【昭和の文豪 酒で綴る人生史 -川端康成・三島由紀夫・開高 健-】
第4波が来て.東京.大阪などに発令が出てからというもの、世の働き盛りのサラリ-マンをはじめ.ほとんどの人が巣ごもり状態と聞きます。自宅でのテレワ-クも時間を持て余すので、本を読む機会が多くなり、宅配の本の売れ行きがかなり増えているとのこと。そこで小誌も、今までに無かった特集を考えました。題して「昭和の文豪 酒で綴る人生史」(川端康成、三島由紀夫、開高健編)、じっくり読んで味わって下さい。
月刊『たる』が創刊されて約5年が経った頃、恩師の元早稲田大学名誉教授の故・武田勝彦先生を訪ねました。先生から「文士と酒」を連載したらとのアドバイスを受け、ひとつの企画が生まれたのが「酒で綴る亡き作家の半生史」。武田先生のご協力を得て、40人の作家の連載が続き、10年もの長きに渡って誌面を飾ることができました。
武田先生は比較文学の権威でカリフォルニア大学でも教鞭を執られ、かなりの作家たちとの交流もあったとお聞きしました。特にノ-ベル文学賞作家の川端康成氏とは鎌倉でお住まいが近かったこともあり、深い親交があったようです。このシリ-ズは後日、『酒のかたみに』というタイトルで単行本三部作として上梓しました。今回はその中から「昭和の文豪」と題して、編集部内で十分吟味して、川端康成氏、三島由紀夫氏、そして開高健氏を選び特集としました。
先ず始めに川端康成氏は、日本の文学界にとって第一人者であり、ノ-ベル文学賞第一号にも輝いています。川端康成氏を師と仰いでいたのが三島由紀夫氏です。本人も何回かノ-ベル文学賞の候補にもなりました。筆者の私事ですが、半世紀以上前、新宿のカウンタ-だけの小さなバ-〔樽こや〕で友人三人と飲んでいると、若き作家三島由紀夫氏が入ってきて偶然、隣の席となり、帰る間際に声をかけられ「これから深夜、行きつけの絨毯バ-へ行くので君一人だけ付き合いなさい」とあの眼光鋭い目で誘われました。後で一人だけのわけを聞くと「君は剣の目をしてるから」と言われて感謝しました。この記憶は今でも忘れられない一つです。三島文学は文章そのものから美をあの眼光から生みだし、その煌びやかさは他の群を抜いていた気がします。文学では目的が果たせず、自決してしまい、師である川端康成氏は愕然として、その後僅か1年半で本人も命を絶っています。
開高健氏は縁あって本誌との関わりも厚く、親交もあったため取り上げましたが、それだけでなく、若くして目的の芥川賞め取り上げましたが、それだけでなく、若くして目的の芥川賞にも輝き、文学上いろいろな話題をまいた作家でもあります。語彙の豊富さは天下一品で、日本文学離れした作家ではなかったかと思います。後年、健康が優れず58歳の若さで亡くなったことは残念でたまらないと思っています。三島由紀夫氏と開高健氏とはあまり親交がなく、むしろ文学について意見が合わず、お互いに確執があったようです。
この3人の文豪の話は、それぞれに本人と親しかった執筆者(プロフィ-ル参照)にお願いしました。
ここで一言!
30数年間、親しくして頂いた今は亡き直木賞作家曰く「IT時代になって、ほとんどの小説家が原稿用紙と辞書を持たず、全てパソコンで作品を仕上げるようになってしまったことは残念です。これでは決して文豪は生まれないよ」、と言い切ったことを思い出しました。(本誌編集長・髙山惠太郎)
■川端康成
“酒ありてよし酒なくてよし”
-文・武田勝彦
■〈文人ゆかりの銘酒〉
『雪国』の舞台・南魚沼で愛される日本酒『鶴齢』
-青木酒造(新潟県南魚沼市)
■三島由紀夫
“生き急ぎ、死に急いだ四十五年間”
-文・越次倶子
■〈文人ゆかりの銘酒〉
文人、歌人に愛されし美酒『白雪』
-小西酒造(兵庫県伊丹市)
■〈文人ゆかりの銘酒〉
開高健に「旨い」と言わしめた銘酒『越乃寒梅』
-石本酒造(新潟県新潟市)
■開高 健
“dux vitae, dia volputas.”
(人生の案内者たる神聖なる快楽)
-文・菊谷匡祐
■〈昭和が生んだロングセラ-〉
日本酒業界に新風を吹き込んだ飲用スタイル『ワンカップ大関』
-大関(兵庫県西宮市)
■[巻頭言]
酒ゴコロ、男ゴコロ -椎名誠
なつかしのピスコ
■[連載]カクテルノ-ト
〈梅酒フロ-トのメキシカンモヒ-ト〉
〔BAR ピ-コ-ト〕 -森田規代子さん
■[連載]黄金の琥珀に純白の泡 -松沢幸一
■シャト-・メルシャン欧州品種への挑戦
『片丘ヴィンヤ-ド』シリ-ズ
■[連載]お酒と福祉の醸す日々 -川嶋 舟
■話題の“微アルコ-ル” ビ-ルテイスト飲料第2弾
『アサヒ ビアリ- 香るクラフト』
■[連載]日本酒スタイリスト
■[連載]島田律子のSAKE スタイル
■【SPECIAL REPORT】
カリフォルニアワインのサステイナビリティへの取り組み
■サントリ-から初夏のビ-ル類&RTD
■【AT THE SCENE】
食の総合見本市第24 回FABEX 東京2021レポ-ト
■[連載]真夜中の交友好饗曲 -矢野隆司
■青森県産「トキりんご」を贅沢に使った
『ニッカシ-ドル トキりんご』
■[連載]飲むたび、こころ旅 -檀タツオ
■[連載]メビウスの輪 -中村順一
■[連載]受信料に感謝! 松川英毅の酒縁
■[新連載]健全な青少年への飲酒知識(隔月連載) -並木茂夫
■[連載]今宵の1話
■New Item
■[連載]『龍の瞳』スト-リ- -今井 隆
■今月の一冊
■東の店/西の店
■Presents
■Back Number
■[連載]お酒を読む -鹿島 茂
ワインの守護聖人 サン・ヴァンサン
■酒中の天
TARU(たる)の内容
- 出版社:たる出版
- 発行間隔:月刊
- 発売日:毎月25日
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「月刊たる」は関西発のお酒とその周辺をご紹介する雑誌です。創刊30年、「酒の知識」「酒と人」「酒と文化」「肴」などおよそお酒に関わる全てを”話題一杯”献上しています。酒好きな方だけでなく、酒を扱うプロの方も満足させる内容です。
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