目次
特集:『手強い病原菌を制御する』
■特集にあたって(三鴨 廣繁)
■今求められる感染制御とは(八木 哲也)
■病原菌が手強くなる理由-薬剤耐性メカニズムと抗菌薬との関係-(後藤 直正)
■抗菌薬使用状況と耐性率の関係(片山 歳也)
■医療現場で遭遇する注意すべき耐性菌
・入院患者(長谷川 洋一)
・外来・在宅患者(島田 泉)
■耐性菌に対する薬剤師目線のマネジメント
・耐性菌の情報をつかむ(望月 敬浩)
・耐性菌検出の報告に対応する(室 高広 ほか)
・検出菌について保菌? 感染? を見極める(山田 和範)
・アンチバイオグラムを作成・活用する(中根 茂喜 ほか)
・多剤耐性菌が検出された患者へ対応する(継田 雅美)
・系統別にみた抗菌薬使用量の理想的なバランスを整える(高橋 佳子 ほか)
・抗MRSA薬を使い分ける(安井 友佳子 ほか)
・MRSA株に対してバンコマイシンを適正に使用する(上田 和正)
■今日の耐性菌事情とその制御
・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)(辻 泰弘)
・バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)(豊口 禎子)
・バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)(小泉 祐一)
・多剤耐性緑膿菌(MDRP)(木村 匡男 ほか)
・多剤耐性アシネトバクター・バウマニ(MDR-AB)(北村 正樹)
・基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生菌(海老原 卓志)
・キノロン耐性大腸菌(山本 雅人)
・マクロライド耐性マイコプラズマ(山岸 由佳 ほか)
・ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)(前田 頼伸)
・薬剤耐性インフルエンザウイルス(坂野 昌志)
・Clostridium difficile(森 健)
■コラム
・病院内感染で問題となる話題の多剤耐性菌とは?(本田 勝亮)
・NDM-1,KPCってなに?(本田 勝亮)
■Exercise
≪TOPICS≫
・がん予防に対してサプリメントは有効? 無効? それとも有害?
・diffuse large-B-cell lymphomaに対するリツキシマブの上乗せ効果は長期間維持される
・平成24年度診療報酬改定は病院薬剤師の新時代を切り開く!
・消化管間質腫瘍術後患者に対してイマチニブの長期投与は有用で安全!?
・皮膚外用剤の塗布量についてどう指導する?
≪SERIES≫
■医療過誤事件から学ぶ薬剤師の失敗学 第6回
・副作用の重篤化防止のための情報の提供(服薬指導)-1
(秋本 義雄)
■Pharm.D.を取り巻く医療環境レポート
・ルーワイ胃バイパス手術患者の薬物動態学的検討事項
・情報テクノロジー(IT)を用いた,全国規模の医療システムにおける薬物有害反応のモニタリング
(木村 利美 ほか)
■徹底理解! 添付文書にある情報・ない情報 第3回
(堀 里子/三木 晶子/澤田 康文)
■もし薬剤師が薬の化学構造式をもう一度勉強したら 第8回
構造式から薬を読む 〈基本骨格編:番外編〉
(浅井 考介 ほか)
■PCソフトウェアを用いた実践的TDM症例解析 第21回
心肺停止(CPA)蘇生後脳症によるけいれんに対する抗てんかん薬の併用療法
~OptjpWin Spreadsheet Ver.6.1 D~
(喜古 康博 ほか)
■FDA新薬情報 最近の新薬承認から
2011年の新分子成分承認の動向分析
(石居 昭夫)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
≪特集にあたって≫
多剤耐性菌(multidrug-resistant organism ; MDRO)には,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus ; MRSA),バンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant enterococci ; VRE),KPCやNDM-1など特定のグラム陰性桿菌(gram-negative bacillus ; GNB)が含まれている.MDROの伝播は急性期医療施設においてもっとも多く報告されているが,すべての医療環境が抗菌薬耐性微生物の出現と伝播の影響を受けている.これらの病原体によって引き起こされる疾患の重症度と範囲は,感染した集団やそれらが検出された施設によってさまざまであるため,これらの病原体の予防と制御へのアプローチは各々の集団や個々の施設の特別な必要性に合わせなければならない.このことはアンチバイオグラム作成の重要性を物語っている.
各種感染症を予防することは医療環境におけるMDRO量を減らすことに繋がる.抗菌薬耐性の予防は,日常的な患者ケアすべてに取り入れられるべき適切な臨床的実践に依存している.これらには,血管内カテーテルおよび尿道カテーテルの最善の取り扱い,挿管されている患者の下気道感染の予防,感染性病原体の正確な診断,分別のある抗菌薬の選択および使用が含まれる.医療環境における抗菌薬耐性菌を減らすためには,4つの平行する戦略(感染予防,正確かつ迅速な治療と診断,抗菌薬の慎重な使用,伝播の予防)による根拠に基づいた多面性アプローチが必要である.これは,「なぜ耐性菌が出現するのか」を考えて耐性菌に対する問題解決に当たることの重要性を示している.
日本の厚生労働省は,医療法(昭和23年法律第205号)第6条の10,医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第1条の11第2項第1号の規定,「医療施設における院内感染の防止について」(平成17年2月1日付け医政指発第0201004号厚生労働省医政局指導課長通知),「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の一部の改正について」(平成19年3月30日付け医政発第0330010号厚生労働省医政局長通知),「多剤耐性アシネトバクター・バウマニ等に関する院内感染対策の徹底について」(平成21年1月23日付け厚生労働省医政局指導課事務連絡)などにより医療関連感染防止体制の徹底について求めてきた.さらに,平成24年度診療報酬改定では,感染症対策および医療安全の観点から,「感染防止対策加算」が新設され,医療関連感染対策が評価されるようになった.このような状況下,感染制御においては,チーム医療による横断的診療の重要性が叫ばれており,そのなかで薬剤師に対する期待は大きい.
臨床現場で活躍する薬剤師が,今回の企画から,最新の知識ならびに実践で役立つスキルを得ることができるものと企画者の一人として確信している.
三鴨 廣繁
愛知医科大学大学院医学研究科 感染制御学 主任教授
■特集にあたって(三鴨 廣繁)
■今求められる感染制御とは(八木 哲也)
■病原菌が手強くなる理由-薬剤耐性メカニズムと抗菌薬との関係-(後藤 直正)
■抗菌薬使用状況と耐性率の関係(片山 歳也)
■医療現場で遭遇する注意すべき耐性菌
・入院患者(長谷川 洋一)
・外来・在宅患者(島田 泉)
■耐性菌に対する薬剤師目線のマネジメント
・耐性菌の情報をつかむ(望月 敬浩)
・耐性菌検出の報告に対応する(室 高広 ほか)
・検出菌について保菌? 感染? を見極める(山田 和範)
・アンチバイオグラムを作成・活用する(中根 茂喜 ほか)
・多剤耐性菌が検出された患者へ対応する(継田 雅美)
・系統別にみた抗菌薬使用量の理想的なバランスを整える(高橋 佳子 ほか)
・抗MRSA薬を使い分ける(安井 友佳子 ほか)
・MRSA株に対してバンコマイシンを適正に使用する(上田 和正)
■今日の耐性菌事情とその制御
・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)(辻 泰弘)
・バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)(豊口 禎子)
・バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)(小泉 祐一)
・多剤耐性緑膿菌(MDRP)(木村 匡男 ほか)
・多剤耐性アシネトバクター・バウマニ(MDR-AB)(北村 正樹)
・基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ産生菌(海老原 卓志)
・キノロン耐性大腸菌(山本 雅人)
・マクロライド耐性マイコプラズマ(山岸 由佳 ほか)
・ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)(前田 頼伸)
・薬剤耐性インフルエンザウイルス(坂野 昌志)
・Clostridium difficile(森 健)
■コラム
・病院内感染で問題となる話題の多剤耐性菌とは?(本田 勝亮)
・NDM-1,KPCってなに?(本田 勝亮)
■Exercise
≪TOPICS≫
・がん予防に対してサプリメントは有効? 無効? それとも有害?
・diffuse large-B-cell lymphomaに対するリツキシマブの上乗せ効果は長期間維持される
・平成24年度診療報酬改定は病院薬剤師の新時代を切り開く!
・消化管間質腫瘍術後患者に対してイマチニブの長期投与は有用で安全!?
・皮膚外用剤の塗布量についてどう指導する?
≪SERIES≫
■医療過誤事件から学ぶ薬剤師の失敗学 第6回
・副作用の重篤化防止のための情報の提供(服薬指導)-1
(秋本 義雄)
■Pharm.D.を取り巻く医療環境レポート
・ルーワイ胃バイパス手術患者の薬物動態学的検討事項
・情報テクノロジー(IT)を用いた,全国規模の医療システムにおける薬物有害反応のモニタリング
(木村 利美 ほか)
■徹底理解! 添付文書にある情報・ない情報 第3回
(堀 里子/三木 晶子/澤田 康文)
■もし薬剤師が薬の化学構造式をもう一度勉強したら 第8回
構造式から薬を読む 〈基本骨格編:番外編〉
(浅井 考介 ほか)
■PCソフトウェアを用いた実践的TDM症例解析 第21回
心肺停止(CPA)蘇生後脳症によるけいれんに対する抗てんかん薬の併用療法
~OptjpWin Spreadsheet Ver.6.1 D~
(喜古 康博 ほか)
■FDA新薬情報 最近の新薬承認から
2011年の新分子成分承認の動向分析
(石居 昭夫)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
≪特集にあたって≫
多剤耐性菌(multidrug-resistant organism ; MDRO)には,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus ; MRSA),バンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant enterococci ; VRE),KPCやNDM-1など特定のグラム陰性桿菌(gram-negative bacillus ; GNB)が含まれている.MDROの伝播は急性期医療施設においてもっとも多く報告されているが,すべての医療環境が抗菌薬耐性微生物の出現と伝播の影響を受けている.これらの病原体によって引き起こされる疾患の重症度と範囲は,感染した集団やそれらが検出された施設によってさまざまであるため,これらの病原体の予防と制御へのアプローチは各々の集団や個々の施設の特別な必要性に合わせなければならない.このことはアンチバイオグラム作成の重要性を物語っている.
各種感染症を予防することは医療環境におけるMDRO量を減らすことに繋がる.抗菌薬耐性の予防は,日常的な患者ケアすべてに取り入れられるべき適切な臨床的実践に依存している.これらには,血管内カテーテルおよび尿道カテーテルの最善の取り扱い,挿管されている患者の下気道感染の予防,感染性病原体の正確な診断,分別のある抗菌薬の選択および使用が含まれる.医療環境における抗菌薬耐性菌を減らすためには,4つの平行する戦略(感染予防,正確かつ迅速な治療と診断,抗菌薬の慎重な使用,伝播の予防)による根拠に基づいた多面性アプローチが必要である.これは,「なぜ耐性菌が出現するのか」を考えて耐性菌に対する問題解決に当たることの重要性を示している.
日本の厚生労働省は,医療法(昭和23年法律第205号)第6条の10,医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第1条の11第2項第1号の規定,「医療施設における院内感染の防止について」(平成17年2月1日付け医政指発第0201004号厚生労働省医政局指導課長通知),「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の一部の改正について」(平成19年3月30日付け医政発第0330010号厚生労働省医政局長通知),「多剤耐性アシネトバクター・バウマニ等に関する院内感染対策の徹底について」(平成21年1月23日付け厚生労働省医政局指導課事務連絡)などにより医療関連感染防止体制の徹底について求めてきた.さらに,平成24年度診療報酬改定では,感染症対策および医療安全の観点から,「感染防止対策加算」が新設され,医療関連感染対策が評価されるようになった.このような状況下,感染制御においては,チーム医療による横断的診療の重要性が叫ばれており,そのなかで薬剤師に対する期待は大きい.
臨床現場で活躍する薬剤師が,今回の企画から,最新の知識ならびに実践で役立つスキルを得ることができるものと企画者の一人として確信している.
三鴨 廣繁
愛知医科大学大学院医学研究科 感染制御学 主任教授
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