Monthly Book ENTONI. No.87
高齢者のめまい診断におけるpitfall
めまい診断・手順 青柳 優
めまいの診断は手間がかかるので,あらかじめ手順を決めておくとよい.
問診,眼振所見,画像診断が重要であるが,大切なことは「危険なめまい」を看過しないことである.
診療所における高齢者めまいの検査 中村 正
診療所における高齢者めまい診療では,末梢性疾患を適確に診断し危険なめまいを見逃さないことが重要で,
そのためには情報量が多く簡便に行える眼振検査が有効である.
高齢めまい患者の取り扱い上の注意点 石川 和夫ほか
高齢者に伴う身体機能の低下の具体的な側面と高齢者に多いめまい疾患への対応,
治療上の工夫と注意点.多剤服用の可能性と,めまいの原因となりうる薬剤への配慮.
高齢者めまいの画像診断 石川 牧子ほか
めまいを主訴とする高齢者の患者に多く見られる,代表的な脳血管障害,小脳橋角部腫瘍,
その他脳腫瘍および脊髄小脳変性症について,CTおよびMRIの画像所見を述べる.
高齢化社会におけるめまい 宮下 元明ほか
めまい患者における高齢者の割合は増加しており,その対応は重要な課題である.
平衡機能の低下している高齢者に対しては,生活指導や平衡訓練が非常に重要であると考える.
加齢と平衡機能 都筑 俊寛
高齢者の平衡機能は低下することが知られている.聴覚における蝸牛の加齢変化は良く知られているが,
加齢により末梢前庭機能が低下するかはまだ明らかでない.
温度眼振検査の緩徐相速度に低下を認めたことより,末梢前庭器官にも加齢変化が推定された.
加齢と身体動揺 山本 昌彦ほか
姿勢制御を重心動揺でみた場合,年齢と共に距離・面積の増加と共に左右動揺から前後動揺が強くなる.
60~70歳は個人差が大きいが80歳からは急激に姿勢制御が低下する.
加齢と前庭代償 北原 糺
前庭代償は一側末梢前庭障害後に生じる中枢前庭系の左右差を是正する神経回路構築の過程である.
加齢によりこの神経回路には脆弱性とそれを代償する変化が生じる.
高齢者のめまい 肥塚 泉
高齢者のめまいの病態は非高齢者の場合よりもより複雑になる可能性がある.
今後さらに増えるであろう,高齢者のめまい疾患への対応法について述べた.
高齢者のメニエール病 武田 憲昭
高齢者のメニエール病の発症には,高齢者特有のストレスが誘引になっている可能性がある.
高齢者の良性発作性頭位めまい症 小川 恭生ほか
BPPV症例を若年群と高齢群にわけ比較した.高齢群では若年群に比べ難治例が多かった.
めまいが続くとめまいへの不安のため日常生活のQOLを低下させる恐れがある.
自然治癒しない症例には積極的に理学療法を勧めるべきである.
高齢者の前庭神経炎 堀井 新
高齢者では前庭神経炎を疑う場合でも中枢疾患を念頭におく必要がある.高齢者の前庭神経炎では,
加齢による代償不全および続発する不安障害によりふらつきが遷延しやすい.
高齢者の椎骨脳底動脈循環不全症(VBI)
―その特徴と取り扱い方,臨床における問題点について― 新井 基洋ほか
椎骨脳底動脈循環不全症(VBI)は診断基準が統一されず,色々な捉え方をしているので,
概念を整理する目的で,
(1) ヒストリーと症状で診断できる典型的VBI症例と,
(2) めまい以外は臨床症状が無いため,末梢性めまいの鑑別が必要であるVBI症例,さらに
(3) VBIと誤診しやすい症例を提示した.
脳血管障害とめまい 松本 昌泰
超急性期治療を推進すべく,「めまい」などの脳卒中疑い症状についてのキャンペーンが広く行われており,
「めまい」を訴える脳卒中の臨床的特徴の認識が欠かせない.
高齢者の慢性ふらつき感について 大江 洋史ほか
原因不明であった高齢者の慢性ふらつき感の発生原因を電気生理学的機序より解明.
脳内聴覚系神経経路の障害と側頭頭頂葉の平衡機能中枢の電気的易興奮性(hyperexcitability)が一因である.
糖尿病とニューロパチー 佐竹 千尋ほか
糖尿病神経障害による起立性低血圧は末梢性めまいの原因となる.
起立性低血圧や低血糖などによるめまいについて述べる.
高血圧とめまい 木村健二郎
高血圧患者に見られるめまいの原因は多様である.その病態をしっかり把握して対処しなければならない.
特に,高血圧にともなう心血管疾患の危険因子は見逃してはならない.
メタボリックシンドロームとめまい 島本 和明ほか
めまいの原因には末梢前庭性と中枢性があるが,メタボリックシンドロームは動脈硬化を介して脳血管障害を増加させ,
中枢性めまいのうち脳幹・小脳血管障害,椎骨脳底動脈循環不全によるめまいと関連する.
高齢者の心因性めまい 中山 明峰ほか
高齢めまい患者は症状が慢性化し,難治例になっている場合が多い.再診断,
そして抗めまい薬・精神薬の再検討,さらに心理面のケアが必要と考えている.
高齢者の精神障害とめまい 渡部 廣行ほか
高齢者の精神障害の特徴は,症状が非定型的で多彩である.
すべての高齢者の精神障害で「めまい」を起こす可能性があり,「めまい」は見逃せない重要な徴候の1つである.
Monthly Book ENTONI. No.86
乳・幼児の耳鼻咽喉科疾患
-外来診療のコツ-
耳鼻咽喉科小児医療の問題点と特徴 新井 寧子
耳鼻科外来に占める就学前児の場合は,ばらつきが大きいとはいえ,平均20%もいる.
本誌に示された乳・幼児外来診療のコツは,長年の診療行為の中から工夫されたスキルで,
明日すぐに役立つであろう.
小児科との連携 木村 康子
小児で耳,鼻の症状があるとき,小児科,耳鼻咽喉科をどのように受診し分けているのか
保護者に対してアンケート調査した.医療連携に不具合があったと思われる例を提示し,問題点を述べた.
緊急疾患の初期診断のコツ 余田 敬子
意思疎通の難しい乳・幼児の緊急疾患,特に対応が遅れると致死的となりうる急性喉頭蓋炎,
気道・食道異物,咽後膿瘍,扁桃周囲膿瘍では迅速かつ的確な対応が求められる.
治療が難しかった症例
?いびきと睡眠時無呼吸を主訴に受診した幼児,慢性中耳炎の幼児から学ぶ? 工藤 典代
既成概念にとらわれず症状と経過から丁寧に鑑別診断を行う.急激なSASを呈した幼児と
慢性中耳炎の幼児の例から,頻度は多くないが悪性腫瘍や異物症について述べた.
多い疾患治療のコツ
急性中耳炎・滲出性中耳炎 野上兼一郎
鼓膜切開・換気チューブ挿入の適応や注意点,集団保育,耐性菌への対応,母親への説明,
小児科医との連携等について述べた.
多い疾患治療のコツ
急性咽頭炎・扁桃炎 鈴鹿 有子
乳幼児の急性咽頭炎・扁桃炎の原因は成人とは違ってウイルス性であることが多い.
経過の早い乳幼児にとっては迅速な診断とその対応がより重要である.
最近の迅速診断キットを説明しながら,治療の選択を解説した.
多い疾患治療のコツ
異 物 平林 秀樹
お母さんたちは,異物症の危険性は認識している.子どもがピーナッツや石をくわえると,
慌てて叫んで,驚いた子どもはこれを吸引する.異物症を啓蒙するだけでなく,その後の冷静な対応が必要.
長引く疾患治療のコツ
小児副鼻腔炎 駒崎 陽子
小児の鼻副鼻腔炎の症状を緩和するために効果的なProetz置換法,それに準じる鼻洗浄法を紹介する.
小児と保護者が笑顔で通院できる工夫も提示した.
長引く疾患治療のコツ
アレルギー 野原 修
小児のアレルギー性鼻炎に対する抗原特異的減感作療法(免疫療法)の手技,副症状への対策,
問題点などについて述べた.
長引く疾患治療のコツ
乳幼児のいびきと睡眠時無呼吸症候群(SAS) 新谷 朋子ほか
乳幼児期のいびき,SASの原因は鼻閉やアデノイド・扁桃肥大であり,長期の上気道狭窄によって顔面形態,
全身の発育,多動や学習障害との関連が指摘されている.
長引く疾患治療のコツ
漢方治療 山本 千賀
長期化する症例,再発する症例には常に頭を悩まされる.漢方治療には,それらを解決する糸口が存在している.
日常診療に漢方治療を取り入れ,効果をあげた症例を提示した.
Monthly Book ENTONI. No.85
悪性疾患をうたがう顔面および頸部所見
顔面神経麻痺 上田 祥久
顔面神経走行を解剖学的に解説し,代表的な末梢性顔面神経麻痺の原因を列挙した.
そのうち悪性疾患が原因で顔面神経麻痺をきたした症例について画像を用いて概説した.
脳神経麻痺 朝蔭 孝宏
耳鼻咽喉科医にとって脳神経の走行の理解は必須であり,特に海綿静脈洞の解剖,三叉神経の走行,
頸静脈孔を通過する神経の走行の理解が重要である.
顔面・頬部の腫脹 今手 祐二
顔面・頬部の腫脹をきたす悪性腫瘍の評価では骨破壊の評価にはCTが,
また腫瘍の性状や進展範囲の詳細な評価にはMRIが有用である.
顎下部の腫脹 藤本 保志
顎下部の腫脹をきたす疾患のなかで顎下腺癌,口腔癌の顎下リンパ節転移,
悪性リンパ腫などの診断・治療の流れを実際の症例を呈示しつつ述べた.
前頸部腫脹 家根 旦有
前頸部腫脹の代表的な悪性疾患である甲状腺癌の効率的な診断方法(エコー,穿刺吸引細胞診など),
喉頭癌などの前頸部進展例の検査方法について述べる.
上深頸部腫脹 吉崎 智一
上深頸部は下顎骨の存在により死角になりやすい.最も注意すべき疾患は上咽頭癌であるが,
耳下腺癌や聴器癌も念頭に置くべきである.上咽頭癌はしばしば両側性転移をきたす.
中・下深頸部腫脹 藤井 隆ほか
中・下頸部腫脹が悪性腫瘍のリンパ節転移である場合には進行癌であり,診断確定は急を要するため,
頭頸部癌・悪性リンパ腫を念頭に置いた頸部所見と鑑別診断について述べた.
鎖骨上窩腫脹 冨田 俊樹
鎖骨上(窩)リンパ節の腫脹は遠隔臓器に生じた癌の転移が多い.その多くは予後もきわめて不良であり,
他の頸部リンパ節腫脹とはおのずと異なった対応が必要となる.
多発性のリンパ節腫脹 荻野 武
多発性頸部リンパ節腫脹において悪性疾患を見逃さないためには,
各疾患の触診や検査所見の特徴を念頭に置いて診察することが重要である.
頸部皮膚の発赤・腫脹・分泌物 三谷 浩樹
頸部皮膚の発赤・腫脹・分泌物を有する悪性疾患は転移性リンパ節腫脹,
原発癌皮膚浸潤や癌の皮膚転移が代表的であり様々な臨床例を示す.
Monthly Book ENTONI. No.84
耳鼻咽喉科に必要な補聴器の知識update
補聴器外来を行うための準備
―検査・周辺設備・補聴器業者の選択― 西村 忠己
社会状況の変化に伴い補聴器診療の耳鼻咽喉科医の役割が重要になってきている.
補聴器外来を行うために必要な検査・周辺設備と補聴器業者の選択について解説した.
補聴器の適応 武田 英彦
耳鼻科医としての補聴器診療において,適応を判断する上で,診察で注意すべき点,
器種を選択するときの注意,現在注目されている補聴器についても紹介し,
耳鼻科医の適応判断の重要性を解説した.
補聴器の装用効果を認めるが装用しない症例とその対応 寺崎 雅子
高齢化社会とともに聴覚障害者も多くなっている.本人や家族の理解も大切であるが,
いかに装用意欲を引き出せるかが大きな要因と思われる.
補聴器と法律
―障害者自立支援法と補装具(費)支給制度の変更点― 三邉 武幸
身障法による聴覚障害者(児)に対する補装具給付制度は,障害者自立支援法に基づく
補装具費支給制度(2006年10月から)に移行した.これにより補聴器の交付制度も,変更になった.
補聴器外来での問診,チェック項目 硲田 猛真ほか
補聴器の選択についてのチェック項目について述べた.
補聴器の全般効果についての質問紙「きこえについての質問紙2002」を紹介した.
補聴器使用中のトラブルと対応 深美 悟
補聴器使用中のトラブルには,電池異物,印象剤耳内異物,鼓膜穿孔,外耳・中耳炎の悪化,
急性感音難聴が挙げられる.トラブルが起こった場合,早急な対処を行う必要がある.
補聴器装用に関しての患者教育・リハビリテーション 杉内 智子
補聴器の患者教育とはカウンセリングと装用指導の積み重ねであり,
聴覚リハビリテーションとしてはより積極的なプログラムやコミュニケーション指導の充実が期待されている.
補聴器のフィッティングと限界
―患者の訴えに対する対応と調節― 大氣 誠道
補聴器をフィッティングする際のチェック票を作成し,トラブルシューティング形式の対処法をまとめた.
補聴器の限界は,調整する側に問題がある場合が多いと思われた.
幼小児へのフィッティング 大上麻由里ほか
小児,特に乳幼児に対する聴力評価方法と補聴器フィッティング方法,
ハビリテーションについて最近の文献により考察した.
Monthly Book ENTONI. No.83
耳鼻咽喉科外来における
超音波実践マニュアル
超音波の最新の動向 西崎 和則
超音波診断装置の技術革新の中で,高画質化技術,とくにこの中心であるティッシュハーモニックイメージング法,
ドプラ法,画像処理法における最新の動向について焦点を当てて述べる.
正しい超音波検査を行うために 児嶋 剛ほか
頭頸部領域の超音波検査においてより客観的で正しい診断を行うために
超音波検査の基本とどのような検査手順で何に注意すべきかを中心に述べた.
甲状腺・上皮小体疾患に対する超音波診断 安里 亮
甲状腺悪性腫瘍の超音波像は形状不整,境界不明瞭,性状粗雑,境界部低エコー帯不整で,
内部エコーは低く,高エコーが微細で多発する.上皮小体腫瘍は均一な低エコーである.
唾液腺疾患に対する超音波診断 平井 良治
唾液腺腫瘍の超音波診断において,血流状態の把握を含めることで,
より詳細な情報を得ることができることを,実際のエコーを提示して説明した.
頸部リンパ節腫脹の超音波診断 宮本 幸夫ほか
リンパ節は,比較的表層に存在する場合,高分解能超音波診断のもっとも良い対象と臓器である.
本稿では,カラードプラ診断を含めて,リンパ節の超音波診断に関し概説する.
頸部膿瘍・嚢胞性疾患に対する超音波診断 竹本 成子ほか
多種多様な腫瘤・嚢胞性の病変が存在する頭頸部領域においては,超音波検査は非常に有用である.
診断のポイントと治療にもつながる穿刺吸引の手技についても述べる.
頸部エコーガイド下穿刺吸引細胞診・組織診(EG-FNAB)の実際 小野田友男ほか
エコーガイド下穿刺吸引細胞診は,頭頸部腫瘍診断の決め手となることが多い.
その適応・手技・合併症・限界について述べた.
消化管に対する3D-EUS(3次元超音波内視鏡) 小林 隆ほか
消化管(特に食道)疾患に対する3次元超音波内視鏡検査の有用性や,
本装置の下咽頭疾患等に対する応用の可能性について述べた.
頸部血管超音波検査の実際 湧川 佳幸ほか
頸部血管超音波検査では内頸・椎骨動脈のプラーク性状,近位部や遠位部の狭窄・閉塞病変まで推定できる.
本稿は超音波検査による頸動脈血管病変の診断法について概説する.
めまい診断における頸動脈・椎骨動脈の超音波検査 山中 敏彰ほか
めまい診断における頸部超音波ドプラ検査の役割と有用性について概説し,
総頸・椎骨動脈の血流動態異常によりめまいが発生する病態メカニズムについて考察した.
Monthly Book ENTONI. No.82
小児のアレルギー性鼻炎
小児アレルギー性鼻炎の疫学と特殊性 湯田 厚司
小児アレルギー性鼻炎は低年齢化・重症化している.小児スギ花粉症も急増している.
急性副鼻腔炎や滲出性中耳炎の上気道疾患の合併も考えての治療アプローチが必要である.
小児アレルギー性鼻炎の診断のコツ 太田 伸男
小児アレルギー性鼻炎の症状は成人と大きく異なり,多彩であることを念頭におき問診を進め,
的確に診断することが重要である.
小児のスギ花粉症 増田佐和子
スギ感作は幼児期に成立することも少なくない.小児花粉症の特徴と診断のポイント,
乳児期からの抗原対策,治療における本人・保護者・医療側の協力の必要性について解説する.
小児アレルギー性鼻炎の抗原除去・回避とその実際 榎本 雅夫ほか
小児通年性アレルギー性鼻炎の治療で重要な室内塵中のチリダニの除去・回避について,
環境内家庭チリダニ汚染度の現状やその効果的な除去法についての最新情報を記述した.
経口薬物療法 後藤 穣
最近,非鎮静性の小児用第2世代抗ヒスタミン薬が上市され,薬物療法の意義が拡大した.
早期介入により他のアレルギー疾患の合併が少なくなる可能性が期待されている.
小児のアレルギー性鼻炎の局所療法 工藤 典代
小児に対し通常行われる局所療法は鼻処置,ネブライザー療法,鼻内噴霧用薬剤の使用、
温熱療法などであり,効果がない場合には下鼻甲介手術なども施行し効果をあげている.
小児アレルギー性鼻炎の免疫療法 大橋 淑宏
免疫療法はアレルギー性鼻炎を根治し,花粉に対する感作や花粉症の発症を予防しうる.
したがって,小児に対する免疫療法は成人におけるよりもさらに意義は大きい.
小児における気管支喘息とアレルギー性鼻炎との関わり 藤澤 隆夫
小児におけるアレルギー性鼻炎と気管支喘息の臨床的関連を概説する.
低年齢児でしばしば困難である診断のポイントについてもふれたい.
上気道感染と小児アレルギー性鼻炎 堀口 茂俊ほか
アレルギー性鼻炎は典型的I型アレルギーであり,その病態は,特異的IgEが肥満細胞に固着するまでの感作相と,
肥満細胞上のIgEが再びやってきたアレルゲンと架橋することによって始まる一連の炎症反応と
それに伴う症状発現がみられる実効相とに分けられる.
本稿ではこの2つの相である「感作相」および「実効相」に関わる上気道感染について述べる.
生活指導の要点 小澤 仁
生活指導のポイントは,原因アレルゲンの検索と患児の生活環境や生活習慣の調査を実施して,
患児一人ひとりの個人差を的確に認識して指導することである.
Monthly Book ENTONI. No.81
メニエール病とその周辺疾患
メニエール病の疫学と環境因子 大貫 純一ほか
厚生労働省班研究結果を基に,メニエール病の疫学,環境因子について概説する.
また,メニエール病患者の特異な行動特性についての知見も述べる.
メニエール病の神経耳科学的所見 室伏 利久
メニエール病では,聴覚検査・平衡機能検査ともに病期によって様々な所見を呈する.
また,各種の内リンパ水腫推定検査がある.
メニエール病の薬物療法と生活指導 関根 和教
メニエール病の薬物療法のエビデンスとその原著論文を示し,エビデンスに基づく治療法の選択例を示した.
メニエール病の再発―EBMに基づいて― 土井 勝美
メニエール病再発についてEBMに基づいて論ずるためには,double-blind,randomized,
placebo-controlled studyからの良質な情報の蓄積が不可欠である.
メニエール病の手術治療 内藤 泰ほか
保存的治療で軽快しないメニエール病例に手術治療が有効である.
めまいの制御では前庭神経切断術が勝るが,内耳機能を温存するという点では内リンパ嚢開放術が優れている.
両側性メニエール病 柿木 章伸
メニエール病の病理組織学的特長は内リンパ水腫であるが,発症機序に関しては不明である.
近年内リンパ水腫と抗利尿ホルモンの関連が報告されているが,これらの研究成果を紹介するとともに,
両側性メニエール病の特徴と治療方法について述べる.
メニエール病の経過と予後 將積日出夫
メニエール病は,初発症状から確実例への移行は一定でなく,症例により症状や予後は様々で,
重症度についても自然寛解例から保存的治療に抵抗する難治例まで広範囲に及び,予後が異なる.
メニエール病と遅発性内リンパ水腫との関係 國弘 幸伸
メニエール病も遅発性内リンパ水腫も基本的病態は内リンパ水腫であると考えられている.
ただし,
遅発性内リンパ水腫は先行する一側の難聴を有する患者に生じるという点がメニエール病と異なる.
遅発性内リンパ水腫患者において先行する一側耳の難聴の原因はウイルス感染と考えられている.
そのウイルス感染に生じた潜在的な障害によって良聴耳の難聴,
めまいが発現するようになったのが対側型遅発性内リンパ水腫ではないかと推測され,
メニエール病の原因を探る上で興味深い.
メニエール病と低音障害型感音難聴との関係 長沼 英明
低音障害型感音難聴を予後良好な疾患と考える立場から,将来メニエール病に発展する可能性のある疾患ととらえ,
その初回発作でも軽微ではあるが内耳に障害を残す可能性があり,
発作のたびにその障害が蓄積されるという意識を持つべきではないだろうか.
内リンパ水腫をきたす疾患 水田 啓介
内耳梅毒,自己免疫疾患,慢性中耳炎,外リンパ瘻などの疾患ではメニエール病様の症状を呈し,
グリセロール試験や蝸電図検査で内リンパ水腫が推定される症例がある.
Monthly Book ENTONI. No.80
耳手術におけるインフォームドコンセント
―私はこうしている―
外耳道・鎖耳の手術 二井 一則ほか
外耳は集音・音の伝達・共鳴という機能面の他に,美容的な意味でも重要な器官である.
術前のインフォームドコンセントにおいて機能面に加え美容面にも重点を置かなければいけない.
埋め込み型骨導補聴器手術のコツ 高橋 直人ほか
BAHAは海外で広く普及している補聴器であるが,国内では未だ報告は少ない.
現在,治験が進められている.
鼓膜切開・チューブ留置術 山内 一真ほか
中耳炎に対する外科的治療である鼓膜切開および鼓膜換気チューブ留置術に関して,
メリット・デメリットを具体的に示しながら,患者側への説明で気をつけるポイントについて述べた.
鼓室形成術(慢性中耳炎) 奥野 妙子
慢性中耳炎を放置すると,中高年になって次第に骨導低下を生じることが多い.
手術で鼓膜閉鎖を行うことにより骨導低下を防ぐことができる.
鼓室形成術(真珠腫性中耳炎) 橋本 茂久ほか
当科で使用している鼓室形成術(真珠腫性中耳炎)のインフォームドコンセントシートの項目に沿って説明した.
成績や合併症についてはなるべく自施設のものを用いた.
耳硬化症の手術(アブミ骨手術) 土井 勝美
アブミ骨手術を施行する際には,重篤な合併症の発生を防止する慎重な手術操作,
習熟した手術技量,そして,丁寧できめ細かな術前のインフォームドコンセントが要求される.
メニエール病手術におけるインフォームドコンセント 鈴木さやかほか
メニエール病の自然経過は,聴力は低音障害型から高音障害に変化し最終的には水平型の高度難聴に移行する.
めまい発作は10年の経過で8割が自然寛解すると予測される.外科治療は薬物治療に抵抗する場合に考慮され,
かつ自然経過より改善される必要がある.その際に内リンパ嚢開放術は内耳機能を保存し,
めまい制御の面からは自然経過よりすぐれており,第一選択となる.
外科療法は短期予後を改善することに留意する必要がある.
顔面神経減荷術におけるインフォームドコンセント
―私はこうしている― 村上 信五ほか
顔面神経減荷術のインフォームドコンセントは手術治療の必要性とメリット・デメリットついて
十分理解を得ることである.また,入院治療や手術の説明にはわかりやすい解剖図や手術書,
クリニカルパスを用いるのがよい.
聴神経腫瘍手術(経迷路・経中頭蓋窩法) 角田 篤信
経迷路法と経中頭蓋窩法では腫瘍の大きさや聴力により適応が異なり,副損傷も異なる.
主治医の方針を説明し,患者の理解を得た上でインフォームドコンセントを得る.
人工内耳手術(成人と小児) 枝松 秀雄
人工内耳のインフォームドコンセントは,成人例と小児例での適応の違い,手術内容,有害事象,
リハビリテーションなど通常の耳科手術よりも説明項目が多く慎重に行う.
Monthly Book ENTONI. No.79
耳鼻咽喉科における小児への投薬
〈編集企画にあたって〉
序 馬場 駿吉
小児の服薬指導―上手な薬の飲ませ方― 飯ケ谷七重ほか
小児の服薬コンプライアンスを上げるためには,乳児期,幼児期,小児期など,
時期に適した薬の剤形や服用方法の工夫が必要である.
外耳道炎 小林 一女
びまん性外耳道炎,真菌症は細菌と真菌の混合感染のことがある.
小児の耳帯状疱疹はBell麻痺と診断されている症例もある.接触性皮膚炎が原因の湿疹は原因の除去が大切である.
急性中耳炎 山内 一真ほか
急性中耳炎患児の臨床症状と鼓膜所見から重症度分類を行い,
重症度に応じた治療法を選択していくことが重要である.
小児慢性中耳炎の特徴と保存的治療 谷川 徹ほか
急性憎悪時には,経口抗菌薬と点耳薬(抗生剤とステロイド薬)の外用を行う.
薬剤耐性菌による重症例では,注射用抗菌薬と徹底した鼓室洗浄で菌数を減らすことが重要である.
滲出性中耳炎 飯野ゆき子
小児滲出性中耳炎は“watchful waiting”が基本であるが,発症後3か月を経過した慢性症例では
影響する周辺疾患に対して,また増悪期にも適切な投薬が必要である.
小児急性感音難聴 曾根三千彦
小児急性感音難聴の診断には,画像検査が必要な事が多い.小児期に特徴的な疾患の把握とともに,
ステロイドを中心とした適切な薬物用法に精通しておくべきである.
めまい 水田 啓介
小児のめまいの治療の原則は成人と同様であるが,選択薬剤を慎重に選択する必要がある.
起立性調節障害が最も多い.塩酸ミドドリンが使用しやすい.
動揺病―小児に多い乗り物酔いの対策― 山本 昌彦ほか
乗り物酔いは訓練によって酔わない体を作る事ができることを認識する事が必要である.
顔面神経麻痺 村上 信五ほか
Bell麻痺とRamsay Hunt症候群ではステロイド薬と抗ウイルス薬を,
また,中耳炎性では抗生剤とステロイド薬を中心に投与する.重症度に応じて投与量を決定するが,
麻痺発症3日以内の治療が重要である.
鼻・副鼻腔炎 春名 眞一
抗菌薬の第一選択はペニシリン系が中心となり,慢性期にはマクロライド療法が有効である.
局所治療として,点鼻ステロイド薬や十分な鼻処置後の鼻ネブライザーは有効である.
アレルギー性鼻炎 大久保公裕
小児アレルギー性鼻炎は花粉症を含め増加している.小児では成人ほどQOLは悪化していないが,
人での重症化を考えると抗原回避や抗原特異的免疫療法が重要で,
薬物療法でも副作用の少ない薬剤の処方が望まれる.
鼻出血 松根 彰志ほか
小児の鼻出血では,出血点に対する処置と,基礎疾患に対する投薬も含めた治療が重要である.
嗅覚障害 池田 勝久
小児の嗅覚障害の原因として慢性副鼻腔炎にはマクロライドの半量長期療法,
アレルギー性鼻炎にはアレルギー治療内服薬や副作用の少ない局所ステロイド点鼻が推奨される.
耳下腺炎―化膿性耳下腺炎,流行性耳下腺炎などへの薬― 工藤 典代
ムンプスは対症療法で解熱鎮痛薬はアセトアミノフェンが安全とされる.反復性耳下腺炎,
化膿性耳下腺炎にはペニシリン系抗菌薬を第一に投与する.
急性咽頭炎 片田 彰博ほか
日常診療で遭遇することの多い小児急性咽頭炎について,起炎微生物,診断のポイント,
鑑別診断,抗菌薬使用の注意点について解説した.
急性扁桃炎(扁桃周囲膿瘍を含む) 藤澤 利行ほか
小児急性扁桃炎の治療は軽症例では抗菌薬使用を避け,中等症以上で抗菌薬(主にペニシリン系)を使用する.
扁桃周囲膿瘍では抗菌薬を使用するが切開排膿が必要不可欠である.
伝染性単核球症―鑑別診断と薬物治療の考え方― 及川 敬太ほか
伝染性単核球症は基本的に予後良好で治療は対症療法で良い.
しかし重篤な合併症(特に血球貪食症候群や慢性活動性EBウイルス感染症)の出現に気を配ることが必要である.
急性喉頭炎 桜井 一生
小児の急性喉頭炎,なかでも迅速かつ適切な診断・治療が必要な急性声門下喉頭炎を中心に
その薬物療法について述べた.
喉頭麻痺 唐帆 健浩
喉頭麻痺の原因と予後は,成人と小児では大きく異なる.小児喉頭麻痺では,
片側麻痺であっても呼吸困難を生じることが少なくなく,気道管理が重要である.
自然回復も多いため,長期の経過観察が必要である.
深頸部膿瘍 渡辺 哲生
小児深頸部膿瘍に対する投薬は感染症であるので抗菌薬となる.投薬方法よりもその選択が重要である.
自験例と文献的検討から抗菌薬の選択について述べる.
小児悪性腫瘍 白倉 聡ほか
小児悪性腫瘍は肉腫が最も多く,その初期治療は化学療法となる.使用薬剤,プロトコール,
合併症などについて述べる.
小児耳鼻咽喉科疾患の漢方療法 山際 幹和
漢方治療が第一選択になる小児耳鼻咽喉科疾患は皆無に近い.その中で,
アレルギー性鼻炎の発作期に対する麻黄剤を用いた漢方治療の有用性は高く,試みる価値はある.
Monthly Book ENTONI. No.78
急性低音障害型感音難聴
―その診断と治療―
急性低音障害型感音難聴と突発性難聴 山崎 一春ほか
急性低音障害型感音難聴と突発性難聴について診断基準という点から解説を行った.
疾患として確立する歴史的背景や変遷についてもまとめてみた.
急性低音障害型感音難聴の疫学 川島 慶之ほか
厚生労働省の急性高度難聴に関する調査研究班が行った疫学調査を中心に,
既報告のうち比較的症例数の多いものをまとめ,急性低音障害型感音難聴の疫学として概説した.
急性低音障害型感音難聴とメニエール病 和田 涼子ほか
急性低音障害型感音難聴はメニエール病よりも軽症が多いが,
発症・増悪因子に共通の特異な行動特性が関与しており,長期化で予後は不良となる.
急性低音障害型感音難聴の診断
―実地臨床の立場から― 阿部 隆
厚労省診断基準を100%は満足しない「準確実例」も実地臨床では本疾患として扱うべきである.
本疾患はどの年代にもどんな既難聴者にも起こり,聴力型が「低音障害型」を示すとは限らない.
急性低音障害型感音難聴と画像 杉浦 真
急性低音障害型感音難聴と診断されていた症例のなかにMRI等により聴神経腫瘍,肥厚性硬膜炎,
特発性低髄圧症候群と診断される症例があり画像診断の有用性を認める.
低音障害型感音難聴の臨床検査 井上 泰宏
低音障害型感音難聴には様々な病態が含まれていると考えられる.
本稿では,特に内リンパ水腫との関係に注目して,各種臨床検査の結果を検討した.
低音障害型感音難聴と遺伝子 八島 隆敏ほか
低音障害型の遺伝性感音難聴はDIAPH1とWFS1の2つの原因遺伝子が同定されており,症例も少ないことから,
聴力像が原因遺伝子検索の鍵となりうる.
急性低音障害型感音難聴の治療
―実地臨床の立場から― 佐藤美奈子
本稿では,ステロイド以外の薬剤の効果について述べた.また,発症に各種ストレスが深く関与することから,
心理的側面を考慮し,心理治療を併用することも効果的である.
急性低音障害型感音難聴の治療
―ステロイド― 真鍋 恭弘
急性低音障害型感音難聴にステロイドを投与する場合は,ステロイド薬の種類,投与方法,
投与期間が重要である.
Monthly Book ENTONI. No.77
鼻科画像診断マニュアル
鼻副鼻腔の画像読影のポイント 中西 淳ほか
画像診断(CT・MR)は鼻副鼻腔疾患の炎症と腫瘍(良性・悪性)の鑑別に有用である.
画像所見のポイントとして,先に炎症と腫瘍の鑑別,次に鼻腔と副鼻腔に生じやすい腫瘍に分けて述べる.
鼻副鼻腔の正常画像 藤森 正登ほか
鼻副鼻腔の構造を理解するには軸位断、冠状断画像から頭の中に3Dイメージを構築するトレーニングが必要である.
本稿では正常同一人のCT,MRI画像を取り上げた.
鼻副鼻腔の外傷 鴻 信義
顔面外傷ではしばしば複数の顔面骨が同時に骨折する.また眼窩壁骨折や頭蓋底骨折など周囲の骨折を伴いやすい.
主にCT(必要なら3次元再構築)を用いて受傷後早期に診断する.
鼻副鼻腔の炎症性疾患 小松 正規ほか
慢性副鼻腔炎の病態の多様さが明らかになってきており,その病態把握・治療方針決定のためには
治療前の画像による診断が重要である.
急性副鼻腔炎の合併症 松根 彰志ほか
急性副鼻腔炎の合併症は,
(1) 眼窩内合併症と
(2) 頭蓋内合併症が2大合併症である.
これら2大合併症について概括し,最近経験した症例のCT画像を提示する.
副鼻腔真菌症 深澤啓二郎
限局型および浸潤型副鼻腔真菌症におけるCTおよびMRI画像の特徴について述べた.
また,アレルギー性副鼻腔真菌症についても解説した.
副鼻腔嚢胞 三澤 逸人
骨条件のCTにて嚢胞壁の形態を,軟部組織条件のCTで嚢胞壁と周囲組織の相互関係を読影し,
CTで情報が不十分な場合や手術歴・外傷歴のない場合にはMRIが適応となる.
手術に役立つ画像上の特徴 村田 英之
術前に確認すべき解剖学的バリエーションと手術操作における注意点を中心に述べ,
ナビゲーションシステム,virtual endoscopyの位置付けについても言及した.
良性腫瘍 上條 篤ほか
鼻副鼻腔良性腫瘍のうち,inverted papilloma,上顎洞血瘤腫,血管腫,若年性血管線維腫,
神経鞘腫,異所性髄膜腫,線維性異形成症,骨腫の画像所見を解説した.
悪性腫瘍 有泉 陽介ほか
鼻副鼻腔悪性腫瘍の画像所見について述べた.特に治療方針に大きく影響すると思われる硬膜,
眼窩,翼口蓋窩浸潤の画像所見については実例を呈示し解説した.
Monthly Book ENTONI. No.76
私が診断・治療に苦慮した中耳炎
小児反復性中耳炎の治療
―特に保育園児に多いといわれるがその原因と対策について― 工藤 典代
急性中耳炎を反復する低年齢児の現状と背景を認識し,感染予防,免疫グロブリン注射,
抗菌薬の適正使用,鼓膜チューブ留置など可能な対策について述べた.
鼓膜チューブ脱落後の鼓膜穿孔 立本 圭吾
かかる穿孔は意図的に鼓膜を開窓したことによる医原性要素を含んでいる.
発生を予防することはもちろんのこと,さらなる不利益を招かないように慎重な対応が必要である.
慢性中耳炎における薬剤耐性菌感染の治療 奥野 妙子
局所を大量の生理食塩水で頻回に洗って細菌数を減らす.外来治療でも手術中でもこれを基本とし,
感受性の残る抗菌薬を全身投与する.
難治性滲出性中耳炎―GERDとの関連― 曾根三千彦ほか
成人の滲出性中耳炎の誘因として胃酸逆流の可能性を示した.難治性滲出性中耳炎症例中,
特に胃酸逆流症状を有する場合には,プロトンポンプ阻害薬等の胃酸逆流に対する治療も考慮すべきである.
成人急性中耳炎と骨導閾値上昇 藤田 信哉ほか
急性中耳炎の中には骨導閾値上昇をきたす症例もあることを念頭に置くことが,
中耳炎後遺症としての難聴を予防する観点から重要である.
好酸球性中耳炎の診断と治療 飯野ゆき子
好酸球性中耳炎は主に気管支喘息に合併し,好酸球を多数含む黄色で粘稠性な中耳貯留液を有する.
ステロイド薬の局所・全身投与が基本的治療で,トリアムシノロンアセトニド鼓室内注入療法の有効性が高い.
鼓室硬化症を伴う慢性中耳炎の聴力改善手術 河野 浩万ほか
鼓室硬化症を伴う慢性中耳炎のアブミ骨可動性障害例に対しては,
まず鼓室形成術により術後含気した鼓室の形成を目指す.1年以上安定している症例に対しては,
アブミ骨手術による聴力改善が期待できる.筆者の行っている全耳小骨再建術を紹介する.
癒着性中耳炎の手術と長期成績 小島 博己
癒着性中耳炎の手術適応,手術手技および長期成績などについて述べた.
真珠腫性中耳炎の合併症 欠畑 誠治
真珠腫性中耳炎は様々な合併症を伴うが,代表的な合併症の診断と治療について述べた.
真珠腫性中耳炎・術後再発例の手術における後壁処理 谷口 昌史ほか
第2段階手術時に認められた術後再発例に対しては,真珠腫の再発部位や進展範囲などを確認し各症例に
最も適した術式を選択することが重要である.
Monthly Book ENTONI. No.74
診療所における先端補聴器機に関する説明は?
―人工内耳・人工中耳・埋め込み型骨導補聴器など―
人工内耳と補聴器の関係 大山 健二
人工内耳と補聴器の現状について解説し,それぞれの特徴や両者の併用,
さらには人工内耳の両側埋め込みによる聴覚補償効果についても言及する.
人工内耳の原理と器機 牛迫 泰明
2006年にはメドエル社製Combi40+システムとコクレア社製ContourインプラントCI24R(CS)が認可された.
人工内耳の普及において機種の選択肢が広がることが望まれる.
人工内耳の適応
―「人工内耳リハビリセンター」での実際― 神田 幸彦
新しい適応基準,適応基準の歴史的・国際的な背景,
当施設の「人工内耳リハビリセンター」における人工内耳までのプロセスを述べる.
人工内耳の手術 武田 英彦ほか
人工内耳手術手技は電極の種類によって多少異なる.
人工内耳手術の成人の標準例に対する実際的な手術手順と注意すべく点について解説した.
人工内耳手術後のリハビリテーション 城間 将江
人工内耳手術後の(リ)ハビリテーションの主な内容と,それぞれの意義について述べた.
特に小児については聴覚活用だけではなく,個の自立という長期展望を持って
保護者も含めて支援することの重要性について述べた.
人工内耳の聞き取り成績と学校教育 井脇 貴子
人工内耳装用児の聴取能と言語発達および学校教育の重要性について記載した.
人工内耳はどの病院へどの段階で紹介するか 宇良 政治
高度難聴者,特に乳幼児では早期の適切な聴覚補償と療育が言語発達にとって重要となる.
聴覚補償と療育の専門的知識と経験を積んだ施設との連携を密にし,円滑な療育が行われる必要がある.
人工中耳と補聴器との関係 東野 哲也
人工中耳には感音難聴を対象にした埋め込み型補聴器と混合難聴を対象にしたリオン型人工中耳があるが,
いずれも従来の補聴器による聴力確保に満足していない難聴者が対象となる.
人工中耳の原理と器機 本多 伸光
人工中耳はトランスデューサーと振動子を中耳に埋め込み,振動を直接内耳に伝えて補聴効果を発揮するため,
優れた周波数特性,過渡応答を有し,自然で明瞭な音が提供できる.
人工中耳の適応・手術とその手術成績 齋藤 武久
リオン型人工中耳の手術適応,手術の実際,術後成績について解説する.
当科で施行された症例の長期にわたる術後聴力成績は良好で,患者の満足度も大きかった.
埋め込み型骨導補聴器(BAHA)と手術や補聴器との関係 戸叶 尚史
BAHA(Bone-anchored Hearing Aid)は埋め込み型骨導補聴器と訳され,
近年我が国においても複数の施設において行われるようになった.
埋め込み型骨導補聴器(BAHA)の原理と器機 岩崎 聡
BAHAは骨結合の特性を持ったチタン性インプラントにより,
側頭骨から蝸牛に音振動を伝達することで良質な音声を聞き取る埋め込み型骨導補聴器である.
埋め込み型骨導補聴器(BAHA)の適応・手術とその成績 近藤 千雅
BAHAは伝音系障害をはじめ,様々な疾患において選択肢となり,かつその有用性が認められている.
BAHAの適応,手術法およびその装用効果について記述した.
座談会
人工内耳・人工中耳・BAHAの最近の動向と将来展望 司会/本庄 巖
内藤 泰,岩崎 聡,本多伸光
Monthly Book ENTONI. No.73
好酸球性中耳炎 update
好酸球性中耳炎の概念と診断基準 飯野ゆき子
好酸球性中耳炎は主に気管支喘息に合併し,黄色の極めて粘稠な貯留液を有する難治性の中耳炎である.
この貯留液ないし中耳粘膜には多数の好酸球浸潤が認められる.
好酸球性中耳炎の疫学 鈴木 秀明ほか
好酸球性中耳炎の好発年齢,性差,発生率,喘息・副鼻腔炎の合併,内耳障害の併発,
骨導聴力悪化とそのリスクファクターなどの疫学的特徴について文献的に概観する.
好酸球性中耳炎の随伴症状 石戸谷淳一ほか
好酸球性中耳炎は喘息の他に慢性副鼻腔炎も高率に合併する.
合併する慢性副鼻腔炎の多くは好酸球性副鼻腔炎である.
治療に際してはこれらの合併症を考慮し,ステロイドの局所または経口投与を症状に応じて組み合わせる.
好酸球性中耳炎の類似疾患
1. Churg-Strauss症候群 池田 真ほか
Churg-Strauss症候群(CSS)はアレルギーを基礎疾患とする全身性の壊死性肉芽腫性血管炎である.
中耳炎が合併することがあり,好酸球性中耳炎との鑑別診断が重要である.
2. ウェゲナー肉芽腫症 荻野 武ほか
ウェゲナー肉芽腫症による耳症状や所見は好酸球性中耳炎に類似した点が多い.
両者の鑑別のポイント,早期診断,早期治療の重要性を理解する.
3. 好酸球性副鼻腔炎とアレルギー性真菌性副鼻腔炎(AFS) 渡辺 建介
好酸球性中耳炎の類似疾患として好酸球性副鼻腔炎,アレルギー性真菌性副鼻腔炎(AFS)があげられる.
この3疾患の共通点はallergic mucinといえるだろう.
好酸球性中耳炎の治療update
1. ステロイド療法 松谷 幸子
軽症ではステロイドの局所治療が可能であるが,細菌感染の合併
骨導値の悪化などがあれば難治化しないうちに全身投与を検討する.
2. ステロイド以外の保存的治療 松原 篤 ステロイド薬以外の好酸球性中耳炎の治療法として,
ヘパリン局所療法と抗アレルギー薬,特にPDE阻害薬について,症例を呈示しながら解説した.
3. 乳突洞削開術と鼓室形成術 渡邉 暢浩ほか
好酸球性中耳炎に対しステロイドを中心とした保存治療が重要であるが,
耐性菌感染を合併し難治化する症例などに対し慎重に手術を行うことで良好な結果が得られると考える.
好酸球性中耳炎への人工内耳埋め込み術 岩崎 聡
好酸球性中耳炎に伴う両耳聾に対しては人工内耳が有効である.
術前・術後の抗生物質とステロイドによる炎症コントロールと迅速な人工内耳の適応判断がポイントである.
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