■テクニカルレポート
○知多緑浜工場 水素製造プラント
/東邦ガス㈱ 村松征直
当社は、水素社会の到来を見据え、水素の供給と需要創出の両面から先行的な取り組みを展開している。本取り組みの一環として、自社の知多緑浜工場に水素製造プラントを建設し、その運用を開始したため、製造装置、出荷関連設備、特徴等について紹介する。
○純水素型燃料電池の温水を利用した省エネ空調システム
/パナソニック㈱ 河野文紀・田村朋一郎・増田哲也・日高将・字廻勇哉・山田剛
純水素型燃料電池の温水を吸収式冷凍機で冷水に変換、業務用エアコンの凝縮熱源とすることで空調動力を半減する新たな省エネ空調システムを開発、「H2 KIBOUFIELD」(滋賀県草津市)において実証試験を開始した。
○水素を用いた新しいメタネーション触媒の開発
/伊藤忠セラテック㈱ 髙橋陽・下里純也
カーボンニュートラル技術として二酸化炭素と水素から化学合成するメタネーション技術が注目されている。当社では、メタネーション触媒として比較的安価なニッケルを用いることで、低コストかつ低温反応可能で高効率を両立する、これまでにない触媒を開発した。
○CO₂排出削減に関わるコストを収益に変える新たなソリューション
/BIPROGY㈱ 新井康治・山口啓一郎・堤裕太朗
地球温暖化対策への企業の取り組みの主は、CO₂等の排出を抑える観点から、製品やサービスの生産工程に集中している。しかし、そのコストが自社の売上や収益向上になりづらいことが潜在的な課題である。Earth Performance Indicator®は、販売以降の工程に着目し、環境関連コストを収益に変える新たなマーケティングソリューションである。
○ドイツから日本へ
/SMAジャパン㈱ 北村信治
SMA Altensoは、ドイツに本社をもつSMA Solar Technology AGの100%子会社で、水素、太陽光、蓄電池等のハイブリッドプロジェクトに特化し、高い技術の水素電解槽用のIGBT整流器を提供している。欧州での経験を活かし、日本の水素社会構築に貢献する。
○低温廃熱・小温度差による高効率蓄発電技術
/北見工業大学 小原伸哉
200℃以下の低温廃熱は1次エネルギー消費の7割を占める。そこで、100℃を下回る高温熱源で数十℃の小温度差に対応可能な、CO₂ハイドレート熱サイクルによる高効率な蓄電、および発電技術の可能性を紹介する。
○再生可能エネルギーの高温熱貯蔵技術とその開発動向
/新潟大学 郷右近展之
2050年までに二酸化炭素(CO₂)排出量ゼロを達成するには、太陽エネルギーを高密度化して貯蔵・利用する技術開発が必須である。本稿では、様々なエネルギー貯蔵技術における蓄熱技術の位置づけと分類、集光型太陽熱発電(CSP)の現状と次世代技術の開発動向、変動性再エネの熱貯蔵の重要性、高温熱貯蔵向けの蓄熱容器の探索について紹介する。
○小さい励起子束縛エネルギーを示す有機半導体の開発
/大阪大学 陣内青萌
本稿では、小さい励起子束縛エネルギーを示す有機半導体材料の開発と、これを発電層とする単成分有機太陽電池やバルクヘテロ接合型有機太陽電池、有機光触媒への応用について紹介する。
○雪と太陽で冷房する可搬型雪冷房システム
/長岡技術科学大学 上村靖司・杉原幸信
/㈱SnowBiz 伊藤親臣
「必要とされる場所に持っていける雪冷房」というコンセプトの可搬型雪冷房装置を開発した。大型袋入りの雪を直接搭載する装置を製作し、屋外・日陰の環境下で冷房性能2.6kW、連続稼働時間7時間、COP22.1を達成した。夏のイベント等からの引き合いも多く、好評を得ることができた。
■エネルギー事情
○カーボンニュートラルに向けた水素の市場動向
/LNG経済研究会 奥田誠
近年カーボンニュートラル実現を達成するための手段の一つとして水素が注目され、その利用技術の開発、および利用システムの社会実装促進の動きが活発化している。本稿では、水素利用に係る需要量、生産量および輸送(貿易)の動向について概略を紹介する。
■フィールドレポート
○北欧・スウェーデンの環境保全
/環境工学研究所 星山貫一
南欧や中欧に比べて、北欧は年間を通して気温が低いため空気が澄みきっているので、大気汚染は皆無のように感じられる。事実、都心部を除けば郊外は車の通りが少なくて、山岳地帯や田園風景が広がっているため、大気汚染とは無縁のように考えられるが、北欧は森と湖に囲まれた美しい国なので観光資源である自然の美しさを維持するために環境保全対策を積極的に取り入れて実行している。本稿では、北欧・スウェーデンの環境保全対策を訪問見学してきたので紹介する。