAK阻害薬の副作用についても十分配慮し,JAK阻害薬に必要な検査や確認事項についても解説している.
本特集では,JAK阻害薬や抗体医薬品,そのほかの免疫に作用する薬剤のしくみから,JAK阻害薬が適応となるそれぞれの疾患の病態と,治療におけるJAK阻害薬の位置づけ,薬学管理のポイントなど,JAK阻害薬について薬剤師が知っておきたいことを幅広くまとめた.本特集を機に,薬剤師の方々にとって免疫とJAK阻害薬がより身近なものとなり,適応が拡大するJAK阻害薬とともに患者さんを支える一助となれば幸いである.
東京理科大学 生命医科学研究所 分子病態学部門 教授
吉村 昭彦
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