特集:「科学的」であることが理科の学び
どのように見取り、価値付け、深化・拡張するのか
「科学的」という言葉は、小・中・高等学校の全ての理科の目標に登場し、「科学的」に解決したり「科学的」に探究したりする力を付けることが求められています。この「科学的」という言葉について、小学校学習指導要領(平成29年告示)解説理科編では、「自然の事物・現象についての問題を、実証性、再現性、客観性などといった条件を検討する手続きを重視しながら解決していくということ」としています。中学校、高等学校の理科においては、さらに、発達の段階や内容に即して、より論理的な検討が加味されていくところです。
A児 「低温の方を冷蔵庫に入れるとしたら、常温の方も光なしにしないといけないよね」
B児 「どうして? これは、温度について調べる実験だから、光はあり、なんじゃない?」 A児 「だってさ、冷蔵庫の中に入れたら、暗くなるでしょ。だから、常温の方も光なし、にしないと、低温と常温とで条件がそろわないよね」
B 児 「……あ~そっか。本当だね!! 光なしにしなくちゃいけないね!」
この会話は、小学校第5学年「植物の発芽」の実験計画を立てた場面でのやりとりです。実証性や再現性を満たす実験について、子どもたちが多様な視点で議論する中で、客観性が増していきます。中学校・高等学校においても、常に「事実」と向き合い、そこから何が考えられるのかを議論したり、時にはモデル実験を行い、「事実」と照らし合わせて論理が通っているかを吟味したりしていきます。つまり、理科において多数決は通らないこと、「事実」に裏付けられた論理でなければ「科学的」ではないということを、探究の過程を通して学んでいくのです。
一般的な科学研究においても、実証性や再現性の側面から検証方法やデータの価値が吟味されます。さらには、論文として科学誌に掲載され、多くの人々による様々な議論にさらされた末、客観性を満たすものでなければ認められません。私たちの日々の教室で展開さ れる理科学習では、「科学的」な解決が行われているのか、改めて考えなければならないでしょう。
私たち教師は、子どもたちが「科学的」に解決し始めるその瞬間に立ち会うことができる存在です。では、私たちはこの姿をどのように見取り、価値付け、深化したり拡張したりしようとしているのでしょうか。
そこで本特集では、「『科学的』に考えることが理科の学びをどのように深めるか」について改めて考えたいと思います。子どもが科学的に思考し始めた瞬間の姿を教師がどのように見取り、学習を展開したのか、その結果、子どもたちはどのように学びを深めたのかなど、具体的な実践を共有することにより、「科学的」であることを核に据えた理科学習の不易について、改めて実感する機会にしたいと考えています。
(『理科の教育』編集委員会)
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