巻頭言
291 農芸化学のSTI/吉田 稔
今日の話題
292 イネいもち病菌エフェクターと宿主R遺伝子の微妙な関係/曾根輝雄
感染過程での菌側と宿主側の因子の相互作用の一端が明らかに
295 細胞膜を撹乱する海洋天然物/西村慎一,掛谷秀昭,吉田 稔
セオネラミドはステロールに結合し,異常な細胞壁合成を誘導する
297 「アラキドン酸」による食品の美味しさ向上効果/山口 進
油脂とその加熱生成成分が味覚に及ぼす影響
299 フェアリーリングの化学/崔 宰熏,河岸洋和
フェアリー(妖精)の正体解明と農業への応用
光合成水分解の謎に迫る/三室 守
少ない光エネルギーでも反応を導く酸化還元電位の調節
305 有用テルペノイド化合物の増産を可能にする新しい鍵酵素/┳1A5D山智久
メバロン酸経路の新しいアセトアセチルコエンザイムA合成酵素の発見
セミナー室
335 土壌圏における窒素循環と微生物--N2Oの動態を中心として
1. 窒素循環と土壌からのN2O発生/秋山博子,澤本卓治,八木一行
「化学と生物」文書館
341 有機化学と核磁気共鳴/鵜澤 洵
バイオサイエンススコープ
352 化粧品特許:「美しく」を評価する難しさ/三谷祥子
農芸化学 @ High School
356 黴書道(かびしょどう) 自由自在に「かもす」ことは可能か/神奈川県立神奈川総合高等学校
解 説
【2010年ノーベル化学賞 解説】
307 有機合成における遷移金属触媒クロスカップリング反応/眞鍋 敬
鈴木章,根岸英一,リチャード・ヘック三博士のノーベル賞受賞の対象となったクロスカップリング反応.受賞者以外にも多くの日本人が関わってきた研究の概要と歴史的広がりを紐解きながら,その今日的意義を解説する.
313 花香を媒介とした植物と昆虫の多様な関係/大村 尚
多くの被子植物は,花粉を運んでもらうために特定の昆虫を誘引したり,あるいは植食性の昆虫を忌避したりするために花の香りを利用している.長い進化の過程を経てでき上がった花香成分と送粉者たちとの生態的関わりを概観する.
320 医薬品開発におけるリスク評価向上を目指した遺伝毒性試験の現状と展望
/橋爪恒夫,小田裕昭
医薬品開発において,候補化合物の毒性,特に発がん性の予測にとって,遺伝毒性試験は重要な位置を占める.リスク評価の向上を目指し,ヒト肝がん由来の細胞にシトクロムP450を導入し検出精度を向上させた試験法を中心に紹介する.
328 スフィンゴ脂質が関わる免疫抑制とシグナル伝達/竹松 弘,小堤保則
冬虫夏草から見いだされた免疫抑制物質をもとに合成されたFTY720が,自己免疫疾患の一種,多発性硬化症の治療薬として期待されている.その作用はスフィンゴ脂質の受容体に対するアンタゴニストとしての働きによることがわかった.
化学の窓
347 新規タンパク質マンノシル付加修飾:合成化学からの生物学への貢献
/眞鍋史乃,井原義人,伊藤幸成
海外だより
ドイツにおける若手研究者支援システム ポール・エーリッヒ研究所より
/戸田雅子
【プロフィル】312,319,334,340,346 【お知らせ】306,355
次号予定目次
<解説>
バクテリアのシリコンバイオサエンス 黒田章夫他
新しいNF-κB阻害剤DHMEQ 梅澤一夫,須貝 威
アレルギー疾患と母乳中のTGF-β 中尾篤人
生体分子イメージングでみる肥満脂肪組織炎症と血栓形成過程 西村 智,長崎実佳
天然物由来のリン酸化タンパク質特異的プロリン異性化酵素機能調節剤の探索 森 正,内田隆史
<今日の話題>
オリゴ糖でカルシウム補給・村上 洋/モデル生物シロイヌナズナはどのように自家受精を行なうようになったのか・土松隆志,清水健太郎/シロアリの女王フェロモン・松浦健二/骨形成を助けるビタミンK2 変換酵素の発見・岡野登志夫/細菌毒素100年の謎を解く・中平久美子,柳原 格/食品による消化管タイトジャンクションバリアの保護・鈴木卓弥
<セミナー室>
有機化合物による環境汚染の現状とその対策
5. バイオレメディエーションの実際:原油汚染 千野裕之
土壌圏における窒素循環と微生物
2. 農業起源のN2O発生量算定方法 澤本卓治
<化学の窓>
DNP-NMRのあたらしい感度向上技術とその応用 阿部孝政
<「化学と生物」文書館>
二成分制御系研究を振り返って (I) 水野 猛
今月の表紙
コムラサキシメジによるフェアリーリング病.コムラサキシメジの菌糸により,芝生がリング状に濃緑色を呈して繁茂し,さらに子実体(きのこ)が発生するとともに,時にリングの一番外側の芝草は枯死する.芝生が濃緑色を呈し繁茂するのは,コムラサキシメジ菌糸の産生するAHXにより芝草の成長が促されるためである.芝草の枯死は,菌糸体が土壌表面に不透水層をつくるためと考えられているが,ICAが関わっている可能性もある.なお,リングの位置は毎年2 mほど外側に移動する.(解説・写真提供:琉球大学教授 寺嶋芳江氏,千葉県千葉市にて2003年に撮影)『フェアリーリングの化学』(p. 299参照)
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