家庭の法と裁判(FAMILY COURT JOURNAL) 発売日・バックナンバー

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1,980円
◆特集 成年年齢引下げに伴う影響と対応

・成年年齢引下げについて─家事事件,児童福祉法等を中心に─
法務省民事局参事官 北村治樹
厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課長 中野孝浩

・成年年齢引下げに伴う家庭裁判所実務への影響と留意点
東京家庭裁判所判事 佐藤康憲

・成年年齢引下げによる若年者の消費者被害への影響と対策の実情
弁護士 平澤慎一

・成年年齢引下げと高校現場の対応
弁護士・兵庫教育大学大学院学校教育研究科准教授 神内聡

・成年年齢引下げに伴う児童福祉分野への影響
弁護士 浜田真樹


◆家事関係裁判(6件)

・婚姻費用の算定に当たり,失職した義務者の収入について,潜在的稼働能力に基づき認定することが許されるのは,就労が制限される客観的,合理的事情がないのに主観的な事情によって本来の稼働能力を発揮しておらず,そのことが婚姻費用の分担における権利者との関係で公平に反すると評価される特段の事情がある場合でなければならないものと解されるとした上で,上記の特段の事情があるとは認められないとして,原審判を取り消し,申立てを却下した事例
(東京高決令和3年4月21日 婚姻費用分担審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 宇都宮家庭裁判所令和2年12月25日審判

・別居中の夫婦間の婚姻費用の分担につき,子に生じた私立高等学校の学費等のうち公立学校教育費を超過する分の負担割合について,二等分とすべき旨の主張を排斥し,双方の基礎収入の額に応じて按分するのが相当とした原審判の判示部分を維持するとともに,別居時から調停申立時までの婚姻費用又は扶養料の請求について,妻の請求に対して夫がその一部を支払い,妻が不足分の請求を直ちにしていたとは認め難いことを考慮すれば,不足分の清算は婚姻費用分担審判や扶養料の審判においてではなく財産分与の判断に委ねるのが相当と判示した事例
(東京高決令和2年10月2日 婚姻費用分担審判及び扶養料申立却下審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 水戸家庭裁判所土浦支部令和2年6月22日審判

・抗告人が相手方に対し,未成年者の監護者を抗告人と定めることを求めた事案において,相手方による未成年者の監護の開始には違法な点は認められず,抗告人が相手方よりも未成年者の監護者として適していると認めることはできないとして,抗告人の申立てを却下した原審判を相当と判断して抗告を棄却した事例
(名古屋高決令和2年6月9日 子の監護者の指定申立却下審判に対する即時抗告事件)
(参考)原 審 名古屋家庭裁判所一宮支部令和2年2月13日審判

・夫である相手方(原審申立人)が,別居中の妻である抗告人(原審相手方)に対し,抗告人が未成年者を連れて別居を開始したことが,別居開始前に当事者間で交わされた示談書中の親権者指定等に関する条項に違反する違法な子の連れ去りに当たるとして,未成年者の仮の監護者の指定及び仮の引渡しを求めた事案において,示談の経緯及び内容等に照らし,上記条項の存在をもって抗告人の別居開始が違法な子の連れ去りには当たるとはいえないとした上で,当事者の監護者としての適格性に関する調査の状況等に照らし,未成年者の監護を相手方に委ねることが抗告人の監護を継続するよりも相当であると認めることはできないから,本案申立てを認容する蓋然性が高いとはいえず,保全の必要性もないとして,原審判を取り消し,申立てをいずれも却下した事例
(東京高決令和元年12月10日 仮の地位を定める仮処分(監護者指定・子の引渡し)審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 さいたま家庭裁判所川越支部令和元年10月9日審判

・未成年者らの父である債権者が,未成年者らを単独で監護している母を債務者として,母の面会交流調停に基づく面会交流の不履行についてした間接強制の申立てを受けて,各未成年者についての不履行1回につき5万円の支払を命じた原決定について,母が執行抗告を申し立てたのに対し,抗告裁判所が,抗告人は面会交流が不可能ではないとの認識を有していたのに,長男については一度も,二男については平成31年3月を最後に面会交流を実施しておらず,未成年者らの精神状態不安定等についても裏付け資料がないなどと判示して,抗告を棄却した事例
(東京高決令和元年11月21日 間接強制決定に対する執行抗告事件)
(参考)原 審 水戸家庭裁判所土浦支部令和元年7月1日決定

・被相続人の弟(申立人)が,被相続人の子ら(相手方ら)に対し,特別寄与料の支払を求めた事案において,申立人がその者の貢献に報いて特別寄与料を認めるのが相当なほどに顕著な貢献をしたとまではいえず,「特別の寄与」の存在を認めることは困難であり,また,民法1050条2項ただし書の「相続の開始及び相続人を知った時から六箇月」を除斥期間とした上で,同項にいう「相続人を知った時」とは,当該相続人に対する特別寄与料の処分の請求が可能な程度に相続人を知った時を意味するものと解するのが相当であって,申立人の相手方らに対する各申立ては,上記除斥期間を経過した後にされたものであるとした事例
(静岡家審令和3年7月26日 特別の寄与に関する処分申立事件)


◆少年関係裁判(1件)
警察官を投げ飛ばして傷害を負わせたという傷害,公務執行妨害保護事件において,非行事実を認定した原決定(保護観察決定)に対する重大な事実の誤認があるなどしてされた抗告につき,原決定の説示には適切,相当でない点もあるが,少年は警察官を投げ飛ばすなどの暴行を加えたとの非行事実を認定した原決定の判断に事実の誤認は認められないとして,抗告を棄却した事例
(東京高決令和2年4月28日 保護処分決定(保護観察)に対する抗告申立事件)


◆父母の離婚をめぐる子の養育に関する法制度の見直し及び法務省の取組について
法務省民事局民事第一課補佐官(前民事局付) 横山智宏
東京地方・簡易裁判所判事(前法務省民事局付) 倉重龍輔 ほか


◆連載
遺産分割事件のケース研究
第10回 事例検討⑩ 遺産の範囲の確定に向けた調停運営に関する研究
法務省訟務局付(前静岡家庭・地方裁判所判事) 藤枝祐人

外国少年司法事情
第29回 欧州⑷ ドイツの少年法制⑷
立教大学法学部特定課題研究員 廣瀬健二

少年矯正の現場から
第21回 社会復帰支援に資する鑑別
~社会復帰支援チェックシートについて~
東京少年鑑別所地域非行防止調整官(前同所鑑別調査官) 島﨑素直

◆家庭裁判所事件の概況⑴─家事事件─ 最高裁判所事務総局家庭局
1,980円
◆特集 令和3年少年法改正
・少年法改正の概要について
立教大学法学部特定課題研究員 廣瀬健二

・特定少年の法的地位
─法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会における議論の経緯と改正法─
東京大学大学院法学政治学研究科教授 川出敏裕

・少年法改正と保護観察
千葉大学教育学部教授 羽間京子

・改正少年法の運用と弁護士実務
弁護士 山﨑健一

・家庭裁判所における改正少年法の運用について
仙台家庭裁判所長(前東京家庭裁判所少年部所長代行者) 入江猛

◆講演録
新たな遺留分制度の概要
法務省大臣官房審議官 堂薗幹一郎

◆論説
令和元年改正を踏まえた渉外養子縁組事件の審理・判断の在り方についての一考察
東京家庭裁判所判事 村井壯太郎

アメリカ合衆国オレゴン州マルトノマ郡の少年事件手続の運用状況について─手続の早期局面における人種・民族的格差の是正に向けた取組に着目して─
横浜家庭裁判所家庭裁判所調査官 吉岡文

◆家事関係裁判(6件)
❖離婚訴訟における財産の分与に関する処分(附帯処分)の判断において,当事者が開示していない財産分与対象財産を保有し,あるいは保有し得たとの事情があり,この事情を斟酌しなければ財産分与における当事者間の衡平を害すると認められる場合には,民法768条3項の「一切の事情」として考慮して財産分与の額を定めるのが相当であるとした事例
(大阪高判令和3年8月27日 離婚 離婚等請求控訴事件,同附帯控訴事件)

❖国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,母である抗告人が,父である相手方に対して,子らをその常居所地国であるアメリカ合衆国に返還するよう求めた事案において,子らの常居所地国は日本であって,アメリカ合衆国であると認めることはできないことから,子の返還申立てをいずれも却下した原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例
(東京高決令和2年9月3日 子の返還申立却下決定に対する抗告事件)
(参考)原 審 東京家庭裁判所令和2年7月3日決定

❖国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,父である相手方が,母である抗告人に対して,子をその常居所地国であるフィリピン共和国(以下「フィリピン」という。)に返還するよう求めた事案において,子の常居所地国はフィリピンであるとした上で,同法28条1項4号(重大な危険)の返還拒否事由があるとは認められないとして,子の返還を命じた原決定を取り消し,子の常居所地国がフィリピンであると認めることはできないとして,子の返還申立てを却下した事例
(東京高決令和2年5月15日 子の返還決定に対する抗告事件)
(参考)原 審 東京家庭裁判所令和元年11月29日決定

❖申立人ら夫婦(ニュージーランド及びD国籍を有する申立人父と日本国籍を有する申立人母)が申立人母及びH国籍を有する実父との間の非嫡出子である未成年者(日本国籍及びH国籍)を申立人らの養子とすることの許可を求めた事案において,準拠法については,渉外養子縁組の実質的成立要件は縁組当時の養親の本国法により,養子の保護のための同意,許可等の要件については,養子の本国法が併せて考慮されるところ,申立人父との養父子関係については,ニュージーランド法が準拠法となり,日本法の保護要件も具備する必要があり,申立人母との養母子関係については,日本法が準拠法となるとした。ニュージーランド法の養子縁組では,同意が要求される実親等について,非嫡出子の場合,母等のほか,必要であると裁判所が判断するときは,父の同意を要件とすることができる旨が規定され,実親と養子との関係について断絶効があるところ,本件においては,申立人母は,夫婦共同縁組で普通養子縁組の申立てをしていることから,申立人父との間でも非断絶型の養子縁組が成立すると解されることに鑑みれば,実父の同意を要件とする必要はないとして,本件申立てを許可した事例
(東京家審令和3年1月27日 養子縁組許可申立事件)

❖妻である申立人が別居中の夫である相手方に対し,婚姻費用分担金の支払を求めた事案において,①婚姻費用分担の始期は,調停申立時ではなく,申立人が内容証明郵便をもって婚姻費用の分担を求める意思を確定的に表明した時点を基準とし,②婚姻費用分担額の算定に当たり,改定標準算定方式及び改定算定表は,そもそも法規範ではなく,合理的な裁量の目安であることに照らせば,当事者間に改定前の標準算定方式及び算定表を用いることの合意が形成されているなどの事情がない限り,改定標準算定方式及び改定算定表による算定に合理性がある以上は,その公表前の未払分を含めて,改定標準算定方式及び改定算定表により,婚姻費用分担額を算定するのが相当であるとして,本件でもこれらを用いて算定した事例
(宇都宮家審令和2年11月30日 婚姻費用分担申立事件)

❖事件本人の養子から後見開始の審判の申立て(甲事件)がされた後,事件本人と任意後見契約を締結した弁護士から任意後見監督人選任の申立て(乙事件)がされた事案において,乙事件申立人が任意後見人となることにより権限が濫用される具体的なおそれまでは認められないものの,公平らしさという点で問題が残ることや,同意権・取消権のない任意後見制度では事件本人の保護の万全を期することができるかについて問題があることなどから,任意後見契約が登記されている場合における後見開始の審判の要件である「本人の利益のため特に必要があると認めるとき」(任意後見契約に関する法律10条1項)に該当するとして,甲事件の申立てを認容し,乙事件の申立てを却下した事例
(水戸家審令和2年3月9日 後見開始の審判申立事件(甲事件),任意後見監督人選任(新規)申立事件(乙事件))

◆少年関係裁判(1件)
建造物損壊,ぐ犯保護事件において,少年を第3種少年院に送致した決定に対する重大な事実の誤認,処分の著しい不当を理由としてされた抗告につき,原決定の事実認定に誤りがないとした上で,処分の著しい不当の主張に関して,処遇選択に当たっては,少年の健全育成を図るために,その時機に応じた最も効果が上がる処遇を選択することを重視すべきであるなどと説示し,原決定の処分は正当であるとして,抗告を棄却した事例
(東京高決平成30年9月18日 第3種少年院送致決定に対する抗告申立事件)

◆連載
少年実務 THE BASICS AND BEYOND
第1回 ぐ犯保護事件の諸問題(その1)
東京高等裁判所判事 河畑勇

更生保護の現場から
第20回 社会と少年たちを「つなぐ」役割を目指して
特定非営利活動法人チェンジングライフ理事長 野田詠氏

公証家事実務Q&A
第16回 養育費に関する公正証書を巡るいくつかの問題
浜松町公証役場公証人 田村眞

子どもの話を聴くための手法と実践例─ 司法面接の技法をいかして
第9回 幼児からの聴取,年少者への配慮が求められる事案について
立命館大学OIC総合研究機構教授 仲真紀子
1,980円
◆特集 実務家のための民事信託入門
・民事信託の活用~弁護士からの信託実践例を中心に
弁護士・日弁連信託センターセンター長 伊庭潔
・弁護士からみた民事信託の留意点
弁護士・日弁連信託センター副センター長 杉山苑子
・公証役場からみた民事信託
藤沢公証役場公証人 金子順一
・金融機関における民事信託─各種信託商品,信託口口座の設計─
三井住友信託銀行専門理事 八谷博喜

◆論説 
親の離婚を経験した子どもと面会交流支援団体に関する調査報告─社会に求められる支援と制度
東京国際大学人間社会学部教授 小田切紀子

児童福祉法による一時保護の法的論点の現状と課題
弁護士 大畑亮祐

◆最高裁判例(3件)
❖民法750条及び戸籍法74条1号と憲法24条
(最大決令和3年6月23日 市町村長処分不服申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件)
(参考)原 審 東京高等裁判所令和元年11月25日決定
原々審 東京家庭裁判所立川支部平成31年3月28日審判

❖相続人YがAの遺産について相続分を有することを前提とする前訴判決が他の相続人Xとの間で確定し,また,XがYに対してAのXに対する債務をYが法定相続分の割合により相続したと主張してその支払を求める訴えを提起していた場合において,Xが自己に遺産全部を相続させる旨のAの遺言の有効確認をYに対して求める訴えを提起することが信義則に反するとはいえないとされた事例
(最二小判令和3年4月16日 遺言有効確認請求事件)
(参考)原 審 大阪高等裁判所令和元年12月20日判決
第1審 京都地方裁判所令和元年7月25日判決

❖民法上の配偶者が中小企業退職金共済法14条1項1号にいう配偶者に当たらない場合
(最一小判令和3年3月25日 退職金等請求事件)
(参考)原 審 東京高等裁判所令和元年12月24日判決
第1審 東京地方裁判所平成30年9月21日判決

◆家事関係裁判(2件)
❖遺言者が一切の財産を抗告人(長男)に相続させ,その相続の負担として,原審申立人(二男)の生活を援助するものと定めた遺言について,原審申立人が,遺言者の死亡後,「原審申立人の生活を援助する」義務を負ったのにこれを履行していないとして,遺言の取消しを求めた事案において,原審はこれを認め,本件遺言を取り消したが,抗告審においては,抗告人に「原審申立人の生活を援助すること」,すなわち,少なくとも月額3万円を援助する義務があることを認めた一方で,遺言の文言が抽象的であり,その解釈が容易でないこと,抗告人は今後も一切義務の履行を拒絶しているものではなく,義務の内容が定まれば履行する意思があることなどを考慮すると,抗告人の責めに帰することができないやむを得ない事情があり,本件遺言を取り消すことが遺言者の意思にかなうものともいえないとして,原審を取り消し,本件申立てを却下した事例
(仙台高決令和2年6月11日 負担付遺言取消申立ての審判に対する即時抗告事件)
(参考)原 審 福島家庭裁判所いわき支部令和2年1月16日審判

❖信託契約に関する契約書の案文の作成,公正証書の作成手続の補助,不動産信託登記の申請手続の代理,受託者名義の預金口座開設の支援等の委任を受けた司法書士に,情報提供義務及びリスク説明義務違反があるとされた事例
(東京地判令和3年9月17日 損害賠償請求事件)

◆少年関係裁判(1件)
殺すぞなどと怒号しながら包丁を示して脅迫したという暴力行為等処罰に関する法律違反保護事件において,家裁係属歴がない少年を第1種少年院に送致した原決定について,抗告審が,少年の非行性がさほど進んでいるとは言い難く,社会内処遇の可能性が検討されるべきであり,原決定の処分は著しく不当であるとして,これを取り消した事例
(広島高決令和2年8月18日 第1種少年院送致決定に対する抗告申立事件)

◆国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の実施状況について
法務省民事局付 高橋あゆみ
外務省領事局ハーグ条約室課長補佐 木田佳央人

◆連載
遺産分割事件のケース研究
第9回 事例検討・分割方法を意識した調停運営に関する研究
旭川地方・家庭裁判所判事補(前東京家庭裁判所判事補) 澤野真未

外国少年司法事情
第28回 欧州・ドイツの少年法制・
立教大学法学部特定課題研究員 廣瀬健二

少年矯正の現場から
第20回 通信制高等学校と連携した修学支援への取組について
多摩少年院首席専門官(教育担当) 山下嘉一
1,980円
◆特集 未成年の子を持つ親の協議離婚の実態と分析
・協議離婚制度に関する調査結果の概要とその法的分析
棚村 政行(早稲田大学法学学術院教授)
・協議離婚制度に関する調査研究報告 ─調査結果から見えた協議離婚制度の課題と子への影響─
青木 聡(大正大学臨床心理学科教授)
・協議離婚における養育費,面会交流,財産分与の取り決め実態とその要因
大石亜希子(千葉大学大学院社会科学研究院教授)

◆最高裁判例(1件)
自筆遺言証書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって同証書による遺言が無効となるものではないとされた事例
(最一小判令和3年1月18日 遺言無効確認請求本訴,死因贈与契約存在確認等請求反訴事件)
(参考)原 審 名古屋高等裁判所平成30年10月26日判決
   第1審 名古屋地方裁判所平成30年4月20日判決

◆家事関係裁判(5件)
同性同士である控訴人と被控訴人において,約7年間にわたり同居し,米国で婚姻登録証明書を取得し,日本国内においても結婚式を挙げるなどしてその関係を親しい人に明らかにし,2人で子を育てることを計画するなどしていたという判示の事実の下では,控訴人と被控訴人の間には,婚姻に準ずる関係があったといえ,被控訴人は,かかる関係から生じる法律上保護される利益を有し,控訴人が第三者と性的関係を結んだことは,上記関係の解消をやむなくさせる行為として,被控訴人との関係で不法行為に該当すると判断した事案
(東京高判令和2年3月4日 損害賠償請求控訴事件,同附帯控訴事件)
(参考)原 審 宇都宮地方裁判所真岡支部令和元年9月18日判決

未成年者らとの直接的な面会交流が相当ではなく,未成年者らを撮影した写真の送付及び未成年者らに対する手紙の送付などの間接的な面会交流が相当とされた事例
(大阪高決令和元年11月20日 子の監護に関する処分(面会交流)審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 大阪家庭裁判所令和元年8月20日審判

成年後見人が成年被後見人の預貯金を横領した場合に後見監督人の善管注意義務違反を理由とする損害賠償責任が認められなかった事例
(名古屋高判令和元年8月8日 損害賠償請求控訴事件)
(参考)原 審 名古屋地方裁判所平成31年2月21日判決

アメリカ合衆国籍を有し日本に居住する原告が,アメリカ合衆国籍を有し同国で死亡した亡夫と原告との離婚が,方式の違法ないし離婚意思の欠缺により無効であると主張してその確認を求める事案において,原告及び亡夫にとっては,カリフォルニア州法が本件離婚の準拠法及び離婚の方式の準拠法となるとした上で,同法によれば,協議離婚の方式による離婚は認められていないこと等から,本件離婚は,原告の離婚意思の欠缺について判断するまでもなくその方式において違法であり無効であるとして,原告の請求を認容した事例
(東京家判令和2年3月23日 離婚無効確認請求事件)

夫婦である申立人らの間の体外受精でできた胚を用いて,ウクライナで代理母出産により生まれた未成年者(申立人夫は胎児認知している。)について,申立人らが特別養子縁組の申立てをした事案において,申立人らの養親としての適格性,未成年者との適合性に問題はない一方で,代理母は,そもそも未成年者が申立人らを実親とし,申立人らに監護養育されることを予定して未成年者を懐胎しており,代理母が未成年者を監護することは著しく困難で,未成年者を申立人らの特別養子とすることが,その利益のために特に必要があるといえるなどとして,本件申立てを認容した事例(令和元年法律第34号による改正前の事例)
(静岡家浜松支審令和2年1月14日 特別養子縁組申立事件)

◆少年関係裁判(2件)
少年が,共犯少年と共謀の上,被害者の背部を飛び蹴りして転倒させるなどして金品を強取し,負傷させたという強盗傷人保護事件において,少年を第1種少年院送致とした原決定につき,試験観察に付することを含む在宅処遇の可能性を慎重に検討しておらず,処分が著しく不当であるとして,これを取り消した事例
(福岡高決令和3年1月7日 第1種少年院送致決定に対する抗告申立事件)

保護処分歴のない少年が店舗でコミック本等を2回にわたり万引きしたという窃盗保護事件において,経緯を踏まえると軽微な事案と評価することは相当ではなく,問題性が広がりを見せつつあること,資質面の課題が非行と強く関係し,根深いこと等を指摘し,少年を第1種少年院送致とした事例
(東京家決令和3年2月9日 窃盗保護事件)

◆少年法等の一部を改正する法律の概要
北原 直樹(法務省刑事局付)

◆連 載
外国少年司法事情
第27回 欧州(2) ドイツの少年法制(2)
廣瀬 健二(立教大学法学部特定課題研究員)

更生保護の現場から
第19回 更生保護における犯罪被害者等施策の現状と課題 ─被害者等の声を加害者に届ける心情等伝達制度の運用事例─
堤 美香(東京保護観察所犯罪被害者等相談室保護観察官)

公証家事実務Q&A
第15回 遺言の撤回・変更
松本 清隆(神戸公証センター公証人)

子どもの話を聴くための手法と実践例─司法面接の技法をいかして
第8回 Q&A 第三者による性被害,捜査機関が中心となる代表者聴取について
仲 真紀子(立命館大学OIC総合研究機構教授)
1,980円
◆特集 改正相続法施行後の運用状況と実務
・改正相続法(特別寄与料、配偶者居住権、遺留分)と税務
舘 彰男(弁護士)
・配偶者居住権の登記手続
後藤浩平(元東京法務局城北出張所長)
・預貯金の仮払い制度と銀行実務
佐藤繁樹(三井住友信託銀行個人事務企画推進部)
・遺言書保管制度の利用状況
希代浩正(法務省民事局商事課補佐官)
→改正相続法施行後の運用における最新情報がわかる!

◆最高裁判例(1件)
❖少年保護事件を題材として家庭裁判所調査官が執筆した論文を雑誌及び書籍において公表した行為がプライバシーの侵害として不法行為法上違法とはいえないとされた事例 (最二小判令和2年10月9日 損害賠償請求事件)

◆家事関係裁判(9件)
別居中の夫婦間において,未成年の母(相手方・原審申立人)が,未成年者の父(抗告人・原審相手方)に対し,未成年者(平成20年生)との面会交流の調停を申し立て,これを本案として,毎週1回,a市内で日曜日の午前10時から午後2時まで面会交流を仮に求めた審判前の保全処分において,原審が,未成年者が母に対し拒絶的な姿勢を強めつつあるのは身近な大人の影響によるもので,この状態を解消するためには,早期に未成年者自身の体験等を通じ母を理解する機会を設けることが必要であり(本案認容の蓋然性),かつ,母が食道がんに罹患し余命の告知も受けている状況下では保全の必要性も認められるとして,毎月1回,a市内で1時間程度の面会交流を仮に認めた判断の抗告審において,原審の判断が維持された事例
(仙台高決令和元年10月4日 審判前の保全処分(面会交流)申立審判に対する即時抗告事件)
(参考)原 審 仙台家庭裁判所令和元年8月14日審判

祖父に当たる養親と縁組をした抗告人が,養親の死亡後に,離縁についての家庭裁判所の許可を求めた事案において,養親と抗告人の縁組が養親の財産を抗告人が相続することを目的としてされたものであっても,養親と抗告人との間に法定血族関係を形成する意思がある限り,直ちに縁組を無効とすることはできず,死後離縁の申立てが法定血族間の道義に反する恣意的で違法なものと認めるに足りる事情もないとして,申立てを許可した事例
(東京高決令和元年7月9日 死後離縁許可申立却下審判に対する抗告事件)

親権者である養父及び実母から暴行等の虐待を受け,一時保護の措置がとられている子について,親権者らによる親権の行使が不適当であり,そのことにより子の利益を害することは明らかであるとして,親権者らの子に対する親権をいずれも2年間停止した事例
(東京高決令和元年6月28日 親権停止申立却下審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 横浜家庭裁判所小田原支部平成31年2月28日審判

被相続人の長男【抗告人兼相手方(原審申立人)】が被相続人の妻【相手方兼抗告人(原審相手方)】らに対して,仏具等の祭祀財産につき,自らを承継者と指定する審判を求めた事案で,原審は,対象とされた財産のうち,被相続人の位牌等については被相続人が所有していたものではないから,被相続人から承継すべき祭祀財産に当たらないとした上で,その余の財産について,被相続人の妻が,原審申立人の要望に従い同人に仏壇を引き渡したことなどから,当事者間に祭祀承継者を原審申立人と認める黙示の合意が成立したとして,原審申立人を祭祀承継者と定めたところ,抗告審は,原審の判断を是認した上で,被相続人の位牌等は,いわば被相続人自体ともいえる遺体や遺骨とはその性質において異なり,祭祀財産に準じたものとして扱うことも困難とし,抗告審で追加的に申し立てられた原審申立人への祭祀財産の引渡しも,その余の財産についてのみ命じた事例
(東京高決平成31年3月19日 祭祀承継者指定(相続)審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 東京家庭裁判所平成30年11月22日審判

夫である申立人(日本国籍)が,妻(ルーマニア国籍)と自身との間の子として出生届を提出した民法772条の嫡出推定の及ばない子を相手方として,親子関係不存在の確認を求めた事案で,準拠法について,嫡出である子の親子関係の成立については,反致により夫婦の共通常居所地法である日本法が適用され,非嫡出子である子の親子関係の成立については,出生当時の父の本国法である日本法が適用されるが,認知による場合は,認知当時の子の本国法であるルーマニア法も適用されるとした上で,嫡出親子関係も非嫡出親子関係も存在しないとして,申立人と相手方の間には親子関係が存在しないとの合意に相当する審判をした事例
(東京家審令和2年9月10日 親子関係不存在確認調停申立事件)

申立人夫(カナダ国籍)と申立人妻(日本国籍)らが,児童相談所に託された第三者の子である未成年者(日本国籍)を申立人らの特別養子とすることを求めた事案において,準拠法としては,申立人夫との関係について,カナダのコモンローによる国際私法により日本の法律が指定されているものと解されるから,反致により日本法が適用されるし,申立人妻との関係についても,日本法が適用されるとした上で,特別養子縁組の要件をいずれも満たしているとして,本件申立てを認容した事例(令和元年法律第34号による改正前の事例)
(東京家審令和2年9月7日 特別養子縁組申立事件)

申立人夫(日本国籍)と申立人妻(フィリピン国籍)が,申立人妻と申立外男性との間の非嫡出子である未成年者(フィリピン国籍)との養子縁組の許可を求めた事案において,国際裁判管轄,準拠法について認定した上で,申立人らと未成年者との間でそれぞれ適用される法の養子縁組の要件(申立人夫との間の養子縁組で必要になるフィリピン法の保護要件を含む。)について判断して,本件申立てを許可した事例
(東京家審令和2年4月17日 養子縁組許可申立事件)

原告らが,被告に対し,原告らの母を養母,原告らの母の孫にあたる被告を養子とする養子縁組は無効であると主張して,その旨の確認を求めた事案において,養子縁組届の外形や,原告らの母の意思能力の状態,養子縁組に至る従前の経緯等からすると,原告らの母が,その意思に沿って,被告の父に署名を代筆させたとは言えず,本件養子縁組が原告らの母の意思に基づくものであると認めることはできないとして,原告らの請求を認容した事例
(横浜家判令和2年2月25日 養子縁組無効確認請求事件)

和解離婚に際し,父が母に対し,未成熟子の養育費として,原則として成年に達する月まで(大学に進学した場合には卒業まで)月額25万円を支払う旨(大学在学中に留学を希望する場合,その費用を負担すること)を約束し,ほかに解決金2035万円を支払ったところ,実際には,未成熟子が,成年に達した後に外国の大学に進学した場合において,父母間で和解離婚当時,未成熟子が外国の大学に進学することが予定されておらず,その後もその旨の相談がされなかったことから,父にとって想定外の出来事であること,和解離婚の際の養育費や解決金の金額が少なくないこと,父は開業医として相当の収入があったが,後に体調を崩して十分に稼働できないことなどから,子が父に対し申し立てた外国の大学への進学費用にかかる扶養料の支払請求を却下した事例
(岡山家審令和元年6月21日 扶養に関する処分申立事件)

◆少年関係裁判(1件)
少年が,元同級生であった被害者に対し,メリケンサックを装着した右手拳で殴打して全治10日間を要する左側頭部挫創の傷害を負わせた傷害保護事件において,少年を保護観察に付することとした原決定につき,処分の著しい不当を理由とする抗告を棄却した事例
(東京高決令和2年11月20日 保護観察処分決定に対する抗告申立事件)

◆所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)の概要
村松 秀樹法務省(民事局総務課長(前同局民事第二課長))
大谷  太(法務省大臣官房参事官)ほか

◆連 載
遺産分割事件のケース研究
第8回 事例検討(8)
債務名義としての調停に代わる審判の検討をふまえた研究
脇田 奈央(東京家庭裁判所判事)

外国少年司法事情
第26回 欧州(1)ドイツの少年法制(1)
廣瀬 健二(立教大学法学部特定課題研究員)

少年矯正の現場から
第19回 家庭裁判所と少年鑑別所の新たな連携・協働
~在宅試験観察と地域援助~
八代満帆子(大阪少年鑑別所首席専門官)
1,980円
◆特集 インターネットと少年の性非行
・インターネット上の少年の性非行の現状と対策
四方  光(中央大学法学部教授(元警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課長))
・子どもたちが「道具」としてインターネットを活用できる力を育むために
~保護者や子どもたちとともに考えるネットセーフティ~
佐川 英美(ヤフー株式会社政策企画部参事/Zホールディングス株式会社GCTSO部常務執行役員付参事)
・ネット利用型性非行の法律的問題点と調査・審判における工夫・留意点
岸野 康隆(横浜家庭裁判所判事)
庄山 浩司(横浜家庭裁判所家庭裁判所調査官)

インターネットは少年の性非行とどう関連しているか?
インターネットを使いこなす力を育むためには?
ネット利用型性非行に関する裁判所の調査・審判における、工夫、留意点は?
少年の性非行とインターネットの関わり、関係者の取組がわかる!

◆最高裁判例(1件)
法例の一部を改正する法律(平成元年法律第27号)の施行前における嫡出でない子の母との間の分娩による親子関係の成立の準拠法
(最三小判令和2年7月7日 親子関係存在確認請求事件)
(参考)原 審 東京高等裁判所平成30年10月18日判決
     原々審 東京家庭裁判所立川支部平成28年8月18日判決

◆家事関係裁判(5件)
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,母である相手方が,父である抗告人に対して,子をその常居所地国であるアメリカ合衆国(以下「アメリカ」という。)に返還するよう求めた事案において,子の常居所地国をアメリカであるとした上で,同法28条1項4号(重大な危険)の返還拒否事由があると認められないことから,子の返還を命じた原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例
(東京高決令和2年6月12日 子の返還決定に対する抗告事件)
(参考)原 審 東京家庭裁判所令和2年2月28日決定

国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,父である抗告人が,母である相手方に対して,子をその常居所地国であるスリランカ民主社会主義共和国(以下「スリランカ」という。)に返還するよう求めた事案において,子の常居所地国は日本であってスリランカであるとは認めることはできないことから,子の返還申立てを却下した原決定は相当であるとして抗告を棄却した事例
(大阪高決令和元年10月16日 子の返還申立却下決定に対する抗告事件)
(参考)原 審 大阪家庭裁判所令和元年7月19日決定

家事事件手続法別表第二に掲げる事項に係る家事調停につき,地方裁判所が調停の無効につき判断することは許されないとして,原判決を取り消して訴えを却下した事例
(東京高判平成29年5月31日 遺産分割協議不存在確認等請求控訴事件)
(参考)原 審 さいたま地方裁判所平成29年2月28日判決

渉外的な親子関係の成立の場面において嫡出推定が重複した場合に民法773条を類推適用して父を定めることを目的とする訴えの適法性を肯定した事例
(千葉家松戸支判令和2年5月14日 父の確定請求事件)

有罪判決を受け,執行猶予期間中である申立人が,逮捕時に報道された自己の氏名及び顔写真が現在もインターネット上に拡散されているため,就職に不利益であるとして名の変更の許可を求めた事案で,犯罪歴は,企業にとって重要な情報の一つであり,応募者として申告を求められた場合には,信義則上真実を告知すべき義務を負うものであるから,申立人が犯罪歴を企業に知られることで採用を拒否されるなど一定の不利益を受けることがあったとしても,それは申立人において甘受すべきであるから,戸籍法107条の2にいう「正当な事由」があるとは認められないとして申立てを却下した事例
(東京家審令和元年7月26日 名の変更許可申立事件)

◆少年関係裁判(1件)
少年が,共犯少年らと共謀の上,深夜に一般民家に侵入し,現金等を強取するなどした強盗致傷等保護事件において,短期の処遇勧告を付すことは相当ではないとした上で少年を第1種少年院送致とした原決定につき,抗告を棄却した上で,少年には保護処分歴がないこと,少年の素行の乱れが比較的最近のものにとどまること,少年と両親の関係が良好であり,少年に両親の指導に従おうとする意欲が認められ,両親も指導への意欲を高めていることなどを指摘して,一般短期の処遇が相当と説示した事例
(東京高決令和2年7月16日 第1種少年院送致決定に対する抗告申立事件)

◆生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律(生殖補助医療により出生した子の親子関係に関する民法の特例部分)の概要
小川 貴裕(法務省民事局付)

◆父母の離婚後の子の養育に関する周知広報の取組について(離婚届の標準様式の改正)
倉 龍輔(法務省民事局付)

◆法制審議会少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会の審議状況と少年法改正法案について
編集部

◆連 載 ・外国少年司法事情
第25回 北欧 スウェーデン及びデンマーク重警備刑務所の実情
廣瀬 健二(立教大学特定課題研究員・前教授)

・更生保護の現場から
第18回 保護観察官に求められること
小森 典子(千葉保護観察所社会復帰対策官(前・法務総合研究所研修第二部教官))

・公証家事実務Q&A
第14回 離婚給付契約公正証書におけるいくつかの問題
原 啓一郎 (丸の内公証役場公証人)

・子どもの話を聴くための手法と実践例─司法面接の技法をいかして
第7回 被疑少年からの聴取
仲 真紀子(立命館大学OIC総合研究機構教授)

◆家庭裁判所事件の概況(2・完)─少年事件─
最高裁判所事務総局家庭局
1,980円
◆特集:所有者不明土地関係の新たな規律
・所有者不明土地関係の新たな規律法制審議会「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱」について
・所有者不明土地関係に係る民法・不動産登記法等の改正と相続法の規律の変更
潮見 佳男(京都大学大学院法学研究科教授)
・新しい財産管理制度と所有者不明土地問題解決の展望
中村多美子(弁護士)
・不動産登記実務の視点における改正法の内容・影響や留意点
隂山 克典(司法書士)

民法・不動産登記法の改正による相続に関する新たな規律とは?
新たな財産管理制度とは?
不動産登記実務への影響や留意点とは?
家事事件・登記実務における改正の内容と実務への影響がわかる!

◆最高裁判例(1件)
ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成28年法律第102号による改正前のもの)2条1項1号にいう「住居等の付近において見張り」をする行為の意義
(最一小判令和2年7月30日 有印私文書偽造,同行使,ストーカー行為等の規制等に関する法律違反被告事件)

◆家事関係裁判(8件)
遺言者がした危急時遺言について,その証人が,民法976条4項に基づき遺言の確認を求めた事案において,家庭裁判所が危急時遺言の確認をするに当たっては,当該遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得る必要があるところ,同心証の程度については,確信の程度にまで及ぶ必要はなく,当該遺言が一応遺言者の真意に適うと判断される程度のもので足りると解するのが相当であるとした上で,本件遺言については,同程度の心証を得ることができるとして,原審判を取り消し,遺言者が本件遺言をしたことを確認した事例
(東京高決令和2年6月26日 遺言確認申立却下審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 東京家庭裁判所令和2年2月4日審判

遺言執行者による被相続人の夫についての推定相続人廃除の申立てにつき,廃除事由として「婚姻を継続し難い重大な事由」と同程度の非行が必要であると解すべきとし,こうした廃除事由が認められないとして,申立てを却下した事例
(大阪高決令和2年2月27日 推定相続人廃除審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 奈良家庭裁判所葛城支部令和元年12月6日審判

抑うつ状態のために退職し減収となったことを理由とする婚姻費用減額の申立てにつき,前件審判時と同程度の稼働能力を有すると認められるから前件審判を変更すべき事情変更が認められないとして,申立てを却下した事例
(大阪高決令和2年2月20日 婚姻費用分担(減額)審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 神戸家庭裁判所尼崎支部令和元年10月30日審判

国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,父である抗告人が,母である相手方に対して,子をその常居所地国であるアメリカ合衆国に返還するよう求めた事案において,同法28条1項4号(重大な危険)の返還拒否事由があると認めて,子の返還申立てを却下した原決定を取り消し,同返還拒否事由等は認めることはできないとして,子の返還を命じた事例
(東京高決令和2年1月21日 子の返還申立却下決定に対する抗告事件)
(参考)原 審 東京家庭裁判所令和元年9月13日決定

抗告人の二女である原審申立人が,抗告人について後見開始の審判の申立て(後に保佐開始及び代理権付与の審判の申立てに変更)をした事案において,抗告人が原審判に先立ってその孫(長女の子)との間で締結した任意後見契約は有効であると認めた上で,任意後見契約が締結されている場合における保佐開始の審判の要件である「本人の利益のため特に必要があると認めるとき」(任意後見契約に関する法律10条1項)の要件が認められないとして,抗告人の保佐を開始した原審判を取り消し,原審申立人の保佐開始の審判の申立てを却下した事例
(高松高決令和元年12月13日 保佐開始の審判に対する即時抗告事件)

被相続人の二男が長女に対して遺産分割を申し立てた事案において,被相続人が生前に二男に対し子の誕生のお祝い金として贈与した200万円を特別受益に該当するとした上で,うち100万円の限度において持戻し免除の意思を推認できる等とした原審判の判断を相当とし抗告を棄却した事例
(東京高決平成30年11月30日 遺産分割審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 東京家庭裁判所平成30年9月7日審判

被相続人のいとこである申立人2名が,被相続人との間で特別の縁故があったと主張し,被相続人の相続財産の分与を求めた事案において,申立人2名と被相続人との関係が,いずれも通常の親族としての交際の範囲を超え,相続財産を分与することが被相続人の意思に合致するであろうとみられる程度に密接なものであったとして,申立人2名が特別縁故者に該当すると認めつつ,縁故の内容・程度等の事情を勘案し,申立人2名に対し,複数の不動産,預金等から成る相続財産からそれぞれ預金残高の1割程度に相当する金銭の一部分与を認めた事例
(東京家審令和2年6月26日 特別縁故者に対する相続財産分与申立事件)

申立人(母)が,親権者である相手方(父)に対し,未成年者の親権者変更を本案として,審判前の保全処分(親権者の職務執行停止,職務代行者の選任)を申し立てた事案において,申立人の監護状況には問題はなく,15歳の未成年者の意思を尊重すると本案認容の蓋然性が認められ,かつ,未成年者の高校進学に必要とされる担任教師との三者面談,出願及び高校受験が間近に迫っているのに,相手方が一連の手続に協力しないことからすると,保全の必要性も認められると判断して,本案審判が効力を生ずるまでの間,相手方の未成年者に対する親権者の職務を停止し,その職務代行者に申立人を選任した事例 (水戸家土浦支審平成31年1月18日 審判前の保全処分(親権者の職務執行停止・職務代行者選任)申立事件)

◆少年関係裁判(2件)
少年が普通自動二輪車の無免許運転及び共同危険行為をした道路交通法違反保護事件において,少年を第1種少年院送致とした原決定につき,交通法規軽視の態度が著しいことをもって,保護処分歴も家裁係属歴もない少年について,直ちに少年院送致の処分を選択するほどに重大な要保護性が現れているとは評価できず,社会資源に関する調査を更に進めた上,社会内処遇の選択を検討するのが相当であるとして,これを取り消した事例 (大阪高決令和2年9月2日 第1種少年院送致決定に対する抗告申立事件)

少年が女児3名に対してわいせつな行為をしたという強制わいせつ保護事件において,少年を第1種少年院送致とした原決定につき,少年の抱える問題が根深いことや家庭の監護能力の乏しさを指摘しつつ,処分に著しい不当があるとは認められないとして,抗告を棄却した事例
(東京高決令和2年1月20日 第1種少年院送致決定に対する抗告申立事件)

◆連 載
遺産分割事件のケース研究
第7回 事例検討(7) 配偶者居住権を中心とした研究
岩田 淳之(東京家庭裁判所判事)

外国少年司法事情
第24回 北欧 スウェーデンの少年保護法制─拘禁施設の実情
廣瀬 健二(立教大学大学院法務研究科特任教授)

少年矯正の現場から
第18回 少年院のボランティア活動(新しい社会貢献活動のかたち)
泉南学寮首席専門官 秋保 光輝

◆TOPIC 子の養育の在り方に関する実証的調査アンケートの概要
棚村 政行(早稲田大学法学学術院教授)

◆家庭裁判所事件の概況(1)─家事事件─
最高裁判所事務総局家庭局
1,980円
◆座談会 遺言執行者の実務
 二宮周平(立命館大学法学部教授)【司会】
 犬伏由子(慶應義塾大学名誉教授・家事調停委員)
 山田知司(神田公証役場公証人)
 片岡 武(弁護士・家事調停委員)
 増田勝久(弁護士)
 田村直史(三井住友信託銀行個人企画部/三井住友トラスト・資産のミライ研究所)

◆講演録 改正相続法の経過措置について
堂薗幹一郎(法務省大臣官房審議官)

◆最高裁判例(1件)
財産の分与に関する処分の審判において当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の不動産であって他方当事者が占有するものにつき当該他方当事者に分与しないものと判断した場合に家事事件手続法154条2項4号に基づきその明渡しを命ずることの許否
(最一小決令和2年8月6日 財産分与審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件)
(参考)原 審 東京高等裁判所令和元年6月28日決定
    原々審 横浜家庭裁判所平成31年3月28日審判

◆家事関係裁判(6件)
・夫である相手方が,別居中の妻である抗告人に対し,未成年者らの監護者を相手方と指定するとともに,現在,抗告人の下で養育されている二女及び三女を相手方に引き渡すことを求める一方で,抗告人が,相手方に対し,未成年者らの監護者を抗告人と指定するとともに,現在,相手方の下で養育されている長女を抗告人に引き渡すことを求めた事案において,原審は,未成年者らの監護者をいずれも相手方と指定し,二女及び三女を相手方に引き渡すよう命じたところ,抗告審は,姉妹分離の点については,監護者指定に当たっての一考慮要素にすぎないとした上で,二女及び三女との関係では,従前ないし現在の監護環境を維持することが最も子の福祉に合致するとして,長女の監護者を相手方と,二女及び三女の監護者を抗告人とそれぞれ定め,抗告人及び相手方のその余の申立てはいずれも却下した事例
(東京高決令和2年2月18日 子の監護者の指定及び子の引渡し審判に対する抗告事件)

・未成年者の祖母である相手方が,抗告人ら(未成年者の母及び養父)に対し,未成年者の監護者を相手方と定めることを求めた事案において,民法766条1項の法意に照らし,相手方は,未成年者を事実上監護する祖母として,未成年者の監護者指定を求める本件申立てをすることができるとした上で,抗告人らの親権の行使が不適当であるため,未成年者を抗告人らに監護させた場合,未成年者の健全な成長を阻害するおそれが十分に認められる一方,相手方による未成年者の監護状況に特段の問題はうかがわれず,未成年者が現時点においては落ち着いた生活を送ることができていることからすれば,未成年者の監護者を相手方と定めるのが相当であるとして,抗告人らの各抗告をいずれも棄却した事例
(大阪高決令和2年1月16日 子の監護に関する処分(監護者指定)審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 大阪家庭裁判所令和元年9月27日審判

・夫である相手方(原審申立人)が,妻である抗告人(原審相手方)に対し,前件調停で合意された婚姻費用の分担額の減額を求めた事案において,相手方の収入の減少は,具体的に予見されていたものとはいえず,改めて婚姻費用の額を算定するのが相当であるとした上で,その算定の基礎とすべき相手方の収入は,退職月の翌月から離婚又は別居解消に至るまでの期間については,相手方が65歳で年金受給を開始していたとすれば受給できた年金収入を給与収入に換算した額及び配当収入を給与収入に換算した額を合算した額とするのが相当であるとして,原審判を一部変更した事例
(東京高決令和元年12月19日 婚姻費用減額審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 東京家庭裁判所令和元年9月6日審判)

・離婚した元夫婦間において,元夫である申立人が,未成年者を監護養育している元妻である相手方に対し,相手方が前件面会交流審判の定める面会交流を実施しないとして,面会交流する時期,方法等を定めるよう求めた事案において,前件審判は,面会交流の具体的な日時,場所及び方法等について当事者間の協議に委ねていたところ,相手方はそれ以降本件審判に至るまで面会交流義務を履行せず,申立人と未成年者との面会交流を拒否する姿勢が強固なものであること,面会交流について申立人との間で協議することも拒否していることからすると,面会交流の確実な実施のためには,相手方がすべき給付の内容を特定すべきであるとして,民法766条3項に基づき,前件審判の主文のうち,必要な部分を変更した事例
(福岡家審令和2年1月10日 面会交流申立事件)

・成年後見人に選任された推定相続人でない親族が申し立てた特別縁故者に対する財産分与の申立てについて,申立人の被相続人との交際・援助は,親族間の通常の範囲を超え,成年後見開始後も後見人の通常の職務の程度を超えているなどとして申立人を特別縁故者と認定した上,分与の額については,申立人が被相続人の成年後見人に選任され在任期間中の17年間については983万円の報酬が付与された点に鑑みその活動を重視することはできないが,それ以前の活動についてはその援助を相応に重視すべきであり,被相続人が生前,死後申立人に全財産を贈与するとの意向を示したことも考慮して,相続財産9583万円余りの10%を超える1200万円を分与するのが相当であると判断された事例
(大阪家審令和元年10月21日 特別縁故者に対する相続財産分与申立事件)

・妻である申立人が,別居中の夫である相手方に婚姻費用の分担を求めた事案において,いわゆる標準算定方式によって算定される婚姻費用の額に加えて,申立人が別居に伴い新たに賃借した住居費の一部の分担が命じられた事例
(東京家審平成31年1月11日 婚姻費用分担申立事件)

◆少年関係裁判(3件)
・店舗等における窃盗3件及び放置盗難自転車の持ち去りという窃盗,占有離脱物横領保護事件において,少年を第1種少年院送致とした原決定につき,試験観察に付することを含め,社会内処遇の可能性を十分に検討すべきであり,処分が著しく不当であるとして,これを取り消した事例
(東京高決令和2年4月3日 第1種少年院送致決定に対する抗告申立事件)

・少年が当時の交際相手である被害者に対して包丁を示して脅迫したという暴力行為等処罰に関する法律違反保護事件において,少年を第1種少年院送致とした原決定につき,非行についての評価は是認できず,要保護性についても,必ずしも認定の根拠が十分でない事実に基づく評価等を基に決定をした疑いがあり,処分が著しく不当であるとして,これを取り消した事例
(東京高決令和2年4月2日 第1種少年院送致決定に対する抗告申立事件)

・少年がタクシーに無賃乗車し,その運転手に対して金属バットをガードレールに叩き付けるなどして脅迫したという詐欺,暴力行為等処罰に関する法律違反保護事件において,第3種少年院送致(医療措置終了後は第1種少年院への移送が適当)とした原決定につき,試験観察を求める付添人の主張を排斥し,抗告を棄却した事例
(東京高決令和2年4月2日 第3種少年院送致決定に対する抗告申立事件)

◆法務省「養育費不払い解消に向けた検討会議」取りまとめの概要
高橋あゆみ(法務省民事局付

) ◆連 載
・外国少年司法事情
第23回 北欧 スウェーデンの少年保護法制─施設内処遇
廣瀬 健二(130立教大学大学院法務研究科特任教授)

・更生保護の現場から
第17回 地域生活定着促進事業について
高津  努(群馬県地域生活定着支援センター所長)

・公証家事実務Q&A
第13回 任意後見契約
山下  寛(難波公証役場公証人)

・子どもの話を聴くための手法と実践例─司法面接の技法をいかして
第6回 司法面接と特別措置
仲 真紀子(立命館大学総合心理学部教授)
1,980円
1,980円
◆座談会 養育費と履行の確保
棚村 政行(早稲田大学法学学術院教授)【司会】
中山 直子(千葉家庭裁判所部総括判事)
榊原富士子(弁護士)
佐野みゆき(弁護士・家事調停委員)
村山由希子(明石市政策局政策法務担当課長・弁護士)
長谷川哲也(養育費相談支援センター副センター長)

◆法務省「養育費不払い解消に向けた検討会議」中間取りまとめの概要 法務省民事局付
高橋あゆみ

◆論 説
・東京家庭裁判所における子の引渡しの強制執行事件の運用について
村井壯太郎(東京家庭裁判所判事)

・手続代理人から見た面会交流調停
福市 航介(弁護士)

◆最高裁判例(1件)
民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」の意義
(最二小判令和元年8月9日 執行文付与に対する異議事件)
(参考)原 審 大阪高等裁判所平成30年6月15日判決
謔P審 大阪地方裁判所平成29年10月18日判決

◆家事関係裁判(8件)
・性同一性障害と診断された戸籍上の性別が男性である申立人が,男性名から女性名への名の変更許可を申し立てた事案において,原審は,申立人が変更を求める女性名が,通称として永年使用され社会的に定着しているとは認められず,申立人がホルモン治療等を行わなかったなどの通院治療の状況等を併せて考慮し,名を変更することにつき正当な事由があるとは認められないとして申立てを却下したのに対し,抗告審は,申立人が心療内科・精神科に約1年半通院して,医師2名から性同一性障害の診断ガイドラインに沿った診断の結果,性同一性障害であることの診断を得ていることなどから,正当な事由があると認められると判断し,原審を取り消して申立てを許可した事例
(大阪高決令和元年9月18日 名の変更許可申立却下審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 大阪家庭裁判所令和元年7月22日審判

・本人の長男が後見開始の申立てをした事案において,原審は,本人につき,後見開始相当との診断書があるものの,同診断書は一方で発語不能としながら,他方で言語による意思疎通が可能ともしており,明らかな矛盾があることなどから,その信用性に疑義があり,後見開始相当の常況にあるか否かを判断するためには鑑定を実施する必要があるが,本人から鑑定に対する協力が得られる見込みがないとして申立てを却下したのに対し,抗告審は,上記診断書の矛盾した記載は単なる誤記にすぎず,同診断書やHDS─Rの結果等によれば,本人が精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあると認められるとして原審を取り消した上,成年後見人の選任につき,更に審理を尽くさせる必要があるとして,審理を差し戻した事例
(大阪高決令和元年9月4日 後見開始の申立却下審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 京都家庭裁判所令和元年7月4日審判

・実母による虐待を受けていた児童につき,児童相談所長が家庭裁判所に対して児童を里親若しくは小規模住居型児童養育事業を行う者に委託し又は児童養護施設に入所させることの承認を求めたところ,児童と養子縁組をした実母の母による監護養育をさせても著しく児童の福祉を害するということはできないとして申立てを却下した審判に対し,児童を養母に引き渡した場合,実母が再び児童に対し不適切な監護をすることを養母が阻止したり是正したりすることが期待できず,児童の福祉を害するといえるとして,原審判を取り消し,児童相談所長の申立てを認容した事例
(大阪高決令和元年6月26日 児童福祉施設入所承認申立却下審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 和歌山家庭裁判所平成31年3月20日審判

・性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づき戸籍の性別を男から女に変更する審判を求めた事案で,抗告人は,「現に婚姻をしていないこと」を性同一性障害者の性別変更の要件とする上記特例法3条1項2号が憲法13条及び14条1項に違反すると主張したが,本件規定の目的,制約の態様,現在の社会的状況等を総合的に比較衡量すると,本件規定は不合理なものとはいえず,憲法13条,14条1項に違反するものではないとして,申立てを却下した審判に対する抗告を棄却した事例
(大阪高決令和元年6月20日 性別の取扱いの変更申立却下審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 京都家庭裁判所平成31年3月27日審判

・別居親である抗告人(父)が,同居親である相手方(母)に対し,未成年者(10歳)との面会交流を求めた事案において,未成年者の調査結果を踏まえて面会交流を認めることは子の福祉に反する特段の事情があると判断して,直接交流のみならず間接交流も認めなかった審判に対する抗告を棄却した事例
(大阪高決平成30年10月11日 子の監護に関する処分(面会交流)申立却下審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 大阪家庭裁判所平成30年6月20日審判

・相手方が抗告人に対し,未成年者らの監護者を相手方と定めるとともに,未成年者らの引渡しを求めた事案において,抗告人による現在の監護状態に特段の問題はないものの,その監護状態が将来的には不安定なものであること,相手方に未成年者らの監護実績があり,監護態勢も安定していること,相手方においては従前と同程度の内容のある宿泊付面会交流が実現される可能性が極めて高いのに対し,抗告人においては面会交流が円滑に実現されるか疑問があること等の事情から,相手方の申立てを認容した原審判を相当と判断して抗告を棄却した事例
(大阪高決平成30年8月2日 子の監護に関する処分(監護者指定,子の引渡)審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 京都家庭裁判所平成30年3月28日審判

・養親となるべき者及び養子となるべき者のいずれもが日本に住所を有していない場合の特別養子縁組申立事件につき,我が国の国際裁判管轄を認めた事例
(東京家審令和元年5月27日 特別養子縁組申立事件)

・児童相談所長である申立人が,児童福祉法28条1項1号に基づき,同法27条1項3号の措置として,児童を障害児入所施設に入所させること又は里親に委託することの承認を求めた事案において,児童の親権者父母に監護養育を委ねることは,児童の意向に反し,安定した日常生活の下で学校教育を受ける機会を奪うことになり,児童の福祉を著しく害することになると判断して,申立てを認容した事例
(名古屋家審令和元年5月15日 児童福祉法28条1項1号に基づく承認審判の申立事件)

◆少年関係裁判(2件)
・少年が店舗で医薬品等を2回にわたり万引きしたという窃盗保護事件において,立件されていない大麻使用に関する事情を非行事実とほぼ並列的に掲げて要保護性を検討した上で少年を第1種少年院送致とした原決定につき,非行事実ではないが処分に実質的に大きな影響を与える可能性のある大麻使用に関する事情を,要保護性の判断として許容される限度を超えて,あたかも非行事実であるかのように扱ったものであり,法令違反があるとしつつ,その法令違反は決定に影響を及ぼすものとまではいえないとした事例
(大阪高決令和元年9月12日 第1種少年院送致決定に対する抗告申立事件)

・13歳の少年が,覚せい剤及び大麻を友人と共に密売人から譲り受け,これを単独で所持したという触法(覚せい剤取締法違反,大麻取締法違反)保護事件において,少年の薬物への依存性の深刻さ等を指摘し,少年を第1種少年院送致とした事例
(東京家決令和元年9月12日 触法(覚せい剤取締法違反,大麻取締法違反)保護事件)

◆連 載
・外国少年司法事情 第22回
北欧 スウェーデンの少年保護法制─保護観察所の実情
廣瀬 健二(立教大学大学院法務研究科特任教授)

・更生保護の現場から 第16回
地方更生保護委員会における少年院からの仮退院審理等について
篠﨑 暁人(近畿地方更生保護委員会事務局調整指導官)

・公証家事実務Q&A 第12回
財産分与
角 隆博(本町公証役場公証人)

・子どもの話を聴くための手法と実践例─司法面接の技法をいかして 第5回
面接の計画(続)
仲 真紀子(立命館大学総合心理学部教授)
1,980円
【特集】高齢者を取り巻く諸問題
津曲共和(前兵庫県健康福祉部少子高齢局高齢政策課長)
小川純人(東京大学大学院医学系研究科老年病学准教授)
志和謙祐・畠山和大・菅野千恵子(大阪弁護士会)
樋口範雄(武蔵野大学法学部教授)
〇 高齢者が自分らしく生きるには?
〇 認知症・フレイルへの対応・支援策とは?
〇 高齢者を取り巻く法的問題と、その予防策とは?
〇 高齢者と、家族・社会保障の在り方とは?
高齢者支援の正しい理解のために!

<主な収録内容>離婚法制の最新海外調査の概要や離婚当事者に向けた取組を紹介!

【解説】
◆法務省における父母の離婚後の子の養育等に関する近時の取組について
倉重龍輔(法務省民事局付)

【最高裁判例】
婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚した場合における婚姻費用分担請求権の帰すう
(最一小決令和2年1月23日)

【独自収録裁判例】
戸籍法49条の出生届を怠ったことについて,DV被害を受けていたことなどを理由として,同法137条の「正当な理由」があると認められた事例独自収録
(東京簡決令和元年10月23日)

……その他、実務をフォローする連載記事も充実!
1,980円
<特集:少年の更生と保護者への働きかけ>
・家庭裁判所における保護者への働きかけ
 豊臣亮輔(大阪地方裁判所判事補(前横浜家庭裁判所判事補)
 羽生康二(横浜家庭裁判所主任家庭裁判所調査官)
・「親子の対話の会」が少年を“変え” 親をも“ 変える”
 山田由紀子(弁護士・NPO法人対話の会理事長)
・保護観察における非行少年及び保護者への働きかけと支援
 本山美恵(福岡保護観察所北九州支部統括保護観察官)
・交野女子学院における保護者に対する働きかけと支援 
 山﨑裕子(名古屋矯正管区少年矯正第一課長(前交野女子学院首席専門官))
・保護者は,子どもの非行をめぐって何を体験するか
 ─保護者の実情にみる働きかけへの示唆─
 坂野剛崇(大阪経済大学教授・特定非営利活動法人スキマサポートセンタースタッフ)
●講演録 最高裁事件から省みた家事調停の重要性
 鬼丸かおる(元最高裁判所判事)

●論説 日本における子奪取条約の運用と近時の動向について
 西谷祐子(京都大学大学院法学研究科教授)

●研究 子の監護者指定・引渡しをめぐる最近の裁判例について
 山岸秀彬(東京地方裁判所判事)

●家事関係裁判(4件)
在日韓国人が日本の銀行等の日本国内支店で開設した普通預金口座及び定期預金口座に係る預金債権につき,韓国大法院判例に従い,相続開始と同時に法定相続分に応じて当然分割されるとした事例
(大阪高判平成30年10月23日 預金返還請求・独立当事者参加申出控訴事件,同附帯控訴事件)……など

●少年関係裁判( 1 件)

●東京家庭裁判所における面会交流調停事件の運営方針の確認及び新たな運営モデルについて
 東京家庭裁判所面会交流プロジェクトチーム

<連載>
●外国少年司法事情
  (第20回) 北欧(19)スウェーデンの少年保護法制─保護観察所の人格調査
●更生保護の現場から
  (第15回) 人と人をつなぐ更生保護サポートセンター
●公証家事実務Q&A
  (第11回) 離婚に伴う養育費
●子どもの話を聴くための手法と実践例──司法面接の技法をいかして
  (第4回) 面接の計画
1,980円
<特集:改正相続法の最新実務─配偶者居住権,登記,税務等>
・改正相続法「配偶者居住権」の実務からみた問題点
藤原道子(弁護士)
・配偶者居住権の登記手続
後藤浩平(元東京法務局城北出張所長)
・弁護士から見た遺産分割・遺留分と税務
馬渕泰至(弁護士・税理士)
・改正相続法施行後の状況─遺産分割前の預貯金払戻しに関わる金融実務 
原貴晃(三菱U F J 銀行法務部・弁護士)

●論説
・離婚訴訟における関連損害賠償請求の範囲と審理
丹羽敦子(東京家庭裁判所判事)
・相続法改正の渉外的側面
横溝大(名古屋大学大学院法学研究科教授)

●家事関係裁判(5件)
内縁関係の終了に伴う財産分与の申立てについて,内縁関係の成立を認め,財産分与の対象財産の形成及び増加等につき内縁の夫であった相手方の保有資産及び長年築いてきた社会的地位等による影響や寄与が相当程度あったとして,分与割合につき内縁の妻であった抗告人を3分の1,相手方を3分の2とした事例
(福岡高決平成30年11月19日 財産分与審判に対する抗告事件)……など

●少年関係裁判( 1 件)
一時保護中の少年が,児童相談所内で,職員に対し,椅子を投げつけるなどして全治約5日間の右前腕打撲等の傷害を負わせた傷害保護事件において,少年を第1種少年院送致とした原決定に対する処分の著しい不当を理由とする抗告につき,原決定は,少年の問題性及び要保護性に関する基礎事情を十分に明らかにしておらず,これらを一面的に評価しているところがあり,施設収容による矯正教育以外の処遇が困難であることの見極めをしないまま,少年を第1種少年院送致の決定をしたものであるとして,原決定を取り消し,差し戻した事例
(東京高決平成30年12月20日 第1種少年院送致決定に対する抗告申立事件)

●家事事件手続規則の一部を改正する規則の解説(特別養子制度の見直し関係)
宇田川公輔(最高裁判所事務総局家庭局第二課長)
山岸秀彬(東京地方裁判所判事(前・最高裁判所事務総局家庭局付)

●家庭裁判所事件の概況( 1 )─ 家事事件─
最高裁判所事務総局家庭局

<連載>
●遺産分割事件のケース研究(第4回) 事例検討? 遺産分割事件の基本の理解
●外国少年司法事情(第19回) 北欧(18)スウェーデンの少年保護法制─社会事業局の活動(その3)
●少年矯正の現場から(第15回) 少年鑑別所の地域援助における警察との連携の実情について
1,980円
<養育費、婚姻費用の改定標準算定方式・算定>【巻頭とじ込み】改定算定表を掲載!
●平成30年度司法研究
「養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究」の概要
村松多香子(東京家庭裁判所判事)

●論説
・東京家庭裁判所における親ガイダンスの取組について~現状と課題~
香川礼子(東京家庭裁判所判事)
畔上早月(東京家庭裁判所次席家庭裁判所調査官)
中山一広(静岡地方裁判所民事首席書記官(前東京家庭裁判所次席書記官)

・人事訴訟の審理の概要
宮崎謙(東京家庭裁判所判事)

・配偶者居住権の鑑定評価方法の課題
小谷芳正(不動産鑑定士)

●最高裁判例 (1件)
相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において他の共同相続人が既に当該遺産の分割をしていたときの民法910条に基づき支払われるべき価額の算定の基礎となる遺産の価額
(最三小判令和元年8月27日 遺産分割後の価額支払請求事件)

●家事関係裁判 (3件)
児童相談所長が児童養護施設に入所中である未成年者の親権者に対する親権喪失の審判を求めた事案で,未成年者については,1親権者による不適切な監護養育から切り離されて保護されており,親権者による不当な引取要求に対しても児童福祉法28条に基づく入所措置又は入所措置更新により対応することができること,2児童虐待防止法において親権者による面会通信や接近を禁止できると規定されていることから,親権者の未成年者に対する親権を喪失・停止させる必要があるのは,児童福祉法28条に基づく各措置,あるいは面会通信や接近の禁止によっては未成年者の保護を図れない特段の事情がある場合に限定されるとして申立てを却下した原審判を取り消し,親権者には民法 8 3 4条所定の親権喪失事由があるとして,抗告人(原審申立人)の申立てを認容した事例
(大阪高決令和元年5月27日 親権喪失申立却下審判に対する抗告事件)......など

●少年関係裁判 (1件)

●民法等の一部を改正する法律 (特別養子関係)の概要
山口敦士(大阪地方裁判所判事(前法務省民事局参事官))

●判例評釈 不貞相手である第三者に対する離婚慰謝料の請求の可否
―最高裁判所第三小法廷平成31年2月19日判決(平成29年(受)1456号) ―
潮見佳男(京都大学大学院法学研究科教授)

●総索引(2015年~2019年)気になる記事が一目で見つかる!バックナンバーの購入検討に!


●外国少年司法事情 (第18回) 北欧(17)スウェーデンの少年保護法制─社会事業局の活動(その2)
●更生保護の現場から (第14回) 坂道を登ってきた少年たち
●子どもの話を聴くための手法と実践例―司法面接の技法をいかして (第3回) 口の重い子どもに向けて
1,980円
< 特集: 被虐待児の社会適応>
●被虐待児への心理ケア
 ―児童相談所と施設が連携しながら非加害親(母親) を支え, 親子関係の再構築を図った事例―(平岡篤武●常葉大学教育学部教授)
●社会的養護関係施設における親子への支援の実際(山縣文治●関西大学人間健康学部教授)
●少年矯正における被虐待体験者等への対応
(谷村昌昭●法務省矯正局少年矯正課補佐官(少年院係))
(山口雅敏●法務省矯正局少年矯正課補佐官(少年鑑別所係))

●研究 東京地方裁判所における近時の人身保護請求の実情について─ 子や高齢者に関する事例を中心として─ ( 古谷健二郎 ほか●東京地方裁判所判事)

●論説 オーストラリアにおける子どもの代理人と実務の動向( 我妻学●首都大学東京法科大学院教授)

●家事関係裁判( 7 件)
 直接的な面会交流についての間接強制の決定がされた後、義務者が、面会交流の内容が事情変更により間接的な面会交流に変更されたことなどを理由として、以前の間接強制決定に基づく強制執行の不許を求めたのに対し、変更前の不履行についての執行も含め、強制執行が信義則に反し、権利の濫用であって許されないとした事例 ( 大阪高判平成3 0 年1 2 月2 1 日 請求異議控訴事件)

 義務者が再婚し、再婚相手の子と養子縁組をした場合において、新たな扶養実態等を考慮して標準算定方式により試算した上、権利者との離婚時に同方式による試算額を上回る養育費の額が定められた趣旨を踏まえて、事情変更後の未成年者の養育費の額を定めた事例( 札幌高決平成3 0 年1 月3 0 日 養育費減額申立審判に対する抗告事件)
 
受遺者が遺言者の妻と不動産に同居して同人の面倒を生涯にわたり見なければならないとする旨の負担付相続させる遺言に対して、民法1 0 2 7 条に基づく遺言取消しが申し立てられた事案について、遺言者の妻は受遺者との同居を希望しないため、受遺者はその希望に応じた態様で不動産に滞在、宿泊するなどして同人の生活を支えていたことから、負担は受遺者によって履行されていること、同居という履行がなされていないとしても、受遺者に帰責事由はないとして、取消請求を却下した事例( 東京家立川支審平成3 0 年1 月1 9 日 遺言取消し申立事件)  など

<連載>
●遺産分割事件のケース研究(第3回) 事例検討? 実務上散見される主張を中心とした研究
●外国少年司法事情(第17回) 北欧(16) スウェーデンの少年保護法制─社会事業局の活動
●少年矯正の現場から(第14回) 沖縄女子学園における「3Re-Smile」プロジェクト
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