目次
特集:成熟期を迎えるジェネリック医薬品
■特集にあたって(佐藤 博)
■座談会「ジェネリック医薬品」使用促進の壁
―普及率向上へ向けた課題―(佐藤 博/小山信彌/岩月 進/高橋將喜/増原慶壮)
■薬剤師の「GEの使用促進へ向けたゲートキーパーの役割」に関する考察(緒方宏泰)
■海外のジェネリック医薬品事情(陸 寿一ほか)
■薬剤経済学に基づいたファーマシューティカルケアとGEの位置づけ(川上純一)
■薬を総合的に判断する5つの要素(佐々木忠徳)
■医師が安心して処方できるGE情報
・医師が抱える不安材料とその解決に向けての方策(武藤正樹)
・不安材料を解消するDIとその提供情報(上野和行)
■転換期を迎えたGEメーカーと上手に付き合う(折井孝男)
■GEの変更調剤に伴う薬剤師の業務範囲・役割の拡大とその将来像(山本信夫)
■GEのアセスメント(坂爪重明ほか)
■成功&失敗事例で学ぶ! 医療の質を下げないGEの活用
・抗がん薬のジェネリック医薬品採用のポイント(山本弘史)
・GE抗菌薬選定に伴う業務を多剤耐性菌対策につなげる(増原慶壮)
・治療エビデンスにサポートされたGE循環器用薬を適正に選択する(多田公揚ほか)
・付加価値の高いユースフルジェネリック医薬品を有効に使用する(丸山 徹)
・調剤薬変更がコンプライアンスへ及ぼす影響を考慮する―精神科領域を例に(栗原正亮)
・GE普及に果たすクリニカルパスの役割(宮崎美子)
■メイド・イン・ジャパンの製剤技術―GEメーカーのソコヂカラ
・高付加価値製剤への取り組み(德永雄二)
・ユーザーフレンドリーな口腔内速崩壊錠(RACTAB)の開発(沖本和人)
・ゼリー製剤の今後の展望(富樫美津雄)
■GEのGMP遵守と企業倫理(村田正弘)
■ジェネリック医薬品のさらなる使用促進のために(松野 強)
■コラム
・日本と海外では承認条件に違いはあるの?(四方田千佳子)
・GEの生物学的同等性試験結果はどのように記載されているか?(四方田千佳子)
・なぜヒトの臨床試験は必要ないの?(四方田千佳子)
・生物学的製剤の後発品はできる?(川西 徹)
≪SERIES≫
■小児医療現場で起こっている危険 第8回
ヒューマンエラーと医療に関する安全管理(土田 尚ほか)
■FDA新薬情報 最近の新薬承認から
プラダクサ/ラツーダ/テフラロ(石居昭夫)
■PCソフトウェアを用いた実践的TDM症例解析 第8回
テオフィリン(渋谷正則ほか)
■がんを治療する新しい薬 分子標的薬 第4回
抗体薬:リガンドまたは膜受容体阻害薬(石川和宏)
■Pharm.D.を取り巻く医療環境レポート
・REMS(薬リスク評価・緩和戦略):医療に携わる薬剤師にとっての課題と機会
・サウジアラビアにおける薬剤師実習レジデンシープログラムの確立(木村利美ほか)
≪NEWS≫
・うつ病の新たなメカニズム―エピジェネティクス―
・日本における自殺の疫学
・分子標的薬の費用効用分析
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≪巻頭言≫
“「成熟期を迎える」ジェネリック医薬品”という特集タイトルに,奇異な感じをもつ読者も少なからずいよう.「成熟期」とは,製品が市場に普及し,市場の成長が鈍る段階であり,市場規模が一定のため,低価格政策によるシェアの最大化により少数企業が大部分の市場シェアを獲得している.そのため,小規模な下位企業は,生き残り戦略として,ある特定の市場セグメントを目指すとされている.
先発品特許切れ問題のいわゆる「2010年」は,はや過ぎ去り,ジェネリック医薬品市場である生活習慣病治療薬開発から,グローバル先発品企業の多くは撤退を模索し,「アンメット・メディカル・ニーズ」に生き残りの戦略資源集中化を図る.すなわち,ジェネリック医薬品は,やや長めの「導入期」を経て,「成長期」に入ったが,将来のジェネリック医薬品対象品の急速な枯渇懸念から,はや「成熟期」へも突入しているわけである.ジェネリック医薬品の次世代を担うバイオシミラー開発において,新規治験に準ずる高投資型である「バイオシミラー問題」とその対処へのジェネリック医薬品企業の苦悩が,それを物語る.
「先発」と「後発」という対立基軸による,今や廃れた「冷戦構造」をガラパゴスが如く堅持したここ数年のジェネリック医薬品「論争」も,昨今の外資・国内を問わず先発大手企業の「後発一斉参入」により,その様相は一変し,これまでその渦中にいた多くの薬剤師,医師を始めとした論客,あるいはMRなどの当事者をも置き去りにするほどである.ジェネリック医薬品の品質などを先発と後発専業企業が競い合うという,まさに「成熟」時代の到来である.
また,海外との統計データ比較の問題点も,「成熟期」を後押しする.ジェネリック医薬品使用促進目標(2012年,数量シェア30%)に関しても,ジェネリック医薬品対象品目は,全体の53.6%(2007年)であるため,30%達成は,ジェネリック医薬品への置換可能であるうちの実質56%達成を意味する.したがって,2010年3月現在の20.3%は,37.9%(実質)達成となり,すでにフランス並みの普及ともいえる.また,その海外データも,その基準は,「メーカー出荷ベース」や「処方せん枚数ベース」と異なるため,米国の70%が,日本と同一視して比較ができないのは,53.6%が日本の実質100%を意味することからもいえよう.
さらに,OECD諸国の医薬品価格水準で,米国価格を指標1とした場合,2004年のデータでは,特許品(先発品)は,日本が0.33と最低水準であり,一方,米国,ドイツなどと比べて,国際的に高い価格といわれている日本のジェネリック医薬品は,0.9とほぼ同等か,逆に低いことが示されている.
すなわち,ジェネリック医薬品にみられる海外データとの比較からみたさまざまな「批判」も,その基準の相違などを斟酌すると,また,まったく別な世界が見えてくるということである.類似する例は,自動車による「実燃費」に関して,カタログ数値の達成率に内外格差との示唆,また,日本の低い食料自給率40%(カロリーベース換算)が,海外基準である生産額ベースでは66%との示唆など,枚挙にいとまがない.要は,諸外国ですでに医薬品政策などへ導入済みである「ファーマコメトリクス」的視点での対応が,われわれ医療関係者にも,今後ますます求められてくるということであろう.
ジェネリック医薬品における急激なパラダイムシフトが進行する現状にあって,医療現場における病院および保険薬局の薬剤師などが,今後これらの事態とどのように向き合っていくかを一緒に考える意味からも,ジェネリック医薬品の多面的な再検証を意図したこの特集が,その一助となることを切望する.
佐藤 博 新潟大学医歯学総合病院薬剤部 教授・薬剤部長
■特集にあたって(佐藤 博)
■座談会「ジェネリック医薬品」使用促進の壁
―普及率向上へ向けた課題―(佐藤 博/小山信彌/岩月 進/高橋將喜/増原慶壮)
■薬剤師の「GEの使用促進へ向けたゲートキーパーの役割」に関する考察(緒方宏泰)
■海外のジェネリック医薬品事情(陸 寿一ほか)
■薬剤経済学に基づいたファーマシューティカルケアとGEの位置づけ(川上純一)
■薬を総合的に判断する5つの要素(佐々木忠徳)
■医師が安心して処方できるGE情報
・医師が抱える不安材料とその解決に向けての方策(武藤正樹)
・不安材料を解消するDIとその提供情報(上野和行)
■転換期を迎えたGEメーカーと上手に付き合う(折井孝男)
■GEの変更調剤に伴う薬剤師の業務範囲・役割の拡大とその将来像(山本信夫)
■GEのアセスメント(坂爪重明ほか)
■成功&失敗事例で学ぶ! 医療の質を下げないGEの活用
・抗がん薬のジェネリック医薬品採用のポイント(山本弘史)
・GE抗菌薬選定に伴う業務を多剤耐性菌対策につなげる(増原慶壮)
・治療エビデンスにサポートされたGE循環器用薬を適正に選択する(多田公揚ほか)
・付加価値の高いユースフルジェネリック医薬品を有効に使用する(丸山 徹)
・調剤薬変更がコンプライアンスへ及ぼす影響を考慮する―精神科領域を例に(栗原正亮)
・GE普及に果たすクリニカルパスの役割(宮崎美子)
■メイド・イン・ジャパンの製剤技術―GEメーカーのソコヂカラ
・高付加価値製剤への取り組み(德永雄二)
・ユーザーフレンドリーな口腔内速崩壊錠(RACTAB)の開発(沖本和人)
・ゼリー製剤の今後の展望(富樫美津雄)
■GEのGMP遵守と企業倫理(村田正弘)
■ジェネリック医薬品のさらなる使用促進のために(松野 強)
■コラム
・日本と海外では承認条件に違いはあるの?(四方田千佳子)
・GEの生物学的同等性試験結果はどのように記載されているか?(四方田千佳子)
・なぜヒトの臨床試験は必要ないの?(四方田千佳子)
・生物学的製剤の後発品はできる?(川西 徹)
≪SERIES≫
■小児医療現場で起こっている危険 第8回
ヒューマンエラーと医療に関する安全管理(土田 尚ほか)
■FDA新薬情報 最近の新薬承認から
プラダクサ/ラツーダ/テフラロ(石居昭夫)
■PCソフトウェアを用いた実践的TDM症例解析 第8回
テオフィリン(渋谷正則ほか)
■がんを治療する新しい薬 分子標的薬 第4回
抗体薬:リガンドまたは膜受容体阻害薬(石川和宏)
■Pharm.D.を取り巻く医療環境レポート
・REMS(薬リスク評価・緩和戦略):医療に携わる薬剤師にとっての課題と機会
・サウジアラビアにおける薬剤師実習レジデンシープログラムの確立(木村利美ほか)
≪NEWS≫
・うつ病の新たなメカニズム―エピジェネティクス―
・日本における自殺の疫学
・分子標的薬の費用効用分析
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≪巻頭言≫
“「成熟期を迎える」ジェネリック医薬品”という特集タイトルに,奇異な感じをもつ読者も少なからずいよう.「成熟期」とは,製品が市場に普及し,市場の成長が鈍る段階であり,市場規模が一定のため,低価格政策によるシェアの最大化により少数企業が大部分の市場シェアを獲得している.そのため,小規模な下位企業は,生き残り戦略として,ある特定の市場セグメントを目指すとされている.
先発品特許切れ問題のいわゆる「2010年」は,はや過ぎ去り,ジェネリック医薬品市場である生活習慣病治療薬開発から,グローバル先発品企業の多くは撤退を模索し,「アンメット・メディカル・ニーズ」に生き残りの戦略資源集中化を図る.すなわち,ジェネリック医薬品は,やや長めの「導入期」を経て,「成長期」に入ったが,将来のジェネリック医薬品対象品の急速な枯渇懸念から,はや「成熟期」へも突入しているわけである.ジェネリック医薬品の次世代を担うバイオシミラー開発において,新規治験に準ずる高投資型である「バイオシミラー問題」とその対処へのジェネリック医薬品企業の苦悩が,それを物語る.
「先発」と「後発」という対立基軸による,今や廃れた「冷戦構造」をガラパゴスが如く堅持したここ数年のジェネリック医薬品「論争」も,昨今の外資・国内を問わず先発大手企業の「後発一斉参入」により,その様相は一変し,これまでその渦中にいた多くの薬剤師,医師を始めとした論客,あるいはMRなどの当事者をも置き去りにするほどである.ジェネリック医薬品の品質などを先発と後発専業企業が競い合うという,まさに「成熟」時代の到来である.
また,海外との統計データ比較の問題点も,「成熟期」を後押しする.ジェネリック医薬品使用促進目標(2012年,数量シェア30%)に関しても,ジェネリック医薬品対象品目は,全体の53.6%(2007年)であるため,30%達成は,ジェネリック医薬品への置換可能であるうちの実質56%達成を意味する.したがって,2010年3月現在の20.3%は,37.9%(実質)達成となり,すでにフランス並みの普及ともいえる.また,その海外データも,その基準は,「メーカー出荷ベース」や「処方せん枚数ベース」と異なるため,米国の70%が,日本と同一視して比較ができないのは,53.6%が日本の実質100%を意味することからもいえよう.
さらに,OECD諸国の医薬品価格水準で,米国価格を指標1とした場合,2004年のデータでは,特許品(先発品)は,日本が0.33と最低水準であり,一方,米国,ドイツなどと比べて,国際的に高い価格といわれている日本のジェネリック医薬品は,0.9とほぼ同等か,逆に低いことが示されている.
すなわち,ジェネリック医薬品にみられる海外データとの比較からみたさまざまな「批判」も,その基準の相違などを斟酌すると,また,まったく別な世界が見えてくるということである.類似する例は,自動車による「実燃費」に関して,カタログ数値の達成率に内外格差との示唆,また,日本の低い食料自給率40%(カロリーベース換算)が,海外基準である生産額ベースでは66%との示唆など,枚挙にいとまがない.要は,諸外国ですでに医薬品政策などへ導入済みである「ファーマコメトリクス」的視点での対応が,われわれ医療関係者にも,今後ますます求められてくるということであろう.
ジェネリック医薬品における急激なパラダイムシフトが進行する現状にあって,医療現場における病院および保険薬局の薬剤師などが,今後これらの事態とどのように向き合っていくかを一緒に考える意味からも,ジェネリック医薬品の多面的な再検証を意図したこの特集が,その一助となることを切望する.
佐藤 博 新潟大学医歯学総合病院薬剤部 教授・薬剤部長
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