WOC Nursing(ウォック ナーシング) 発売日・バックナンバー

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特集●泌尿器がんのストーマ造設・管理の実際
企画編集/武藤 智(順天堂大学大学院 医学研究科 泌尿器外科学 特任教授)

<特集にあたって>

 筋層浸潤性膀胱がんおよびBCG不応性筋層非浸潤性膀胱がんに対する標準治療は膀胱全摘除術です。膀胱がんは高齢者の頻度が高いことは従来より知られており,日本でも高齢化社会によって症例数は確実に増えています。膀胱全摘除術は決して侵襲が低いとはいえず,患者に対する負担を無視するわけにはいきません。できるだけ低侵襲で行うために,最近ではロボット支援膀胱全摘除術がglobalで徐々に症例数が増え,日本でも2018年4月に保険適用され,多くの施設で行われています。
 膀胱全摘除術に尿路変向術は必ず必要であることは言うまでもありません。現在では,新膀胱造設術,回腸導管造設術,尿管皮膚瘻造設術の3つの術式が標準的です。新膀胱造設術,回腸導管造設術では回腸を用いることが一般的です。腸管利用の尿路変向術には,それ以外に禁制型ストーマとしてコックパウチ,インディアナパウチ,マインツパウチがあり,以前は多くの症例に対して行われてきましたが,優位性に乏しく,現在ではきわめてまれでしょう。
 本特集では,回腸導管,尿管皮膚瘻のストーマ管理を中心に企画しました。いずれの尿路変向術も,まず作成を専門とする医師から手術について解説いただきます。ストーマ管理を行ううえで,どのような方法で作成しているかを理解することは重要です。次に管理についての実際をWOCナースの立場から解説いただきます。いずれも日本を代表するエキスパートの方々であり,多くの症例を長期間ケアしていただいています。本特集から,現在泌尿器がんのストーマを管理している多くの方に,豊富な経験をお示しすることができます。
 先述したように,ロボット支援手術が導入され,今までの開腹手術や腹腔鏡下手術と比べると患者の負担はかなり減少しました。今後も手術自体のさらなる進化が予想され,泌尿器がんに対する手術も例外ではありません。さらに尿路上皮がんに対しても新規の薬剤が登場しており,ストーマ造設後の患者でも,より長期の予後が期待できます。したがって,私たちが要求される泌尿器がんストーマ管理もこのような環境の変化に十分に対応することが求められており,WOCナースの皆さんのさらなる向上を希望しています。

武藤 智
順天堂大学大学院 医学研究科 泌尿器外科学 特任教授


<目次>

1. 腹腔鏡下膀胱全摘術における体腔外回腸導管造設術/三木 淳
2. ロボット支援体腔内回腸導管造設術/武藤 智
3. 医師による回腸導管の管理/清水史孝
4. WOCナースによる回腸導管の管理/赤坂和美,吉田春子
5. ダブルストーマのケア/山口涼子
6. 尿管皮膚瘻造設術(開腹手術における)/井上高光,飯沼昌宏
7. ロボット支援体腔内尿管皮膚瘻造設術の経験/北村香介
8. WOCナースによる尿管皮膚瘻の管理/小山田幸枝
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特集●WOCが知っておきたい 緩和ケアの基礎知識
企画編集/三浦剛史(医療法人社団 誠馨会 セコメディック病院 泌尿器科/緩和ケア外科部長)

<特集にあたって>

 一昔前,緩和ケアはとても限られた患者のものとの認識でしたが,読者の皆さんもご存知のとおり,現在ではがんにおいては診断時からの緩和ケアの提供が求められています。しかも疾病についても提供の範囲はがんに限らず,良性疾患にも必要性が認められ,緩和ケア診療加算の適応に末期心不全も加わり,より広がっています。そもそも緩和ケア(時代によって呼び方が変遷してきました)はその時代に病によって危機に瀕した人々に差し伸べられたケアといえます。そう考えると特別なものではなく至ってシンプルな介入であり,医療者が等しくとるべき態度,等しく習得しておくべき知識や技術でしょう。日ごろから皮膚・排泄ケアを担っている認定看護師もしくは資格取得をめざしている看護師の皆さんは,皮膚障害や排泄といった,患者や家族にとってとても根源的な尊厳に関わる問題に取り組んでおられますので,緩和ケアの必要性や意義については百も承知と思います。
 今回の特集では,緩和ケアの概論,日本の現状や今後の展望,厚生労働省が「人生会議」と銘打って導入を呼びかけている,もしものときに備えるための大切な話し合いであるアドバンス・ケア・プランニング,疾病から生じるさまざまな苦痛症状への対応として,痛み,呼吸困難,消化器症状,精神症状についての解説を,日本の緩和ケア分野のトップランナーの方々にお願いしました。さらに,前述したように良性疾患である心不全についても緩和ケアの介入に対して保険適用となりました。心不全の緩和ケアについて苦痛や療養などをどのように考え,対処すればよいのか,長年心不全の緩和ケアに携わっておられる先生に解説をいただきます。また緩和ケアは病院のなかだけで提供されるものではなく,連続性をもって,ご本人の療養する場所を選ばず提供されるべきものです。ご本人が過ごしたい場所で過ごせることも緩和ケアとして忘れてはならないことで,療養の場の調整や在宅緩和ケアについて知っておいていただきたいと思います。人生の最期を迎えることも平坦でないことが多々あります。なかなかとりきれない苦痛に対して意識レベルを下げることで対応することも必要になりますが,その実際についても学んでいただけるよう解説いただきます。そして大切な瞬間をその人らしく迎えるための看取りのケアの項も設けました。
 緩和ケアについて学びを深くし,今後の皆さんの提供するケアがより充実することを願います。

三浦剛史
医療法人社団 誠馨会 セコメディック病院 泌尿器科/緩和ケア外科部長


<目次>

1. 緩和ケア概論,日本の現状と展望/木澤義之
2. アドバンス・ケア・プランニング/坂下明大
3. がん疼痛治療
 ①薬物治療/大坂 巌
 ②放射線治療/清水わか子
 ③神経ブロック療法/佐藤哲観
4. 心不全の緩和ケア/大石醒悟
5. 呼吸困難の緩和/山口 崇
6. 消化器症状/東端孝博,久永貴之
7. 精神症状/秋月伸哉
8. 看取りのケア/宇野さつき
9. 療養の場の選択,在宅療養/浜野 淳
10. 苦痛緩和のための鎮静/今井堅吾
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特集●医療関連機器圧迫創傷の予防と管理のテクニック
企画編集/中川雅裕(浜松医科大学 形成外科 特任教授)


<特集にあたって>

 医療関連機器圧迫創傷(medical device related pressure ulcer;MDRPU)は文字どおり医療関連機器の持続的な圧迫によって生じる創傷や皮膚潰瘍ですが,以前は褥瘡の一部とされ,その認識が少なく,科学的な論文も少ない領域でした。一般的な褥瘡に関してはその認知度が高まり,発生原因の解明や予防法の発展で発生率が減少しましたが,MDRPUはその認識が低かったため発生率が減少しませんでした。しかし,『MDRPU ベストプラクティス 医療関連機器圧迫創傷の予防と管理』が2016年に出版されてから今年で4年が経ち,急速にMDRPUの認識が広まり,多くの解説書や文献などが書かれ,学会発表も増加し,認識され改善してきました。そして最近は,Journal of Wound Careの国際コンセンサスドキュメントにおいて,医療機器ではないその他の機器を含めた創傷として機器圧迫創傷(device-related pressure ulcer;DRPU)と表現されるようになり,さらに領域も拡大し新しい認識も必要になるかと思います。
 今回のMDRPUの特集号では,一般病棟ではなく小児病院や手術室・ICUなどの特徴のある場所や,クリティカルケアや足病変など特殊な病態で発生するMDRPUを詳しく写真で説明し,それぞれの特徴に合った予防法を解説しています。予防法の基本として患者1人1人に合わせて,正しいサイズの機器を選択することや製造元が示している使用方法に従い機器を使用することなどが重要になりますが,このような特殊な環境では必ずしもすべての患者にこれらの対応ができないことも多くあります。今回はさまざまな領域の多くの経験を持つ方々に執筆していただきましたので,これらの特殊な環境で働く多くの読者に役に立つ内容と考えます。
 本特集号の内容を明日からの看護やケアに役立てていただければ幸いです。

中川雅裕
浜松医科大学 形成外科 特任教授


<目次>

1. 総論/大浦紀彦,加賀谷 優,森重侑樹
2. 静岡がんセンターにおけるMDRPUの管理システム/吉川敦子
3. 小児専門病院におけるMDRPU対策と今後の課題/鎌田直子
4. クリティカルケア領域におけるMDRPU予防/志村知子
5. 手術室でのMDRPU/吉村美音
6. ICUでのMDRPU/佐野世佳,若林久美子
7. 血管内留置カテーテル,膀胱留置カテーテルによるMDRPU予防の工夫とポイント/佐野加奈
8. 糖尿病性足潰瘍や重症下肢虚血の治療におけるMDRPUへの対策/匂坂正信,奈良誠之,二階堂有加,竹江雄貴
9. 検査・治療部の安静を図るために必要な固定装具により発生したMDRPU/杉本はるみ
10. MDRPUとともに知っておきたい皮膚粗鬆症とその最重症型である深部解離性血腫(DDH)/藪野雄大,小川 令
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特集●高齢者の皮膚特性を考慮した褥瘡診療・ケアのポイント
企画編集/加納宏行(岐阜市民病院 皮膚科 部長)

<特集にあたって>

 ある疾患の診療レベルを測る指標に,その疾患の経験症例数,手術件数があります。「褥瘡」はその点で微妙な立ち位置にある疾患です。「褥瘡」発生件数が少ない病院は「いい病院」です。それゆえ,「いい病院」の医師,看護師,医療スタッフは「褥瘡」症例の経験数は少ないということになります。単純に解釈すれば「いい病院」の褥瘡治療レベルは低くなることになりますが,現実はというと,病院にはまだまだ重症褥瘡患者がいて,その多くはいわゆる「持ち込み」褥瘡です。体圧分散マットレスの普及,褥瘡予防対策のマニュアル化で,病院で発生する褥瘡の減少,軽症化が一定のところまでは進んでいます。一方,人口の高齢化に伴い,在宅や施設,つまり褥瘡予防が手薄になる場所で発生する褥瘡はまだまだ多く,病院でもマニュアル的な対応では防ぎきれない褥瘡があり,そこには複数の基礎疾患を有し,皮膚を含む身体のすべての機能が低下した高齢者の存在があります。
 皮膚は,骨・筋・内臓からなる内部諸臓器を最小表面積に収容することで容姿を整える臓器です(今山修平,MB Derma,144:11-17,2008)。そのためには真皮に適切な張力と収縮力が保たれていることが条件ですが,老化に伴いそれが低下すると,たるみが生じ,また,外力をうまく拡散していなすことができなくなります。褥瘡は,身体にかかる不適切な外力で生じる皮膚の障害ですが,一義的には皮膚に垂直方向にかかる圧力が原因であるため,若い人でも,たとえば硬いベッドの上に全身麻酔がかかった状態で一定時間経過すれば褥瘡を生じます。しかし,実際には単純に垂直方向の力だけがかかることはまれで,水平方向の力(皮膚と衣類・寝具の間の摩擦力)により生じるずり応力との複雑な組み合わせとなります。老化した皮膚は若い皮膚にくらべてその力をうまくいなすだけの余力がないために,褥瘡が生じやすいし治りにくいといえます。
 臨床の現場では,褥瘡患者のほとんどは高齢者です。老化した皮膚の特性を理解し,そのために生じる治癒阻害因子をいかに回避するかを知っておくことは早期治癒への重要な鍵になります。また,脆弱な皮膚にやさしい看護・介護は褥瘡予防に重要なだけでなく,身体の諸機能が低下した高齢者の看護・介護の本質のひとつといえるでしょう。本特集では,今山修平先生に皮膚の物理的機能とその老化をオーバービューしていただき,老化した皮膚に精通した皮膚科医,看護師,薬剤師,理学療法士として第一線で褥瘡と対峙されている先生方に,それぞれの分野での高齢者の皮膚特性を踏まえた褥瘡診療について解説いただいています。これを読めば,高齢者褥瘡に日々向き合っている方にとってはもちろん,たとえ実践での症例経験が少ない「いい病院」勤務の方であっても,強力な助っ人となるものと確信しています。

加納宏行
岐阜市民病院 皮膚科 部長


<目次>

1. 高齢者皮膚の特徴-物理的特性-/今山修平
2. 失禁関連皮膚炎(IAD)と褥瘡/倉繁祐太
3. 皮膚粗鬆症・スキン-テア/藤原 浩
4. 高齢者褥瘡の保存的治療におけるキーポイント/磯貝善蔵
5. 高齢者皮膚に配慮した褥瘡予防・治療のためのポジショニング/近藤龍雄
6. 高齢者皮膚に配慮した外用薬の使い方/溝神文博
7. 高齢者皮膚に配慮したドレッシング材の使い方/前川武雄
8. 在宅高齢者褥瘡の治療・ケアの実際/岡部美保
9. 高齢者皮膚にやさしい褥瘡予防・スキンケア/高木良重
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特集●在宅における褥瘡・創傷・スキンケアとチーム医療のポイント
企画編集/袋 秀平(ふくろ皮膚科クリニック 院長)

<特集にあたって>

 わが国の全人口に対する75歳以上の割合が18%を超える2025年まであと5年を切りました。医療政策が病院から在宅へとシフトしていくなか,褥瘡をはじめとする創傷や皮膚のトラブルに対する在宅ケアが問題になっています。日本褥瘡学会の調査によれば,2006年の在宅における褥瘡の有病率は8.32%と,病院や施設に比較して非常に高い数値を示していました。
 そんななか,2007(平成19)年,厚生労働省老人保健健康増進等事業として,日本褥瘡学会を中心として3つのプロジェクトが行われました。
①在宅における褥瘡有病率など,実態調査
 有病率7.2%,真皮を越える深い褥瘡40.9%
 危険因子は第1位が栄養状態の低下,次いで寝返り不能と病的骨突出
②在宅における褥瘡発生予防・悪化防止モデル
 皮膚科医の在宅褥瘡治療への介入
 皮膚・排泄ケア認定看護師の介入(退院後)
③在宅における褥瘡のケアガイドラインの作成
 在宅褥瘡予防・治療ガイドブックを2008年刊行
 ②の「皮膚科医の在宅褥瘡治療への介入」については,皮膚科医が往診して褥瘡治療にあたったほうが,そうでない場合に比較してDESIGNの点数低下が速く,患者家族の満足度が高いという結果が出て,皮膚科医(ひいては褥瘡に対する知識をもった医師)が介入することの意義を再確認しました。さらにこの年以降,各都道府県(北海道では4地区,合計50か所)で毎年在宅褥瘡セミナーを開催することとなりました。
 このような活動もあり,在宅での褥瘡治療・ケアは改善を続け,2016年のデータでは在宅の褥瘡有病率は2%を切るまでに低下しています。ただ,この調査結果は訪問看護ステーション利用者のデータです。調査結果に疑義をはさむつもりはなく在宅での状況が改善していることに疑いはないのですが,実際には訪問看護を導入していない例もあるため,在宅の状況を完全に把握するのは難しいのではないか,と個人的には考えています。
 病院での褥瘡対策チームは同じ職場のメンバーで意思疎通もしやすく,そもそも多職種がそろっているのが普通ですが,在宅ではいちいち必要な職種をさがしたり,連絡をとったりしなくてはならないので,「連携が必要」と長年叫ばれ,重要性は理解していても,なかなかうまくいっていないのが実情です。2014年の診療報酬改定で在宅患者訪問褥瘡管理指導料が創設され,管理栄養士の参画は評価されましたが,それ以外の職種についての評価は十分とはいえません。
 本特集号ではそんな在宅の褥瘡・創傷に関する特徴や,実際に行われているケアの実態,病院と在宅の連携,制度上の問題など,さまざまなポイントにスポットを当ててそれぞれのエキスパートの先生にお願いして執筆していただきました。
 また,近年開設が増加している高齢者施設においても,スタッフの知識や経験などに差があり,ケアの質を高めることが問題になっています。コラムという形にしましたが,考えてみたいと思います。

袋 秀平
ふくろ皮膚科クリニック 院長


<目次>

1. 在宅における褥瘡発生の危険因子/倉繁祐太
2. 在宅における褥瘡治療の特徴/木下幹雄
3. 褥瘡管理における急性期病院と在宅との連携/印幡 香
4. 在宅褥瘡患者をケアするうえでの在宅療養支援病院の役割/鈴木勇三
5. 在宅褥瘡での保険薬局・薬剤師の役割~多職種連携を中心に~/舛甚路子
6. 訪問看護師からみた各種ケアとチーム医療について/後藤茂美
7. 在宅におけるスキンケア/丸山隆児
8. 在宅の栄養ケア~「食」の視点から考える~/髙﨑美幸
9. 在宅において褥瘡治療を行った場合の保険算定/服部尚子
10. 在宅患者訪問褥瘡管理指導料算定の実態と問題点/塚田邦夫
11. 在宅におけるフットケア/池永恵子
column 高齢者施設における褥瘡・創傷ケアの実態と問題点/袋 秀平
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特集●褥瘡外用薬 選び方・使い方のキホンとコツ
企画編集/関根祐介(東京医科大学病院 薬剤部 主査)

<特集にあたって>

 褥瘡の局所治療はMoist wound healingとWound bed preparationの概念に基づいて,外用薬や創傷被覆材が用いられています。日本においては外用薬を用いた治療が主流です。これは,日本褥瘡学会の「褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版)」と海外のガイドラインを比較しても明らかです。
 外用薬は,患部に有効成分を投与することを目的とした薬剤で,その歴史は古く,人類が疾病を認識した時代より使用されつづけているといわれています。外用薬の利点は,病巣への直接投与,投与量の調節,除去による投与中止が可能であることなどが挙げられます。一方で,使用法の均一化が困難なため効果にばらつきが生じる,病態と相反する特性を有する外用薬の使用では病態の悪化をもたらす,全身への作用がある,などの問題点があります。外用薬の構成成分は,主薬(薬効成分)・基剤・添加剤で,主薬が添加剤によって安定的に基剤に溶解あるいは分散することで形成されています。褥瘡治療に用いられる外用薬の主薬の作用は,①殺菌作用,②壊死組織除去作用,③肉芽形成作用,④上皮形成作用に大別されています。一方で基剤は,外用薬の約90%以上を占め,直接創面に接するため,重要な役割を担っています。添加剤は,主薬の安定性維持などの目的以外にも,滲出液の吸収などに効果を示す添加剤(機能性添加剤)も存在します。外用薬を選択する際には,主薬と基剤・添加剤の作用を考慮する必要があります。さらに,各外用薬の特性をふまえて,適正に使用することも重要です。
 本特集号では褥瘡外用薬にスポットを当て,選び方・使い方のキホンとコツについて編集をしました。PART 1では「外用薬のキホン」として,外用薬の基剤や後発品について解説します。PART 2では「褥瘡外用薬 選び方のコツ」として,病態に応じた外用薬の選択や,各外用薬を使用するうえでの注意点について解説をします。PART 3では「褥瘡外用薬 使い方のコツ」として外用薬の使用量,使用回数など,外用薬を効果的に使う方法を解説します。PART 4では「褥瘡外用薬の選び方・使い方-実践編-」として,在宅・高齢者・終末期の症例を解説します。
 褥瘡治療は,エビデンスの積み重ねによる新しい理論の構築,高齢化社会に伴う治療体制の変化など,あらゆる面で進化・変化をしています。そのため,医療従事者は常に最新の知識を習得しなければなりません。また褥瘡治療においては,多職種との連携が重要となってきます。各職種が持つ専門性を発揮しつつ,共通の眼を持つことで,よりよい治療が行えます。本特集号では外用薬をクローズアップし,皮膚科医・薬剤師の視点を解説しました。褥瘡外用薬を用いた治療について理解を深め,今後の活動における一助となれば幸いです。

関根祐介
東京医科大学病院 薬剤部 主査


<目次>

〔PART 1〕外用薬のキホン
 ①外用薬の剤形と基剤/大谷道輝
 ②外用薬と水との関係/笹津備尚
 ③外用薬の安定性/野田康弘
〔PART 2〕褥瘡外用薬 選び方のコツ
 ①褥瘡の病態に応じた治療戦略~局所治療の基本戦略~/門野岳史
 ②褥瘡外用薬の選択方法(古田メソッドに基づく)~主薬と基剤を考慮した選択,ブレンドの使用法~/古田勝経
 ③褥瘡外用薬の特徴/関根祐介
 ④浅い褥瘡に用いる外用薬/加納宏行
 ⑤深い褥瘡に用いる外用薬/生島繁樹
〔PART 3〕褥瘡外用薬 使い方のコツ
 ①褥瘡外用薬を使用する際のポイント/宮川哲也
 ②褥瘡外用薬の効果を維持するためのポイント/溝神文博
〔PART 4〕褥瘡外用薬の選び方・使い方-実践編-
 ①在宅における褥瘡治療の実践/袋 秀平
 ②高齢者の褥瘡治療の実践/磯貝善蔵
 ③終末期患者の褥瘡治療の実践/倉繁祐太
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特集●フットケアで下肢潰瘍を防ごう ~糖尿病・透析患者における末梢動脈疾患~
企画編集/大竹剛靖(湘南鎌倉総合病院 副院長,同院腎臓病総合医療センター 腎血管免疫内科 主任部長)

<特集にあたって>

 末梢動脈疾患(PAD)は人口高齢化や糖尿病患者・透析患者の増加に伴い,これからもますます増加すると予測されています。しかし,十分なフットケアや足病診断・治療がなされないままに足病が悪化し,下肢切断や死亡に至る患者がいまだ多数います。
 糖尿病が下肢潰瘍発生のリスクとなることはよく知られていますが,糖尿病の有無にかかわらず,慢性腎臓病(CKD)を有すること自体もPAD発症の危険因子です。透析患者の下肢切断率は,2000年末には透析患者全体の1.6%でしたが,2014年末には3.9%(8634名)と増加しています。また,重症下肢虚血(CLI)から下肢の大切断に至ると生命予後はきわめて不良で,1年でおよそ40~50%が死亡する報告もあります。透析患者では,高度な血管石灰化や,下腿以下の末梢病変や心脳血管障害の合併の多さ,微小循環障害などの特徴があり,狭窄閉塞病変局所での血行再建治療に難渋する場合も多くみられます。
 PADでは,早期発見と重症化予防のための取り組み,フットケアが最も重要です。早期発見のためには,よく足を見ることと早期診断のためのスクリーニング検査を活用することが重要です。PAD早期には自覚症状を認めないことが多いため,これら客観的な評価法を行うことが大切です。PADと診断されフットケアを行う際には,「どんな病変ができたら」「何を」「どのように」「どれくらいの頻度」で行うかを体系的に明確にしておくことが必要です。日常生活の注意点にも踏み込んで指導することも重要です。
 PADは単一の診療科で対応できるものではありません。病期や病変の程度によりさまざまな医療者の連携・協力を必要とします。血行再建治療,創傷治療,透析管理や糖尿病管理,栄養改善や感染対策,リハビリテーション,フットウェアなど集学的な治療を行える体制づくりが大切です。
 年々増加する足病患者に統一して対応すべく,日本フットケア学会と日本下肢救済・足病学会が合併し,2019年7月に日本フットケア・足病医学会が新たに発足し,多くの医療者の方々が,足病に対するフットケア,予防,診断,治療に参画しています。
 足を守ることは,患者の歩行を守り生命を守ることにつながります。すでにフットケアや足病の診断や治療に関わっている方々,これからフットケアや足病の診断・治療を始めようとする方々のいずれにも参考となるように,特集「フットケアで下肢潰瘍を防ごう~糖尿病・透析患者における末梢動脈疾患~」を企画しました。この特集を通じて,1人でも多くの医療者の方が足病,フットケアに興味を持っていただき,また,日々の足病診療の参考となることを期待しています。

大竹剛靖
湘南鎌倉総合病院 副院長,同院腎臓病総合医療センター 腎血管免疫内科 主任部長


<目次>

1. 足の解剖・血行支配
 ①皮膚と感覚/木村 中
 ②足の骨格と筋/大原邦仁
 ③足の血行支配と血流/宮下裕介
2. 足病変について/菊池 守
3. 糖尿病の足病変/富田益臣
4. 慢性腎臓病(透析患者)の足病変/本田謙次郎
5. 足病変評価に必要な検査/加賀谷範芳
6. 血行再建治療:血管内治療と外科的治療/東田隆治
7. 虚血性潰瘍の創傷治療の基本/田中里佳
8. LDLアフェレシス治療/佐藤元美
9. 高気圧酸素療法/種山かよ子
10. 予防のためのフットケア
 ①下肢潰瘍を予防するために必要な足のアセスメント/加納智美
 ②基本的なケアと教育支援/愛甲美穂
 ③フットウェア/名和大輔,大平吉夫
11. 運動・リハビリテーション/河辺信秀,渡部祥輝,中村壽志,山﨑尚樹
12. 病変進展防止のための栄養管理/伊藤典子
13. チームアプローチ/渡邊英孝,上村哲司
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特集●高齢者の排便障害のアセスメントとケア
企画編集/前田耕太郎(藤田医科大学病院 国際医療センター 教授)


<特集にあたって>

 日本での高齢化は世界一の水準に達しています。「慢性便秘症診療ガイドライン」によると,日本人の便秘の頻度は60歳より急激に増加し,80歳以上では男女ともに12%程度の頻度と報告されています。また「便失禁診療ガイドライン」では65歳以上の便失禁の有病率は約7.5%と報告されており,高齢者の排便障害の問題は社会的な問題となってきています。しかしながら,日本の“恥の文化”という文化的な側面により,高齢者は排便障害のことを表にしないことが多いです。臨床的には,直腸糞便塞栓などぎりぎりの状況になって病院を受診することが多く,現場では救急の対応をせざるをえないことが少なくありません。また,便失禁になっても病院を受診せず1人で悩み,失禁のために外出もしない状況が起こり,うつ状態になっている患者も少なくありません。
 高齢者といっても,実際はバリバリ働いている高齢者もいれば,寝たきりで介護を必要としている高齢者もいます。現状では介護を必要とする高齢者の多くに“おむつ”による排便管理がなされています。排便管理や処置が健常の状態から,最終的に“おむつ”によるケアになる段階のケアが,本特集の高齢者に対する排便障害のアセスメントとケアに相当すると考えられます。よりよい状態で,より長く,排便を自己管理できるように,アセスメントしケアすることが,まさに腕の見せ所となります。これにより患者は,よりよい社会生活を,より長くできるようになります。
 本特集では,まず高齢者で最も問題になっている便秘,便失禁についての疫学的データや,高齢者に特徴的な排便障害の病態を解説していただきました。排便障害の病態を理解することは,どのようにアセスメントしたらよいか,またどのようにケアしたらよいかの指針になります。その後に,便秘・便失禁の診断とアセスメントについて医師と看護師の立場から概説していただきました。とくに便秘では,先述したように直腸の糞便塞栓で救急に受診する患者が少なくないため,最近試みられている超音波によるアセスメントに関しても原稿をお願いしました。便秘・便失禁の治療に関しては,医師・看護師の立場から保存的治療や外科的治療について言及していただきました。治療に関しては近年日本でも注目されているバイオフィードバック療法に関しても,とくに高齢者の排便障害にどう使うか,またその実際についても原稿をお願いしました。また,これらの排便障害に付随して問題になる高齢者特有のスキントラブルとスキンケアに関してもフォーカスを当てました。高齢者は身体的にも排便障害などの種々の障害を持つことが自然です。また経済的にも問題を抱えることも少なくありません。最後に,これらを支える福祉制度とその問題点についても現場の立場から原稿をお願いしました。
 これらの原稿はそれぞれの分野でのパイオニア,トップランナーの先生方にお願いしました。明日からの診療の指針になれば幸いです。

前田耕太郎
藤田医科大学病院 国際医療センター 教授


<目次>

1. なぜ高齢者に排便障害は起こりやすいのか?/味村俊樹
2. 高齢者便秘の診断へのプロセス(医師の立場から)/高橋知子
3. 高齢者の便秘のアセスメント/大森鮎子
4. 高齢者における直腸糞便塞栓のアセスメント/吉田美香子
5. 高齢者における便失禁診断のプロセス/勝野秀稔
6. 高齢者の便失禁のアセスメント/積 美保子
7. 高齢者の便秘・便失禁の治療/幸田圭史,小杉千弘
8. 高齢者の便秘・便失禁のケア/西村かおる
9. 高齢者の排便機能障害に対するバイオフィードバック療法の意義と実際/磯上由美
10. 高齢者の排便障害に伴うスキンケア/平山千登勢
11. 高齢者の排便障害と福祉制度-現状と課題-/種子田美穂子
2,640円
特集●実践!リンパ浮腫のケア
企画編集/
 重松 宏(都庁前血管外科・循環器内科 院長/日本リンパ浮腫治療学会 名誉理事長)
 松原 忍(東京品川病院 むくみの外来,日本リンパ浮腫治療学会 理事)


<特集にあたって>

 「リンパ浮腫」ががん治療の後遺症として認識されるようになり,治療に必要な弾性着衣の療養費払いや複合的治療の保険診療などが一部で認められるようになりました。しかし,その治療に携わる私たち医療従事者の知識はまだ十分とはいえません。分厚い教科書をめくっても「リンパ浮腫」に関する説明は1ページにも満たず,浮腫全体を合わせても数ページに紙面が割かれている程度のことがあります。
 そのような状況で「なんとか困っている患者の助けになりたい」と試行錯誤している仲間もたくさんいらして,ご自身で講習会に参加されたり関連する本で勉強されたりしています。とくに,本誌をご覧の皆さんは皮膚・排泄ケア認定看護師をすでに取得している方,これから目指そうとしている方が多く,必要とされる専門知識が類似しているので,「リンパ浮腫」はより身近な疾患であろうと思います。
 がんの治療後のむくみを主治医に相談しても「治る病気ではないからどうしようもない」と言われ,諦めて治療の機会を逸してしまう患者もいます。リンパ浮腫に関するホームページに載っているひどい重症例の写真を見て,自分も同じようになると思い込み「リンパ浮腫になるぐらいなら,がんで死んだほうがよかった」と悲観する方もいます。また,高齢者が廃用性浮腫や静脈性浮腫などによる「下肢のむくみ」のために受診することもよくみられるようになりました。原因は異なりますが,むくみのため日常生活がつらいことに変わりはありません。
 本特集では「浮腫のケアをしてあげたいけれど,どこからどう取りかかればよいのか見当がつかない」「距離や時間,人員数などの問題で,専門施設で本格的に学ぶことが難しい」と悩む医療従事者が「これなら自分にもできるかも!」と思える,実臨床に即した内容をまとめています。リンパ浮腫の一般的な概要・診断・治療法はもとより,患者を全人的に支援するためのメンタルケアや緩和ケアの項目を設けました。また,原発性リンパ浮腫の治療が小児慢性特定疾病として助成されるようになりましたので,成人とは異なる診療やケアを学びます。近年広まりつつある在宅医療の現場では下肢浮腫に遭遇することがよくあります。そのケアを知ることで,皆さんの今後の取り組みの一助になればと考えています。
 これまでリンパ管は見えないものとされ,先人たちの経験をもとに治療やケアが進められてきました。しかし,最近では放射線科を中心にリンパ系組織に興味を示す医師が増え,MRIや直接造影法などによる画像評価を劇的に発展させています。解剖学的構造やリンパ管の性状が鮮明にわかるようになり,新たなアプローチも検討できる時代となりました。限られた誌面ですが,そんな話題も盛り込んでいます。
 本特集が明日からの皆さんのお仕事に,少しでも役立つことができれば光栄です。


重松 宏
都庁前血管外科・循環器内科 院長/日本リンパ浮腫治療学会 名誉理事長

松原 忍
東京品川病院 むくみの外来,日本リンパ浮腫治療学会 理事


<目次>

1. 総論/小川佳宏
2. 保険適用の現状-指導管理料,療養費支給,複合的治療料,小児慢性特定疾病医療費助成制度,リンパシンチ-/新井恒紀
3. リンパ浮腫の診断-臨床診断と画像評価による機能診断-/松原 忍
4. 日常生活上のスキンケア/塚越みどり
5. 用手的リンパドレナージ(manual lymph drainage;MLD)の基礎知識/大前敬子
6. 症状に応じた圧迫療法の工夫-症状のアセスメントから圧迫療法の実施とその評価について-/高西裕子
7. リンパ浮腫に対する運動療法の目的とポイント/山本優一
8. 外科治療/秋田新介,三川信之
9. リンパ浮腫患者(サバイバー)の心理的側面に配慮したアプローチ/田尻寿子
10. 小児のリンパ浮腫/加藤 基
11. 緩和ケアにおける浮腫/井沢知子
12. 在宅医療における浮腫/奥 朋子
トピックス:放射線科医によるリンパ管評価-リンパ管の画像診断とIVR(画像ガイド下治療)-/曽我茂義
特集●WOCが知っておきたい 難治性皮膚疾患の知識とケアのコツ
企画編集/小川尊資(順天堂大学 医学部 皮膚科学教室 准教授)

<特集にあたって>

 今日,皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC)の仕事は多岐にわたります。患者の全身・局所のケアのみならず,他の職種間の橋渡しという重要な役割も求められています。今回の特集ではWOCが知っておきたい“難治性皮膚疾患の知識とケアのコツ”と銘打ち,出会う機会は少ないけれど重要な疾患を序盤にまとめました。先天性表皮水疱症,自己免疫性水疱症,糖尿病,膠原病のスキンケアは,個々の状態によって異なり,患者は乳幼児から高齢者まで幅広く存在します。一般的に,褥瘡とは異なるマネジメントを求められることも多く,医師とWOC間での疾患理解の共通化は円滑な治療において重要なポイントです。また,これらの疾患に,細菌や真菌の感染が併発することもあります。細菌や真菌の二次感染が加わることにより,原疾患が悪化したようにみえることもあります。二次感染を伴うことで,治療が難渋することもあります。そのため,皮膚処置の際には,感染症の併発も念頭に観察することが必要なため,それらの疾患についてもまとめていただきました。
 また,糖尿病性潰瘍の治療では複数の診療科の連携が一般的となり,栄養管理や装具などの介入も行われ,他職種の幅はさらなる広がりをみせています。
 いまやWOCは自分の領域の知識だけではなく,チーム医療に関わる医師,栄養士,義肢装具士,地域のケアマネジャー,訪問看護師の考えを理解し,患者自身が何を求めているのかを認識し,医学的・社会的に理解しフィードバックすることが求められています。それらを可能にするには,本特集の専門的な難治性皮膚疾患の概要を理解し,医師と看護師の間で連携できること,また栄養士や義肢装具士と情報をきちんと共有し相互理解することが必要です。この特集を手にとったWOCは大学病院,市中病院,または在宅医療を含めた開業医など,それぞれの場所でご活躍のことと思います。所属する医療機関によって,実際に可能な治療も,処置に使用できる医療資源にも差がありますが,患者に密接に関わり,患者自身のニーズを理解できる重要な立場であることには変わりありません。
 WOCが関わる患者は,家族,ケアマネジャー,訪問看護師など複数の職種,数多くのメンバーの連携が重要です。数多くの人が関わると,思わぬコンフリクトマネジメントを求められる局面が必ず訪れます。このような問題を乗り越えるためにも,本特集を通して職種の垣根を越え,互いの知識を深め,患者やその周囲で生じる「理解度の差」を埋めるコツ,自分たちの考えを患者にも平易に伝える際のコツをつかみ,“WOCが知っておくべき難治性皮膚疾患の知識とケア”を自分のものとしていただければ幸いです。

小川尊資
順天堂大学 医学部 皮膚科学教室 准教授


<目次>

1. 先天性表皮水疱症,自己免疫性水疱症の臨床/古賀浩嗣
2. 先天性表皮水疱症,自己免疫性水疱症のスキンケア/海田真治子
3. 膠原病の特徴的な皮膚症状と基本的な治療法/深井達夫
4. 膠原病のスキンケア/貴田寛子
5. 知っておきたい真菌・細菌感染症の皮膚/小川祐美
6. チームでみる糖尿病性足潰瘍/田中里佳
7. 下腿難治性潰瘍におけるデブリードマンのポイント/福田太郎,田中里佳
8. 難治性足病変における外来でのスキンケア指導のコツ/橘 優子
9. 皮膚疾患を改善するための装具と皮膚トラブル発見のコツ/寺門厚彦
10. 装具製作,患者と医療者をつなぐコツ/関根賢司
11. 創傷治癒がひときわよくなる栄養管理のコツ/榎本真理
12. 在宅でみる難治性皮膚疾患ケアのコツ/水上潤哉
特集●難治性瘻孔を極める!~明日につなげる管理とケア~
企画編集/辻仲眞康(自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科 講師)

<特集にあたって>

 瘻孔は,治療後に発生するものや自然に発生するものを含めてしばしば難治性となり,管理やケアに難渋します。瘻孔の治療は容易でなく,時間がかかります。さらに,患者にとっては,瘻孔の管理が複雑で難治性であることへの不安や不満がつのるなど,身体的・心理的にも負の影響を及ぼします。
 瘻孔は,医師にとっても治療の困難性を痛感する病態の1つです。腸管皮膚瘻に代表される瘻孔からの排液が過多になると脱水・電解質異常を引き起こし,厳密な循環管理を必要とします。この状態は長期化することが多く,薬物療法や栄養管理に工夫を凝らしても,病態の改善がみられないこともあります。瘻孔が自然閉鎖せず,治療方針が定まらないまま,主治医の関心が薄れたり,あるいは無力感に陥ったりすることも経験してきました。医師のみの判断や指針では,難治性瘻孔の治癒は見込めません。
 瘻孔の治療と管理には,看護師や医師(複数の専門領域を含む)をはじめとした多職種の協働が不可欠です。とくに,瘻孔のケアを直接担う看護師の専門的技術に助けられる場面は多く,その役割は大きいものであることを感じています。多職種で協議を行い,情報を共有したうえでアセスメントや治療計画を立て,統一したケアを提供することが重要です。これらのことが,医療従事者のみならず患者自身の治療意欲を向上させる結果につながると信じています。そこで,瘻孔の管理やケアを円滑にすすめるために手本となるような教材が必要と考えました。
 今回の特集号は「難治性瘻孔を極める!~明日につなげる管理とケア~」と題し,以下に挙げる2つの目的を掲げました:①瘻孔に関する基本的な理論と管理方法を理解することができる,②術後合併症・炎症性腸疾患・悪性腫瘍・短腸症候群といった,難治性瘻孔が発生する各疾患の実例を通じてケアを学ぶことができる。
 本特集では,イラストや写真を豊富に取り揃え,難治性瘻孔の治療やケアに携わる現場の看護師がすぐに実践できるような役立つ情報を提供することを目指しています。とくに,瘻孔に関するトラブルが発生した際のケアのポイントについて,医療従事者への教育だけでなく,患者自身への指導内容も簡潔にまとめて提示しました。
 本特集が,皮膚・排泄ケアにかかわる看護師や医師,さらに,瘻孔を保有する患者を支援する医療スタッフの方々がいつも手に取って参考にしていただけるような,とても身近な資料として活用されることを強く望んでいます。

辻仲眞康
自治医科大学附属さいたま医療センター 一般・消化器外科 講師


<目次>

1. 瘻孔の基礎知識/淺野 博
2. 瘻孔の生理と全身管理/辻仲眞康
3. 瘻孔の局所ケア/松岡美木
4. 術後合併症と瘻孔
(1)術後合併症に伴う瘻孔とは/石川文彦,藤田昌久,釜田茂幸
(2)術後合併症に伴う瘻孔のケア/清水昌美
5. 炎症性腸疾患と瘻孔
(1)炎症性腸疾患に伴う瘻孔とは/内藤正規
(2)炎症性腸疾患に伴う瘻孔のケア/尾澤政喜
6. 悪性腫瘍と瘻孔
(1)悪性腫瘍の進展に伴う瘻孔とは-ストーマ近傍に発生した大腸がんの手術治療-/藤本佳也,松浦信子
(2)悪性腫瘍の進展に伴う瘻孔のケア/松浦信子
7. 短腸症候群と瘻孔
(1)短腸症候群と瘻孔とは/高橋 洵
(2)短腸症候群と瘻孔ケア/深野利恵子
8. 瘻孔と在宅支援・社会保障/塚田祐子
2,640円
特集●陰圧閉鎖療法による治療とケアの基本
企画編集/館 正弘(東北大学大学院 医学系研究科 外科病態学講座 形成外科分野 教授)

<特集にあたって>

 陰圧閉鎖療法は,現在用いられている様式で1995年に製品化されると,創傷管理方法に革命をもたらしました。そのインパクトは1960年代以降の湿潤療法に匹敵すると捉えてもよいでしょう。創傷治療に関しては下記のメカニズムがあります。
1. マクロ的な創縁引き寄せ効果:創面に均等に圧をかけて引き寄せることで創の体積を効率よく縮小させる。縦隔炎で大きく胸骨が離開している場合でも,胸郭を安定させることが可能である。
2. 微小機械的刺激作用:ポリウレタンフォーム近傍の細胞は陰圧閉鎖療法によって機械的刺激を受ける。これが細胞を活性化し,血管新生を促し肉芽増生に寄与する。
3. 滲出液の排出:滲出液を持続的に排出することが組織の浮腫の軽減につながる。また過度な湿潤環境にならないことも利点である。ドレッシングの交換回数が減少することから省力化にも寄与する。
4. 創面環境の調整:炎症反応の改善や,低酸素状態による血管新生の誘導体,神経ペプチド濃度の上昇などが誘導される。
 最後に,いまだに議論が続いている点ですが,感染創への適応について述べます。陰圧閉鎖療法によって創部の細菌数が減少するのではないかと期待されましたが,そのような効果は得られないことが定説となりつつあります。これに対しては陰圧閉鎖療法に洗浄を組み合わせた方式が開発されています。
 創傷の管理は職種横断的に行われることが必須ですが,陰圧閉鎖療法に関しては,看護の果たす役割は重くなります。陰圧閉鎖療法は軟膏処置や被覆材を用いた創傷管理よりも,24時間持続的に,かつ能動的に創傷治療に関与するためです。まず機械のメカニズムに精通し,動作確認ができなければなりません。実際の貼付手順の理解も必須です。また,この処置を行っている間のADLの確保や交換時の疼痛管理,アラームへの対処やリーク対策,物品の準備や保険請求の伝票処理なども必要となります。このような理由もあって「創傷に対する陰圧閉鎖療法」が厚生労働省の定める特定行為に指定されています。
 陰圧閉鎖療法が創傷治療に革命をもたらしたと最初に記しましたが,適応はさらに急速に拡大する方向にあります。難治性潰瘍がそもそものターゲットでしたが,むしろ外傷創などの急性創傷によい適応があることが確認され,さらに植皮の固定などにも応用されています。高エネルギー外傷における軟部組織欠損の初期治療として大きな役割が確認されています。また腹部救急の臨床においては,救命のための必須アイテムとなっており,腹部開放創用局所陰圧閉鎖キットが2019年3月に保険適用が認められました。感染を伴う創傷は最も治療が難しいところですが,洗浄機能を組み合わせた陰圧閉鎖療法についても臨床応用されています。
 本特集では,進化し拡大を続ける陰圧閉鎖療法の臨床を,第一線で活躍している筆者にお願いして解説いただきました。

館 正弘
東北大学大学院 医学系研究科 外科病態学講座 形成外科分野 教授


<目次>

1. 陰圧閉鎖療法の歴史・位置づけ・将来展望
/大浦紀彦,森重侑樹,中山大輔,日下邊直樹,小倉ふみ子,赤木健一郎,木下幹雄,多久嶋亮彦
2. 陰圧閉鎖療法と看護,貼付困難な部位への適応方法/加瀬昌子
3. 縦隔洞炎と創内持続陰圧洗浄療法の実際/守永圭吾,清川兼輔
4. 間欠洗浄療法を伴う陰圧閉鎖療法の実際/川野啓成,上村哲司
5. 外来での陰圧閉鎖療法/藤井美樹
6. 縫合創への予防的陰圧閉鎖療法/林 昌伸,後藤孝浩,館 正弘
7. 腹部開放創への局所陰圧閉鎖療法~腹部コンパートメント症候群とopen abdomen management~
/久志本成樹,佐藤武揚,谷河 篤
8. 人工真皮・植皮と陰圧閉鎖療法/森本尚樹
9. 重度四肢開放骨折に対する陰圧閉鎖療法の使い方/田村亮介
10. 慢性創傷と陰圧閉鎖療法/齋藤順平,市岡 滋
2,640円
特集●小児ストーマの基本・標準・最新を知る!
企画編集/浅沼 宏(慶應義塾大学 医学部 泌尿器科学教室 准教授)


<特集にあたって>

 “ストーマ”の歴史は,ヘルニア嵌頓や腹部外傷などで意図せずに出現した腸瘻によって致死的な腹膜炎にならずに生存できることが知られていたことに始まったとされています。18世紀には,西洋医学において鼠径ヘルニア嵌頓,腸損傷,鎖肛などを対象に医療としてストーマ造設が行われるようになりました。そして,この領域の発展・普及は,1950年代の回腸ストーマの造設・ケアが礎となり,1961年の米国クリーブランドにおけるET(enterostomal therapist)スクールの開設が大きく寄与したことが知られています。
 日本においては,1981年に日本ET協会が設立され,小児領域においても1986年に日本小児ストーマ研究会(現・日本小児ストーマ・排泄・創傷管理研究会)が医師と看護師の協働運営で発足しました。これを契機に,それまで医師個人や施設の経験則で行われていたストーマの造設・ケアが,成長と発達の過程にある小児においても最新の知見に基づき標準化されて行われるようになりました。さらに,筆者もメンバーであるこの研究会の学術委員会では,小児のストーマのみならず失禁に対する排泄管理,褥瘡・感染創などの創傷管理の普及を目指して1996年から毎年教育セミナーを全国会場を変えて開催しています。
 そこで今回の特集では,このセミナーで現在講師を担当されている先生方を中心に,消化管ストーマをはじめ尿路ストーマ,胃瘻・気管切開口の原因疾患と造設・ケアやストーマ用品の最新知識などについて,さらに,繊細なスキンケアを必要とする低出生体重児や今後大きな流れとなる在宅ケアを含めた多彩な内容でご執筆をお願いしたいと考えました。本特集が,現在の小児ストーマ管理における“基本・標準・最新”であり,購読者の皆さまの日常診療・看護における一助となれば幸いです。

浅沼 宏
慶應義塾大学 医学部 泌尿器科学教室 准教授


<目次>

1. 小児ストーマの現状/尾花和子
2. 小児ストーマ用品の最新知識/横山友美
3. 消化管ストーマの原因疾患と造設/髙見澤 滋
4. 消化管ストーマのケア/阿部 薫
5. 尿路ストーマの原因疾患と造設/浅沼 宏
6. 尿路ストーマのケア/鎌田直子
7. 胃瘻・気管切開が必要な疾患と造設法,合併症/金森 豊
8. 胃瘻・気管切開口のケア/奥田裕美
9. 低出生体重児のストーマケア/保刈伸代
10. ストーマ患児の在宅ケア/小柳礼恵
2,640円
特集●褥瘡を防ぐポジショニング・体位変換・シーティング
   ~ベッド上から車椅子,ADLにおける褥瘡予防の取り組み~
企画編集/北出貴則(医療法人誠佑記念病院 診療技術部リハビリテーション室 室長,理学療法士)


<特集にあたって>

 今から30年前,褥瘡に対する取り組みは,褥瘡が発生してしまってからのものが主流でした。しかし,今では,褥瘡が発生してしまってからではなく,褥瘡を発生させないような取り組み(褥瘡予防)が主流となっています。
 褥瘡発生の考え方は,圧迫が主たる要因とされていましたが,今では外力(圧迫,ずれ,摩擦)が主たる要因であり,かつ身体的な要因と環境的な要因が相まって生じるとされています。
 褥瘡の発生は,以前に比べればかなり減少していることには間違いありません。
 褥瘡発生の予防効果に寄与しているのは,体圧分散マットレスの普及と機能向上です。それに加えて,被覆材やドレッシング材の普及や使用が大きいです。
 また,ポジショニングクッションの素材や形状などの変革も大きな影響と思われます。筆者は理学療法士ですが,褥瘡に対しては予防的な関わりが主です。褥瘡予防対策に関わってきて思うのは,褥瘡を作らないことと同時に,皮膚や軟部組織への刺激,寝姿勢の問題,寝床環境の影響,患者の受容しているさまざまな心理や感覚を考慮するようになったことです。
 私たち医療者や介護職は,治療やケアを提供していますが,治療やケアを受ける患者の心理や感覚をどの程度理解しているのでしょうか? 褥瘡で考えると,褥瘡発生の要因が患者に及ぼす影響について,医療者や介護職はどの程度理解しているか? です。
 褥瘡に対する教育は,医療や介護の養成校では学習する機会はありますが,褥瘡発生の要因が及ぼす影響を理解する機会は少ないように思います。
 つまり,外力が体に生じる体験学習がどの程度行われているのかということです。外力などの体験により,体験したその日から“外力が気になる存在”として認識されるに違いありません。そのような認識,気づきが高められることにより,結果的に予防的・予測的な行動へと変容させることになると思われます。褥瘡の予防は,いかに気づき,予測して行動するかであると筆者は思います。
 今回,褥瘡予防についてのさまざまな取り組みを,臨床の立場から述べていただきます。
 褥瘡予防に携わることにより,患者の心身機能だけでなく,外力などを含めた患者を取り巻く環境面に対しての気づきや新たな視点が増え,よりよいケアやリハビリテーションの提供につながることを切に願います。

北出貴則
医療法人誠佑記念病院 診療技術部リハビリテーション室 室長,理学療法士


<目次>

1. 多職種連携・協働につながる褥瘡予防教育/田中マキ子
2. 褥瘡予防に必要な環境要因のアセスメント/永吉恭子
3. 体位変換の影響と褥瘡予防/大川恵美
4. 褥瘡を予防するポジショニング“サポートと圧抜きの重要性”/北出貴則
5. 不良臥位姿勢へのポジショニング/佐々木基代
6. 移動・移乗介助における褥瘡予防/笠原聖吾
7. 不良な座位姿勢へのシーティング/永井健太,山﨑宏大
8. 食事ケアにおける褥瘡予防/藤澤美江
9. 排泄ケアにおける褥瘡予防/石橋千代美
10. リハビリテーションにおける褥瘡予防/辻 宏
11. 終末期・看取り期における褥瘡予防/前田佳子
2,640円
特集●熱傷,瘢痕,ケロイド治療・ケアを知る
企画編集/川上重彦(学校法人金沢医科大学 理事・名誉教授,日本褥瘡学会 理事長)

<特集にあたって>

 先般,熱傷を受傷した乳児の創部を食品用ラップで巻いて長期間放置した,として母親が逮捕された事件がありました。熱傷創を食品用ラップで被覆するという治療法はインターネットを介して広がった方法です。食品用ラップで熱傷創を被覆して創を湿潤状態にしておけば熱傷創はすべて自然に治癒し手術は必要ない,という誤った情報が独り歩きした結果,重篤な敗血症を生じたり,著しい関節機能障害を残したりなど,適切な治療を受けていれば本来避けえた合併症,後遺症を生じた例が問題となりました。日本熱傷学会では,2012年に「熱傷創治療に食品用ラップを用いてはならない」との見解を発表しています。
 「熱傷」は皮膚の小範囲に発赤や水疱が生じた後,数日で治癒に至るものから,広範囲に皮膚全層に熱障害が及び致死的な状態となるもの,小範囲ながら適切な治療が施されなければ著しい関節機能障害を残すものまで,さまざまな病態がみられる急性創傷です。病態がバリエーションに富む原因としては,受傷の原因(高温の液体・気体・個体,化学物質,雷撃,電撃),受傷場所(屋内か屋外か),受傷者の年齢,などが挙げられます。熱傷治療に関わる医師はこれらの病態を理解して,状況に応じた治療を選択する必要があります。
 では,熱傷の治療は医師だけが行うものでしょうか。重症の熱傷であれば,受傷現場における救急処置から治療施設への搬送,集中治療室,回復期における看護ケア,関節拘縮に対するリハビリテーション,創感染に対する適切な抗菌薬の選択,など多職種によるチーム医療が求められています。また,熱傷創治癒後に生じる肥厚性瘢痕,瘢痕拘縮,そして瘢痕治癒後の特殊な病態であるケロイドの治療やケアも患者の社会復帰にとっては欠かすことはできません。
 創傷に関わる看護師(WOCナース)は,これまでは主に褥瘡や下腿潰瘍などの慢性創傷の治療,ケアに従事してきました。しかしながら,今後は熱傷のような急性創傷の治療やケアへの関与も求められてくると考えられます。たとえば,大規模火災が発生した場合などは,熱傷専門医に加えて,WOC ナースの関与も求められると思われます。多数の熱傷患者が発生した災害として記憶に新しいところでは,2013年 福知山花火大会におけるガソリン爆発事故(59名受傷,うち3名死亡),2015年 台湾におけるカラーパウダー爆発事故(525名受傷,うち15名死亡)などがあります。来年は東京でオリンピック・パラリンピックが開催され,多くの人々が東京近辺に集まります。日本熱傷学会では,不測の事態に備えて,本大会に向けての救急・災害医療体制の構築に関する調査・研究(厚生労働省特別研究事業)を行い,現状と対策を冊子として発行しています。
 本特集を読まれて,「熱傷」という急性創傷の病態と,受傷現場の応急処置から社会復帰までの治療の流れを理解していただき,今後の活動の一助となれば幸いです。

川上重彦
学校法人金沢医科大学 理事・名誉教授,日本褥瘡学会 理事長


<目次>

1. 熱傷とは/仲沢弘明
2. 熱傷の診断,重症度の判定/松村 一
3. 熱傷の応急処置/熊川靖章,田中 裕,森川美樹
4. 熱傷による全身性変化とその治療/池田弘人
5. 熱傷創の局所治療/岸邊美幸
6. 熱傷の合併症/鳴海篤志
7. 乳幼児・高齢者熱傷の特徴と治療/長谷川祐基,櫻井裕之
8. 熱傷のチーム医療/鈴木将平,増澤佑哉,佐々木淳一
9. 肥厚性瘢痕,ケロイドの形成過程と治療/安田 浩
10. 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けての救急・災害医療体制の構築/織田 順
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