【特集】周術期呼吸管理をマスターする!~基礎から最新の知見まで~
企画編集/山口 修
〈特集にあたって〉
手術室内で医療を提供している我々にとっては,患者を過大侵襲から如何に護るかが最大の課題といえます。
外科は,侵襲の少ない内視鏡手術が全盛をきわめ,モニター類も侵襲的なカテーテルに代わり,超音波診断装置が頻用されています。低侵襲であるほど,術後の回復も速やかで,早期リハビリテーションが可能となり,結果的に術後合併症の軽減,在院日数の短縮化につながります。このことは病院経営にも大きく寄与します。そうした状況のなかで,周術期の呼吸管理の重要性は,昔も今も,少しも変わりません。
ダビンチ装置を使用した前立腺全摘術は,開腹術に比較して劇的に出血量を減らしました。しかし,この気腹状態で,極端な骨盤高位で行う手術を可能にしているのも確実な気道確保,体位保持,呼吸のモニター,筋弛緩薬の使用など術中の呼吸管理に負うところ大といえます。内視鏡を併用した呼吸器外科手術や食道の手術においても,片肺換気法が適切に行われて初めて手術が可能となります。術中の呼吸管理の巧拙が,手術の成否に大きく影響し,ひいては患者の術後経過や予後にまで影響を及ぼしかねません。
本特集では,まず術前の呼吸状態に異常のある患者の対処方法について触れていただきました。術式そのものが呼吸機能に影響する場合はもちろん,麻酔で使用する薬剤がいかに呼吸に影響するかについても記載していただきました。また,呼吸管理を語るうえで各種気道確保方法と呼吸のモニターの話を外すわけにはいきません。近年は,喉頭鏡による直視下気管挿管に加えてビデオ喉頭鏡や気管支ファイバーを用いた気管挿管も可能ですし,声門上器具を用いて換気する方法もあり,人工換気方法も多様になりました。これらを正しく使い分ける必要があります。さらに,呼吸管理のモニターとしてパルスオキシメトリーと呼気炭酸ガスモニターは必須です。パルスオシキメトリーを使用した場合と使用しなかった場合の患者の予後に差がなかったとも報告されていますが,今やパルスオキシメトリーを使わない麻酔医は皆無でしょう。この日本発の非侵襲モニターが安全な周術期呼吸管理に貢献していること計り知れませんが,注意点も認識しておく必要があります。各術式特有の呼吸管理,特殊体位の管理,小児の呼吸管理も各々章を独立させる重要性があると考えました。最後に,手術室で抜管の可否を判断する基準,術後集中治療室で行われる呼吸管理方法についても触れていただきました。
本特集が,手術室で働く方々の臨床に,多少なりとも役立つことを願っております。
山口 修
(横浜市立大学附属病院 集中治療部 部長)
〈目次〉
1.術前呼吸機能異常を有する患者の周術期対策
2.麻酔薬,筋弛緩薬が呼吸機能に及ぼす影響と気管挿管・人工呼吸の問題点
3.手術室での気道確保~手技と器具の使い分け~
4.周術期の呼吸モニター
5.内視鏡手術における呼吸管理:腹腔鏡手術(上腹部,下腹部),ロボット手術
6.片肺換気
7.小児の呼吸生理と麻酔管理上の留意点
8.特殊体位の術中管理
9.抜管評価
10.術後人工呼吸
目次
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