アイデア 発売日・バックナンバー

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3,630円
特集:小林一毅 生活の図考
企画・構成:小林一毅、明津設計、アイデア編集部 デザイン:明津設計

グラフィックデザイナー、小林一毅(こばやし・いっき)の特集号。小林は2015 年に多摩美術大学を卒業後、資生堂に入社しクリエイティブ本部でデザイン業務を担当。退職後の2019年にはJAGDA新人賞を受賞した。現在はフリーランスのグラフィックデザイナーとして、東京を拠点に活動を続けている。

本特集では、小林が2023年冬から描きためてきた新作図案38点を収録した。小林の制作において、これらの図案は下絵にあたるものであり、通常は手描きの図案をもとにIllustratorでパスを起こし、デジタルでの作業を介してデザインとして完成させていく。しかし、小誌では小林がつくる「かたち」が立ち上がってくる過程や、図案を描くという行為を通じて彼がどのように身体で思考しているかに焦点をあてるため、「生活の図考」と題し、デザイン未然のものとしての「図案」を並べてみることにした。誌面の構成・デザインは、小林と大学の同期にあたり、その活動を身近に見てきた明津設計によるものだ。

高度にデジタル化された現代社会においては、ものづくりの現場でも合理化が進み、おどろくべきスピードで大量の表現が発生しては消費されていく。ここ数年の生成AIブームはそうした状況を後押し、一定のアルゴリズムに基づいてイメージを操作したり、他者との協働やツールの手助けを借りたりすることで、画が描けなくてもデザインをすることは可能だ。

造形へのアプローチがアナログかデジタルかといった議論は、デザインにおいてはもはやそれほど大きな問題ではなく、アナログとデジタルの両者が適材適所で使い分けされていけばいいだろう。ただ、誰かのために何かをつくろうとする動機や、何をもって完成とするのか、少なくとも現時点では、始まりと終わりには人間の判断が必要となる。そうした判断の材料として、わたしたちが手や目を通じて得た経験は、ビッグデータのアルゴリズム以上の確かさをもっている。

日々の生活のなかでの整理のつかない感情や、余分なもの、なんでもないものにふと関心を抱くような感性が、かたちの根拠となり、強度ともなる。つくること、働くこと、暮らすこと、日々わりきれない生活のなかでも実直にかたちと向き合い、手を動かす小林の姿勢から、かたちが生まれるということの尊さについて、いまいちど考えてみることにしたい。
3,630円
[特集]
世界を覗くグラフィック
―断面図・間取り図・分解図―見えないものを描く視点
企画・構成:アイデア編集部
デザイン:LABORATORIES(加藤賢策、鎌田紗栄)

たてものの骨組みを描いた構造図や間取り図、巨大都市の地下を這う地下鉄や下水道の断面図、閉ざされた工場内部の生産ラインを一望する俯瞰図など、ひとの目では見ることのできない都市や構造物の内側を描いた視覚表現には、見る者の想像力を掻き立てる不思議な魅力がある。絵本に登場する乗りものや機械の分解図、人体解剖図、野菜や植物などの中身を描いたイラストレーションは多くの子どもたちを魅了するし、街の俯瞰図や住宅の間取り図は大人たちの記憶や想像力に働きかける視覚装置でもある。

「見えないものをみる/描く」という行為は、人間にとって根源的な欲求のひとつとも言えるが、印刷技術が発達した近代以降には、欧米を中心に図鑑の中の解剖図や新聞・雑誌の挿絵として、断面図や分解図を用いたイラストレーションが親しまれてきた。一方で、そうした表現は近年グラフィックの分野で注目される「インフォグラフィックス」や「データヴィジュアライゼーション」にも共通する視点をもっており、イラストとデザインの両者をつなぐ表現とも位置付けられるだろう。そこで、本特集では領域を超えた視覚表現(グラフィック)の可能性を探ってみることにした。

取り上げた古今東西の8名の作家たちは、イラストレーターとして活躍する人もいれば、建築家やゲームグラフィッカーなど異なるバックグラウンドをもつ人もいる。しかし、ともに「ものの内側」を描くことに着目し、断面図や間取り図などの表現を用いて多くの人の目を奪う制作を続けている。また、特集後半の寄稿や小特集では、絵本における空間表現、地図や建築の領域におけるイラストレーションなど、見えないものを描くことに魅了された作家たちの仕事も紹介していく。彼/彼女らの視点を通じて、多くの読者が新たな発見や興奮に出会えることに期待したい。
3,960円
3,630円
【特集】
世界の「声」をつくる
書体デザイナー大曲都市の仕事

企画・構成:アイデア編集部
編集協力:長田年伸,藤井亮一,柴田光
デザイン:LABORATORIES(加藤賢策,守谷めぐみ)
翻訳:フレーズクレーズ,ブラザトン・ダンカン
大曲都市(おおまがり•とし)は,1984年福岡県春日市生まれの書体デザイナー。Tabular Type Foundry、Omega Type Foundry主宰。ゲームと映画,そしてラーメンを愛し,近頃は書体づくりとコーヒー豆の焙煎に情熱を注ぎながら,英国ロンドンを拠点に活動を続けている。
大曲は武蔵野美術大学,英国レディング大学を卒業後,世界的なタイプファウンドリMonotypeに入社。約8年にわたり数々の欧文書体の復刻•改刻に関わる一方で,モンゴル文字やチベット文字,キリル文字,ギリシア文字など,ノンラテン文字の書体デザインにも精力的に取り組んできた。GoogleのNoto Fontsプロジェクトへ参画するなど,多言語書体制作の第一人者として世界的に認められる書体デザイナーだ。
本特集では,これまでの大曲の制作書体を一挙に収録。多言語の書体デザインとカリグラフィの実践,欧文書体の復刻・改刻を通じた歴史へのアプローチ,カスタム書体の制作事例と幅広いコラボレーション,そして,さまざまな書字体系に対応するための独自のアプリケーション,デジタルデバイス開発など,従来の書体デザイナーの職能を超え,領域横断的に活動する大曲の仕事を紹介する。
Chapter 1 世界の文字と書体デザイン
・Noto Fonts
・Platia
・Klaket
【座談会】
世界の言葉と文字:「 文字」が背負う歴史とアイデンティティ
荒川慎太郎,澤田英夫,大曲都市

Chapter 2 欧文書体のデザイン
・Metro Nova,Albertus Nova,Wolpe Pegasus,Wolpe Tempest,Wolpe Fanfare,Neue Plak / Neue Plak Text,Forte Forward,Plantin,Quentin Blake,Premier League,Inkulinati,Tokyo Dome City

【寄稿】
大曲都市とレディング大学
文=ジェリー・レオニダス
【寄稿】
Typotheque:ラテン書体から世界の書体へ
文=セバスチャン・モーリゲム

【寄稿】
書体プロジェクト Kigelia
アフリカの主要な書記体系を支える,文字体系とスタイルを複数含む業界初のフォントファミリー開発の裏側
文=マーク・ジャムラ&ニール・パテル
Chapter 3 Type & Play
・BubbleKern
・Glyphsコントローラ

Chapter 4 等幅フォント
・アーケードゲーム•タイポグラフィ
・Tabular Type Foundry

【座談会】
来るべき書体を求めて:グローバリズムのなかで書体デザインを続けていくこと
鈴木功,土井遼太,大曲都市

別冊付録 THE NEW CENTAUR SPECIMEN
構成・デザイン:白井敬尚,三橋光太郎(白井敬尚形成事務所)


つづく、ひろがる、華ひらく
包装紙のリファインと、伝統を次世代へつなぐ教育プログラム
百貨店・三越の包装紙「華ひらく」は1950年に制作され,70年を超えていまなお愛される。その制作には,画家の猪熊弦一郎や,三越宣伝部に当時在籍していた漫画家のやなせたかしが携わり,華やかで力強くも優しいデザインは三越のシンボルのひとつになっている。
 2016年にグラフィックデザイナー岡本健の手によって,オリジナルのかたちと色を模索するリファインが行われた。三越の創業350周年でもある2023年,子どもたちが「包む」ことを学び,包装紙をつくる教育プログラムへと展開し,その伝統は未来へ向けて紡がれている。華ひらくをめぐる三越と岡本健デザイン事務所の協働の姿を追った。
協力:株式会社三越伊勢丹,岡本健デザイン事務所,丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
取材:アイデア編集部
構成:藤井亮一
デザイン:trimdesign
【連載】デザイン蒐集家たちの部屋
第3回:デザインアーカイヴ「Design Reviewed」part 3
ウィム•クロウエルとアムステルダム市立美術館

文:マット・ラモント
デザイン:山田和寛(nipponia)
翻訳:山本真実
永井一正
連綿と続く雑誌広告とグラフィズムのあゆみ
2023年に94歳を迎えた永井一正が,およそ半世紀にわたって手がけている竹尾の雑誌広告。『グラフィックデザイン』(講談社)にて掲載が始まり,『アイデア』に引き継がれ今も続く。
 デザインアーカイヴ「竹尾アーカイヴズ」によって,その広告作品の作品集の刊行と展覧会「NAGAI & TAKEO―永井一正デザインによる竹尾広告」が企画され,同時にウェブサイトでもデジタルアーカイヴが公開された。全作品およそ130点が一堂に会した展示では,モチーフや表現方法が時代によって移り変わっていく永井の創作の変遷が見える。その軌跡を臼田捷治がたどり,永井による広告におけるグラフィック表現をひもとく。
文:臼田捷治
協力:株式会社竹尾,竹尾アーカイヴズ
写真:古屋和臣
デザイン:長田年伸
インフォメーション
新刊紹介
3,630円
【特集】小さな本づくりがひらく 独立系出版社の営みと日本の出版流通の未来

ここ数年、出版界隈で存在感を増している独立系出版社に焦点をあてた特集。
“大きな本づくり”から “小さな本づくり”の時代へと向かういま、誰にでもひらかれた営みとしての本づくりを考える。



今号の特集で取り上げるのは、本づくりの舞台裏だ。手にした本に綴られた言葉の外側——その本の発行元、本づくりに携わった人々、出版された場所や刊行の経緯——は、読者が本を楽しむ体験に直接的に影響するものではない。世の中に本があふれ、読みたい本を読みたいときに手にしてきたわたしたちにとって、本や、本づくりに関わる人々の営みは、日常生活を支えるインフラのように、あって然るべき存在だろう。しかし近年、その当たり前は崩れてきている。街から書店が消え、紙の雑誌や本が少しずつ数を減らし、国内の出版産業の将来が危ぶまれるようになってきた。言葉を綴り、本を編み、後世に残していくという出版流通が担う役割を、これからの日本で誰が引き受け、守っていくことになるのか。そんな本づくりの未来をひらく存在として、独立系出版社に焦点をあててみたい。

インターネットの登場や、大手以外の取次会社、取引代行など流通販売の選択肢の拡大により、一般の書店やAmazonなどのネット書店でも多くの独立系出版社の書籍を購入できるようになってきた。近年では、同じく数を増している独立系書店の後押しや、ソーシャルメディア上での情報拡散など、ネット社会における出版販売のあたらしい在り方として小さな本づくりという生業は定着しつつある。

本特集では、ころから、rn press、夕書房、いぬのせなか座、エトセトラブックス、港の人、書肆侃侃房という7つの出版社/出版人たちを取材し、独自の視点やテーマ性をもって刊行された書籍やその佇まい、各社の出版活動の姿勢を紹介していく。また、各社の紹介と並行して日本の出版流通の状況を俯瞰するために、長年出版業界を見つめてきたライターの永江朗、東京・荻窪で書店Titleを営む辻山良雄、取引代行サービスを展開するトランスビュー代表の工藤秀之の3名に文章を寄せてもらった。あわせて、近年の出版動向と日本の近代出版史・装丁史を接続させる試みとして、装丁史研究者の臼田捷治による論考も収録している。特集後半の選書コーナーでも7名の書店や出版関係者に独立系出版社の刊行物を推薦してもらった。ぜひ、それらの本と出版社の活動にも注目していただきたい。
3,630円
【特集】
ウェイファインディングデザイン
都市とグラフィックの結節点

世界的なコロナ禍で人々の行動は変容し、多くの人々がそれまでの生活様式にオンラインコミュニケーションや仮想空間などのデジタル技術を取り入れながら、未曾有の危機を乗り越えてきた。期せずして、わたしたちはフィジカルとデジタル、あるいはその重ね合わせという活動領域の多様性を急速に獲得しつつあり、とりまく環境への向き合い方が変化してきている。時を同じくするように、日本では2021年に東京オリンピックを経験し、 2025年には「未来社会のデザイン」「未来社会の実験場」といったことをテーマなどに掲げる2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)が予定され、メガスケールの出来事とともに都市のあり方を再考する契機が訪れている。
 近い将来、都市そのものの身体性に変化が訪れるとすれば、当然、街中にあふれる標識や案内板などのグラフィックも変化を強いられるだろう。そうした状況をふまえて、都市空間、つまり環境とグラフィックデザインの関係をいまいちど明らかにしておきたい。そのひとつの方法として、本特集では「ウェイファインディングデザイン」に着目する。

ウェイファインディングデザインは空間に連続的に展開し、人々を地理的・情報的にナビゲートすることで、単に道案内をするだけでなく、人々の意識や振る舞いに影響を与えながら、その場所らしさやその都市らしさを生み出す。つまり、ウェイファインディングデザインは都市と人とをつなぐインターフェイスであり、空間の個性と体験をかたちづくる重要な役割をもつ。グラフィックデザインが受けもつ多様な領域の中でも、都市とのつながりが色濃く反映される結節点といえるだろう。
 そこで、本特集では、世界で活躍する4つのデザイン事務所の実践を軸に、都市空間とデザインに関わる人々の寄稿や提言を収録した。序論では近代的なウェイファインディングデザインのパイオニアであるデヴィッド・ギブソンが、古代ローマを起点にウェイファインディングデザインの歴史とその役割の変遷をたどる。そして、都市計画研究者・岸井隆幸は、都市構造の変化が引き起こす空間認知の変容に対して、どのような方法で向き合ってきたかを江戸や新宿・渋谷といった都市スケールの視点から論じる。書体設計を専業とするSwiss Typefacesには、空間と文字の関係性と、その文字を適用するデザイナーとの協働の実際を聞いた。最後に、大阪・関西万博にも携わる建築家・豊田啓介が、フィジカル空間とデジタル空間の統合を試みる「コモングラウンド」の取り組みを視座に、これからの社会とウェイファインディングデザインの未来像を語る。

事例をもとにウェイファインディングデザインの現在地を確認しながら、論考によって過去から未来までを接続し、その先を示す道しるべを描く。本特集をこれからの都市とグラフィックデザインのあり方を考えていくきっかけとしたい。
4,070円
3,300円
社会が成熟し、機能や品質、造形的な美しさだけでは市場に溢れる商品やサービスの差別化が難しくなっている現代において、“コト”をどのようにデザインするかというデザイナーの職能はますます求められている。そうしたデザインの実践の場のひとつが、本特集で取り上げるブランディングデザインという領域だが、従来のような優れたコーポレートアイデンティティや商品パッケージをデザインするだけでは現代のブランディングデザインは成立しない。より良い社会や環境への配慮があり、透明性と持続可能性のある商品サービスであるか、やりがいや豊かさを生むビジネスであるかなど、企業理念や組織運営と一貫した思想のもとにモノやコトがデザインされていることが成功事例として必要な条件だろう。

このように複雑化するブランディングデザインの領域において、グラフィックデザイナーたちが培ってきた思考のプロセスや具現化の方法を整理し、デザイナー以外の人にも応用できるアプローチとしてまとめられたのが、2010年前後を境に世界的なトレンドとして注目されている「デザイン思考(Designthinking)」だ。具体的には、デザイナーたちがクライアントや消費者のニーズを経済的・技術的な制約があるなかで実現しようとする際の行動指針であり、機能性だけでなく感情的な価値にも重きを置く人間中心のアプローチだといえる。人対人のコミュニケーションを通じて考えを共有・共感しあい、そこからニーズや問題を突き止め、アイデアを具現化する。さらに、トライアル・アンド・エラーを繰り返し、コンセプトを改良していくという、プロセス重視型の提言だ。

アメリカで提唱されたこの考え方は、日本でもビジネスを変える革新的なアイデアとして関連書籍が多数刊行されるなど大きな反響を呼んでいるが、“誰でも取り入れられる”という点がひとり歩きし、インスタントなビジネス論として誤った受け入れられ方をしているところもあるだろう。「デザイン=課題解決」といった広義のデザインの浸透により、デザインさえあればどんな問題でも解決できるという、まるで“デザイン”が魔法の言葉であるかのような誤解を招いているように思う。

そこで、本特集では、日本、アジア、オセアニア、中東、欧米の7つのデザインスタジオを取り上げ、クライアントの希望を叶えることだけでなく、自分たちに合ったものづくりの環境を探求し、生き生きとした仕事を具現化している人間中心のデザインの実践者たちを紹介していく。彼/彼女らのものづくりの姿勢を通じて、本来「デザイン思考」で提唱されていた考え方について再考し、よりよいかたちに更新していくためのヒントを探していきたい。
3,300円
2000年代初頭、インターネットを介して相互に働きかけられるオンラインメディアが生活に浸透していく中、田中はそのキャリアをウェブデザイナーとしてスタートし、コンピュータとテクノロジーを使って多様なデザインを編んできた。



田中個人と、主宰するセミトランスペアレント・デザインの活動領域は多岐にわたり、田中のことをグラフィックデザイナーと認識する人もいれば、ウェブデザイナーやメディアアーティストだと考える人もいる。それは田中が、媒体や発表形態にとらわれずに作品づくりを展開してきたからだろう。



それらの作品を視覚的に結びつける派手さや、厳格なスタイルはないものの、作品それぞれが共通する方程式の解であるかのように、その営みのどこかに田中の気配を感じさせるデザインの根拠がある。その根拠を生み出すキーワードは「時間軸」だ。そして、田中が意識する時間軸は「文脈」とも言い換えられる。



本特集では田中良治が手掛けてきた多様な作品群を、グラフィックデザイン・ウェブデザイン・インスタレーションアート・展示企画と、その形態によって分類し、カテゴリーごとに時系列で配置した。収録した作品のセレクトは田中自身の手による。1枚1枚の紙の上に作品を並列に配置し、 田中の創作に係るテキストを交えることで、過去と現在の田中の仕事を接続し、カテゴリーを超えて一本の帯となった、田中が志向してきた「時間軸をもったデザイン」が立ち現れることを目指した。
3,300円
アーティストブックやZINEの制作者、出版社、ギャラリー、書店などが一堂に集まり、訪れる人たちと対話しながら出版物を販売するアートブックフェア。版権販売など出版に携わる業者間の取引が中心で商業的な側面が強い見本市やブックフェアとは異なり、アートブックフェアはアーティストや周辺のコミュニティの活動を支援することを目的とした公共性の高さが特徴で、各国のフェアに出展し、ローカルのコミュニティと交流しながら活動の幅を広げていくアーティストや出版レーベルも多い。本を介した文化や知識の交換とともに、既存の経済システムに頼らない出版流通の可能性を探る機会ともなっている。

しかし、ここ数年は世界的なパンデミックの影響により多くのフェアが開催中止やオンラインへの移行を決断したり、ロジスティクスの問題も発生するなど、さまざまな課題を抱えることになった。コロナ禍での新たな試みとして注目されるオンライン開催に関しても、ウェブのプラットフォーム構築やオンライン販売などに対応できたのは、比較的大きな規模のアートブックフェアに限られており、対面でのコミュニケーションへの揺り戻しや、大規模になりすぎたフェアに対しての疑問も少なからず生まれている。

そこで、本特集では、近年新たに始まったアートブックフェアや、欧米のアートブックフェアを参照しつつ独自のコミュニティづくりを目指すアジア各国のアートブッ クフェアに注目してみることにした。中国、カナダ、台湾、UAE、シンガポール、タイ、ノルウェーの7つのフェアの運営団体にオンライン取材を行い、コロナ禍での開催状況や、フェア出展者の出版物から推薦タイトルを紹介してもらった。また、各国のフェアに参加経験をもつ出版関係者たちによる寄稿・インタビューを通じて、アートブックフェアの今日的な役割や、アートブックの流通や保存についての考察も試みている。
3,300円


特集:色彩デザイン再考 デジタルカラーとこれからの色彩表現
【別冊付録:ニューカレンダー付】



企画・構成:アイデア編集部
監修:三井直樹
デザイン:LABORATORIES(加藤賢策、守谷めぐみ)



文字の色、絵や写真を構成する線や面の色、紙やインキの色など、色はグラフィックデザインにとって欠かせない要素のひとつだ。しかし、デジタルソフトを使えば専門的な知識を要さず繊細な色彩表現や配色の組み合わせを実現できるようになった現代にあって、グラフィックデザイナーたちは色についてどんな意識をもっているのだろうか。本特集はそうした疑問を出発点に、7名のグラフィックデザイナーに自身の色彩感覚が表われた制作物を紹介する誌面の作成を依頼し、彼・彼女らの色彩の実践に迫っていく。また、後半では、色のしくみや色彩論、色の規格化などにまつわる解説や寄稿、インタビューを通じて、身の回りの色彩により意識を向けるための視点や、色彩との新たな関わりかたについて考えを深めていくような構成とした。
 近年では、デジタル環境の進化によりRGBの色彩世界のみで完結するデザイン表現も増え、従来的な色彩論や色彩学の知識はグラフィックデザイナーにとって必須のものではなくなった。しかし、手法としての色彩ではなく、色やそれをめぐる思想に触れてみることにも意義があるのではないだろうか。現代の様相を反映するデザイナーたちの実践や企業の取り組みとともに収録した解説や論考からも、色彩表現を探究するためのヒントが得られるだろう。時代に合った色彩世界を実現していくために、色彩について学び考える機会としたい。



【特集参加デザイナー】小林一毅/藤田裕美/岡﨑真理子/矢野恵司/佐藤豊/石塚俊/本田千尋



【解説】色のしくみとデジタルカラー 文・図:三井直樹



【寄稿】モダンデザインと色彩 円環の論理 文:佐賀一郎



【コラム】日本の色の共通言語化 勝井三雄とDICカラーガイド



【インタビュー】PANTONE/竹尾/Maximage
3,300円
特集:世界設計の方法 ゲーム体験とユーザーインターフェイス

企画・編集:アイデア編集部
監修:三宅陽一郎
デザイン:LABORATORIES(加藤賢策、守谷めぐみ)

エンターテインメントの枠を超え、世界規模で人々の心を動かす表現メディアへと進化を遂げたデジタルゲーム。
その世界を体験する時、わたしたちプレイヤーにとっての入り口となるのがゲーム画面だ。

今号の特集では、デジタルゲームにおけるゲーム画面の変遷を、操作性に関わる表現の変化や描画表現の工夫など、グラフィックデザインおける情報整理の手法や、ユーザーインターフェイス(UI)・ユーザエクスペリエンス(UX)という観点を軸にヴィジュアルに振り返っていく。
70年代以降から最新作に至るまで、さまざまな制約や要件をクリアし誕生した歴代ゲーム作品を、ゲーム開発者でありAI研究者としても活躍する三宅陽一郎の監修のもと、幅広く選定した。

近年では、実世界の位置情報や拡張現実(AR)を取り入れたゲームも登場し、現実世界と精神世界をつなぐ境界のような空間として受容され、今後の可能性に業界内外からの注目が集まっている。
そうしたゲームの未来にも期待しつつ、本特集では、バラエティ豊かなゲーム世界を、誌面を通じ俯瞰的に楽しんでいただきたい。

【序論】70年代以降のデジタルゲームの情報提示構造の変遷 文:三宅陽一郎

【Chapter 1】マルチウィンドウ・マルチメニュー化するゲーム
Dungeons & Dragons|Wizardry|ソーサリアン|FINAL FANTASY Ⅳ|Detroit: Become Human|東亰ザナドゥ|イース セルセタの樹海|十三機兵防衛圏
インタビュー:日本ファルコム
コラム:リアルタイムゲームと非リアルタイムゲームのUI画面設計

【Chapter 2】2Dから3Dへの変化 ミニマップの利用
メタルギア2 ソリッドスネーク/メタルギア ソリッド|スーパーマリオワールド/スーパーマリオ64|FINAL FANTASY VI/FINAL FANTASY VII|世界樹の迷宮
コラム:ゲームにおける地図のデザイン

【Chapter 3】3D以降の進化 オープンワールドゲームとスマートフォンゲームの台頭
グランド・セフト・オートIII|Ghost of Tsushima|あつまれどうぶつの森|Fate/Grand Order|トロとパズル~どこでもいっしょ~|ウマ娘 プリティーダービー
インタビュー:ビサイド
コラム:人工知能の用いるマップ

【Chapter 4】現実を舞台とするゲーム
リアルとデジタルの融合する都市
Ingress|Pokémon Go
インタビュー:Niantic
コラム:アーケードゲームのUI画面設計
3,300円
特集:グラフィックデザインの教室 教育・研究・実践の環

企画・構成:アイデア編集部
デザイン:LABORATORIES(加藤賢策、守谷めぐみ)

本特集は、個人デザイナーたちの学びの場となる私塾的なデザインコミュニティを軸に、戦後以降の日本のデザイン教育を振り返った2013年の本誌特集「デザイン特殊講義」(359号)からおよそ10年を経た今、デザイン教育が現代の社会状況をどのように反映し、更新されているのかを問うものだ。

2010年代に入り、デザインという言葉は、一見すると共通項のない「もの」や「こと」をつなぎ相互作用を引き起こす媒体として、あるいは、領域横断的な視点や思考を示唆する言葉として、情報ビジネスや技術研究の領域など、視覚芸術以外の領域でも親しまれるものとなった。
一方で、概念化された「デザイン」がひとり歩きし、あたかも魔法の言葉のように多用される社会においては、産業としてのデザインや、デザインの専門家であるデザイナーの存在価値が、以前とは異なるものに変容しつつある。

こうした社会状況に呼応するように、ここ10年で国内の美術大学やデザイン専門学校では、デザイン系の新学科や新コースの開設が続き、デザイン教育の現場におけるデザイナー像の変化や、デザインの本質に対するあらたな議論を期待させる。
そこで、特集では、今デザイン教育の現場で活躍するデザイナーたちを取材し、それぞれの教室を訪ねてみることにした。後半部分では、アジア諸国を中心とした海外のデザイン教育・教育機関の状況や、デザインイベントやワークショップ、教育的メディアなど、ひらかれたデザイン教育を支える人々にも焦点をあてていく。
3,300円
特集:世界とつながるマンガ 海外マンガのアクチュアリティ

企画・構成:原正人、アイデア編集部
デザイン:LABORATORIES(加藤賢策、岸田紘之)
撮影:青柳敏史
協力:八ツ橋敏行

2019 年までに日本国内のコミック市場は前年比12.8%増の推計約5千億円に成長し、スマートフォン向けサービスの台頭など、電子コミック市場が紙の市場を上回る成長をみせている。
海外での日本マンガの人気も続いており、欧米、アジア、中東など、各国語版に翻訳される日本のコミック作品は後を絶たない。
他方、海外作品の邦訳版はと言えば、その刊行機会は決して多いとは言えないだろう。
マンガ表現は異なる文化圏、言語圏を超えて世界的に広がっているにも関わらず、世界のあちこちに存在する多種多様なマンガ作品を、私たちが実際に手にとり、読みふける機会はまだまだ限られている。

本特集では、フランス語圏のマンガ、「バンド・デシネ」の翻訳者であり、海外マンガの紹介活動や邦訳海外マンガの出版活動にも注力する原正人を企画監修にむかえ、全貌が見えづらい海外マンガについて、近年刊行された比較的あたらしい作品や作家、グラフィック的に評価の高い作品を厳選し紹介していく。
これまで海外マンガに親しんできた人たちにとっても、そうでなかった人たちにとっても、自身と世界を接続する起点としての「マンガ」に出会い、親しむきっかけとして、本特集を楽しんでいただきたい。
3,112円
特集:タイプデザイン・ナウ 独立系タイプファウンドリーの実践

企画・構成:山田和寛(nipponia)× アイデア編集部
デザイン:山田和寛(nipponia),ラディム・ペスコ,LABORATORIES(加藤賢策,岸田紘之)
協力:きむみんよん,Akira1975,劉慶

グラフィックデザインがツールさえあれば誰にでも実践できる表現活動になったのと同様に,それまでごく限られた職能であった書体デザイナーの仕事も,2000年代以降はデジタル環境下での制作ツールの普及により門戸のひらかれたものとなった。

特集を通じて紹介するのは,10組のデザイナー/ファウンドリーたちだ。
活動拠点は欧州,中東,アジアとさまざまだが,フリーランスの書体デザイナーとして活動する人や,自身のファウンドリーを立ち上げた人,デザイン制作のなかで個人で書体デザインにも取り組む人など,いずれも大手ベンダーによる書体制作とは異なる現場で実践を続けている。

特集の前半ではラテンアルファベット圏以外のデザイナー/ファウンドリーを中心に取り上げ,各国での書体デザインとその普及,使用をめぐる状況を,虫の目から捉え直すことを試みた。
また,後半では,2020年で自身のファウンドリーの10周年を迎えた書体デザイナー,ラディム・ペスコの仕事を振り返り,従来の書体デザインの枠にとらわれず,さまざまな協働のなかでオルタナティヴな活動を続ける書体デザイナーの実践を紹介していく。
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アイデアの内容

  • 出版社:誠文堂新光社
  • 発行間隔:季刊
  • 発売日:3,6,9,12月の10日
  • サイズ:B4
グラフィック中心の国際的なデザイン誌
グラフィックメディアを中心に、国際的視点からリアルタイムなデザインムーブメントを紹介するインターナショナルデザインマガジン。1953年の創刊よりつねに世界各国のデザイン事情にアンテナを張り巡らし、時代の先端を切り拓くデザイナーとそのクリエイティブワークを毎号豊富なビィジュアルを通じてグラフィカルに紹介。掲載作品も、ポスターをはじめとするグラフィック全般から映像、そしてマルチメディアデザインまで幅広く網羅、多様化する視覚的価値観に対応しながら、デザインシーンのフロントラインをハイクオリティに伝える。

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