目次
特集●ここまで治る 早期大腸がんの内視鏡治療
企画編集/田中信治(広島大学病院 内視鏡診療科 教授)
<特集にあたって>
高齢化社会を迎え,日本のがん死亡者数は年々増加傾向にある.ちなみに,がん死亡者数は,男性で,①肺がん,②胃がん,③大腸がん,④肝臓がん,女性では,①大腸がん,②肺がん,③胃がん,④膵がんの順に多く,消化器がん,特に消化管のがんが多数を占めている.男女合わせると,大腸がんはがん全体の中で死亡率2位,罹患率は1位に位置する.そして,外科医が根治的手術を相当数行い,内視鏡医が相当数の早期大腸がんに対する内視鏡治療を行っているにもかかわらず,毎年約5万人の患者が大腸がんで死亡している.肝がんの主たる背景疾患であるC型慢性肝炎が薬物療法で治癒する時代になり,また,胃がんの原因であるピロリ菌感染率も著明に減少し,胃がんや肝臓がんの死亡率が低下しつつある中,大腸がん検診対策は欧米先進諸国と比べて遅れている.一方で,大腸がんは早期に発見し内視鏡で完全切除すれば根治が得られる疾患であり,消化管内視鏡技術が世界のトップである日本の診断学や治療内視鏡学をもっと有効に活用しなくてはならない.
近年の内視鏡機器やデバイスの進歩などによって,早期大腸がんに対する内視鏡治療手技は著しい進歩を遂げ,今や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の一般化も進みつつある.さらに,腸管の内視鏡的全層切除術や縫合技術も開発されつつある.早期大腸がんが内視鏡治療で根治できる条件は,完全一括切除でき,転移のリスクを認めない,あるいは,極めて転移リスクが低いことである.早期大腸がんはSM浸潤のpotentialを有するため,粘膜内病変しか切除できないポリペクトミーは使用すべきでなく,粘膜下層が十分切除できる内視鏡的粘膜切除術(EMR)またはESDで切除すべきである.分割切除や深部断端陽性などの不完全切除は,内視鏡切除後の根治度の判定に支障をきたすため断じて避けなくてはならない.そのためにも,術前診断としての深達度診断は重要であり,また,腺腫内がんにおけるがん部と腺腫部分の判別は,計画的分割切除の適応決定に必須である.また,大腸Mがんには転移を認めないが,SMがんは約10%にリンパ節転移を認めるため,内視鏡切除後のリンパ節転移リスクの層別化や分子マーカーなどを用いたリンパ節転移予測が,根治度の判定や患者背景を考慮した治療方針決定に重要である.
本号では,①早期大腸がんに対する内視鏡切除手技としてのEMRとESDの適応,コツやピットフォール,技術的な限界,②内視鏡切除の適応を決定するためのさまざまな術前診断学,③内視鏡切除病変の取り扱い,病理組織診断・分子病理診断などによる根治度判定,④SMがんの取り扱いや予後から見た内視鏡切除後の経過観察の方法,⑤近い将来臨床導入されるであろう現在開発中の先端技術などについて,この領域のトップランナーの先生に執筆いただいた.現時点での早期大腸がんに対する内視鏡診断,病理診断,内視鏡治療の最先端知見を含め,早期大腸がんが内視鏡治療でどこまで治せるかについての最新情報を読者にお届けしたい.
田中信治
広島大学病院 内視鏡診療科 教授
<目次>
1. 治療法選択のための術前診断学/井上史洋,平田大善,岩館峰雄,佐野 寧
2. 治療法選択のための術前診断学 ―超音波内視鏡検査―/斉藤裕輔,稲場勇平
3. 治療法選択のための術前診断学 ―注腸造影・CT/MR colonoscopy―/久部高司
4. EMR,分割EMR,ESDの棲み分け/山野泰穂,吉井新二,山川 司,仲瀬裕志
5. ESD時代におけるEMR/樫田博史
6. ESDにおける各種ナイフの特徴と使い分け,補助デバイス/田中寛人,栗林志行,浦岡俊夫
7. ESDのコツとピットフォール,偶発症対策/江郷茉衣,斎藤 豊
8. 高周波手術装置のEndoscopic applicationモードの特徴と出力調整/中繁忠夫,豊永高史
9. 病理所見によるpT1(SM)癌のリンパ節転移予測/味岡洋一,大内彬弘,杉野英明
10. 粘膜下層浸潤癌におけるバイオマーカー/菅井 有
11. 内視鏡切除T1(SM)癌の転移・再発とサーベイランス/山下 賢,岡 志郎,田中信治,二宮悠樹,茶山一彰
12. 大腸腫瘍に対する内視鏡的全層切除術,縫合術の今後の展開/後藤 修,矢作直久
企画編集/田中信治(広島大学病院 内視鏡診療科 教授)
<特集にあたって>
高齢化社会を迎え,日本のがん死亡者数は年々増加傾向にある.ちなみに,がん死亡者数は,男性で,①肺がん,②胃がん,③大腸がん,④肝臓がん,女性では,①大腸がん,②肺がん,③胃がん,④膵がんの順に多く,消化器がん,特に消化管のがんが多数を占めている.男女合わせると,大腸がんはがん全体の中で死亡率2位,罹患率は1位に位置する.そして,外科医が根治的手術を相当数行い,内視鏡医が相当数の早期大腸がんに対する内視鏡治療を行っているにもかかわらず,毎年約5万人の患者が大腸がんで死亡している.肝がんの主たる背景疾患であるC型慢性肝炎が薬物療法で治癒する時代になり,また,胃がんの原因であるピロリ菌感染率も著明に減少し,胃がんや肝臓がんの死亡率が低下しつつある中,大腸がん検診対策は欧米先進諸国と比べて遅れている.一方で,大腸がんは早期に発見し内視鏡で完全切除すれば根治が得られる疾患であり,消化管内視鏡技術が世界のトップである日本の診断学や治療内視鏡学をもっと有効に活用しなくてはならない.
近年の内視鏡機器やデバイスの進歩などによって,早期大腸がんに対する内視鏡治療手技は著しい進歩を遂げ,今や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の一般化も進みつつある.さらに,腸管の内視鏡的全層切除術や縫合技術も開発されつつある.早期大腸がんが内視鏡治療で根治できる条件は,完全一括切除でき,転移のリスクを認めない,あるいは,極めて転移リスクが低いことである.早期大腸がんはSM浸潤のpotentialを有するため,粘膜内病変しか切除できないポリペクトミーは使用すべきでなく,粘膜下層が十分切除できる内視鏡的粘膜切除術(EMR)またはESDで切除すべきである.分割切除や深部断端陽性などの不完全切除は,内視鏡切除後の根治度の判定に支障をきたすため断じて避けなくてはならない.そのためにも,術前診断としての深達度診断は重要であり,また,腺腫内がんにおけるがん部と腺腫部分の判別は,計画的分割切除の適応決定に必須である.また,大腸Mがんには転移を認めないが,SMがんは約10%にリンパ節転移を認めるため,内視鏡切除後のリンパ節転移リスクの層別化や分子マーカーなどを用いたリンパ節転移予測が,根治度の判定や患者背景を考慮した治療方針決定に重要である.
本号では,①早期大腸がんに対する内視鏡切除手技としてのEMRとESDの適応,コツやピットフォール,技術的な限界,②内視鏡切除の適応を決定するためのさまざまな術前診断学,③内視鏡切除病変の取り扱い,病理組織診断・分子病理診断などによる根治度判定,④SMがんの取り扱いや予後から見た内視鏡切除後の経過観察の方法,⑤近い将来臨床導入されるであろう現在開発中の先端技術などについて,この領域のトップランナーの先生に執筆いただいた.現時点での早期大腸がんに対する内視鏡診断,病理診断,内視鏡治療の最先端知見を含め,早期大腸がんが内視鏡治療でどこまで治せるかについての最新情報を読者にお届けしたい.
田中信治
広島大学病院 内視鏡診療科 教授
<目次>
1. 治療法選択のための術前診断学/井上史洋,平田大善,岩館峰雄,佐野 寧
2. 治療法選択のための術前診断学 ―超音波内視鏡検査―/斉藤裕輔,稲場勇平
3. 治療法選択のための術前診断学 ―注腸造影・CT/MR colonoscopy―/久部高司
4. EMR,分割EMR,ESDの棲み分け/山野泰穂,吉井新二,山川 司,仲瀬裕志
5. ESD時代におけるEMR/樫田博史
6. ESDにおける各種ナイフの特徴と使い分け,補助デバイス/田中寛人,栗林志行,浦岡俊夫
7. ESDのコツとピットフォール,偶発症対策/江郷茉衣,斎藤 豊
8. 高周波手術装置のEndoscopic applicationモードの特徴と出力調整/中繁忠夫,豊永高史
9. 病理所見によるpT1(SM)癌のリンパ節転移予測/味岡洋一,大内彬弘,杉野英明
10. 粘膜下層浸潤癌におけるバイオマーカー/菅井 有
11. 内視鏡切除T1(SM)癌の転移・再発とサーベイランス/山下 賢,岡 志郎,田中信治,二宮悠樹,茶山一彰
12. 大腸腫瘍に対する内視鏡的全層切除術,縫合術の今後の展開/後藤 修,矢作直久
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