■日本人の無関心 日本への無関心(対談 池澤 夏樹・筑紫 哲也)
イラク戦争に反対する声は、日本では政治を動かすうねりにはならなかった。
自衛隊を戦場に「派兵」するイラク特措法も、あっさりと成立した。
日本人の多くは「何事もなかったかのように」日々の消費を満喫し、
この国の存在は国際社会のレーダーから消えつつある。
大きな曲がり角に立つこの国を覆う「無関心」について考えた。
■敗戦から58年 甦るナショナリズム
戦争の惨禍が繰り返し語られる8月がやってきた。
しかし、15年におよんだ戦争は、大日本帝国という神がかりで凶悪な国家がなした犯罪の
一つであって、そのすべてではない。戦前のこの国は、思想・表現の自由や人権、労働者・農民の
生きる権利を抑圧し、朝鮮半島などに植民地支配の傷跡を残した。
にもかかわらず戦後の日本はこの「大日本帝国的なるもの」に十分に自覚的であったとはいえない。
その結果、戦前の人脈が権力の座に居座り、いまや侵略と植民地支配を正当化するナショナリズムが
新たな跳梁を見せている。この特集では、戦後の日本にどのような負の構造が再生したのか、
いま何が起きつつあるのか、を問い直す。
温床としての軍事大国化と構造改革
新しいナショナリズムを生み出したもの(渡辺 治)
憲法を踏みにじる悪政を次々と繰り出す小泉内閣に呼応するかのように、
北朝鮮に対する経済制裁、核武装、教育基本法改悪――など、
近年ナショナリストたちの声は高まる一方だ。
それが生み出される背景は何なのか。
「くに」を意識し始めた若者たち
国家はファッションか それとも心のよりどころか(竹内 一晴)
「英霊」に群がる大学生たち。
進歩的なイメージのクリエーターも堂々と「日本」を語る。
良くも悪くも「右翼」からはほど遠い。
「知的お遊戯」か、不安の埋め合わせか。
彼らはなぜ「日本」を指向するのか。
いま、特攻を振り返る(文・写真 安島 太佳由)
「自ら志願し、お国のために命を捧げた」とされる特攻隊員は、
「愛国心」の象徴として取り上げられることが多い。
彼らは本当に「お国」のために飛び立っていったのだろうか?
多くの若者の命を代償に行なわれた特攻とはいったいなんだったのか。
敗戦58年に、沖縄戦の特攻基地があった鹿児島県知覧町を訪ねた。
「未完の東京裁判」と戦争責任の追及(粟屋 憲太郎)
偏狭なナショナリストたちは、東京裁判を「勝者による裁き」だとして意義を否定している。
だが今求められているのは、裁判の欠陥を埋めて侵略戦争の全容を解明し続ける、
私たちの主体的努力なのだ。
戦後民主主義の逆コースを演出した「大日本帝国の亡霊」たち
復活させてはいけなかったのは誰だったか
戦後の日本は、戦前戦中、権力の座にあって戦争を煽り、
さらに戦争に反対する人々を弾圧した張本人たちに国を動かす政治の基盤を作らせてしまった。
そのため、アジアから常に不信の眼差しを向けられてきた。
私たちは、いったい何を生き残らせてしまったのか。
政治家・軍人(五十嵐 仁)
特高官僚(柳河瀬 精)
[リスト]戦後国会議員になった特高官僚たち
掌で命の重みを受け止めた
「鎮魂不戦」テニアンの旅を終えて(石上 正夫)
太平洋戦争の犠牲者の遺骨がいまだ砂に埋もれているテニアン島。
その島を27年前から鎮魂不戦の思いを込め、調査に訪れてきた筆者が、いま自らの旅を振り返る。
元特高の政界最長老・奥野誠亮を通してみる横浜事件
終戦直後に消された公文書の呪縛(編集部 平井 康嗣)
58年前に終わった戦争を生きた人々の中には、いまだに戦争との決着がついていない人も少なくない。
自民党の最長老議員、奥野誠亮氏もその一人である。
■スクープ!
まだ隠されていた欠陥原発
圧力容器が製造当初からひび割れ?(編集部・伊田 浩之)
福島第一原子力発電所1号炉などの原子炉圧力容器が、
製造当初からひび割れしていた可能性が本誌の取材で明らかになった。
圧力容器は、貯めた水の中でウラン燃料が核分裂反応を起こしている、
原発の心臓部。炉心が溶けて放射性物質が飛び散るなど、
きわめて深刻な事故に結びつく欠陥だと指摘する専門家もいる。
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