目次
特集:アルツハイマー型認知症
■特集にあたって(中村 祐)
■認知症の初歩を知る
・主要な認知症疾患の特徴および対応のポイント(長濱康弘)
・認知症と間違えやすい疾患(戸井優樹ほか)
■早期診断へのサポート
・早期受診が重要な理由と早期に受診しない理由(井藤佳恵ほか)
・専門医が組み立てるAD診断のロジック(繁田雅弘)
・医師へフィードバックすべきAD診断に重要な情報(木之下徹)
■ドネペジル塩酸塩による治療戦略
・ADに対する作用メカニズム(川畑信也)
・ドネペジル塩酸塩の投与開始と増量のタイミングおよび留意点(内海久美子)
・進行度に応じた増量のタイミングと薬物治療の中断・終了の目安(一宮洋介)
・ドネペジル塩酸塩が使用できない患者とその対応(水野 裕)
■BPSDの薬物治療(高橋 智)
■薬学的管理を実践するノウハウ
・患者個々の状態に応じた薬剤管理方法の提案(桑原秀徳)
・ドネペジル塩酸塩の服薬指導と観察ポイント(川添哲嗣)
・認知機能に影響のある薬剤を整理するコツ(橋本洋子)
・抗コリン作用をもつ薬の服用患者に対するリスク管理(荒木博陽ほか)
・ライフスタイルと服薬管理上の注意点(三輪高市)
■認知症における地域連携(土肥 栞)
■認知症治療で期待される新薬(中村 祐)
■Exercise
≪SERIES≫
■PCソフトウェアを用いた実践的TDM症例解析 第7回
メキシレチン
(小杉隆祥ほか)
■Pharm.Dを取り巻く医療環境レポート
・薬剤性QT延長:臨床で考慮すべきポイント
・緊急治療室における臨床薬剤業務の確立
(木村利美ほか)
■がんを治療する新しい薬 分子標的薬 第3回
がんの浸潤・転移のしくみからみた
従来型抗がん薬と分子標的薬のちがい
(石川和宏)
■小児医療現場で起こっている危険 第7回
海外での小児剤形への取り組み
(米子真記ほか)
■付録
総目次(2010年,Vol.61)
≪NEWS≫
・薬価基準に収載された医薬品の投与日数の制限
・寿命とレスベラトロル
・サイトカインによる抗肥満作用
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
≪巻頭言≫
わが国における急激な高齢化は医療・介護の分野で大きな変化を生んでいます.多くの分野で疾病構造が変化し,それに対応した医療・介護の整備が急務となっています.この高齢化社会においてとくに問題となっているのが,「認知症」です.「認知症」発症の主因は「加齢」であり,医療が発達すればするほど,「認知症」が増加するという仕組みになっています.「認知症」患者数は現在250万人程度と推測され,予防法が確立されなければ約20年後には400万人程度まで増加すると予想されています.しかし,現状では予防法や根本的な治療法を確立することはきわめて困難であり,「認知症」は今後避けることができないもっとも重要な疾病となっています.
「認知症」に対しては多大な社会資源の投入が必要です.これからの日本社会の構造を考えると,「認知症」とうまく付き合っていくことが要求されています.これは医療・介護の分野ではとくに重要であり,このなかで薬剤師が担う部分は少なくありません.薬剤情報の提供や服薬管理は,「認知症」の本質を考えると困難なことです.高齢者には,いわゆる「持病」が多く,「認知症」を発症する以前から多くの薬剤を服用していることが多々あります.そのため「認知症」発症以降も多くの薬剤の管理が重要となります.「認知症」における薬剤管理は患者本人に任せることができないことから,介護者と薬剤師の関与が重要となります.
また,「認知症」の進行抑制や諸症状緩和のために,実際のところ多くの薬剤が使用されています.「認知症」の進行抑制の作用がある薬剤は,残念ながら現在のところ1剤しかありません.多くは開発途上や申請段階にあります.1剤しかない現状でも,「認知症」に対する薬剤という特殊性から患者や介護者に薬剤情報を十分に伝えることが困難なようです.今後,新薬が発売された場合,新しい薬剤の情報提供と薬剤管理が重要となってくると思われます.一方,現在問題が大きいのは,「認知症」の周辺症状(興奮,焦燥,徘徊,不眠など)に対する薬物治療です.
現在,「認知症」の周辺症状を適応とした薬物は一切ありません.残念ながら,適応症の解釈により用いたり,まったくの適応外使用を行っているのが現状です.したがって,現場では薬剤の情報提供と薬剤管理が大変困難となっています.また,さらに進んで薬剤師による処方設計もこの分野では大きく期待されていることです.高齢者では,多くの要因を勘案したうえで,処方することが必要とされていますが,多忙な医師だけでは実際困難なことが多いからです.
このような現状を考えると,「認知症」の薬物治療,「認知症」患者の生活指導において薬剤師が務めるべき役割は大きいと言わざるをえません.この役目を果たすためには,「認知症」と「認知症」に関連する薬剤に関して正しい知識をもち,正しい情報を患者とその介護者にわかりやすく伝達し,正しい指導を患者とその介護者に行う必要があります.さらには処方設計への参加と薬剤師への期待は膨らんでいます.
本特集が,このようなニーズに応えられることを期待し,また今後の「認知症」の薬物治療の新しい展開に期待をもちたいと思います.
中村 祐 香川大学医学部 精神神経医学講座 教授
■特集にあたって(中村 祐)
■認知症の初歩を知る
・主要な認知症疾患の特徴および対応のポイント(長濱康弘)
・認知症と間違えやすい疾患(戸井優樹ほか)
■早期診断へのサポート
・早期受診が重要な理由と早期に受診しない理由(井藤佳恵ほか)
・専門医が組み立てるAD診断のロジック(繁田雅弘)
・医師へフィードバックすべきAD診断に重要な情報(木之下徹)
■ドネペジル塩酸塩による治療戦略
・ADに対する作用メカニズム(川畑信也)
・ドネペジル塩酸塩の投与開始と増量のタイミングおよび留意点(内海久美子)
・進行度に応じた増量のタイミングと薬物治療の中断・終了の目安(一宮洋介)
・ドネペジル塩酸塩が使用できない患者とその対応(水野 裕)
■BPSDの薬物治療(高橋 智)
■薬学的管理を実践するノウハウ
・患者個々の状態に応じた薬剤管理方法の提案(桑原秀徳)
・ドネペジル塩酸塩の服薬指導と観察ポイント(川添哲嗣)
・認知機能に影響のある薬剤を整理するコツ(橋本洋子)
・抗コリン作用をもつ薬の服用患者に対するリスク管理(荒木博陽ほか)
・ライフスタイルと服薬管理上の注意点(三輪高市)
■認知症における地域連携(土肥 栞)
■認知症治療で期待される新薬(中村 祐)
■Exercise
≪SERIES≫
■PCソフトウェアを用いた実践的TDM症例解析 第7回
メキシレチン
(小杉隆祥ほか)
■Pharm.Dを取り巻く医療環境レポート
・薬剤性QT延長:臨床で考慮すべきポイント
・緊急治療室における臨床薬剤業務の確立
(木村利美ほか)
■がんを治療する新しい薬 分子標的薬 第3回
がんの浸潤・転移のしくみからみた
従来型抗がん薬と分子標的薬のちがい
(石川和宏)
■小児医療現場で起こっている危険 第7回
海外での小児剤形への取り組み
(米子真記ほか)
■付録
総目次(2010年,Vol.61)
≪NEWS≫
・薬価基準に収載された医薬品の投与日数の制限
・寿命とレスベラトロル
・サイトカインによる抗肥満作用
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
≪巻頭言≫
わが国における急激な高齢化は医療・介護の分野で大きな変化を生んでいます.多くの分野で疾病構造が変化し,それに対応した医療・介護の整備が急務となっています.この高齢化社会においてとくに問題となっているのが,「認知症」です.「認知症」発症の主因は「加齢」であり,医療が発達すればするほど,「認知症」が増加するという仕組みになっています.「認知症」患者数は現在250万人程度と推測され,予防法が確立されなければ約20年後には400万人程度まで増加すると予想されています.しかし,現状では予防法や根本的な治療法を確立することはきわめて困難であり,「認知症」は今後避けることができないもっとも重要な疾病となっています.
「認知症」に対しては多大な社会資源の投入が必要です.これからの日本社会の構造を考えると,「認知症」とうまく付き合っていくことが要求されています.これは医療・介護の分野ではとくに重要であり,このなかで薬剤師が担う部分は少なくありません.薬剤情報の提供や服薬管理は,「認知症」の本質を考えると困難なことです.高齢者には,いわゆる「持病」が多く,「認知症」を発症する以前から多くの薬剤を服用していることが多々あります.そのため「認知症」発症以降も多くの薬剤の管理が重要となります.「認知症」における薬剤管理は患者本人に任せることができないことから,介護者と薬剤師の関与が重要となります.
また,「認知症」の進行抑制や諸症状緩和のために,実際のところ多くの薬剤が使用されています.「認知症」の進行抑制の作用がある薬剤は,残念ながら現在のところ1剤しかありません.多くは開発途上や申請段階にあります.1剤しかない現状でも,「認知症」に対する薬剤という特殊性から患者や介護者に薬剤情報を十分に伝えることが困難なようです.今後,新薬が発売された場合,新しい薬剤の情報提供と薬剤管理が重要となってくると思われます.一方,現在問題が大きいのは,「認知症」の周辺症状(興奮,焦燥,徘徊,不眠など)に対する薬物治療です.
現在,「認知症」の周辺症状を適応とした薬物は一切ありません.残念ながら,適応症の解釈により用いたり,まったくの適応外使用を行っているのが現状です.したがって,現場では薬剤の情報提供と薬剤管理が大変困難となっています.また,さらに進んで薬剤師による処方設計もこの分野では大きく期待されていることです.高齢者では,多くの要因を勘案したうえで,処方することが必要とされていますが,多忙な医師だけでは実際困難なことが多いからです.
このような現状を考えると,「認知症」の薬物治療,「認知症」患者の生活指導において薬剤師が務めるべき役割は大きいと言わざるをえません.この役目を果たすためには,「認知症」と「認知症」に関連する薬剤に関して正しい知識をもち,正しい情報を患者とその介護者にわかりやすく伝達し,正しい指導を患者とその介護者に行う必要があります.さらには処方設計への参加と薬剤師への期待は膨らんでいます.
本特集が,このようなニーズに応えられることを期待し,また今後の「認知症」の薬物治療の新しい展開に期待をもちたいと思います.
中村 祐 香川大学医学部 精神神経医学講座 教授
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