WOC Nursing(ウォック ナーシング) 発売日・バックナンバー

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【特集】がん患者のストーマケア-支持療法・緩和医療としての展開-
企画編集/青木和惠

〈特集にあたって〉
 がん医療の観点から考えると,ストーマ造設は直腸がんや膀胱がんなどの外科的治療の効果を確実なものにするために必要となる排泄経路の変更であり,がんの外科的治療を支持する療法の1つであるということができます。またストーマ造設は進行がん患者に現れる消化管閉塞などのがん終末期の症状を緩和する場合などにも適応され,この場合には緩和医療の1つとして位置づけされます。
 このような目的で造設されるストーマは,支持療法・緩和医療としてある特徴をもっていることがわかります。それは,ストーマがこれら2つの機能を果たしながら,同時にストーマ自体ががん治療や進行がんの影響を大きく受ける身体の一部であるということです。支持療法・緩和医療の具体的方法が,治療やケアや機能訓練など身体の外からの働きかけではなくて,がん治療やがんの進行の影響を大きく受ける身体の一部であるという条件は,支持療法・緩和医療としてのストーマがもつ大きな特徴であり弱点であるといえます。そこでこの弱点を克服するためにおこなわれるのが,がん患者のストーマケアです。
 がん患者のストーマケアは,ストーマが外科治療の支持療法として機能を発揮できるようにケアすることばかりでなく,化学療法や放射線療法,あるいは進行がんの影響を受けてストーマに生じる障害や症状を回避したり改善させたりしてこの弱点を克服し,がんの手術療法,化学療法,放射線療法,そして緩和医療が順調に進むように働きかけていくもので,これが支持療法・緩和医療として展開されるストーマケアです。

青木和惠
静岡県立大学 看護学部 教授,皮膚・排泄ケア認定看護師

〈目次〉
Ⅰ 総論
 がん患者のストーマケア-支持療法・緩和医療としての展開-
Ⅱ 支持療法としての展開
 1)化学療法を支持するストーマケア
  ①化学療法による皮膚障害の機序と症状
  ②化学療法によるストーマ周囲障害とその対応
  ③化学療法による手指の障害への対応
 2)放射線療法を支持するストーマケア
  ①放射線療法による皮膚障害の機序と症状
  ②放射線療法によるストーマ周囲障害とその対応
 3)外科療法(ストーマ造設)を支持するストーマケア
  ①ストーマ周囲皮膚障害のケア
  ②形状的なストーマ合併症のケア
Ⅲ 緩和医療としての展開
 1)進行がんのストーマ症状に対応するストーマケア
 2)がん悪液質に対応するストーマケア
  ①がん悪液質の病態と症状
  ②がん悪液質状態のストーマ保有者のストーマケア
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【特集】創傷治癒機転からみた褥瘡患者の栄養管理
企画編集/東口髙志

〈特集にあたって〉
 本誌をご愛読されている皆さんは,褥瘡がなぜ発生し,どのように増悪し,また治癒していくのか,すでにご理解いただいていると思います。しかしながら世界の情勢を見回すと,医学および科学の進歩はめざましく,私たちのように実際の現場で医療をおこなう者にとっては,常に新しい知見と情報の取得が必要とされます。すなわち,褥瘡治療を取り巻く新しい潮流を知ることによって,これまで治療しきれなかった難治性褥瘡に対する新たな治療法の開発と普及が得られることもあります。また,がん終末期のように悪液質の進行による身体組織の脆弱性の亢進と活動性の低下に伴う対応困難症例においても,創傷治癒を促進させる可能性が論じられるようになることもあります。
 本特集では,創傷治癒機転を常に念頭に置いて,それをフルに活性化させる代謝栄養学的促進法と,新たな付加的治療の併施による褥瘡管理法を追求したいと思い,この領域の指導者ならびにトップランナーの先生方に知恵を絞っていただくことにしました。創傷治癒機転と栄養管理との関連を,局所から全身にわたって追求し,そして投与する栄養素がもたらす創傷治癒促進の効果とその機序についても代謝栄養学や創傷治癒学の立場から言及していただきます。とくに,糖代謝,脂質代謝,蛋白・アミノ酸代謝の三大栄養素と,ビタミン・ミネラルなどの微量栄養素における創傷治癒促進の基本的な機序を示していただきます。これに加えて,最近話題のω3系(n-3系)脂肪酸や分岐鎖アミノ酸,グルタミン,アルギニン,そしてロイシンの代謝産物であるHMB(β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸)などの効果にも言及していただきます。さらに,著しい速度で進行する高齢社会では,医療や福祉の現場だけでなく,生活支援の場における褥瘡予防も非常に重要です。高齢者では一度褥瘡を発生させると,組織の耐久性だけでなく,「食力(しょくりき)」も低下して,著しいサルコペニアに陥ることも少なくありません。このことはさらに精神的な活力も奪い,ADLが低下し,さらにはフレイル(虚弱)に陥ります。このなかでいかに褥瘡の発生を予防し,万が一発生しても早期に改善させるかの試みが大切と考えます。
 最後の最後まで人はいきいきと生き,そして幸せに逝かなければなりません。そのためには常に新たな知識と技術を駆使して,代謝栄養学的な見地からも,決して容易に褥瘡を発生させない,そして発生してもすぐに改善させるような体制づくりが必要と思います。本特集をお読みになり,少しでも皆さんのお役に立てればとても幸せです。

東口髙志
藤田保健衛生大学医学部 外科・緩和医療学講座 教授

〈目次〉
1. 代謝栄養学からみた褥瘡の発生機序
2. 創傷治癒と栄養不良
3. 創傷治癒と全身代謝動態
4. 糖代謝異常と褥瘡治療
5. 褥瘡治療におけるω3系脂肪酸の投与効果
6. 褥瘡治癒における蛋白質の投与効果
7. 創傷治癒を促進するアミノ酸と褥瘡治療への応用
8. 褥瘡治療で必要な微量栄養素に対する対応
9. 褥瘡治癒促進のための栄養と運動療法
10. 高齢者褥瘡患者の栄養管理と生活支援
11. 終末期がん患者の代謝制御と褥瘡治療
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【特集】下肢潰瘍・壊疽患者の栄養サポート
企画編集/宮澤 靖

〈特集にあたって〉
 近年の生活習慣病の増加に伴い,糖尿病やこれを合併した動脈硬化性疾患が増加しており,下肢の動脈硬化すなわち末梢動脈疾患も例外ではありません。このなかで,安静時痙痛や潰瘍・壊死といった,より重篤な病態は重症虚血肢と呼ばれ,下腿切断や大腿切断に至ることがあり,著しいQOLの低下を招いてしまいます。フットケアと栄養サポートは重症虚血肢を大切断から回避するための重要な,あるいは補助的手段としての役割を担っているといえます。
 下腿潰瘍・壊疽を生じる原因はさまざまありますが,糖尿病患者に生じる足潰瘍・壊疽は予後が悪く,難治性となります。糖尿病患者が生涯で足潰瘍を生じる可能性は25%であり,その半分以上が感染し,そのうち20~65%は骨髄炎に進行すると報告されています。また,下肢の骨・軟部組織感染を生じる確率は健常者の10倍高く,感染を生じると切断になる危険性は40倍高いという報告もあります。糖尿病に伴う透析患者数も増加し,高度石灰化による重症下肢虚血(critical limb ischemia;CLI)となった場合には,さらに複雑な病態となります。
 適切な治療をおこなうためには,足潰瘍を生じている病因を追求し,それによりどのような状態に陥っているかを判断することが重要です。そして何より予防・治療の基本になるのが「栄養サポート」です。下肢では静脈,動脈,神経は,組織中でそれぞれの近傍位置を走行しています。動脈硬化症によって神経栄養血管の血流不全があれば,神経障害が進行します。また,神経障害によって血管運動調節障害が発生すれば,血管の収縮・弛緩反応に影響を与えることが予測されます。したがって単一の原因を探るのではなく,何が病像の主因であるかを,およそ見きわめることが大事です。多くの症例では病変部に感染を認めますが,それはなんらかの創傷に2次的に感染したものが多数を占めます。栄養サポートが充実すれば,患者自身の免疫力が向上し,感染を軽減・回避することが期待できます。しかしながら,栄養サポートチームが多くの施設で構築されてきたとはいえ,十分な体制で,必要な患者すべてに対し,的確な栄養サポートが提供されている施設が少ないのも現状です。
 本特集では「下肢潰瘍・壊疽患者の栄養サポート」というタイトルに基づき,この分野で臨床活動を積極的におこなっている専門の先生方から,病態と治療,フットケアを実践しての予防法やケア,各種栄養素の投与量設定から選択方法や施設での実践例に至る観点で概説をしていただきます。看護師(WOC)の皆さんが臨床現場でお使いになるテクニック,知識の向上の一助になれば幸いです。

宮澤 靖
社会医療法人近森会 近森病院 臨床栄養部長

1. 下肢潰瘍・壊疽患者の栄養サポートの必要性
2. 下肢潰瘍・壊疽患者の病態と治療
3. フットケアの重要性と看護
4. 下肢潰瘍・壊疽患者のたんぱく質の設定
5. 下肢潰瘍・壊疽患者のエネルギーの設定
6. 下肢潰瘍・壊疽患者のビタミン,微量元素の設定
7. 下肢潰瘍・壊疽患者の水分量の設定
8. 下肢潰瘍・壊疽患者に効果的な特殊アミノ酸
9. 下肢潰瘍と薬

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【特集】褥瘡を“みる”コツ 外用薬を選ぶコツ
企画編集/岡田克之

〈特集にあたって〉
 褥瘡対策とは何でしょうか。予防策? 局所ケア? 治療法? 栄養サポート? 感染制御? そう,本誌をお読みになっているあなたの思うすべてが,おそらく正解です。ではなぜ皆さんは日々悩んでおられるのでしょうか。同じ患者さんはいない,同じ褥瘡はないからです。昨日はうまくいったことが,今日もうまくいくとは限りません。「褥瘡をみる」ということは「見る」と「診る」と「看る」のコラボレーションです。教本で覚える知識,先輩に教わるスキル,多職種から得る専門性,それらを立体的に積み重ねなくてはなりません。褥瘡を見て創状態をアセスメントし,それに合わせた診療計画を組み立て,予防にも治療にもつながる看護へと連なっていきます。経験則も大切ですが,それだけに頼らないエビデンスに基づく褥瘡対策を学んでほしいと思います。
 医師が治療を決めたとき,その判断の根拠を知らなくてはなりません。それでこそ看護師のケアが有意義なものとなります。褥瘡治療の柱は,外用薬,ドレッシング材,陰圧閉鎖療法などの物理療法,外科的処置でしょうか。万能な「とこずれぐすり」などありません。外用薬を決めるには創評価が基本になります。アセスメントツールとして,日本褥瘡学会によるDESIGN-Rが優れています。いまや私たちの共通言語であり,国際的にも通用するものです。本特集の前半は,それぞれのカテゴリーに応じて外用薬を決める,という構成にしました。たとえば「Dからみる」ならば,dレベルで浅ければこんなことを考え,どの外用薬を選ぶかというような“コツ”が記されています。外用薬に限界があるなら,ドレッシング材や手術療法などにも言及するようにしました。さらに執筆者の専門性を生かした【plus ONE】として,褥瘡に限定しない内容で,知って役立つコラムを加えてあります。後半は関連項目として,足の褥瘡,栄養と褥瘡,リハビリテーションと褥瘡,そして外用薬の有害事象などをまとめました。
 褥瘡の発症には,個体要因,環境・ケア要因,そして共通要因として外力・湿潤・栄養・自立があります。それぞれを考えることが,発生予防に役立ち,治療とケアにもつながります。治療の武器の1つである外用薬を使うにあたって,執筆者の皆さんの磨かれた技をご覧になってください。多職種連携が叫ばれて久しいですが,有機的な真の連携を図るには何が必要なのでしょうか。それぞれの持つ専門性を発揮しつつ,共通の眼を持つことだと思います。今回は外用薬の選び方を特集しました。創をみて,患者さんをみて,褥瘡にかかわる医療人としての眼を鍛えられれば幸いです。そして褥瘡対策におけるチーム医療の実践に役立ててほしいと思います。

岡田克之
桐生厚生総合病院 皮膚科 診療部長 兼 食養科部長

〈目次〉
1. 褥瘡を“みる”ということ~三次元の眼を鍛えましょう~
2. 急性期褥瘡をみる~新たな治療法を目指して~
3. D(深さ)からみる~浅いか深いか,その大きな違い~
4. E(滲出液)からみる~全過程で最も重要な創傷管理の指標~
5. I(炎症/感染)からみる~感染を適切にアセスメントする~
6. G(肉芽組織)からみる~評価のポイントとケアの考え方~
7. N(壊死組織)からみる~創の状態に応じて薬剤を使いわける~
8. P(ポケット)からみる~褥瘡に特徴的な創の形態~
9. 足の褥瘡~踵褥瘡と足趾の圧迫創について~
10. 栄養から外用薬を選ぶ
11. リハビリテーションと褥瘡
12. 有害事象

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【特集】特集重症虚血肢診療の実際とフットケア
企画編集/宮本 明

〈特集にあたって〉
 末梢動脈疾患(peripheral arterial disease;PAD)は,動脈硬化による下肢の虚血症状を呈する疾患で,日本においても高齢化と食の欧米化に伴い増加傾向にあります。欧米では,無症候性も含めると70歳以上の15~20%にPADが認められると報告され,高齢者の一般的疾患と考えられます。
 本特集のテーマである重症虚血肢(critical limb ischemia;CLI)は,PADの極型で,安静時疼痛や難治性潰瘍・壊疽を生じ,下肢切断の危険が高い疾患です。また,CLIは糖尿病,慢性腎不全,全身の動脈硬化性疾患(脳血管障害や冠動脈疾患など)の合併率が高く,元来,生命予後不良な疾患ですが,下肢大切断がおこなわれると,さらに生命予後不良となるため,下肢大切断回避は生命予後改善のためにも重要です。
 しかしながら,CLI患者の半数は,重篤な下肢虚血が存在するにもかかわらず,発症前の症状は軽微で,早期発見や早期介入が難しいのが現状です。とくに,透析患者では,CLIをいつ発症してもおかしくないCLI前状態の患者が約10%存在すると報告されており,透析施設で働いている看護師は,常に,無症状であってもCLIを念頭に患者をみる必要があります。
 CLI診療では,潰瘍・壊疽が進行すると治療期間が長期にわたり,また,下肢大切断のリスクも高まるため,早期診断・早期介入がきわめて重要です。また,予防に関しては,足趾の些細な傷(靴ずれ,巻き爪,ひび割れなど)からCLIが発症するため,日ごろからのフットケアが重要となります。その意味で,臨床の最前線に従事する看護師の役割は,きわめて重要と思われます。
 本特集では,CLIの概要,診断・治療およびフットケアの現状について各専門家から解説していただきます。ぜひ,今後のCLI診療に役立てていただければ幸いです。

宮本 明
医療法人社団 亮正会 総合高津中央病院 心臓血管センター センター長

〈目次〉
1. 重症虚血肢(CLI)とは
2. CLIの集学的治療の重要性
3. CLIに対する血行再建:血管内治療
4. CLIに対する血行再建:外科的バイパス治療
5. CLIに対する特殊治療(血管新生・LDLアフェレシス治療)
6. CLIに対する創傷治療
7. CLIに対するリハビリテーションの役割/藤森大吾,東田隆治
8. 在宅CLI診療の実際
9. CLI創部に対するマゴット治療
10. 透析クリニックにおけるCLI診療
11. CLIに対するフットケア(看護師)の役割
12. CLIにおける治療靴の重要性

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第49回 東京ストーマ・リハビリテーション研究会のお知らせ
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【特集】保存版 まるわかり 褥瘡に係わる医療制度・保険制度
企画編集・執筆/高水 勝

〈特集にあたって〉
 団塊の世代が後期高齢者になる2025年問題については,いまさら説明する必要もないと思います。その2025年に向けて大きな医療・介護改革が起こるのが2018年になります。「診療報酬改定」「介護報酬改定」のW改定を軸に,「第7次医療計画」「第7期介護保険事業計画」,そして何といっても病院機能が再編される「地域医療構想」の本格化も加わり,まさに医療・介護改革の惑星直列と呼べるのが2018年です。
 本特集では,激変の2018年に向けて,今おさえておくべきことを整理してみました。現在の各種制度をしっかりと理解することで,2018年の制度改正・改定においても,あわてることなく変更点や新設項目を確認することなどでスムースに対応ができると思います。
 本特集で意識したのは,「単語の整理」「制度の解説」「実践の目線」の3点です。
 ここ数年,学会,中核病院,大学,認定看護師研修校,業界団体など,多方面からのご依頼で,「チーム医療」「医療再編」「医療機器産業」などをテーマに,年間に50~100回の講演や講義をさせていただいております。その経験から強く実感したのは,各職域で日常使われている単語の意味や制度の理解が,バラバラであることでした。端的にいえば,「日本語としては会話が成立していても,お互いの知識や意図は正確に伝わっていない,理解したつもりで誤解している」ということが,頻繁に起こっているということです。
 地域包括ケアシステムを推進するためのポイントは,各職域が,他の職域・領域の「単語」「制度」「実践」を正しく理解することで,強いネットワークを形成することだと思います。
 本特集では,複雑な制度を理解するための「保存版」として活用できるように,現在の診療報酬の解説だけではなく,「単語の整理」「制度の解説」関連情報の整理を意識して編集しました。
 そのため,本特集では通常の編集とは異なり,各項目の本文の解説部分は私の責任において実運用を意識して私がすべて書き,実際の医療現場でご活躍されている第一人者の先生方からは,「実践の目線」からのポイントを「匠の目」として執筆していただきました。
 とっつきにくいといわれる,医療制度,保険制度についてご理解を進めていただき,制度に振り回されることなく,主体的な活用によって,よりよい褥瘡対策に結びつけていただければ大変うれしく思います。
 最後に,一企業人である私に,このような特集企画の機会を与えていただいた編集部ならびに「匠の目」を執筆いただきました医師,WOCNの先生方に心より感謝申しあげます。

高水 勝
スリーエムジャパン株式会社 ヘルスケアカンパニー 企画推進部 マネジャー
公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 認定登録医業経営コンサルタント
一般社団法人日本医療機器テクノロジー協会 創傷被覆材部会 部会長

〈目次〉
1. 医療制度・保険制度に係わる単語の整理
2. 医療事故報告での「褥瘡」の扱い
3. 入院基本料
4. 褥瘡ハイリスク患者ケア加算
5. 療養病棟,ケアミックス
6. 退院調整(退院前訪問指導,退院時共同指導,退院後訪問指導など)
7. 在宅関連(訪問診療・往診,在宅患者訪問褥瘡管理指導料)
8. 訪問看護(訪問看護管理療養費,WOCNの同行訪問)
9. 医療機器・材料-1 創傷被覆材
10. 医療機器・材料-2 局所陰圧閉鎖療法
11. 医療機器・材料-3 患者自己負担の運用,衛生材料,スキンケア製品
12. 研修・委員会
13. 介護報酬(介護保険制度)での「褥瘡」の扱い

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【特集】緩和ストーマ造設とストーマケア
企画編集/賀屋 仁

〈特集にあたって〉
 緩和ストーマという言葉は,2015年2月27日発行の『ストーマ・排泄リハビリテーション学用語集 第3版』で初めて定義された新しい用語です。用語集によると,緩和ストーマ(palliative stoma)とは「切除不能進行(再発)癌による消化管や尿路閉塞に対して症状緩和目的で造設されるストーマ」となっています。定義されて以後発刊された,『ストーマリハビリテーション 基礎と実際 第3版』のなかに緩和ストーマについての記載があり,今回の特集のきっかけとなりました。ストーマリハビリテーション講習会において,緩和ストーマはリーダーシップコースのカリキュラムGIOs,SBOsのなかにすでに組み入れられ,2016年度から一部地域で基礎コースにも取り入れられています。
 WHOによると「緩和ケアとは,生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して,痛みやその他の身体的問題,心理社会的問題,スピリチュアルな問題を早期に発見し,的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって,苦しみを予防し,和らげることで,クオリティー・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を改善するアプローチである。」と定義されています。超高齢社会となった現在,低下した身体機能,精神機能を持った高齢担がん患者が多くなり,その結果,治療の選択肢がやむをえず限られる場合が多くみられるようになりました。また,がんの集学的治療の進歩もあり,長期にわたり,がんと闘っている患者が大勢います。そのなかで,最後までその人らしくQOLが低下しないようにするためには緩和ケアが重要です。また,ストーマを持つがん患者のストーマケアは緩和ケアの大きな要素の1つであり,緩和ストーマケアは終末期ケアの重要な位置を占めていると考えています。緩和ストーマを造設された患者のほとんどは,先行した手術瘢痕,るい痩,腹水による腹部膨満,栄養状態不良など多くの合併症を抱えています。このようなさまざまな困難に対応する際には,熟練した医師,経験豊富な看護師などが,技術的に,また愛護的にかかわることにより,優れたケアができると確信しています。
 執筆者の方々は皆さん,経験豊富で多くの症例をお持ちです。医師の先生方には手術適応,造設時期,造設位置,造設実際などを,WOCナースの方々には緩和ストーマ造設の術前・術直後ケア,退院にむけてのケア,合併症およびそれにかかるケア・心理的ケアについて,それぞれの大切なポイントを丁寧にわかりやすく記述していただいています。看護師(WOC)の皆さんが臨床の現場で実際にお使いいただけるものになればと思います。

賀屋 仁
川口市立医療センター 院長/泌尿器科

〈目次〉
1. 消化管・緩和ストーマの実際と問題点
2. 尿路・緩和ストーマの実際と問題点
3. 緩和ストーマ造設の術前,術直後ケア
4. 緩和ストーマの退院にむけてのケア
5. 緩和ストーマの合併症と看護師の役割

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第22回日本小児ストーマ・排泄・創傷管理セミナー
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第47回日本創傷治癒学会(同時開催:第12回瘢痕・ケロイド治療研究会)
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【特集】滲出液の量による褥瘡局所療法
企画編集/安田 浩

〈特集にあたって〉
 約30年前になりますが私が医師になりたてのころ,開放創は消毒してキズを乾燥させていました。これはおそらく,感染対策と最終的な皮膚の表面は乾燥していたため早く乾燥させるという意識があったように思います。
 その後,褥瘡などの開放創は湿潤環境にすると早く治るという大転換があり,この考えは現在の主流になってすでに20年以上が経過しています。しかし湿潤環境にするという意味が誤解されて過湿潤となり,創部周囲の正常皮膚までふやけてしまうように管理されているのをみることがしばしばあります。さらに感染が制御できない創部では滲出液が多く,感染期はいまだに乾燥させたほうがよいと思われる創面もあります。「適切な」湿潤環境をつくることがWound Bed Preparation(WBP)ですが,すべての創面を適切に管理することは今でも苦労します。その大きな要因に,創面から出る滲出液の量・性状があると思います。滲出液が多い創面を強く密閉してしまうと過湿潤になりやすく,滲出液が少ない創面では簡単に創面は乾燥します。また,急性創傷の滲出液には創傷治癒を促進させる因子が多く含まれますが,慢性創傷の滲出液は抑制的な因子が多いとされていて,滲出液の管理は大変重要です。これらより私自身はTIMEコンセプトを重視して創傷治療にあたっていますが,同時に滲出液の量にも注目して治療をおこなうよう心がけています。
 そこで今回は私も重要視しているTIMEコンセプトを中心とした湿潤環境維持を滲出液の量という側面から評価し,医師,病院WOCナース,薬剤師の観点より滲出液の量を考えた創傷管理を述べていだたくことを総論としました。また普段,潤沢に創傷治療剤(材)を用いにくい在宅医療の現場より,創傷治療の工夫を述べていただきます。
 各論では,私自身が治療に難渋する2つの創の状態をどのように管理すべきかを企画しました。1つは,一見感染が収まり,肉芽形成もよいのになかなか滲出液が減らない状態です。滲出液が多いというのは,創傷治癒段階の炎症期から完全には抜けていないと考えます。そのためcritical colonizationの考え方やその対処法を企画しました。もう1つは,肉芽形成が終了し,周囲の上皮化を待つばかりなのに,そこから治癒へ進まないこともよく経験します。湿潤環境維持は肉芽形成の時期には重要ですが,この最終段階ではしばしば乾燥傾向に創を管理したほうがよい場合もあり,その工夫も企画しました。
 滲出液は創傷治癒過程において重要な因子です。滲出液の量だけでなく,どのような創面を湿潤にすべきか,乾燥で管理すべきかを含めて,エキスパートの皆さまにまとめていただきます。今回の企画で滲出液に対する考えが明らかになり,皆さまの日常診療に寄与できることを願っています。 導などもあわせて執筆陣が期待に応えた解説をしていますので,明日からの業務にぜひお役立てください。

安田 浩
産業医科大学病院 形成外科 診療教授

〈目次〉
1. 局所の湿潤環境維持-TIME理論を中心に-
2. 滲出液の量からみた創傷局所管理:医師の視点より
3. 滲出液の量からみた創傷局所管理:病院WOCナースの視点より
4. 滲出液の量からみた創傷局所管理:在宅WOCナースの視点より
5. 滲出液の量による外用薬の選択:薬剤師の視点(Furuta methods)より
6. 滲出液の量によるドレッシング材の選択
7. 滲出液が多い創部をどう考えるか:critical colonization創における銀含有ドレッシング材の効果-滲出液に及ぼす影響-
8. 肉芽形成が良好なのに滲出液が多い創面をどう考えるか
9. 上皮形成期における滲出液の管理

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第22回日本小児ストーマ・排泄・創傷管理セミナー
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【特集】疾患別 創傷のアセスメントと治療・ケアのピットフォール
企画編集/中西健史

〈特集にあたって〉
 慢性創傷という言葉がありますが,これは本当に正しい用語なのでしょうか? なかなか治癒しないという意味での「慢性創傷」はありかもしれませんが,「1か月以上,通常の治療をしても治らない傷」とか,「半年以上あらゆる治療をおこなっても治癒しない創傷」とか,はっきりした定義はありません。そもそも通常の治療とは何でしょうか? その傷をみたときに80%以上の医療者が,その治療法を選択するとか,そういった定義なのでしょうか? あらゆる治療というのは,具体的にどんな治療をおこなったのでしょうか?
 創傷といっても,その原因はさまざまであり,また発生する部位によって随分とマネージメントが異なります。その際に重要になってくるのが「アセスメント(評価)」です。この特集号は看護師向けに作られていますから,読者の皆さんは「診断」する必要はありません。それは,すでに医師がしています。それよりも,その傷のおかれている状況を評価し,適切なケアをおこなうこと,これがなければ治るはずの傷も「慢性創傷」になってしまいます。医師がおこなう「診断」のプロセスでは,その過程に「検査をしてその結果がこうなので,この薬剤あるいは創傷被覆材が適している」としかインプットされていません。たとえば,尾骨部の褥瘡をみて,創傷に詳しくない医師であれば,なんらかの外用薬を処方して,「あとはやっておいて」となります。その医師の頭の中には,尾骨部が「ガーゼを貼ることがほぼ不可能な部位」というアセスメントが欠落しているからです。また,患者さんの軟便や下痢といった増悪因子に配慮していないケースも多くみられます。一方で,看護師サイドの技量不足もよく見受けられます。おむつの当て方ひとつで尿が尾骨方向へ流れ込むとか,尿量が多いからと尿取りパッドを何枚も重ねた結果,陰部が蒸れ蒸れになるなど,創周囲のアセスメントができていないことも増悪因子となります。
 DESIGN-RやTIME理論は,創傷そのもののアセスメントとしては有用ですが,創周囲の環境をアセスメントしているわけではありませんし,そういったツールもありません。創傷が治癒しにくい要因は,疾患や創の部位によっても随分と異なります。
 この特集では,①実際に皆さんが創傷をケアするときに必要な疾患別の知識を習得していただき,②それに対応した創そのものと創周囲(これが大事!)の環境をアセスメントする際のコツを学び,③必要な創傷被覆材やガーゼ,テープなど医療材料の選択基準のポイントをつかみ,④固定の方法として,その貼り方や厚み,あるいは創にかかる外力を評価して適切な処置をマスターしていただくことを目指しています。また,創に対する外力やポジショニング,患者指導などもあわせて執筆陣が期待に応えた解説をしていますので,明日からの業務にぜひお役立てください。

中西健史
滋賀医科大学 医学部医学科 皮膚科学講座 特任准教授

〈目次〉
1. 末梢動脈疾患(PAD)
2. 糖尿病性足病変
3. 透析患者
4. 静脈うっ滞
5. リンパ浮腫の基礎知識と複合的治療~リンパ浮腫の患者と向き合うために~
6. 関節リウマチ
7. 強皮症における指趾潰瘍のケア
8. 熱傷
9. 外傷
10. スキン-テア(皮膚裂傷)
11. 褥瘡

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快適な排尿をめざすセミナー~間歇導尿指導認定セミナー 初級~
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【特集】消化管ストーマ造設と閉鎖のきほんの「き」
企画編集/板橋道朗

〈特集にあたって〉
 看護師の皆さまにとっては,ストーマ造設と閉鎖術は実臨床で多くが遭遇する状況です。近年,腹腔鏡手術と診断群分類包括評価(DPC)による医療費支払制度の導入により,短期入院によるストーマ造設と閉鎖術がおこなわれるようになりました。したがって,術前から計画的にアプローチして,術直後から標準的な質の高いケアを提供し,合併症の予防をおこなう必要があります。ストーマの状態を評価して,万一合併症が生じた場合には早期に対応して重篤化しないようにしなければなりません。
 さらに,腹腔鏡手術の導入によって,これまで常に存在していた正中創がない患者さんも増えてきました。外科治療成績が向上しつつありますが,再発・転移のために緩和ストーマが必要となる患者さんは少なくないのが現状です。しかしながら,緩和ストーマでは合併症の頻度が高いことが知られています。
 ストーマを取り巻く環境が変化しつつあるなかで,改めてストーマ造設と閉鎖の基本を見直し,変わらないもの,変化しつつあるものについても,ご執筆の皆さまに触れていただきました。本特集が,看護師の皆さまの実臨床に役立つ内容となれば幸いです。

板橋道朗
東京女子医科大学 消化器・一般外科 准教授/同 クリニカルパス推進室 室長/同 がんセンター病院部門長

〈目次〉
1. 消化管ストーマ造設に伴う術前ケア
2. 標準的な回腸ストーマ造設術の基本的手技と周術期管理
3. 標準的な結腸ストーマ造設術の基本的手技と周術期管理
4. 回腸ストーマ造設に伴うケア
5. 結腸ストーマ造設に伴うケア
6. 消化管ストーマ造設に伴う合併症への対応
7. 回腸ストーマ閉鎖の基本的手技・周術期管理と合併症
8. 結腸ストーマ閉鎖の基本的手技・周術期管理と合併症
9. ストーマ造設術に伴う患者の心理的変化-今,求められるストーマ保有者の視方-
10. 緩和ストーマ造設と周術期管理
11. 緩和ストーマ造設の手術期ストーマケア

〔お知らせ〕
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【特集】排尿自立指導料の実際
企画編集/鈴木康之

〈特集にあたって〉
 皆さんご承知のとおり,平成28年度診療報酬改定により「排尿自立指導料」が新設され,週1回200点,1人につき6回を限度に算定できるようになりました。この領域の診療報酬算定実現は,日本創傷・オストミー・失禁管理学会と,日本排尿機能学会・日本老年泌尿器科学会などの長年にわたる努力が実を結んだものと思います。学会期間中に特別企画を実施し,休日に講習会をおこない,指定日時に陳情に赴き,期日までに指摘内容をクリアするために,多くの皆さんが多忙のなかを大変な努力をされていたのを垣間見て,ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)という言葉を思い出しました。
 排泄管理は日常生活と表裏一体の重要分野との認識がありますが,医療全体からみると,がん,心疾患,脳血管疾患などの生死に直結する病態に比べると優先順位が低かったのは致し方ないことと感じていました。しかし,医学の進歩により,がん全体の治癒率は格段に向上し,国を挙げてのメタボリック症候群対策も功を奏しつつあります。最近は,生活の質(QOL)の重要性の再認識のもと,ロコモティブシンドロームや健康寿命という概念が,より強調される時代となっています。さらに,疾病のみならず加齢による機能低下に対しても,速やかな対策が求められています。
 医療環境が厳しくなったということは,よく耳にします。その要素は多岐にわたりますが,なかでも“兵糧攻め”にあたる医療機関の収入減少はその根本ではないでしょうか。日本の医療機関のほとんどは健康保険の診療報酬に頼っています。診療報酬は,中央社会保険医療協議会(中医協)の議論を踏まえ,国(厚生労働大臣)が決める仕組みになっています。残念ながら,人口高齢化で個々の診療報酬点数が抑制されたのは当然の帰結でしょう。その結果,医療機関の収入は伸び悩み,生き残るために,とれる診療報酬の確実な算定はすべてにおいて最優先事項となり,医療機関の経営者はみずからの理念すらも破棄せざるをえないことも,しばしばあるようです。
 このような時代背景からも,排尿自立指導料算定は福音の1つになっています。しかし,実際の算定には多大なる困難があります。まず,説明文章の解釈です。“専任”とは? “関与”とは? “経験”とは? “マニュアル”は流用可能? などと疑問はつきません。解釈の間違いは,悪意がなくても不正請求に直結します。さらに,医師,看護師,理学療法士のチーム・病棟看護師の選任は,多忙な職員に追加業務を強いることにもなります。また,医療機関によっては,指導者不在の未知の業務になっているところもあるでしょう。そこで本特集では,“排尿自立指導料の実際”と題して,実践的な内容をめざして,この分野を牽引する日本トップレベルの皆さんにご執筆をお願いしました。貴施設での排尿自立指導料の算定に役立つことを願っています。

鈴木康之
東京都リハビリテーション病院 副院長,泌尿器科

〈目次〉
1. 保険診療の基礎と診療報酬のしくみ
2. 排尿自立指導料算定の実際
3. 看護師がおこなう排尿自立指導-看護師が得意な治療とは-
4. 医師がおこなう排尿自立指導-留置カテーテルの適応・不適応と抜去後の排尿障害対策-
5. 留置カテーテルの適応・不適応と抜去後の排尿障害対策-看護師の視点-
6. 理学療法士がおこなう排尿自立指導-理学療法士の下部尿路機能障害治療とは-
7. 排尿自立指導料算定において医師の果たすべき役割
8. 排尿自立指導料算定において看護師の果たすべき役割
9. 臨床現場での用意と実行まで
10. 排尿ケアチームの理学療法士として-実態と苦悩-
11. 排尿自立指導料のための日本コンチネンス協会の対応
12. 排尿自立指導料算定のためのサポートツールとよくある質問『Q&A』
                                                       
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【特集】ストーマケアに役立つ知識の整理と活用
企画編集/前田耕太郎

〈特集にあたって〉
 ストーマサイトマーキングが2012年に保険収載されて以来,ストーマに関する関心が全国的に高まっています。日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会(JSSCR)の調査でも,保険収載後各病院でのストーマケアに関わる看護師に対する評価は向上し,ストーマサイトマーキングに対する理解や施行率が着実に向上しています。オストメイトになる患者さんの多くは術前,“人工肛門,ストーマ”という言葉は聞いたことがあるけれども見たこともないため,病期や手術に対する不安と同時に,ストーマ造設に対しても術後の生活やケアに対する不安を抱えています。医療者として,このような患者さんに対応していくためには,ストーマケアに対する基本的な全体の流れを確実に把握し,実践する知識と技能が必須です。
 本特集では,まず消化管ケアを行うために必須のストーマに関する基本的な解剖学的知識として,単孔・双孔式ストーマの構造や,合併症の頻度にも関連すると報告されているストーマ造設の経路,腹壁への固定などの知識を,整理してまとめていただきました。ウロストーマに関しても,ウロストーマケアの理解を助けるように,さまざまな構造を,むしろ断面を用いて解説していただきました。ストーマケアに関する術前準備では,必要な項目と,そのために必要な器具,手順,説明など,患者さんの不安をなくすための説明や具体的な手順を概説していただきました。ストーマサイトマーキングはストーマケアのための重要な行為であり,術後の合併症予防や,よりよいケアに必須です。標準的なストーマサイトマーキングのやり方としてこれまでいわれてきた注意点と,実際に現状として何を指標とすべきかについて,さらに難症例に対するストーマサイトマーキングのコツに対しても,具体的な事例を提示して解説していただきました。
 よりよいストーマケアを行うには,よりよいストーマの造設が必須です。よりよいストーマを造設するために,どのような点について注意しているかを,消化器・泌尿器科ストーマ造設法について本領域のエキスパートの先生に執筆をお願いしました。ストーマ合併症には多くのものがありますが,その評価に関しては現在JSSCRでガイドラインを作成中です。ガイドラインに深く関わっている筆者に,日常臨床で困るストーマ術後の合併症の評価や治療について解説していただきました。また,みる機会は少ないけれども重要な小児ストーマの特性,社会生活に深くかかわるストーマケアに関わる社会保障制度に関しても,各領域に精通したリーダーたちに執筆をお願いしました。
 本特集が,これまで学んできたストーマに関する知識の整理と活用に役立ち,オストメイトのよりよいQOLに貢献することを期待します。

前田耕太郎
藤田保健衛生大学 下部消化管外科学講座 教授

〈目次〉
1. ストーマ構造の理解(消化管)
2. ストーマ構造の理解(泌尿器)
3. 術前準備~患者の気持ちを置き去りにせず,効率的におこなうために~
4. 標準的なストーマサイトマーキングの指標
5. 難症例に対するストーマサイトマーキング
6. よりよい消化管ストーマの造設法
7. よりよい尿路ストーマの造設法
8. ストーマ合併症をいかに評価し治療するか
9. ストーマ周囲皮膚障害をいかに評価し治療するか
10. 成人医療へつながる小児ストーマ保有者の特性と移行医療の課題
11. ストーマケアに関わる社会保障制度

〔お知らせ〕
快適な排尿をめざすセミナー~間歇導尿指導認定セミナー 初級~
第36回 日本看護科学学会学術集会
【特集】褥瘡をめぐる急性期医療と在宅医療のコラボレーション~シームレスな治療・ケア提供をめざして~
企画編集/袋 秀平(ふくろ皮膚科クリニック 院長)

〈特集にあたって〉
 日本褥瘡学会の調査によれば,病院や施設の褥瘡有病率は2013年の時点で2%を切っていますが,在宅のそれはまだ2.61%とされています。それでも2006年に8.32%,2009年には5.45%であったことを考えれば,順調に低下しているといえるでしょう。こうした改善を続けているのは,褥瘡ケアに関する知識,用具,治療法が進歩し,それが在宅ケアに取り入れられてきたからだと思われます。エアマットは,病院や施設よりもむしろ在宅での普及率のほうが高くなっています。局所治療も,一部を除けば病院と同じようにできます。しかし患者さん(療養者さん)をケアする医療・介護スタッフの数は比べようがありません。褥瘡対策チームが存在し,多くの職種が常勤スタッフとして周囲にいる病院に対して,ただ退院してきただけの状況では家族しかいない在宅では,大きなハンディキャップがあります。それでも以前と比べれば,ケアマネジャーや訪問看護師を中心にして在宅チームを構築する技術や経験は進んでいるように感じます。
 2014年の診療報酬改定で,「在宅患者訪問褥瘡管理指導料」が新設されました。医師,看護師,管理栄養士がチームとして往診をおこない,必要なケアをおこなって計画を立てるなど条件を満たした場合に,半年の間に2回,750点を請求できるというものです。在宅における褥瘡のチーム医療が,初めて診療報酬の形で評価されたという点では画期的なことです。医療側からいうとまだ不十分な点が多々あり,なかなか請求できない点数であることもまた事実ですが,今後も連携を進めて実績を積み上げて,新たな点数をいただけるように努力していくことも必要だと思います。
 今回,「褥瘡をめぐる急性期医療と在宅医療のコラボレーション~シームレスな治療・ケア提供をめざして~」というお題をいただきました。前述のように,病院では褥瘡対策が進み,また在宅においてもそれなりの成果が出てきています。全国や各都道府県単位のセミナーだけでなく,小さい地域での勉強会などもさかんに開催されるようになり,在宅での多職種連携は発展しつつあります。ところが病院と在宅の「つなぎめ」については,いままであまりかえりみられず,問題が多いように思います。私のように病院を退職後に開業してから長い年月が経った者にとっては,もはや病院のなかはブラックボックスです。また急性期病院に勤務される先生方,看護師のみなさんも,地域の開業医の顔を知っている方はそれほど多くないことでしょう。最近でこそ中核病院が主催する地域の病診連携の会などが増えてきましたが,それでも在宅からみた病院,また病院にとっての在宅に対する心理的な敷居は,まだ高いといわざるをえません。
 いざ考えてみるとなかなか企画しにくいテーマでしたが,各職種によっていろいろなお考えをお持ちであるのではと推察し,今回はさまざまな職種の方にご執筆をお願いしました。みなさまのお仕事のお役に立てる内容になっていれば幸いです。

袋 秀平
ふくろ皮膚科クリニック 院長

〈目次〉
A.診療所と病院の連携
 1. 褥瘡における皮膚科開業医と在宅医療・急性期医療との連携
 2. 医療機関が少ない地域での褥瘡の取り組みと工夫
B.病院の立場から
 3. 急性期病院皮膚科と在宅の連携
 4. 大学病院と在宅の連携の実態
 5. 一般病院と大学病院の連携~在宅における褥瘡治療とは~
C.連携をめぐるナース,ケアマネジャーの活躍
 6. 急性期病院と在宅の連携~訪問看護師の役割~
 7. 在宅WOCナースからみた病診連携
 8. 病院と在宅の調整~ケアマネジャーとして~
D.多職種の奮闘
 9. 栄養士が関わる急性期病院と在宅の連携
 10. 在宅におけるリハビリテーション
  ~褥瘡患者の訪問リハビリを通してのシームレスな連携を考える~
 11. 病院と在宅の連携~薬剤師の役割と薬剤師からのメッセージ~
E.病院と地域の架け橋
 12. 中核病院と地域の連携~勉強会の開催~

〔SPECIAL REPORT〕
尿失禁に伴うニオイ対策
〔お知らせ〕
第13回日本褥瘡学会関東甲信越地方会学術集会のお知らせ
看護・WOCセミナーのご案内
2,200円
【特集】医療関連機器圧迫創傷~発生と悪化をどう防ぐ? 今まで気づかなかったこんな機器まで~
企画編集/石澤美保子

〈特集にあたって〉
 医療関連機器圧迫創傷は一般的に,医療機器を装着することにより,皮膚が圧迫を受けて損傷を起こすことから発生する創傷と認識されています。医療関連機器の多くは治療上必要であるため,機器を装着しないわけにはいかず,防ぎきれない創傷と考えられていました。また,寝たきりなどで圧迫の回避ができずに褥瘡が発生するのとは違い,機器を使用する期間が終了すれば,圧迫の原因が除去できることで,これ以上悪化しないと考えて医療関係者は安堵し,自然に軽快するのを待つ傾向にありました。そのため,臨床においては症例報告として散見される程度で,系統立った予防・管理方法などは統一されてこなかったと推察します。
 そのようななか,2012年から日本褥瘡学会の最重要課題の1つとして,当時の真田弘美理事長により,わが国における医療関連機器圧迫創傷についての現状把握および予防・管理方法などの指針作成のために,積極的な取り組みが開始されました。その影響もあってか,この3年あまりで,クリティカルケア領域の雑誌や医師対象の皮膚科学雑誌にも本テーマが数多く特集されるようになりました。
 医療関連機器圧迫創傷といえば,やはり呼吸・循環管理に関する機器が原因で,びらんから深い潰瘍に至るケースの報告も多くみられます。たとえば,非侵襲性陽圧換気法(NPPV)マスク,酸素マスク,気管内挿管チューブや深部静脈血栓症(DVT)予防用医療機器などが主です。急性期の呼吸・循環管理以外の一般病棟で多いのが,点滴やドレーン・チューブ類の圧迫・固定による創傷です。また,NPPVなどの最近の医療機器よりもっと以前からは,整形外科分野のギプス・シーネなどによる圧迫創傷が広く知られているところです。
 本特集では,これまでの医療関連機器圧迫創傷に関する書物でしばしば取り上げられてきた機器以外で,とくにページ数を割いて取り上げられることが少なかった整形外科分野のギプス・シーネなどや,一般的にあまり知られていない特殊な機器も取り上げました。テーマが「医療関連機器圧迫創傷~発生と悪化をどう防ぐ?今まで気づかなかったこんな機器まで~」とありますように,今までにない内容を盛り込んでいます。臨床現場で活躍されている7名のご専門の先生方から,機器の種類,特徴,発生機序,創の特徴,予防方法,発生時のケアなどを順序立てて解説していただきました。症例を提示していただく際には,できるだけ難渋したケースや報告の少ないケースをお示しいただいています。
 いまや医療関連機器を使用する際は,施設の規模や,急性期・慢性期に関係なく,装着と同時に予防を考えて実践していかなければならない時代になったと考えます。また,残念ながら発生した場合の迅速かつ適切な管理方法も必要となります。そのため,さまざまな角度から知識・技術として医療関連機器圧迫創傷の予防と管理を学ばなければなりません。この特集号を,そんな皆さまの明日からの臨床実践にお役立ていただければ幸いです。

石澤美保子
奈良県立医科大学 医学部 看護学科 成人看護学 教授,ET/ 皮膚・排泄ケア認定看護師

〈目次〉
1. 日本における医療関連機器圧迫創傷へのこれまでの取り組みと今後の展望
2. 整形外科分野での治療上発生しやすい医療関連機器圧迫創傷
3. 整形外科分野における医療関連機器圧迫創傷の予防とケア~ギプス,シーネ~
4. どの病棟でも起きやすい医療関連機器圧迫創傷~胃瘻,点滴ライン,抑制帯~
5. あまり知られていない医療関連機器圧迫創傷~タニケット,サージカルガーメント~
6. DVT予防のための医療関連機器圧迫創傷~弾性ストッキング~
7. DVT予防のための医療関連機器圧迫創傷~間欠的空気圧迫装置~
8. 呼吸管理における医療関連機器圧迫創傷~NPPVマスク~
9. 呼吸管理における医療関連機器圧迫創傷~気管内チューブ,酸素マスク~
10. 重症患者の循環管理における特殊な医療関連機器圧迫創傷~植込型左心補助人工心臓のドライブライン皮膚貫通部圧迫創の管理~
2,200円
【特集】褥瘡を診るのに必要な皮膚の構造・機能とスキンケアの基礎知識
企画編集/門野岳史(聖マリアンナ医科大学 皮膚科 准教授)

〈特集にあたって〉
 褥瘡になった皮膚は喘いでいます。褥瘡は皮膚もしくは軟部組織の血流が低下したり停止したりすることにより,皮膚や皮下組織が不可逆的に損傷を受けることによって生じます。皮膚は,外界から身を守るための最大のバリアであるため,褥瘡になると人体は感染などといった外からの危険に常にさらされることになります。
 褥瘡を理解するには,皮膚の構造・機能を理解することが大切です。人間の皮膚は,金属でできた鎧とは異なり,しなやかで,血流も豊富です。こうした皮膚の特性により,人間はスムーズに動くことができ,褥瘡も通常はできにくくなっています。皮膚には他にもさまざまな機能があります。その1つとして,発汗などを通じて体温を調節するとともに,体の表面の湿潤を調節することが挙げられます。褥瘡の危険因子として,多汗,尿失禁,便失禁などによる皮膚の湿潤がよく知られていますが,こうした皮膚の湿潤のバランスが崩れ,皮膚のバリア機能が失われることが,褥瘡発生につながります。
 また,皮膚は体表における感染の制御に欠かせません。皮膚自体が物理的な防波堤となって病原体を入れないようにする作用もありますし,抗菌物質を作ったり,皮膚局所の免疫を調節したりすることでも感染を防御します。したがって,ひとたび皮膚が欠損し,びらんや潰瘍になると,病原菌が容易に付着し,感染の危険性がぐっと高まります。同様に,皮膚は,体の表面における免疫を調節することで炎症を制御するためにも重要です。皮膚は腸管と並んで,病原体に対する最前線であるため,免疫系がよく発達しています。しかしながら,免疫が逆に過剰になりすぎてしまい,炎症が不必要に強くなってしまうと,かえって創傷治癒が損なわれてしまうため,ほどよいバランスが重要になってきます。また,皮膚は緊急事態にも備えています。たとえば皮膚が損傷し潰瘍となっても,通常は自然に肉芽が形成され,創はやがてふさがります。
 しかしながら,皮膚も老化には勝てません。老化に伴い皮膚にもさまざまな変化があらわれ,褥瘡発生のリスクが次第に高まってきます。こうしたなか,皮膚の多様な機能を維持し,褥瘡を予防するために重要なのが,適切なスキンケアです。スキンケアにもさまざまな側面があります。まず重要なのは摩擦やずれを抑えることで,物理的な力から皮膚を守ることです。また,洗浄などを通じて感染や炎症をコントロールすることも重要です。忘れてはならないスキンケアの目標は,適切な湿潤環境を維持することです。仙骨部などではしばしば尿や便汚染が起こりますし,また皮膚の浸軟も褥瘡の危険因子です。
 今回こうした皮膚の構造や多彩な機能およびスキンケアに焦点をあてて,特集を組ませていただきました。皮膚がどのような役割を担っていて,どうすればそれを維持することができるかを理解することが,読者の皆さまの臨床現場において役立つことを願ってやみません。

門野岳史
聖マリアンナ医科大学 皮膚科 准教授

〈目次〉
1. 皮膚の構造~皮膚は単なる皮(かわ)ではない
2. 皮膚のしなやかさ~皮膚はどのように外力に耐えるのか
3. 皮膚と保湿~皮膚はどのようにして適切な湿潤環境を維持するのか
4. 皮膚と感染~皮膚はどのようにして感染を防ぐのか
5. 皮膚と炎症~皮膚はどのようにして炎症を制御するのか
6. 皮膚と肉芽形成~肉芽形成はどのように進むのだろうか
7. 皮膚と老化~皮膚が老化するとどのような問題が生じるのか
8. 褥瘡を予防するにはどのようなスキンケアが必要か~皮膚のずれや摩擦~
9. 褥瘡を予防するにはどのようなスキンケアが必要か~皮膚の感染や炎症~
10. 褥瘡を予防するにはどのようなスキンケアが必要か~皮膚の湿潤~









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