RUNNING style(ランニングスタイル)の編集長インタビュー

編集長プロフィール

エイ出版社
「Running style(ランニング・スタイル)」編集長 今坂純也さん

いまさかじゅんや 1967年3月生まれ。前を海、後ろは山、横に川が流れる広島県で育つ。多摩美術大学建築科卒。大学卒業後、建築設計の道を進むが2年後に編集者へ。「ランニング・スタイル」とともに「バイシクルクラブ」誌の編集長も務める。

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第67回 Running style(ランニング・スタイル) 編集長 今坂純也さん

体験すること楽しむことこれらがが大切です

―いよいよ月刊化ですね。おめでとうございます。

祝・月刊化の10月号
祝・月刊化の10月号

ありがとうございます。でも完全月刊化ではなく、この10月号(2011年)の表紙にも書いたのですが、とりあえずはシーズン月刊として10月から3月までは月刊ということでいこうと思います。その後は、様子をみながら、また考えていくつもりです。

―シーズン月刊、って面白いですね。やはりランニングは秋冬なんですね。

そうですね。夏はどうしても暑くて外を走る気になりませんから、ランニング人口は減少します。でも、ランニングする人たちの数は確実に増えていて、これからますます面白くなると思っています。

―どんな人が読者なんですか。

年齢でみると35~45歳で、男女比は6:4といったところでしょうか。ランニングって誰でもすぐに始められるじゃないですか。だから参加の垣根が低いんです。いまは女性人口も急増していて、男女比が近くなっています。他のスポーツではなかなかそうはいきませんね。自転車なんかだと男9:女1といった比率になりますから。

―今坂さんもランニングされてますか。

ランニングシューズの似合う編集部
ランニングシューズの似合う編集部

はい。この編集部に来てからやるようになりました。僕はもともと「バイシクルクラブ」の編集長をやっていて、5月からこの雑誌を兼務することになりました。やはり自分で体験しないといい記事はつくれないので、自然と走るようになりました。
編集部は僕を入れて5人いますが、全員走ってますね。仕事帰りに女性スタッフが、「いまから走ってきま~す」って出かけていくのを見たりすると、なかなかいいもんだなと思います(笑)。

―女性の参加って重要ですよね。ファッショナブルだし。

ランニング姿の女性って美しいですよね。おそらく走る女性とって、ウェアは晴れ着なんだと思うんです。ふだん仕事や家事で疲れてても、ちょうどスキー場で派手なファッションで滑ると気持ちいい、みたいな感じ。普段の自分とは違うファッションで、違う自分を見せる舞台のような。
だから雑誌でも、その晴れ着の部分というのをしっかり紹介していかないといけないと思っています。
昔に比べて、ファッションはほんとうにバラエティに富んで、美しく機能的に進化したと思います。

―でも、なんでみんな急に走り出したんですかね。

フルマラソンのムックも好評だ
フルマラソンのムックも好評だ

やはり、男女ともに体をシェイプアップしたい、そして健康になりたい、っていう理由からじゃないでしょうか。おまけに安上がりだし、手間かからないし(笑)。
これだけ排気ガスがある道路で走って健康になるのか、という人もいますが、走ってみるとわかる壮快さがあるんですよ。スポーツってみんなそんな気持ちよさを求めてやるんじゃないかと思うんです。体を動かして汗をかくことでこれだけ気持ちいいんだぞと。

―でも急にランニングすると足腰痛めたりしますよね。

そうなんですよ。簡単に始められるものだけに、ちゃんと最初からケアしてやらないといけないんです。ですから、この「ランニング・スタイル」では走り方のノウハウなどをしっかり説明しています。
同時に<ビギナーランニング教室>といったものを主宰し、ランニング初心者の方向けに、コーチを招いてレクチャーしてもらいながら、楽しくみんなで学べるイベントなども随時開催しています。お蔭様で評判がよく、たくさんの方々の参加をいただいてます。普段ひとりで走ってる方も、ここへ集まればみんなで走るという楽しさがありますから、そんな参加者もいらっしゃいますね。

―初心者はどのくらい走ればいいんですか。

走る目的にもよりますが、一般的に有酸素運動では20分以上たたないと脂肪の燃焼は始まりませんから、痩せる目的ならそれ以上走らないとダメですね。つまり、“距離”より“時間”にこだわりたい。ちなみに1時間走るって結構大変なんですよ(笑)。
12月号で「60分走れる体をつくる」という特集をやる予定で進めているのですが、これは冬にむけてフルマラソンの大会がたくさんあるし、ちょうど本格的に始めようと思った人たちへの参考材料になるだろうなと思いまして。
でも、無理せず、自分のペースで走る。これは基本だと思いますよ。

―雑誌ではどのような記事づくりが中心になるのですか。

写真を見ながらラフを書く
写真を見ながらラフを書く
編集長デスクから見た編集部風景
編集長デスクから見た編集部風景

この雑誌の読者は初心者、女性が比較的多いので、その人たちのニーズに応えることがまず大事かなと思います。走ることが目的なので、走り方についてや、こうすれば痩せるといったノウハウ、などを丁寧に紹介するようにしています。「ラクに走れる、長く走れる、そんなコツを教えましょう」といった記事は喜ばれますね。
ランニングって本当にシューズとウェアとその周辺の小物くらいしか紹介できるアイテムがないので、モノで展開していくのは非常に難しいですから、やはり目的にそったノウハウがいいのかなと思います。
ダイエットもやはり人気で、「骨盤ゆがみ」「腹凹&美脚」といったキーワードには注目が集まります。
やってることは走り方なので、あとはそれを手を変え、品を変え、見せ方を変えて表現しているということなんです。
あとは、上級者向けの商品など、初心者が使うと変に体に負担をかけてしまったりするものもあります。そういう扱いについては気をつけるようにしています。

―付録がついています。評判よかったそうですね。

そうなんですよ。これスマートフォンやタオルを入れる防水バッグなのですが、結構喜ばれました。走っていると体中が汗だくになって、ポケットに入れてる小銭入れなどがぐっしょり濡れてしまったって経験をお持ちの方は多いと思います。防水のものに入れておくというのはちょっとした知恵ですね。それを付録にしたら、評判上々でした。

―編集会議とかはどんな感じですか。

特集のネタを含むネタを編集部員から出させ、それらをもとに皆でイロイロもんでみて、疑問は調べて、おもしろくやれそうならGOですね。編集長が一方的に決めるスタイルではないです。
アンケートをよく参考にするのですが、このアンケートも実際に走ってる人の声をしっかり聞くようにしています。
まずいのは、慣れてくると編集者は耳年増になるのか、自分のアタマで考えて記事にしてしまいがちなんですが、これは危険です。だから、常に、現場、ランナーやお店やらに顔を出して、ナマの声を聞く、これがすべての基本だと思っています。
それと体験です。やはり走らないと走ってるひとの気持ちは分からない。だから僕も走りながらいろいろと考え、人の意見を聞き、それらを編集にフィードバックするように心がけています。
ライフスタイルや趣味の本って、つくってる人が分かってないと、すぐ読者に見破られてしまう。これが一番マズイですよね。

―まさか、毎日ランニング通勤とか。

自転車通勤のスタッフも多い
自転車通勤のスタッフも多い

いや、それは(笑)。でもバイクで通ってます。秦野中井なんで遠いのですが、近郊の田舎に家を建てて住むのが自分の理想でしたから。週1で自転車に乗ります。これは自転車の雑誌を編集しているからというだけはなく、本当に好きなんですね。休日は3時間くらい乗ってますよ(笑)。バイクも好きだし、クルマいじりも好きだし。
実はお酒も大好きなのですが、遠くからバイク通勤するようになってからは会社近くで飲んで帰るということができなくなりました。家で晩酌はするのですが、こちらで飲むときはバイクを社に置いて終電まで、それ以上飲むと会社に泊まる(笑)ということにしています。
でも翌日ランニングすると前夜のアルコールも抜けてまた気持ちよく一日が送れるんですよ。

編集長の愛読誌

(2011年9月)

取材後記
今坂さんは大学で建築を専攻されたそうで、近郊に建てた家も、自分でデザイン画を描いて同級生に設計を依頼し建ててもらったものだそうです。バイクや自転車が好きで、自然のなかで暮らすことを愛するというライフスタイルは今も昔も全然変わっていないのだそうです。そしてついに現実にそのような家を建て、薪ストーブライフを送り、バイクで編集部に通い、趣味の雑誌を編集するという、まあ人も羨むライフスタイルですね。
ライフスタイル・マガジンを数多く出版するエイ出版社の皆さんには、そういった趣味を極めた方が多くいらっしゃるように思います。各編集部もみな一様に自分の好きなモノに囲まれた空間といった趣です。でもこれはライフスタイルを扱う編集者の基本でなければいけないことですね。編集者が楽しめない雑誌を読者が楽しめるわけがありません。
自分が好きなことを追求し、その面白さを分かる人たちに紹介、共有する喜び。そんな原点がエイ出版社にはたくさんつまっている。編集部に行くたび、いつもそんな風に感じています。

インタビュアー:小西克博

大学卒業後に渡欧し編集と広告を学ぶ。共同通信社を経て中央公論社で「GQ」日本版の創刊に参画。 「リクウ」、「カイラス」創刊編集長などを歴任し、富士山マガジンサービス顧問・編集長。著書に「遊覧の極地」など。

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