HODINKEE Japan Edition(ホディンキー ジャパン エディション) 発売日・バックナンバー

全9件中 1 〜 9 件を表示
3,300円
通常版表紙:グランドセイコー 服部金太郎生誕160周年記念限定モデル SBGZ005と
初代グランドセイコープラチナケースモデル

※通常版とポルシェ特別版の違いは表紙のみです。

1
●オメガ スピードマスターの歴代人気モデル10選
スピーディについて“影響力がある”と言うのは、アメリカの伝説上の巨人ポール・バニヤンを“巨大だ”と言うようなものだ。HODINKEEは、文字通り月へ行き、さらに飛躍し続けるこのクロノグラフ抜きでは存在しなかったであろう。過去半世紀にわたり、数多くのバリエーションが登場してきたが、そのなかでも私たちが最も愛するモデルを10本紹介しよう。

2
●世界が注目する“静かなる情熱”を秘めたグランドセイコー
“真面目”や“誠実”という文脈で、その魅力を語られることが多いグランドセイコー。かつての魅力の中心にあったのは、確かにそうした側面であったかもしれない。だが、この時計の魅力とは、果たしてそれだけだろうか? 今、世界でグランドセイコーの存在感がかつてないほどに増している。本稿ではコレクティブル(Collectible)、すなわち収集価値という視点から国産最高峰ウォッチが持つ本当の魅力にスポットを当てる。

3
●インディペンデントブランドに押し寄せる新しい波
私たちが考えている以上に、海外の人々から見て日本というのはエキゾチックかつミステリアスな国に写る。スイスの機械式時計にクォーツの実用化と普及によって多大な打撃を被らせたのは日本のメーカーであり、いち早く機械式の魅力とレガシーとしての文脈をみいだし、歴史から産地の背景、その仕組みまで、あらゆることを知りたがったのもほかならぬ日本の時計愛好家だった。
バブル期以前から令和まで長らく続く日本の機械式時計カルチャーの帰結のひとつとして、今、日本の独立時計ブランドの勃興と成熟が挙げられる。機械式時計のブームを端緒から見守った賢人たち、そしてジャパニーズインディペンデントブランドのリアルプレーヤーたちは何を思うのか?21世紀最初の四半世紀が終わりかけようとしている現在、率直に語ってもらった。

4
●ブランパン コンプリートカレンダーの美学
クォーツ革命による危機的状況を乗り越え、1980年代に見事な復活を果たしたスイスの機械式時計。その牽引役のひとつが、ブランパンのコンプリートカレンダーだった。
ブランパンの復興はスイスの伝統的な時計作りを象徴する技術や仕上げを取り入れたシックス マスターピースの発表がその第一歩だった。1983年から1989年にかけて製作されたこのシリーズには、ウルトラスリム、パーペチュアルカレンダー、ミニッツリピーター、スプリットセコンドクロノグラフ、フライングトゥールビヨンという機構があった。そして1983年のファーストモデルとして発表されたのが、月、曜日、日付にムーンフェイズを加えたコンプリートカレンダーである。
Cal.6395を搭載した当時のコンプリートカレンダーは、小さなケース径のなかに端正な美しさや知的好奇心を刺激するメカニズムといったスイス時計の伝統的な魅力が凝縮されていた。それが多くの愛好家を引きつけ、機械式時計への興味を再び呼び覚ましたのだ。

5
●ショパールというメゾンを貫く、表裏一体な価値への矜持
ショパールは、ジュエリーコレクションであるアイスキューブにフォーカスした“スカルプテッド・バイ・ライト(Sculpted by Light)”キャンペーンを発表した。そしてそのテーマに“光ゆえの影、影ゆえの光”を掲げた。そこには彫刻的かつ幾何学的なキューブのきらめきを表現するという背景があるが、それはジュエリーにとどまらず、タイムピースやショパールというメゾンそのものを象徴するにふさわしい。
光が強ければ影もまた濃い。両者は相反するようであるが、光なくして影はなく、その逆もしかり。共に存在して互いを際立たせる、一対で成り立つ表裏の関係である。そしてそのコントラストはアルパイン イーグル 41 XP TTでも巧みに表現されている。
2019年の誕生からわずか5年で多彩なバリエーションを発表し、アルパイン イーグルはいまやブランドを代表するコレクションを構築するに至った。そこに新たに加わった個性がスケルトン文字盤だ。手に取ればまずその軽量性に驚嘆するだろう。それは8㎜厚という薄型ケースと、ブレスレットを含めたチタン素材によるものだが、それにも増して軽やかさを演出するのが、スケルテックと名付けられたコンテンポラリーなオープンワークである。
サンドブラストで仕上げたガンメタリックカラーの地板は、同心円上に広がる円のパターンでカットアウトされ、インダストリアルなイメージを漂わせる。一方、奥にはゴールドカラーをあしらったCal.L.U.C 96.17-Sをのぞかせ、さながらスチームパンクを思わせる。光を透過し、陰影が表情を作り出す。そこに伝統と革新、クラシックとモダンが表裏一体のものとして表現されている。
ヘアライン仕上げのケースやブレスレットではポリッシュで面取りされたファセットがきらめき、アイスキューブのリングの輝きとも美しく呼応する。このキューブのモチーフは1999年に腕時計で初めて採用されたこともあり、もともと時計との親和性は高い。そしてそれこそが、ジュエラーでありウォッチメーカーでもあるという二面性が一体になったショパールならではのクリエイティビティにほかならない。“光ゆえの影、影ゆえの光”。改めてその深遠なテーマがここに立ち昇ってくるのだ。

6
●日本とポルシェの70年
日本にポルシェが姿を現してから70年以上になる。1953年に総代理店によって正規輸入されたわずか4台の356から、日本のポルシェの歴史は始まった。ポルシェと日本はいかにして出合ったのか?
現存する1953年に正規輸入された1台を主役に、日本のモータースポーツ黎明期を語るうえで重要なもう1台の356にもスポットを当てながら、“日本とポルシェのはじめて物語”を読み解いていく。

7
●日常のひとときに、旅の情緒を宿すタイムピース
2023年、ルイ・ヴィトンファンだけではなく、すべての時計ファンに向けての主力コレクションであるタンブールは、スポーティなブレスレットウォッチとして生まれ変わった。しかも高級ムーブメント会社ル・セルクル・デ・オルロジェ社と協業した、初の量産型自社製ムーブメントを搭載して、である。そのマイクロローター式の薄型自動巻きCal.LFT023は、高精度かつ手仕上げが行き渡る高級機として高く評価すべき出来栄えであり、外装の優れたクリエイションとも相まって、新生タンブールはリリース早々にして時計ファンにアピールすることに奏功してみせた。
それに続いてルイ・ヴィトンは今年、2014年に誕生したエスカル コレクションに大胆にメスを入れた。タンブールがそうであったように、トランクの補強金具をラグにかたどったケースデザインを継承しながら、クラシカルかつドレッシーなタイムオンリーウォッチに生まれ変わらせたのだ。ケースはRGとプラチナをラインナップし、SSをメインとするスポーティなタンブールを補完するスタイルでメゾンのウォッチコレクションの幅を広げた。搭載するのは、同じくCal.LFT023。しかしタンブールがスモールセコンドであったのに対し、新生エスカルではセンターセコンドに改良されている。結果エスカルは、ややモダンでスポーティな印象も併せ持つこととなった。ダイヤル装飾はアイコニックであるが決して過剰ではなく、シックさに専念している。
3,300円
※通常版とイームズ特別版の違いは表紙のみです。

REFERENCE POINTS:
A.LANGE & SÖHNE LANGE 1
誕生30周年を間近に控えた、モダンなアイコンに迫る

BEHIND THE ICONS
時を超えて人々に受け入れられる
アイコニックなウォッチデザインの裏側

SMALLER BUT STILL THE BEST
ブランパン フィフティ ファゾムスの変わらない本質

SEEK THE ATTITUDE
オーデマ ピゲ流のヘリテージ解釈は常にモダンさが共存する

CLEAN, BEAUTIFUL AND STRONG
人間と、社会と向き合うことで生まれる世界を変えるデザインの力

THE MAESTRO
マエストロ、ローマン・ゴティエが紡ぐ
精密工学と伝統の調和

A DREAM COME TRUE
理想を求めて辿り着いた
ローラン・フェリエ夢のカタチ

SPEND TIME, IN NATURE
とらわれない時間のなかで

STICK TO THE NECK
一枚の生地を羽織っているかの様な感覚を
哲学として追求し続けるリングヂャケット

DNA OF THE IMPERIAL HOTEL
4人の建築家が具現化してきた
時代に合わせて変化を続ける帝国ホテルの造形

CALL ME OBTUSE, BUT WE NEED
MORE ASYMMETRICAL WATCHES
私を鈍感と言うがいい
だけどもっとアシンメトリーな時計を見るべきなんだ

SNUCK IN TO SPACE
宇宙飛行士ジェリー・カーの息女の手にあるという
行方がわからなかったモバードが
今時計史を塗り替える

WHERE THE MAGIC HAPPENS
高い評価を得る時計師、ロジャー・W・スミスが
今も手作業が支配する昔ながらの工房内を案内してくれた

THE SKEPTIC’S GUIDE TO PVD
懐疑論者のためのPVD施工ガイド

GOLDEN HOUR
ウォッチメイキングの暗黒時代のただ中
いわば一筋の光明だった英国人ジュエリーデザイナーの物語

A CITY THAT BREATHES
ニューヨークを拠点とするフォトグラファーが
2カ⽉間の⽇本滞在で感じたもの

3,300円
●アイコンの頂点に君臨するキング・オブ・クロノグラフ
 時計史のなかで最も有名なモデルのひとつであるにもかかわらず、ロレックス デイトナはいまだにかたくなまでに誤解されている。この時計は、ツールウォッチ史の後期に登場した。その後、紆余曲折を経てスーパースターダムにのし上がり、ほかにどう言っていいかわからないが、著名人の影響力によって頂点に立った。何十年ものあいだ、二次流通価格は高騰し、そして(2022年初めには)崖から転げ落ちるような極端な市場変動を経験してきた。デイトナは、オークションで最も高い落札価格を記録した一方で、時計愛好家から過剰に注目され過大評価されていると非難を浴びやすいロレックスでもある。本稿ではロレックスが誇るキング・オブ・クロノグラフについて知っておくべきすべてのことを説明しよう。

●コスモグラフ“ル・マン”が“デイトナ”になった理由と成功への道のり
 ヴィンテージロレックスの頂点に立つ手巻きデイトナ。なかでもコスモグラフ Ref.6239のファーストモデルである“ル・マン”は、謎の多いモデルとして知られている。ル・マンとは、どのようなモデルだったのか。そしてロレックスはなぜ“デイトナ”へと舵を切ったのか。コレクターや有力なヴィンテージウォッチディーラーの力を借り、さまざまな角度から考察することで、その理由が浮かび上がってきた。

●ライカの原点こそモダンカメラのスタンダード
 ライカの原点とは、すなわち私たちが現在手にするスチルカメラの原点でもある。それは1911年にドイツ・ウェッツラー(Wetzlar)のエルンスト・ライツ社(現ライカカメラ社)へ入社したオスカー・バルナックのスケッチから始まった。映画用の35mmロールフィルムを切ってカートリッジに詰め、映画の2コマ分を使った24×36mmのフォーマットは“ライカ判”として広まり、フィルムの規格から解放されたデジタルカメラの世界でも「35mm判フルサイズ」と呼ばれるデファクトスタンダードとなった。

●旅も服も、心の向くままに
 ドレスアップして旅に出よう。スーツやジャケットはフォーマルな場で着るものだ、なんて考えはビジネスとカジュアルの境目が曖昧になった現在ではもう過去のものだし、その由来をたどればワーカーたちの外出着だ。もっと気の向くまま、自由に楽しめばいい。何より、少しかしこまったクラシックな(そしてそこに、自分らしいアレンジを加えた)スタイルで深い歴史と由緒を持つ土地をひとり行くのは、単純に気分が上がる。そんな旅の手元には、格式あるジュエラー&ファッションブランドが手がける耽美な時計がしっくりとなじむ。夕景の似合う、旧市街を歩いてみよう。初めて来たはずなのになぜか懐かしく、まるで昔からこの場所を知っているような、不思議な高揚感がそこにはある。

●ポルシェの名を世界的に高めたデイトナ、ル・マン、そしてカレラ
 2023年、ポルシェがスポーツカー生産75周年を迎えた。そのあいだ、ポルシェはモータースポーツを自社製品の開発技術を高める場として活用し、そこでの勝利を顧客にアピールすることで、ステイタスを高めてきた。その姿勢は現在までまったく揺らいではいない。そうしたポルシェが貫くクルマづくりの心情は、創業と同時に開始したいくつかの重要なレースに注目することで浮かび上がってくる。1950年代から1970年代初頭までのル・マンとデイトナの各24時間レース、そして1950年代に短期間だけ開催されたカレラこと、ラ・カレラ・パナメリカーナ・メヒコでの勝利である。

●時計収集の楽しみを呼び起こす ヴィンテージデイトジャストの世界
 デイトジャストは1945年に機構が発明されて以来、ロレックスのスタンダードとなった。ロレックス、いや機械式時計としていちばん初めに手に取られることも多いこのコレクションだが、意外にも研究が進んでいない分野で製造・販売された時期も曖昧な謎の多い時計でもある。今回は、最も数が多く市場でも手に取りやすい1960年代に登場した4桁番台(16xx)のデイトジャストについて、ディテールの整理を試みたいと思う。
3,300円
●ミニマリズムの傑作から過激な意欲作まで、レーシングウォッチの典型となった時計
一般にアイコニックな時計とは、その生涯においてあまり変化がないものである。1960年代のデイトナと2020年のデイトナが似て見えるのと同じだ。ロイヤル オーク、タンク、カラトラバのような時計にも同じことがいえる。しかし、タグ・ホイヤー カレラは違う。これほど長く愛されているのは、見た目よりも、その背後にあるアイデアが原動力となっているのだ。

ジャック・ホイヤーがカレラを発表した1963年当時、市場にはごちゃごちゃしたダイヤルと伝統的なケース形状を備えた過度に複雑なクロノグラフがあふれていた。カレラはそのシンプルさと現代性において衝撃的な存在となった。何よりも視認性と機能性を優先させたが、決してスタイルがなかったわけではない。カレラは、その時代の文化をクロノグラフに凝縮した時計だったのだ。このようなアプローチで、カレラは現代に受け継がれている。そして、最初のモデルがスイスのビエンヌから出荷されて60年近くたった今も、この時計の勢いはとどまるところを知らない。

●愛する人たちとともに世界へ羽ばたくゴローさんの魂と唯一無二のアイコン
髙橋吾郎その人が原宿・表参道にオープンさせたゴローズは、日本発のレザークラフト&インディアンジュエリーショップとして、その作品に心酔するファンから世界中で熱狂的なまでの注目を浴びている。ゴローズとともに青春を過ごし、ゴローさんを間近に見たクリエイターや、ゴローさんの意思を継ぐ現スタッフはブランドをどうとらえているのか。さまざまな人たちの心に宿るゴローズとは?

●スイス製米海軍仕様 ダイバーズウォッチの、数奇な運命
この世には重厚なストーリーを背景に持つ、傑作とうたわれる時計が存在する。そのなかでもトルネク-レイヴィルのブランパン フィフティ ファゾムスは、存在を知るも実物を目にしたことがある人はそうそういないだろう。要求の高すぎる海軍の入札仕様書に沿って生み出された、当時のフィフティ ファゾムスが1000本にも満たないからだ。そしてとある著名コレクターの協力によって、そのうちの1本が編集部に持ち込まれることになる。ようこそ、世界で最も希少とされるダイバーズウォッチのストーリーへ。

●カルチャーは国をまたいで育まれ、時代を経る
僕ら日本人は良い意味で舶来文化が好きだ。なかでもアメリカ由来のものは何度となくブームを巻き起こしてきた。当初はコスプレのように鵜呑みにしていたアメカジも、今では日本流に洗練されてそれはそれでひとつのカルチャーとなっている。いま、アメリカでは機械式時計が記録的ブームだけれど、これまでも時計ブランドは世界最大の市場・アメリカを目指してきたし、そのたびに生まれたり姿を変えたりしてききた時計があるのだ。

●シド・マッシュバーンによる あり得ない時計のスタイリング
腕時計を見て、こう思ったことはないだろうか? “すごい! けれど、どうやってつけこなすんだろう?”と。我々はある。本当によくあることなのだ。そこで、HODINKEE.comで“How To Wear It”シリーズを担当するコラムニストにお願いして、その解決法を教えてもらった。

●知る人ぞ知る名品、ロンジンのストップセコンド
1936年、ロンジンはヴィンテージウォッチ市場において愛好家垂涎の的であるフライバッククロノグラフCal.13 ZNを世に送り出した。そしてその2年後、まったく系統が異なる機構を持ったCal.12.68 Z STOPを生み出している。それを搭載した時計の名は、ストップセコンド。あまりに名高く偉大なCal.13 ZNの陰に隠れているように思われがちだが、ストップセコンドは軍や航空会社にも納品されたプロ用計器の名作である。もっと評価されるべき、その思いで筆を取った。

●ミッドセンチュリーのイタリアンオートバイは、それらにふさわしい人の手に渡れば、真の現代アートになる
MVアグスタ、ドゥカティ、モト・グッツィ、ランチア、アルファ ロメオ・・・オートバイやスポーツカー好きの方たちはこの名前を聞いただけで気持ちが高ぶってくるだろう。映画プロデューサーであるスチュアート・パーは生粋のイタリアンオートバイマニアであり、彼の所有するクラシックバイクの数は膨大で、バイクの収集家としても名をはせている。パーの素晴らしいコレクションを一部紹介すると同時に彼の生い立ちにも迫り、そしてすてきな自宅のクリアハウスも少しだけ公開しよう。
3,300円
1
●史上最薄に挑戦し続けてきたブルガリのアイコン
1世紀以上にわたり、ブルガリはイタリアらしいきらびやかなジュエラーとしてその名をとどろかせてきた。それがここにきて、一気に時計業界の重鎮の仲間入りを果たした。これは、すべてを一変させた時計の物語である。7つの最薄記録を持つ(※2022年12月現在では8つ)驚異の技術力を核として、オクト フィニッシモはモダンクラシックへの階段を駆け上る。

2
●リバイバルとノスタルジーのはざまで
久しぶりに訪れたなじみの温泉街で、昔と変わらない格好の古い友人に偶然出会う。急激なノスタルジーに襲われるような旅は、自分にしかわからない感動と郷愁があり、どこか物悲しさも漂う。景色も変わり、そこで見られるものも変化するが、わずかでもかつての趣を見つけると心が安らいでいく。90年代に僕らを熱狂させた時計たちもまた、クラシックとモダンのあいだで揺れ動きリバイバルするが変わらない部分もある。わずかなノスタルジーだけを心にしまい、旅の時間に身をまかせる。

3
●日本のヴィンテージウォッチ市場を陰で支え、時計を愛したあるディーラーの物語
1990年代に日本を席巻したヴィンテージウォッチブーム。それを陰から支え、世界に誇る日本のヴィンテージウォッチ市場の礎を築くのに貢献したひとりの偉大な時計ディーラーがいたことをご存じだろうか。名を益井俊雄という。ヴィンテージウォッチの世界では知る人ぞ知る人物だが、時計愛好家といえども彼を知る人はそう多くない。そんな彼が2022年2月、人知れずこの世を去った。本稿は彼の知られざる時計ディーラーとしての足跡をどたる回顧録であり、時計愛にあふれたひとりの愛好家を偲ぶ回想録でもある。

4
●史上最高のスーパーカー、マクラーレンF1を理解する
このクルマの隣に立つと、その小柄な体躯に驚かされる。車高が低く、ボディは引き締まっていて、ストイックさを感じさせるような優美さがにじみ出ているからだ。僕は自動車雑誌にマクラーレンF1が取り上げられれば、手に取って何ページも飽きることなく読んでいられるほど、このクルマを愛してきた。ボタンを押すとちょうどいい重量のドアが跳ね上がり、F1独特のキャビンが開かれる。左側の助手席のレザーとカーボンコンポジット素材のサイドシルのあいだをすり抜けると、中央の珍しいドライバーズシートに腰を下ろす。F1が僕を包み込むような心地である。足はマグネシウム合金のホイールのあいだに入り、腰と肩は深いシートでしっかりとホールドされる。両手は定位置に収まる。ギアがニュートラルに入っていることを確認して、クラッチペダルを踏む──予想より好感の持てる軽さである──そしてキーを回し、赤いスターターボタンの保護カバーを開ける。深呼吸をしてボタンを押すと、スロットルの軽い振動を通じてF1が咆哮を上げて目覚めるのがわかる。

5
●HODINKEE MAGAZINE Japan Edition Vol.5 別冊付録 CARTIER Edition THE WATCHMAKER OF SHAPE





1
●大空の時を刻み続ける パイロットウォッチという矜持
時計はツールである以上、目的に沿った機能や仕様を備える。ドライビングにおけるクロノグラフ、水圧に耐えるダイバーズウォッチもそう。翻ってパイロットウォッチを見れば、本来の機能の恩恵に浴する持ち主はけっして多くはないだろう。だがそれでも人気は尽きない。別々の時代に異なる人々に愛され必要とされてきたパイロットウォッチ。このジャンルを形成し、発展させてきた5つのモデルを取り上げる。

2
●REFERENCE POINTS:THE AUDEMARS PIGUET ROYAL OAK MIGHTY AS AN OAK
八角形、誕生50年──オーデマ ピゲの永く奇妙な旅の軌跡を追う
1972年は現代史の分水嶺の年であった。ニクソン大統領が電撃訪中を果たし、パイオニア10号が地球を出発し、太陽系を離脱するのに十分な速度を出した最初の宇宙探査機となった。映画『ゴッドファーザー』が公開され、ウォーターゲート事件が発覚した。人類が月面を歩いた最後の年でもある。アタリ社よりテレビゲーム『Pong』が発売、アラン・コンフォートが『The Joy Of Sex』を出版。時計業界では、当時登場から2~3年しかたっていないクォーツ技術が、本来保守的でリスクを嫌うスイス時計業界を不安にさせるほど、大きく発展していた頃である。

3
●それまでの有り様を変えてしまうようなものの存在 それが時計でも体験でも、次代につながる架け橋になる
腕時計を男性が身につけるようになったのは、かのアルベルト・サントス=デュモンが盟友ルイ・カルティエにオーダーしたサントスに端を発するというのは有名な話。1904年から100年以上を経たいま、腕時計は時間を見るという実用性を失いながら、つけ手の内面を写す道具としての存在感を強めている。ドレスウォッチやスポーツウォッチ、ラウンドにスクエア、防水性やスポーツ計時など単純なカテゴリや性能、形だけが意味を持った時代は終わり、時計はときにサステナブルやジェンダーレスの象徴であり、現代アートのカンバスにさえなり得る。古典を芯に据えながら、価値観を改めつつある時計たちがいま、京都で華やぐ。

4
●フレデリック・ピゲが導いたエクストラフラットという美学
スポーツウォッチが市場を牽引するなか、クラシカルなエクストラフラットはニッチな存在……かと思われたが、さにあらず。2021年には薄型手巻きの新キャリバーが各社から登場し、けっして時代遅れでないことが証明された。その始祖こそが、1925年にフレデリック・ピゲが開発したCal.21である。にわかに注目を集め始めたCal.21搭載モデルは現在市場から枯渇しつつあるが、江口時計店のオーナーである江口大介氏の協力を得て、興味深いアイテムの数々を撮影することができた。時代を切り開き、極薄ムーブメントを牽引した名機の軌跡を追う。

5
●ヤン・テーゲルセンのバング&オルフセン真空管ラジオコレクション
ヤン・テーゲルセン氏とバング&オルフセンとの出合いは、父親から譲り受けたBeolit39。18歳当時の彼は父親の「いずれ価値有るものになる」という言葉に懐疑的だった。しかしながら、ひとつのラジオから始まったコレクションが彼の人生にとって大きな意味と、偉大な仕事の両方をもたらすことになる。
●専業メーカーとは異なる感覚で仕上げられた審美性のかたまりたち
●現代の感性が与えられて誕生した腕時計を携えて、週末の小旅行に身をゆだねた
●再び未来へ。受け継がれる本物の価値とピエール・ジャンヌレのレガシー
●地球の裏側から70年をへて、ある男のロレックスが知られざる歴史を語る
●新進気鋭のネオ・ヴィンテージ(ほぼヴィンテージを含む)ウォッチを紹介する




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TABLE OF CONTENTS
WATCHES of THE ISSUE
LETTER FROM THE EDITOR
90周年を迎えたアール・デコのアイコンがたどった数奇なる奇跡のストーリーをキャリバーで振り返る
専業メーカーとは異なる感覚で仕上げられた審美性のかたまりたち
過去の名作にルーツを持ち、現代の感性が与えられて誕生した腕時計を携えて、週末の小旅行に身をゆだねた
日常生活でもダイビングでも使えるオールラウンダーとして誕生し、今もなお進化し続けるフィフティ ファゾムス バチスカーフ
1965年式ポルシェ911
高級時計の概念としての仕上げを昇華し続けるオーデマ ピゲ
再び未来へ。受け継がれる本物の価値とピエール・ジャンヌレのレガシー
希少さを示す数字から解き明かすアート化するリシャール・ミル
ミュージシャンである彼がなぜ多くの家具作品に引かれるのか。すべては音楽と人とのつながりに対する一貫した思いにあった
クリュッグアンバサダー・加山賢太シェフが見いだすクリュッグとオニオンのマリアージュ
求められる要素は時代とともに変わるが、その本質は今も昔も変わることはない
地球の裏側から70年をへて、ある男のロレックスが知られざる歴史を語る
クラシックな印象を一新するスケルトンウォッチ
8人の専門家やコレクターが今、注目すべき新進気鋭のネオ・ヴィンテージ(ほぼヴィンテージを含む)ウォッチを紹介する
最高峰のブレスレット一体型永久カレンダー3本で味わう別世界の風格
時計愛好家のあいだでは過去の自動巻きムーブメントが美化されがちだが、現行最高峰の自動巻きムーブメントには多くの利点がある
機械式時計とともに人生を歩んだ男
時を示す腕時計、瞬間を切り取るカメラ 写真家のレンズを通して見える世界
定期購読のご案内
HODINKEE Watch Care
1.REFERENCE POINTS カルティエ タンク
カルティエ タンクは今ではおなじみの時計のひとつと言っていいだろう。
1917年にデザインとプロトタイプの製作が始まり、1919年に最初の1本が発表されたが、
当時カルティエにはすでにサントス・デュモンやトノーがラインナップされていた。
しかし、タンクは小規模ながらも進化し続ける腕時計デザインの仲間入りを果たしたのである。
「模倣は最も誠実なお世辞である」とはよく使われる格言だが、
タンクは時計製造史のなかで最も賛辞に満ちたデザインのひとつと言えるだろう。
また、模倣するのは簡単でもインスピレーションを得るのは難しいということを証明する時計でもある。
しかし、ルイ・カルティエの独創的なビジョンは100年以上ものあいだ、ほとんど変わることなく受け継がれ、
20世紀、そして21世紀を代表する真の普遍的デザインとして君臨するに至った。


2.BENEATH THE WAVES ダイバーズウォッチ・ヒストリー
“海。いったんその魔法にかかると、その素晴らしい世界に永遠に心を奪われ、探求し続けることになる”(ジャック=イヴ・クストー)
コマーシャルダイビングの発展、そしてレクリエーションダイビングの勃興とともに進化を遂げてきたダイバーズウォッチ。
かつては安全装置としての役割も果たしたツールウォッチだが、今や本来の目的で使用する人間は極めて少ない。
だが、長い冒険の歴史とともに磨かれたその顔とスタイルは、今なお多くの人々の心を掴んで離さない。


3.AD ASTRA オメガ、スピードマスター、そして宇宙飛行の歴史
オメガ スピードマスター プロフェッショナルの物語は初代モデルの設計者が想像すらしなかったような独自の道を歩んでいる。
何世代にもわたる当モデルの時計愛好家には、スピードマスター プロフェッショナルは単にムーンウォッチと呼ばれる。
アポロの宇宙飛行士を宇宙へ、そして最終的には月面へと導いた時計である。
しかし、有人宇宙飛行におけるスピードマスターの歴史は時計愛好家が一般に認識しているよりもはるかに長い。
アポロ計画はスピードマスターにとって決定的なものだった。
人類が初めて月に行けるのは一度だけであり、スピードマスターが個人的な装身具としてではなく、
必要不可欠な装備品として携行されたことで、スピードマスターは人類の探検の歴史のなかで重要な位置を占めるに至った。
しかし、スピードマスターはアポロ計画が終了した時点で宇宙へ行くことをやめたわけではない。
月へのミッションは長くて最も興味深い物語の始まりにすぎなかったのだ。


4.RED DEVIL ベルトーネのアストンマーティン DB2/4
アストンマーティンとベルトーネ。あるアメリカ人のサクセスストーリーが、
息をのむような絶世の車を生み出すきっかけを与えた理由とは。
人の好みはさまざまだという。しかし、客観的に見て美しいものがあるとすれば、それはこの車かもしれない。
この車がアストンマーティンであることは、自動車愛好家には驚くに値しないだろう。
具体的な名を挙げるとすれば、ベルトーネ製の車体と伝説のイタリア人カーデザイナー、
ジョバンニ・ミケロッティのデザインを採用したアストンマーティンDB2/4のことだ。


5.THE RISING VALUE オークションハウスが牽引するアートと時計の価値
オークション市場ではここ数年で著しく腕時計がその価値を向上させ、存在感を増している。
時計自体や持ち主のストーリーが付加されて、単純にものの希少性にとどまらない価値が認められるようになってきたのだ。
時計はさながらアート化しており、そうなればこれから世紀を超えるような存在になりうる。一方で、アートの世界ではコ
ンテンポラリーアートが脚光を浴びており、新たに手にする人も増え続けているという。
時計もアートも、好事家たちはどのように、どんなものに注目しているのだろうか。
時代を超えるようなアートと時計に迫るべくオークションハウスの賢人たちを尋ねた。


6.ALL HAIL HANDMADE 真の職人的時計を求め歩んできた長く険しい道のり
時計収集の世界がかつてないほど熱を帯び始めている。
特定のスティールウォッチが市場で異常なまでの高騰を示す無味乾燥な世界が広がるかたわら、
熱心な時計愛好家たちは時計職人の適切な仕事から生み出される美しい腕時計に熱い視線を注いでいる。
何が彼、彼女らを夢中にさせるのか。いざ、素晴らしいハンドメイドウォッチの世界へ。



7.A NEW FORM インディペンデントブランドの台頭が示した時計ブランドのあるべき姿
ラグジュアリーコングロマリットが展開するグローバルブランドとは異なり、
小規模ながらも独自のこだわりを反映した時計作りを貫くインディペンデントブランドが、市場で存在感を強めている。
彼らを支持するのは、目の肥えた時計愛好家たちだ。
インディペンデントブランドは古くから存在しており、決して珍しいものではない。
では、なぜ今彼らが注目を集めるのか。人々の心に響く時計とは何かということ、そして、時計ブンドの未来が見えてきた。


8.WHY I COLLECT ヴィンテージウォッチに愛を注ぐコノサーたち
腕時計の価値は時代を振り返ってあとからついてくるものだ。
あのノーチラスもロイヤルオークも、デイトナでさえも発売当時は見向きもされなかった。
多くの名作時計たちは、革新的な製品を恐れずに作るメーカーと、新しい価値観を信じ抜く買い手とのあいだで育まれてきたわけである。
今回の二名は独自の感性で異なったジャンルのヴィンテージウォッチに熱視線を送る。

時計への情熱を共有する場としてベンジャミン・クライマーがNYでローンチしたウェブメディア『HODINKEE』。
その卓越した編集力を結集した『HODINKEE Magazine』のDNAを受け継ぐ初の海外展開として、このたび日本版が創刊。
ラグジュアリー腕時計に関する詳細なレビュー、ヴィンテージアイテムの歴史的な背景、最新ニュースなどをお届けし、
時計はもとよりライフスタイル全般の多様なコンテンツを、美しいビジュアルとともに発信します。



CONTENTS
テイストメーカーが誇る、5つの腕時計を詳しく見ていこう
クロノグラフが、無名の道具から20 世紀最もポピュラーな複雑機構へと変化した軌跡を追う
コレクター界で最も重要とされるドレスウォッチの細部にわたる検証
いま、旅の時間で再発見する日本の原風景と腕時計の関係
ラグジュアリーウォッチの地平を切り拓くオーデマ ピゲの異端的新コレクション
アイコンであるヴィルレとフィフティ ファゾムスからたどるブランパンの歴史
2年間の沈黙を破りフォルティスは、新作のフリーガーシリーズをリリース
過去からのインスピレーションをフルに生かしたタグ・ホイヤーの160周年を彩るカレラたち
不運だったが、同時に今では最も愛されているBMW製ミッドシップスーパーカーの起源
賞金は誰の手に?
B&B ItaliaのシステムソファB&B Atollからコンテンポラリーを理解する
キッド・フロム・クイーンズ、キングジェームス、そしてスニーカー・ロイヤルティ
ものづくりの現場から見えたグランドセイコー躍進の原動力
紙一重の世界 オーデマ ピゲ13リーニュの腕時計に迫る
WHY I COLLECT Mark Cho
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HODINKEE Japan Edition(ホディンキー ジャパン エディション)の内容

NY発の全く新しい時計ライフスタイルマガジン『HODINKEE Japan Edition』
2008年、時計への情熱を共有する場としてベンジャミン・クライマーがNYでローンチしたウェブメディア『HODINKEE』。その卓越した編集力を結集した『HODINKEE Magazine』のDNAを受け継ぐ初の海外展開として、日本版が創刊されました。ラグジュアリー腕時計に関する詳細なレビュー、ヴィンテージアイテムの歴史的な背景、最新ニュースなどをお届けし、時計はもとよりライフスタイル全般の多様なコンテンツを美しいビジュアルとともに発信します。

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