美容皮膚医学 BEAUTY 発売日・バックナンバー

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特集●脱毛を極める・改
企画編集/尾見徳弥

<特集にあたって>

 今回の特集にあたっては,前回の特集を踏まえて,レーザー脱毛を実施したことがない医師でも簡便で最新の知識を有することができ,レーザー脱毛を実施できるようになれるということを目標とした.
 いわゆるムダ毛を除去する脱毛は,日本のみならず欧米においても一定の大きな需要があり,美容医療分野における施術数のなかでも常にトップ3には入っている(International Society of Aesthetic Plastic Surgery〔ISAPS〕発表データ).
 脱毛の方法としては,毛抜き,剃毛,wax脱毛,電気脱毛などが従来から実施されていたが,疼痛を伴うこと,施術に技量を有することなどの問題があった.しかし,光を用いたレーザー脱毛やIPL(intense pulse light)脱毛は,手技が簡単で,侵襲が少なく,痛みも少ない一方で大きな効果が得られることが特徴であり,2000年ごろから世界中で普及している.医療機関における脱毛でも,最も高いシェアを占めている.
 レーザーによる脱毛は20年以上が経過して理論的にも確立している.装置も毛の中に含まれるメラニンをターゲットにしており,アレキサンドライトレーザー,ダイオードレーザー,Nd:YAGレーザー,IPLが脱毛用として販売されており(欧米ではルビーレーザーの装置もみられる),日本では脱毛を目的とした医療機器としてアレキサンドライトレーザー,ダイオードレーザーの装置が認可されている.
 今回の特集では,脱毛施術におけるエキスパートの方々に原稿を依頼した.まずレーザー脱毛の原理,施術にあたって注意すべきことについて最新の知識を得ることを目的とし,さらに具体的に用いる装置に関してもアレキサンドライトレーザー,ダイオードレーザー,IPLについてそれぞれ章立てをして取り上げた.また手法でも疼痛が少ないとされている蓄熱式脱毛(in motion)について取り上げた.現在まさに話題の介護脱毛,子どもの脱毛についても,現時点での最新知見を取り上げた.
 脱毛を目的とした脱毛装置も海外の機種を入れると100種類近くになり,日本で医療認可された装置でも10種類ほどはある.レーザー脱毛を実施している医療機関もチェーン組織で運営されている組織も含めると4000近くと考えられる.このような状況で差別化を図るためには装置の選択,マーケティング戦略が重要となる.装置選択の基準はレーザー機器メーカーで長年,企業戦略に携わっていたベテランマーケティング担当に依頼し,マーケティング自体も専門知識がなくとも理解できる内容となっている.さらにエステティックサロンでの光脱毛について取り上げており,エステティックサロンや医療機関での脱毛の棲み分けのためにも必要な知識を収めている.この特集を理解することで,初心者のみならず経験者でも脱毛に関する理解がより深まると考えられる.

尾見徳弥(クイーンズスクエアメディカルセンター 皮膚科,日本医科大学)


<目次>

1.体毛の存在意義と脱毛という行為の社会的意味について/青木 律
2.具体的な光脱毛:アレキサンドライトレーザー/乃木田俊辰
3.具体的な光脱毛:ダイオードレーザー/谷川知子
4.蓄熱式脱毛の基礎と応用/有川公三
5.レーザー・ホワイトライト(IPL)脱毛(光脱毛)の原理/木村有太子
6.エステティックサロンでの脱毛:wax脱毛,電気脱毛,IPL/尾見徳弥
7.皮膚疾患や色素性病変などを伴った患者における脱毛の注意点/河野太郎
8.介護脱毛:考え方と対策/根本美穂,山田秀和
9.子どもの脱毛/渡邉千春
10.開業医療機関における脱毛の位置付け/塚原孝浩
11.脱毛機器の選択ポイント/堀内洋之,上野美律
12.脱毛のマーケティングについて/新城安太,塚原孝浩
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特集●アンチエイジング―運動・栄養・環境・精神の観点から―
企画編集/山田秀和

<特集にあたって>

 本特集は,美容領域で理解が必要な,現在の抗加齢医学―アンチエイジング医学―の到達点をそれぞれの専門家に解説いただいた.
 現在は,老化は疾患との立場をとる人たちが多くなった.2020年ごろまでは,アンチエイジング医学の考えは,予防医学を中心としていた.2014年ごろまでは運動や食事,睡眠への予防的介入が中心であった.その後,環境が重要とされ,予防医学としてエクソポゾームという,広い意味での環境での曝露が健康寿命に重要とされてきた.2021年以降は,老化への介入ポイントが整理されつつあり,遺伝因子が20%程度で,環境因子が70%程度を占めていると考えられるようになった.老化のメカニズムが次第にわかるようになり,若返りもマウスでは可能となった.このため,老化と寿命のメカニズムの違いがいわれはじめ,老化の治療が次のテーマとなっている.美容領域では,早くから“若返り”という単語が使われたが,今後は生物学的時計に準じた,真の若返り治療も進むと思われる.
 このような状況で,美容での現状を,内的老化へのアプローチと外的老化へのアプローチとして解説していただいた.

山田秀和(近畿大学 客員教授,大阪公立大学 客員教授,大阪大学大学院 医学研究科 招聘教授)


<目次>
I.老化とは
 1.アンチエイジング医学とは―老化計測とepigenetic clock―/山田秀和
 2.内的老化/米井嘉一
 3.外的老化/森田明理
II.それぞれの観点から:運動
 1.運動実施に伴うアンチエイジング効果/藤田 聡
III.それぞれの観点から:栄養
 1.食事/日比野佐和子
 2.腸内細菌とその代謝物/内藤裕二
 3.見た目のアンチエイジングに役立つ栄養学/田中 孝,田村忠司
 4.サプリメント/山岸昌一
IV.それぞれの観点から:環境
 1.住宅の健康性/岩前 篤
V.それぞれの観点から:精神
 1.化粧療法の認知症患者への好影響
   /阿部康二,田所 功,山下 徹,佐藤順子,谷 都美子
 2.睡眠/小野太輔,大黒正志,西野精治
VI.対処法
 1.アンチエイジング―シミ,シワへの対応―/船坂陽子
 2.容貌/大慈弥裕之
 3.体型/根本美穂,山田秀和
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特集●腋臭症・多汗症の治療とケア
企画編集/横関博雄

<特集にあたって>

 温熱や精神的な負荷,またそれらによらずに手掌,足底に大量の発汗が起こり,日常生活に支障をきたす状態になる状態は多汗症と定義されている.どの程度の汗をかくと多汗症と呼べるかは個人差があるが,局所がしっとりしている,汗が水滴として見える,したたり落ちるという表現の発汗量が多いようである.多汗症は,全身の発汗が増加する全身性多汗症と,体の一部のみ発汗量が増加する局所多汗症に分類されている.局所多汗症で原因が明らかでないものを原発性局所多汗症と定義しており,受診する患者の大部分がこの疾患である.続発性には結核などの感染症,甲状腺亢進症,褐色細胞腫などの内分泌代謝異常,神経疾患や薬剤性の全身性多汗症があるため,汗が多いかどうかだけでなく発熱の有無,手の震えや高血圧,糖尿病,薬剤の内服歴など詳細に問診をする必要がある.原発性腋窩多汗症の発症頻度は最近の本邦での疫学調査で5.7%とまれではない疾患であると考えられている.
 一方,腋臭症も本人が気づかない状態で汗の臭いにより周りの人に迷惑をかけるなど社会生活をしていくうえで非常に困る疾患である.しかし,ほとんどの方が無治療か市販の制汗剤,デオドラント製品を使用する程度で放置している.腋臭症は主にアポクリン腺の分泌物が原因と考えられている.アポクリン汗自体は無臭であるが,皮膚表面に達して表皮細菌叢の好気性コリネバクテリウム属菌がアポクリン汗の成分を分解してアンモニアや短鎖脂肪酸に分解し臭いの原因になると考えられている.
 多汗症の治療法に関して『原発性局所多汗症診療ガイドライン』では,治療の第一選択は塩化アルミニウム溶液の外用療法であるが,保険適用のある外用薬はなく,院内製剤として処方されているのが現状である.また,皮膚への刺激性が強く接触皮膚炎を起こしやすい.第二選択としては,アセチルコリンの分泌を抑制するA型ボツリヌス毒素の局注療法が「重度の原発性腋窩多汗症」に保険適用されているが,薬価が高く侵襲性があり効果は半年で減弱する.その他の治療法として,胸腔鏡下胸部交感神経遮断術などの手術療法,抗コリン薬プロパンテリン臭化物などの内服療法などがあるが,いずれも患者への負担や代償性発汗,緑内障,口渇,散瞳など全身性の副作用などが懸念されるため,長年新しい治療法が求められていた.一方,腋臭症の治療ガイドラインも策定され手術法,生活指導もエビデンスレベルで規定されている.
 最近,原発性腋窩多汗症の治療薬として,塩化アルミニウムと異なり,治療の際に特別な調製が必要ない2種類の抗コリン外用薬が新しく開発され,保険適用となった.この外用薬はA型ボツリヌス毒素の局注療法と異なり,侵襲性はなく,処方に際して医師の実技講習などの措置を必要とせず,患者自身が塗布でき患者および医療機関への利便性に優れている.副作用である全身的な抗コリン作用も少なく使いやすい薬である.さらに,新たな多汗症・腋臭症の選択肢として,電磁波を用いて汗腺を焼灼・凝固する新規治療法も開発された.このように腋臭症・多汗症の治療は新たなステップに入ってきているので,是非多くの人に腋臭症・多汗症の治療の新たな展開を知っていただきたいと思いこの企画を計画した.

横関博雄(東京医科歯科大学 皮膚科 名誉教授)


<目次>

1.汗腺の構造と発汗の機序/室田浩之
2.腋臭症の機序・疫学・診断/上中智香子
3.多汗症の機序・疫学・診断/藤本智子
4.腋臭症治療のアルゴリズム/白川裕二,細川 亙
5.多汗症治療のアルゴリズム/藤本智子
6.腋臭症・多汗症の外科的治療法/栗原美紗樹,森 弘樹
7.腋臭症・多汗症の外用療法/花房崇明
8.多汗症のボツリヌス療法/大嶋雄一郎
9.多汗症の交感神経遮断術療法/羽切周平,吉岡 洋
10.腋臭症・多汗症のマイクロ波療法/宗次太吉
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特集●手を健やかに,美しく
企画編集/坪内利江子


<特集にあたって>

 年齢は首と手に出る,と古くから言われてきたが,美しい手にするための治療に自信がある医師はどのぐらいいるだろうか.頻繁な手洗いにより乾燥しやすくさまざまなものに触れて刺激を受けやすいうえ,手背は紫外線曝露による光老化が進みやすい.にもかかわらず日頃のケアは顔よりおろそかになりやすい.また,手は日常的に細かい動作や繊細な感覚が必要なパーツであるため機能面が非常に重要であり,解剖学的な特徴からも顔とは異なる治療戦略が求められる.加齢とともに爪を含む皮膚病そして関節の疾患も増加するが,見かけが美しくても機能面で衰えがあれば,真の美しい手とは言えないであろう.しかしながら,顔に関する美容医療は日進月歩の一方で,美しい手にするための包括的なアプローチについては国際学会でも英語の教科書でも学ぶ機会がほとんどない.
 今回の企画にあたりそれぞれの専門分野でご活躍の先生方に執筆を打診させていただいたところ,多くの方から「手は難しい…」とのお声をいただいた.そのように実臨床で経験豊富な先生方でさえ難しいのが手の診療である.幸いにも先生方のご協力のおかげで,各々の美容施術のエキスパートに披露していただいたノウハウに加えて,手の解剖や爪・関節の変化について,そして現代医学では不可能な事例を解決する義肢など,見た目もまた機能的にも,健やかで美しい手を実現するための多様なアプローチの詰まった貴重な一冊となった.
 巻頭には,世界を舞台にご活躍の日本舞踊家であり人間国宝の呼び声も高い花柳寿楽様から特別寄稿をいただいた.オープニングを飾るのにふさわしく,美しいしぐさはまさに美しい手のエッセンスであると感じ入る.ご多忙のなか玉稿を賜われたことに深謝したい.
 最後に,企画立案より1年半以上にわたり,発売時期の変更など多くの困難のなか最後まで粘り強くおつきあいくださった編集部の皆さまに心からの謝辞を申し上げる.

坪内利江子(銀座スキンクリニック 院長)


<目次>

1.美しい手とは/花柳寿楽
2.手の解剖/小澤一史
3.手の皮膚疾患・加齢とスキンケア/小林美和
4.手のメソセラピー/谷 祐子
5.手のレーザー・光治療/宮田成章
6.RFによる手のrejuvenation/坪内利江子
7.手のヒアルロン酸注入/今泉明子
8.爪の疾患とレーザー療法/大原國章
9.加齢・ホルモンによる関節の変化/牛尾茂子,平瀬雄一
10.手と指の義肢について―手をつくるということ―/林 伸太郎
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特集●医療アートメイク
企画編集/池田欣生

<特集にあたって>

 今,急速に需要が高まっている医療アートメイク.もともとアートメイクは医療教育を受けていない人々の間で行われていたこともあり,針の使いまわしや不衛生な色素が使われていた業界で感染症のトラブルが多いのが現状でした.そのため日本においては厚生労働省がアートメイクは医療行為,という通達を出しましたが,実際には医療従事者でアートメイクを行う人はあまりいなかったという歴史があります.
 7年前に医療アートメイク学会が発足され,「アートメイクは医療行為なので医療機関で」という啓発を行うと同時に,アートメイク検定試験や技術コンテストを行うなど,安心で安全なアートメイクを広める活動を行いました.その結果,近年急速に医療機関でアートメイクを行う人が増えてきたのは皆さんもご存じであることと思います.
 今回の特集は医療アートメイク学会でご活躍されている講師の先生方に最新のアートメイクに関する情報についての執筆をお願いしました.
 アートメイクは玉石混合の状態です.各アーティストが独学で秘伝の技術を勉強して学んでいたのが現状で,アートメイクに関する専門書は国内にほぼ見当たりません.そのため今回の特集は国内初のアートメイクの専門書ともいえると思います.これから医療アートメイクを学びたいという医師や看護師のみならず,現在医療アートメイクを行っている方々にもお役に立てる内容になったと自負しています.

池田欣生(社団法人医療アートメイク学会 理事長,東京皮膚科・形成外科銀座院 総院長)


<目次>

1.アートメイクの歴史・法律について/西川嘉一
2.医療アートメイク学会/池田欣生
3.アートメイク色素とその除去/河野太郎
4.アートメイクで用いる機械について/永森友美,梶 千尋
5.美しさと眉アートメイク/松宮敏恵,金津由紀恵
6.アイラインのアートメイク/永森友美,田中優太
7.リップのアートメイク/永森友美
8.再建乳房アートメイク/冨田祥一
9.SMP 新時代の幕開け/金 児盛
10.医療アートメイクスクール/永森友美,池田欣生
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特集●Skin Rejuvenation
企画編集/黄 聖琥

<特集にあたって>

 近年発展してきたレーザー・光・高周波機器を用いたskin rejuvenation治療は,表皮・真皮を同時に改善させていく画期的な治療といえる.私が美容皮膚診療に携わった2004年ごろはIPLやロングパルスNd:YAGレーザー治療が主体であり,その後,高周波や近赤外線治療,フラクショナル治療などが登場し,真皮やたるみ治療の選択肢が広がった.2008年ごろ登場したQスイッチNd:YAGレーザーによるトーニング治療は画期的であった.それまで肝斑治療に禁忌であったレーザー治療が,対症療法として世界中に認知されるようになった.そして2016年ごろよりピコ秒レーザーが登場し,skin rejuvenation治療の成績がさらに上がった.パルス発振式ニードルRFを用いた治療で,それまで警戒していた,レーザー治療によって色素脱失や肝斑を悪化させてしまう症例に,安全にskin rejuvenation治療をすすめていける可能性が広がった.
 デバイス治療の発展によって,治療の成績は各段に上がったが,同時に画像診断による治療方針の立て方も治療成績を上げるのにとても重要である.とくにアジア人の表皮は,メラノサイトに強い刺激が加わることで,肝斑や色素沈着が悪化することになる.刺激の要因は,レーザー治療などによる医原性のものだけでなく,紫外線や物理的な刺激,年齢やアレルギー,ホルモンバランスなどの体質,さまざまな因子が複数関与している.これらの環境因子を整えながら,メラノサイトの活動性をコントロールし,治療方針を立てていくことが重要である.
 この特集では,経験豊富な9人の先生方に執筆いただいている.〔I.基礎編〕では,表皮・真皮のそれぞれの病態生理,臨床につながる基礎知識について,詳しく概説いただいている.〔II.臨床編〕では,それぞれの先生に,実臨床で行っている治療について,症例写真も交えて詳しく論じていただいている.どの先生方も素晴らしい結果を出されているが,その結果を得るための治療戦略や機器の特徴をよく理解されている点が非常に興味深い.また最後に,現在美容皮膚診療をされている読者が恐らく気になる点,治療方針についていくつかの質問事項を設け,〔II.臨床編〕1~6章の6人の先生方に答えていただいている.本特集が,読者の日々の美容皮膚診療の一助になることを願う.

黄 聖琥(KO CLINIC & Lab 院長)


<目次>

〔I.基礎編〕
1.表皮のメカニズム―メラノサイトの制御に注目して―/船坂陽子
2.真皮の組織学的分析と加齢変化/今山修平

〔II.臨床編〕
1.当施設におけるSkin Rejuvenation治療について1/宮田成章
2.当施設におけるSkin Rejuvenation治療について2/中野俊二
3.当施設におけるSkin Rejuvenation治療について3/菅原 順
4.当施設におけるSkin Rejuvenation治療について4/奥 謙太郎
5.当施設におけるSkin Rejuvenation治療について5/朝日律子
6.当施設におけるSkin Rejuvenation治療について6/黄 聖琥
7.ニキビ,ニキビ痕治療を主体とするSkin Rejuvenation治療について/久田恭子
4,400円
特集●顔の輪郭を制する
企画編集/杉野宏子

<特集にあたって>

 近年,顔面・頸部の解剖学的知見が続々と発見されるにつれ,新たな手術法や治療法が開発され,美容医療は飛躍的な進歩を遂げた.たとえばシミ・シワのある皮膚に対して各種低侵襲治療の組み合わせを行うことで,均一な色調の艶のある皮膚を得ることが可能となった.
 一方,顔から頸部にかけての輪郭に対する治療は,骨から皮膚までの解剖学的構造がすべて関与しているので,皮膚のみの治療に比べより困難である.輪郭形成といえば以前は手術療法が第一選択であったが,最近ではフィラー注入やボツリヌストキシン注射,さまざまなenergy based device(EBD)治療などの低侵襲治療の組み合わせにより,輪郭不整の改善がかなりの程度可能となった.
 このように美容治療の低侵襲化とともに,美容治療は患者にとって身近な存在となってきた.さらにSNSの発達に伴い,誰もが自己の顔写真を公開する時代となり,アプリケーションを使ってデフォルメした理想像に自分自身の顔を合わせたいと,美容医療を希望する者が増えている.美容医療に携わる医師は,皮膚の美しさや各部位の形の美しさを求める治療だけでなく,美しい顔面の輪郭を得るための治療も患者から求められることが多くなった.
 そもそも美しい輪郭とは何だろうか.患者が求める理想像は果たして本当に美しい形なのか,美しい輪郭といえるのだろうか.個々の顔には個性があるのに,画一的に1つの型を当てはめ,患者が求めるままの治療を行うことに疑問を感じることがあった.そのような折に本特集を企画編集する機会をいただき,総合的に美しい輪郭を得るにはどうすればよいのかを基本から見直す特集にしたいと考えた.
 顔面・頸部の輪郭に影響する要素は,土台となる顔面骨から,筋層・SMAS,皮下脂肪組織,皮膚まで,解剖学的層状構造とそれらを全層にわたりつなぐ支持靭帯と疎性結合組織である.本特集ではそれぞれの解剖学的構造に焦点を当てながら,手術療法から非手術療法に至るまで,各分野のエキスパートの先生方に輪郭の治療法についてご執筆をお願いした.今一度,美しい輪郭とは何なのか,それを得るために何が重要なのかを総合的に見つめなおす機会に本特集がなれば幸いである.
 なお最近,顔の輪郭を意味する言葉として「フェイスライン」という言葉が雑誌などでしばしば使われている.それに伴い学会発表などでもその言葉を頻回に耳にするが,演者によって指し示す部位が異なることもしばしばである.元来「フェイスライン」はヘアカットを行う美容師の世界から発生した和製英語(カタカナ語)であり,英語のcontourやprofi leに相当する医学用語として相応しくないと考える.したがって本特集では「フェイスライン」という言葉を使用せず「顔の輪郭」と統一して表記した.ご協力いただいた執筆者の先生方には感謝申し上げる.

杉野宏子(青山エルクリニック 院長)


<目次>

〔I.総論〕
1.美しい輪郭とは何か?/関谷秀一

〔II.手術療法〕
1.顔面骨切りによる輪郭形成/倉片 優
2.フェイスリフト手術/鈴木芳郎
3.鼻のデザイン―その考え方―/室 孝明
4.皮膚と脂肪コンパートメントへのスレッド挿入で整える輪郭/杉野宏子

〔III.非観血的療法〕
1.輪郭を保つスキンケア/奥村千香
2.メソセラピー/谷 祐子

〔IV.ここがポイント〕
1.たるむ前から輪郭を保つための予防的機器治療/有川公三
2.若々しい輪郭を作るための皮膚に対する機器治療/伊藤史子
3.真皮からSMAS までの総合的機器治療/石川浩一
4.フィラー注入による輪郭形成/塚原孝浩
5.輪郭を整えるボツリヌストキシン治療/西田美穂,西田 真
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特集●目周りのアンチエイジング
企画編集/曽山聖子

<特集にあたって>

 顔の印象を決定する重要なパーツである目元.昨今は日常生活においてマスクを装着する時間が増え,より目元の印象が際立つようになりました.そのため目の周りのお悩みを訴える方がとても増えてきている印象です.
 目の周りはもともと年齢が出やすい部位ですが,目の周りと一言でいっても眼瞼下垂や上眼瞼くぼみ,まぶたのたるみ,下眼瞼のクマ,色素沈着,シワなど主訴は多種多様です.
 今回は最新の目周りスキンケアや外用,内服,トレチノイン・ハイドロキノン外用療法など皮膚科医の観点からの治療,そして手術による外科的な手法やボトックス,ヒアルロン酸,ベビーコラーゲン,スネコス(SUNEKOS)などの注入療法,レーザー機器を用いた非手術的手法,さらには東洋医学である美容鍼と経穴(いわゆるツボ),目元の印象を強くする睫毛美容(睫毛美容液や睫毛パーマ)について最新の情報を教えていただきます.
 今回は私が尊敬しているそれぞれのスペシャリストの先生方に執筆をお願いし,素晴らしい一冊になりました.ご多忙のなかお引き受けくださいました先生方に感謝申し上げます.

曽山聖子(セイコメディカルビューティクリニック 理事長)


<目次>

1.目周りの加齢に伴う変化や皮膚科的治療について/竹井賢二郎
2.目周りのスキンケア・アップデート/松永由紀子
3.目周りのくすみ:外用,内服治療について/小田富美子
4.目周りのたるみ・小ジワに対する機器治療/土屋すなお
5.ヒアルロン酸注入による上眼瞼のくぼみの治療/曽山浩輔
6.下眼瞼注入療法/岩城佳津美
7.アミノ酸・非架橋ヒアルロン酸混合製剤SUNEKOSを用いた目周りの注入療法について/原 かや
8.目周りのボツリヌス治療/西田美穂,西田 真
9.目周りのアンチエイジング:外科/前多一彦
10.睫毛のアンチエイジング/立川量子
11.美容鍼による目周りのアンチエイジング/岡本真理,川畑充弘
4,400円
特集●注入治療―トラブルを予防するためには―
企画編集/征矢野進一

<特集にあたって>

 近年,多種類の注入剤が出現して,市場にて販売されている.注入治療は実施に使用器具が少なく,ダウンタイムが短いため,美容医療では治療手段として非常に多くなってきている.手術療法でないと治しにくいものがあるが,それ以外の症例は注入治療などで患者の満足を得られることが多い.
 注入剤成分の種類としては,コラーゲン・ヒアルロン酸・自己脂肪,多血小板血漿(PRP),ポリカプロラクトン,アガロースなどとさまざまだが,手技が簡単に行えることが,トラブルを生じる原因ともなっている.今回上記注入剤の専門家の先生方に,注意すべき点やトラブルを予防する方法を解説していただくという趣旨で執筆を依頼した.
 ヒアルロン酸が現在治療で最も多く使われているために,トラブルも最も多い.この項目は複数の先生方に依頼した.施術者ごとに治療方法,投与方法などは違うため,あえて同じ注入剤でも多くの専門家に執筆を依頼した.
 注入剤は1986年にウシ由来コラーゲンが初めて日本国内で承認を受け,その後1997年からヒアルロン酸製剤が世界で販売を開始され,ついでボツリヌストキシンや他の注入剤が使用され始めた.
 コラーゲンは濃度がさまざまあり,使用する部位や適応で効果が違ってくる.下眼瞼のような薄い皮膚に高濃度のコラーゲン注入剤を注入すると白く凹凸などが出現する.逆は効果がみられない.ウシ由来コラーゲンの使用にあたっては皮内テストが必須で,低い確率だがアレルギー反応を起こすことがある.またヒアルロン酸製品には架橋程度が違うものが存在して,使用方法が違ってくるが,投与方法や使用部位によっては予定以上に膨隆することや,他の重大な副作用(たとえば失明など)が起きることがある.ボツリヌストキシンも想定していた作用以外に他の反応が出ることがある.額や眉間に注入して眼瞼下垂などを起こすことがある.自己脂肪の注入は,本人の組織なので問題がなさそうであるが,注入方法により効果がみられないことや,血管への誤投与で流域の循環障害を起こすこともある.PRPFは同時に投与することがある線維芽細胞増殖因子などの影響で変形をきたすことが知られている.ポリカプロラクトンは生分解性ポリエステルで,またアガロースは多糖体系注入剤であるが,両者ともに凹凸や発赤などを起こすこともある.
 このようにさまざまな副作用などが起こりうるが,各分野の専門家に特徴や適応,手技などを解説していただくことにより安全で効果的な治療の参考となれば本書が発刊される意義があると思っている.

征矢野進一(神田美容外科形成外科医院 院長)


<目次>

1.ヒアルロン酸注入のトラブル予防1/岡田 雅,衣笠哲雄
2.ヒアルロン酸注入のトラブル予防2―真皮内微細注入におけるヒアルロン酸製材と注射針の選択―/一瀬晃洋
3.ヒアルロン酸注入のトラブル予防3/今泉明子
4.ヒアルロン酸注入のトラブル予防4/福嶋康二郎
5.ポリカプロラクトン注入のトラブル予防/池田欣生
6.ボツリヌストキシン治療のトラブル予防1/古山恵理,古山登隆
7.ボツリヌストキシン治療のトラブル予防2/白壁聖亜
8.コラーゲン治療のトラブル予防/征矢野進一
9.PRPF治療のトラブル予防/亀井康二,木村哲治
10.脂肪注入術のトラブルとその予防/市田正成
11.アガロース注入のトラブル予防/西谷直輝
4,400円
特集1●首の美容
企画編集/尾見徳弥

<特集にあたって>

 レーザー,RFなどの機器の他,ヒアルロン酸やボツリヌス菌毒素注射などさまざまな美容施術が広がるなかで,顔に対する施術は非常にニーズも高く,数多く実施されており,効果も得やすい.一方,首に対しての美容はあまり実施されていない.この理由の1つとして,首は部位的な問題から顔に比べて気にすることが少なく,美容施術をしても満足度が低いこともあるかもしれない.しかし,加齢ともに首のシワやたるみは皮下脂肪層が薄い分,目立ちやすい.首の施術にあたっては,皮下脂肪層が薄く,重要な血管や神経が浅層を走行しているため,通常の美容外科手術,糸(スレッドリフト)などは不適である.今回はアンチエイジングの観点から首の美容に関しての他,首の美容にふさわしい機器を用いた施術,近年脚光を浴びている美容鍼による施術,海外ではCosmeceuticalsとしてシワや美白を目的として発売されているいわゆる機能性化粧品を用いた首の美容の手法について紹介する.また,首の美容をどのように捉え,診断し,患者に美容施術を提供していくかという実地臨床についても紹介する.

尾見徳弥(クイーンズスクエアメディカルセンター皮膚科 部長)


<目次>

1.首の老化/山田秀和
2.機器を用いた首の美容/中野俊二
3.美容鍼による首の美容/岡本真理,川畑充弘,田中一行
4.家庭での首の美容―化粧品,家庭用美容機器―/尾見徳弥
5.実地臨床における首の美容/上野美律



特集2●更年期障害のケア―心身ともに美しく―
企画編集/植木理恵

<特集にあたって>

 高齢化社会を迎え,健康に美しく過ごしたい願いは年代を問わないことを実感することが多い.私の専門の毛髪の相談は更年期前後の年代からの相談が多いが,現在勤務している病院へは高齢の患者も多く,80歳の方からも薄毛の相談を受け,もっと早く相談すればよかったといわれる.
 加齢を強く意識するようになる更年期の女性の悩みはシミやシワ,たるみ,薄毛などの容貌の変化だけではないことはいうまでもない.悩みはいろいろあるのに,更年期の体の変化は相談しにくかったり,年だからと諦めていたりすることも少なくない.さらに,年代的に家族の世話や親の介護,社会的責任の増大など,容易に解決できない負荷が心身にかかっていることも体の変調をきたす原因となる.
 大半の女性は更年期から30年以上の人生を送ることになる.健康に美しく過ごしていくことを積極的に助けていくことができる方々に,女性の人生後半の入り口である更年期の心身の変化について最新の医学的情報を共有し実地に生かしていただくために,今回はさまざまな分野の先生方に更年期について述べていただいた.それぞれの章が先生方の更年期女性へのエールを感じる内容となっている.読者の皆様に更年期への理解を深めていただければ幸いである.

植木理恵(順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター 皮膚科 教授)


<目次>

1.華麗なる加齢のために―更年期以降の悩みと婦人科的なアプローチ―/高松 潔,小川真理子
2.骨盤臓器脱/高澤直子
3.更年期の関節変化:へバーデン結節など/岩瀬嘉志
4.肌・スキンケア/小柳衣吏子
5.更年期からの毛髪の変化と対策について/冬木慎一,長瀬 忍
6.更年期の悩みへの取り組みについて/宮尾益理子
4,400円
特集●白斑―病態の理解と最新治療―
企画編集/片山一朗

<特集にあたって>

 白斑はありふれた疾患ではあるが,顔面,頸部,手背などの病変では患者のQOL低下に及ぼす影響は大きく,患者の治療に対する要求度は高い.近年,白斑のあらたな病因論に基づいた治療法,治療薬の開発が世界的に進められており,基礎研究も日進月歩で進んでいるが,日常診療では,そのすべてを把握することは困難である.2011年度の国際色素細胞学会の会議で全身性の汎発型を単に白斑とし,分節型は従来どおり分節型白斑,それ以外を未分類群とする病型分類の意見が出された.以後世界の白斑研究者による新規治療の効果判定を世界の共通指針により評価するための白斑の診断,分類,治療目標とその評価法が検討されている.今回,臨床の再前線で白斑の治療に取り組まれている皮膚科,美容皮膚科,形成外科の先生方にそのような最新の情報提供を目的として「特集:白斑―病態の理解と最新治療―」として企画し,それぞれの分野のエキスパートの先生に執筆をお願いした.
 本特集号が臨床医のみでなく,薬学,検査医学,看護師など白斑の治療に関わる方々の知識の整理にも役立てば幸甚である.執筆にご協力いただいた先生方に深く感謝する.

片山一朗(大阪公立大学大学院 色素異常症治療開発共同研究講座 特任教授)


<目次>

1.白斑の診療ガイドライン/鈴木民夫
2.白斑の病因論:最新の知見から/井上紳太郎
3.白斑病変部で何が起こっているか/佐野栄紀
4.白斑の動物モデルの作成とその応用/阿部優子
5.白斑の画像診断/大磯直毅
6.白斑の治療:薬物療法/並木 剛
7.白斑の光線治療:総論/芝田孝一
8.白斑の治療:外科的治療/種村 篤
9.白斑の治療:再生医療の現状と展望/川上民裕
10.東洋医学の白斑治療への応用/楊 伶俐
11.化粧品白斑の現状と対策,患者指導/松永佳世子
12.COVID-19感染症と白斑:問題となる皮膚症状とマスク着用による顔面の皮膚トラブルへの対応も含めて/片山一朗
4,400円
特集●スキンケア―攻めのケア,守りのケアを考える―
企画編集/菊地克子

<特集にあたって>

 健康な皮膚を保つために日常的に行うスキンケアのうち,基本の3つのケア((1)皮膚を清潔にする,(2)皮膚の乾燥を防ぐ,(3)紫外線傷害から皮膚を守る)は,健常皮膚だけでなく,疾患皮膚や美容的施術を行った後の皮膚でも行うべきもので,皮膚科や美容皮膚科の診療の一環として,そのさじ加減を皮膚科医は知っておいたほうがよい.(1)には洗浄料,(2)には保湿剤,(3)にはサンスクリーン剤が用いられる.皮膚に害を与えずに目的の効果を得るためには,それぞれのスキンケア製剤を適切に使う必要がある.洗浄剤の過度な使用や不適切な使用は,刺激や乾燥を惹起する可能性があり,皮膚を清潔にするケアが,最も難しいと思う.アトピー性皮膚炎などの「敏感肌向け」や「ニキビ肌向け」「年齢肌向け」など,皮膚の特性に合わせた製剤もあり,スキンケアで皮膚を“守る”ためには個々の皮膚状態により押さえておきたいポイントがあるように思う.尋常性ざ瘡に対して抗面皰薬を継続するための保湿のケアなども守りのケアと位置づけられる.ケミカルピーリングやレーザー,光治療などいわば攻めの美容皮膚科的施術を行う際には施術の成功のために適切な皮膚ケアを行う必要があり,これも代表的な守りのケアである.
 基本の3つのスキンケアに加えて,シミやシワに対する美白化粧品や抗シワ化粧品,頭髪や頭皮ケア製品など健康で美しい皮膚を求める消費者ニーズに合わせてさまざまなケア製品が存在する.疾患の治療には当たらない,いわば“攻め”のケアに相当するものと考えられる.用いる製剤は化粧品に属するものや医薬部外品(薬用化粧品)に属するものになるかと思われる.皮膚刺激性の少ないメイクアップ化粧品を用いて患部をカモフラージュするなどは,患者のQOL向上のために有用な付加的なケアといえよう.
 皮膚局所のケアにとどまらず,衣類や生活習慣など皮膚を取り巻く環境の改善や,サプリメントなど経口剤や食品を取り入れたより積極的な対策をスキンケアとして含めてもよいかもしれないなどとも考える.
 基本的な守りのケアを知らずにいれば,皮膚科・美容皮膚科診療はなりたたず,付加的な攻めのケアを知っているほど皮膚科・美容皮膚科診療での武器が増える.本特集号では,皮膚科や美容皮膚科を受診するさまざまな皮膚状態の患者を対象として,基本的な守りのケアはどうすべきか,付加的・治療的な攻めのケアにはどのようなものがあるかをスペシャリストの先生から伝授していただく.

菊地克子(医療法人社団 廣仁会 仙台たいはく皮膚科クリニック 院長)


<目次>

〔特集〕
1.スキンケア製品―洗浄剤・保湿剤・サンスクリーン剤―/村上有美
2.頭髪のケア/伊藤泰介
3.尋常性ざ瘡患者のスキンケア/木村有太子
4.酒さ・赤ら顔患者のスキンケア/大森遼子
5.肝斑患者のスキンケア/小林美和
6.光老化皮膚(シミ・シワ)のスキンケア/菊地克子
7.美容的施術前後のスキンケア/上中智香子
8.あざや白斑患者のスキンケア/山本晴代
9.がん患者のスキンケア/藤間勝子
4,400円
特集●男性型・女性型脱毛症の治療とケア―現状と未来―
企画編集/乾 重樹

<特集にあたって>

 1996年から2年間,米国のウィスコンシン大学,ロチェスター大学に留学しておりました.ボスはアンドロゲン受容体をクローニングした先生で,わたしの研究は前立腺と皮膚における核内レセプターについてでした.米国ではプロスカーという名称で前立腺肥大の治療薬フィナステリド5mg 錠がすでに発売されていました.留学中の1997年に低容量の1mg錠を男性型脱毛症の治療薬としてFDAが承認しました.研究室でもそれはしばしば話題となり,基礎研究者であったボスからも「フィナステライ(英語ではそんな感じの発音になります)は効くのか? 副作用はないのか?」としつこく聞かれたことを懐かしく思い出します.臨床医だから知っているだろうと思われたのだと思いますが,いかんせん留学に出発した1996年の日本では,男性型脱毛症は皮膚科の臨床においては治療の対象ではなかったのです.したがって,そんな質問には答えようがありません.留学から帰国して数年,2005 年に日本でもフィナステリドが上市され,男性型脱毛症は皮膚科で治療する疾患になりました.その後種々治療法が加わり,2010年,2017年には日本皮膚科学会より診療ガイドラインが発表されました.エビデンスの乏しい施術が横行していた状態がEBMという基準のもとに整理され,「何が標準で,何が規格外か」を明確に示したその役割はきわめて大きなものでありました.しかし,ガイドラインの表現はやや堅苦しく,新しく生じたすき間的な疑問や興味に必ずしも答えてはくれません.
 そこで本特集は,男性型脱毛症・女性型脱毛症をメインに,病態,治療法,ケアの現状を新しい切り口で解説し,さらに毛髪再生という未来の問題についても議論することをねらいとしています.各々の論点につき,日本を代表し,さらに世界的にも有力なエキスパートの先生方にわかりやすく解説を書き下ろしていただきました.執筆陣の熱意ある筆致と息吹を感じ取っていただければと思います.コロナ終息となった学会場で,読者と執筆者の皆様が本特集をネタに楽しい議論ができることを心より願っています.

乾 重樹(大阪大学大学院 医学系研究科 皮膚・毛髪再生医学(アデランス)寄附講座 特任教授,心斎橋いぬい皮フ科 院長)


<目次>

〔特集〕

I.男性型脱毛症
 1.5α-還元酵素阻害薬のAGA長期成績と安全性/栁澤正之,佐藤明男
 2.植毛up to date/長井正壽
 3.赤色LEDによる脱毛症の治療/乾 重樹
 4.フィナステリドとデュタステリドの使い分け/乾 重樹

II.女性型脱毛症
 1.女性型脱毛症の病態メカニズム解析/大山 学
 2.女性型脱毛症の診断と治療/植木理恵
 3.新しい女性型脱毛症の分類法/金子章子
 4.毛髪の加齢変化とヘアケア/長瀬 忍

III.再生医療
 1.毛球部毛根鞘細胞を用いた壮年性脱毛症に対する臨床研究/尾郷正志
 2.細胞外小胞:新しい毛包再生ツール/中川孝俊,乾 重樹
 3.周期的な毛包を再生させる幹細胞の増幅と特定/武尾 真,辻 孝
4,400円
特集●美容診療の未来―“これから”を考える―
企画編集/川田 暁

<特集にあたって>

 美容皮膚科や美容外科などの美容医療が関わる分野は近年ますます拡大・発展し,きわめて多岐にわたっています.そのようななかで未来の美容医療がどうなっていくのかを考えることはとても興味深いことです.そこで,「美容診療の未来―“これから”を考える―」というテーマで本号を編集することになりました.
 本特集の構成として大きく5つのテーマに分けました.
 (1)「新たなコンセプトの美容診療」として,従来の枠を超えた美容診療への試みを取り上げました.まず女性のライフステージに応じた美容診療という観点から,形成外科と婦人科の先生に解説していただきました.さらに男性を対象とした新たな美容診療の現状と将来像を解説していただきました.
 (2)「診療形態からみた美容診療の未来」として,診療形態によるアプローチの違いを取り上げました.大学病院からは美容医療の基礎的・臨床的研究におけるエビデンス創出をテーマに,市中病院からはより高度な美容診療をテーマに,クリニックからは美容診療における患者さんの隠れているニーズ(unmetneeds)をテーマに,それぞれ解説していただきました.
 (3)「新たな技術の発展への期待」として,今後さらに開発される技術や機器について取り上げました.ピコレーザーなどのレーザー機器やその他の新技術,ICON>Rを中心として複合機器の今後の展開,Halo>TMを中心として複合機器の未来を,それぞれ解説していただきました.
 (4)「美容診療における再生医療」として,再生医療の今後の未来像について取り上げました.まず医療サイドから美容診療における再生医療の現状と今後の展開について,そして化粧品サイドから再生医療技術を応用した化粧品の美容診療における役割について,それぞれ解説していただきました.
 (5)最後に「今後の展望」として,レーザー・光治療の新機軸をテーマに解説していただきました.著者の先生方はそれぞれの分野の第一線で活躍されている方々です.現在美容診療に携わっている方々にとっては,現在の自分の立ち位置や将来の方向性を考える機会に本書が役立つことを願っています.またこれから美容医療に従事されようとする方々にとって,本書を読むことが第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです.

川田 暁(近畿大学 名誉教授)


<目次>

〔特集〕
I.新たなコンセプトの美容診療
 1.美容診療から女性医療へ/足立真由美
 2.注目のトピック!最新の膣美容レーザー治療/宮崎綾子,足立真由美,依田キクエ
 3.男性美容診療のこれから/樋口彩子,安田吉宏
II.診療形態からみた美容診療の未来
 1.大学病院から―エビデンス創出をめざして―/中嶋千紗
 2.市中病院から―より高度な診療をめざして―/堀川永子
 3.クリニックから―unmet needs を掘り起こして:とくにニキビ治療にフォーカスして―/乃木田俊辰
III.新たな技術の発展への期待
 1.ピコ秒レーザー/河野太郎
 2.複合機器―ICON>Rを中心に―/三宅早苗
 3.複合機器―Halo>TMを中心に―/山本晴代
IV.美容診療における再生医療
 1.医療サイドから/市橋正光
 2.化粧品サイドから―美容皮膚科領域における再生医療技術の展開可能性について―/稲井瑞穗
V.今後の展望
 1.レーザー・光治療の新機軸/須賀 康
4,400円
特集●美容とサプリメント
企画編集/市橋正光

<特集にあたって>

 健康の基本は,食,運動,睡眠と仲間との楽しい交流である.少子化が進み世界一の高齢社会の日本では,国民一人ひとりが健康長寿を維持し,加齢に伴う病気の発症を遅らせ,一日でも長く社会の一員として活動し,生活を楽しむことが期待されている.なかでも食は人類が長い歴史のなかで学び習得した知恵の結晶であり,サイエンスで食物に含まれる成分が健康維持に役立つことが証明されてきている.サプリメントは食材料から得られる機能性成分である.つまり,サプリメントは食に含まれる健康促進成分を単体あるいは複合体として,より効率的に摂取できるように加工された優れた食品である.わが国では,2015年には機能性表示食品が第3の保健機能食品として認可され,多数の食品が健康促進に役立つ環境が整ってきた.
 私が皮膚の老化,とくに光老化に注目し研究会を立ち上げてからすでに20数年が経った.そのころから老化の原因に関する理論に興味を持ち,また,老化原因諸説に基づいて皮膚の老化を遅らせる,さらには老化に打ち勝って皮膚を若返らせるにはいかなる方法があるかを他の研究者から学び,理解する傍ら,私自身も基礎・臨床研究をささやかながら続けてきた.
 現在,老化理論として,遺伝子の不安定性,テロメアの短縮,エピジェネティックな変化,異常タンパク質の蓄積,ミトコンドリアにおける酸化障害,細胞間の情報交換の異常,幹細胞の減少やセネセンスに陥った老化細胞自身が組織や個体の老化を促進することなどが提示されている.
 この特集号では,サプリメントが美容,つまり健康的な皮膚の若さにどれほど関わっているかを,サプリメントの作用機序に加え,実際の美容効果をそれぞれ,基礎研究の専門家と美容医療の実践医師に執筆いただいた.
 本特集は,読者自身の美容のためになるサプリメント情報を満載した.まだ実践されていない方には,サイエンスが支持するサプリメントに挑戦いただき,また,患者さんにも美容は全身の健康に役立つことを説明いただき,美と関連する食を支えるサプリメントの摂取を勧めていただきたい.若さ溢れる超高齢社会実現にサプリメントで貢献したいものである.

市橋正光(BTRアーツ銀座クリニック 院長)


<目次>

〔特集〕
1.食と健康とサプリメント/阿部康二
2.腸内環境と健康―腸があなたの若さを支配―/内藤裕二
3.発酵乳摂取と皮膚の健康/森藤雅史
4.飲み物と健康―コーヒーとお茶が美容に与える効果―/福島洋一
5.エネルギー代謝関連サプリメントと美容―基礎から臨床まで―/長濱 徹,柳 茂
6.ビタミンとアンチエイジング―基礎編―/石神昭人
7.ビタミンと美容―臨床編―/船坂陽子
8.アスタキサンチンの光老化防止に結び付く細胞生物学的メカニズム/芋川玄爾
9.高機能カロテノイド・アスタキサンチンの美容皮膚医学に関する話題―最近の臨床トピック―/西田康宏
10.レスベラトロール摂取と皮膚の若返り/若命浩二
11.カシスの美容効果/川上宏智
12.コエンザイムQ10の美容効果/藤井健志
13.ペプチドのサプリメントと美容/佐藤健司
14.抗糖化サプリメントと美容/米井嘉一
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商品情報・内容

  • 出版社:医学出版
  • 発行間隔:隔月刊
  • 発売日:奇数月25日前後発売

■ エビデンスに基づく知識から最新トピックスまで!美容皮膚科領域のニーズに応える専門誌

近年、美容皮膚科領域の治療は大きく発展し、その重要性は増しつつある。社会的にも広く受け入れられてきているが、一方で健康被害などの問題も生じている。今こそ、美容皮膚科領域の進歩と問題点に向き合う、新たな雑誌が必要とされている。本誌はそのようなニーズに応える雑誌を目指し、毎号さまざまなテーマを大ボリュームの特集形式で取り上げ、深く切り込んでいく。また、フルカラーの豊富な図版・写真で、ビジュアル的にもわかりやすく情報を伝えていく。

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