目次
特集●GERD診療を考える ―内視鏡専門医が教える軽症から重症例に対する検査と薬剤の使い方―
企画編集/河合 隆(東京医科大学病院 消化器内視鏡学 主任教授)
<特集にあたって>
1970年代には70%以上あったHelicobacter pylori(ピロリ菌)感染率が,2000年には30%以下に低下するとともに,2013年に内視鏡検査にて胃炎があればピロリ菌検査・除菌が保険診療にて可能になり,年間150万人以上の患者さんに除菌治療が行われています.現在,ピロリ菌未感染および既感染の患者さんが増加して80%を占め,ピロリ菌現感染患者はわずかに20%前後であると報告されております.日本人のピロリ菌感染胃炎は,ご存じのように多くの症例で体部優位型胃炎を生じています.体部には胃酸分泌を行う壁細胞があり,炎症に伴い細胞の障害・破壊が起こり,低酸分泌状態となっています.しかし,一旦ピロリ菌が除菌されると急速に胃酸分泌が回復します.言い換えると,胃酸分泌が盛んな患者さんが増加しています.
先生方の外来診療の現場において,胃潰瘍・十二指腸潰瘍の患者が激減し,胃食道逆流症(GERD)の患者さんが急増していると思います.上部消化管疾患構造に,大きな変化が生じています.そこで本特集は,「GERD診療を考える ―内視鏡専門医が教える軽症から重症例に対する検査と薬剤の使い方―」といたしました.
GERDの原因として,食道への胃酸逆流,特に嚥下と関係なく食道胃接合部が弛緩する現象である「一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)」があります.胃酸の逆流に関し,最近“acid pocket”の存在も注目されています.食道蠕動運動に関連する食道クリアランス,食道裂孔ヘルニア,さらには食道知覚過敏(機能性胸やけ)など,多くの因子が関与しています.原因究明のために必要な検査として,上部消化管内視鏡検査にはじまり,食道pHモニタリング,食道インピーダンスなどがあります.この検査を組み合わせて,GERDの診断を行っています.
GERD治療として,GERD診療ガイドラインにあるように第一選択はProton pump inhibitor(PPI)です.また,GERD治療のエンドポイントの1つにはQOLの向上があります.近年発売されたPotassium competitive acid blocker(P-CAB)は,PPIよりも早く・強く・長く胃酸分泌を抑制することが可能であり,GERD診療においてパラダイムシフトを起こすと考えられています.PPI抵抗性GERDがどこまで治せるか,漢方薬,消化管運動機能改善薬の併用効果も重要です.また,先に述べたGERDの1つの検査法としてP-CABテストが注目されています.保険適用はないものの,QOL向上を考えた酸分泌抑制薬のオンデマンド療法も,ガイドラインでは推奨されています.
GERDに伴う症状・合併症としては,特に高齢者に多く生じる出血,狭窄,さらにはバレット食道・食道腺癌,咽喉頭異常感症があります.
本特集では,最新のGERD発症の機序から,診断に関する各種検査方法のポイント,P-CABを含めた最新の治療方法,さらに最近考案されたGERDの内視鏡的治療である内視鏡的噴門切除術(ARMS),および内視鏡的噴門粘膜焼灼術(ARMA)まで取り上げています.読者の皆様の,診療のお役に立てれば幸いです.
河合 隆
東京医科大学病院 消化器内視鏡学 主任教授
<目次>
1. 新しいGERD発症の機序に基づいた薬物療法/近藤 隆,三輪洋人
2. PPI抵抗性GERDは,P-CABの登場ですべて解決されるのか?/川見典之,岩切勝彦
3. 高齢者のGERD診療は,通常のGERD診療とどこが異なるか/金森厚志,田中史生,藤原靖弘
4. GERDの症状と内視鏡所見は一致しているか?/小池智幸,齊藤真弘,中川健一郎,正宗 淳
5. GERDではどのような患者にどの検査を行うのが適切か?/栗林志行,保坂浩子,草野元康,浦岡俊夫
6. GERD治療は,ステップダウンからトップダウンへ/原田 智,竹内利寿,樋口和秀
7. オンデマンド療法とは何か,効果は,保険適用は?/鈴木秀和
8. ピロリ菌総除菌時代におけるGERD診療の実際/杉本光繁,永田尚義,岩田英里,糸井隆夫,河合 隆
9. バレット食道腺癌予防を考えたGERD治療/阿部圭一朗,郷田憲一,金森 瑛,鈴木統裕,入澤篤志
10. 食道裂孔ヘルニアとGERD/岸川暢介,伊藤公訓
11. 咽喉頭異常感症は本当にGERD?/浅岡大介,永原章仁
12. 薬剤抵抗性GERDに対する外科治療と最新の内視鏡治療/井上晴洋,鬼丸 学,島村勇人,年森明子,田邊万葉,西川洋平,藤吉祐輔
13. 機能性胸やけなどの食道機能性疾患は増加しているのか/二神生爾,阿川周平,山脇博士
企画編集/河合 隆(東京医科大学病院 消化器内視鏡学 主任教授)
<特集にあたって>
1970年代には70%以上あったHelicobacter pylori(ピロリ菌)感染率が,2000年には30%以下に低下するとともに,2013年に内視鏡検査にて胃炎があればピロリ菌検査・除菌が保険診療にて可能になり,年間150万人以上の患者さんに除菌治療が行われています.現在,ピロリ菌未感染および既感染の患者さんが増加して80%を占め,ピロリ菌現感染患者はわずかに20%前後であると報告されております.日本人のピロリ菌感染胃炎は,ご存じのように多くの症例で体部優位型胃炎を生じています.体部には胃酸分泌を行う壁細胞があり,炎症に伴い細胞の障害・破壊が起こり,低酸分泌状態となっています.しかし,一旦ピロリ菌が除菌されると急速に胃酸分泌が回復します.言い換えると,胃酸分泌が盛んな患者さんが増加しています.
先生方の外来診療の現場において,胃潰瘍・十二指腸潰瘍の患者が激減し,胃食道逆流症(GERD)の患者さんが急増していると思います.上部消化管疾患構造に,大きな変化が生じています.そこで本特集は,「GERD診療を考える ―内視鏡専門医が教える軽症から重症例に対する検査と薬剤の使い方―」といたしました.
GERDの原因として,食道への胃酸逆流,特に嚥下と関係なく食道胃接合部が弛緩する現象である「一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)」があります.胃酸の逆流に関し,最近“acid pocket”の存在も注目されています.食道蠕動運動に関連する食道クリアランス,食道裂孔ヘルニア,さらには食道知覚過敏(機能性胸やけ)など,多くの因子が関与しています.原因究明のために必要な検査として,上部消化管内視鏡検査にはじまり,食道pHモニタリング,食道インピーダンスなどがあります.この検査を組み合わせて,GERDの診断を行っています.
GERD治療として,GERD診療ガイドラインにあるように第一選択はProton pump inhibitor(PPI)です.また,GERD治療のエンドポイントの1つにはQOLの向上があります.近年発売されたPotassium competitive acid blocker(P-CAB)は,PPIよりも早く・強く・長く胃酸分泌を抑制することが可能であり,GERD診療においてパラダイムシフトを起こすと考えられています.PPI抵抗性GERDがどこまで治せるか,漢方薬,消化管運動機能改善薬の併用効果も重要です.また,先に述べたGERDの1つの検査法としてP-CABテストが注目されています.保険適用はないものの,QOL向上を考えた酸分泌抑制薬のオンデマンド療法も,ガイドラインでは推奨されています.
GERDに伴う症状・合併症としては,特に高齢者に多く生じる出血,狭窄,さらにはバレット食道・食道腺癌,咽喉頭異常感症があります.
本特集では,最新のGERD発症の機序から,診断に関する各種検査方法のポイント,P-CABを含めた最新の治療方法,さらに最近考案されたGERDの内視鏡的治療である内視鏡的噴門切除術(ARMS),および内視鏡的噴門粘膜焼灼術(ARMA)まで取り上げています.読者の皆様の,診療のお役に立てれば幸いです.
河合 隆
東京医科大学病院 消化器内視鏡学 主任教授
<目次>
1. 新しいGERD発症の機序に基づいた薬物療法/近藤 隆,三輪洋人
2. PPI抵抗性GERDは,P-CABの登場ですべて解決されるのか?/川見典之,岩切勝彦
3. 高齢者のGERD診療は,通常のGERD診療とどこが異なるか/金森厚志,田中史生,藤原靖弘
4. GERDの症状と内視鏡所見は一致しているか?/小池智幸,齊藤真弘,中川健一郎,正宗 淳
5. GERDではどのような患者にどの検査を行うのが適切か?/栗林志行,保坂浩子,草野元康,浦岡俊夫
6. GERD治療は,ステップダウンからトップダウンへ/原田 智,竹内利寿,樋口和秀
7. オンデマンド療法とは何か,効果は,保険適用は?/鈴木秀和
8. ピロリ菌総除菌時代におけるGERD診療の実際/杉本光繁,永田尚義,岩田英里,糸井隆夫,河合 隆
9. バレット食道腺癌予防を考えたGERD治療/阿部圭一朗,郷田憲一,金森 瑛,鈴木統裕,入澤篤志
10. 食道裂孔ヘルニアとGERD/岸川暢介,伊藤公訓
11. 咽喉頭異常感症は本当にGERD?/浅岡大介,永原章仁
12. 薬剤抵抗性GERDに対する外科治療と最新の内視鏡治療/井上晴洋,鬼丸 学,島村勇人,年森明子,田邊万葉,西川洋平,藤吉祐輔
13. 機能性胸やけなどの食道機能性疾患は増加しているのか/二神生爾,阿川周平,山脇博士
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