地球白書 発売日・バックナンバー

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目次
『地球白書 2013-14』

環境界の一年間の主要動向

第1章 「サステナバブル」を超えて

概念の誕生/「持続不可能な開発」は、「開発」といえるのだろうか/窮地と可能性
*コラム1─1 持続可能な人口を目指して


【第一部:持続可能性に関しての測定基準】

第2章 地球の境界に配慮し、 生物圏との関係を再構築する

惑星的観点からの人類の増大/持続可能性のための許容範囲:《気候変動》《生物多
様性》《窒素とリン》《成層圏のオゾン》《海洋の酸性化》《地球レベルの淡水使用
量》《土地利用形態の変化》《大気中エアロゾル負荷量》《化学汚染》《相互依存的
な境界》/地球のレジリアンスのための革新と変革

第3章 『人類にとって、環境的に安全で、かつ基本的人権という視点から社会的に
公正な空間領域』の定義

「社会の境界」と「地球の境界」の間で/境界間の動態と分配/新たな経済を導く
ダッシュボードのための測定基準の創出
*コラム3─1 「GDPを超えて」――新たな測定基準を求めて

第4章 「地球一個分」に適合する生活を実現する

「公正割当面積(公平な地球持ち分)」と「多消費社会」の比較/自然の法則のなか
で生きることを学ぶ/今後の課題
*コラム4─1 エコロジカル・フットプリントとは

第5章 持続的な水資源の利用とその信頼性

データから見る水資源/どのようにすれば、今日の水利用を持続できるのか:《全て
の人に安全な飲用水を》《生態系保全に必要な水》《地下水の動向》/持続可能性に
向けて
*コラム5―1 脱塩処理について/*コラム5―2 河川・湿地・氾濫原など淡水生
態系によるサービス

第6章 持続可能な漁業と海洋を目指して:生態系の破壊を防ぐ

海洋の価値/苦しむ海、海洋に対する脅威:《海洋の酸性化》《海洋の温暖化と貧酸
素水塊》《海氷の消失》 《予期せぬ海洋の変化》《壊滅的な漁業》《人間活動の影
響》/海洋の持続可能性を保全する管理施策

第7章 中枢的資源としてのエネルギー

「エネルギー」と「科学の転換」/経済学:失敗した革命/正味のエネルギー分析と
エネルギー収支比/新たな世界展望に向けて

第8章 再生可能エネルギーによる自然資源への影響

各再生可能エネルギーの制約要因 :《太陽》《風力》《小水力》《地熱発電》《波
力発電と潮力発電》《バイオマス》 /再生可能エネルギーの間欠性と変動性の緩和
への取組:《蓄電池》《揚水発電》《圧縮空気エネルギー貯蔵とバイオガス貯蔵》
《溶融塩熱貯蔵》《水素》《送電と配電》/持続可能な再生可能エネルギー・システ
ムの展望
*コラム8─1 エネルギー効率改善と省エネルギーの貢献/*コラム8─2 土地利
用の優先順位と土地の権利への十分な配慮

第9章 非再生可能資源を保全する

非再生可能資源への依存の高まり/資源不足の示唆;《価格の上昇》《鉱石の品位の
低下》《環境コスト》 《供給が減少して、価格が相当に上昇する採鉱投入資源》/
循環型社会を創生する
*コラム9―1 「不足」とは、どのような事態なのか?/*コラム9―2 「埋立処
分場からの資源回収」の可能性


【第二部:真の持続可能性を実現するために】

第10章 文化を再構築して「持続可能な文化」を生み出す

地球を消費する/過去の偉業から学ぶ/「持続可能な文化」を構築する取組 /文化
規範への挑戦
*コラム10─1 「持続可能性文化」での日常生活/*コラム10─2 「選択肢の加
除」によって、規範を変革する/*コラム10─3 開発・発展と衰退

第11章 持続可能で望ましい経済を社会と自然のなかでつくる

新たな経済の枠組み:《生態学的な境界を尊重する》《人々が潜在的能力を全開でき
る環境を整備する》《持続可能なマクロ経済を構築する》/持続可能な文明は可能か
*コラム11─1 アメリカの銀行制度の社会的費用

第12章 企業を持続可能性の推進組織に改革する

インセンティブとしての税制改革/「大きすぎて潰せない」企業が多すぎる/企業広
告と消費の循環を断つ/外部性を企業会計に内部化する/責任履行能力の強い企業へ
移行する

第13章 企業報告と経済における外部

経済における外部性/企業報告における外部性の開示/統合報告/外部性開示の義務
化へ向けて

第14章 地下にあるものは地下に:化石燃料時代の終焉

問題は「排出」ではなく「採掘」であって、「炭素」ではなく「化石燃料」である/
化石燃料の影響力/緊急な「転換」のための政治/化石燃料を地中に留めるための初
期の展開/脱化石燃料時代のビジョンを描く
*コラム14─1 化石燃料の関連数字

第15章 化石燃料を超えて:代替エネルギーの評価

代替と進歩/代替エネルギーの評価:《豊富さ》《普遍性》《間欠性》《商業利用技
術の確実性》《電力》《熱》《交通運輸》《社会的受容度》《分散性》《効率性》/
代替エネルギー資源の概括的特質:《太陽光発電(PV)》《太陽熱発電》《太陽加
熱》《水力発電》《藻類由来のバイオ燃料》《地熱発電》《風力》《人工光合成》
《潮力》《従来型核分裂》《ウラン高速増殖炉》《トリウム高速増殖炉》《枯渇の可
能性のある地熱利用》《定常状態の地熱利用》《作物由来バイオ燃料》/化石燃料と
代替エネルギー資源との根源的差異

第16章 建築環境におけるエネルギー効率

経済的機会としてのエネルギー効率/業務用不動産市場の再構築/効率改善政策

第17章 農業:食料の生産─およびその解決策

全ての人のための食料/持続可能な成長のための食料/健康のための食料/文化を守
るための食料/食料システムを改善するために:《農業生態学に基づいた食料システ
ムに投資する》《農業の多面的な貢献を理解する》《生活を守れる農業にする》/地
球的諸課題の解決策としての農業の登場
*コラム17─1 村の銀行による、持続可能な農業の推進

第18章 先住民族の伝統的食料の尊厳を守る

アメリカおよび太平洋地域の神聖な食料/伝統的食料の環境的な側面/フード・セ
キュリティのための新たなパートナーシップ/文化遺産と伝統的な生態学的知識/健
康の格差と闘い、先住民の健康を取り戻す/伝統的食料は先住民の自然権である

第19章 先住民族を尊重する

強制される立ち退き/抵抗/先住民族の人々を尊重し地球環境も守る:《先住民族を
守る諸政策》《企業の先住民族との関わり》《基金による効果的な資金供与》

第20章 持続可能性を目指す教育 :ビッグ・ヒストリー

ビッグ・ヒストリーを教える/ビッグ・ヒストリーの講座は思考方法を変革できるか
/ビッグ・ヒストリーの未来

第21章 環境行動に対する地球規模の道徳的合意へ

行動規準として共有されている道徳的原則:《全ての人は、生命・自由・身体の安全
に関する権利を有している》《正義、とりわけ世代間の正義は、受益と負担の公平な
分配に基づくべきである》《人は、子供達を害悪から守る絶対的な義務を負ってい
る》《私達は、慈悲によって行動する道徳的な存在である義務がある》《世界を破壊
する行為は正しくない》《道徳的誠実は、私達の価値観を体現した決心を必要とす
る》/気候変動への取組を妨げる対抗的な道徳的価値/道徳的責務から道徳的行動
へ:《道徳的権利》《良心的行動》《信仰に基づく行動》《倫理を考え直す》《組織
を考え直す》/世界観のパラダイム・シフト
*コラム21─1 世紀末の倫理

第22章 持続可能性への道筋:政治的戦略の構築

持続可能性への道筋と政治:《目標の検討》《市民の活動》《ネットワークの構築》
《突発事態の機会としての活用》/変革に向けて
*コラム22─1 乾燥地ケニアにおける農業の多基準マッピング

第23章 個人の変革から社会の変革へ

行動と効果のギャップ/変革の実現──過去、現在、そして未来/一段と広範な変革
の実現


【第三部:緊急事態に関して率直に議論する】

第24章 激動の時代に備えた教育

授業と学習のパターン/力を失わせる仮定/危機の本当の顔/激動の時代に備えたカ
リキュラム/新たな一貫性
*コラム24─1 環境学の欠陥と機会

第25章 危機に効果的に対応できるガバナンスの諸要因

市民的不服従からの教訓/柔軟性を有するガバナンス体制/ガバナンスの転換:《1.
相当数の人々の参画》《2.食料・交通運輸、とりわけ通信などの資源》《3.多種多様
な部門の人々の参画に支えられた開放性・寛容性・非排他性》《4.闘いのための技術
の学習と戦略的洞察力の強化》/危機のなかで/柔軟性を有するガバナンスに向けて

第26章 「長く続く非常事態」における ガバナンス

ガバナンスの問題/強固な民主主義の基礎を築く
*コラム26─1 一段と持続可能な民主主義/*コラム26─2 ボトムアップからのレ
ジリアンス

第27章 永続する環境保護運動を構築する

今日の環境保護団体は成功しているのか/ディープ・エコロジー/布教活動とその可
能性/エコロジカル思想の布教活動は興隆するのか/示唆から現実的な適応策を得る
*コラム27─1 ポスト大量消費者時代におけるシェイカー教の意義/*コラム27─
2 エコロジカル思想と宗教思想の関係

第28章 抵抗運動:目的は手段を、どこまで正当化するか

前提/抵抗運動の類型/抵抗運動を評価する/生物多様性の衰退への関心を喚起する
/「今こそ、抵抗運動の時か」を問う

第29章 地球工学(ジオ・エンジニアリング)の可能性と危険性

地球工学の現状:《太陽放射管理(SRM)》《二酸化炭素除去(CDR)》/地球
工学のコスト分析:《物質面での犠牲》《政治面での犠牲》《生存そのものに関わる
犠牲》/惑星工学としての地球工学の未来
*コラム29─1 地球工学の定義/*コラム29─2 オクスフォード原則:地球工学分
野の研究実施に関する規約/*コラム29─3 「ソフト地球工学」技術の判定基準

第30章 キューバ:経済制裁下での適応

キューバにとっての「平時の非常時」/キューバのエネルギーへの対応/人間開発と
生存可能性:《医療ケア》《教育》《農業》《その他の指標》/キューバ・パラダイ

*コラム30─1 キューバが1990年代の一大国難を克服した原動力

第31章 気候変動と強制移動

気候変動のインパクト:《異常気象と居住可能性》《水ストレスとフード・セキュリ
ティ》《海面上昇と陸地の喪失》/移住すべきか、残るべきか/新たな分類と論争/
レジリアンスと適応
*コラム31─1 強制移動と避難民の数

第32章 災害が頻発する世界におけるレジリアンスの構築

レジリアンスの定義:《多様性》《冗長性》《モジュール性》《資源保有》《社会関
係資本》《エージェンシー(主体的取組)》《非排他性》《緊密なフィードバック》
《革新性》/システム内のシステム/レジリアンスの現状を認識して、強化する/レ
ジリアンスの構築における懸念と矛盾/希望の種
*コラム32─1 植物種子を保存し、レジリアンスを守る/*コラム32─2 女性のエ
ンパワーメントとレジリアンスの構築/*コラム32─3 ベトナムの沿岸マングロー
ブとレジリアンスの喪失

第33章 危機的状況に適応できるコミュニティを築く

否定と抵抗/危機的状況下での人間の行動/社会関係資本を構築・強化する/防災・
減災、開発援助、そしてレジリアンス

第34章 「時、既に遅し」なのか
3,300円
目次
はじめに
環境界の一年間の主要動向

第1章 グリーン経済を、すべての人の味方にする

Making the Green Economy Work for Everybody

かつてない複合危機に直面している人類文明/グリーン成長と定常経済、そして脱成
長/グリーン経済は「しかるべき賃金、しかるべき仕事内容」の雇用をもたらす /
グリーン・ジョブ/グリーン・ジョブを世界規模で推進する
コラム1-1 グリーン経済におけるデカップリングの役割/1-2 再生可能エネルギーと
貿易摩擦

第2章 過剰開発国における脱成長への道

The Path to Degrowth in Overdeveloped Countries

過剰開発(過度な経済成長)が、もたらしたもの/過剰消費者による消費総量を減ら
す/社会的公平のための税制改革/時短や有給育児休暇で就労の機会を増やす/「新
たな豊かさの経済」への転換/脱成長に向けて
コラム2-1 脱成長の定義/2-2 犠牲と持続可能性に関する新たな政治力学

第3章 インクルーシブで、かつ持続可能な都市の開発計画

Planning for Inclusive and Sustainable Urban Development

都市の生活/考え方と優先度の修正/都市計画の現状/計画策定システムの強化/イ
ンクルーシブで、かつ持続可能な都市の開発にとっての5つの障壁/障壁の克服/小
さなステップと大胆な行動 コラム3-1 急増するメガシティの数/3-2 国家レベルの
持続可能な都市の計画策定と開発に関する委員会の基本的課題

第4章 持続可能な交通輸送システムの実現に向けた取組

Moving Toward Sustainable Transport

持続可能な経済発展をもたらす交通輸送システムへの投資/国際協定における「持続
可能な交通輸送システム」/世界の無秩序なクルマ社会の現状/交通輸送のパラダイ
ムシフトを目指す/持続可能な交通輸送システムを実現するために
コラム4-1 ASIアプローチの主要な取組事例/4-2 都市交通の8原則

第5章 情報通信技術を利用して、住みやすく、公平で持続可能な都市を造る

Information and Communications Technologies Creating Livable, Equitable,
Sustainable Cities

「スマート」になる都市/スマートな都市に本当に必要なもの/データが都市を変え
る/新しい市民メディア/情報を知識に変える
コラム5-1 ニュー・アーバニズムの原則

第6章 アメリカの持続可能な都市開発の評価

Measuring U.S. Sustainable Urban Development

開発の持続可能性を評価する方法/アメリカにおける国家レベルの「持続可能な開発
アジェンダ」の現状/国家レベルの「持続可能な都市開発指標システム」の現状
コラム6-1 居住適正原則(持続可能なコミュニティのためのパートナーシップ)/
6-2 持続可能なコミュニティのためのパートナーシップの政策ロードマップ

第7章 企業を変革する

Reinventing the Corporation

多国籍企業の誕生と拡大/ソフト・ローの台頭とその限界/ビジョン/企業を再設計
するための原則/変革のための強力な手段/前途―未来の企業とは
コラム7-1 近代企業のルーツ/7-2 持続可能な未来を想像する

第8章 持続可能性のガバナンスに向けた、新たな国際機関の構造

A New Global Architecture for Sustainability Governance

環境サミット:新たな国際機関の構造に関する構想の立脚点/グローバルな環境ガバ
ナンスの再構想/国連システム内における環境関連の連鎖反応:権限、財源、連携/
代替構想:ガバナンスの分担、および責任の一元化/結 論
コラム8-1 ナイロビ―ヘルシンキ成果/8-2 モーリス・ストロングのUNEP構想/
8-3 権限、財源、連携を強化するためのUNEPの内部活動/8-4 UNEPを強化するた
めの加盟国の活動

第9章 90億人到達前に、人口増加を止める9つの戦略

Nine Population Strategies to Stop Short of 9 Billion

人口増加を終結させる9つの戦略/9つの戦略のインパクト
コラム9-1 ペットによる環境への影響

第10章 見せかけだけのエコから、真に持続可能な建築物へ

From Light Green to Sustainable Buildings

現行の政策――ムチとニンジンとタンバリン/「最善の政策」の模索/結 論
コラム10-1 建設における不正行為の例/10-2 建築物の持続可能性に関するコア指標
の模索/10-3欧州連合(EU)の「建築物のエネルギー性能に関する指令」

第11章 より持続可能な消費に向けた公共政策

Public Policies on More-Sustainable Consumption

持続不可能な消費/市民社会の構成員として、企業にさまざまな圧力をかける/政府
をはじめ、さまざまな主体がインセンティブを与え、変化を促す
コラム11-1 消費とコミュニティとウェルビーイング/11-2 日本の循環型社会の形成
に向けた取組/11-3 世界的目標の設定

第12章 ブラジル、ひいては世界の経済界を動かす

Mobilizing the Business Community in Brazil and Beyond

インクルーシブで責任あるグリーン経済/理想の実現に向かって/リオ+20でグリー
ン経済の促進を目指す
コラム12-1 エトス研究所

第13章 持続可能な未来を育み発展させる

Growing a Sustainable Future

現代の「世界の食と農」の特徴的概要/持続可能な食と農業のシステムにおける、小
規模農家のきわめて重要な役割/男女間の不平等の問題を扱う重要性/諸資源や融資
や情報などへのアクセスの必要性/将来へ向けた歩み

第14章 気候変動に脅かされる世界のフード・セキュリティと平等

Food Security and Equity in a Climate-Constrained World

潜在的大問題をひきずりながら、世界に拡大してゆく工業的大規模畜産/世界の穀物
を巡って――「人の食料か、動物の飼料か」/すべての農業生産の制約要因となる水
資源/気候変動からの影響、そして気候変動への影響/植物性食品をベースにした食
生活によって、栄養の行き届いた世界を目指す
第15章 生物多様性:「第6の大量絶滅」との闘い

Biodiversity: Combating the Sixth Mass Extinction

なぜ生物多様性が重要か/達成されない生物多様性条約の目標/「気候変動」より格
段に低い「生物多様性」への危機感/自然の生息場所の損失を阻止する/本当の変化
が求められている
コラム15-1 都市の農民が生物多様性の減少を緩和できる/15-2 危機に瀕するサンゴ

第16章 持続可能な繁栄をもたらす生態系サービス

Ecosystem Service for Sustainable Prosperity

自然資本と生態系サービスの重要性/生態系サービスに価値づけを行う/生態系サー
ビスに関連した制度/生態系サービスにおける優先順位
第17章 地方政府を正す

Getting Local Government Right

各国内の地域レベルの民主主義の課題/リオ+20という機会/私たちは、ここから、
どこに向かうか
コラム17-1 地方レベルでの第10原則の要素/17-2 アクセス・イニシアティブ
3,135円
目次

本書に寄せて
はじめに
アフリカ地図
環境界の一年間の主要動向

第1章 飢餓のない世界を築くための展望
水産業も、飢餓や貧困の緩和に貢献する
高水準の食料価格、低水準の農業開発投資
飢餓と闘うアフリカ大陸
今日の世界──肥満と栄養不足がそれぞれ10億人に近い
化学肥料や農薬へ過度に依存してきた近代農法

◆品種改良に留まらない取り組み
品種改良に重点を置いてきた農業研究投資
地力を失い、乾きゆくアフリカの農地
灌漑拡大に劣らず重要な「農地における水管理改善戦略」

◆農場(生産)に留まらない取り組み
生産量の25~50%が捨てられている
アフリカの最貧国では輸入食料への依存度が二倍に高まっている
都市貧困層を支える都市農業
学校での食育を飢餓の軽減に役立てる
在来種や野生の食料資源を活かす

◆アフリカに留まらない取り組み
長期的視点から、食料援助策を見直す先進国
「気候変動の緩和」に貢献できるアフリカ農業
サウジアラビアや中国などによる、アフリカの「農地の争奪」
先進国もかかえている食料・農業問題

◆フード・セキュリティ強化への新たなステップ
「二一世紀の農業改革」を目指して
コラム1─1増加する飢餓人口と不足する農業農村開発支援
〈現場から〉
バランスの取れた農業開発支援を強化する
 大きな増産効果を上げたアジアの「緑の革命」と中国の「生産請負制」/短期的増
産から持続的農業へのシフト/
「自主性」と「伝統的農法」を尊重する「地域参加型開発」/国際的な協調活動によ
る農業開発/
「成功事例」は「開発戦略」を代替できない/「成功」には賛否両論がつきまとう

第2章 エコアグリカルチャーを農業の主流に
エコアグリカルチャーのランドスケープ

◆アグロエコロジー(農業生態学)に基づいたアグロエコロジカル農法
作物や家畜の多様性を活かす農法

◆エコアグリカルチャー・ランドスケープ
ランドスケープ・エコロジーによる評価
先住民のアグロフォレストリーによって生まれた生物回廊
輪換放牧によって、サバンナの草地を再生する
「無農薬栽培」を導入して、収入を増加させた小規模茶業組合農家

◆多様な恩恵をもたらす可能性
生産・生計・環境に多様な貢献をする、発展途上国のアグロエコロジカル農法
干ばつに強い有機水稲栽培
求められているランドスケープ測定法

◆可能性を現実のものに
エコアグリカルチャー・ランドスケープの包括的な取り組み
フード・シェッドのもつ可能性に立ち返る
アグロエコロジカル農法に関心を寄せ始めた巨大アグリビジネス
10億ドルのポートフォリオによって、                    
       
アグロエコロジカル農法を支援するテラフリカ

◆エコアグリカルチャーを、世界の農業の主流に
企業的大規模農業にはない共生的機能
持続可能な食料増産と生態系の保全を実現するために
気候変動下のフード・セキュリティのレジリアンスの強化
社会的・生態学的な差異を見極めて、最適な農法を推進する

コラム2─1アグロエコロジカル農法の例

〈現場から〉
マダガスカルにおけるコメの品種改良の改革
 在来種は、不順な天候でも収量が比較的に安定している/農業者と連携して「作り
やすい品種づくり」を目指す/
コメ増産の前提条件は「水管理方法の改善」/種子生産が、農業者組織によって始
まっている

第3章 野菜の栄養的・経済的可能性を活かす
「穀物の革命」と同時に「野菜の革命」を展開する
微量栄養素が不足しているアフリカの食事
野菜と果実の農業研究費は穀物の約13%にすぎない

◆農業者の声を聞く
地域コミュニティごとに最良品種を選定する

◆農業者に種子を供給する
ハイブリッド野菜よりも育成しやすい自然受粉品種
タンザニアのトマト農家の純益を40%増加させた新品種

◆在来種の野菜を活用する
在来種の特徴を活かした品種改良
消費者にも好まれ、生産者の収入を増加させたアフリカ・ナスの新品種
需要が伸びている葉菜 ──アフリカ・イヌホオズキとササゲ
生産者のみならず、消費者にも在来種を見直してもらう

コラム3─1改革が期待される作物の品種改良
コラム3─2食材となる自生植物を活かして、気候変動に適応する

〈現場から〉
学校農園で展開される改革
「実際に栽培し、調理し、味わってみる」──スローフード協会との連携/
学校農園の生徒の家庭も、地元農家を支援するようになる/通学制でも全寮制でも、
「農場から食卓まで」を学ぶ
「アフリカの緑の革命」を目指す「一エーカー基金」
グループのメンバーが保証人になり、借り受けた農業者の98%が完済/
「豊作だったら、何を実現したいのか」──農業者の夢が基金メンバーに力を与える

第4章 農業における水生産性を改善する
大量の水を必要とした「緑の革命」

◆サブサハラ・アフリカの水の脆弱性
サブサハラ・アフリカでは農地の四%しか灌漑されていない
2009年、「アフリカの角」では数百万人が飢餓に直面した
単収格差を解消すれば、世界の食料需要増の四分の三を賄える

◆水を汲み上げる人力ポンプ
バングラデシュで、三五ドル前後のペダル式ポンプによって灌漑が可能に
アフリカでも、ペダル式ポンプの普及が始まった

◆手頃な価格のマイクロ灌漑で、水を確保する
バケツ灌漑によってガーナの灌漑面積は倍増
ベナンでは、太陽光発電によるマイクロ灌漑によって増収を実現

◆雨水の効率的な利用
環境保全型農業は「緑の水」を増加させる
土壌水分の保全と根域への施肥によって、テフの単収が倍増
環境保全型農業によって、天水農業のレジリアンスを高める
栽培環境に適合した農法によって、水や農地の生産性を高める
情報技術(IT)によって、衛星画像と村の無料電話を結ぶ
大量の労働力を必要とする土壌・水保全型農法の普及に必要なインセンティブ
ケニアでは、段々畑の構築によってトウモロコシの単収が50%増加

◆未来をみすえて
気候変動によって、貧困層の水事情はいっそう悪化する

コラム4─1ソーラー点滴灌漑菜園

〈現場から〉
ウォーター・ハーベスティング
ルワンダでは、厚さ〇・八ミリのプラスチックシートで小さな貯水池を造る/
ケニアでは、マサイ族の女性たちが雨水タンクを造る/
政府に期待されるファシリティーター機能と奨励補助金

第5章 農業の研究開発を農業者が主導する
果敢なチャレンジを続ける農業者たち
農業者のニーズと乖離した研究や開発計画

◆農業者主導の農業改革を支援する
ソーシャル・クレジットを立ち上げる女性グループ
農業者が運営の中心になる「地域改革支援基金」

◆農業者が農業改革の普及を加速する
展示会やワークショップで、チャレンジの課題や成果を広く伝える

◆なぜ、農業者主導の農業改革を支援するのか

◆研究開発に取り組む人々のための教訓
コラム5─1エチオピアにおける農業改革の共有

〈現場から〉
ザンビアにおける穀物輸出禁止政策
南アフリカ共和国から、ザンビア経由でコンゴ民主共和国に向かうトウモロコシ/
食料増産の妨げとなる穀物輸出禁止政策/食料品のアフリカ地域内自由貿易への期待

第6章 アフリカが直面する「土壌の地力喪失」と「大飢饉」
やせてゆく大地、迫り来るアフリカ大飢饉

◆「アフリカ大飢饉」につながってゆく「パーフェクト・ストーム」
「パーフェクト・ストーム」を引き起こす
「家畜の排泄物」・「休閑農法」・「化学肥料」・「気候変動」の現状
土壌劣化がもっとも深刻な半乾燥気候および亜湿潤気候に位置する低地

◆すでに現れている危機の兆候
急速に失われている土壌有機物
劣化した土壌では、雨が土壌に浸透しない
土壌の劣化と人口増加が、「土地をめぐる争い」を深刻にする

◆土壌劣化の進む地域において、農業者に残された道

◆四つの土壌劣化対策案を評価する
第一案─「化学肥料補助金」
第二案─「家畜の排泄物」および第三案─「堆肥」
第四案─「緑肥・被覆作物」

◆緑肥・被覆作物のポテンシャル
数千年にわたり続けられてきた緑肥農法
作物と緑肥と被覆作物を混植する三層農法

◆緑肥・被覆作物農法への批判

◆勇気づけられるドゴン族の取り組み

〈現場から〉
タンザニア・ザンジバル島におけるキャッサバの新品種開発
キャッサバの二大病害の損害額は年間10億ドルを超える/
二大病害に耐性のある新品種の開発と農業者による試験栽培

第7章 地域の農業資源と食料の多様性を守る
輸出用商品作物を大増産、一方で主食のコメを輸入に依存するギニアビサウ

◆野生資源の保全
エチオピアでは、南部高地の野生コーヒーの付加価値を高める
セネガルでは、女性グループが地域特産の植物を加工品にして販売

◆農業の生産現場における生物多様性を増大させる
マリのドゴン族の伝統的調味料を、イタリアの腕利きシェフが高く評価

◆生物多様性と市場
エチオピアでは、養蜂研修によってハチミツの品質を大幅に改善

◆生物多様性と地域コミュニティ
地産地消は、地域コミュニティのレジリアンスを強化する
ウガンダ、コートジボワール、ケニアにおけるスローフード協会の支援

コラム7─1農業生産現場における生物多様が紡ぐ未来

〈現場から〉
ケニアにおける動物遺伝資源への脅威
 生産効率優先で、頑強さが失われた改良品種
セネガルにおける太陽熱調理器による恩恵
 女性や子供が薪集めから解放された

第8章 気候変動に対するレジリアンスを構築する
8 ─1「気候変動への適応」における不可知論的アプローチ

8─2農業者の再緑化による「気候変動の緩和」
残念ながら「緑の壁」は砂漠の南進を防げない

◆再緑化はすでに始まっている
広がりをみせる農業者管理型天然更新
資源利用者を主体とするアフリカ再緑化イニシアティブ

◆規模拡充のための方策
〈方策1〉
〈方策2〉
〈方策3〉
〈方策4〉
〈方策5〉
〈方策6〉
〈方策7〉
〈方策8〉
〈方策9〉
〈方策10〉
〈方策11〉
〈方策12〉
〈方策13〉
〈方策14〉
〈方策15〉
〈方策16〉

農地の再緑化による便益の最大化
〈量的規模拡充〉
〈機能的規模拡充〉
〈政治的規模拡充〉
〈組織的規模拡充〉

8─3食卓から取り組む「気候変動の緩和」

◆人類のコモンズである大気を蝕む
温室効果ガスの主要な排出源である農業食料システム
石油依存型農業に比較して収量は同水準で、干ばつには強い有機農業
世界規模で有機農業に転換すれば、食料生産は長期的には安定する

◆世界の農業をアグロエコロジーに転換してゆくための方策
大規模農畜産業へ巨額な補助金を支出しているアメリカ農業政策
有機農業振興を目指す農業政策

〈現場から〉
マラウイでは/ザンビアでは
 アフリカ農業にエバグリーン革命を

第9章 ポストハーベスト・ロス ─食料不足問題のもうひとつの核心
「緑の革命」から取り残されたポストハーベスト・ロス

◆膨大なポストハーベスト・ロス
アジアにおけるコメのポストハーベスト・ロスは一三%前後に及ぶ
都市の食料不足は革命の契機にもなった

◆食料不足のアフリカにおける「食料廃棄」
ザンビアでは、貯蔵トウモロコシがアフラトキシンに汚染されている
ポストハーベスト・ロス対策に取り組み始めたザンビア農業省
日本などの支援で建設された集乳施設
ギニアでは貯蔵方法の改善で、ピーナッツのアフラトキシン汚染が大幅に減少

◆多様な貯蔵方法
改善の余地が大きいイモ類の貯蔵
インド政府がコールドチェーンの整備を進める
ドライフルーツや発酵乳は持続可能な保存方法
貧困農家を救うバイオテクノロジーへの期待

◆「農業者の貯蔵施設改善への支援」は「農地を必要としない食料増産方法」になる
ポストハーベスト・ロスを解消して、食料の供給量を増やす           
       

コラム9─1アジアにおけるポストハーベスト・ロス

〈現場から〉
ガンビアのカキ漁を持続可能なものにして、暮しを向上させる女性組織

第10章 増大する都市人口の食料を支える都市農業
社会的弱者のフード・セキュリティに貢献する都市農業
サブサハラ・アフリカの各国の首都で重要な役割を果たしている都市農業

◆食料を生産し、フード・セキュリティを強化する

◆コミュニティを立ち上げる

◆女性の地位を向上させる

◆環境を改善する

◆都市農業を支援する諸政策
〈アルゼンチンのロサリオでは〉
〈アメリカのサンフランシスコでは〉
〈ウガンダとケニアでは〉

◆都市農業の将来
コラム10─1都市農業の可能性を広げる

〈現場から〉
西アフリカにおける廃水灌漑の安全性向上を促進する
人間の排泄物を土壌有機分として農地に還元する

第11章 女性農業者の知識と技術を活かす
貧しい女性が支えているアフリカの食料

◆世界市場への参入を目指す女性たち
シアバター女性生産者を支えたフェアトレード市場
従来の国際市場では苦境に立たされるシアバター女性生産者

◆女性を対象とした農業改良普及事業
女性の農業改良普及員による女性農業者の支援
家族の生活改善に直結する農業改良普及事業

◆マイクロ・クレジットで貧困と闘う
男性を優先するマイクロ・クレジット
女性アントレプレナーが女性農業者組織を立ち上げる

◆新たな技術がもたらす効果
ラジオ受信から双方向の携帯電話へ
女性の地位向上のためにも望まれるインターネットの普及
女性が参加しなければ、いかなる開発プログラムも成果は期待できない

コラム11─1社会資本投資:貧困を解消してゆくための改革
コラム11─2カカオ生産地で女性のエンパワーメントを支援する

〈現場から〉
演劇を通して女性を支援する
「適正技術」に関する判断基準

第12章 アフリカで展開される「海外勢力」による農地争奪と農業投資
アフリカに農地を求めるサウジアラビア
水面下で行われる「農地略奪」取引

◆ランド・ラッシュ ──エチオピアの土地に投資が殺到している
サウジアラビア政府の補助金も投入されるランド・ラッシュ
「海外農業投資は、農場労働者の雇用をもたらすのみ」という批判

◆「農地の略奪」に渦巻く不満と不安
「アフリカに未利用の空き地はない!」
「いつまでも先進国の慈善的余剰農産物を受け入れていては、飢餓から解放されな
い」

◆誰のための農業開発であるか
アフリカ農業開発にみる新植民地的害悪
アフリカを舞台にしたランド・ラッシュへの基本的な問い
〈一つ目の問い──「誰が、何を所有しているのか」〉
〈二つ目の問い──「誰が、支配権を握っているのか」〉
〈三つ目の問い──「誰が、支払うのか」〉

〈現場から〉
食用農産物の貯蔵・加工方法を改善する

第13章 農産物の増産に留まらず、バリュー・チェーンを強化する
慢性的飢餓のあるザンビアで「トウモロコシが余っている」

◆ゼロから立ち上げるフード・セキュリティ

◆無視されている外部費用

◆海外からの支援

コラム13─1農産物の取引状況を改善する
コラム13─2携帯電話を利用した銀行サービス

〈現場から〉
飢餓救済を超えて動き出す教会

第14章 畜産改革によって、食料生産を改革してゆく

◆発展途上国でも変化しつつある畜産
発展途上国では貴重な資産とされている家畜
発展途上国でも始まった畜産の集約化

◆より適正な給餌戦略
給餌の改善に取り組む小規模飼養者

◆より健全な家畜
近年、とくに問題となった人獣共通感染症
発展途上国の実態とかけ離れている獣医政策
遊牧民の伝統的な知識を家畜の疾病監視に活かす

◆気候変動への取り組み
植生の衛星画像によって可能になった家畜保険
小規模な家畜飼養者や有畜複合農業者の環境保全機能への報酬

◆結論
コラム14─1モザンビークにおける家禽のニューカッスル病の抑制

〈現場から〉
ルワンダにおける小規模畜産

第15章 生態系保全と食料生産を両立させてゆくための改革
15─1「農業」という複雑なシステムの理解における改革

15─2農業開発プロジェクトの評価における改革

15─3枠組みにおける改革 ──人類と生態系を支えるために
企業型大規模農業による影響
エコアグリカルチャーへの転換
農業者および農村コミュニティを支援する
不可欠な「世界レベルの食料システムの民主化」
国際的な「農地の争奪」を中止させるために
「食料への権利」に基づいたアプローチ

15─4ガバナンスにおける改革
遺伝子工学(GE)への過度の期待
多様な農業開発モデルを的確に評価・選択する
コメの自給を再度確立したインドネシア農政
地域レベルで取り組む西アフリカ諸国経済共同体
アグロエコロジカルな病害虫防除を開発する
コンプライアンス・アドバイザー/オンブズマン
社会的監査によって確保される公的透明性
農業は全ての人々の「食料への権利」を守る闘いである

15─5 政策転換における改革
オバマ政権による「フィード・ザ・フューチャー」イニシアティブ
投資の大半はアグリビジネスや貿易の拡大に向かう
国際食料市場に対しては規制も必要である
政府は強いブレーキもアクセルも踏める
期待される国際的ガバナンス
「農地の争奪」に対しては、強制力を有する行動規範が必要である
「食料への権利」を実現するための取り組み
エクアドルとブラジルの先駆的な取り組み

コラム 15─1農業研究開発投資額において、公的機関を上回った民間部門
3,135円
本書に寄せて
はじめに
環境界の一年間の主要動向

序 章 「大量消費の文化」を変革する
「消費」は、人間が生まれながらに持っている特質ではない
技術や政策よりも、文化の根本的変革が求められる
◆ 持続不可能な現在の消費パターン
毎日、地球からエンパイアステートビル112棟分の資源を採取
ミレニアム生態系評価で裏づけられた、劣化が進む地球環境
予測よりも急激な気候変動がもたらす、地球システムの大混乱
世界の7%の豊かな人間が、二酸化炭素排出量の半分を占める
世界がアメリカ並みに暮せば、持続可能な人口規模は14億人
インドでも、持続不可能な消費層が増加
世界人口の三分の一以上が、持続不可能な消費生活をしている
持続可能な社会の創造に不可避な「歓迎されない変化」
◆ さまざまな文化に浸透した消費主義
「人間の行動」は、生まれた場所の文化に大きく左右される
消費主義は、世界のさまざまな文化を変容させてきた
アメリカの二歳児は、マクドナルドの看板を識別できる
子どもたちの食生活は、食品産業のターゲットにされた
クリスマスは、商業主義の一大イベントと化した
世界に広がる、「消費によって幸福が得られる」という考え方
◆ 消費主義の制度としての起源
政治も教育も、あらゆる社会システムが消費主義を広めてきた
懸念される「広告に左右されやすい、子どもたちの食生活」
テレビや映画のさりげない「プロダクト・プレイスメント」
「口コミ」、「マーケティング・カフェ」さらに「人類学者」も
多様な販促戦略は総体として、消費意欲を刺激する
巧緻なメディア戦略が消費を刺激する
テレビの視聴時間が増えると、消費支出も増える
政府の介入による、公的な消費刺激策
民主主義政権に伝統的な「景気刺激策」
教育の本質を見失い、消費主義に無批判な学校
◆ 「持続可能性の文化」を育成する
パラダイムの転換で、持続可能性を実現する
キーワードは「生態系の保全」と「平等」
ウェルビーイングを著しく損なう消費を、タブー扱いにする
まず、クルマ中心主義から公共交通へ変革
耐久性を備えた完全循環型の製品設計
方向転換──文化の主要なシステムを根本的に見なおす
「歩いて通学」の実施が、子どもたちの環境意識を変える
「利益だけを求める」企業から、「社会へ貢献する」企業へ
政府主導の「選択の体系化」によって、持続可能な方向へ導く
新たなメディアとソーシャル・マーケティング
多様な社会活動組織の連携によって、大きな力が生まれる
文化的伝統の分野も、持続可能性を目指している
献身的な活動が「点」から「線」に、そして「面」になり文化は変わる
コラム 序─1 大量消費は人々のウェルビーイングを高めるだろうか
コラム 序─2 文化の先駆者たちの本質的な役割
第一章 伝統を再評価して「持続可能性」の構築に活かす
1─1 宗教界と共に世界観を形成する
宗教団体は、「持続可能性の文化」の創出に寄与している
先住民族は、自然界との相互関係をベースに暮している
◆ 宗教による環境活動
密接な関係になりつつある、宗教と持続可能性
東方正教会指導者による、「宗教・科学・環境」の設立
タイの「環境保全僧」による、自然破壊への反対運動
宗教活動のグリーン化を促す「異宗教間パワー・アンド・ライト」
世界各地の環境活動において、リーダーとなっている宗教
◆ 邪神の黙殺?
教義にはあっても、反消費主義にはやや消極的な宗教界
「消費主義に気をつけよう」――宗教に期待するメッセージ
◆ 持続可能性の文化の創出に寄与する
《環境についての教育を行うこと》
《消費についての教育を行うこと》
《投資についての教育を行うこと》
《礼拝式や儀式で、自然界の神聖さについて語ること》
《忘れられた真価を取り戻すこと》
◆ 原点に立ち返る
1─2 生態系の守護者としての儀式とタブー
儀式とタブーは、「持続可能性の文化」を築く強力な手段
◆ 儀式の力
「歌とは議論できない」――儀式が企業論理に勝つ
儀式とタブーを、自然環境や生態系の保全に用いる文化
先住民族は、タブーによって絶滅危惧種を保護している
◆ 消費主義の儀式
現代の先進国における結婚式と葬式は、大量消費の象徴
クリスマス商戦に代表される、儀式としての大量消費
◆ 持続可能な消費のための儀式とタブー
正月や忘年会を、環境問題を考える機会にする
アースデーは、全世界で10億人以上が参加する新しい儀式
多様な「断食」――「炭素断食」「ノーカーデー」「TVオフ週間」
飛行機は一生に一度――メッカ巡礼になぞられた運動の提案
1─3 環境的に持続可能な出産
政府が産児制限を推進する国は少数
「子どもの数は、両親が責任を持って決定する」
「環境のために」産児制限を広めることは、現実的に難しい
「計画的出産」になれば、30年以内に世界人口は減少に転じる
就学期間が長い女性ほど、出生率が低い傾向にある
メディアによる女性蔑視は、出生率上昇にもつながる
メディアはその発信内容によって、出生率を抑制する
少子化問題は、対処可能な社会的課題
出生率低下――ロブスター資源減少への文化的対応
リプロダクティブ・ライツと人口抑制が両立する文化
1─4 高齢者──持続可能な発展を促進する文化資源
グローバリゼーションがもたらす「高齢者軽視」の文化
◆ 高齢者の知恵を尊重する
「老人が蓄積した知恵は、図書館の蔵書にも等しい」
開発プログラムが持ち込む「青年重視」
マンデラが立ち上げた国際的「長老会」
◆ 世代間の交流関係を脅かすもの
欧米文化に魅了され、追い込まれる発展途上国の若者
自分たちの文化を見なおし、守ろうとする若者たちの存在
多国籍企業に後押しされたマスメディアの情報攻め
「開発プログラムは、私たち高齢者を除外視する」
地域の文化的価値や知識を伝えていない学校教育
◆ 高齢者を巻き込んだプログラムは、世代間交流学習を促進する
エイズ教育に、「おばあさん」が中心的な役割を果す
マラウイでは、家族医療改善のため高齢者に研修
オーストラリアでは、先住民の高齢者が先生役
祖母世代参加型の世代間交流によって生活改善
女性器切除根絶のための祖母世代研修会
子どもたちへの伝承を担う祖母世代の「語り」
外部の価値観を押し付けずに、地域の文化資源を活用する
1─5 アグリカルチャーからパーマカルチャーへ
農業の誕生と産業革命による転換
世界の主流となった持続不可能な工業的集約農業
◆ 持続可能な農業を定義する
有機質か無機質か――農業の根本をめぐる論争
石油依存の集約農業は、年間750億トンの表土を失っている
資源を劣化させない持続可能な農業の復権
◆ 有機農業
有機農業はエネルギー使用量が少なく、しかも炭素を貯留する
◆ 永続的なポリカルチャー
多年生作物栽培がもたらす数々のメリット
◆ アグロフォレストリー(森林農業)
アグロフォレストリーによって、年間60億トンの二酸化炭素を隔離
◆ 不耕起栽培と最小耕耘法
不耕起栽培によって、土壌有機物質の流亡を防ぐ
◆ パーマカルチャー
生態系の相乗効果によって、労働力やエネルギーの投入を減らす
不毛の土地を、豊かな農場に変えたパーマカルチャー
◆ 移行期の農業

コラム 1─1 地球環境倫理
コラム 1─2 西暦一万年を想定する超長期的思考
コラム 1─3 人類と地球を救う食生活規範

第二章 教育に期待される「持続可能性」への貢献
2─1 「持続可能性の文化」への変革をもたらす幼児教育
幼児教育の普及率は、国ごとに大きく異なっている
◆ 幼児教育が変化を引き起こす
持続可能性教育と幼児教育の伝統は、多くの点で重なっている
「読む」、「書く」、「計算する」に変わる「七つのR」
子どもたちの将来にとって有意義な特質を育む
子どもの知的素質に取り組むプロジェクト学習
幼稚園の教育は、大学よりも本質的な問いに満ちている
祖父母は、古くからの「知恵」を継承している
◆ 幼児と持続可能性についてのケーススタディ
日本では、カイコを通して生態系を学ぶ
スウェーデンでは、自然と環境への配慮を学ぶ
◆ 幼児教育の今日の課題
幼児教育機関は、「小学校への準備機関」ではない
2─2 子どもの生活に入り込んでいる商業主義
子どもたちの「ごっこ遊び」を守り、奨励する
◆ なぜ遊ぶことが重要なのか
創造的な遊びから、民主的素養が培われていく
歴史上初めて、子どもの「遊びの質と量」が激変している
創造的な遊びは、消費拡大のメッセージをはね返す
「ごっこ遊び」を奪われた世代は、創造性や革新性に劣る
◆ 商業主義の高まり
世界の子どもたちをターゲットにした、アメリカの娯楽産業
スクリーン・メディアに操作される社会規範と子どもたち
物質主義的価値観に浸った子どもは、環境活動に無関心になる
◆ 遊びに及ぼす商業主義の影響
創造的な遊びの時間を奪われている、テレビ漬けの子どもたち
想像力を養う玩具は、繰り返し使える
電子玩具は、「飽きて、買い換」が仕組まれている
◆ 商業化した世界における「遊び」の育成
「遊びの保護」は、NPOや専門家団体に依存している状態
マーケティングの規制とテレビ視聴の制限──商業主義から子どもたちを守る
全ての子どもたちを野外に出そう
世界は、子どもたちを遊ばせよう
2─3 学校給食を考えなおす──公共の食事が持つ力
持続可能な学校給食の実施は、意外にハードルが高い
◆ 次世代の「賢明なる消費者市民」を創出する
「食材の由来」に関心を寄せる「賢明なる消費者市民」
◆ 学校給食の変革を通じた、「持続可能な食のつながり」の構築
国産食材の学校給食は、地域の生産者に市場を創出する
◆ 公共調達を通じた影響力の活用
イタリアでは、「旬産、地産」を学校給食の基本食材に
アメリカでは、農務省見解が「旬産、地産の食材」を阻む
◆ 学校給食の変革のパイオニア
スコットランドは、2002年に学校給食の変革に着手
スコットランド、東エアー州の挑戦と成果
良質な学校給食を権利として、政府が後押しをするイタリア
ローマでは、子どもたちが一日で約150トンの食材を消費
◆「学校給食の食材」から「地域コミュニティの食料」へ
学校給食の変革は、持続可能な発展に不可欠
2─4 高等教育に現在求められているもの
現代の高等教育の土台となる考え方は、すでに過去のもの
環境劣化の阻止に矮小化されている、持続可能性の議論
「環境の世紀」に、教育は何を目指すべきであろうか
◆ 環境教育の進展
トビリシ宣言
「持続可能性」という言葉の本質的な曖昧さ
アメリカの環境教育カリキュラムは幅広い
◆ カリキュラムと教育
タロワール宣言
環境教育は進歩したが、伝統的カリキュラムは強い
◆ キャンパスの設計と運営
キャンパスで本格化する環境的な取組み
環境配慮型建築物は学術建築物の標準となった
カーボン・ニュートラルに取り組む大学の動き
◆ 将来的な取組み
大学の域を超えた活動が、教育の多国間対話を生み出す
キャンパス内に留まらず、地域社会に貢献する環境運動
国を挙げて、環境教育の開発と普及を進めるブータン
環境教育は、「困難に立ち向かう力」を次世代に培う
コラム 2─1 「持続可能性」と「人間と自然の関係」
コラム 2─2 おもちゃライブラリー
コラム 2─3 カリフォルニア科学アカデミーの変革
コラム 2─4 環境教育における未解決問題
コラム 2─5 専門職教育機関の価値を最大限に生かす
コラム 2─6 科学者の新たな焦点──文化はどのように変わるのか

第三章 「持続可能性」を目指す社会経済の優先順位
3─1 「過密の地球号」の生命を守る制度を導入する
「余裕の地球号」の時代から「過密の地球号」の時代へ
現代社会の諸問題に追いついていけない世界観、制度、技術
◆ 「過密さを増す地球号」において増大するストレス
「有限の地球」で、「無限の経済発展」を支えることは物理的に不可能
経済発展だけでは、ウェルビーイングの向上につながらない
市場経済は公共財を犠牲にしている
競争ではなく、協力によって持続可能な社会を実現する
◆ 持続可能で望ましい社会経済体制を目指して
《ウェルビーイングの測り方の再定義》
《社会経済体制の移行期間中、人々のウェルビーイングを保証すること》
《複雑さの解消とレジリアンスの強化》
《共有部門の拡充》
《コミュニケーションの障害を除き、民主主義を発展させるためのインターネット活用》
◆ 結論
3─2 全ての人々のための持続可能な勤務形態
人間らしい、ゆとりのある暮しが環境への負荷を減らす
◆ 生産性と時間とエコロジカル・フットプリントの関係
労働生産性の向上によって、もたらされる便益の選択
便益の大半を、生産量の増加に回してしまったアメリカ
便益から自由時間を生み出したヨーロッパ
労働時間が増加すると環境負荷が増大する
ライフスタイルを変えるだけで、エネルギー使用量の20%削減も可能
働き過ぎは健康を害し、所得が増加しても得られる満足度は低い
◆ 企業からの視点
「時短」は作業効率を上げ、労働意欲を高める
◆ 「時間的な豊かさ」への道
変化するアメリカ人のライフスタイル──ダウンシフティング
リーマンショックで進んだ、アメリカのワークシェアリング
ユタ州の職員は、一日10時間労働で週休三日
もはや、多忙や長時間労働はステータスシンボルではない
3─3 企業文化を内側から変革する
企業は持続可能性を基礎にした、根本的変革を迫られている
表面から深層へ──動き出した企業変革の流れ
◆ 全面的変革の必要性
社内への浸透が企業マインドを変え、戦略的発展の礎となる
◆ 「文化の変革」へのフレームワーク
企業が経験する変革の五段階──「覚醒・準備・変化・台頭・没頭」
アイデンティティの変化が、パラダイムの転換を生む
◆ 変革の段階
《覚醒──ビジョンの決定》
変革の契機──「顧客の声、課題への直面、抗議活動、外部圧力」など
深い考察と新しいことに取り組む好奇心が、ビジョン策定のカギ
企業のトップ自らがビジョンを明確にし、公表することが必要
《準備──ロードマップの作成》
社員一人ひとりの意識の高まりが、改革への支持を高める
外部の力を借りて、取組みの準備を早める
環境団体やサプライヤーと協働して、取組みを進めるウォルマート
《変化──組織をまとめる》
失敗を容認する姿勢が、従業員の士気を高める
関係者の全てを巻き込んで、改革を進めていく姿勢を明確にする
「理解」を超えた「確信」が、停滞を払拭する
《台頭──継続的な統合》
《没頭──他者へ影響を与える》
◆ 結論
3─4 社会起業家──持続可能な社会に向けた変革
ヨーロッパでは、差別撤廃運動をベースにした社会起業が主要な形態
◆ 21世紀の潮流になる社会起業
社会起業の目標は既存の制度に挑み、崩壊させることである
イタリアでは、社会協同組合が20万人の雇用を創出
急速に認知度と影響力が高まる社会起業
社会起業は21世紀の大きな潮流となる
◆ 常識に挑戦する
挑戦の矛先は、従来の考えや伝統的価値観
開拓者としての社会起業家の存在
変革を主導し、人々の行動様式を変える
「何を」、「なぜ」、「どのように」購入するのかを、消費者に問う
先進国から発展途上国と旧社会主義国へ広がる「消費行動の見なおし」
◆ 地域の努力が世界を変える
互いに有益となる、先進国と発展途上国の情報交流
粘り強さこそ、社会起業家の真骨頂
今こそ、文化的変革の絶好の機会
3─5 産業を地域に取り戻す
ベリンガムに見る、地場産業優先という新しい都市のデザイン
地場企業の定義──地域所有と地域の労働力と土地と資本の使用
今も昔も、地場企業は経済に大きな役割を果している
◆ 地域化と持続可能性
地元所有でない企業は、「他へ移るぞ」というプレッシャーをかける
地場企業の地域に対する責任感は、地域外企業よりもはるかに強い
地場企業は輸送距離が短いため、エネルギー使用量が少ない
地域化は、持続可能性と貧困緩和に役立つ
◆ 地域化と繁栄
地域外企業による雇用は、地場企業より33倍も雇用コストがかかる
地場企業の経済的乗数効果は極めて大きい
地場企業の存在は創造的経済の宝庫
◆ 地域化と効率性
地域化は、グローバル化で肥大する流通コストへのアンチテーゼ
インターネットの利用で、地場企業も競争力が強化される
小規模企業も競争力を保持している
◆ 市場の将来性を満たす
地場企業の利用を促進するクーポンや地域内通貨
地場企業のネットワーク化で競争力を強化する
地場企業へ資金が回る仕組みを構築する
地域化がもたらす、新たな経済の仕組みと「持続可能性の文化」

コラム 3─1 「限りある地球号」において「無限の成長」を望むことの愚かさ
コラム 3─2 会社定款の修正
コラム 3─3 金融市場のための炭素指数

第四章 「持続可能性」の構築における政府の役割
4─1 「選択の体系化」によって、持続不可能な行動を排除する
排除は善か? 「選択の自由」という哲学的問題
◆ 「選択の体系化」は決して、今に始まったことではない
代替案を示し、選択の余地を残すことが重要
政府による「選択の体系化」は、昔から行われてきた
大量消費を「幸福、平等、民主主義の基盤」とする、誤った国家戦略
持続可能な消費へ転換するには、政府や産業界の決意が必要
モントリオール議定書とデュポン社
環境に良い製品だけならば、消費者は店頭で悩まない
エコラベルの効果は限定される
◆ 持続可能性のための「選択の体系化」
カリフォルニアの電力の再生可能エネルギー化は、州の政策によって進展した
ロンドンの渋滞税にみる「選択の体系化」の有効性
産業界の取組み──ホームセンターでの森林認証木材の販売
ウォルマートは、環境への配慮がない魚を売り場から一掃した
徹底したラベル戦略を行う、ハナフォード・スーパーマーケット
◆ 変革への障害
日本の「トップ・ランナー方式」は、世界に冠たるラベリング制度
消費量を減らす方策──労働時間を減らして、自由時間を増やす
贅沢品に課税し、消費に回らない貯蓄を減税する
初期設定の活用──割高だが環境に良いサービスを通常料金に
政府と産業界は、持続可能な消費を先導しなくてはならない
4─2 セキュリティ(安全保障)概念の拡大
冷戦から環境問題へ──セキュリティ概念の拡大の必要性
◆ 主な重要課題
《再生不能資源》
《再生可能資源》
《疾病の負担》
《災 害》
《失 業》
《人口動態》
◆ 新たな優先順位の必要性
国家安全保障を軍事面で捉える考え方から、脱却すべき
軍事費に比べ、極めて少ないヒューマン・セキュリティ予算
◆ 解決の方法
新たな国際組織による、セキュリティ文化の創造
《ミレニアム開発目標(MDGs)》
《エネルギーをはじめとする資源への需要抑制》
ブラッド・ダイヤモンドを排除するキャンペーン
《環境和平》
国境を跨いだ協力──国際河川の流域管理と平和公園の設置
《平和維持と環境修復》
《災害時の外交》
和平と対立──二つに分かれたインド洋大津波後の対応
《保健医療外交》
《環境雇用》
闘争的文化から、自然とも友好関係を築く知的文化へ
4─3 未来に向けた都市を創る
都市は、地球環境に貢献できる存在になれるか
◆ 都市住民が持続可能に暮すことを支援する
「エコな住環境」には「エコな意思」が必要
持続可能な都市への変革に必要な政策
◆ 都市の「マイカーからの解放」
脱クルマ都市に向けたインフラ整備──「LRT」「BRT」
交通体系によって、都市の設計は決まる
政府の支援による、技術体系の試験的導入
アメリカでは、ガソリン税を上げられない
燃費が向上すると、走行距離が長くなるという矛盾
クルマを減らす具体策──「トラベル・スマート」
「トラベル・スマート」の参加者が、唱道者になる
「トラベル・スマート」は文化的変革と共に歩む
◆ 環境配慮型ライフスタイル
「トラベル・スマート」から「リビング・スマート」へ
都市が環境に貢献する「感覚」を、市民に理解してもらう
4─4 健康管理を変革する──取組みの重点を治療から予防へ
感染症から生活習慣病へ
◆ 健康管理の新たな難題
手術や薬では根治しない、ライフスタイルに起因する病気
◆ 世界の健康管理を精査する
治療よりも、予防を重視する医学への転換
◆ 病気よりも健康を重視する
注目すべき、フランスとキューバの健康管理システム
保健教育の充実が世界的急務
◆ 環境を考慮した健康管理
病院は大きな汚染発生源である
環境に配慮した病院は、患者にも良好な効果をもたらす
4─5 地球法学──地球コミュニティの構成員に法的権利を認める
エクアドルは、憲法で「自然の権利」を認めた
◆ 植民地法から地球法学へ
根源的錯覚──「人間は、いかなる生物種よりも優れている」
現在の法制度は、人間以外の生物の権利を認めていない
「人間の権利」と「生物の権利」とのバランス
◆ 地球法学の進化
地球コミュニティの構成員に法的権利を認める
「自然の法」が求める「バランスの権利」
「人間の法理」と「自然の基本的原理」の融合
◆ 地域コミュニティを助けることでルールが変わる
合法的な自然破壊を明らかにする
地域コミュニティによる地方条例の起草を支援する
自然コミュニティの基本的権利を守る自治憲章
◆ 「自然の法の弁護士」と「市民社会への奉仕者」を育てる
アフリカの慣習法や文化的慣行が自然を守る
◆ 将来的展望
「伝統的価値観」と「抵抗の文化」を結び付ける
地球上のコミュニティ全体を守る

コラム4─1 持続可能な消費と生産に関する国連マラケシュ・プロセス
コラム4─2 社会保障プログラムを持続可能なものに
コラム4─3 地球法学の原則

第五章 「持続可能性」の構築におけるメディアの役割
5─1 ソーシャル・マーケティング──商品ではなく、持続可能性を売り込む
「倹約は美徳」を「消費は美徳」に変えた、アメリカ広告業界
社会的行動を変えるために、マーケティング原理を利用する
「事実」を伝えるだけではなく、人の「心」を動かす
◆ ストーリーが行動を変える
社会の価値観を操作してしまう、キャンペーンの力
人々は、神話の英雄と自分とを重ねる
成果を上げるエンターテインメント・エデュケーション
◆ 遅れる気候変動のストーリーづくり
気候変動の「事実」だけでは、人は動かない
ストーリーを重視したキャンペーンを活用する
◆ ソーシャル・メディアを活用せよ
人々の生活に深く関わっているソーシャル・メディア
ツイッターで発信されるストーリー
インターネットでも、「人種」という集合体は存在する
ソーシャル・メディアはソーシャル・マーケティングに有効
◆ 今こそ行動すべき時
5─2 メディア・リテラシーとシチズンシップと持続可能性
CM映像に込められた「暗黙のメッセージ」
ますます広告に支配されるメディア
巧みな広告は、環境危機から人の目を遠ざける
真実をクローズアップしない、メディアのバランス感覚
◆ メディア・リテラシーは、どこまで批判的であるべきか
「賢い消費者の育成」か、「参加型市民教育」か
◆ メディア・リテラシーと国際組織
メディア・リテラシー教育の機運は熟している
◆ メディア・リテラシー教育とグローバル・シチズンシップ
「参加し」、「参加される」シチズンシップ育成
企業資金に依存するメディア・リテラシー推進活動
◆ メディア・リテラシーは、現代の識字力だ
自らメディアを利用して、創造的解決案を発信する
メディアを駆使して、知識と創造性を世界の人々と共有する
5─3 音楽──教育やエンターテインメントを社会変革の起爆剤に
音楽によって社会参加を促し、行動の変化を導く
音楽の世界にも、ソーシャル・ネットワークによって新しい動き
◆ 教育としての音楽
日本の環境教育番組『エコガインダー』
音楽を活かした環境教育は、幅広い層に受け入れられる
◆ 音楽フェスティバル──行動主義とエンターテインメント
世界を変える、アーティストたちとフェスティバル
巨大音楽イベントでは、排出量削減に取り組んでいる
コンサート会場からゴミを減らし、環境への負荷を減らす
歌詞を通じて、環境への認識を高めるメッセージを送る
メッセージの発信に留まらない、アーティストたち
◆ 結論──教育とエンターテインメントを通じて、社会変革に参加する
大学も含め、社会のさまざまな分野で提携を進める
コラム5─1 発展が期待されるインドの環境ジャーナリズム
コラム5─2 環境意識を高める映画の力
コラム5─3 地球を救う芸術

第六章 市民運動の力で「持続可能性の文化」を確立する
6─1 持続可能性の実現のために、労働時間を短縮する
時短による所得減少が、心身の健康増進に貢献
◆ 消費を抑制する必要がある
燃費向上などの技術革新も、環境の悪化を止められない
環境のために経済を抑制した際の犠牲は、先進国が負う
◆ 現状を打開する方法
「大量消費」――労働時間短縮を回避する不可避的選択
◆ 労働時間短縮のもたらす恩恵
時間的余裕が、ライフスタイルを環境に優しくする
欧州レベルまで時短をすれば、環境負荷を削減できる
◆ 環境に接する時間が、あまりにも少ない
アメリカでは、労働者の半数が年休一週間以下
◆ 消費を拡大するのではなく、自由時間を増やす
オランダでは、夫婦で各0.75人分の就労を奨励
アメリカの労働時間に関する法整備は、世界でも最低水準
時間的貧困の状態を解消しようとするアメリカの動き
追加経済刺激策として、時短を進める企業には減税をする
◆ 労働時間短縮こそ、人々に幸福をもたらす
6─2 「より少ないことは、より豊かなこと」を合言葉に
消費主義に真っ向から挑戦する「質素を目指そう」運動
◆ 段階を追って「質素」を実践
「質素な暮しが、人生の充実度を増す」という哲学的思考
公共政策によって、消費主義を助長する不平等を解消する
◆ 消費主義を見なおし、変革を促す
コミュニティ教育で、消費拡大の広告におどらない信念を培う
協力と協調の精神を引き出す、トランジション・タウン運動
ヨーロッパに広がる、「スロー」をキーワードにした運動
アメリカでは、スローライフ推進派が時短にも取り組む
質素に生きるために必要なのは、コミュニティの創生
人は、コミュニティ活動のなかで「一匹狼」的文化を転換する
ストーリーを語ることによって、人々の消費活動を変える
消費主義に対抗する、独創的な発想による多様な活動
◆ ポスト消費文化を創造する
6─3 価値観の転換を目指すエコビレッジ
持続可能性を目指す「エコビレッジ」の定義
グローバリゼーションに対抗する、エコビレッジの多様な活動
エコビレッジの役割――価値観や意識の変革に貢献する
◆ 経済成長とウェルビーイングを切り離す
エコビレッッジの環境負荷は極めて低い
インテンショナル・コミュニティは、生活の質が高い
エコビレッジの高い満足度は、強い絆と協力の精神から
◆ 「人々」と「生活する場所」とを、再び結び付ける
自給自足レベルを引き上げ、「生活する場所」に感謝する
エコビレッジが行う地球修復の取組みと伝統文化の伝承
◆ 地域に固有の価値観や慣習を再確認する
発展途上国のエコビレッジは、「文化的な自信」を構築する
◆ 全体論的で体験型の教育理念を示す
生活に根ざした学習経験を積むエコビレッジの教育システム
エコビレッジを拠点に、多くの教育イニシアティブが誕生
大学とも連携して、教育面での進展を図る

コラム6─1 高まる脱成長運動
コラム6─2 スローフード運動
3,135円
目 次

はじめに(IPCC議長 パチャウリ)
本書について
環境界の一年間の主要動向

第一章 人類文明の存続に「不都合な真実:温暖化」
「人類世」への突入―人間が引き起こした、さまざまな不可逆的な変化
動き出してしまった、気候変動という巨大な船
◆アメリカに振り回された「温暖化防止の失われた20年」
ようやく終焉した気温上昇の犯人追及
アメリカを迷走に追い込んだ化石燃料業界の反撃
南北対立を生んだアメリカの京都議定書からの離脱
◆求められる「容易ならざる大幅削減」
2006年 中国の二酸化炭素排出量はアメリカを抜いて第一位に
深刻さを増す、熱帯林破壊による「放出」と海の「吸収力の低下」
気候変動の確証が得られた時には、すでに「修復不能」な状態
最初に被害に直面するのは「もっとも貧しい人々」
「危険な」レベルの気候変動を防止するために
◆高まりつつある政治的意志
州レベルで広がるアメリカの気候対策
発展途上国も気候対策に乗り出した
急速な転換を鈍らせる「気候交渉の不透明さ」
◆気候安定化のための、10の主要な課題
《長期的視野に立った思考》
将来世代の命運への責任を果たす自覚
《イノベーション》
開発、普及、既存技術の活用
《人 口》
人口問題を克服できなければ、根本的解決は難しい
《ライフスタイルの改革》
「豊かさの質」を見つめ直す
《土地の修復》
土壌と植生を再生し、二酸化炭素吸収源を保全・修復する
《強力な機構》
目指すのはグローバル・ガヴァナンス
《債務としての公平性》
公平性を担保―誰が負担し、痛みを受けるのか
《経済的安定》
景気に左右されない経済的メカニズムを構築する
《政治的安定》
気候変動への対処は政治的安定をもたらす
《改革への力の結集》
気候問題への取り組みは「とてつもなく、すばらしい機会」を生み出す
気候変動をもたらしている世界経済システムの変革を目指す

第二章 温暖化を「安全な」レベルに抑制する
排出量を80%削減しても、温暖化の被害は排除できない
破滅的な未来を回避するための「着地点」を探す
◆予測される気候変動と海面上昇
2100年には海面が一メートル上昇する可能性も判明
世界中で48℃を超える猛暑が頻発する
◆とくに影響を受ける生態系、部門、地域
海氷の消失でホッキョクグマに野生絶滅の危惧
脅かされる水のセキュリティー
温暖化による悪影響は発展途上国ほど深刻
◆ティッピング・ポイント(閾値)
◆どの程度の温暖化ならば「安全」なのだろうか?
人類文明が耐えられる温暖化の上限を模索する
2℃以内に温暖化を抑えるという世界的な共通認識の広がり
新たな見解―2℃ではリスクが高すぎる!?
現在の温室効果ガス濃度でも、すでに「危険な」レベルに達している
1.5℃~2℃の温暖化は回避すべき
速やかに削減することが、最良にして不可避の選択
◆温暖化を「安全な」レベルに抑制していける排出量の経路
燃焼を突然止めると、気温が急上昇する仕組み
二酸化炭素の大気中の寿命は「300年であるが、25%は永久に残る」
シンプルな気候―炭素循環モデルMAGICC
オゾン層破壊物質の段階的な廃止は、気候に良い影響を与える
どんなに厳しい排出削減を行っても、短期的には温暖化を止められない
23世紀までに温暖化を1・5℃以内に抑える「現実的なシナリオ」
二酸化炭素排出量を急減させる方策
大気中から二酸化炭素を回収し、地中に貯留するBECS技術
森林や農地だけでは貯留は不十分
二酸化炭素換算濃度を400ppmに抑えるシナリオ
2050年までに排出量を削減に転じる
メタンと一酸化ニ窒素― あまり注目されていない強力な温暖化ガス
年間90億トンの二酸化炭素を200年以上貯留しなくてはならない
半世紀以内に二酸化炭素の抽出を始める
「削減が遅れること」は最悪の結果をもたらす
ポイントは排出枠の国別の割り振り
先進国に課せられるハードル「2020年までに25.40%削減」
削減幅が大きく異なる発展途上諸国
◆2020年より前に排出量のピークから「減少」に転じる
求められているのは「速やかな政策の転換」

第三章 農林業を環境保全型に転換して「地球を冷やす」
気候変動とフード・セキュリティーの密接な関係
◆気候変動対策には、農業と土地利用の分野での取り組みが必要
温室効果ガスの三割は、土地利用の変化によって排出されている
気候変動に合わせて農業も変化せざるを得ない
降雨の変化により、放牧に関わる20億近くの人々が影響を受ける
気候がよくなる地域も、変化に対応するために多大のコストを要する
◆「気候に優しく」かつ「気候変動へのレジリアンスの強い」農業と土地利用を目指す
さまざまな効果をもたらす五つの戦略的取り組み
◆土壌に貯留される炭素を増やす
《有機的な方法で土壌を豊かにする》
有機農法によって、より多くの炭素を土壌に貯留する
窒素肥料を減らしても生産力は維持できる
《耕起を最小限にとどめる》
不耕起栽培がもたらす多くの利点
不耕起によって代替エネルギー開発の時間を稼ぐ
《土壌に炭を混ぜる》
炭を加えた土壌は生産力が向上する
◆炭素を豊富に貯留する農法を目指す
《多年生穀物を植える》
温室効果ガスを減らすには、一年生より多年生を植える方がよい
多年生作物の品種改良には時間がかかる
《アグロフォレストリー(森林農業)で間作を行う》
アグロフォレストリーが生み出す豊かな農業
《食料、飼料、燃料を樹木作物で供給する》
多年生作物の開発状況と注意点
バイオ燃料の生産はランドスケープに十分配慮しなくてはならない
◆気候保全型畜産を促進する
畜産は温室効果ガス排出の大きな部分を占めている
《集約的な輪換放牧を行う》
放牧と閉鎖型畜舎に代わる第三の畜産「輪換放牧」
《メタンの排出を削減するために、飼料サプリメントを使う》
《バイオガス・ダイジェスターでエネルギーを生産する》
多くのメリットをもたらすバイオガス・ダイジェスターの導入
◆森林や草地に貯留されている炭素の放出を防ぐ
《森林伐採を減らす》
森林の価値を上げることによって、伐採を抑制する
製品認証の活用で森林を保全する
土地保有権の保障が持続可能な管理を促進する
《森林や草地の野放しの焼き払いを減らす》
《保全地域を炭素の吸収源として管理する》
公的保全とコミュティによる保全
◆劣化した地域に植生を再生する
《劣化した流域と放牧地に植生を再生する》
緑を守ることが水を守ることにつながる
広がる「再緑化」運動
《生物回廊における森林と草地を再生する》
再生活動が結びつける生産者と自然保護団体
◆気候保全型の農業と土地利用のための市場対策
効果が期待される温室効果ガス・フットプリントの表示
ドール社はカーボン・オフセットをコスタリカから購入
グリーン認証製品の広がりと参加企業の増加
◆公共政策で変化を後押しする
補助金が「環境に優しい農業」へ配分されはじめた
途上国の農業を支援し、環境に配慮した方向へ導く
「気候に優しい」食料システムの実現に向けて
◆気候保全型土地利用のために行動する
温暖化に対応した土地利用システムの創出
農林業を持続可能なシステムに転換させる

第四章 再生可能エネルギーへの確固たる変換
急騰する石油価格と気候変動への影響
再生可能エネルギーへの移行戦略
発展途上国でも急展開している再生可能エネルギー利用
◆すべての建築物を発電所に
省エネの第一歩は建築物の効率化から
エネルギー効率が上がると使用量が増えてしまう「リバウンド効果」
イギリスが打ち出した「ゼロ炭素ビル」政策
驚くべき省エネ効果をもたらす「パッシヴ・ソーラー」技術
分散型発電の方が結果的に効率がよくなる
インターネット的な様相を見せる「ハイブリッド」ネットワーク
障害は技術よりも法規制
◆再生可能エネルギーによるスマートな大規模中央発電所
白熱電球を灯すには320倍ものエネルギーが必要とされる
サハラ砂漠の4%でソーラー発電をすれば、世界の総電力需要を供給できる
再生可能エネルギーは世界の電力の五分の一近くを供給している
再生可能エネルギーへの懸念は全て克服可能
ネックの一つは送電網の整備
再生可能エネルギー資源はベースロード電力の電力源としても有望
進むグリッドの安定化策と蓄電技術の向上
最大のメリットは「再生可能エネルギー資源は無料」という事実
需要サイドからのアプローチ―需要を減らしピークシフトする
スマートな「ハイブリッド・グリッドシステム」
多くの研究機関が、将来は再生可能エネルギーが主役になることを予測
全ての電力源を再生可能エネルギー化する
◆再生可能エネルギーによる冷暖房システム
熱需要の多くを供給することが可能な「太陽熱システム」
化石燃料からバイオマスへ転換する動き
アメリカは世界最大のヒートポンプ市場
日本とヨーロッパに普及する住宅用コジェネレーション・システム
ようやく取り入れられはじめた地域冷房システム
求められる蓄熱技術の発展
再生可能エネルギーを増やすには市民の意識改革が必要
主要経済国の多くでは、熱源に占める再生可能エネルギーの割合を急増させる
◆省エネというエネルギー生産
「無駄=廃熱・廃棄物・糞尿」を資源に変える
廃熱利用で費用節減と二酸化炭素排出を削減
廃熱のサウジアラビア「中国」
生活排水からバイオガスを生成
廃油からジェット燃料が生産できる
藻類の利用で効率的にバイオ燃料を生産する
発光ダイオード(LED)で電力使用量を半減させる
◆再生可能エネルギーの規模を拡大する
小規模の方が大規模より効率的―モジュラー方式の利点
再生可能エネルギー導入でも躍進する中国とインド
必要な要素は「資源」と「可能性」、そして何よりも「政治的意思」
再生可能エネルギーシステムの新設に要したエネルギーの回収は早い
◆社会経済を変革する
再生可能エネルギー後進国であったドイツが、なぜトップランナーになったのか
再生可能エネルギー社会の未来予想図
2030年までに、風力がアメリカの電力需要の20%を供給
アメリカの二酸化炭素排出の四割削減は十分に可能
再生可能エネルギーへの移行を加速する
炭素課税導入のモデルケース、デンマーク
建築物にはエネルギー効率評価を実施
情報技術(IT)を活用して積極的に需要管理を
ドイツの大転換の原動力となった固定価格買取制度
再生可能エネルギーの研究開発に公的資金を注入する
いまだに続く化石燃料への補助
発展途上国の開発には再生可能エネルギーの導入が不可欠
私たちの考え方ひとつで、世界は劇的に変わることができる

第五章 生態系と世界の人々の暮しを守る対応策
途上国に大きく偏っている気候変動による被害
社会経済と自然のレジリアンスは高度な相互依存関係にある
◆「脆弱性」、「適応」、「レジリアンス」
脆弱性の性質や状況によって異なる適応戦略
レジリアンスの定義
レジリアンスを構成するさまざまな要素
レジリアンスの育成に必要なもの
◆「社会経済のレジリアンス」と「生態系のレジリアンス」とを連携させる
生態系のレジリアンスは人間の行為に左右される
レジリアンスは現状維持ではなく、よい状況へ向かうプロセスである
社会経済と生態系のつながりは、多くの要素によって変動する
生態系のレジリアンスと社会経済のレジリアンスへの全体論的アプローチ
社会経済のレジリアンスは生態系のレジリアンスの必要条件
◆農村の生計に、いっそうのレジリアンスをもたせる
被害を受けやすいのは、発展途上国の農村部で零細農業に従事する人々
バングラデシュの農民にみる気候変動の影響
農民の力を引き出す―地元に根ざした独自の適応策の採用
レジリアンスに貢献するコミュニティ主導型開発
効果をあげるには適切な支援が必要
マリの事例―気象情報を農民へ提供することで気候変動に対応する
◆レジリアンスに富んだ都市地域の構築
都市のレジリアンスの構築が必要な理由
より緊急性が高いのは中小都市
インフラのレジリアンスを築く
国家や地方自治体が積極的に関与しなくてはならない
優れた都市開発は結果的に気候変動へのレジリアンスを高める
◆レジリアンスへの資金供給
国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)による
発展途上国への資金提供
政府開発援助(ODA)はあくまでUNFCCCを補完する役目
UNFCCCのメカニズムとODAを最適に組み合わせる
マルチドナー信託基金によって、資金の流れを一本に絞る
保険制度の普及を阻む「高額な農業保険料」
注目される既存の地域組織の能力強化
◆「緩和」と「適応」とを結び付ける
発展途上国も緩和計画に関与させることが必要
緩和と適応の結びつきの強化
世界規模の緩和策への、最貧国の参画を促進する
◆レジリアンス強化に向けた前進
「人間の創意を支える実践的な活動」こそが、目覚しい効果をもたらす

第六章 敵国のない「世界気候戦争」における協闘体制
気候問題は「敵国の存在しない世界戦争」
温室効果ガスは国境を越え、「不公平な」影響をもたらす
京都議定書―全ての国が同意できる方法を模索した結果
◆必要なコスト
先進国から発展途上国への資金移転
オゾン層破壊物質と代替フロン物質の影響
排出量増加がもっとも大きいのは中国
先進国は発展途上国の削減努力に経済的支援を
気候変動を転換させるのに必要な投資額は世界総生産の二%
◆全地球人に参加の「権利」があり、また参加が「必要」である
高まるオバマ大統領への期待
破壊的な気候変動を回避できるチャンスは閉じられようとしている
世界の人々全てが関わる「権利」と「必要」がある
◆失われた時間―ブッシュ大統領の無策
モントリオール議定書が残した教訓
京都議定書への道のり
「取り敢えず」支持された京都メカニズム
法的拘束力があるが罰則が明確でない京都議定書
合意される「先進国がまず取り組むべき」というルール
京都議定書の最大の成果は「炭素市場の躍進」
◆現 況
世界的に拡大する炭素市場
京都議定書の第一約束期間後の枠組みづくり
「全地球人が取り組まなくてはならない」という合意
バリ行動計画で明示されたもの
注目されるセクター別キャップ・アンド・トレード
具体化される「森林減少と土地劣化の削減に対する資金の供与」
◆新たな方向へ
排出削減は国際条約に基づき、各国の国内法で制定される
発展途上国を参加させる方法
先進国の「有志」に頼るだけでは不十分
コペンハーゲン会議で提示される新たな課題
ビジネスの壁が立ちふさがる技術移転
先進国から発展途上国の「適応」への資金供与
◆真の合意形成を
温室効果ガスの種類とそのモニターの必要性
先進国と発展途上国に分けることは時代遅れ
スターンが仮定する一人当たり約二トン
歴史的責任分担論の正当性と困難さ
一人当たりの純排出量をゼロにすることが最終目標
◆公平性と排出の終焉
公平性を実現するための「責任指標」と「能力指標」
豊かな国々の義務―排出量の急減と資金供与
電力セクターの削減を加速する固定価格買取制度
世界銀行やNGOに期待する炭素潜在価格の設定
世界が足並みをそろえる準備が必要
「キャップ・アンド・トレード」と「炭素税」と「規制」を組み合わせる
ポスト京都議定書の考え方
化石燃料からの脱却は途上国にもメリットをもたらす
いますぐ行動を起こす―温暖化による壊滅的な被害は食い止められる

温暖化対策:論壇と取り組み事例
1 二酸化炭素以外の温室効果ガスのリスク
地球温暖化係数が極めて高いフルオロカーボン類
自然冷媒でフルオロカーボン類を代替できる
多国籍企業に、自然冷媒を導入する動き
取り組みが始まったフルオロカーボン類の排出規制
京都議定書は最善の枠組み
2 温室効果の大きいブラックカーボンの排出削減
ブラックカーボンの発生源と気候変動への影響
硫酸塩排出削減の影響
ディーゼル車に高性能フィルタを装着する
法規制の強化が必要
3 ジェンダーの視点からの気候変動対策
気候変動は女性のウェルビーイングに大きく影響する
気候変動対策に果たす、女性の役割と貢献は大きい
ジェンダーを視点に組み込んだ気候政策
ジェンダーと気候に関する世界同盟
4 安全保障への脅威としての気候変動
気候変動は人々の生活を根底から揺るがす
気候変動は脆弱な国家のガヴァナンスを根底から揺るがす
環境悪化は紛争発生のリスクを増幅させている
気候変動は世界の安全保障に影を落とす
5 気候変動が生物多様性に与える影響
ホッキョクグマの生息地が溶けて消失
アマゾンの降雨システムの崩壊
海洋酸性化が海の生物を脅かす
生態系と生物多様性は気候変動に極めて脆弱
6 モルディブ:「生き残る人権」をかけて温暖化防止の前面に
脆弱な生態系に依存している小島嶼国
気候変動はミレニアム発展目標の達成を台無しにする
京都議定書を勢いづけたのは小島嶼国連合(AOSIS)
人権に基づく気候変動へのアプローチ
7 気候変動における都市の役割
温室効果ガスの排出責任を負うのは、生産側か消費側か
都市部の公共交通を整備する
都市部の貧困層のリスクを軽減する
8 健康を脅かす気候変動
「熱波」と「多雨」と「強大化する暴風雨」がもたらす疾病のリスク
公衆衛生の改善には国際機関が貢献をする
9 インド:政府よりも積極的な産業界のビジネス感覚
環境配慮への、政策の転換を迫られるインド
インドの基本姿勢は「経済成長こそ最大の気候変動適応策」
期待と失望をはらんだ「国家行動計画」
インドは変われるか?―産業界主導で進む変革
動き出す地方自治体と市民団体
インドこそ気候変動と闘うリーダーに
10 中国:風力とソーラー・エネルギー産業で世界のリーダーへ
石炭依存と都市住民の急増で排出激増
輸出激増が、もうひとつの排出激増要因
エネルギー集約産業の省エネを推進
地方自治体や産業界への浸透を図る
クリーンエネルギー産業を経済発展の核に育成する
100万人雇用に近づくグリーン・ジョブ
11 貿易と気候変動、そして持続可能性
貿易は途上国への炭素漏出の大きな要因
輸入品の炭素排出に国境課税措置
協調によって、環境と貿易を調和させる
12 フィジー:地域コミュニティ主導型管理海域で実践される適応策
全員参加型のガヴァナンスモデル「地域コミュニティ主導型管理海域」
伝統的知識と近代的ツールの一体化
住民自身が情報を活用し、決定を行う仕組み
13 スーダン:干ばつと気候変動へのレジリアンスを構築する
生き残るための農地拡大が、リスクを高める
環境への取り組みが、コミュニティのレジリアンスを高める
放牧地の劣化予防と再生
生活改善を取り組みの柱に据える
地域コミュニティが自主的に立ち上げた適応策
自然資源を管理できる「知識と能力」を強化する
14 ジオ・エンジニアリングで地球を薄暗くする
地球を冷やす、もうひとつの方法―人為的な日陰をつくる
たとえば、成層圏に硫酸エアロゾル粒子を散布する
クライメト・エンジニアリングを推進しようとする人々の見解
クライメト・エンジニアリングに反対する人々の見解
もたらされるのは「改善」か、「いっそうの悪化」か
15 炭素の回収と貯留
二酸化炭素を回収する方法
炭素回収・貯留(CCS)をめぐる多くの懸念材料
つなぎの技術としても、つきない懸念
この先10年では、大規模な導入は難しいという結論
16 市場を利用して気候変動に対応する
炭素税の導入による排出削減効果
キャップ・アンド・トレードにおける排出枠配分
不確実性を低減するハイブリッド制度
炭素税とキャップ・アンド・トレードの相違点
国家レベルはキャップ・アンド・トレードが、地方レベルでは炭素税が有効
17 発展途上国への技術移転とそのための資金供与で、気候変動に対応する
「排出削減と収益増大と雇用創出」をもたらす先端技術
移転を阻害する大きな論点「知的所有権」
資金供与のための基金拠出は国連分担金をモデルに
適正な供与額は、目標と具体的な取り組みから勘案される
全ての発展途上国が国別目標を示すことが重要
必要なのは「まず始める、そして強化する」という姿勢
18 動くバッテリー・電気自動車が開く、再生可能エネルギーの時代
再生可能エネルギーは電気自動車の電力需要を十分に満たせる
不況下の機械製造業でウインドタービンを大増産する
「電気自動車と再生可能エネルギー」は最良の組み合わせ
プラグイン・ハイブリッド車でも排出量は大幅に削減
早期ブレークスルーのカギは「政策と電池とスマートグリッド」
電気自動車は輸送システム再構築の第一歩
19 低炭素社会のグリーン・ジョブ
増える再生可能エネルギー部門の雇用
公共交通ルネッサンスで雇用創出を
リサイクル経済で省エネと雇用創出を
農林業は環境保全型に転換して雇用創出を
グリーン・ジョブ創出のカギを握るのは、官民の大規模な先行投資
「働く人に優しい」グリーン・ジョブに
20 機運高まる「クライメト・ジャスティス(気候の公正性を確保する)運動」
気候変動と人権侵害は密接な関係にある
基本理念は「気候の公正化」と「非排他、全員参加」と「人権」
「無視されてきた人々」の声を、環境政策に反映させる
21 価値観の転換で、「危険な」レベルの気候変動を阻止しよう
「超多忙」と「大量消費」と「利益最優先」で、見失われる価値
自己と向かい合い、内在的価値を重視する
「目覚める」のか、それとも「自己防御の泥沼に、はまっていく」のか
「経済的豊かさ」から、「心の豊かさ」を求める時代へ
22 「いまからでも決して遅くない、行動を起こそう」

付録 気候変動関連の主要概念と用語解説
◆気候変動の原因
世界の温室効果ガス排出量
セクター別の温室効果ガス排出源
◆気候変動の測定
炭素循環
炭素、二酸化炭素、二酸化炭素換算値
主要温室効果ガスの地球温暖化係数
二酸化炭素の排出量上位10か国の総排出量と
一人当たり排出量(2005)
二酸化炭素の排出量上位10か国の
世界総排出量に占める比率(1950―2005)
大気中の二酸化炭素濃度(1744―2007)
◆温室効果ガスの蓄積がもたらす影響
世界の平均地表温度(1880―2007)
記録上もっとも暖かかった10年(1880―2007)
気候の不可逆的変化の要因
不安定な気候がもたらすと予想される、さまざまな影響
気候変動の悪影響を回避する
コペンハーゲン会議への外交的道筋
追加情報

用語解説(50音順)
安定化 温室効果ガス 温室効果ガス開発権 回復力 緩和 気候変動に関する政府間パネル(IPCC) 技術移転 キャップ・アンド・トレー ド 吸収源 強制力
共同実施(JI)京都議定書 クリーン開発メカニズム(CDM) 経路黒色炭素 国連気候変動枠組み条約(UNFCCC) 人為的排出 森林の減少・劣化に由来する排出の削減 脆弱性 大気中濃度
炭素回収・貯留 炭素税 地球温暖化係数 地表温度 追加性 締約国会議 適応 土地利用、土地利用変化および林業 二酸化炭素
二酸化炭素換算値 二酸化炭素集約度および一人当たり二酸化炭素排出量排出権取引 排出削減単位 ピーク年 一人当たり二酸化炭素排出量 100万分率(ppm) 付属書国 ブラック・カーボン
平均海面位 ベースライン 放射強制力 モデル、予測および経路 予測 レジリアンスまたは回復力

原 注

索 引
3,080円
目 次

はじめに
環境界の一年間の主要動向

第一章 持続可能な経済を育てる
20世紀型経済システムの破綻
25億人が一日2ドル以下で暮らしている
持続可能な経済が出現する予兆
◆時代遅れの経済設計図
自然は無限で、人類の英知で支配できる!?
経済発展は、自然資源に左右されないという誤った認識
自然の許容量を超えてしまった世界経済の規模
「人工資本」よりも「自然資本」が重視される時代へ
経済成長至上主義の弊害
市場効率だけでは、公正さを確保できない
人間は経済的合理性のみで生きている訳ではない
◆膨張しつづける負債
《気候変動》
温室効果ガスの排出抑制に必要な投資は世界総生産の1%
スターン報告―いま対策を打たなければ、破滅的な未来
タフツ大学―気候変動で、世界総生産に年間8%以上の損失
《生態系の劣化》
産業革命以来、生物種の絶滅率が50~500倍に上昇
生物多様性の喪失が、莫大な経済的損失をまねく
「市場の失敗」が環境破壊を拡大させた
《富の不公平な分配―豊かさのなかの貧困》
人類の8人に1人は慢性的飢餓状態にある
裕福な500人と貧しい4億1600万人の合計所得が同じ
2%の人々が、世界の家計資産の半分以上を所有
格差は何世代にもわたって固定化され、経済を停滞させる
◆経済学の概念的改革―七つの重要な課題
《経済規模の調整》
経済は生物圏が支えうる規模を超えられない
国際的企業が、排出削減目標を政府に求めはじめた
経済を流れる物資の量を減らす企業の取り組み
埋立処理ゼロを目指すニュージーランド
《量的拡大から質的発展への転換》
人間のウェルビーイングを改善する
マイクロ・クレジットによって脱貧困を
所得の増大と幸福感―日本人は幸せになったか?
「自転車」と「歩く」―健康のキーワード
ウェルビーイングの促進を国家目標とする
《環境を反映した価格》
価格に環境コストを反映しない「市場の失敗」
税によって環境に配慮した経済活動を誘導する
自動車渋滞税で、人と環境に優しい都市をつくる
《自然のサービス機能の価値》
人類文明を支える自然のサービス機能
農業を支える自然の力―たとえばミツバチ、天敵
無料とされてきた自然に、適正な価格を付ける
《予防原則の採用》
「転ばぬ先の杖」でリスクを軽減する
不確実性からくるリスクを評価する
疑わしいものは排除する積極的な姿勢
リスク回避の手段「義務履行の保証書」
《コモンズ(共有財)の管理方式の活用》
大気は地球万人のもの
大気や海を守ることの難しさ
第三の管理手法「集団所有権制度」
コモンズ管理システムの実際
《女性の価値評価とエンパワーメント》
根強い男女の賃金格差
女性を苦しめる土地所有と融資の問題
女性の無償労働を再評価する
◆改革による革命論
消費者の動向が持続可能な経済のカギを握る
企業の取り組みに影響を与える、消費者と株主
ベンチャー・キャピタルは経済変革を促す
政府の指導力が推進の最大のポイント
必要不可欠なのは「賢明な政府」の存在
新しい経済学「持続可能な国富論」の構築に向けて

第二章 「真の進歩」のための新たなボトムライン
もはやGDPでは「進歩」の度合いを測れない
◆経済のグローバル化と「真の進歩」:広がる格差
生活の質を反映できないGDPの欠陥
GDPでは戦費まで、生産に計上されてしまう
マクロ経済指標では、富の偏在はみえてこない
ミクロ経済指標でも、生活の実態がみえてこない
物質的な豊かさだけでは満足感は得られない
◆持続可能な開発:新たなボトムライン
持続可能な開発に共通するテーマとは
新しい指標の基本的枠組み
◆マクロ経済的な考え方
GDPに代わる概念「真の進歩指標」(GPI)
アメリカの経済活動の半分は、持続不可能な状態
GPIが突きつける「不都合な真実」―たとえば中国
政策の情報源として、GPIが利用されはじめた
地球幸福度指数(HPI)では、中央アメリカが高い評価
人間開発中位国のHPIは、低位国や高位国より高い
ブータンではGNPに代え、国民総幸福量(GNH)を採用
カーボン・フットプリントが示す、炭素排出量の削減目標
社会的公正を測る指標「IRE」と「ジニ係数」
自然資本のストックを使わずに、フローのみで暮らす
持続可能性を測る指標「エコロジカル・フットプリント」
地域の経済」の強化が、今世紀の大きな潮流となる
◆ミクロ経済的な五つの目的
ミクロレベルでも求められる持続可能性の測定方法
認証制度で「底辺への競争」を未然に防ぐ
グローバル・リポーティング・イニシアティヴ(GRI)
「廃棄物ゼロ」を目指す3M社の3Pプログラム
カーボン・オフセットへの取り組み
製品寿命を延ばすことで廃棄物を減らす
水と電力の使用量削減は経済的メリットをもたらす
仕事の満足度アップが、職場の持続可能性を高める
職場環境を指標化することで、改善への方向を見出す
現地調達の推進が、コミュニティ活性化に不可欠
適正な賃金の支払いが、すべての基本
◆新たなボトムラインを推進する
国際金融機関に義務づけられている便益費用分析(BCA)
正しい測定方法が、真に優良な企業を後押しする
政府主導で、環境がもたらす財貨とサービスの市場を開拓する
「人類を望ましい方向へ導く」指標イニシアティヴを

第三章 生産を見直し、資源効率を高める
迫られる、生産方法の抜本的な改革
「賢い選択」で、地球への負荷を軽減できる
自然資本主義の原則
資源消費量を減らしても、生活水準を下げないで済む
◆環境効率のゆるぎない基盤
環境効率を無視しては、持続可能な社会は実現できない
なじみやすい環境効率の導入
「ファクター4」から「ファクター20」へ
環境効率の定義
世界経済人会議(WBCSD)
生産能力の向上とコストの削減を同時に実現
半導体企業ST社―環境効率の導入で業績を上げる
ウォルマート―GEと発光ダイオード照明に取り組む
トヨタ自動車―ムダ、ムラ、ムリのない生産方式
ポーションパック・ケミカル―ビジネスモデルを転換
◆「ゆりかごから、ゆりかごへ」:製品寿命を延ばす
「エネルギー」を使わず、「労働力」により付加価値を生む
環境と経済が対峙する段階
持続可能な手法を組み込む
社会生態学の要素を加味する
文化生態学という概念を取り入れる
労働生産性向上では、ウェルビーイングは改善されない
人を活かすことは推奨し、資源を使用することは不利にする
「ヴィジョン」が持続可能社会を支える
◆自然の導きに従う
自然から知恵を得る「バイオミミクリー」
紙と魚の廃棄物から、農業用マルチフィルムを作る
アワビの殻からヒントを得て、バイオ複合材料を創る
トヨタ自動車のサスティナブル・プラント計画
第二の産業革命は、自然の模倣から生まれる
◆革新の新しい波に乗る
産業革命の波の軌跡
革新の波は、すぐそこまで来ている
短期的利益偏重からの脱却
トリプル・ボトムラインから統合ボトムラインへの転換
環境と社会に配慮する企業が認められる時代
いまこそ、持続可能な未来を構築する絶好の機会

第四章 持続可能なライフスタイルに転換する
「希望」こそが、発展途上国の急成長を支える力の源
発展途上国の人々も、地球温暖化の現状を理解している
発展途上国の人の方が、「問題は解決できる」と感じている
地球環境は発展途上国の願望に応えられるのか?
◆持続可能性の方程式
決定的な要因は、人口とライフスタイル
南北間の二酸化炭素排出量の差はライフスタイルから
中国の排出量は、ついにアメリカを抜いた
経済発展という排出量の増大圧力
◆「欲望の科学」―なぜ、人は消費を好むのか
「財貨」が価値をもつ理由に、経済学は答えていない
消費者行動の奥底にあるのは「アイデンティティー」
環境問題を考えながら、大きな家に住みたいという消費者心理
グローバル化する消費者社会
◆ウェルビーイングについての逆説
先進諸国ではウェルビーイングが後退しはじめた
物質主義的傾向が強い人は、幸福度が低い
失われる信頼とコミュニティ
先進国が示せない「真の幸福」
◆試みる人々―「消費を減らして、幸せに暮らす」
「質素」な生活を求める新たな潮流
質素な暮らしで、主観的ウェルビーイングを増大させる
広がる「バイ・ナッシィング・デー」と「トランジッション・タウン」
「消費を減らして、幸せに暮らす」取り組みは、まだ少数派
◆地位と生存のための戦い
セックスと消費衝動―遺伝情報を伝えるために
社会的地位が健康とウェルビーイングを左右する
「快楽の踏み車」から、降りられない人々
◆消費主義という「鉄の檻」に閉じ込められて
消費社会が奨励する個人主義と競争
「現在の欲求」と「将来の欲求」のバランスを保つ
近視眼的行動を抑制する社会的、制度的メカニズム
「付託システム」を崩壊させる経済成長至上主義
消費拡大に依存するシステムが、持続可能な社会を蝕む
◆「足る」を知って、充実した生活を送るには
変革のためのガヴァナンス
持続可能なインフラ整備にシフトする
社会的費用を市場価格に上乗せする
「政策」が人々の価値観に大きな影響を与える
ウェルビーイング指標の導入で、社会を持続可能な方向へ
子ども向け広告の規制に乗り出した北欧諸国
宗教の力を見直す
「脱・消費社会」の実現を目指して

第五章 肉と魚―もっとも環境への負荷の大きい食材
世界中で急増する食肉と魚介類の消費
中国の魚介類の消費は10倍以上に増えた
先進国の食卓―ステーキとロブスターは過去のもの!?
◆コスト削減を目指して大規模生産へ
工場式畜産の象徴となるブロイラーの登場
「漁獲技術の向上」は海洋資源への脅威
工場式畜産向けの飼料生産が酸欠海域を生み出している
◆自然に帰ろう
伝統的畜産への回帰―フィリピンとアイオワ州の事例
伝統的方法でも、経済的に見合う生産が可能
人手をかける畜産方式は「よく育つ」
ウシを草地に戻すと、蕫げっぷ﨟、つまりメタンが減る
世界の漁業生産量の40%が養殖魚
工場式養殖場の問題点―大量の資源消費と廃棄物
養殖方法の変革を望む市民の声が届きはじめた
昔からの知恵「複合養殖(混養)」を見直す
カキ養殖で沿岸生態系を修復し、雇用も創出する
メリットが多い、水田での魚の飼養
世界に広がる養殖の恩恵
◆補助金システムを変える
工場式畜産を支える飼料穀物に、多額の補助金
アメリカ・EU・日本が、世界の漁業補助金の八割を占める
魚の生息域を破壊する底引網漁は補助金頼み
発展途上国では、風土に合わない外来種の飼養に補助金が
小規模漁業は大規模漁業の五倍の雇用を生む
ニュージーランドでは補助金廃止が畜産を活発化
全面禁漁の「海洋保護区」の大きな効果
◆倫理にかなった「安全でおいしい」食品
持続可能な食品をラベルリングする動き
ユニリーバが支援する海洋管理協議会(MSC)
急成長する「環境に優しい漁法で獲られた魚」を探し出す企業
最大手食肉業者が「抗生物質を投与しない」決定をした
「健康」と「環境」のブームに乗ろうとする企業
時代の要請を受け、一本釣り漁に戻る漁師たち
◆食物連鎖の下位への転換
未来世代のためのメニューは「肉もマグロも控えめに」
肉の代替品を開発し、環境負荷を減らす
食物連鎖の下位のものを選んで、環境と健康を
スローフードの流れから生まれた「スローフィッシュ」
「カタクチイワシをグルメ食材に」―ペルーでキャンペーン
「ツナからイワシへ」―食生活を変える
在来種を絶滅から救うために「ブランド化」する
発展途上国が訴える、家畜の遺伝的多様性の保護
フカヒレスープのために、毎年一億匹のサメが殺されている
「食の構築」は、生産環境を「知る」ことから

第六章 低炭素経済を構築する
破滅的な気候変動シナリオを回避するために
◆悲惨な結末を回避する
自然の営みと全く異なる急激な大気組成の変化
「北極海の浮氷群」も「グリーンランドの氷床」も融けていく
気候変動が経済を停滞させる
半世紀で、化石燃料からの温室効果ガス排出量は5倍に
デッドラインは目の前に迫っている
目標と現実のギャップは2030年時点で3倍
年10%の勢いで増える中国の二酸化炭素排出量
目標は2050年までに二酸化炭素排出量を50%削減
目標を達成するための三つの気候戦略
石油の使用を減らすことが一番の近道
期待が高まる二酸化炭素回収・貯留(CCS)
あまりに進展が遅いCCSプログラム
規制のない石炭燃焼は即刻中止すべき
◆好都合な真実
化石燃料と競合できる省エネ技術は、すでに存在している
アメリカでさえ、三〇余年でエネルギー生産性は2倍に向上
エネルギー生産性を年1~2%改善すれば、40年で使用量は半減
建築物のエネルギー生産性改善が、もっとも効果的
化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトは十分に可能
◆新エネルギー経済の設計
再生可能エネルギーの「間欠性」の問題は克服されつつある
脱・化石燃料化を進める電力企業の三つの戦略
デジタルグリッドを導入する
圧縮空気を利用して電力を貯蔵する
自動車を、需要ピーク時に稼動する発電機として利用する
需要の変動に迅速に対応できるマイクロ発電機
既存インフラの利用で、新エネルギーへの移行をスムーズにする
◆すでに始まっているエネルギー経済の変革
経済優位性が逆転すれば、新技術への移行は急ピッチで進む
再生可能エネルギー源開発補助金はイラク戦費の一日分
進む、再生可能エネルギーへの投資
民間の方が盛んな、クリーンエネルギー研究開発
シリコンバレーで、ポストITを牽引するクリーンエネルギー
風力発電と太陽光発電の、いっそうのコスト削減が進む
◆エネルギー市場の変革
価格設定だけでは、化石燃料の消費を減らすには限界がある
エネルギー問題は、新古典主義派経済では克服できない
政府の規制によって、効率化を推し進める
RPS(再生可能エネルギー供給割当制度)
節電利益を、省エネ機器製造・施工企業と施行主で折半する
電力業界への新規参入を促す
◆最後の転換点
政治の力で危機的状況を変えられるか―進展の事例
希望―明確なヴィジョンをもって、いま行動をする

第七章 排出量取引市場を発展させる
カーボン・クレジット―炭素排出量取引が果たす役割
排出量取引市場が世界最大の商品市場になる
◆排出量取引市場の現状
欧州連合(EU)が構築する排出量取引制度
一年で三倍に増えた排出量取引市場での取引額
◆キャップ・アンド・トレード制度
世界最大―欧州連合域内排出量取引制度(EU―ETS)
世界初―ニュー・サウスウェールズ取引所
企業と組織が自主的に設立―シカゴ気候取引所(CCX)
北米や豪州で進む、排出量取引市場創設の動き
過大な排出枠配分でクレジット価格暴落―EU―ETS
排出枠の無償配分から「棚ぼた利益」
安価な炭素クレジットで目標達成?!―先進国への懸念
第二フェーズのクレジット価格は高値基調か
オークション・システムを導入し、収益を気候変動対策に
◆動き出した京都メカニズム
急成長を続けるクリーン開発メカニズム(CDM)
CDMプロジェクトの半分を占めるのは中国
あまりに少ないラテンアメリカとアフリカへのCDM投資
CDMクレジット獲得のため、オゾン層破壊物質を製造する
「森林破壊の防止」によるCDMプロジェクト
企業とNPOが自主基準の整備に乗り出した
JIプロジェクトの多くはエネルギー・プロジェクト
プロジェクト承認に必要な「追加性」と「リーケージ」証明
小規模プロジェクトでは取引コストを吸収できない
強化されたCDMの監視体制
◆自主参加型排出量取引市場の評価
欧米の消費者が「カーボン・ニュートラル」を望みはじめた
「追加性」の証明が困難なカーボン・オフセット
カーボン・クレジットを精査し、発行者にプレッシャーを
カーボン・オフセットだけでは、排出量は減らせない
◆排出量取引市場の将来
正確な算出方法構築への動きと限界
最高水準の認証システム「ゴールド・スタンダード」
自主的オフセット市場の国際基準を確立する取り組み
京都議定書の目標は第一ステップにすぎない
焦点―「アメリカの参加」「途上国への削減目標設定」
「プログラムCDM」で、投資を魅力あるものにする
「政治を動かす」ことが、排出量取引市場の最大の役割

第八章 持続可能な経済における水資源
水を重要な環境資源として再認識する
世界人口の四割が水不足に悩まされている
水不足―物理的不足と経済的不足
激化する「水をめぐる争い」
転換を求められる水の管理方法
◆今日の経済における水資源
ハンバーガー1個を作るのに一万リットルの水が必要
安全な飲料水の確保が最優先課題
忘れられがちな生態系維持に必要な水
《国家レベルから国際レベルまで、さまざまなレベルでの水管理》
行政区画や国境と水文学的境界は、必ずしも一致しない
国際河川における流域管理イニシアティヴ
《水の管理と公平性》
水政策が経済活動の構造を決定する要因になる
水危機は公平さと権力の問題に直結する
◆持続可能な環境を実現するため、水に価値を付ける
「真の価値」より、かなり低く設定されている「水価格」
水の汚染も浪費も、経済成長として算入されてしまう
水資源不足が、持続可能性を重視する動きを加速
水を経済財と認めることで、水自体の価値に光が当たる
供給サイドの視点から、需要サイドの視点へ
◆「何ごとも従来通り」に、別れを告げる革新
《技術における革新》
期待される、農業における水生産性改善
「水に恵まれない」シンガポールは水資源管理の先進国
関心が高まる、湿地帯や氾濫原などの「自然界の水インフラ」
《管理の革新》
増える利害関係者の協議の場
消費者の要望とコスト削減意識が、民間の取り組みを促進
《市場ベースのツールの革新》
適正な水価格で、市場機能を持続可能性強化に役立てる
正常に機能している水市場は、水生産性を向上させる
国連が策定した「環境経済水勘定」
「真の貯蓄」を用いると、多くの国はマイナスの状態
バーチャルウォーター取引の功罪
WTOで協議される、給水と排水処理サービスの障壁撤廃
生態系サービスに対価を支払う四つの制度
[1]民間支払制度
[2]キャップ・アンド・トレード制度
[3]認証制度
[4]公的支払制度
◆経済政策と水政策を同調させる
水管理は、経済への影響に配慮しなくてはならない
経済政策も、水管理への影響に配慮しなくてはならない
危機にこそ、楽観主義をもって行動に移ろう
水革新の実現に向けて「変化を起こす」

第九章 生物多様性バンキングシステムを構築する
自然の価格をゼロとみる時代は終わった
市場を利用して生物多様性を守る三つのメカニズム
[1]政府による価格決定
[2]自主参加型の民間取引による価格決定
[3]複合型システムによる価格決定
◆経済成長の前に立ちはだかる「アブ」という難題
絶滅危惧種を救うために、どれだけ費用を負担すべきか
絶滅危惧種の価値は、いったい何をもって測るのか
市場で価格づけされる絶滅危惧種
絶滅危惧種オフセット
◆湿地ミティゲーション・バンキング
アメリカの水質浄化法にみる「湿地のノー・ネットロス」
「湿地クレジット」を販売する湿地バンク
湿地バンクが、湿地の価値を高め、開発を経済的に抑制する
損失を受けた湿地を回復するには、2~3倍の補償が必要
問題は、ミティゲーション改善の監督機関が存在しないこと
保全地役権の第三者保有で、保全湿地の恒久的維持を図る
「それでも」、ミティゲーション・バンクは確実で効率もよい
◆絶滅危惧種を負債から資産に変える
「生物種クレジット」を販売するコンサベーション・バンキング
絶滅危惧種に価格を付ける?!
ミティゲーションによって、開発者と購入者の双方に利益が
絶滅危惧種の保護がビジネス・チャンスをもたらす
◆政府の保全プログラム―その利点と欠点
オフセット制度は発展途上国での導入も十分に可能
ブラジル―土地所有者に最低限の面積の森林保全を求める
中国―北京政府主導の「退耕還林」政策
メキシコ―水使用料から、流域の森林保全に給付金を拠出
コスタリカ―所有する森林を保全すると給付金を受け取れる
ビクトリア州―逆オークションで保全コストを大幅に削減
◆自主参加型生物多様性オフセット
生物多様性オフセット・プログラム(BBOP)の目的
企業が生物多様性オフセットを実施する理由と受ける恩恵
世界中に広がるBBOPとの連携
◆自然は、どれほど大きな価値をもっているのだろうか?
過去に設定されたシステムに縛られるな!
市場の力で柔軟なシステム―自然と経済の共存を目指す

第十章 コモンズのパラレルエコノミー
バリ島の「コモンズとしての水」の伝統的管理
人は―「金銭的インセンティヴのみで動くにあらず」
人は―「創造を心から楽しむ、社会的存在」
近代経済の書には欠落している「人間の本性」
自然資源保全のモデルになりうるコモンズ
◆コモンズは、「共有地の悲劇」とされたほどの悲劇をもたらすのか?
経済学者が考える「合理的行動」は、現実とかけ離れている
共有地の悲劇は、実際にはほとんど起こらない
フィリピンの水利組織、サンヘラの仕組み
スイス・トルベル村1500年以上も機能してきたコモンズ
最適頭数しか放牧しなかったアメリカの入植者
問題の本質はコモンズの「オープンアクセス」にある
コモンズへの脅威は、外部や企業からもたらされる
◆企業所有化の悲劇
アダム・スミスの想定とは全く異なる現代の企業
企業財務に負けてしまった自然資源の保全
憲法の保護を受けるアメリカの近代企業
コモンズへの、企業の侵犯を食い止める
◆コモンスペースを取り戻す
電波、遺伝子や宇宙まで、コモンズを私的財産化する流れ
エンクロージャー(囲い込み)への反発
コミュニティ・ガーデン―コモンズを支える社会構造を取り戻す
コモンスペースの復活
ファーマーズ・マーケットはコモンスペースを受け継いでいる
コモンスペースへの侵犯を防ぐ
◆コミュニティとコモンズ
メイン州のロブスター漁業を支えるコモンセンス
公平性と相互利益を基本に、コモンズの規模を拡大する
「現時点」を基準にする企業、「将来」を見据えるコモンズ
侵犯に弱い、政治がからむ「公有」というシステム
トラスト制度を、大きいコモンズに応用する
大気汚染対策としての排出量取引制度の問題点
チャーチルの問い―「コモンズから、何を私有化したのか」
土地は一種のコモンズである
公的整備がもたらした、土地の価値上昇分を税金で回収する
コモンズによる管理方法を政策に発展させる

第十一章 コミュニティを活かして持続可能な世界を目指す
行政にも影響を与える、エコビレッジのユニークな取り組み
「世界の革新」はコミュニティ・レベルでの革新から
◆持続可能性のモデルとなる
115人のメンバーで、二酸化炭素排出量を3865トン削減
コミュニティ・レベルでメタボリズムを改善
人間的な規模で、自然界を傷つけない―エコビレッジの理想
人間の絆と環境を大切にするコ・ハウジング
コミュニティ・レベルの実践―たとえばカープール
◆コミュニティの絆を育む
アメリカ社会の親友喪失シンドローム
社会的な孤独は、健康面でも悪影響を及ぼす
資源を共有することで生み出されるソーシャル・キャピタル
「大きいことより、小さいことの方がすばらしい」とする教育
家庭でも職場でもない空間―「第三の場所」は蕫たまり場﨟
地元産の食べ物を提供し、風力で発電するカフェの取り組み
◆地産地消を目指して
地域で食べ物を生産することで、環境と健康を改善する
生産者にも消費者にもメリット―ファーマーズ・マーケット
コミュニティ・ガーデン―「安全」「おいしい」「適度な運動」
「不足の時代」に―キューバの有機菜園vsアメリカの芝生
自治体やネットワークによる、「地域の経済」を取り戻す動き
貧困問題解決の手段としてのコミュニティ主導型開発
◆持続可能なコミュニティへ融資する
コミュニティ開発金融機関(CDFIs)の果たす役割
地元への経済効果が大きい「地域通貨」
事業を通して、社会的課題の解決を図る「社会的企業」
◆コミュニティが社会を動かす
コミュニティが取り組みやすい、地元の自然修復プロジェクト
エコビレッジが果たす、研修と教育の場としての機能
コミュニティが地域政策へ影響を与え、「賢明な成長」を進める
グリーン認証制度を基準に、地域開発をコントロールする
コミュニティがメンバーに加わる「エコ自治体」
適切な支援があれば、コミュニティは能力を発揮できる
コミュニティの力を引き出すカギは、国の意識改革

第十二章 人々の意志と行動力を活かす
ニジェールの砂漠に緑が戻った
状況を変えたいと望む貧しい人々こそ、改善の原動力
コミュニティ主導型開発―恒産を築き、自由を拡大する
究極の資源「人間の意欲、熱きエネルギー」を活かす
◆地域の実状に基づいて行動する
単一的な欧米主導型開発から、各国の実状に合った方式への転換
人々の自由を拡大することも、開発の大きなテーマ
「地域の知恵」を評価し、「実感しているニーズ」に応える
貧困の本質は、「富と力のある人々」が築いた既存の制度にある
◆無限にある資源
「女性を差別しないで!」―インドの女性自営者組合
明日は、今日よりも良くなる―「向上を目指す能力」
「自分の力で成功を体験する」ことが「向上を目指す能力」を育む
女性たちの力で、生活を改善し、児童婚姻の因襲も撤廃
「市民の運命」を左右するのは「市民自身」
◆あるコミュニティでの成功をスケールアップする方法
コミュニティ自らが融資先を決定できる開発計画―世界銀行
インドネシアの郡開発事業(KDP)
アフガニスタンの国家団結プログラム(NSP)
さまざまな事態に適用できる生物学的アプローチの進め方
チョモランマ国立自然保護区
◆障害を取り除くためにすべきこと
欧米の攻撃的農業保護政策は、貧しい国を市場から閉め出している
国際援助の多くは、援助国に利益が還流する「ヒモ付き」
発展途上国に求められる「援助を適確に受けるための改革」
世界が支援すべきは、「底辺の10億人」が住む諸国である

第十三章 持続可能な経済の確立に向けて投資する
ゴールドマン・サックスの報告
未来重視の姿勢は、投資と持続可能性に共通している
◆社会的責任投資
スクリーニング―投資適格企業を選別する
まだ歴史が浅いコミュニティ投資
世界全体のSRI資産はおよそ四兆ドル
「持続可能な投資」が、資本主義の欠陥を修正する
検証―「持続可能性は株価に反映されているのか」
石油企業による再生可能エネルギーへのささやかな投資
真の持続可能な投資を目指す「再生型投資」
◆株主行動
社会や環境に取り組む活動家が、株主としての権利を主張する
株主行動が、企業の経営方針に着実に影響を与えつつある
株主行動を大きく制限する証券取引委員会(SEC)
◆プロジェクト・ファイナンスと赤道原則
熱帯雨林行動ネットワークが起こしたシティへの反対運動
赤道原則の遵守状況の詳細を公開しない銀行
◆プライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタル、ヘッジファンドが環境関連投資に注目
「買い」から「保有」へ格下げされた石炭株への投資
クリーンなエネルギーと技術の分野に集まる投資
◆世界に広がるマイクロ・ファイナンス
貧困を改善する大きな力「マイクロ・ファイナンス」
批判―本当に貧しい人は利用できるのか?
先進国から流れ込む巨大な投資
万能ではなくても、現時点では最良の方法
マイクロ・ファイナンスも「持続可能性」を導入
◆持続可能性への投資がかかえる諸問題
カーボン・オフセットやバイオ燃料への疑問
イギリス―環境情報所載義務づけを無効にした財務大臣
アメリカ―情報開示義務付法に冷淡な証券取引委員会
透明性が無ければ、企業の取り組みは進まない
企業の多くが採用するGRIガイドライン
二酸化炭素排出の情報開示をしている企業は業績が良い
「持続可能な投資」―本当の成果が問われるのはこれから

第十四章 貿易ガヴァナンスへの新たなアプローチ
◆世界貿易:助けになるか障害になるか
第二次大戦後の世界経済発展の大きな牽引力―「自由貿易」
貿易は平和に貢献する
◆多国間貿易体制の目標
一括受諾というルールによって、拘束力と強制力をもつWTO
WTOの前文―持続可能な開発により、途上国の発展を促す
貿易規約では、経済政策が環境政策より優先されてしまう
◆WTOのガヴァナンスの危機の根拠
WTOの恩恵を受ける貿易大国は、いっそうの自由化を求める
貿易政策と環境政策の対立
小さな発展途上国には参加できない、交渉の煩雑さ
「持続可能な開発への貢献」に対する説明責任
◆WTOの目標を尊重するという課題
「交渉による取引」では強者が優位に立つ
公共政策の優先順位によって、環境が重要視されない現実
◆環境をWTOで真剣に取り上げる
芽生えつつある「貿易と環境は支え合う必要がある」という認識
◆WTOの危機への対応
発展途上国への「貿易のための援助」
持続可能な開発に関する一連の評価や考査
進むべき道―持続可能な開発
◆世界の変化を受け入れる
民族国家という枠を超えたガヴァナンスのモデル―欧州連合
G-20―「多極化の世紀」のガヴァナンス
◆何が危機に瀕しているのか
「人類の公益」に貢献する貿易ガヴァナンスを目指す

原 注
索 引
2,860円
はじめに
環境界の一年間の主要動向

第一章 持続可能な都市をつくる―二一世紀の人類の試練

都市は環境と調和できるか―持続可能な都市の創造
エコシティーに託される未来都市のデザイン
◆グローバル・チャレンジとなった「都市化」
都市の増大と環境へのプレッシャーの増大
人口増加の大半はアジア・アフリカの都市部で
都市問題は持続可能な発展への試金石
快適な都市の構築は環境との調和の象徴
都市の環境問題は所得レベルで大きく異なる
富の公平な分配こそが最重要課題
◆都市の今日的特徴
急激に進む低所得国と中所得国の都市化
アフリカの都市人口は北米の総人口を上回っている
世界の都市人口の半分は五〇万人未満の小都市に住んでいる
スラムの拡大が進むラテンアメリカ諸国
急速な人口増加に苦しむアフリカの都市
多様な側面を見せるアジアの都市像
チャンスを求める人々をひきつける都市のダイナミズム
◆統計調査が困難な「都市の貧困」
都市と農村の明確な線引きは不可能
都市人口の予測は当てにならない
情報の不正確さが都市政策を誤らせる
地理情報システム(GIS)の導入で進む都市の実情把握
農村偏重の発展途上国援助を変換させる必要性
ようやく導入され始めた正確な調査手法
経験を重視する政策への転換
◆格差と環境
都市の比較に見る低・中・高所得都市の国家的背景
発展の段階ごとに問題の質が変わる
グローバル化がもたらす都市のパラドックス
環境クズネッツ曲線が示す改善と悪化の傾向
環境問題は豊かになっても自動的に改善はされない
状況ごとの都市問題解決の方向
◆自然:依然として人間のウェルビーイングに不可欠
都市住民の多くは生態系サービスの供給を十分に受けられない
南北間のエコロジカル・フットプリントの格差
無責任―共有地の悲劇
水さえも十分に手に入れられない低所得都市の貧困層
◆インフラストラクチャーとガヴァナンス
インフラストラクチャーの整備が引き起こす新たな環境問題
資源を無駄にしてしまう都市の廃棄物処理システム
貧困層の生活改善にはインフラストラクチャーの整備が不可欠
貧しい人々に安全・安価な飲用水を供給することの難しさ
市場原理だけでは都市の整備は進まない
貧困層の改善に必要な公的援助
低所得層の発言力を高める住民参加型予算
◆都市の循環型代謝機能
進むグリーン・インフラストラクチャー導入の動き
低所得国の都市にこそ、飛躍的イノベーションの可能性がある
◆都市化する世界の行方
都市の未来像が示す持続可能な社会の実現
トンブクトゥ
都市の後背地を緑化する
自然資源の管理が都市近郊農民の暮らしを潤す
ユーカリを植えて自給率を高め、農業収入を増やす
猛烈なペースで進むユーカリの植林
野ビエが自家用家畜の飼料に
野ビエ栽培で所得向上と干ばつへの脆弱性を改善する
貧困緩和と同時に達成された環境改善
ロ ハ
健康にもよい環境都市
貧困層を救った土地利用計画と環境保全政策
公園設置で河川の氾濫防止と健康増進
リサイクル・プログラムで雇用も創出
強い「意志」があれば、貧しい都市でも成功する

第二章 衛生革命―きれいな水と女性が安心できるトイレを

「水道がない、排便はゴミ捨て場で」という生活がある
◆一日も早く、衛生革命を
アジア・アフリカの半数の人々は上下水道を利用できていない
先進国と国際機関の空手形
先進国で機能しているシステムが、なぜ途上国で普及できないのか
低所得都市には、あまりに負担が重い配管工事
行政サービスから見捨てられているスラム街と不法居住区
都市の急拡大がインフラストラクチャーの未整備を生む
◆供給の不備を調査する
水とトイレの「適切な」供給とは、どのような状況を指すのか
ニーズによって大きく変わってくる「適切な」供給
状況が悪い所ほど統計の対象にならない
「供給の改善」と「適切な供給」では意味が全く違う
改善されたはずなのに、乳幼児死亡率が減らない理由
実態を把握するためには、より詳しいデータが必要となる
◆低所得層を優先した上下水道の普及を
普及方策の確立には低所得層への供給が早道
低コストを基準にフレキシブルな供給形態を模索する
マイクロ・クレジットとスラムの地図作りという新手法
◆きれいな飲み水を低所得層へ供給するフレキシブルな手法
貧困層に配慮した施策に必要とされるもの
住民参加で最良の方法を選択する
コストを切りつめて給水人口を増やす
コンドミニアル水道
コミュニティ給水栓プログラム
◆トイレを低所得層でも利用できるようにするフレキシブルな手法
し尿を土に還すエコ・サニテーション
低コストがオランギ・パイロット・プロジェクト(OPP)の成功要因
カラチ市当局の計画を変更させたOPPの実力
OPPに学ぶ「どのように造ったか」というプロセスの重要性
◆共同体をベースにした水と衛生施設の供給
共有トイレ運用の課題
◆「民営化」がもたらしたもの
上下水道サービスの「民営化」は問題だらけ
問題点から目をそらさせる口実にされた「民営化」
政府がかかえている問題は民営化しても変わらない
「民営化」は給水網の拡大に全く役立たない
進む多国籍企業から地元企業へのシフト
小規模事業者が排除されてきた歴史
公営企業の果たす役割は大きさを増す
◆管理を改善して、水の利用効率を高める
水不足と給水率との因果関係は薄い
「改善」の不透明な実態
都市に必要とされる追加水量は総取水量の一%にも満たない
水不足の解決策は水管理の改善と水源の確保
インフラストラクチャー整備は必ずしも貧困層の利益にならない
◆取り組み方を変える必要があるのは誰か
公的機関が担うべき役割
自治体単独での解決は困難
従来型手法を新手法と組み合わせる
清潔な環境づくりは基本的要件
供給機関の改革がもっとも有効な手段
地域に密着した取り組みを
公的支援を躊躇させる「すでに都市集中」という偏見
国際機関による水と衛生施設への支援は減っている
求められるのは実情に合った給水事業
貧しい人々への供給こそが急務
政府の都市貧困層への理解が解決の前提
ラゴス
インフラ崩壊に直面する大都市
ナイジェリアの旧首都となったラゴス
極度に低下した行政サービス
公営水道の不備が引き起こす大規模な水不足
公営水道の不備を補う民間事業者
水道事業の「民営化」がもたらす暗雲
州政府と連邦政府の対立が取り組みの進展を妨げている
予断を許さない改善への兆し

第三章 都市農業―食料と環境と生きがいのために

都市農業の復活―発展途上国から先進国まで広がるブームの実態
都市農業の発展が農家所得の向上につながっている
バンクーバー市民の四割以上が市民農園を楽しんでいる
◆都市近代化で衰退した都市農業の復権
近代文明により都市農業は一時衰退した
発展途上国では都市農業が再び必要になった
八億人が世界で都市農業をしている
都市農業の必要性への認識が広がる
◆食料砂漠を潤す都市農業
グルメ向けメニューからファストフードまで―都市食料事情
発展途上国にも広がる食習慣の大きな変化と肥満
趣味ではなく、必要に迫られている発展途上国の都市農業
空芯菜からナマズまで―バンコク近郊に食料生産基地
地場生産のメリット
大手スーパーの戦略で取り残された先進国の都市貧困層
カストロ政権の都市農業戦略
都市住民が農業に従事することで生まれる、さまざまな恩恵
ホーティカルチャー・セラピーにもなる都市農業
まなざしを「自販機」から「緑と花」へと変える都市農業
市民農園が提供する教育の場
コミュニティの復活に貢献する都市農業
◆コンクリートジャングルを癒す都市農業
人間の排泄物は貴重な「水源」ともいえる
都市農業は街に潤いを与える
営農は環境改善に役立つ
農業が都市の浄化機能に寄与する
リスクにも対応する都市農民
水の安全性向上に農業が役立つ
食べてだいじょうぶ?」―都市農業は環境問題への市民の関心を高める
廃棄物処理にも貢献する都市農業
都市住民の健康を脅かす工場式畜産
家畜の糞尿を燃料化する
都市近郊から工場式畜産を排除する
◆未来に向けて耕す「田園都市」
農業を脅かす無秩序な都市開発
自給する都市」―必要とされる都市農業への正当な評価
緑地保全は都市生活の崩壊を防ぐ基本
都市計画に食料市場を織り込む
ファーマーズ・マーケット七か所、市民農園八〇〇以上
都市に農地を残す
空き地を農業空間として再生する
生鮮食品関連融資イニシアティヴ―低所得層の健康のために
東京都の「屋上緑化」作戦
地域に根ざした食料政策が住民の暮らしを守る
住民参加が都市農業政策のポイント
未来に向けて耕す都市
フリータウン
長い紛争後の都市農業
シエラレオネの首都フリータウンの歴史
戦乱と荒廃のもたらす食料不足が都市農業を復活させた
戦後の復興過程でクローズアップされた都市農業
都市計画の中心に農業を据える試み

第四章 公共交通都市―クルマ依存から「歩きやすい街」へ

「クルマ」依存都市からの脱却
鉄道交通網の復権
グリーン交通への潮流
◆世界の都市の交通事情
クルマが生み出す負の側面―渋滞、事故、大気汚染
世界の都市の交通事情を検証する
マイカーの年間ガソリン使用量―突出するアメリカの都市
東京はアトランタの一〇分の一
マイカー利用率は豊かさのバロメータにならない
人口密度で変わるクルマ社会の弊害
公共交通を追いやるマイカー優先の都市政策
◆渋滞が日常化するクルマ依存都市
クルマ重点主義の政策が都市交通の柔軟性を失わせる
クルマのエネルギー効率は電車より極端に悪い
公共交通の利用者を増やせる可能性は高い
「SUV(スポーツ用多目的車)」は省エネ効果を半減させてしまった
大気汚染が深刻な発展途上国
圧縮天然ガス燃料の導入で大気汚染を改善する
混雑が少ない都市ほど燃料使用量は多い
道路ができるとクルマが増える!?
高速道路建設は交通事情の改善に役立たない
ロンドンの混雑税は有効な解決策
グリーン交通を選択した都市
強まる高速道路解体の動き
ソウル市長は道路より景観を選んだ
新たなパラダイム―公共交通は優れた公共空間を創り出す
「スローロード」―人間中心の公共交通政策
グリーン交通を支える鉄則
◆公共交通優先の都市に再構築する
機能的な「歩ける都市」を目指す
デンバー―鉄道建設を中心に交通網を再構築
バンクーバー―交通形態の変化が自動車の利用を減らす
パリ―公共空間をクルマから取り戻す試み
バス高速輸送システム(BRT)のメリット
世界中に広がるBRT
BRTと鉄道で発展途上国の交通事情を改善する
◆歩行者と自転車のために
「人間優先」の都市政策が全ての基本
◆都市交通の経済学
クルマ依存を覆す鉄道交通のメリット
公共交通への投資は経済を強化する
クルマ依存は非経済的
クルマを持たない豊かな生活
環境に配慮した交通政策は経済成長をもたらす
◆グリーン交通のヴィジョン
都市住民の多くは道路拡張よりもグリーン交通の拡充を望んでいる
市民社会は環境にやさしい交通体系を選び始めた
グリーン交通を進めるためには明確なヴィジョンが欠かせない
ロサンゼルス
スプロール現象の終焉
スプロール現象はなぜ起こったのか
際限のない拡張が終わる時
再開発が生み出す功罪
ロサンゼルスは新世紀の都市モデルとなりうるか
メルボルン
都市の炭素排出量を削減する
環境都市の先駆的取り組み
ビルの省エネと節水を強力に推進
グリーン電力購入と炭素固定にも取り組む
「持続可能なメルボルン基金」で水使用状況を監査
産官あげて気候変動に立ち向かう

第五章 エネルギー自給都市―再生可能への転換と効率改善

大量のエネルギーを消費している近代都市文明
都市は外部からのエネルギーに頼りきっている
持続可能なエネルギーへの転換のカギは都市が握る
◆都市のエネルギー需要と供給制約要因
マンハッタンはエネルギー効率が高い!?
さまざまな物資を都市に搬入するための膨大なエネルギー消費
大型の集中発電所からの送配電システムの不安定性
エネルギーサービスを受けられない人の二割は都市住民
温室効果ガスのほとんどは都市から排出されている
◆先端技術と古代の知恵を融合させて、エネルギー効率を改善する
総合的に省エネを図るグリーン建築物
オフィスでは日中も照明を付けているが、自然採光を利用すれば消費電力は激減
屋根の下に天井を張るだけでエネルギー効率は二倍になる
廃熱利用で総合エネルギー効率を高める
現代に甦る古代ローマ人の知恵
エアコンの廃熱が東京の夏を一℃熱くする
快適な居住空間は自然を上手に利用して
木を植えるだけで最大四〇%の省エネができる
ヒートアイランド現象緩和の切り札「屋上緑化」
さまざまな技術を融合すればエネルギー使用量を半分に減らせる
テナントも安定するので、グリーン建築物への投資は回収が早い
発光ダイオードと太陽電池を組み合わせる五五ドルの照明
古代ローマの日照権法
◆エジソンの想定―エネルギーの地産地消
マイクロタービンや燃料電池が都市のエネルギー自給を後押しする
拡大する再生可能エネルギーへのシフト
ヨーロッパで普及する建材一体型太陽光発電システム(BIPV)
中国は太陽熱システムの生産量でも使用量でも世界一
冷暖房システム改善の切り札「ヒートポンプ」
都市廃棄物をエネルギー原料にする
発展途上国にも普及したい「バイオガス化装置」
先進国で進む廃棄物の燃料化―医療廃棄物からタイヤまで
東京にもシンボルとして風車が
セーヌ川の水を空調に利用する
再生可能エネルギーだけで自給する地域も出現
エネルギー効率向上が再生可能エネルギー普及を促進する
再生可能エネルギーのメリット
再生可能エネルギー産業が雇用を創り出す
◆再生可能エネルギーの先進都市
バルセロナ―四年で太陽熱利用設備は一二倍に
促進要因になっている自然エネルギー供給割当制度
シカゴ―「アメリカでもっとも環境にやさしい都市」を目指す
需要をまとめることで電力を自由に選ぶ
大邸―エネルギー構造を見直し自給率を改善
メキシコシティー―エネルギー効率改善は新型電球の導入から
ケープタウン―二〇二〇年までに再生可能エネルギーを一〇%にする目標を掲げる
グリーンエネルギー開発に向けた都市連携が始まった
二〇五〇年に三・三トン/人―国際ソーラーシティ・イニシアティヴの目標
◆エネルギー革命―山積する課題と都市の潜在能力
再生可能エネルギー拡大の阻害要因は何か
エネルギー補助金を見直す
真のコストを反映していない市場の限界
ネガワット・サービス
クリントンのリーダーシップ
行政も金融も再生可能エネルギーを優遇する
納税者の負担を増やさずに、持続可能性目標は達成できる
エネルギー問題を契機に都市が気候変動防止の先頭に立つ
ピークオイルに対応する都市
日照市
太陽エネルギーで街おこし
中国の小都市・日照市が取り組む太陽光エネルギーの利用促進
ソーラー給湯器普及の軌跡
太陽エネルギー利用がもたらしたさまざまな光明
良質な環境は人を集める
マルメ
環境にやさしい再開発で街おこし
国際港湾都市マルメの歴史
再開発のキーワードは地元の再生可能エネルギー利用
ヒートポンプも活用する
反省が発展の原動力
環境問題への取り組みが人と企業を誘致する
発生した新たな問題

第六章 防災都市―人命と財産を守る都市づくり

防災都市の構築―自然災害を拡大させないために
忘れられがちな都市の小規模災害
◆被災の件数も規模も増大している
大型自然災害の被災者数は二〇年でほぼ倍増している
被災者の九八%は豊かでない国の住民
発展途上国の急激な都市化が災害に弱い都市を生み出す
◆大型自然災害と都市の「もろさ」
災害拡大の大きな要因は人為的問題
生活に追われる貧困のなか、後回しにされやすい「防災」
都市への移住が災害リスクを増幅する
大都市の多くが大型災害のリスクをかかえている
危険と分かっていても、都市から出て行けない人々
◆リスクのある環境
災害に弱い都市は繰り返し大災害を受ける確率が高い
ヒートアイランド現象が都市災害のリスクを高める
都市特有の自然災害
都市周辺の自然破壊が被害を大きくする
◆損害を軽減する取り組み
大量の雨がもたらす二次災害
企業も災害のリスクマネジメントに取り組みはじめた
◆都市における気候変動の影響
都市それ自身が地球温暖化促進の大きな要因
ニューオーリンズをはじめ、海面上昇の影響を受ける都市
ベネチアをはじめ、すでに始まっている海面上昇への対応
人口八〇〇万人以上の約二〇都市が海面上昇の影響を受ける
緑を増やす北京やシカゴ、減らしたワシントン
アメリカで、都市の自主的な温室効果ガス削減の動き
◆政府が果たすべき重要な役割がある
ムンバイ―市の失政で大洪水
狭い路地、弱い建物が被害を大きくする
ずさんな都市計画がまねく災害
都市当局をサポートするシティネット
法律によって防災対策を推進する
◆簡単に取り組める対策がある
住民自らが防災対策に乗り出した事例
一石二鳥―古タイヤで壁を補強する
拡大が期待されるマイクロ・インシュアランス
マイクロ・インシュアランスへの懸念もある
◆情報を行動に変えるために
全世界で利用できる警報システム「国際災害チャーター」
死者一〇〇人以上のニイラゴンゴ火山噴火―情報が行動に結びつかなかった悲劇
キューバの災害対策はアメリカよりも進んでいる
必要とされているのは、全住民につながっているネットワーク
過去の教訓を現在の行動に活かす
防災は貧困緩和に結びつく
災害リスクを軽減する具体的方策
防災に関する知識と情報を都市づくりに活かす
防災への取り組みは人命と財産を守るための機会であり責務でもある
ジャカルタ
「建ち退き」で貧困層の支持を得られない河川管理
洪水と隣り合わせの都市・ジャカルタ
川岸の開発が洪水被害を拡大させている
「世界最長のトイレ」―チリウン川
オランダも資金援助
治安部隊も動員する手荒い「立ち退き」
スハルト以来の政権不信
ムンバイ
住民が街を守る
スラム・パンチャートで不法居住区の治安を守る
女性の能力を活かしたシステム
違法な酒場を閉鎖したパワー
草の根レベルの民主主義の定着へ

第七章 公衆衛生都市―安全で健康に暮らせる緑の空間に

貧困・絶望・死―現代の都市がかかえる闇
都市がかかえる問題にどう対処するか
◆都市化に潜む深刻な健康被害と暴力
都市貧困層の乳幼児死亡率は農村貧困層より高い
人類史上最悪の状態に置かれている発展途上国の都市
農村からの都市移住者にのしかかる重層的な苦難
急速な都市化がもたらす歪
インフラストラクチャーの欠如が都市住民の命を脅かす
超過密な状態が健康被害を拡大させる
農村より、はるかに貧しい都市の食料事情
コンロによる屋内の空気汚染で年間一六〇万人が死亡している
都市の大気汚染が八〇万人を死に追いやる―そのおよそ半数は中国で
都市内の工場に吸い寄せられる貧困層のリスク
世界では道路交通事故で毎年一二〇万人が死亡している
複合汚染が都市住民の健康被害を増大させる
暴 力
ブラジル―一〇〇〇人の子どもの一・三三人がいずれ殺人の犠牲に
気候変動がもたらす都市の危機―干ばつ、洪水、マラリア
熱波による死者が五万二〇〇〇人を上回る
病院が近くにありながら、治療を受けられない都市貧困層
◆より健康的で安全な都市への改善
高水準の暮らしを実現した先進国の都市
先進国の都市を支える医療体制
ラテンアメリカ諸国は先進国より短期間で死亡率の低下を達成した
国家経済の動向に直撃される都市貧困層
最貧層のニーズをとらえることが重要
住民参加がなければ、改善プロジェクトの成功はありえない
予算編成に市民が参加
暴力問題の解決に若い市民層が参加
貧困地域の声に耳を傾け、都市計画に積極的に反映させる
最良の解決策は机上からではなく、貧しい人々の助言から生まれる
◆「人間にふさわしい生活」が保障される都市を目指して
都市の緑化は公衆衛生上の多くの利点を生み出す
何かをしなければ、都市は緑を失い「舗装生態系」にいきつく
都市農業は健康増進に役立つ
樹 木
緑が増えると犯罪が減る
「緑に親しむ権利」を守る公共緑地
緑地は都市住民の心を結び、安らぎをもたらす
あまりに多い自動車は都市の快適性を損なう
都市貧困層を巻き込む自動車事故
生活習慣病を減らす「歩きやすい都市」をつくる
◆全体論的に都市の将来を考える
「健康と長寿」「子どもに良き未来を」―共通の願いで貧困層と富裕層を結びつける
「自然から隔離された都市」「人間が疎外された都市」は心身に病をもたらす
反物質主義、資源共有、平和―その「都市の倫理」で連帯をする
ナイロビ
不法居住地域キベラの生活
キベラの名称の由来と歴史
九・四平方メートルに一家五人で暮らす
「家賃が高すぎて、ここにしか住めない」
父親が夜勤のとき、息子はそこに寝ることができる
再開発が土地価格の上昇をまねく
ケニア政府の「まちがい」
ペトラ遺跡
世界遺産における観光産業の管理
人口が急増した観光拠点ワディ・ムーサー
ペトラ地域計画作成評議会の創設と挫折
汚水が悪臭を放つムーサー峡谷
「ピンク色」の遺跡監視事務所
対応が遅れる政策
観光拠点に特有の課題と解決の方向

第八章 地域経済主義―グローバル化から経済を取り戻す

都市とコミュニティ
◆経済的利益―そのリアルコストは?
都市で進行する「格差社会」
中国―急速な経済発展が環境汚染を引き起こす
経済成長が環境と社会に不安定さをもたらす場合がある
農村経済の開発の影で取り残された都市の貧困層
それぞれの「持続可能な開発」
◆グローバル経済から地域経済へ
マクロ経済改革だけでは貧困は緩和できない
ボトムアップ・アプローチの必要性
グローバル経済は必ずしも地域経済を豊かにしない
ウォルマートの持続可能性イニシアティヴ
企業の取り組みだけで事足りるのか?
地元所有と地元代替が経済流失の防波堤になる
地元所有企業がもたらす相乗効果
地元所有企業がもたらす地域経済の安定性
多国籍チェーンストアは地域の貧困率を上昇させる
「拡大なき発展」が地域経済を豊かにする
地産地消は環境にやさしい
◆協同組合で地域経済を再生する
協同組合の基本原則
勤労者協同組合の理念
アルゼンチンにみる協同組合による企業再生
アナン前事務総長―「協同組合は国連の重要なパートナーである」
◆コミュニティ密着型融資
マイクロ・クレジットの基本的な考え方
三億人がマイクロ・クレジットの恩恵を受けている
驚異的な成功を収めるグラミン銀行
マイクロ・クレジットは女性のエンパワーメントにもつながる
地域経済強化に果たす信用組合の役割
カナダは信用組合利用率が世界一
低所得者を救うバンクーバー信用組合の金融サービス
民間金融機関のコミュニティ開発への取り組み
◆フェアトレードや地産地消の取り組みの躍進
フェアトレードは南北の互恵的つながりを築く
地域経済強化を促すフェアトレードの概念
五八か国、約一〇〇万人の農民と労働者
協同組合とフェアトレードの密接な関係
グローバル化から地域経済を取り戻す
活力ある地域経済を目指すビジネスネットワークの取り組み
地域経済を強化して、化石燃料に頼らない都市構造をつくる
◆地域経済の基盤を強化する
地方自治体の役割
地方自治体が実施できる対策
「悪いもの」へ課税すれば、市場が経済を望ましい姿に転換させる
企業戦略に組み込まれはじめた公益増進の観点
持続可能な開発を支えるCSR(企業の社会的責任)
地域経済発展には市民の参加が不可欠
◆コミュニティの資本:「私たちの資源」をすべて利用する
コミュニティ経済開発(CED)の基本方針
CEDイニシアティヴの事例
「持続可能な生活」を目指す戦略の有効性
都市住民にも有益な「持続可能な生活」の枠組み
従来型の経済開発から脱却する
注目されるコミュニティ資本の新たな側面
強力な地域経済こそが持続可能なコミュニティの基盤
ブルノ
ブラウンフィールドの再開発
工業建築遺産チェコ・ブルノ市ヴァンコフカの歴史
国を越えた協力が再生事業を支える
協力し合う行政と市民
ヴァンコフカ再生の道のり
他の都市再開発プロジェクトに活かされるヴァンコフカの成功

第九章 貧困や環境的差別との闘い―都市空間を公平にする

都市の裏の顔―劣悪な環境で暮らす貧しい人々
裕福な人々が出す汚染に苦しめられる貧困層
パールマン原則―持続可能性と都市の貧困のつながり
再び注目されはじめた都市の貧困
二〇二〇年までに、一〇億のスラム人口にさらに一〇億が加わる
◆「公平な都市」への障害
能力を欠いた腐敗した行政
暴力と烙印
都市への偏見
歪んだ国際援助
援助機関の現地離れした業務成績評価システム
公的機関の「前例踏襲」
評価に必要な信頼できるデータの不足
◆希望の兆し
同盟を組む都市貧困層の組織
国を越えた協力も始まる
都市貧困層組織の連合が、もたつく政府の尻を叩く
タイ―住民と地主を納得させる土地分有システム
タイは驚異的なハイペースでスラムを改善している
ポルト・アレグレ―住民参加型予算が「貧困の緩和」を優先事項に変える
住民参加型予算の課題
◆有効に機能する取り組みを共有する
先進事例に学ぶメガシティ戦略
対面的な相互学習が問題解決を促進する
カイロ―ゴミを商品に変えて、スラムから抜け出すことに成功したザバリーンの知恵
マニラ―カイロの成功事例を応用する
ザバリーンのリサイクルシステムを圧迫する多国籍企業
リオデジャネイロ―植林と食用作物の栽培で土地の浸食とスラムの拡大を防ぐ
ジャカルタ―リオデジャネイロの成功事例を応用する
市の財源で住民に賃金を支払う
クリチバ―快適で便利なバス高速輸送システムを開発
ニューヨークがクリチバから学ぶ
アメリカ(先進国)に広がるブラジル(発展途上国)の事例
「社会改革は果てしない闘いである」―不屈の精神が成功の条件
◆未来を約束する新たな方針
透明性のあるガヴァナンスを促進する
相応の仕事と最低限の収入を保証する
環境保全を目指すインフラストラクチャーを開発する
適切な土地利用と一貫性のある地域開発を奨励する
文化的多様性に寛容で、しかも求心力のある社会を育む
◆新たな方針のための基本的改革
地域に根ざした支援が求められている
NPOと都市貧困層をダイレクトに結びつける
進歩とその成果を測るためには共通の尺度が必要
情報の収集と共有こそが最大の力
求められるのは「違い」を前提にした柔軟なプロジェクト
弱者の声に耳を傾ける
「競争」と「排他的な適者生存の争い」から、「協働」と「非排他」への転換

商品情報・内容

■ 様々な地球環境問題を読み解く環境問題のバイブル

レスター・ブラウン氏が1974年にワールドウォッチ研究所を創設して、1984年に年次刊行物として、この『地球白書』を創刊しました。世界各国で翻訳されて「環境問題のバイブル」と評されるようになりました。この創刊号の主なテーマは「風力発電」「ソーラー発電」「食糧不足に向かう世界」でした。その後も「生物多様性」「エイズ」「鳥インフルエンザ」「酸性雨」「原発」から「CSR」「SRI」まで、常に世界に先駆けて問題提起と解決の提案をしてきました。

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