フィナンシャルジャパンの編集長インタビュー

編集長プロフィール

ナレッジフォア
「FJ(フィナンシャルジャパン)」編集長 濱田優さん

はまだまさる 1974年山口県生まれ。96年岡山大学卒業後、読売新聞西部本社。退社後、社会人学生を経てナレッジフォア入社(web・映像ディレクター)。フィナンシャル ジャパン編集記者、デスクを経て09年編集長に就任。

編集長写真

第63回 FJ(フィナンシャルジャパン) 編集長 濱田優さん

表面はオタクでも中には教養が詰まっています

―かなり大胆なリニューアルです。

はい、5月21日売りの7月号からリニューアルしました。「イメージ一新、変えるなら大幅にやらないと」と思い切って変えました。定価も1000円のままでいくか安くするか迷いましたが、最終的にはワンコインで買えるもので行こうということになりました。
「フィナンシャル ジャパン」というタイトルも変えようかと思いましたが、書店さんに覚えていただいている名前でもあり、ここはこのまま残しました。ただ表紙には大きく「FJ」と表示するようにしました。コンビは解消したけどコンビ名は残したみたいな感じです(笑)。

―インパクトありますよね。

ええ。ご存じかもしれませんが、「フィナンシャル ジャパン」は、木村剛さんが創刊された雑誌で、僕は2009年に編集長になったのですが、しばらくは木村さんから雑誌をお預かりしている気持ちがどうしてもありました。しかし、木村さんが名実ともに会社から離れたのはもう数年も前のことですし、この間ずっとリニューアルの時期を模索してきましたから。

―評判はいかがですか。

新聞広告もこんな感じに
新聞広告もこんな感じに

お蔭様で評判はいいですね。リニューアル1号は、攻殻機動隊が表紙の「ゲーム理論」、次はウルトラQのカネゴンが表紙で「ボクらの政治哲学」を特集しています。とりあげるテーマも以前とはかなり違っていて、より教養重視のつくりになっています。
ただ一部の読者からは、全方位的で散漫になっているという指摘もいただきました。投資の側面が薄くなったことから、古い読者の方の中には違和感をお持ちになった方もいらっしゃると思います。

―雑誌は、若い人たちが読んでくれないと元気がなくなりますからね。

そう思います。ですから値段設定も若い人が手にとりやすいものにしました。
雑誌って元気がないって言われ続けていますけど、雑誌のこの形で届けられるものってたくさんあると思うです。面白いものは買ってもらえるはずです。そもそも若い人が雑誌を読まなくなるのはイカンだろうと思う(笑)。

―でもこの値段で、広告も厳しいなか、大変ですよね。

それはそうですが、この雑誌を出しながら、編プロ的な仕事や広告の仕事もやっていますので。ただFJも頑張って、大儲けしないまでも、誰もが知っている雑誌に早くしたいと思っています。

―何人でつくってらっしゃるのですか。

編集部風景
編集部風景

僕入れて3~4人くらいです。あとデザイナーもカメラマンも社員で内製化していますから、これで回せます。外部のライターさんなどにも手伝ってもらっています。

―雑誌のコンセプトはどう変わったのですか。

以前は「投資とビジネスに役立つ金融経済月刊誌」でした。リニューアルでこだわったのは、“教養”ということです。広告的にも金融という面を押しだすのはきつかったですし。
教養を前面に出したのは、やはりこんな時代だからこそ引きこもってないで、若者がしっかり議論をして意見を闘わせてメッセージを出していかないと、世の中よくならないという気持ちがあったからです。豆知識じゃなく、ちゃんとした知識と知恵、そして教養を身につけて、議論して、攻めて行こうというメッセージを出したいんです。

―「SPA!」っぽい匂いもあります。

編集長の近頃の愛読書は
編集長の近頃の愛読書は

特に狙っている世代は20~30代の男性なので、近いかもしれません。でも書店などのデータを見ると30代~40代の男性が中心のようですね。
「ロールキャベツ男子」って言うじゃないですか。中味は肉食なんだけど草食の皮をかぶっている。あんな感じですよ。見た目からして、「起業しようぜ!」みたいに肉食だとひいちゃう人も多いんじゃないかなあ?(笑)。
ですから、オタクカルチャーっぽいものを表に持ってきて、興味をもってもらって、中ではしっかりゲーム理論や政治哲学を学べる。そんなつくりを目指しています。

―濱田さんはどういう経緯でこちらにこられたのですか。

僕は最初、新聞記者だったんです。でもあまり“いい新聞記者”にはなれそうもなかったし、一生転勤暮らしは避けたかったので、辞めて2年間webやCGについて勉強しなおして、web・映像ディレクターとしてこの会社に採用されたんです。
だから最初はFJの取材にくっついて行ってビデオ回して、それをwebで配信してました。でもYouTubeなどが出てきて課金も難しくなってきたとき、「お前、記者あがりだから原稿書けるだろ」ということで、原稿を書いたり編集をしたりするようになった。そしてデスクをやった後、2009年から編集長です。

―ネット読者との接点も多いのですか。

次号の表紙もこれで校了に
次号の表紙もこれで校了に

多いほうではないでしょうか。でも彼らをリアルに集める場所をつくらないといけないと思います。それはマネタイズの点からもブランディングの点からも。
以前は、雑誌で個人投資家を集めてセミナーをやっていましたが、いまは投資に限らずあらゆるテーマで読者をリアルに集めるイベントをやらなければいけないと思っています。取材に読者ご招待とか(笑)。Facebookのページで「いいね!」をつけてくれた読者中心に集めて何かするとか。ネットをツールとして上手につかってリアルにつなげる、これが当面の課題ですね。

編集長の愛読誌

(2011年7月)

取材後記
大幅なリニューアルをして、「FJ」の新創刊をされた濱田さん。確かに表紙のインパクトはあるし、特集もニューアカ(ごめん、古いですねw)の再来かと思わせるもので、一見、金融や投資を扱ってきた雑誌とは思えないものになっています。
表紙で思わず微笑んでから、中味を読み進めるに、これがなかなかしっかりとつくられていて、この人の雑誌好き度合いが分かります。ディテールにもコワザがあって、それがネットメディアとの親和性を高めてもいます。
新聞記者を辞めて、自分で新しい表現を模索されてきた濱田さんの新たなる試みには、可能性がつまっていると思いました。

インタビュアー:小西克博

大学卒業後に渡欧し編集と広告を学ぶ。共同通信社を経て中央公論社で「GQ」日本版の創刊に参画。 「リクウ」、「カイラス」創刊編集長などを歴任し、富士山マガジンサービス顧問・編集長。著書に「遊覧の極地」など。

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2009年10月号 (2009年08月21日発売)
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