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なぜクレモナで作られたヴァイオリンは名器なのか。形状、木材、ニスなどさまざまな理由があげられているが、いずれも決め手に欠ける。製造されて400年経つとよい音になる、という説もある。現代の科学的分析によっても分からない。「これは永遠の謎である。理由を断定的に書き記す文章があれば、それはフェイクと考えてよい」と音楽評論家の渡辺和彦氏。
現在のオーケストラで使われる弦楽器は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの4種類。しかし、クレモナでヴァイオリン製作が盛んになる以前のバロック時代は、もっと多種多様な弦楽器が存在した。その一つがリュート。イングランドの女王エリザベス1世は音楽好きで、みずからリュートを弾いたといわれる。リュートはL字型のネックを持つが、その隣にまっすぐなネックを付けた大型リュート、テオルボがあり、ネック1本のキタローネも存在した。スペインでは小型のギターと言ってもよい、ビウエラが流行した。
ヴィオール族では、脚(ガンバ)に挟んで弾く、ヴィオラ・ダ・ガンバがあり、バス・ヴィオル、トレブル・ヴィオル、テノール・ヴィオルなどと音域によって楽器があり、より低音のヴィオローネ、音域が広いヴィオラ・パスタルダという楽器もあった。ヴィオリンは中世のフィドルから発展したものと言われる。15世紀に流行したのはリラ・ダ・ブラッチョ。この楽器を得意としたのは画家のレオナルド・ダ・ヴィンチ。彼は音楽家の顔も持っていた。長く生き残った楽器にヴィオラ・ダモーレがある。ヴィヴァルディ、バッハばかりか、マイアーベアやプッチーニ、ヒンデミットらロマン派、20世紀の作曲家もこの楽器を使って作品を書いている。
バロック時代に多種多様な弦楽器が存在することについて、音楽学の金澤正剛氏は「バロックという時代自体がさまざまと新しい可能性を追い求めた時代であったことと、多くの楽器が発展途上の段階であったことに由来しているものと思われる」と記している。
現在に至るヴァイオリニストは、トスカナ派、ロンバルディア=ベネツィア派、フランコ・ベルギー派(マンハイム派)、ボヘミア派の大きく4つの流派に大別される。トスカナ派にはパブロ・デ・サラサーテ、ロンバルディア=ベネツィア派はアルカンジェロ・コレッリらを経てヨーゼフ・ヨアヒム、ヤッシャ・ハイフェッツ、現在のヴァディム・レーピン、樫本大進につながる。フランコ・ベルギー派は、ウジューヌ・イザイとその弟子のユーディ・メニューイン、アイザック・スターン、アルチュール・グリュミオーらがいる。項目は他に◎ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集「四季」◎バッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」「無伴奏チェロ組曲」◎ヴィオラという楽器の特殊性◎活躍する日本の若手チェリストたち◎オーケストラにおける楽器の配置と変遷◎弦楽器と指揮者、など。表紙は、パガニーニが愛用したデル・ジェズ「イル・カンノーネ(大砲)」、スタラヂヴァリウス「レディー・ブラント」、クレモナの街です。
◎宮本文昭の気軽に話そう 中野翔太(p)
クラシックのピアニストだが、5月27日(金)にHakuju Hallでジャズ・ピアニストの松永貴志とサクソフォンの田中拓也のトリオでコンサートを行う。ニューヨークのジュリアード音楽院に留学しているときに、老舗ジャズクラブ「ヴィレッジヴァンガード」で生まれて初めて生のジャズを聴いた。「今ここで音楽が生れてきたような空気感、自分でもやってみたいと思っていました」。一方、神奈川県立音楽堂の「新しい視点」シリーズでは、7月に実験的な現代音楽を演奏するなど、意欲的な活動を続けている。
◎東西南北 新国立劇場2022/23シーズンのラインアップ
新国立劇場は3月1日、2022/23シーズンのラインアップを発表した。同劇場は今年、開場25周年を迎え、オペラ3公演、バレエと演劇各1公演の5公演が開場25周年記念公演になる。オペラのラインアップは10演目。「ジュリオ・チェーザレ」(新制作)、「ボリス・ゴドゥノフ」(新制作、開場25周年記念)、「ドン・ジョヴァンニ」、「タイホイザー」、「ファルスタッフ」、「ホフマン物語」、「アイーダ」(開場25周年記念)、「リゴレット」(新制作)、「サロメ」、「ラ・ボエーム」(開場25周年記念)。
このほか
◎青島広志の「押しもしないが押されてばかり」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
など、おもしろい連載、記事が満載です。
目次1
目次2
【連載】音楽探究の旅
【特集】弦楽器の魅力 ─弦楽器の音は人の声
クレモナのヴァイオリンの名器
多種多様なバロック時代の弦楽器
バロックヴァイオリンと現代のヴァイオリン
アルペジョーネ、バリトンは何処に?
ヴァイオリニストの系譜
ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集「四季」と弦楽作品
バロック期イタリア ヴァイオリン音楽の魅力
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ
バッハ:無伴奏チェロ組曲
ベートーヴェンにとっての弦楽器とは?
21世紀のパガニーニ像をめぐって
ヴァイオリン協奏曲の魅力
ロマン派のヴァイオリン・ソナタ
ヴィオラという楽器の特殊性
ヴィオラが語るモーツァルトとブラームス
チェロ協奏曲
活躍する日本の若手チェリストたち
弦楽四重奏曲の成立
弦楽四重奏曲以外の弦楽室内楽作品の魅力
オーケストラにおける楽器の配置の変遷
弦楽器と指揮者
クレモナの名工たちが生きた時代と北イタリア
弦楽器の魅力コンサート・ガイド
MC Information
【連載】小山実稚恵のピアノと私
【連載】押しはしないが押されてばかり
【連載】宮本文昭の気軽に話そう
STAGE 澤和樹
STAGE 河村尚子
STAGE 仲道祐子
【連載】ヴィルフリート・和樹・ヘーデンボルクのウィーン・フィル便り
WMS ベルリン
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WMS パリ
WMS ニューヨーク
東西南北
私のお薦めコンサート
【連載】東条碩夫の「音楽巡礼記」
オーケストラ新聞
【連載】マンスリー・ベルリン・フィル
【連載】音楽プロデューサー 中野雄の音楽人間模様
【連載】外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
【連載】音楽から見たロシア
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