WOC Nursing(ウォック ナーシング) 発売日・バックナンバー

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2,640円
特集●熱傷,瘢痕,ケロイド治療・ケアを知る
企画編集/川上重彦(学校法人金沢医科大学 理事・名誉教授,日本褥瘡学会 理事長)

<特集にあたって>

 先般,熱傷を受傷した乳児の創部を食品用ラップで巻いて長期間放置した,として母親が逮捕された事件がありました。熱傷創を食品用ラップで被覆するという治療法はインターネットを介して広がった方法です。食品用ラップで熱傷創を被覆して創を湿潤状態にしておけば熱傷創はすべて自然に治癒し手術は必要ない,という誤った情報が独り歩きした結果,重篤な敗血症を生じたり,著しい関節機能障害を残したりなど,適切な治療を受けていれば本来避けえた合併症,後遺症を生じた例が問題となりました。日本熱傷学会では,2012年に「熱傷創治療に食品用ラップを用いてはならない」との見解を発表しています。
 「熱傷」は皮膚の小範囲に発赤や水疱が生じた後,数日で治癒に至るものから,広範囲に皮膚全層に熱障害が及び致死的な状態となるもの,小範囲ながら適切な治療が施されなければ著しい関節機能障害を残すものまで,さまざまな病態がみられる急性創傷です。病態がバリエーションに富む原因としては,受傷の原因(高温の液体・気体・個体,化学物質,雷撃,電撃),受傷場所(屋内か屋外か),受傷者の年齢,などが挙げられます。熱傷治療に関わる医師はこれらの病態を理解して,状況に応じた治療を選択する必要があります。
 では,熱傷の治療は医師だけが行うものでしょうか。重症の熱傷であれば,受傷現場における救急処置から治療施設への搬送,集中治療室,回復期における看護ケア,関節拘縮に対するリハビリテーション,創感染に対する適切な抗菌薬の選択,など多職種によるチーム医療が求められています。また,熱傷創治癒後に生じる肥厚性瘢痕,瘢痕拘縮,そして瘢痕治癒後の特殊な病態であるケロイドの治療やケアも患者の社会復帰にとっては欠かすことはできません。
 創傷に関わる看護師(WOCナース)は,これまでは主に褥瘡や下腿潰瘍などの慢性創傷の治療,ケアに従事してきました。しかしながら,今後は熱傷のような急性創傷の治療やケアへの関与も求められてくると考えられます。たとえば,大規模火災が発生した場合などは,熱傷専門医に加えて,WOC ナースの関与も求められると思われます。多数の熱傷患者が発生した災害として記憶に新しいところでは,2013年 福知山花火大会におけるガソリン爆発事故(59名受傷,うち3名死亡),2015年 台湾におけるカラーパウダー爆発事故(525名受傷,うち15名死亡)などがあります。来年は東京でオリンピック・パラリンピックが開催され,多くの人々が東京近辺に集まります。日本熱傷学会では,不測の事態に備えて,本大会に向けての救急・災害医療体制の構築に関する調査・研究(厚生労働省特別研究事業)を行い,現状と対策を冊子として発行しています。
 本特集を読まれて,「熱傷」という急性創傷の病態と,受傷現場の応急処置から社会復帰までの治療の流れを理解していただき,今後の活動の一助となれば幸いです。

川上重彦
学校法人金沢医科大学 理事・名誉教授,日本褥瘡学会 理事長


<目次>

1. 熱傷とは/仲沢弘明
2. 熱傷の診断,重症度の判定/松村 一
3. 熱傷の応急処置/熊川靖章,田中 裕,森川美樹
4. 熱傷による全身性変化とその治療/池田弘人
5. 熱傷創の局所治療/岸邊美幸
6. 熱傷の合併症/鳴海篤志
7. 乳幼児・高齢者熱傷の特徴と治療/長谷川祐基,櫻井裕之
8. 熱傷のチーム医療/鈴木将平,増澤佑哉,佐々木淳一
9. 肥厚性瘢痕,ケロイドの形成過程と治療/安田 浩
10. 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けての救急・災害医療体制の構築/織田 順
2,640円
特集●的確なフットケアをめざして~糖尿病神経障害,末梢血流障害,足の変形と痛みの基礎知識;フットケア外来でのチームでの対処法~

企画編集/
福井 聖(滋賀医科大学医学部附属病院 ペインクリニック科 病院教授/学際的痛み治療センター),
山口雅之(滋賀医科大学医学部附属病院 看護部 副看護師長,糖尿病看護認定看護師/日本糖尿病療養指導士)

<特集にあたって>

 「糖尿病足病変」とは,神経障害や,末梢血流障害を有する糖尿病患者の下肢に生じる,感染,潰瘍,深部組織の破壊性病変と定義されています。
 「糖尿病足病変」は,糖尿病の合併症である,神経障害,網膜症,腎症,閉塞性動脈硬化症,脳卒中,感染,認知症,その他さまざまな合併症などから起こる全身状態や生活状況,セルフケア状況がリスク因子としてあり,そこに外因子が加わることで発症します。
 しかし「糖尿病足病変」は,重点的に指導すれば発症を予防できることから,平成20年度の診療報酬改定で,「糖尿病合併症管理料」が新設されました。
 「糖尿病足病変」を予防するため,全身状態や生活状況をアセスメントし,その患者に適した治療や,指導を含めたケアを行う必要があります。そのためには,患者を取り巻く看護師を中心としたチーム医療がとても大切になっています。糖尿病内科,循環器内科,神経内科,皮膚科,血管外科,整形外科,形成外科,麻酔科ペインクリニック科などの診療科から,看護師は慢性疾患看護専門看護師,糖尿病看護認定看護師,皮膚・排泄ケア認定看護師,糖尿病合併症予防研修を修了した資格を有する看護師から,病棟・外来・地域における看護師,理学療法士や義肢装具士などがひとつになり,関わる必要があります。
 チーム医療が今後の医療のキーワードになっていますが,そのなかでも,このような看護師,医師によるチーム医療は,今後の方向性であり,さまざまな分野で普及してくると思われます。
 問診や家庭や社会での生活の様子のインテーク,服薬指導,心身両面からのケアなど,看護師が中心となれば,多くの病院で普及していくと考えられます。また,在宅医療へシフトする時代において,コミュケーション能力にすぐれた看護師が,チーム医療の中心となって活躍していけば,クリニックレベルでも,さまざまな領域で大きな役割を果たしていくようになると想像しています。
 今回は,「糖尿病足病変」に携わるチームスタッフ,関連各科のエキスパートの先生方に,病態からさまざまな治療方法やケア方法まで,わかりやすく解説いただきました。今後病院・地域におけるフットケアに,本誌をご活用いただければ幸いです。

福井 聖
滋賀医科大学医学部附属病院 ペインクリニック科 病院教授/学際的痛み治療センター

山口雅之
滋賀医科大学医学部附属病院 看護部 副看護師長,糖尿病看護認定看護師/日本糖尿病療養指導士


<目次>

1. 糖尿病から起こる足病変/池上隆太
2. 糖尿病治療の実際/卯木 智
3. 神経障害性疼痛と侵害受容性疼痛の薬物療法/西脇侑子,福井 聖
4. 足変形と免荷/池上隆太
5. 末梢動脈疾患と最新の脊髄刺激療法/坂元 博
6. フットケアにおけるチーム医療/河村光子
7. フットケアのアセスメント(神経障害・血流障害)/山口雅之
8. フットケアのアセスメント(履き物・変形)/山内光子
9. 保清・保湿・保温/山下亜希
10. フットケア外来における爪のケア/寺田恵理子
11. 胼胝・鶏眼ケア/岩﨑裕美
2,640円
特集●貼付剤の適切な貼り方-スキントラブルをどう回避するか-
企画編集/大井一弥(鈴鹿医療科学大学 薬学部 教授)

特集にあたって

 皮膚は角層を最外層にして,表皮,真皮,皮下組織によって構造を形成する人体最大の臓器です。角層は,身体を覆う皮膚組織であり,身体が保持する水分の喪失と異物の侵入を防いでいます。一般的に年齢が若いと皮膚に潤いがありますが,加齢とともに皮膚は乾燥しやすくなります。そのためスキンケアは,男女問わずその重要度は高まっています。
 さて,日本はこれまでに経験したことのない超高齢社会の最中にあります。高齢者は,薬の服用時に嚥下の問題が生じやすいことが知られており,そのため簡便に使用できる貼付剤のニーズが高まっています。貼付剤は,製剤中の薬物が角層を透過し体内に移行して効果を発揮します。薬物の角層への移行に影響を与える因子としては,皮膚からの水分喪失量,角層水分量,皮膚pH,体温などがあります。また,貼付剤の皮膚との親和性,貼付剤の主成分の皮膚中への拡散,さらには貼付剤の皮膚への粘着性などが影響をもたらします。つまり,貼付剤の主成分が何の障壁もなく皮膚に移行し,皮膚障害の発生がなければ,安全性が保たれているということになります。しかし,皮膚は生体バリアとしての機能があり,貼付剤に対してデリケートな反応を示すことも経験的に知られています。たとえば,貼付剤によって皮膚の表面に強い力が連続してかかることでできる水ぶくれは,貼付部位の端部にできやすく,貼付剤を強く引っ張って貼付したときに貼付剤が元に戻ろうとする力や,肘や膝などの屈曲部にかかる力が原因となります。また,貼付剤を剥がす際には,角層も一部剥がれるために,同じ部位で剥離を繰り返すと,角層の剥離が多くなり,皮膚が赤くなったり痛みを生じたりします。また貼付剤の成分や添加成分による皮膚障害として,接触皮膚炎があります。さらに,テープ剤の原材料に含まれる化学物質や,テープ剤を貼付する前に皮膚に付着・接触していた物質が,皮膚中に浸透して引き起こされる皮膚炎では,紅斑,水疱,かゆみ,疼痛などの症状が現れます。アレルギー性接触皮膚炎は,テープ剤の原材料に含まれる化学物質にアレルギー反応を起こして生じる皮膚炎です。特定の原因物質(アレルゲン)に接触したことのある感作の成立した人がアレルゲンに再度接触することによって発症し,貼付剤貼付後12~48 時間にかゆみを伴った紅斑,浮腫,丘疹,小水疱などの症状が現れます。このような状態で,乾燥皮膚が加わるとかゆみの出現が多くなり,適切な処置が必要となります。アレルゲンなどの異物がその炎症部位に侵入するとさらにかゆみが増強し,炎症や感染を助長してしまいます。現在では,貼付剤の名称は局所作用型に限定され,全身血流によって器官に薬物が送達され,薬効を発揮する外用薬は経皮吸収型製剤として分類されています。その治療薬には,喘息治療薬,狭心症治療薬,認知症治療薬,高血圧治療薬,更年期治療薬,禁煙補助剤などラインナップが増えている現状です。
 このような状況から,スキンケアの技術を取り入れなくては,貼付剤貼付のトラブルをなくすことは難しく,今回は,そのスキルを得るための特集といたします。

大井一弥
鈴鹿医療科学大学 薬学部 教授

■目次
1. 皮膚の構造と機能/徳留嘉寛
2. 皮膚症状の違いについて/磯貝善蔵
3. 貼付剤の種類と特性について/井上直子
4. 保湿剤の塗り方/大谷道輝
5. スキンケアの方法/吉田和枝
6. 急性期患者における貼付剤の使用法/柴田ゆうか,松尾裕彰
7. スキントラブルと外用療法/生島繁樹
8. 外来での貼付剤使用のトラブルとスキンケア/永江浩史
9. 小児の貼付剤とスキンケア/松本康弘
10. 褥瘡やストーマ周囲におけるスキントラブルと回避/鈴木美奈子
2,640円
特集●WOC領域におけるエコーテクニック ~褥瘡エコーの使い方・読み方・ケアへの活かし方~
企画編集/水原章浩(医療法人三和会 東鷲宮病院 院長/褥瘡・創傷ケアセンター)

<特集にあたって>

 エコーは医療に大きな変革をもたらしました。
 “エコーを診断・治療に使う”ことは現在の医療ではあたりまえのことになっています。腹部臓器や心臓をはじめ動脈や静脈の疾患はエコーで診断され,整形外科領域でも今やレントゲンよりエコーです。
 さらにエコー機器の進歩は驚異的で,以前は大きなエコー装置をガラガラと押していったのが,今では手軽に持ち運びできるハンディタイプ機器もあり,あたかも聴診器のようにエコーが使える時代になりました。
 これだけ普及してきたエコーの特徴をひとことで言えば“体の中の構造をリアルタイムに容易に見ることができる”ということです。
 この特徴を考えれば“褥瘡の下部構造をエコーで見てみたい”という発想が生まれるのは当然のことでしょう。なにしろエコーで皮下の様子が手に取るようにわかるのですから,皮膚病変である褥瘡の評価にエコーを使わない手はありません。
 実際に褥瘡にエコーをあてることで,外から見ただけではわからない多彩な出来事が皮下で起こっていることがわかってきました。
 DTI~深部組織損傷の診断をはじめ,浮腫の状態,ポケットの観察,カラードプラによる炎症の推移などは褥瘡エコーならではの新知見といえるでしょう。
 これら褥瘡エコーで得られた情報が褥瘡患者の看護計画に反映され,それを元に対策が実施されて,さらにその効果が褥瘡エコーでフィードバックされるという,実臨床に大きく役立つツールになっているのです。
 本特集では,看護師としてエコーを臨床に応用したパイオニア的な存在の浦田克美さん,岡田純子さんをはじめ,検査技師として褥瘡エコーの普及に活躍されている富田則明さん,当東鷲宮病院で多数の褥瘡症例を担当してもらった那須ユキエさんら,臨床の最前線で褥瘡および褥瘡エコーに携わっているエキスパートの方々に執筆をお願いしました。
 これら優れた執筆陣のおかげで本特集は実践的で中身の濃い充実した内容になったものと思います。
 本特集が読者の皆さんにとって褥瘡にエコーをあてるきっかけとなることを願ってやみません。

水原章浩
医療法人三和会 東鷲宮病院 院長/褥瘡・創傷ケアセンター

<目次>
1. エコーの原理/富田則明
2. エコー機器の進歩/富田則明
3. 褥瘡エコーに必要な基本的な解剖を知る/那須ユキエ
4. 褥瘡エコーの実際と工夫/那須ユキエ
 コラム1:骨折をエコーで見る~整形外科領域のエコー/那須ユキエ
5. 看護師がエコーを使うことの意義/浦田克美
 コラム2:便秘をアセスメントする新しい方法~直腸肛門エコー/浦田克美
6. 褥瘡エコーでわかること~その1:深部組織損傷(DTI)とその所見/水原章浩
7. 褥瘡エコーでわかること~その2:浮腫,液貯留,肉芽組織,壊死組織,ポケット/水原章浩
8. カラードプラでみる血流の意義/水原章浩
9. エコーを使った褥瘡ケアの実際~看護の視点から/岡田純子,畑中都子,金澤隆三郎,三坂和温
 コラム3:褥瘡エコーの今後の発展/中島千佳,中島光太郎
2,640円
特集●フットケア外来の構築と実践
企画編集/竹内一馬(医療法人たけうち 六本松 足と心臓血管クリニック 院長)

<特集にあたって>

 高齢化社会のなか,これからますます重要となる「フットケア外来」ですが,まだまだ医師が関心の薄い領域であります。それだけでなく,健康保険的にも整備されておらず手間の割に採算性に乏しく,「フットケア外来」を立ち上げたいけれど,何から始めてよいかわからない,どう運用していけばよいのか行き詰まっている,という声を多く聞きます。
 今回の特集ではフットケア・足病診療の領域で活躍されている先生方に執筆をお願いすることができました。とくに外来の開設準備などについては,臨床現場や教育現場で奮闘している先生方に机上論ではない現場でのアイデア,ノウハウなども聞くことができるでしょう。その一方で,熱意だけではどうにもならず,システムの構築や地域医療としての「フットケア外来」,足の先進国であるドイツでの「フットケア事情」についても執筆をお願いしました。
 また,この領域では多業種連携についても,大変重要なことです。装具・フットウェア関係業種との連携について,靴店から「フットケア外来」へのお願い,医療現場での実際の連携の工夫などの項目も,きっと役に立つのではないでしょうか。
 本特集が,読者の皆さんの「フットケア外来の構築と実践」において,なんらかの気づきになれば幸いです。

竹内一馬
医療法人たけうち 六本松 足と心臓血管クリニック 院長

<目次>
1. フットケア外来誕生の経緯と30年の歩み/杉田和枝
2. これからフットケア外来を開設するにあたって準備すること~これがあれば大丈夫!~/石橋理津子
3. これからフットケア外来を開設するにあたっての注意点(運営面から)/村上結城
4. フットケア外来における衛生管理/西田壽代
5. 装具・フットウェア関係業種との連携(義肢装具士と連携が取れている場合)/綾部 忍
6. 装具・フットウェア関係業種との連携(義肢装具士と連携が取れていない場合)/西山育美
7. 専門病院におけるフットケア外来の現状/西出 薫
8. もっと靴屋さんを頼ってほしい~靴屋の立場から「フットケア外来」担当者にお願いしたいこと~/阪田茂宏
9. 「フットケア外来」における皮膚・排泄ケア認定看護師の強み/細田夕子
10. ドイツにおけるポドロギー(フットケア外来)の紹介/吉田洋子
2,640円
特集【保存版】これからの5年を徹底予測! 医療安全対策,感染対策,褥瘡対策の院内マネージメント-医療再編と保険制度の課題と対策-
企画・執筆/高水 勝(スリーエム ジャパン株式会社 医療用製品事業部 マネジャー,公益社団法人 日本医業経営コンサルタント協会 認定登録医業経営コンサルタント)

〈特集にあたって〉
 2018年は,診療報酬・介護報酬の「W改定」や,2次医療圏ごとに病床数や病床機能を再編する「地域医療構想」の加速化など多くの医療・介護制度改革が同時にスタートした惑星直列の年でした。
 「チーム医療」についても,診療報酬だけでなく,医療再編の大きな流れの中で運用することがとても重要です。
 本特集では,WOCが日ごろから密接に連携する「医療安全対策」と「感染対策」とを併せて特集を組みました(WOC領域の中では褥瘡に絞りました)。
 「医療安全対策」「感染対策」「褥瘡対策」は,他のチーム医療と異なり,医療法や診療報酬でも,別格の扱いになっており,筆者は「チーム医療の3本柱」と呼んでいます。
 この3つの柱の軸である医療安全管理者,ICN,WOCの方の院内マネージメントの課題は共通する部分と独自の部分がありますが,3つの調整や整合性がとれていないことで院内が混乱していることもよく見受けられます。医療再編の渦中のチーム医療では,それぞれの活動や規定を相互理解し,整合性をとりながら院内マネージメントをすることが,ますます重要になります。
 医療再編による病床数の削減による病床の利用率(稼働率)の上昇が,ベッドコントロールに影響し,主たる診療科の病棟に他科の患者が入院することも日常的に起こる「混合病棟化」がさらに加速することが想定されます。
 看護現場では,働き方改革の中で,教育・研修時間の確保がさらに厳しい状況になっていることは実感されていると思います。
 病院機能は明確に分化されてきており,200床以上の紹介型の病院と,200床未満のかかりつけ病院では,外来部門を含め医療提供における役割が異なります。
 ①「混合病棟化による幅広いスキルの要求」,② 「研修時間の確保の困難さ」,③「病院の機能の分化」という複合的な命題を解決しながらチーム医療を実践するには,診療報酬だけでなく医療に係る複雑な各種の制度や動向を理解することが不可欠です。その中で,認定看護師などの専門性の高い看護師の役割も変わってきています。
 第1章では,現状の医療環境や医療再編を多面的に解説し,チーム医療が今後5年でどのように変化するかを筆者の予測を交えサマリーさせていただき,第2章以降で,各種の公的なスライドをQ&A形式で解説したいと思います。
 本特集は,分担執筆ではなく,すべての記事を筆者の責任のもと1人で書かせていただきました。
 なお,このような執筆の機会をいただきながら,体調不良等で予定した期日から3か月ほど大幅に遅れてしまい,出版社ならびに読者の皆さまに大変ご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます。少しでもお役に立てれば幸いです。

高水 勝
スリーエム ジャパン株式会社 医療用製品事業部 マネジャー,公益社団法人 日本医業経営コンサルタント協会 認定登録医業経営コンサルタント

〈目次〉
1. 2025年,2040年を見据え,これからの5年を予測する!
2. 医療再編(医療計画,地域医療構想,病床機能報告)
3. 診療報酬の基本
4. 平成30年度診療報酬改定のトピック(看護体制,看護必要度)
5. 行政による指導等(立入検査,適時調査,個別指導,共同指導など)
6. チーム医療の算定状況
7. 医療法,診療報酬,病院機能評価・JCIの違い
8. 医療安全対策(医療法関連,入院基本料/医療安全対策加算/医療安全対策地域連携加算)
9. 感染対策
 (医療法関連,入院基本料/感染防止対策加算/感染防止対策地域連携加算/抗菌薬適正使用支援加算)
10. 褥瘡対策
 (医療法関連,入院基本料/褥瘡ハイリスク患者ケア加算/療養病棟・褥瘡対策加算/在宅患者訪問褥瘡管
  理指導料/退院後訪問指導料/WOCの同行訪問)
11. 単回使用の医療機器の再製造
12. 病院の区分,特定機能病院,地域医療支援病院,在宅支援診療所
13. 看護師の専門性の整理(認定看護師,特定看護師,診療看護師,JNPなど)
14. 委員会と研修
2,640円
【特集】明日から使える認知症患者の尿失禁ケア
企画編集/小内友紀子

〈特集にあたって〉
 認知症とは,「いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり,働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり,生活するうえで支障が出ている状態(およそ6ヵ月以上継続)を指します」(厚生労働省ホームページから)。
 皆さんご存知のように,認知症患者は,まれにみる高齢化社会である日本において増えつづけています。内閣府の調査によれば,2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人になるとの推計もあります。
 このように身近な認知症ですが,認知障害があることはわかっても,認知症の専門医は少なく,家族や現場は認知症のタイプや詳しい治療の内容がわからないことは多いことでしょう。認知症は進行すると尿失禁が必発するとされ,近くで接している人たちは毎日の尿失禁により,においの問題や衣服,部屋やトイレ周りの清潔に苦労していることが推察されます。
 一般的に認知症の主なタイプは,アルツハイマー型認知症,レヴィー小体型認知症,脳血管性認知症です。認知症にみられる尿失禁のタイプは,過活動膀胱による切迫性尿失禁(尿意を感じてから尿意切迫感が生じて間に合わずにもれてしまう)や,機能性尿失禁(もとになる下部尿路機能障害がなく起きる尿失禁,トイレに行くことを忘れてしまう,足腰がすばやく動かなくて間に合わない)などです。日常生活自立度が低いほど機能性尿失禁の頻度が上昇しますが,前立腺肥大症による膀胱出口部の閉塞などによる溢流性尿失禁や,女性の腹圧性尿失禁が原因になっていることもあります。
 今回の特集では,まず認知症と尿失禁・排尿障害の関係について,押さえておくべき知識を概説していただきます。次に泌尿器科医が認知症患者の尿失禁をみたときにどんな検査,治療を行っていくか,認知症患者の尿失禁をみたときに注意する薬剤やポリファーマシー(薬剤の多重投与)の問題を概説していただきます。
 続いて医療施設や介護施設の第一線でケアをしている方たちに,それぞれの現場での苦労や工夫,そして成功・失敗の事例を教えていただきます。他に女性の骨盤臓器脱患者のケアや骨盤臓器脱で生じる尿失禁のメカニズム,病院内でのケアや対策,介護施設でのケアをそれぞれ述べていただきます。
 さらに,残尿測定器の具体的な使用法や排尿日誌を利用したケア,排尿自立指導料についてや,パッドやおむつを利用するときの工夫なども挙げていただきます。
 明日から現場で使える知識を皆さまのお手元に届けることができ,患者,利用者そして家族が笑顔になって,最終的にこの特集が皆さまのお役に立てれば嬉しいです。

小内友紀子
ときわ会常磐病院 泌尿器科,東京女子医科大学病院 泌尿器科 講師

〈目次〉
1. 認知症患者の尿失禁について,ケアに関わる人が知っておくべきこと~高齢者にやさしい診療のために~
2.認知症患者の尿失禁をみたときに泌尿器科医が考えること,診ること~泌尿器科外来における検査や治療~
3. 尿失禁の原因となる薬剤とポリファーマシーの問題
4. 排尿自立指導料における認知症患者のアセスメント
5. 認知症患者の尿失禁ケアからつながる看護研究
6. 訪問看護における認知症尿失禁ケアのポイント
7. 介護施設での認知症尿失禁ケアのポイント
8. 一般病院における認知症尿失禁ケアのポイント,私たちの工夫
9. 認知症尿失禁患者・家族のQOLを高めるおむつ・パッドの使用法
10. 骨盤臓器脱女性に生じる尿失禁とその対処法
【特集】女性泌尿器科疾患診療のミソ!
企画編集/藤原敦子

〈特集にあたって〉
 泌尿器科といえば男性の科! というイメージをもたれている方がまだまだ多いかもしれませんが,泌尿器科が扱う疾患のなかには,尿失禁や骨盤臓器脱などの女性に頻度が高い,もしくは女性特有の疾患があります。たとえば,2002年に日本排尿機能学会が行った疫学調査では,週1回以上尿失禁がある女性は,腹圧性尿失禁で12.6%(男性は3%),切迫性尿失禁で10%(男性は7.3%)と報告されています。また,骨盤臓器脱に関しては,海外での報告では,子宮のある50~79歳までの女性の約15~35%がなんらかの骨盤臓器脱を有しているという報告があります。さらに,米国の調査では,生涯に女性の11%が尿失禁か骨盤臓器脱で手術を受けるという報告もあります。しかしながら実臨床では,症状があっても羞恥心から病院を受診できず,受診までに1人で何年間も悩んできたという患者を多く経験するのが実情で,泌尿器科はまだまだ女性にとって敷居の高い場所であると思います。
 女性に多い泌尿器科疾患は,がんなどとは違い命の危険をきたすことはまれですが,QOLを著しく害するため,女性のwell being(身体的,精神的,社会的に良好な状態にあること)の実現のためにはその対処が非常に重要です。女性は男性と解剖学的に異なり,女性下部尿路症状の発症には加齢や分娩による骨盤底の脆弱化が大きく関与しています。2013年に日本排尿機能学会から出された「女性下部尿路症状診療ガイドライン」でも,薬物療法や手術療法のみならず,生活指導や理学療法が高く評価されており,医師のみではなく看護師,理学療法士など多職種連携がとくに重要と考えます。とくに失禁のプロであるWOCナースの皆さんの,この分野における協力,活躍は治療成功のために必須と考えます。
 この特集では,女性泌尿器科疾患のなかでとくに頻度の高い,過活動膀胱,腹圧性尿失禁,骨盤臓器脱にしぼり,その診断,治療,ケアについて専門家に解説していただきます。この特集により女性泌尿器科疾患への理解が深まり明日からの診療に少しでも役立てば非常にうれしく思います。

藤原敦子
京都府立医科大学 泌尿器科学教室 講師


1. 過活動膀胱の診断
2.過活動膀胱の治療(薬物療法)
3. 過活動膀胱の治療:仙骨神経刺激療法について
4. 腹圧性尿失禁の診断
5. 腹圧性尿失禁の治療(薬物療法,手術療法)
6. 骨盤底筋体操指導のコツ
7. 尿失禁のケア
8. 骨盤臓器脱の診断
9. 骨盤臓器脱の治療(保存的療法)
10. 骨盤臓器脱の治療(手術療法)
2,640円
【特集】炎症性腸疾患のストーマ造設とストーマケア
企画編集/池内浩基

〈特集にあたって〉
 炎症性腸疾患(以下IBD)には多くの疾患が含まれていますが,その代表選手が潰瘍性大腸炎(以下UC)とクローン病(以下CD)です。両疾患ともに増加は著しく,UCの患者数は20万人前後,CDの患者数は4万人前後と推定され,ここ10年間で倍増しているのが現状です。IBDの患者の手術は主に専門病院でおこなわれていましたが,患者数の増加とともに,一般病院でも遭遇する機会が増加しています。とくに,消化管穿孔などを生じてしまうと,緊急手術が必要となるため,専門施設への転送は不可能です。このような状態の患者では,ストーマを造設しなければならないような場合も多く,外科医のみならず,WOCナースは,IBDにおいても最低限の知識は身につけておかなければなりません。
 UCの患者は,術前の内科的治療として,免疫を抑える治療を受けていることが多く,そのために分割手術が多くおこなわれます。最終的にはストーマ閉鎖が可能な症例が多いわけですが,術後のトラブルにより,永久ストーマとなる患者もいます。術後のトラブルとして最近注目されているのが,loop ileostomy造設時の術後の排泄障害です。ストーマの出口で便が出なくなるため,ストーマからバルーンを挿入して吸引をおこなうと症状は早期に改善しますが,このようなトラブルを繰り返す症例も少なくありません。また,最近の傾向としてUC手術症例の高齢化が著明です。このような症例では,大腸全摘・永久回腸ストーマ造設術がおこなわれるわけですが,ストーマケアが困難なために,訪問看護などのサポートが必要な症例もあります。
 一方,CD症例でストーマ造設が必要となるのは,術後の縫合不全と肛門病変の悪化が大きな要因として挙げられます。術後のトラブルでストーマ造設が必要な症例は,多くは一時的なストーマが多いわけですが,肛門病変が増悪したためにストーマ造設が必要になった症例は,多くは永久ストーマであるという現実があります。CD症例は若年者が多く,肛門病変の悪化に伴い,ストーマ造設が必要なことはわかっていても,受容までに時間を要する症例は多く存在します。当然このような症例では心のサポートも必要になります。また,CDの最近の問題として重要なことは,長期に存在する肛門病変からの発がん症例が増加していることです。その予後はきわめて不良であり,このような症例ではストーマケアとともに,予後に対する心のサポートも必要になります。CD症例は術後の再燃,再手術が多いことはすでに知られています。ストーマの口側は再燃の好発部位であり,ストーマの口側の狭窄や瘻孔形成を生じる症例も多く存在し,ストーマケアに難渋する症例も多く存在します。
 いずれにしてもIBDの手術症例はその経過中にストーマが必要となる症例が多く,ストーマのトラブルを軽減させるためには,術前からの準備が必要であることは言うまでもありません。本特集ではIBDの専門施設の医師,WOCナースからの貴重なアドバイスが多く含まれていると思います。お役に立てることを希望しています。

池内浩基
兵庫医科大学 炎症性腸疾患学講座 外科部門 主任教授

〈目次〉
1. 炎症性腸疾患とストーマ(総論)
2.潰瘍性大腸炎の術前準備
3. 潰瘍性大腸炎患者のストーマ造設の実際と工夫
4. 潰瘍性大腸炎患者のストーマ造設後の合併症と対策
5. 潰瘍性大腸炎患者の外来でのストーマケアの実際
6. クローン病でストーマが必要となる病態
7. クローン病の肛門病変のskin careの実際とストーマが必要となる病態
8. クローン病でストーマが必要となる症例の術前準備
9. クローン病患者のストーマ造設の実際と工夫
10. クローン病ストーマ症例の長期経過
11. クローン病患者の外来でのストーマケアの実際
2,640円
【特集】褥瘡の局所治療~外用薬と創傷被覆材をどのように使いこなしますか~
企画編集/前川武雄

〈特集にあたって〉
 褥瘡の局所治療はMoist wound healing とWound bed preparationの概念に基づき,主に外用薬や創傷被覆材を用いておこないます。創の状況に応じて,どちらをどのように使い分けていくべきか,ガイドラインなどである程度のエビデンスは示されていますが,実際にはまったく同じ状況の創傷というものは存在しません。100人いれば100通りの褥瘡があるなかでどのような治療を選択するかは私たち医療従事者の腕の見せ所でもあります。褥瘡治療においては,創の発生原因や局所の状況を把握するだけでなく,全身状態,栄養状態,ポジショニング,社会的背景など多方面からの介入が必要になりますが,それと同時に治療に用いる外用薬や創傷被覆材の特性を理解しておくこともとても重要です。
 本特集号では,外用薬と創傷被覆材のどちらか一方に肩入れすることなく,両者の利点と欠点とを理解し,治療の一助になるよう3つのパートに分けて編集しました。パート1では総論として,局所治療の基本戦略,外用薬と創傷被覆材それぞれによる治療の実際,両者の比較,浅い褥瘡に対する使い方について解説しています。創の状況を適切に把握することはもちろん,各製剤・製品の特性に対する理解を深め,治療の幅を広げられるよう編集しました。パート2では治療に難渋する深い褥瘡への外用薬と創傷被覆材の使い方について解説しています。とくに難渋する原因である滲出液,細菌,壊死組織や不良肉芽,ポケットについて項目別に解説し,さらに創の状態が落ち着いた赤色期や白色期の治療戦略についても項目を分けて解説しています。パート3ではさらに実践的な内容として,在宅や保険制度からみた外用薬と創傷被覆材の使い方について解説しています。いわゆる2025年問題が間近に迫り,国民の5人に1人が75歳以上になる超高齢社会を迎え,病床数は17万床不足し,独居の高齢世帯が700万世帯に増えるといわれているなか,在宅での褥瘡治療は今後の大きな課題になることが予想されています。同時に,現在右肩上がりで増えつづけている社会保障給付費は,2025年にGDP(国内総生産)を上回る増加率により約150兆円にもなることが予想されており,保険制度の理解も私たち医療者の重要な課題といえるでしょう。
 褥瘡の治療は年々変化しています。エビデンスの積み重ねによる新しい理論の構築,次々に開発される多様な外用薬や創傷被覆材の進化,高齢化社会に伴う治療体制や社会保障制度の変化など,あらゆる面で褥瘡治療は変化を続けており,医療従事者は常に最新の知識を整理しなければなりません。本特集号が,現在の褥瘡に対する局所治療の知識の整理に役立つことを願っています。

前川武雄
自治医科大学 皮膚科学講座 准教授

〈目次〉
【PART1 総論】
1. 局所治療の基本戦略
2.外用薬による褥瘡治療
3. 創傷被覆材による褥瘡治療
4. 外用薬と創傷被覆材の徹底比較
5. 浅い褥瘡に対する外用薬と創傷被覆材の使い方

【PART2 深い褥瘡に対する外用薬と創傷被覆材の使い方】
6. 滲出液をコントロールする使い方
7. 細菌を制御する使い方
8. 壊死組織や不良肉芽に対する使い方
9. ポケットに対する使い方
10. 赤色期や白色期に対する使い方

【PART3 在宅や保険制度からみた外用薬と創傷被覆材の使い方】
11. 在宅における使い方
12. 保険制度からみた外用薬と創傷被覆材の比較
2,640円
【特集】丈夫な皮膚をつくる 正しい保湿剤の使い方
企画編集/大谷道輝

〈特集にあたって〉
 生命が水の中で誕生して魚類から哺乳動物への進化に伴い,陸上で生活するようになり,大気による『乾燥』が大きな問題となりました。生物は体内に約70%の水分を保持しており,この水分の蒸発を防ぐバリアとして皮膚が機能しています。皮膚疾患では多くの場合,このバリア機能が破綻しています。アトピー性皮膚炎のガイドラインでも,「アトピー性皮膚炎の患者では,皮膚バリア機能の低下のため,非特異的な刺激に対する皮膚の被刺激性が亢進し,炎症がおこりやすくなると想定されている。」と明記されています。
 皮膚疾患においても,臨床現場では「ドライスキン」など皮膚の状態が悪い患者に疾患の増悪傾向が強く認められます。アトピー性皮膚炎患者において病態の指標である「TARC」と「皮膚水分量」の関係を調べた結果,TARCが750 pg/mL以上の中等症の患者は750 pg/mL未満の軽症の患者に比べ,皮膚水分量が約半分の値でした。普段から保湿剤を繁用しているアトピー性皮膚炎患者では,皮膚水分量が健康成人に近く,病態が良好にコントロールされていました。
 褥瘡治療においても,再発を繰り返す症例を経験しますが,創部のみに治療が限られて周囲のドライスキンの治療がされていない患者が多くみられます。これら皮膚の乾燥に対しては,普段から皮膚に関心を持って積極的に「丈夫な皮膚」を作ることが大切です。
 ドライスキンはとくに高齢者に多く認められることは周知されています。皮膚水分量は天然保湿因子(natural moisturing factor;NMF)が関与しており,年齢に伴うNMF減少により老人性乾皮症となり,かゆみによる睡眠障害も問題視されています。一方,皮膚水分量は,男性ホルモンが関与している毛穴から分泌される皮脂によっても影響されます。皮脂は汗と混ざり,皮脂膜を形成し,皮膚表面を覆うことで水分の蒸発を防いでいます。男性ホルモンは女性のほうが30歳代からと早期に分泌量が減少するため,乾燥に注意します。子供も男性ホルモンの分泌が少ないことから,冬など足が白くなって乾燥しています。
 ドライスキンに対しては保湿剤の有用性が示されているものの,いまだに多くの人が問題を抱えています。この一因として,医療従事者でも保湿剤の使用に関して正しく理解していないことが考えられます。
 今回の特集では,ドライスキンに対して保湿剤を正しく使用するために,皮膚の乾燥,保湿剤の作用機序,種類,選び方・使い方,副作用,高齢者・乳幼児・女性の保湿など,広く臨床での活用を考慮して項目を作りました。スキンケアに対して臨床経験が少ない看護師の方でも理解できるように,各分野で経験の豊富なエキスパートである医師,薬剤師の先生方に丁寧にわかりやすく解説していただきました。この特集が,スキンケアの入門誌としてばかりでなく,褥瘡対策チームで活躍されている看護師の方にも,明日からの回診でご活用いただくことを切望しますす。

大谷道輝
公益財団法人佐々木研究所附属 杏雲堂病院 診療技術部 部長/薬剤科 科長

〈目次〉
1. 皮膚の乾燥
2. 保湿剤の作用機序
3. 保湿剤の種類と特徴
4. 保湿剤の選び方~ビデオマイクロスコープ診断の有用性~
5. 保湿剤の使い方
6. 保湿剤による副作用
7. 保湿剤と他外用剤の併用
8. 高齢者の保湿
9. 乳幼児の保湿
10. 女性の保湿
11. 保湿を考慮すべき疾患
12. 分子標的薬投与時の保湿について
〔コラム〕
1. 医薬品,医薬部外品および化粧品の違い
2. 市販のスキンケア関連商品は?
〔お知らせ〕
第28回日本保健科学学会学術集会開催のお知らせ
快適な排尿をめざすセミナー~間歇導尿指導認定セミナー 中級~のお知らせ
2,640円
【特集】創傷治癒の最前線
企画編集/菅野恵美

〈特集にあたって〉
 看護師は,来る日も来る日も悩み,考えながら創傷と向き合っています。看護師が向き合う創傷は,「急性創傷(術後創傷・熱傷など)」から「慢性創傷(褥瘡・糖尿病性足病変など)」まで非常に多岐にわたり,さらに近年ではスキンテア(皮膚裂傷),医療関連機器圧迫創傷(MDRPU),放射線皮膚炎などを適切にアセスメントし,ケアする力も求められはじめています。
 そもそも,急性創傷と慢性創傷の相違点は何でしょうか? 創傷が治癒する期間に差が生じるのは,どのような影響からでしょうか? 創部局所のバイオフィルムは,治癒にどのような影響を与えるでしょうか? 近年注目されている再生医療は,創傷治癒にどのような恩恵をもたらすでしょうか? 以上のように,前半部は,看護師が抱いている疑問に応える内容で構成しました。
 後半部では,各論として急性創傷と慢性創傷のアセスメントとケアについて,日常的に向き合うことの多い創傷を中心に取り上げました。近年の高齢社会に伴い,脆弱な皮膚を有する方が増加しており,スキンテアなどの問題がクローズアップされていると感じます。さらに,悪性腫瘍に対する放射線療法の外部照射によって照射部位に発生する放射線皮膚炎の問題は,外来通院による治療が可能となっていることから,今後さらに増加すると考えます。
 創傷治癒メカニズムは,この30年の間に飛躍的に研究が進んでいます。創部を乾かして治す時代から,急性創傷では湿潤環境療法(moist wound healing)がスタンダードとなっています。しかし,現在がゴールではないと考えます。慢性創傷と湿潤環境療法については試行錯誤が続いていますし,新たな治療法として創傷のタイプや宿主の反応性に応じた治療法,すなわち再生医療や遺伝子治療を取り入れた治療法が主体となる日が近いかもしれません。
 非常に幅広い内容となりましたが,各分野のエキスパートの方々に解説いただける機会が得られました。日常的な疑問を解決し,判断に迷った際に役立つ特集となると幸いです。

菅野恵美
東北大学大学院 医学系研究科 看護アセスメント学分野 講師

〈目次〉
1. 急性創傷と慢性創傷の治癒過程
2. 創傷治癒過程に影響を与える要因~全身的要因・局所要因~
3. バイオフィルム制御による創傷治癒へのアプローチ
4. 再生医療による創傷治療の未来
5. 術後創傷のアセスメントとケア
6. 熱傷のアセスメントとケア
7. 皮膚裂傷(スキンテア)のアセスメントとケア
8. DTI(深部損傷褥瘡)の理解~重症化予防と早期治癒につなげるケア~
9. 糖尿病性足病変のアセスメントとケア
10. 末梢動脈疾患(PAD)と重症下肢虚血(CLI)のアセスメントとケア
11. 放射線皮膚炎のアセスメントとケア
〔お知らせ〕
第28回日本保健科学学会学術集会開催のお知らせ
2,640円
【特集】在宅訪問診療におけるWOCケアの現状と課題
企画編集/塚田邦夫

〈特集にあたって〉
 医療は生命延長をめざして進歩してきました。大きなキズでも治るようになり,また診断されたら死の宣告と同じであったがんも,早期発見が可能になっただけではなく,進行がんでも完治が可能なものが増えてきました。治癒が困難でも,少なくとも有効な延命が可能になってきました。
 その結果,医療も救命や生きることだけが目的ではなく,個々人の生き甲斐や幸福感も重要視されるようになってきました。つまり生きるだけではなく生活が重要視されるようになり,在宅での生活の質が課題となっています。国も「地域包括ケアシステム」という考えを表に出してきました。
 地域で単に生きるのではなく,活きる(生き活きと生きること)ために患者に寄り添う職業の代表である看護師,とくにそのなかでも専門看護師である皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)の果たす役割に期待したいと思います。
 WOCナースの職場としては訪問看護ステーションでの勤務者はそれほど増えておらず,病院勤務のWOCナースが大部分となっています。今後訪問看護ステーション勤務者の増加は見込まれても,在宅訪問については病院勤務のWOCナースの役割が大きいと考えられます。WOCナースが病院から在宅訪問するにあたっては,「専門性の高い看護師の訪問看護ステーションの看護師との同行訪問(在宅患者訪問看護・指導料の3)」,「在宅患者訪問褥瘡管理指導料」「退院後訪問指導料」などの制度があり,WOCナースをはじめ専門性の高い看護師,とくに病院勤務の専門看護師に在宅へ出てもらう施策が増えています。今後は特定看護師が在宅で活躍することも期待されているようです。
 本特集ではWOCナースが在宅で活躍するにおいて,現状の制度,現在の働きや将来に向けて期待されることに焦点をあてました。また現行制度において障害となっていることや課題,そしてそのための対策について検討してもらいました。
 現在の制度について,まず詳しく解説してもらいました。そしてWOCナースと一緒に仕事をする立場である医師の意見をお聞きするとともに,看護師やヘルパー,ケアマネジャーがWOCナースをどのように見ているのかをお聞きしました。
 在宅現場で活躍していらっしゃるWOCナースご本人にも,現場のご意見を伺いましたが,訪問看護ステーションを開業されている方,訪問看護ステーションに勤務されている方,そして病院勤務の方など,それぞれで考え方に違いがあるのかについても率直なご意見を伺いました。
 今後WOCナースが在宅現場へ出て行くことは大きな流れとなっています。WOCナース当事者の方も,それを受け入れる方も,連携する方も,在宅療養される方にとってより有益な状況となりますよう,イメージを膨らませてもらえれば幸いです。

塚田邦夫
医療法人研医会高岡駅南クリニック 院長

〈目次〉
1. WOCナースの在宅での活動に関わる診療報酬等
2. 在宅にWOCナースは必要とされているか
3. 在宅でWOCナースに期待すること
4. なぜWOCクリニックを開設したのか
5. 訪問診療におけるWOC領域の医療ニーズとWOCナースの役割
6. 訪問看護と訪問診療医,総合病院の連携~糖尿病性足病変のケース~
7. 病院で関わるWOC在宅ケア~急性期病院での在宅支援活動~
8. 病院勤務のWOCナースが在宅に出る意義
9. 在宅でWOC訪問看護師に求められる役割
10. 在宅でのWOCケアの現状~訪問看護を通して在宅WOCケアの推進を考える~
〔お知らせ〕
第28回日本保健科学学会学術集会開催のお知らせ
看護・WOCセミナーのご案内
2,640円
【特集】使ってみよう「ストーマ装具選択基準」-役立つ時期別ストーマ装具の選択-
企画編集/品田ひとみ

〈特集にあたって〉
 1961年にNorma. N. GillがET(Enterostomal Therapist)第1号となってから約半世紀以上が過ぎた現在では,ストーマ装具の進化とストーマケアの向上によりストーマ造設患者のQOLは大きく拡大されました。ストーマ装具の歴史を振り返ると1957年に世界初の使い捨て粘着式ストーマ装具がコロプラスト株式会社から販売され,1964年にはホリスター社からストーマ周囲皮膚の保護に有用なカラヤガムと防臭性ストーマ袋からなるストーマ装具が製造されました。1972年,スクイブ社はゼラチン,ペクチン,カルボキシメチルセルロースナトリウム・ポリイソブチレンを主成分とした合成系皮膚保護剤ストーマヘーシブ(日本名:バリケア)を販売し,また1978年には単品系ストーマ装具のみであった市場に,ストーマ袋を適時交換できる二品系ストーマ装具の販売を開始しました。現在市販されているストーマ装具の多くは1978年に開発された合成系皮膚保護剤を基本材料とした面板と防臭性の高いストーマ袋で構成されています。ストーマを管理するには各社から販売されている面板の皮膚保護剤成分や特徴,形状を熟知したうえで,個々の患者の身体に適合した装具を選択することが不可欠です。また装具選択の際には,患者の日常生活が退院後も手術前とできるだけ近い状況で過ごせることを目標に,身体的,精神的,社会的側面を考慮する必要があります。2010年に米国WOCN協会から刊行された消化器系ストーマを持つ患者の管理:臨床家のためのベスト プラクティス ガイドラインでは,ストーマ装具選択をする際に考慮すべき点として,1. ストーマの種類と位置,2. 腹壁の状況,3. ライフスタイル,4. 個人の嗜好,5. 視力,6. 緻巧性,(エビデンスC)の6項目が挙げられています。ストーマの局所ケアが確立されなければ,ストーマ造設患者の社会復帰は制限されてしまいます。ストーマ装具選択の基本は,① ストーマの特徴を知る,②腹壁をアセスメントする,③ストーマ装具の種類と特徴を知る,ことです。これまでの一般的な腹壁のアセスメントとしては,腹壁の硬さ,ストーマ周囲の皮膚の段差や皺の有無などがあります。観察と同時に,なぜそのストーマ装具が選択されたか,誰にも理解できるように,アセスメントした項目の詳細について記録に残すことも重要であると考えます。
 今特集では2008年に世界ではじめてエビデンスに基づいてストーマ装具選択基準委員会が作成した「ストーマ装具選択基準」におけるストーマ・フィジカルアセスメントツール,ストーマ装具の分類やストーマ装具選択基準を解説したうえで,消化器系ストーマ,尿路系ストーマ別に手術直後期,退院前までのケア指導期,ストーマ外来受診期におけるストーマ装具の選択,在宅における装具の選択,ストーマ合併症に対応するための装具選択,最新凸面型装具やアクセサリーの選択について,経験豊富な方々に,実際の症例を供覧していただきます。明日からのストーマ管理にこの特集号をご活用いただければ幸いです。

品田ひとみ
Enterostomal Therapist/皮膚・排泄ケア認定看護師,コンバテックジャパン株式会社 社長室 顧問

〈目次〉
1. ストーマ装具選択基準とストーマ・フィジカルアセスメントツール
2. ストーマ装具の分類・種類と特徴
3. ストーマ装具選択基準によるストーマ装具選択の基本
4. ストーマ装具選択基準から選択するストーマ装具の実際
5. ストーマタイプ別,手術直後のストーマ装具の選択
6. セルフケア指導開始時から退院前における消化器系ストーマ装具選択
7. ストーマ外来における退院後の消化器系ストーマ装具選択
8. セルフケア指導開始時から退院前における尿路系ストーマ装具選択
9. ストーマ外来における退院後の尿路系ストーマ装具選択
10. 在宅におけるストーマ装具選択のポイント
11. ストーマ合併症におけるストーマ装具の選択
12. 凸面型装具の選択とアクセサリーの使い方
2,200円
【特集】めざせ! 褥瘡発生ゼロ
企画編集/立花隆夫

〈特集にあたって〉
 日本褥瘡学会実態調査委員会による2013年の第3回調査(2016年度の第4回調査結果は2018年に公表予定)では,褥瘡有病率は病院(一般病院,大学病院,精神病院,小児専門病院):0.46~2.20%,介護保険施設(介護老人福祉施設,介護老人保健施設):0.89~1.27%,訪問看護ステーション:2.61%,また,施設別褥瘡推定発症率はそれぞれ0.36~1.89%,0.62~0.81%,2.08%であり(1),その有病率,発症率はいまや世界一低いといわれるようになりました。それらの低下には,まず第一に行政の政策(褥瘡対策未実施減算;2002年,褥瘡患者管理加算;2004年,褥瘡ハイリスク患者ケア加算と重度褥瘡処置・老人処置の処置料新設:2006年,など)が挙げられますが,それ以外に,褥瘡ケア用創部アセスメントツールのDESIGN(2002年),褥瘡予防・管理ガイドライン(第1版;2005年,第2版;2009年,第3版;2012年,第4版;2015年)などを作成した日本褥瘡学会(設立;1998年)の関与のみならず,他職種によるチーム医療の実施などが大きく貢献したことは言うに及びません。
 今回,「めざせ! 褥瘡発生ゼロ」というテーマで本企画を担当しましたが,人為ミス,すなわちヒヤリハットによる褥瘡発生をゼロにするという意味であって,たとえば高齢者の臨終,すなわち,老衰死の1,2週間前に認められる仙骨部の発赤,びらん(1あるいは2度褥瘡)も含め,すべての褥瘡発生をゼロにするというものではありません(予防できない褥瘡もある)。また,当初は高齢者に生じる仙骨部の深い潰瘍を褥瘡(元来は,寝床でできたキズを意味する)とイメージしたものですが,その有病率,発症率の低下に伴い,高齢者でなくても生じることがある手術室,ICUでの褥瘡,車椅子での褥瘡,あるいは,在宅での褥瘡などがクローズアップされるようになってきました。さらには,痩せた高齢者,すなわちガリガリのおじいちゃん,おばあちゃんのイメージから,食生活の変化に伴いメタボリックシンドロームが話題になるなど,高血圧,糖尿病,脂質異常症などを持病に持った患者が増え,動脈硬化によるPAD(末梢性動脈疾患:厳密にはバージャー病なども含むが,圧倒的にASO〔閉塞性動脈硬化症〕が多いため,その同義語として用いられている)が取り沙汰されるようになってきました。また,褥瘡の予防・治療には,患者の栄養状態,体位などが大きく関与することもわかってきました。
 今回,褥瘡予防の問題点とその対応策についての各専門家の意見を聞いてみたく,日本褥瘡学会設立当時よりDESIGN,ガイドラインなどの作成にご尽力,さらには,各分野をリードされている先生方に原稿を依頼しました。本編集の企画により,各病院,施設,在宅などでの褥瘡発生が限りなくゼロに近づくことを期待します。

立花隆夫
大阪赤十字病院 皮膚科 部長

(1)日本褥瘡学会教育委員会:褥瘡の定義と疫学.日本褥瘡学会(編):褥瘡ガイドブック(第2版).照林社,pp8-17,2015.

〈目次〉
1. 褥瘡発生予防の観点からみた「診療計画書の危険因子の評価」(厚生労働省)
2. ベッド上での褥瘡予防の問題点とその対応策(高齢者の場合)
3. ベッド上での褥瘡予防の問題点とその対応策(手術室の場合)
4. ベッド上での褥瘡予防の問題点とその対応策(ICUの場合)
5. 車椅子での褥瘡予防の問題点とその対応策
6. 私がおこなっている在宅での褥瘡予防の問題点とその対応策
7. 栄養からみた褥瘡予防の問題点とその対応策
8. 理学療法からみた褥瘡予防の問題点とその対応策
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