◆特 集 社会的養護の実情 ─家庭での養育が困難な子の福祉
・社会的養護の実情と里親委託の推進を中心とした今後の課題
全国家庭養護推進ネットワーク代表幹事・養育里親(元厚生労働省障害保健福祉部長) 藤井 康弘
・社会的養護における子どもの意見表明権~子どもが自分の人生を歩くために~
弁護士・社会福祉士・公認心理師・精神保健福祉士(前明石こどもセンター(明石市児童相談所)常勤弁護士) 浦 弘文
・一時保護の実情と課題
弁護士 進藤 千絵
・民法等改正後の特別養子縁組審判の実情について
東京家庭裁判所判事 今井 弘晃
◆家事関係裁判(5件)
❖財産分与の基準時における財産中に,相続によって取得した特有財産部分の存在を証拠上認めることができない場合においても,上記財産を取得していたことによって基準時における財産分与対象財産が増加し,あるいはその費消を免れたことが推認できるとして,相続により財産を取得していた事情を民法768条3項の「一切の事情」として考慮して財産分与の額を定めた事例
(東京高決令和4年3月25日 財産分与審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 東京家庭裁判所令和3年11月25日審判
❖当事者双方とも年金収入がある婚姻費用分担請求事件において,いわゆる標準算定方式の適用にあたって,年金収入を給与収入に換算する場合には,職業費がかかっていないことから修正計算をした一方で,事業収入に換算する場合には,事業収入は既に職業費に相当0する費用を控除済みであるとして,修正計算は必要ないとした事例
(東京高決令和4年3月17日 婚姻費用分担審判に対する抗告事件)
❖国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,父である相手方が,母である抗告人に対し,乳児である子をその常居所地国であるオーストラリア連邦に返還するよう求めた事案において,子の常居所地国はオーストラリア連邦であると認めて子の返還を命じた原決定を取り消し,子の常居所地国がオーストラリア連邦であると認めることはできないとして,子の返還申立てを却下した事例
(大阪高決令和3年5月26日 子の返還決定に対する抗告事件)
(参考)原 審 大阪家庭裁判所令和3年1月6日決定
❖抗告人が死亡した養子との死後離縁の許可を求める事案において,原審は推定相続人廃除の手続を潜脱する目的でなされた恣意的なものであると認めざるを得ないとして申立てを却下したが,抗告審は,申立てが生存養親又は養子の真意に基づくものである限り,原則としてこれを許可すべきであるが,離縁により養子の未成年の子が養親から扶養を受けられず生活に困窮することとなるなど,社会通念上容認し得ない事情がある場合には,これを許可すべきではないと解した上で,本件は,利害関係参加人の就労実績や相当多額の遺産を相続しており,利害関係参加人が抗告人の代襲相続人の地位を喪失することとなっても生活に困窮するとは認められないことなどから,社会通念上容認し得ない事情があるということはできないと判断し,このことは抗告人に利害関係参加人を自らの相続人から廃除したいという意図があるとしても左右されるものではないとし,原審判を取り消し,本件申立てを許可した事例
(大阪高決令和3年3月30日 死後離縁許可申立却下審判に対する抗告事件)
(参考)原 審 神戸家庭裁判所姫路支部令和2年11月16日審判
❖申立人である子が,相手方(日本国籍)に認知を求めた事案において,フィリピンの裁判所において母と前夫(いずれもフィリピン国籍)の婚姻を無効とする判決が確定しているところ,これにより同判決の確定前に出生した子である申立人と前夫との間の嫡出親子関係が遡及的に否定されるものではないが,同親子関係を証明するに足りるフィリピン家族法172条に規定される証拠がないことから,申立人と前夫の間の同親子関係を認めることはできないとした上で,申立人が相手方の子であることを認知する旨の合意に相当する審判がなされた事例
(東京家審令和4年1月19日 認知調停申立事件)
◆少年関係裁判(3件)
◆「家族法制の見直しに関する中間試案」の取りまとめについて
◆改正少年法施行後の運用状況について
最高裁判所事務総局家庭局付 福岡 涼
◆「少年院法」及び「少年院法施行規則」等の改正とその運用について
~特定少年に対する矯正教育と第五種少年院の運用~
法務省矯正局少年矯正課長 西岡 潔子
法務省矯正局少年矯正課上席補佐官 滝浦 将士
◆連 載 少年実務 THE BASICS AND BEYOND
・第5回 国選付添人をめぐる諸問題
司法研修所教官 佐藤 傑
・外国少年司法事情
第33回 北欧 スウェーデンの最新の動向 ─法改正等の動き
立教大学法学部特定課題研究員 廣瀬 健二
・更生保護の現場から
第23回 更生保護における多機関・多職種連携の重要性について
千葉保護観察所統括保護観察官 里見 有功
・子どもの話を聴くための手法と実践例 ─司法面接の技法をいかして
第12回 司法面接で得られた情報の評価(完)
理化学研究所理事・立命館大学OIC総合研究機構客員教授 仲 真紀子