判例タイムズ

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全1548件中 211 〜 225 件を表示
●記事紹介

座談会
立証活動のスキルと現実 (下)/加藤新太郎・馬橋隆紀・須藤典明・村田渉

相続分の一部放棄について/稲田龍樹

判例展望民事法 46
親族法の利益相反──その現状と課題/甲良充一郎

民事手続法判例研究 (6)
訴提起に同調しない者を被告として構成員全員が訴訟当事者となる形式で第三者に提起された入会権確認の訴えの許否/河野正憲


●判例紹介

特 報
[民 法]
1小田急線騒音差止・損害賠償請求訴訟第一審判決(東京地裁平22.8.31判決)
在来鉄道の沿線住民の鉄道事業者に対する騒音差止請求は棄却され,騒音によって生じた損害の賠償請求は一部認容された事例

最高裁判例
[民事訴訟法]
1(最高裁第二小法廷平22.7.16判決)
賃貸人から賃借人に対して借地借家法38条2項所定の書面の交付があったとした原審の認定に経験則又は採証法則に反する違法があるとされた事例

[特別刑法]
2(最高裁第一小法廷平22.7.20決定)
弁護士資格等がない者らが,ビルの所有者から委託を受けて,そのビルの賃借人らと交渉して賃貸借契約を合意解除した上で各室を明け渡させるなどの業務を行った行為について,弁護士法72条違反の罪が成立するとされた事例

[刑事訴訟法]
3(最高裁第一小法廷平21.12.9決定)
保釈された者につき,刑訴法96条3項所定の事由が認められる場合,刑事施設に収容され刑の執行が開始された後に保釈保証金を没取することができるか

行政裁判例
[行政法一般]
1(東京地裁平22.2.5判決)
ミャンマー連邦の国籍を有する外国人に対してされた難民の認定をしない処分が違法とされ,そのことから退去強制令書発付処分及び出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項による在留特別許可をしない旨の処分が無効とされた事例

[国家補償法]
2(青森地裁平22.4.16判決)
1 地方公共団体が行う指名競争入札の方法による公共工事の発注につき,同団体の長が特定の業者を指名しなかったことが恣意的な指名回避であり,長に与えられた裁量権を濫用し,もしくはこの範囲を逸脱するものとして,国家賠償法上違法とされた事例
2 違法な指名回避に基づく損害につき,当該指名回避がされていた期間中における指名競争入札の方法による公共工事の発注額に,業者の推定受注率及び推定利益率を乗じて算出した事例

3(名古屋地裁平21.12.25判決)
公立小学校における組み立て体操の練習中に6年生の児童が4段ピラミッドの最上位から落下して傷害を負った事故について,指導及び監督に当たった教員らに過失があったとして,国家賠償請求が認容された事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平22.3.24判決)
私立中高一貫校の教員がうつ病を理由に解雇されたことについて,うつ病の罹患等に対する被告の安全配慮義務違反は認められなかったが,その回復可能性の考慮等が不足しており解雇の相当性を欠くとして地位確認等が認められた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(名古屋地裁平21.10.23判決)
出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(平成18年法律第115号による改正前のもの)5条1項の定める年利109.5%の2倍を超える月2割の利息約定で定めた金銭消費貸借契約につき,貸主が違法な高金利による利益を得ようとしたものとして,当該金銭消費貸借契約自体が公序良俗に違反し無効であるとされた事例

2(東京地裁平22.2.15判決)
住宅供給公社と所有者との間の特定優良賃貸住宅についての借上契約には借地借家法32条が適用されるとした上で,借上料の適正額を定めた事例

3(大阪地裁平22.6.30判決)
1 債権者が債務者所有の不動産と物上保証人所有の不動産を共同抵当の目的とする場合において,両不動産について抵当権が実行されて,同時配当が実施されるときには,民法392条1項は適用されず,まず債務者所有不動産の代価から先に共同抵当権の被担保債権に配当し,不足が生じる場合に物上保証人所有不動産から配当をすべきである
2 債務者が,物上保証人所有の不動産と共に共同抵当の目的となっている債務者所有の不動産を売却したことが,詐害行為に当たらないとされた事例

4(山口地裁下関支部平22.3.11判決)
遺産に属する自動継続の定めのある定期預金について,共同相続人の1人からなされた払戻請求の可否(積極)

5(東京地裁平22.5.26判決)
コレステロール低下剤による副作用が認められず,製薬会社の製造物責任が否定された事例

6(広島高裁平22.6.17判決)
出産した女性の子宮脱ないし子宮下垂について,医師に手技上の過失はないなどとして,その損害賠償責任が認められなかった事例

[商 法]
7(福岡高裁那覇支部平22.2.25判決)
漁業権の放棄に係る補償金を借入金の返済ないし増資に充てる旨の漁業協同組合の特別決議が違法ではないとされた事例

[知的財産]
8(知的財産高裁平22.1.28判決)
相違点に係る容易想到性の判断に関連する理由付けに関して,拒絶理由通知又は拒絶査定の理由付けを審決が付加変更しても,それが,当業者において,周知の事項であり,手続の公正を害さないと認められる事情が存する場合には,違法にはならないと判断された事例

9(知的財産高裁平21.11.19判決)
共有に係る特許を受ける権利についての審判請求において,共有者の全員それぞれからそのための委任を受けている代理人が,外観上共有者の一部の者のためにのみする表示をした審判請求書を提出した場合,代理人がこのような不合理な行為を行うのもやむを得ないとする特段の事情がない限り,当該審判請求は,共有者の全員のためにしたものと推認するのが相当である

10(大阪地裁平21.10.8判決)
抗体に関する発明について,特定の条件で免疫を行えば必ず希望する抗体が得られるというものではないことを考慮して,抗体を取得した者だけでなく,抗体の選抜に貢献した者も発明者であるとした上,その貢献度の割合を判断した事例

[民事訴訟法]
11(名古屋地裁平20.11.17決定)
約19年前に実施された一酸化炭素中毒死事故に係る代行検視に関して作成された死体検案書の写し,供述録取書及び写真撮影報告書につき文書提出命令が申し立てられた事案において,
1 上記代行検視の後に捜査手続に移行していないことなどを理由に,上記各文書は,何らかの被疑事実の捜査に関して作成された書類ではないとして,民訴法220条4号ホ所定の文書に該当しないとされた事例
2 民訴法223条6項に基づき上記各文書をその所持者に提示させた上で,上記各文書について,その提出により犯罪の予防,鎮圧又は捜査等に支障を及ぼすおそれ等があるとの監督官庁の意見に相当な理由があると認めるに足りない,上記各文書の記載内容から見て,その提出により公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれが具体的に存するものとは認められないとして,民訴法220条4号ロ所定の文書に該当しないとされた事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京高裁平21.12.22判決)
窃盗未遂の主張が排斥され,同既遂罪の成立が認められた事例
●記事紹介

座談会
立証活動のスキルと現実 (上)/加藤新太郎・馬橋隆紀・須藤典明・村田渉

企業間提携契約の法的諸問題 17[現代企業法研究会]
企業間提携契約における段階的撤退に関する一考察(上)--段階的撤退条項の意義及び限界/奈良輝久

注意義務と緊急避難--東京地判平21.1.13を契機として/林幹人

米国ノースカロライナ州における裁判所の情報システムの紹介 (上)/松長一太


●判例紹介

速 報
[民事執行法]
1(大阪高裁平21.5.14決定)
担保不動産収益執行において,民事執行法106条2項所定の「配当等に充てるべき金銭を生ずる見込み」がないとして,一部の物件に係る手続が取り消された事例

最高裁判例
[民 法]
1(最高裁第二小法廷平22.7.9判決)
本訴の提起が不法行為に当たることを理由とする反訴について,本訴に係る請求原因事実と相反することとなる本訴原告自らが行った事実を積極的に認定しながら,本訴の提起に係る不法行為の成立を否定した原審の判断に違法があるとされた事例

[商 法]
2(最高裁第一小法廷平22.7.15判決)
A社が事業再編計画の一環としてB社の株式を任意の合意に基づき買い取る場合において,A社の取締役に上記株式の買取価格の決定について善管注意義務違反はないとされた事例

[諸 法]
3(最高裁第二小法廷平22.8.4決定)
子の父親が母親らに対し子の引渡し等を求める人身保護請求事件において,人身保護法11条1項に基づく決定によるのではなく,審問手続を経た上で判決により判断を示すべきであるとされた事例

[民事訴訟法]
4(最高裁第二小法廷平22.8.4決定)
人身保護法による釈放の請求を却下又は棄却した高等裁判所の決定は,許可抗告の対象となるか

[倒産処理法]
5(最高裁第二小法廷平22.6.4判決)
自動車の売買代金の立替払をした者が,販売会社に留保されていた自動車の所有権の移転を受けたが,購入者に係る再生手続が開始した時点で上記自動車につき所有者としての登録を受けていないときに,留保した所有権を別除権として行使することの可否

行政裁判例
[国家補償法]
1(東京高裁平22.10.7判決)
1 争訟の裁判以外の裁判官の職務行為と国家賠償法上の違法性
2 不在者財産管理人の監督における家事審判官の職務行為の違法性が否定された事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平22.4.28判決)
1 自転車等により荷物等を配送する運送業務を目的とする株式会社と自転車を使用して配送業務を行う旨の運送請負契約書を取り交わして同配送業務に従事したバイシクルメッセンジャーについて,労働基準法9条の「労働者」に該当しないとされた事例
2 上記1のバイシクルメッセンジャーの中から選ばれて上記1の会社が設置している自転車配送業務の営業所の所長となった者について,営業所長業務に関して労働基準法9条の「労働者」に該当するとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(大阪地裁平22.4.26判決)
地方公共団体が所有する土地の賃借人が,当該土地上の建物を夫の暴力団事務所として使用させた行為が,土地賃貸借契約上の用法遵守義務等に違反し,信頼関係を裏切る不信行為に該当するとして,当該土地賃貸借契約の解除が認められた事例

2(大阪地裁平22.7.26判決)
刑事損害賠償命令事件から民事訴訟手続に移行して,損害額及び過失相殺について審理判断された事例

3(大阪地裁平21.2.16判決)
1 父親が原動機付自転車を運転中に起こした交通事故に関し,同車両の登録名義人であり,自賠責保険契約名義人である別居の三男の運行供用者責任が認められた事例
2 交通事故により,自動車損害賠償保障法施行令別表第一第2級第1号に該当する高次脳機能障害を残した原告の症状固定診断後の症状の悪化については,交通事故と因果関係があるとはいえない認知症の進行の影響もあることなども考慮して,将来の介護関係費用が認定された事例
3 人身傷害補償条項に基づく保険金支払により損害賠償請求権が減縮される範囲に関し,いわゆる訴訟基準差額説が採用された事例
4 無保険車傷害特約に基づく保険金請求の遅延損害金起算日について判断された事例

4(福岡高裁平21.9.14判決)
電磁波による健康被害を理由に携帯電話通信事業者に対して近隣住民がした無線基地局内の鉄塔の撤去請求及び慰謝料請求が,同鉄塔から発射された電磁波により健康被害が生じる具体的な危険性があるとは認められないとしていずれも棄却された事例

5(広島地裁平21.9.11判決)
十二指腸腺腫の切除のためにEMRが実施されたところ,術後遅発性穿孔が生じ患者が後腹膜炎から死亡に至った場合において,保存的療法を継続し開腹手術に踏み切らなかった医師の判断に過失はない等とされた事例

[商 法]
6(大阪地裁平22.7.7判決)
有機リン系農薬が混入した冷凍餃子と近接した時期に同一工場で製造された別の冷凍食品が社会通念上食品として市場に流通し得る品質を備えていなかったとして瑕疵があるとされた事例

7(東京地裁平22.5.27判決)
1 株式会社の新設分割が詐害行為取消権の対象となることが肯定された事例
2 新設分割株式会社が新設分割の対価として新設分割設立株式会社の全株式を取得したとしても当該新設分割が新設分割株式会社の債権者を害するものとされた事例
3 詐害行為となる新設分割の目的資産が可分であり,当該新設分割を詐害行為として取り消し得る範囲は債権者の被保全債権の額が限度となるものの,その原状回復の方法としては逸出した資産の現物返還に代えて価格賠償を請求することができるとされた事例

[知的財産]
8(知的財産高裁平22.2.24判決)
X社が就業規則等に基づき従業者Aから特許を受ける権利の譲渡を受けた本件発明につき,AがX社退職後Y社に入社し,Y社に特許を受ける権利を譲渡してY社において特許出願した事案について,Y社は「背信的悪意者」に当たるとして,X社からY社に対する,X社が特許を受ける権利を有することの確認請求が認容された事例

9ふみのすけオリジナルボールペン事件(東京地裁平21.2.27判決)
1 筆記具のクリップ取付装置に関する登録実用新案について,被告及び補助参加人の「無効主張」が認められ,かつ,原告の「対抗主張」が認められないとして,実用新案権者の権利行使を制限した事例
2 「対抗主張」は,抗弁である「無効主張」と両立しつつ,その法律効果の発生を妨げるものとして,「無効主張」に対する再抗弁と位置付けられる
3 「対抗主張」の成立要件は,①原告が適法な訂正請求を行っていること,②当該訂正によって被告が主張している無効理由が解消されること及び③被告製品が当該訂正後の請求項に係る考案の技術的範囲に属することである

10(大阪地裁平21.9.17判決)
商標権者と周知表示の使用者が,商標法38条2項,不正競争防止法5条2項に基づき,それぞれ損害賠償請求を行った場合,両者の請求権は,重複する逸失利益の限度で連帯債権となるとされた事例

刑事裁判例
[特別刑法]
1(東京高裁平21.12.2判決)
出入国管理及び難民認定法74条1項に規定する「自己の支配又は管理の下にある」の解釈

2(東京高裁平21.10.21判決)
1 弁護士法72条にいう「その他一般の法律事件」には,同条に例示されている事件及びそれ以外で実定法上事件と表記されている案件と同視し得る程度に法律上の権利義務関係に問題があって,争訟ないし紛議の生じるおそれのある案件も含まれる
2 弁護士資格を有しない者が,ビルの各室の賃借人との間で交渉を行い賃貸借契約期間中の同契約を合意解除した上で各室を明け渡させるなどの業務を受託し,これを業として行った行為につき,弁護士法72条違反の罪が成立するとされた事例
●記事紹介

座談会
医事関係訴訟における審理手続の現状と課題(下)/池田辰夫・揖斐潔・徳岡由美子・浜秀樹・村田渉

独占禁止法の新たな展開 19
独占禁止法の基本体系/村上政博

公判前整理手続に関する諸問題 16[大阪刑事実務研究会]
証拠開示に関する問題(その2)(下)/安永健次

ブック・レビュー
実務家の寄る辺――実務書の面目躍如,ここに在り
加藤新太郎編『民事事実認定と立証活動 第Ⅰ巻』/滝澤孝臣

ブック・レビュー
開かれた対話の広場へ
加藤新太郎編『民事事実認定と立証活動 第Ⅱ巻』/関口剛弘



●判例紹介

最高裁判例
[租税法]
1(最高裁第三小法廷平22.7.6判決)
自動車の所有者が脅迫されて当該自動車を他人に引き渡したためにこれを利用し得ないという損害を被ったことが,愛知県県税条例(昭和25年愛知県条例第24号)72条所定の自動車税の減免要件である「天災その他特別の事情」による被害に当たるとはいえないとされた事例

[民事執行法]
2(最高裁第一小法廷平22.8.25決定)
1 担保不動産競売事件の期間入札において,執行官が,最高の価額で買受けの申出をした入札人の入札を誤って無効と判断し,他の者を最高価買受申出人と定めて開札期日を終了した場合に,執行裁判所等が執るべき措置
2 担保不動産競売事件の期間入札において,自らが最高の価額で買受けの申出をしたにもかかわらず,執行官の誤りにより当該入札が無効と判断されて他の者が最高価買受申出人と定められたため,買受人となることができなかったことを主張する入札人が,この者の受けた売却許可決定に対し執行抗告をすることの許否
3 担保不動産競売事件の期間入札において,入札書を封入した封筒に記載された事件番号が,これと共に提出された入札保証金振込証明書に記載されたそれと一致しなくても,当該入札が無効であるということはできないとされた事例

[刑 法]
3(最高裁第二小法廷平21.11.30判決)
1 分譲マンションの各住戸にビラ等を投かんする目的で,同マンションの共用部分に立ち入った行為につき,刑法130条前段の罪が成立するとされた事例
2 分譲マンションの各住戸に政党の活動報告等を記載したビラ等を投かんする目的で,同マンションの共用部分に管理組合の意思に反して立ち入った行為をもって刑法130条前段の罪に問うことが,憲法21条1項に違反しないとされた事例

[刑事訴訟法]
4いわゆる名張毒ぶどう酒殺人事件第7次再審請求(最高裁第三小法廷平22.4.5決定)
再審請求を棄却した原決定に審理不尽の違法があるとされた事例

5(最高裁第二小法廷平22.7.2決定)
保釈の請求に関する準抗告決定(原裁判取消し,保釈許可)に対する検察官からの特別抗告が棄却された事例

6(①最高裁第一小法廷平22.7.22判決)(②最高裁第一小法廷平22.7.22判決)
1 被告人が原略式命令確定後に本邦を出国し非常上告申立て時において再入国していない場合における非常上告の可否(①事件)
2 被告人が原略式命令確定後に死亡している場合における非常上告の可否(②事件)

憲法裁判例
[憲 法]
1(京都地裁平22.5.27判決)
労働者災害補償保険法による障害補償給付の支給に関する処分が,障害等級表(労働者災害補償保険法施行規則別表第1)の憲法14条1項に違反する部分に基づいてされたことを理由に,違法であるとして取り消された事例

行政裁判例
[国家補償法]
1(福岡高裁平21.6.30判決)
町長が,疎明資料の提出がないことを理由に,住民票の写しの交付をしなかったことは,住民基本台帳法で認められた裁量を濫用したものであるとして,国家賠償請求を認めた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平22.2.9判決)
職務命令違反等に基づく諭旨解雇が相当性を欠くとされて,原告の被告に対する地位確認及び判決確定までの賃金請求が認容されたが,同確定後の賃金請求にかかる訴えは,不適法として却下され,賞与請求と,必要性のない配置転換や降格,不当な諭旨解雇による不法行為に基づく損害賠償請求が棄却された事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平22.5.12判決)
刑事控訴事件を受任した弁護士が,期限までに控訴趣意書を提出しなかったため,第一審の実刑判決が確定し,依頼者である被告人との間で,約280万円を支払う旨の示談をした場合において,保険会社に対する弁護士賠償責任保険契約に基づく同額の保険金請求が10万円の限度で認容された事例

2(大阪地裁平22.5.12判決)
1 フランチャイズ契約締結勧誘時にフランチャイザーがフランチャイジーになろうとする者に対して示した売上予測が客観的な根拠や合理性に欠けるものであったとして,フランチャイザーの情報提供義務違反を認めた事例
2 フランチャイズ契約終了後にフランチャイザーがフランチャイズ契約上の競業禁止条項に基づきフランチャイジーに対して競業避止義務を負わせることが信義則に反し許されないとした事例

3(東京地裁平22.5.11判決)
持ち帰り弁当販売事業を展開するフランチャイズシステムのサブフランチャイザーがマスターフランチャイザー主催の会議への出席を拒否するなどした行為は,マスターフランチャイザーとの間のフランチャイズ契約(サブ・フランチャイズ契約)上の義務違反行為に当たるとはいえないとした上で,マスターフランチャイザーによるフランチャイズ契約の更新拒絶の効力を否定し,その後のエリアフランチャイザーによる信頼関係破壊を理由とするフランチャイズ契約の解約の意思表示を有効とした事例

4(大阪地裁平22.2.15判決)
1 会社が,C型慢性肝炎に罹患して長期治療を継続していた従業員の衛生管理情報の引継ぎを怠ったため,転勤後の職場の上司において,転勤直後の入院治療を非難したり,長期のインターフェロン治療を要することにつき退職を示唆したりした言動が,インターフェロンの副作用等とともに,当該従業員のうつ病発症の要因となったとして,会社の安全配慮義務違反が認められた事例
2 上記安全配慮義務違反につき,うつ病発症から約2年3か月後の従業員の自殺との相当因果関係が否定された事例

5(福岡高裁平22.2.25判決)
追突事故に遭った被害者が低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)の傷害を負ったとは認められないとされた事例

[知的財産]
6(知的財産高裁平21.11.30判決)
商標の専用使用権設定契約が期間満了により終了した場合には,その専用使用権設定登録が抹消されていなくとも,専用使用権者から通常使用権の再許諾を受けていた者による使用が商標法50条2項の「通常使用権者」の使用には当たらないと判断された事例

7(東京地裁平21.8.31判決)
携帯用害虫防除装置についての発明に係る特許権の侵害訴訟において,当該発明に特許法29条2項に違反する無効理由があるとして,原告の請求が棄却された事例

8(知的財産高裁平21.8.18判決)
名称を「樹脂配合用酸素吸収剤及びその組成物」とする発明について,発明の詳細な説明には,酸素吸収剤を適用すべき樹脂一般につき,発明が所期する作用効果を奏することを裏付ける程度の記載がないから,実施可能要件を満たしているとは認められず,また,発明の詳細な説明には,当該樹脂一般につき,当業者において発明の課題が解決されるものと認識し得る程度の記載ないし示唆はなく,特許出願時の技術常識に照らしても,当業者において当該課題が解決されるものと認識し得るとはいえないから,サポート要件を満たしているとも認められないとした事例

[民事訴訟法]
9(大阪地裁平22.4.28決定)
1 仮執行宣言付判決に対する控訴に伴う執行停止の担保は,強制執行停止決定の効力が控訴棄却の判決により失われた後に,債務者が有効な弁済供託をしたときは,担保の事由が消滅する
2 仮執行宣言付判決に対する控訴に伴う強制執行停止決定の効力が控訴棄却の判決により失われた後に,債務者が有効な弁済供託をしたときは,債務者が上告等の不服を申し立て,仮執行宣言付判決が取り消された場合に供託金を取り戻す権利を留保し,かつ,債権者が供託を受諾していない場合であっても,仮執行宣言付判決に対する控訴に伴う執行停止の担保は,担保の事由が消滅するとして担保取消しが認められた事例

10(東京高裁平22.2.26決定)
金融機関が所持する自己査定資料中の顧客の財務状況・業務状況に対する分析評価情報のうちノウハウに関わる部分の職業秘密文書該当性


刑事裁判例
[刑 法]
1(福岡高裁那覇支部平22.3.9判決)
被告人の責任能力が争われた殺人の事案において,原審で行われた精神鑑定の信用性を否定し,持続性妄想性障害の影響による心神耗弱を認め,完全責任能力を認めた原判決を破棄して自判した事例
●記事紹介

座談会
医事関係訴訟における審理手続の現状と課題(上)/池田辰夫・揖斐潔・徳岡由美子・浜秀樹・村田渉

名古屋民事実務研究会 6
捜査関係書類の文書提出命令
――最二小決平19.12.12民集61巻9号3400頁,判タ1261号155頁を題材に/長谷川恭弘・濱本章子・鈴木喬

公判前整理手続に関する諸問題 15[大阪刑事実務研究会]
証拠開示に関する問題(その2)(上)/安永健次

ブック・レビュー
東京・大阪医療訴訟研究会編著
『医療訴訟ケースファイルVol.3,Vol.4』/福田剛久

ブック・レビュー
大阪地方裁判所簡易裁判所活性化研究会編
『大阪簡易裁判所における民事訴訟の運営と定型訴状モデルの解説』別冊判例タイムズ27号/山田俊雄



●判例紹介
速 報
[商 法]
1楽天対TBS株式買取価格決定申立事件抗告審決定(東京高裁平22.7.7決定)
1 吸収分割株式会社の株主による株式買取請求に係る「公正な価格」(会社法785条1項)の算定基準日及び算定方法
2 吸収分割株式会社の株主による株式買取請求に係る「公正な価格」は,裁判所の裁量により,買取請求期間満了時を基準日として,当該吸収分割がなければ同社株式が有していたであろう客観的価値を基礎として算定するのが相当であり,その客観的価値につき基準日の市場価格(終値)をもって,買取価格と認めることが相当とされた事例

最高裁判例
[憲 法]
1(最高裁第一小法廷平22.7.22判決)
神社の鎮座2100年を記念する大祭に係る諸事業の奉賛を目的とする団体の発会式に地元の市長が出席して祝辞を述べた行為が,憲法20条3項に違反しないとされた事例

[民 法]
2(最高裁第二小法廷平22.6.4判決)
更生会社であった貸金業者において,届出期間内に届出がされなかった更生債権である過払金返還請求権につきその責めを免れる旨主張することが信義則に反しないとされた事例

3(最高裁第三小法廷平22.6.29判決)
葬儀場の営業を行う業者が,その近隣に居宅を共有してこれに居住する者に対し,上記居宅から葬儀場の様子が見えないようにするための目隠しを設置する措置を更に講ずべき義務も,葬儀場の営業についての不法行為責任も負わないとされた事例

行政裁判例
[国家補償法]
1(福岡高裁平22.2.25判決)
刑事施設の長が,差入れできる便せん,封筒を指定する業者から購入するものに制限するとの達示を定め,弁護人が直接差し入れるのを認めないとの取扱いをしたことは,接見交通権を違法に侵害し,その裁量を逸脱したものであるとして,国家賠償請求を認めた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京高裁平22.5.20判決)
基礎疾患(高血圧症)を有する警察官が勤務中(昼食後)に(高血圧性)脳内出血を発症して後遺障害が残ったことについて,発症前1週間の公務過重性を認めて,公務起因性を認めた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(名古屋地裁平22.3.26判決)
シンジケートローンを組成したアレンジャーの参加金融機関に対する情報提供義務違反による債務不履行責任及び不法行為責任が否定された事例

2(東京高裁平21.12.21判決)
出資金預託契約は,投資家が出資金を預託し,投資の成績に応じて配当を受ける契約であり,投資結果に従って精算が予定されているものであるとして,損益確定後の精算金請求が認められた事例

3(名古屋地裁平21.12.11判決)
1 市が発注したごみ焼却施設建設工事の一般競争入札において,入札参加者間で談合が行われた結果,市が損害を被ったと認定された事例
2 談合による損害額が民訴法248条に基づき契約金額の5パーセントと算定された事例
3 談合による損害賠償請求権に係る民法724条前段の消滅時効の起算点について,被害者である市が損害を知った時が,市において公正取引委員会の審決書及び同審決書における認定判断の根拠となった資料を入手し,その内容を把握した時点であると認定された事例

4(大阪地裁平20.12.15判決)
交通事故による胸髄損傷等によって,両下肢完全麻痺等の後遺障害を残し,自賠責保険後遺障害等級第1級第1号に該当すると認定された事故時16歳の原告の将来の介護関係費用等の損害額の認定事例

5(京都地裁平22.6.2判決)
1 同級生によるいじめについて,加害生徒の被害生徒に対する不法行為責任は認めたが,当該学校を設置する自治体及び加害生徒の親には注意義務違反がなかったとして,これらの者の不法行為責任は認めなかった事例
2 被害生徒の転居を伴う転校について,転居費用相当額については,いじめ行為等との因果関係がないとして,損害賠償請求を認めなかった事例

6(東京高裁平21.12.18決定)
相続させる旨の遺言により相続財産を承継した相続人は,原則として,遺産分割の事件手続中で遺言の利益を放棄する旨述べるだけではこれを放棄することはできないとされた事例

[知的財産]
7スナップ構造事件(①知的財産高裁平22.2.24判決)(②知的財産高裁平22.2.24判決)
1 引用発明1において,本件発明1の相違点1に係る構成を採用することは,引用発明1の技術思想の中核部分と相反するものであり,引用発明1に接した当業者が相違点1に係る構成を採用することは,その動機付けを欠くものであるということができるばかりでなく,阻害要因があるとさえいうことができるなどとして,本件発明1の進歩性を肯定した審決が維持された事例(①事件)
2 本件発明の「解除片」が下端部から透孔への嵌合時に部品保持部の両側に当接する上端部に沿って「若干……膨らんだ形状」のものとして特定されているのに対し,被控訴人製品の「解除片」は,「連結片との結合部から解除片がいったん外側下方に延び,基板接点部352において大きく折れ曲がるように反転した形状のもの」であるから,被控訴人製品の構成が本件発明の構成要件を充足しないとして,これと同旨の原判決が維持された事例(②事件)

8(東京地裁平22.1.29判決)
超過売上高が認められないとして,職務発明対価請求を棄却した事例

9(大阪地裁平21.7.23判決)
自己の氏名を不正の目的でなく使用する行為(不正競争防止法19条1項2号)に該当するとして,不正競争防止法2条1項1号に基づく請求が認められなかった事例

[民事訴訟法]
10(名古屋地裁平21.8.7判決)
1 地方公共団体の組合が発注したごみ焼却施設建設工事の指名競争入札において,入札業者間に談合が存在したと認定された事例
2 談合による損害賠償額が民事訴訟法248条に基づき契約金額の8パーセントと算定された事例

[民事執行法]
11 (東京高裁平22.4.21決定)
給料等の先取特権に基づく債権差押命令申立てについて「担保権の存在を証する文書」を提出したと認めることはできないとして申立てを却下した原決定が維持された事例

刑事裁判例
[特別刑法]
1(東京地裁平22.2.18判決)
1 上場株式会社における増資に伴う新株引受に際しての払込金の大半を何の対価もなく直ちに流出させることが払込み以前から予定されており,現に流出させたにもかかわらず,証券取引所が提供する開示情報システムにおいて,増資がなされた旨及び同増資により資本増強が行われている旨開示したことが,虚偽の事実を公表させたものとして,平成18年法律第65号による改正前の証券取引法158条で禁止された「偽計を用い」たことに当たるとされた事例
2 平成18年法律第65号による改正前の証券取引法158条所定の「有価証券等の相場の変動を図る目的」には,株価の維持を目的とする場合も含まれるとされた事例
3 平成18年法律第65号による改正前の証券取引法198条の2所定の「犯罪行為により得た財産」として必要的没収・追徴の対象となるのは株式の売却代金全額であるとした上で,同条1項ただし書を適用して,前記新株引受の対価及び前記開示の後に別途なされた開示による株価の上昇分を控除した額に限って没収・追徴するのが相当であるとされた事例
記事紹介

電子カルテの証拠保全について/東京地方裁判所証拠保全・収集処分検討委員会,医療訴訟対策委員会

企業間提携契約の法的諸問題 16[現代企業法研究会]
企業間提携契約としての技術ライセンス契約とその条項/高橋利昌

独占禁止法の新たな展開 18
知的財産権の行使との調整/村上政博

刑事裁判と国民参加--裁判員法施行1年の日に/松尾浩也

ブック・レビュー
石井一正著『刑事控訴審の理論と実務』/小林 充


● 判例紹介
速 報
[民 法]
1(東京地裁平22.1.27判決)
商社の嘱託社員が架空の事業を持ちかけて投資させる詐欺事件に関与した行為は,本来の職務との関連性が極めて希薄であり,外形上の職務行為といえず,民法715条の「事業の執行について」に当たらないとされた事例

行政裁判例
[国家補償法]
1(東京高裁平22.5.27判決)
強姦の被疑事実で告訴され,逮捕・勾留されたが,準抗告により勾留が取り消され,強姦被疑事件について嫌疑不十分で不起訴処分とされた被疑者に対する同勾留取消前の検察官の勾留の継続が違法であるとした1審判決が取り消されて,同勾留の継続が違法でないとされた事例

2(東京地裁平21.12.11判決)
1 根抵当権設定仮登記の登記名義人に無断で同登記の移転仮登記及び根抵当権設定仮登記の抹消登記がなされた場合に,当該登記名義人が登記官のしたこれらの登記処分の無効確認を求めることの当否(消極)
2 根抵当権設定仮登記の移転仮登記やその抹消登記手続において,現行の不動産登記法制には立法の不備があるとしてなされた国家賠償請求を排斥した事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(名古屋高裁平22.4.16判決)
慢性心不全の労働者が致死的不整脈を発症して死亡した場合に,業務起因性が認められた事例

2(高松高裁平21.9.15判決)
1 道路工事現場において,とび職人として高所作業に従事中,転落事故に遭い,Xが骨盤骨折等の傷害を負った労働災害事故に関して,同工事の元請であるY1,孫請であるY3,Y3にXを派遣したY4,Y4にXを派遣したY5に対し,安全配慮義務違反(債務不履行又は不法行為)に基づく損害賠償金として586万余円を,Xに支払うように命じた1審判決が相当とされた事例
2 上記労災事故に関し,下請であるY2については,上記工事現場の工事には何ら関与しておらず,そこでの作業に従事していたXら作業員を直接指揮命令するなどの関係にもなかったことから,Xに対する安全配慮義務を負う立場にはなかったというべきである,とする1審判決が相当とされた事例
3 上記労災事故に関し,Xにも,親綱を設置して安全帯を使用することが可能であったにもかかわらず,これをしなかったことや,本件事故当時17歳であったにもかかわらず,18歳であると虚偽の申告して稼働したこと等から,1割の過失相殺をした1審判決が相当とされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平21.9.15判決)
1 二線引畦畔であった国有地について,黙示の公用廃止があったとして時効取得の対象となるとされた事例
2 国有地を時効により取得したがその登記を備えていない者に対し,その後当該国有地の譲与を受けた地方公共団体が時効完成後の第三者として登記欠缺の抗弁を主張することが信義則に反するとされた事例

2(札幌地裁平22.3.19判決)
放送受信契約には民法761条が適用されない等として,同契約に基づく受信料請求が棄却された事例

3(東京地裁平21.9.25判決)
相続税の申告に関する事務処理を受任した税理士の作成した申告書に,土地の評価が過少,相続財産の申告漏れ等の不備があったため,納税者が修正申告と過少申告加算税等の納付を余儀なくされたことにつき,税理士に善管注意義務違反の責任が認められた事例

4(東京地裁平22.2.17判決)
匿名組合の方式により事業資金の出資を募集する新聞広告を約2年間にわたって掲載した会社が民事再生手続の開始の申立てを経て破産手続開始に至った事案において,出資募集の広告を掲載した新聞社の不法行為責任が否定された事例

5(名古屋地裁平21.2.18判決)
AがBから暴行を受けて死亡したことについて,加害者Bの友人としてBと対等の関係にあり,Bからの事前の相談に対し殴ったほうがいいと答え,暴行によってサンダルの鼻緒が外れたBに革靴を貸してAに対する暴行を容易にしたYにつき,その後のBの執拗かつ激しい暴行を止めるべき法的義務があったのにこれを怠ったとして,不法行為に基づく損害賠償責任が認められた事例

6(津地裁平22.1.28判決)
肺動脈奇形に対する根治手術を受けた患者が低酸素脳症となり死亡した場合,希釈体外循環に加えて術中採血を行った医師に注意義務違反があったとして,病院側の不法行為責任が認められた事例

7(東京高裁平21.7.16判決)
妻からの届出による協議離婚について,届出書の作成時には親権者の指定や財産分与に関する具体的な話し合いがなく,その届出の直前までの約9か月間同居していた事実があっても,その届出が遅れた理由や届出直前の別居の経緯を含む判決認定の事実関係の下においては,離婚の合意と届出に関する夫からの委任が認められ,これが有効であるとされた事例

[知的財産]
8(知的財産高裁平22.1.28判決)
「高断熱・高気密住宅における深夜電力利用蓄熱式床下暖房システム」の発明に係る特許においてなされた補正が特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていないとの無効理由があるとした審決の判断に誤りがあるとして,審決が取り消された事例

9(東京地裁平21.11.13判決)
1 著作権侵害行為の侵害主体性について判断した事例
2 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)3条1項ただし書の「発信者」の該当性について判断した事例
3 著作権法114条の5を適用して損害額の認定をした事例
4 継続的不法行為に基づき将来発生すべき損害賠償請求の可否について判断した事例

[諸 法]
10(東京高裁平21.11.26判決)
過払金返還請求について貸金業の規制等に関する法律17条,18条所定の書面の記載要件充当性を否定し,貸金業者の悪意を認定した事例

[民事訴訟法]
11(東京高裁平21.12.25判決)
海外商品先物取引を業とする会社との取引で損害を被ったという顧客が当該取引を担当した同社の従業員に対して損害賠償を求めた訴えを被告の特定を欠くとして却下した第1審判決が,控訴審において,被告の特定を欠くものではないとして,取り消された事例

[民事執行法]
12(東京高裁平22.3.8決定)
競売手続で買い受けた土地を落札価額より著しく高額な価格で売却しようという意図の下に,買受人が社会通念上許容される限度を逸脱した不相当な買取交渉をし,その延長上のものとして不動産引渡命令の申立てをした場合において,申立権の濫用に当たるとして,却下された事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(大阪高裁平21.3.3判決)
覚せい剤自己使用の事案において,鑑定に付された尿の採取が違法な逮捕による身柄拘束中に行われたことを理由に,証拠の収集手続に重大な違法があるとして,鑑定書の証拠能力を否定し,無罪を言い渡した事
[記事紹介]

医療界と法曹界の相互理解のためのシンポジウム第2回

大阪地裁における労災事件の審理/田中 敦/上村 海

名古屋民事実務研究会 5
社外労働者と受入先企業との間における労働契約の成否――大阪高判平20.4.25判タ1268号94頁/奥村周子

公判前整理手続に関する諸問題 14[大阪刑事実務研究会]
証拠開示に関する問題(その1)/三村三緒


[判例紹介]

行政裁判例
[国家補償法]
1(福岡高裁平21.12.3判決)
親族間で権利関係に争いがある数筆の土地の一部を収用することによる補償額を算定するに当たって,将来における利用可能性の相違を考慮して,これらの土地全体ではなく,収用する土地と残地のみを評価の単位として評価すべきであるとして,権利取得裁決の増額変更請求などを認めた事例

[国家補償法]
2(東京地裁平21.12.21判決)
捜査機関,検察官が適正な捜査,公訴提起をしなかったことなどを理由とする犯罪被害者の遺族からの国家賠償請求が認められなかった事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(大阪地裁平22.3.29判決)
公立中学校の教師が対教師暴力等が原因で精神疾患に罹患し,自殺した事案において,公務起因性が認められた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平20.8.28判決)
株式を譲渡する旨の民事調停を成立させた原告らに課税される税額に関する錯誤があったことを理由とする調停無効の主張が認められなかった事例

2(大阪地裁平21.7.24判決)
1 マンションの管理組合が元の区分所有者に対して有していた管理費等の債権について,その区分所有者の特定承継人として建物の区分所有等に関する法律8条により債務の履行責任を負うことになった者は,その区分所有権を第三者に譲渡した後であっても,その管理費等の支払義務を負う
2 建物の区分所有等に関する法律8条により元の区分所有者の管理費等の債務の履行責任を負うことになった専有部分の所有権の特定承継人は,民法148条により時効の中断の効力が及ぶ「承継人」にあたる

3(東京地裁平22.1.27判決)
仮執行宣言付判決に基づく債権回収の方法の選択に関する弁護士の判断について,依頼者に対する債務不履行責任が否定された事例

4(東京高裁平21.12.21判決)
委任者の死亡後における事務処理を依頼する旨の準委任契約は,委任者の死亡によっても当然に契約を終了させない旨の合意を包含し,委任者の遺言により祭祀の主宰者に指定された者は,その契約の内容に不明確性や実現困難性があり,履行負担が加重であるなど契約の履行が不合理と認められる特段の事情がない限り,同契約を解除して終了させることができないとされた事例

5(東京地裁平21.10.20判決)
墓地経営者である寺院の墓地使用者(檀家)に対する同一墓地内の区画移転等を求める請求が認容された事例

6(東京地裁平22.3.12判決)
顧問会社の取締役会を取り仕切るなどした弁護士に対する弁護士懲戒請求が不法行為を構成しないとされた事例

7(東京地裁平22.1.28判決)
医療機関において医療行為を受けた後に死亡した患者の遺族から再三にわたり診療記録の開示を求められたにもかかわらず,これを拒否して患者の遺族に法的措置を執ることを促しながら患者の遺族からの提訴後に診療記録を紛失した医療機関及びその職員の不法行為責任が認められた事例

8(東京地裁平21.12.10判決)
1 交通事故にあった被害者が,右眼に外傷がなかったが,その後視力が低下したという事案について,事故により心因性の視力低下が生じたとして事故との因果関係を認めた事例
2 交通事故の被害者に支給された労働者災害補償保険法による障害年金並びに国民年金法による障害基礎年金及び厚生年金保険法による障害厚生年金を,各支給日に加害者が被害者に対して負担する損害賠償債務の元本に充当することの可否

9(東京地裁平21.9.15判決)
1 大学病院に入院していた患者が病室から失踪し,同病院敷地内に併設された看護師宿舎の屋上から転落して死亡したことについて,予見可能性が認められないことを理由に,同病院の医療従事者らにおいて患者の体幹・両上肢の抑制等の危険行動防止措置を執るべき注意義務があるとはいえないとされた事例
2 病室から失踪した入院患者を原告ら主張に係る方法で捜索すべき注意義務が否定された事例
3 入院患者が病室から失踪した時点で家族に連絡すべき注意義務が否定された事例
4 病室から失踪した入院患者が病棟の外に出ないように出入口をすべて施錠し,警備員に監視させるべき注意義務が否定された事例

[知的財産]
10(知的財産高裁平21.10.8判決)
指定商品を時計等とする「DEEP SEA」との登録商標につき,商標権者が販売する時計の文字盤に「DEEPSEA」との表示がされていることをもってしては商標法50条1項にいう「使用」の事実に当たらないとして同商標登録を取り消したいわゆる不使用による商標登録の取消しの審判における審決について,同「使用」の事実に当たるとして審決が取り消された事例

11(知的財産高裁平21.4.27判決)
指定商品を「化粧品」とする片仮名「ラブコスメ」の本件商標が,欧文字「Love」又は片仮名「ラブ」等から表記される6つの各引用商標と類似するとした審決が取り消された事例

[諸 法]
12(東京地裁平21.6.29判決)
婚姻予約の成立要件及びその効果は,法の適用に関する通則法33条の規定する親族関係及びこれによって生じる権利義務に準じるものとして,当事者の本国法によって定めるべきであり,婚姻予約の不履行ないし不当破棄による損害賠償責任は,両当事者の本国法を累積的に適用し,双方の本国法が認める範囲内においてのみ,肯定される

[民事訴訟法]
13(大阪高裁平21.5.11決定)
贈与契約に基づき目的物の給付を求める訴訟において被告から財産全部を相続させる旨の遺言の作成を受けていると主張する被告の推定相続人が被告を補助するため訴訟に参加することを許可された事例

[民事執行法]
14(東京高裁平22.3.3決定)
給与の差押えを受けた地方公務員である債務者が,差押額を引いた残額から償還金の控除がされている場合に,そのことを民事執行法153条1項の「債務者の生活の状況その他の事情」として考慮できないとした事例

刑事裁判例
[刑 法]
1パロマガス湯沸器事件(東京地裁平22.5.11判決)
強制排気式ガス湯沸器が不正改造が原因で不完全燃焼を起こし,居住者他1名が一酸化炭素中毒により死傷した事故について,同湯沸器を製造・販売した会社の代表取締役社長及び品質管理部長に,点検・回収等の措置を講じなかった過失があるとされて,業務上過失致死傷罪の成立が認められた事例

●記事紹介

家事法研究会(4)──遺産分割事件と遺留分減殺請求事件との関係
遺産分割審判と遺留分減殺請求訴訟との関係/長 秀之

後継ぎ遺贈型の受益者連続信託と遺産分割及び遺留分減殺請求/加藤祐司

共同相続人間の遺留分減殺請求と負担付遺贈に関する問題/常岡史子

訴訟上の和解における実体法との乖離/石川 明

裁判員裁判における精神鑑定の在り方に関する勉強会について/川本清巌・丹羽芳徳・宮田祥次・市野井哲也


●判例紹介
最高裁判例
[地方自治法]
1(最高裁第三小法廷平22.3.30判決)
政令指定都市である市の議会における定例会等の会議に出席した議員に対し費用弁償として日額1万円を支給する旨の当該市の条例の定めが,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの)203条が普通地方公共団体の議会に与えた裁量権の範囲を超え又はそれを濫用したものとして違法,無効であるとはいえないとされた事例

[情報公開]
2(最高裁第一小法廷平22.2.25判決)
市立学校の教職員の評価・育成制度の下で教職員が作成した自己申告票中の設定目標,達成状況等に係る各欄に記載された情報及び校長が作成した評価・育成シート中の当該教職員の評価,育成方針等に係る各欄に記載された情報が,茨木市情報公開条例(平成15年茨木市条例第35号)7条6号柱書き及び同号エ所定の非公開情報に当たるとされた事例

[個別的労働関係]
3(最高裁第三小法廷平22.5.25判決)
1 労働審判に対し適法な異議の申立てがあったため訴訟に移行した場合において,当該労働審判は民訴法23条1項6号にいう「前審の裁判」に当たるか
2 統括事業部長を兼務する取締役の地位にある従業員に対して会社がした普通解雇が,当該従業員に対する不法行為を構成するとはいえないとされた事例

4(最高裁第一小法廷平22.3.25判決)
金属工作機械部分品の製造等を業とするX会社を退職後の競業避止義務に関する特約等の定めなく退職した従業員において,別会社を事業主体として,X会社と同種の事業を営み,その取引先から継続的に仕事を受注した行為が,X会社に対する不法行為に当たらないとされた事例

[民 法]
5(最高裁第一小法廷平22.4.8判決)
医療法人の定款に当該法人の解散時にはその残余財産を払込出資額に応じて分配する旨の規定がある場合における,同定款中の退社した社員はその出資額に応じて返還を請求することができる旨の規定の解釈

[刑 法]
6(最高裁第一小法廷平22.5.31決定)
花火大会が実施された公園と最寄り駅とを結ぶ歩道橋で多数の参集者が折り重なって転倒して死傷者が発生した事故について,雑踏警備に関し現場で警察官を指揮する立場にあった警察署地域官及び現場で警備員を統括する立場にあった警備会社支社長に業務上過失致死傷罪が成立するとされた事例

行政裁判例
[国家補償法]
1(福岡地裁小倉支部平21.6.23判決)
耐震強度が偽装されたマンションについて建築確認をした指定確認検査機関に対する損害賠償請求が棄却された事例

[地方自治法]
2(福岡高裁平21.9.1判決)
元市長の市長在任当時の「接遇」に係る交際費の支出につき,その一部が社会通念上儀礼の範囲を逸脱する支出であったとして,当該支出の限度で,現市長に対し,旧市長に対する損害賠償を請求することを求める地方自治法242条の2第1項4号に基づく請求が認容された事例

労働裁判例
[集団的労働関係]
1(東京地裁平22.2.25判決)
1 労働組合が複数併存し,使用者が多数派労働組合とのみ経営協議会を設けている場合において,経営協議会で提示された資料や説明内容が団体交渉における説明・協議の基礎となるときは,使用者は,少数派労働組合から求められれば,団体交渉において必要な限りで同様の資料の提示や説明を行う必要があるとした上,当該少数派労働組合との団体交渉における使用者の対応がこれらの点において不誠実であったとして労組法7条2号の不当労働行為該当性が認められた事例
2 団体交渉における使用者の対応について,労組法7条2号の不当労働行為に当たるが,同条3号の不当労働行為には当たらないとして,前者につき救済措置を命じ,後者につき棄却した中労委命令に対して使用者が提起した当該救済措置部分の取消しを求める訴訟において,行訴法22条により被告側に訴訟参加した労働組合は,必要的共同訴訟の共同訴訟人に準ずる地位に立つが,共同訴訟人とは異なり,独自の訴訟上の請求をしている者ではないから,中労委命令のうちの当該棄却部分の判断が誤っていると主張していても,審理の対象でない事項についての主張であり,これについて判断する必要がないとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平21.8.31判決)
東京都建築安全条例8条による避難通路の確保の規制に違反している建物の賃貸について,その是正を図る責任が,原則として賃貸人側にあると判断した事例

2(東京地裁平21.12.17判決)
1 買主から売買の目的物の瑕疵の修補費用を負担する旨の買主と売主との間の合意に基づいて上記修補費用を請求され,その一部を買主に支払った売主が,上記瑕疵の原因となった部材の製作業者に対して売主と製作業者との間の製作物供給契約に基づいて上記修補費用の既払分に係る損害賠償請求に併せてした上記修補費用の未払分に係る損害賠償請求が適法とされた事例
2 住宅用床材を構成する化粧シートにつき製作物供給契約の債務不履行責任が認められた事例

3(知的財産高裁平21.10.20判決)
1 「本営業に必要な譲渡日現在の資産負債及び営業権,特許権,実用新案権,商標権等の一切の権利」を譲渡する旨の営業譲渡契約において,契約当時設定登録に至っていない特許を受ける権利も,譲渡の対象とされた事例
2 譲渡人名義の預金に振り込まれた営業譲渡契約の対価の支払が,債務の本旨に従った営業権の対価の支払の履行として,特許権等の移転登録手続に対する同時履行の抗弁権が成立しないとされた事例

4(名古屋高裁平21.9.10判決)
預託金会員制ゴルフクラブの会員総会で,預託金を分割返還するとの議案に賛成したことでは,預託金の返還方法を変更することを承諾したとすることはできないとして,会員のゴルフ場運営会社に対する預託金の一括返還請求が認められた事例

5(東京地裁平22.1.18判決)
日本病理学会副理事長が厚生労働省の公募研究に応募して採択されたのは癒着であり,先行研究のパクリである旨記載したインターネットのサイト上の記事が名誉毀損に当たるとされた事例

[商 法]
6(東京地裁平22.2.16判決)
1 貨物船による海上運送中の貨物の滅失につき,事故の原因は,船長の航海上の過失にあり,貨物船は発航時には堪航能力を有していたとして,運送人の国際海上物品運送法3条1項及び5条1項の責任を否定した事例
2 国際海上物品運送法20条の2第1項にいう「荷受人」の意義について,商法583条により荷送人の権利を取得した荷受人に限定されると解すべきであるとの主張を退けた事例

[知的財産]
7(知的財産高裁平21.10.22判決)
名称を「化粧用パッティング材」とする発明において,発明の解決課題が当業者にとって自明又は周知であったということはできず,また,引用例その他の刊行物には化粧用パッティング材から剥離される各層にウォータジェット噴射による表面加工を施すことを動機付ける旨の開示又は示唆がないとして,審決の進歩性の判断に誤りがあったとした事例

8(東京地裁平21.11.27判決)
1 営業秘密とする顧客情報の秘密管理性を否定した事例
2 営業秘密とする書式の非公知性を否定した事例
3 営業秘密とする不動産所有者情報の取得・使用を否定した事例

[倒産処理法]
9(大阪地裁平22.3.15判決)
1 約束手形を目的物とする譲渡担保権設定契約の締結に対する民事再生法127条の3第1項1号に基づく否認権の行使が認められた事例
2 普通預金口座への預入れが「専ら再生債権をもって相殺に供する目的でされた財産処分契約」に該当するとして,上記預金債務を受働債権とする相殺が民事再生法93条1項2号により認められなかった事例
3 否認権の行使及び相殺禁止規定の適用が信義則に反しないとされた事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(大阪高裁平21.10.22判決)
被告人の暴行が,刑法36条1項にいう「やむを得ずにした行為」に当たるとして,正当防衛の成立を認め,傷害の訴因につき無罪を言い渡した事例
●記事紹介

医療界と法曹界の相互理解のためのシンポジウム第1回

交通損害賠償における「あるがまま」
ー素因減額を中心に/森 健二

交通事故の当事者につき破産手続開始決定がされた場合の問題点について/小野瀬 昭

民事手続法判例研究 (5)
特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件と秘密保持命令
ー最高裁平成20年(許)第36号,秘密保持命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件/河野正憲

ブックレビュー
酒巻匡編著『刑事証拠開示の理論と実務』/稗田雅洋


●判例紹介
特 報
[情報公開]
1沖縄返還「密約」文書開示事件第一審判決(東京地裁平22.4.9判決)
1 行政機関の保有する情報の公開に関する法律4条1項に基づく行政文書開示請求に対して不存在を理由としてされた不開示決定の取消訴訟において,原告である開示請求者は,行政機関が当該行政文書を保有していること(当該行政文書の存在)について主張立証責任を負うが,原告である開示請求者が,過去のある時点において当該行政機関の職員が当該行政文書を職務上作成し,又は取得し,当該行政機関がそれを保有するに至ったことを主張立証した場合には,その状態がその後も継続していることが事実上推認され,被告において,当該行政文書が廃棄,移管等されたことによってその保有が失われたことを主張立証しない限り,当該行政機関は同不開示決定の時点においても当該行政文書を保有していたと推認されるとされた事例
2 沖縄返還交渉において日本が米国に対して沖縄返還協定で規定した内容を超える財政負担等を国民に知らせないままに行う旨の合意(いわゆる「密約」)を示す行政文書が外務省及び大蔵省の職員によって職務上作成され,外務省及び大蔵省がこれらを保有するに至ったことが認められる一方,これらの保有が失われた事実を認めることはできないとして,当該行政文書の不存在を理由とする不開示決定が取り消され,当該行政文書の開示が命じられた事例
3 行政機関の保有する情報の公開に関する法律4条1項に基づく行政文書開示請求を受けた外務省の職員が職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行政文書は不存在と判断して不開示決定をしたとして,国家賠償請求が認容された事例

最高裁判例
[国家補償法]
1(最高裁第一小法廷平22.6.3判決)
固定資産の価格を過大に決定されたことによって損害を被った納税者が地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経ていない場合における国家賠償請求の許否

[民 法]
2(最高裁第三小法廷平22.6.1判決)
売買契約の目的物である土地の土壌に,上記売買契約締結後に法令に基づく規制の対象となったふっ素が基準値を超えて含まれていたことが,民法570条にいう瑕疵に当たらないとされた事例

3(最高裁第一小法廷平22.6.17判決)
売買の目的物である新築建物に重大な瑕疵がありこれを建て替えざるを得ない場合に,買主からの工事施工者等に対する不法行為に基づく建て替え費用相当額の損害賠償請求において買主が当該建物に居住していたという利益を損益相殺等の対象として損害額から控除することの可否

[諸 法]
4(最高裁第三小法廷平22.4.20判決)
1 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され,同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合における利息制限法1条1項にいう「元本」の額
2 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合において,上記取引の過程におけるある借入れの時点で従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額が利息制限法1条1項所定の各区分における下限額を下回るに至ったときに,上記取引に適用される制限利率

5(最高裁第三小法廷平22.4.13判決)
1 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づく発信者情報の開示請求に応じなかった特定電気通信役務提供者が損害賠償責任を負う場合
2 インターネット上の電子掲示板にされた書き込みの発信者情報の開示請求を受けた特定電気通信役務提供者が,請求者の権利が侵害されたことが明らかでないとして開示請求に応じなかったことにつき,重大な過失があったとはいえないとされた事例

[民事執行法]
6(最高裁第三小法廷平22.6.29判決)
権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が,当該社団の構成員全員に総有的に帰属し,当該社団のために第三者がその登記名義人とされている不動産に対して強制執行をしようとする場合における申立ての方法

[特別刑法]
7(最高裁第一小法廷平21.10.21決定)
児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例

[刑事訴訟法]
8(最高裁第三小法廷平22.4.27判決)
殺人,現住建造物等放火の公訴事実について間接事実を総合して被告人を有罪とした第1審判決及びその事実認定を是認した原判決に,審理不尽の違法,事実誤認の疑いがあるとされた事例

行政裁判例
[国家補償法]
1(東京地裁平21.8.28判決)
1 取消訴訟等の手続によらずに課税処分の違法を理由とする国家賠償請求を行うことは許される
2 都税事務所長は個人事業税を過徴収したが職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく,漫然と課税した違法があるとはいえない
3 地方税法の過誤納金に関する規定は,民法の不当利得の特則であり,民法の不当利得の規定の適用を排除する趣旨である

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(京都地裁平22.5.25判決)
飲食店従業員が急性左心機能不全により死亡した事案につき,会社に対し,安全配慮義務違反による損害賠償責任を認めるとともに,会社の取締役に対し,長時間労働を前提とした勤務体系や給与体系をとっており,労働者の生命・健康を損なわないような体制を構築していなかったとして会社法429条1項に基づく責任を認めた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平22.1.29判決)
意思表示をした時点で不確定であった将来発生する事象に関する予測ないし期待は,錯誤の対象とならない

2(大阪高裁平22.2.26判決)
契約交渉過程における説明義務違反について債務不履行責任を認め,10年の消滅時効期間を適用した事例

3(東京地裁平21.11.18判決)
学習塾チェーン経営会社が競業禁止条項に違反して独立した元フランチャイズ契約加盟店に対して行った違約金請求につき,違約金条項の一部が公序良俗に反するとして請求額の一部のみが認容された事例

4(神戸地裁伊丹支部平21.12.17判決)
指定痴呆対応型共同介護施設における入居者の2度の転倒事故について,施設側の損害賠償責任が認められた事例

5(福岡地裁小倉支部平21.8.21判決)
追突事故の被害者について脳脊髄液減少症の発症が否定された事例


[知的財産]
6(知的財産高裁平21.12.22判決)
名称を「呼吸装置」とする発明において,解決課題の相違,作用及び機能の相違等により,引用発明に公知技術を適用することができないとして,審決の進歩性の判断に誤りがあったとした事例

7(大阪地裁平21.11.26判決)
日本国特許権に基づく我が国における被告物件の譲渡の申出の差止めに係る訴えにつき,被告が我が国において譲渡の申出をしたとは認められないとして,我が国の国際裁判管轄が否定された事例

[諸 法]
8(大阪地裁平21.3.12判決)
1 中間取得者であっても,区分所有法8条に定める「区分所有者の特定承継人」に当たり,前所有者の滞納管理費等の支払義務を負うとされた事例
2 中間取得者及び現所有者の管理費等支払債務が不真正連帯債務の関係になるとされた事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平22.1.26判決)
弁護人が別件による現行犯人逮捕の違法性を強く主張し,その後の身柄拘束下で収集された証拠につき違法収集証拠であると争っている状況において,現行犯人逮捕手続書等の書証を不同意のまま採用することをもって事足りるとし,弁護人からの現行犯人逮捕に関与した警察官等の証人尋問請求をすべて却下した原審には,証拠採用に関する合理的な裁量の範囲を逸脱した違法があるとされた事例


[記事紹介]

過払金返還請求事件の効率的審理の在り方について(共同提言)/田中孝明/正木常博/柏森正雄/飯田篤治

過払金返還請求訴訟の付調停事件の実情等について/八束和廣/志村 宏

仙台簡裁における不当利得金(過払金)返還請求訴訟事件の付調停積極的活用の実情/阿部則之

取締役報酬・退職慰労金不支給をめぐる問題/藤原俊雄

独占禁止法の新たな展開 17
独占禁止法の歴史的考察/村上政博

量刑に関する諸問題 26[大阪刑事実務研究会]
常習性と量刑/増田啓祐

(コメント)増田啓祐「常習性と量刑」について/安田拓人

[判例紹介]
特 報
[刑事訴訟法]
1裁判員裁判全国第1号事件控訴審判決(東京高裁平21.12.17判決)
1 裁判員制度対象事件の控訴審において,原審検察官が論告において初めて付加した事実を犯行動機の1つとして認定した原判決に対し,公判前整理手続の要請を無視し,防御権を著しく侵害した旨の被告人側の主張が排斥された事例
2 裁判員制度対象事件の控訴審において,原審の事実認定及び量刑判断が維持された事例

最高裁判例
[租税法]
1(最高裁第三小法廷平22.4.13判決)
都市計画法55条1項所定の事業予定地内の土地の所有者が具体的に建築物を建築する意思を欠き,都道府県知事等による当該土地の買取りが外形的に同法56条1項の規定による買取りの形式を採ってされたにすぎない場合に,当該所有者は当該買取りの対価につき租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条の4第1項1号所定の長期譲渡所得の特別控除額の特例の適用を受けることができるか

[諸 法]
2(最高裁第三小法廷平22.4.20判決)
宗教法人の規則で財産の処分に関する事項を明示的に定めた規定が存在しないものは宗教法人法12条1項8号に違反するか

[民事訴訟法]
3(最高裁第三小法廷平22.3.16判決)
固有必要的共同訴訟において合一確定の要請に反する判決がされた場合と不利益変更禁止の原則

[刑 法]
4(最高裁第二小法廷平22.3.17決定)
1 街頭募金詐欺について包括一罪と解することができるとされた事例
2 包括一罪を構成する街頭募金詐欺について,その罪となるべき事実の特定に欠けるところはないとされた事例

行政裁判例
[行政争訟法]
1(奈良地裁平21.11.26決定)
知事がした産業廃棄物処理施設の設置に係る処分の効力の停止の申立てが認められた事例

[国家補償法]
2(名古屋地裁平22.2.5判決)
愛知県青少年保護育成条例(昭和36年愛知県条例第13号)違反の罪(いわゆる淫行処罰規定)により逮捕・勾留・公訴提起され,その後,無罪判決が確定した場合において,
1 同条例違反の被疑事実に基づく司法警察員の逮捕状請求及び逮捕状に基づく逮捕の違法性が肯定された事例
2 同条例違反の被疑事実に基づく検察官の勾留請求及び勾留状の執行の違法性が否定された事例
3 同条例違反の被疑事実について誤った前提により虚偽の自白を取得した検察官の取調べの違法性が肯定された事例
4 同条例違反の公訴事実に基づく検察官の公訴提起の違法性が肯定された事例

労働裁判例
[集団的労働関係]
1(東京地裁平22.3.24判決)
労働組合幹部が組合所有不動産を使用者の影響の強い組織に所有権移転登記をし,また,売買契約を締結するなどした行為が,組合員に対する団結権侵害の不法行為を構成するとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(名古屋地裁平20.3.26判決)
市がホームヘルプサービス事業を廃止して身体障害者との利用契約を解除したことが違法でないとされた事例

2(東京地裁平21.12.2判決)
国に防衛装備品等を納入していた業者が,売買代金額の算定に必要とする資料を改ざんして水増しした額を基準に防衛省と契約をした行為は,国に対する不法行為に当たるとされた事例

3(大阪地裁平21.10.21判決)
海上埋立工事に従事する作業船の漂流事故について作業船の船長の過失を認め,同工事の元請業者と同船長の直接の使用者である第三次下請業者の双方が使用者責任を負うとした上で,同事故の被害者に対して損害の賠償をした元請負業者から第三次下請業者に対する求償権の行使につき,求償の前提となる元請業者と第三次下請業者との責任割合を3:7として,その限度で元請業者から第三次下請業者に対する求償を認めた事例

4(盛岡地裁平20.9.2判決)
強制競売手続停止の仮処分命令の申立てをしたことが不法行為を構成するとされ,手続が停止したことによる売却価格の下落分などの損害賠償請求が認められた事例

5(名古屋地裁平20.10.31判決)
肝臓がん患者が,ラジオ波焼灼術及び経皮的エタノール注入療法を受けた後死亡したことについて,これらの治療後に感染症の徴候があったのに抗生剤を変更しなかった過失が認められるものの,過失と死亡との間に因果関係は認められず,過失がなければ死亡時点においてなお生存していた相当程度の可能性が認められるとして,慰謝料が認容された事例

6(東京高裁平22.1.20判決)
日本国籍の亡父と外国籍の母との間の嫡出子として戸籍上記載されている子について,間接事実の積み重ねによって,嫡出の推定が排除される場合にあたるとした上,父子関係の不存在確認請求が認められた事例

[知的財産]
7スロットマシン事件(知的財産高裁平21.7.29判決)
1 審決には,無効審判の被請求人に意見を述べる機会及び訂正の機会を与えないまま,請求人の主張しない理由をもって,本件発明(スロットマシン)の進歩性を否定した手続違反があるとして,審決を取り消した事例
2 特許法36条4項の委任省令である特許法施行規則24条の2の規定した「発明の技術上の意義を理解するために必要な事項」は,実施可能要件とは別個の独立した要件として形式的に解されるべきではなく,実施可能要件の有無を判断するに当たっての間接的な判断要素として活用されるよう解されるべきであるとされた事例

8(大阪地裁平21.3.26判決)
被告の登録商標について,原告が,一定地域(1都11県)において,先使用による商標を使用する権利を有することの確認請求が認容された事例

[民事訴訟法]
9(名古屋地裁平21.9.8決定)
1 勾留請求書において「被疑事実の要旨」として引用されている「司法警察員送致書記載の犯罪事実」が明らかになる司法警察員送致書の当該記載部分(青少年の氏名等個人が特定できる記載を除く)が民事訴訟法220条3号後段所定のいわゆる法律関係文書に該当するとされた事例
2 民事訴訟法220条3号後段所定のいわゆる法律関係文書に該当することを理由としてされた上記司法警察員送致書の記載部分の文書提出命令の申立てに対して,刑訴法47条に基づきその提出を拒否した本件文書の所持者である国の判断が,裁量権の範囲を逸脱しかつこれを濫用したものとされた事例

刑事裁判例
[特別刑法]
1(東京高裁平21.7.6決定)
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律42条1項に基づく対象者の処遇の要否及び内容に係る決定の当否に対する抗告審の判断の基準時

【記事紹介】

動産売買先取特権と動産競売開始許可の裁判(下)
ー動産競売開始許可の裁判の創設による裁判実務と理論の融合/園尾隆司

裁判所と日弁連知的財産センターとの意見交換会(平成21年度)

知財高裁における最近の審理と裁判例等について/中平 健

統計数字等に基づく東京地裁知財部の実情について/清水 節

東京地裁労働部の事件概況/松田典浩

判例展望民事法 45
いじめをめぐる裁判例と問題点/蛭田振一郎/中村 心


【判例紹介】

特 報
[租税法]
1生命保険年金二重課税訴訟(最高裁第三小法廷平22.7.6判決)
1 相続税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)3条1項1号の規定によって相続により取得したものとみなされる生命保険契約の保険金で年金の方法により支払われるもの(年金受給権)のうち有期定期金債権に当たるものにおいて,当該年金受給権に係る年金の各支給額は,所得税の課税対象となるか
2 所得税法(平成18年法律第10号による改正前のもの)207条所定の生命保険契約等に基づく年金の支払をする者は,当該年金が同法の定める所得として所得税の課税対象となるか否かにかかわらず,その年金について所得税の源泉徴収義務を負うか

速 報
[行政争訟法]
1(福岡高裁那覇支部平22.3.19決定)
生活保護を開始して生活扶助等を支給することの仮の義務付けを求める申立てについて,申立人の困窮状態にかんがみ,同申立てには,償うことのできない損害を避けるための緊急の必要性があり,かつ,本案について理由があるとみえるとして,処分行政庁に対し,生活保護を仮に開始し,保護の程度につき疎明された限度で生活扶助等を行うよう命じた原決定に対する即時抗告を棄却した事例

最高裁判例
[刑事訴訟法]
1(最高裁第三小法廷平22.3.16決定)
高等裁判所の判決中の判断がその上告審である最高裁判所の決定において否定された場合における上記判決の刑訴法405条3号の「判例」該当性

憲法裁判例
[憲 法]
1(大阪高裁平21.12.28判決)
1 衆議院議員選挙(小選挙区)において,選挙区間の投票価値の較差が2倍を超えるに至った場合は,当該状態は原則として違憲と推定され,このような較差が生じることを回避することができない特段の事情に関する主張,立証がない限り,違憲との評価を受けるというべきである
2 衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条2項の1人別枠方式は,平成21年の衆議院議員選挙の時点では憲法の趣旨に反しており,上記規定に基づいて選挙区を確定して行われた平成21年の衆議院議員選挙(小選挙区)は違法である

行政裁判例
[国家補償法]
1(さいたま地裁平21.12.16判決)
市立保育所に入所中の児童が保育所内で熱中症で死亡した事故について,保育士に重大な過失があったとして市の国家賠償責任が認められた事例

[租税法]
2(東京地裁平21.11.12判決)
外国法人のスピンオフによりその株主が取得することとなった別の外国法人の株式が,所得税法(平成19年法律第6号による改正前のもの)24条1項所定の配当所得又は同法25条1項3号所定のみなし配当所得に該当するとされた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(神戸地裁平21.11.20判決)
倉庫会社の貨物を運搬するトラクター運転手が退職後中皮腫により死亡したことにつき,会社の安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任が認められた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平21.6.17判決)
1 清算会社に対する金銭消費貸借契約における増担保条項に基づく増担保の応諾請求等が認められなかった事例
2 共有者の1人がその持分の上に抵当権を設定しており,その共有物について現物分割がされ,共有者間において持分の移転が生じた場合に,抵当権設定者が分割により取得した部分に抵当権が集中するということはできないとした事例

2(東京地裁平21.9.1判決)
不動産流動化スキームの一環として締結された信託受益権の売買契約において,代金支払日までに買主が貸付けを受けられない場合等には同契約が失効するとの条項があり,かつ,同条項により同契約が失効する蓋然性が高いときは,契約書で買主が受託者を指定するとされていても,買主はその義務を負わないとされ,売主の債務不履行に基づく違約金等の本訴請求が棄却され,買主の手付金返還の反訴請求が認容された事例

3(名古屋簡裁平21.6.4判決)
定期建物賃貸借契約において,敷金全額を控除する旨の特約が,消費者契約法10条により無効であるとされた事例

4(東京地裁平21.10.26判決)
金融商品への出資を行う旨の匿名組合契約の締結を勧誘した仲介会社の従業員の行為が,適合性の原則から著しく逸脱するものであったとして,仲介会社と従業員につき不法行為責任が認められた事例(過失相殺なし)

5(千葉地裁平20.10.27判決)
商品先物取引の勧誘を行った商品取引会社の従業員に説明義務違反があったとして,同会社と従業員の不法行為責任が認められた事例

6(東京高裁平22.3.10判決)
被相続人は生前婚姻をしたことがなく,相続人が実子である非嫡出子と養子である場合において,非嫡出子が被相続人の全財産を相続した養子に対して遺留分減殺請求権を行使した事案について民法1044条,900条4号ただし書前段を準用することは違憲であるとされた事例

[商 法]
7(宇都宮地裁平22.3.15判決)
事業を譲り受けた会社につき会社法22条1項に基づく責任が認められ,その際,債権者の認識等は問題とならないとされた事例

8(東京高裁平21.10.28判決)
保険契約者であって被保険者ではない者が故意により保険事故を招致した場合においても,それが信義則及び公益に違反すると評価されるときは,故意免責により保険者には保険金支払義務はないとされた事例

[知的財産]
9(知的財産高裁平22.3.30判決)
「携帯型コミュニケータおよびその使用方法」に関する特許権の侵害訴訟において,被告製品が特許発明の技術的範囲に属さず,均等侵害も成立しないとして控訴を棄却した事例

10(東京地裁平22.1.27判決)
水系ゲル化剤および水系ゲルについての発明に係る特許権の侵害訴訟において,被告の製造,販売したゲルタイプ芳香剤が発明の技術的範囲に属さないとして,原告の損害賠償請求が棄却された事例

[民事訴訟法]
11(福岡高裁平21.7.7判決)
本訴請求が前訴確定判決の既判力に抵触するとして訴えを却下した原判決を取り消し,原審に差戻した事例

[民事執行法]
12(東京高裁平21.12.16決定)
平成15年法律第134号の附則第5条が定める経過措置の適用を受ける賃貸借が,改正法施行後に開始された不動産競売開始決定を原因とする差押登記後に期間満了により更新されたことから,賃借人が,当該更新を抵当権者に対抗できず,抵当権者に対抗できない賃貸借により抵当建物を使用することになったとしても,現在の民法395条が規定する建物引渡猶予制度の保護の適用を受けることはないとされた事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平21.12.1判決)
退去強制により出国した者の刑訴法227条1項に基づく証人尋問調書及び検察官に対する供述調書について刑訴法321条1項1号及び2号に基づき証拠能力が認められた事例

[記事紹介]

動産売買先取特権と動産競売開始許可の裁判(上)
ー動産競売開始許可の裁判の創設による裁判実務と理論の融合/園尾隆司

大阪民事実務研究
金融機関による融資についての取締役の責任と経営判断原則
ー拓銀カブトデコム事件の高裁判決及び最高裁判決の検討を中心として/木村哲彦

企業間提携契約の法的諸問題 15[現代企業法研究会]
映画製作に関する提携契約/若松 亮

独占禁止法の新たな展開 16
平成22年独占禁止法改正
ー行政審判の廃止と行政調査の見直し/村上政博


[判例紹介]
特 報
[刑 法]
1福岡飲酒運転3児死亡事故控訴審判決(福岡高裁平21.5.15判決)
3人を死亡させ,2人を負傷させた危険運転致死傷等の事案について,事故態様及び飲酒量等から,アルコールの影響により視覚探索能力が低下し前方注視が困難であり,正常な運転ができない状態であったものと認定し,懲役20年の刑を言い渡した事例

最高裁判例
[租税法]
1(最高裁第三小法廷平22.3.2判決)
ホステスの業務に関する報酬の額が一定の期間ごとに計算されて支払われている場合における,所得税法施行令322条にいう「当該支払金額の計算期間の日数」の意義

[地方自治法]
2(最高裁第一小法廷平22.3.25判決)
市が,職員の福利厚生のための事業を委託している社団法人に支払った補給金のうち退職した職員に対する退会給付金等の給付に充てられた部分につき,同法人に対し不当利得金の返還請求権を有していた場合において,同法人から退会給付金制度の廃止により不要となった補給金を清算する趣旨で支払われた金員を上記不当利得金の返還債務に充当する旨の市と同法人との間の合意により,上記不当利得金の返還請求権が消滅するとされた事例

3(最高裁第三小法廷平22.3.23判決)
市議会の議員に交付する政務調査費の使途基準を調査研究に必要な経費と定めるかすみがうら市議会政務調査費の交付に関する規則(平成17年かすみがうら市規則第5号。平成20年かすみがうら市規則第17号による改正前のもの)の下で,議員らが交付を受けた政務調査費から物品を購入するためにした支出につき,その支出が調査研究のための必要性に欠けるものであったことをうかがわせる上告人主張の事実の存否等について十分に審理することなく,単に上記物品の品名を認定するなどしただけで直ちに上記支出が上記使途基準に反するものとはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例

[民 法]
4(最高裁第二小法廷平21.12.4判決)
更生会社であった貸金業者において,届出期間内に届出がされなかった更生債権である過払金返還請求権につきその責めを免れる旨主張することが,信義則に反せず,権利の濫用にも当たらないとされた事例

5(最高裁第三小法廷平22.4.20判決)
1 甲乙の共有に属する不動産につき甲乙丙を共有者とする所有権保存登記がされている場合における,甲の丙に対する上記登記のうち丙の持分に関する部分の抹消登記手続請求は,更正登記手続を求める趣旨を含むか
2 甲乙の共有に属する不動産につき甲乙丙を共有者とする所有権保存登記がされている場合に甲が丙に対して上記登記の更正登記手続を求めることができる範囲

6(最高裁第三小法廷平22.3.30判決)
専願等を資格要件としない大学の推薦入学試験に合格した者が入学年度開始後に在学契約を解除した場合において,いわゆる授業料等不返還特約が有効とされた事例

7(最高裁第三小法廷平22.3.16判決)
複数の債権の全部を消滅させるに足りない弁済を受けた債権者が,特約に基づく充当指定権を行使することが許されないとされた事例

8(最高裁第三小法廷平22.3.30判決)
貸金業を営む株式会社の従業員が会社の貸金の原資に充てると欺罔して金員を詐取した行為が会社の事業の執行についてされたというための要件

[商 法]
9(最高裁第三小法廷平22.3.16判決)
株主総会の決議を経て内規に従い支給されることとなった会社法361条1項にいう取締役の報酬等に当たる退職慰労年金につき,集団的,画一的な処理が制度上要請されているという理由のみから,内規の廃止により未支給の退職慰労年金債権を失わせることの可否

[諸 法]
10(最高裁第一小法廷平22.4.8判決)
いわゆる経由プロバイダは,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律2条3号にいう「特定電気通信役務提供者」に該当するか

[民事訴訟法]
11(最高裁第二小法廷平22.4.12決定)
名古屋市議会の会派が市から交付された政務調査費を所属議員に支出する際に各議員から諸経費と使途基準中の経費の項目等との対応関係を示す文書として提出を受けた報告書及びこれに添付された領収書が民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるとされた事例

[倒産処理法]
12(最高裁第三小法廷平22.3.16判決)
債務者の破産手続開始の決定後に物上保証人が複数の被担保債権のうちの一部の債権につきその全額を弁済した場合に,債権者が破産手続において上記弁済に係る債権を行使することの可否

行政裁判例
[行政法一般]
1(大阪地裁平21.9.25判決)
1 初乗運賃を480円などとする一般旅客自動車運送事業に係る旅客の運賃及び料金の変更認可申請が道路運送法9条の3第2項3号の基準に適合しないとして同申請を却下した近畿運輸局長の処分が判決により取り消された後,再度,上記申請が上記基準に適合しないとして同申請を却下した同局長の処分につき,裁量権を逸脱し又はこれを濫用した違法があるとしてこれを取り消した上,上記申請の認可を義務付けた事例
2 一般旅客自動車運送事業に係る旅客の運賃及び料金の変更認可申請の却下処分が判決により取り消された後,再度された同申請の却下処分が,近畿運輸局長において通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然とされたものであるとして,国家賠償請求が一部認容された事例

[国家補償法]
2(福岡地裁小倉支部平21.10.6判決)
医療刑務所に服役中の受刑者が自殺した場合について,国に対する国家賠償請求を認容した事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(熊本地裁平22.1.29判決)
1 外国人研修・技能実習制度を利用して日本に入国した外国人がその研修期間中に従事した作業について,労働基準法及び最低賃金法の適用を認めた事例
2 外国人研修制度の第2次受入れ機関による研修生・技能実習生に対する,旅券・預金通帳等の強制管理・違法な長時間労働があったとして,これらの行為を一体として,第2次受入れ機関の研修生・技能実習生に対する不法行為責任が認められた事例
3 外国人研修制度の第1次受入れ機関による第2次受入れ機関に対する監査・指導をする注意義務の違反があったとして,第1次受入れ機関の研修生・技能実習生に対する不法行為責任が認められた事例
4 上記制度に関与する財団法人の個々の外国人研修生・技能実習生に対する法的義務を認めなかった事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(大阪地裁平21.7.29判決)
1 保証人が主債務者の破産申立てによる期限の利益喪失を知らないまま,債権者との間で保証期間その他の保証条件を変更する合意をした場合に,当該合意が錯誤により無効とされた事例
2 保証人が主債務者が支払猶予を受けることを前提とする保証条件の変更を承諾したとしても,主債務者の破産申立てによる期限の利益喪失の時から起算される約定除斥期間の経過を理由に保証債務の消滅を主張することが信義則に反しないとされた事例

2(大阪地裁平21.7.16判決)
中古建設機械の取得者に調査確認義務違反があり,即時取得を認めなかった事例

3(東京地裁平21.7.27判決)
郵便事業者が弁護士法23条の2所定の照会に対する回答を拒否した場合において,同照会を申し出た弁護士の依頼者は,郵便事業者に対し,不法行為に基づく損害賠償を請求することができない

4大淀病院事件(大阪地裁平22.3.1判決)
妊婦が分娩中に脳出血を発症して転送先病院で死亡したことにつき,被告病院医師がCT検査等を実施しなかった点に過失はなく,死亡との因果関係も認められないとして,損害賠償請求が棄却された事例

5(名古屋地裁平21.12.16判決)
妊娠高血圧症候群の管理目的で入院した患者が,HELLP症候群及び子癇を発症して死亡したことについて,血液検査及び降圧剤投与の点で帝王切開後の管理が不十分であったとして過失が認められた事例

6(大阪高裁平21.5.15判決)
1 相続財産法人は養子縁組無効確認訴訟の原告となることができるか
2 民法802条1号にいう「縁組をする意思」の意義
3 養子縁組が「縁組をする意思」を欠くことを理由に無効とされた事例

[知的財産]
7(知的財産高裁平21.8.18判決)
特許発明の独占的通常実施権者Aとの間で通常実施権の許諾契約を締結した者Bの債務不履行により同契約が解約された後,Bが同発明の実施品を販売した行為がAに対する債務不履行となるとして実施料相当額の損害賠償請求が認められた事例

[民事執行法]
8(東京高裁平21.11.16決定)
相手方(債権者)らの抗告人(債務者)に対する各退職金支払請求権を被担保債権とする雇用関係の一般先取特権の存在を証明する文書の提出があるとされた事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京高裁平21.12.22判決)
収賄,議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反の罪に問われ実刑に処せられた被告人からの事実誤認,法令適用の誤りや量刑不当等を理由とする控訴が棄却された事例

記事紹介
大阪地方裁判所第21・26民事部と大阪弁護士会知的財産委員会との協議会(2009年度)

証人尋問,被告人質問に関する諸問題[大阪刑事実務研究会]
5 証人の検察官調書を示す尋問/田中伸一
6 弁護人との接見時のやりとりに関する尋問/中桐圭一
7 伝聞供述について/平城文啓


判例紹介
最高裁判例
[国家補償法]
1(最高裁第三小法廷平22.2.23判決)
市営と畜場の廃止に当たり市が利用業者等に対してした支援金の支出が,国有財産法19条,24条2項の類推適用又は憲法29条3項に基づく損失補償金の支出として適法なものであるとはいえないとされた事例

行政裁判例
[行政法一般]
1(大阪地裁平21.6.18判決)
韓国に居住する者が原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成20年法律第78号による改正前のもの)に基づいて行った被爆者健康手帳の交付申請につき,日本国内に現在して申請を行わなかったことを理由としてされた却下処分が,違法とされた事例

[国家補償法]
2(①東京地裁平21.9.10判決)(②東京地裁平21.9.10判決)
1 法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(以下「財政援助制限法」という。)3条が原則として禁止しているのは保証契約であり,それと法的性質を異にする損失補償契約は,禁止の対象に含まれない
2 地方公共団体が金融機関との間で締結した損失補償契約が,財政援助制限法3条にいう「保証契約」に該当しないとされた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(鹿児島地裁平22.2.16判決)
レストランの支配人が心室細動の発症によって低酸素脳症による完全痳痺となったことにつき,経営会社の安全配慮義務違反の損害賠償責任が認められた事例

2(東京地裁平21.9.15判決)
1 勤務シフトごとに1日当たりの賃金が定められている場合で,①夜勤シフトの所定労働時間には深夜時間帯が含まれ,②当務シフトの所定労働時間が12時間とされているときに,定められた賃金には労働基準法37条所定の割増賃金は含まれていないとされた事例
2 異動命令が労働組合をつぶすためにされたものであり不法行為であるとして,損害賠償請求を認めた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平21.12.9判決)
1 入札要項の交付による申込みと入札書の提出による承諾とによって不動産仲介業者・買主間の媒介契約が成立したとされた事例
2 国土交通省告示の規定手数料最高額での媒介手数料の合意の成立が否定され,同最高額を媒介手数料とする慣行ないし慣習の存在も認められないとされた事例
3 不動産仲介業者の買主に対する商法512条に基づく相当報酬額33億円が認容された事例

2(東京地裁平21.12.4判決)ジェイコム株式誤発注事件
誤発注をした証券会社が証券取引所に対してした取消注文が実現しなかったことによる損害賠償を求めた事案で,証券会社には重大な過失が認められるとして,請求を一部認容した事例

3(福岡地裁小倉支部平21.7.14判決)
1 売買された土地に岩塊等の地中埋設物があり,中高層建物を建てるに当たり工法変更が必要になった場合につき,瑕疵担保責任が認められた事例
2 1の場合につき,工法変更による工事費用増加額は瑕疵と相当因果関係のある損害と認められたが,工事遅延による逸失利益は相当因果関係が認められなかった事例

4(東京高裁平22.1.15判決)
貸金業者が貸金業法43条1項の適用があると認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるとされた事例

5(福島地裁郡山支部平21.9.4判決)
スクーバ・ダイビングのツアーに参加した者がスクーバ・ダイビング中にでき死した事故に関し,スクーバ・ダイビングにおけるガイド個人及びツアーの企画・主催を行った会社の損害賠償責任が否定された事例

6(東京高裁平20.9.26判決)
1 獣医師は,飼い主との診療契約に基づき,飼い主の意向を確認する必要があり,その前提として病状,治療方針等について飼い主に説明をする義務を負う旨判示した事例
2 ペットの入院が長期化し,瀕死の状態になったこと等につき,原審が20万円の限度で認めた飼い主の慰謝料の額を40万円に増額した事例

7(名古屋地裁一宮支部平20.9.24判決)
訪問介護において,歩行・起立・座位不能な少年に対する食事介助中に,少年が食物を誤嚥し,窒息死した事故について,訪問介護員及び介護センター,介護センター代表取締役の損害賠償責任の存否

[知的財産]
8(①知的財産高裁平21.10.22判決)(②知的財産高裁平21.10.22判決)タフロタン事件
登録商標の使用をしていることが認められるとして,商標法50条1項に基づく登録取消審判請求を認めなかった審決を維持した事例

9(知的財産高裁平21.9.3判決)
特許無効審判請求事件の係属中に複数の請求項に係る訂正請求がされた場合において,その訂正の目的の実質が特許無効審判請求に対する防御手段としてのものであるときは,訂正の対象となっている請求項ごとに個別にその許否を判断すべきであるとして,請求項ごとに訂正の許否の判断がされなかった審決が取り消された事例

10(知的財産高裁平21.5.27判決)
「新極真会」の商標登録が,商標法4条1項7号及び同項19号に該当しないとされた事例

[民事訴訟法]
11(東京地裁平21.12.18判決)
宗教法人が寺院等を運営する宗教法人又は個人に対し名称使用差止め等を求めた場合において,原告宗教法人代表者の代表権が争われ,その前提問題として宗教上の教義にわたる事項に関する判断が避けられず,訴訟要件の充足を認めることができないとして訴えが却下された事例

[民事執行法]
12(東京高裁平21.10.5決定)
抗告人が,相手方が有する条件付所有権移転の仮登記上の権利の差押命令を得た後に,相手方からこの権利を譲り受けた申立外株式会社が仮登記に基づく本登記をしたことから,仮登記上の権利が消滅したとして,職権により上記差押命令を取り消した原決定が維持された事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(大阪地裁平22.1.8判決)
共同住宅を受注建築しこれを所有する建築会社の承諾を得て,同建物につき所有者の表題登記を了していた発注会社の代表者と被告人が共謀の上,建築会社に無断で発注会社名義で所有権保存登記をした行為が,業務上横領罪等に当たるとされた事例

[刑事訴訟法]
2(東京地裁平22.4.7決定)
裁判員対象事件である傷害致死罪の事案について公判前整理手続が終了した段階で保釈を許可した原裁判が準抗告審で維持された事例

講演 弁護過誤を避けるために/加藤新太郎

建物の占有と土地の占有
――民法,民事訴訟法,民事執行法を踏まえた法的分析/淺生重機

争点整理の新しい運用に関する一試案
――福岡民事プラクティス研究会の議論を踏まえて/藤田正人

判例展望民事法 44
文書提出命令
――その現状と課題/松井雅典


最高裁判例
[国家補償法]
1(最高裁第三小法廷平22.3.2判決)
北海道内の高速道路で自動車の運転者がキツネとの衝突を避けようとして自損事故を起こした場合において,小動物の侵入防止対策が講じられていなかったからといって上記道路に設置又は管理の瑕疵があったとはいえないとされた事例

[租税法]
2(最高裁第三小法廷平22.3.30判決)
1 県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い,県から同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が,当該建物を第三者に譲渡して上記土地外に曳行移転させた場合において,上記補償金のうちに上記曳行移転の費用に充てられた金額があるときは,当該金額について所得税法44条の適用を受けるか
2 県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い,県から同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が,当該建物を第三者に譲渡して上記土地外に曳行移転させた場合において,上記補償金が「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則」(昭和38年3月7日用地対策連絡会決定)所定の再築工法によった場合の建物の移転料の算定方法に準ずる方法で算定されたものであり,かつ,上記の建物譲渡が個人に対する無償の譲渡であるときは,上記補償金の金額で上記曳行移転の費用に充てられた金額以外の金額のうちに所得税法44条又は租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条1項の適用を受ける金額があるか

[民 法]
3(最高裁第三小法廷平22.1.26判決)
損害賠償額の算定に当たり被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算する場合における中間利息控除の方法はホフマン方式によらなければならないか

[諸 法]
4(最高裁第三小法廷平22.3.30判決)
金の商品先物取引の委託契約において将来の金の価格は消費者契約法4条2項本文にいう「重要事項」に当たるか

[刑 法]
5(最高裁第一小法廷平22.3.15決定)
1 インターネットの個人利用者による名誉毀損と摘示事実を真実と誤信したことについての相当の理由
2 インターネットの個人利用者による名誉毀損行為につき,摘示事実を真実と誤信したことについて相当の理由がないとされた事例

行政裁判例
[行政法一般]
1(福岡高裁平21.11.30判決)原爆症認定熊本訴訟控訴審判決
原爆症認定申請却下処分が違法として取り消されたが,国家賠償請求は理由がないとされた事例


[国家補償法]
2(福岡地裁小倉支部平21.10.1判決)
小学生の担任教諭の体罰直後の自殺について,学校側の損害賠償責任が認められた事例

労働裁判例
[集団的労働関係]
1(東京地裁平21.4.22判決)
会社と業務委託契約を締結し,住宅設備機器の修理業務に従事するカスタマーエンジニア(CE)が労組法上の労働者と認められた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平21.11.9判決)
八百長相撲等を内容とする週刊誌の記事が名誉毀損に当たり,裏付け取材が不十分であった等として,出版社,執筆者らの不法行為責任が肯定された事例

2(大阪地裁平21.1.30判決)
いわゆるヤミ金融業者が債権回収に名を借りて行った過酷な取立てが恐喝行為に当たるとされた上,同行為と債務者の自殺との間に相当因果関係が認められた事例

3(横浜地裁平21.10.14判決)
腹痛を訴え病院に救急搬入された小児が絞扼性イレウスで死亡した場合,病院の医師に所定の検査を怠った過失があったとして,病院側の損害賠償責任が認められた事例

[商 法]
4(大阪地裁平21.5.18判決)
1 自動車保険契約約款の車両条項における飲酒免責条項につき,制限的解釈をした事例
2 追突による自損事故を起こした原告が政令数値以下のアルコールを保有していた事案につき,運転者の飲酒行動,身体に保有したアルコール量,アルコール耐性や事故当時の肉体的及び精神的状態,事故当時の運転状態ないし事故態様及び原因等を総合的に考慮し,「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」での運転に当たるとして,保険者の免責を認めた事例

[知的財産]
5(大阪高裁平22.1.22判決)
節分用の巻き寿司についての被告標章「十二単の招福巻」のうち「招福巻」の部分は普通名称となっていたことを理由に原告登録商標「招福巻」の商標権の効力が及ばないとされた事例

6(知的財産高裁平21.9.8判決)アイディー事件
本願商標(「アイディー」の片仮名文字を標準文字で書して成る。)は,商標法3条1項6号所定の「需要者が何人かの業務に係る商品……であることを認識することができない商標」に該当するとした審決が維持された事例

[諸 法]
7(東京高裁平21.12.18判決)東京都新都市建設公社(多摩地区)談合事件財団法人東京都新都市建設公社発注の特定土木工事の取引分野(指名競争入札)において,多摩地区において営業活動をするいわゆるゼネコン33社による入札談合の基本合意が認められ,これに基づき受注調整行為が行われた結果として,競争の実質的制限(不当な取引制限)がされたもので,課徴金対象該当性が認められるとして,課徴金納付命令審決の取消請求が棄却された事例

[民事訴訟法]
8(東京地裁平21.11.17判決)
契約の債務不履行に基づく損害賠償請求訴訟について,民事訴訟法の義務履行地の裁判籍の規定(民事訴訟法5条1号)に依拠して我が国の裁判所の国際裁判管轄を肯定するためには,原則として,原告と被告の間に当該債務の発生原因である契約が締結されたとの客観的事実関係が証明されることが必要であるが,その証明がないとされた事例

[民事執行法]
9(東京高裁平21.9.25決定)
1 買受けの申出をする前に不動産が損傷した場合に民事執行法75条1項が類推適用されるのは,買受人が買受申出前に損傷の存在を知り得なかった場合に限られるとされた事例
2 評価書において,競売目的物件内で事故死があった旨,評価額の算定に当たって事故死があったことを考慮して10%を控除した旨の記載がされていれば,買受人は,不動産の損傷,すなわち,同物件の交換価値を著しく損なう事実が存在することを知り得たものとされた事例

[倒産処理法]
10(福岡高裁那覇支部平21.9.7決定)
賃料債権に対する譲渡担保権について,民事再生法31条1項が類推適用され,担保権の実行手続の中止命令がされた事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(大阪地裁平21.6.11決定)
検察官による勾留請求が違法な再勾留請求にあたるとされた事例


【記事紹介】

大阪民事実務研究
偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律第4条の要件の検討
――債権の準占有者に対する弁済における「債権者の帰責事由」考/原司

民事手続法判例研究 (4)
外国の仲裁機関による仲裁の定めがある事件につき我が国で提起された保全命令事件の我が国の国際裁判管轄/河野正憲

独占禁止法の新たな展開 15
最近の個別事例/村上政博

【判例紹介】
速 報
[憲 法]
1(福岡高裁那覇支部平22.3.9判決)
いわゆる1人別枠方式を前提とした現行の選挙区割りの合憲性

最高裁判例
[租税法]
1(最高裁第三小法廷平22.2.16判決)
仕入れた重油及び灯油を石油精製工場に持ち込み,同工場を設置する会社に委託してこれらを軽油にし,販売先に譲渡する取引を行っていた業者について,上記業者が当該軽油の所有権を原始取得していなかった疑いがあることのみを理由として,上記業者は地方税法(平成21年法律第9号による改正前のもの)700条の4第1項5号にいう「軽油の製造」を行ったとはいえないから上記業者を同号に基づく軽油引取税の納税義務者であると解する余地はないとした原審の判断に違法があるとされた事例

[地方自治法]
2(最高裁第三小法廷平22.2.23判決)
市議会の会派に交付する政務調査費の使途を「会派が行う」調査研究活動と定める函館市議会政務調査費の交付に関する条例施行規則(平成13年函館市規則第4号)の下で,会派の代表者の承認を得て政務調査費が会派から所属議員に支出された場合において,当該支出が上記の「会派が行う」との要件を満たすとされた事例

行政裁判例
[国家補償法]
1(東京地裁平21.7.31判決)
構造計算書に偽装がなされた建築物の建築確認審査について,建築主事を置く自治体及び指定確認検査機関に注意義務違反がないとして,責任を否定した事例

[地方自治法]
2(名古屋地裁平21.3.26判決)
市議会の会派が政務調査費から支出した費用のうち,㈰当該会派の所属議員により構成される議員総会等の昼食代,㈪当該会派発行に係る機関紙の印刷費用のうち,所属議員の後援会活動又は選挙活動の一環と認められる記載部分に係る費用は,政務調査費の使途基準に適合しないとされた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(宮崎地裁平21.9.28判決)
解雇が無効とされた場合,使用者は,解雇時点に遡って当該労働者の被保険者資格等を回復させることが望ましく,年金資格の回復方法について労働者の選択に委ねる余地があるとしても,使用者は,雇用契約に付随する義務として,当該労働者に対し,労働者が資格回復方法について合理的に選択できるよう,資格回復方法の利害得失について具体的に説明する義務を負うものとした事例

[集団的労働関係]
2(東京地裁平20.10.8判決)
1 人事部長による組合脱退慫慂行為が不当労働行為に当たるとされた事例
2 雇用契約期間満了時までに契約更新手続に応じなかった組合員に対する雇止めが,不当労働行為に当たらないとされた事例
3 雇用契約期間の満了した組合員の雇用契約上の地位に関する組合からの団体交渉申入れに対する対応が,不当労働行為に当たるとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平21.5.14判決)
1 他人による株式信用取引口座の使用を許諾した契約者に対する証券会社の差損金請求が認容された事例
2 インターネットを通じた株式信用取引における本人確認義務違反,取引リスク説明義務違反等の主張が認められなかった事例

2(大阪地裁平22.1.25判決)
フランチャイズ契約において,契約終了後の競業避止義務規定が公序良俗に違反せず,無効とはいえないとされた事例

3(東京地裁平21.12.24判決)
インターネットによる株式信用取引について名義貸しをした顧客らとの間の契約が認められ,同顧客らに対し,差損金の支払が命じられた事例

4(鳥取地裁平21.10.16判決)
医師である国立大学の大学院生が自動車を運転してアルバイト先病院に向かう途中,交通事故を起こして死亡した場合,その原因が過労による居眠り運転であるとし,大学側の安全配慮義務違反の責任が認められた事例

5(東京地裁平21.7.9判決)
1 弁護士事務所の代表者が中小企業基盤人材確保助成金の給付に係る事務処理等を社会保険労務士に委任したが,上記助成金の支給を受けることができなかったことについて,社会保険労務士の責任を否定した事例
2 弁護士事務所の法人化に伴い,所属弁護士及び従業員全員が弁護士国民健康保健組合を脱退し,その後同組合に再加入できなかったことについて,同組合及び社会保険労務士の説明に不備があったとはいえないとされた事例

6(大阪地裁平21.11.25判決)
後縦靱帯骨化症除去前方除圧術について被告病院医師に除圧幅が狭すぎた注意義務違反があり,それによって四肢麻痺の後遺障害が生じたとして損害賠償請求が認められた事例

7(名古屋地裁平21.6.24判決)
被告病院で出生したX1に脳性麻痺による後遺障害が残ったことについて,徐脈の発生時期が争われた事案において,分娩監視を怠った過失,及び同過失と上記後遺障害との間の因果関係が認められるものの,適切に分娩監視がなされていたとしても,一定の後遺障害の残った可能性が高いとして,その点を損害額の算定にあたって考慮し,原告らの損害賠償請求の一部を認容した事例

8(東京高裁平21.8.6判決)
遺言者が痴呆により遺言能力が欠けていたとして,自筆証書遺言が無効とされた事例

[知的財産]
9(知的財産高裁平21.8.27判決)
米国カリフォルニア州製のギターを指定商品とする登録商標と同一の引用商標が同登録商標の出願時及び登録査定時のいずれの時点においても米国人又はその関係会社が製造するギターを表示するものとして需用者の間に広く認識されており商標法4条1項10号に該当するとされて,同登録商標に係る登録を無効とした審決が維持された事例

[諸 法]
10(東京地裁平21.10.21判決)
坂道に停車していた自動車が,運転者の降車後後退を開始し,これを追いかけた運転者が死亡した事案につき,自動車に製造物責任法3条の「欠陥」が存在したとの主張が排斥された事例

[民事訴訟法]
11(東京地裁平21.11.10中間判決)
被告ら(英国領ヴァージン諸島で設立された法人と日本法人)が香港の裁判所に提起した損害賠償を求める訴えに対抗して,原告(日本法人)が提起した債務不存在確認を求める訴えにつき,日本の裁判所に国際裁判管轄が認められた事例

[倒産処理法]
12(東京地裁平21.11.10判決)
再生債権を自働債権とする相殺について,再生債権者が債務(受働債権)を負担するに当たり民事再生法93条1項2号にいう「専ら再生債権をもってする相殺に供する目的」を有していたと認めることはできないから,その相殺は,民事再生法93条1項2号の規定に違反するものと認めることはできないとされた事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京地裁平22.2.25決定)
建物ドアの違法な解錠を契機として現行犯逮捕がなされた場合に,逮捕手続に違法があるとして勾留請求を却下した原裁判が維持された事例


記事紹介
担保不動産収益執行の諸問題/中村隆次/野田恵司/小河好美/溝口 優
〔第1章〕収益執行の開始
〔第2章〕収益執行の開始に伴う諸問題
〔第3章〕収益執行期間中の対象不動産の管理,使用収益等に伴う諸問題
〔第4章〕収益執行における配当についての諸問題
〔第5章〕収益執行の終了に伴う諸問題
〔第6章〕収益執行と訴訟

公判前整理手続に関する諸問題 13[大阪刑事実務研究会]
複雑困難事件における問題(その3)――鑑定が事件の帰すうを決する場合/笹野明義


判例紹介
行政裁判例
[国家補償法]
1(東京高裁平21.12.17判決)
県知事が所定の要件を満たしていないのにこれを看過して一般建設業の許可をしたために,当該許可を受けた業者が瑕疵ある工事をして損害が発生したとして,当該業者に住宅の建設を注文した者が県に対してした損害賠償請求が棄却された事例

2(大阪地裁平20.12.8判決)
1 高速道路におけるスリップ事故について,事故態様に関する原告の主張を排斥して,路面凍結を原因とする事故とは認められないと判断した事例
2 国賠法2条1項にいう道路管理の瑕疵について,道路管理者は,自動車運転者に社会通念上要求される一般的な運行態度を前提として,予見しうる道路の危険性の有無や程度に応じた管理を行えば足り,それにもかかわらず発生した危険については,予見可能性及び回避可能性がないものとして,設置又は管理の瑕疵についての責任を負わないとの判断基準を示し,仮に,路面凍結がスリップ事故の原因となっているとしても,道路管理者には凍結の予見可能性もスリップ事故の回避可能性もなかったとして,国賠法2条1項に基づく責任を否定した事例

[租税法]
3(大阪高裁平21.10.16判決)
1 法人税の確定申告に対して,課税庁が所得金額の加算とともに減算をして行った増額更正処分に対する取消訴訟において,確定申告に係る申告所得金額・税額を超える部分の取消しを求めることは不適法か
2 法人が支給する使用人賞与の損金算入時期についての平成18年政令第125号による改正前の法人税法施行令134条の2の定めは,租税法律主義又は法人税法の定める損金算入基準に違反するか

[地方自治法]
4(神戸地裁平20.10.8判決)
酒気帯び運転をしたことを理由とする市役所職員に対する懲戒免職処分が裁量権を濫用したものであるとして取り消された事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平21.6.12判決)
財団法人の総務部長が,常務理事兼事務局長のパワハラ・セクハラ的言動を告発する報告書を理事長に提出したこと及び同報告書の内容を漏洩したことを理由とする懲戒解雇が無効とされた事例

2(東京地裁平20.12.8判決)
在籍出向中の労働者がうつ病に罹患し自殺した場合において,①出向先の安全配慮義務違反は肯定された(過失相殺3割)が,②出向元の安全配慮義務違反は否定された事例

[集団的労働関係]
3(東京地裁平20.9.10判決)
破産手続廃止決定が確定した株式会社を被申立人とする不当労働行為救済申立ての可否(消極)

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平20.12.19判決)
循環取引あるいは環状取引がされた疑いのある商流に介入して締結された売買契約が,錯誤により無効であるとされた事例

2(東京高裁平21.9.24判決)
箱根仙石原所在の分譲マンションにおいて,各居室の使用目的を原則として「不定期に保養施設として」使用することに限定する管理規約を新たに制定することの可否(消極)

3(東京地裁平21.9.3判決)
営業権譲渡代金債権を担保として譲渡する旨の契約の有効性

4(東京地裁平21.9.29判決)
転リース契約のリース料支払債務を貸金返還債務に類するものとみて当該リース料支払債務が転リース契約の締結時に全額発生するものとみることはできないから,毎月の転リース料の支払と毎月の転リース物件の使用とは対価関係に立つものというべきであって,当該転リース契約は,民事再生法49条1項にいう「双務契約」に当たるとした事例

5(東京地裁平21.9.15判決)
区分所有建物の管理組合の部会が専有部分における心療内科クリニックの営業開始を承認せず,区分所有者による専有部分の賃貸を妨げたことが同区分所有者に対する不法行為に当たるとされた事例

6(大阪地裁平21.7.27判決)
天然ガスエコ・ステーションの設置工事の指名競争入札において,入札事業者間で談合が行われたために発注者が損害を被ったと主張して,不法行為に基づき,発注者が受注者に対してした損害賠償請求が棄却された事例

7(東京地裁平20.2.29判決)
支払督促の申立ての違法性について

8(大阪地裁平21.9.29判決)
1 脳出血により入院中の患者が肺血栓塞栓症により死亡したことについて,医師に肺血栓塞栓症の予防措置を執らなかった注意義務違反が認められた事例
2 上記注意義務違反と死亡との間の因果関係が否定され,死亡時点で生存していた相当程度の可能性が認められた事例

[商 法]
9(東京地裁平21.7.15判決)
譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任(会社法22条)が認められた事例

[知的財産]
10(知的財産高裁平21.10.28判決)クラビット錠事件
特許権存続期間の延長登録がされた期間のうち,データ収集のために米国臨床試験に係る期間(1年8月23日)について,薬事法14条1項の承認等を受けることが必要であるために,その特許発明の実施をすることができない期間(特許法67条2項)に該当しないとされた事例

11(知的財産高裁平21.8.25判決)
1 切削対象物が「半導体パッケージ」である切削方法が,切削対象物として「半導体ウェーハ」のみを特許請求の範囲に記載した特許発明との関係で,均等侵害の第5要件を充たさないとされた事例
2 特許法104条の3の抗弁に対する再抗弁としては,①特許権者が,適法な訂正請求又は訂正審判請求を行い,②その訂正により無効理由が解消され,かつ,③対象方法が訂正後の特許請求の範囲にも属するものであることが必要である

[諸 法]
12(京都地裁平21.9.30判決)
1 定額補修分担金条項が消費者契約法10条により無効であるとされた事例
2 上記の無効条項を含む契約の申込み又はその承諾の意思表示を行うことの差止めが消費者契約法12条により認められた(一部は,却下又は棄却)事例

[民事訴訟法]
13(東京高裁平22.1.26決定)
金銭消費貸借基本契約書の「債権者の本社または営業店所在地を管轄する裁判所を合意管轄裁判所とする」との条項に基づいて提起された過払金返還請求訴訟について,同条項が無効であるとして消費者金融業者がした管轄違いを理由とする移送申立てが棄却された事例

[民事保全法]
14(福岡高裁平21.7.15決定)
暴力団組事務所等としての使用差止めなどを求める仮処分命令申立てのうち,暴力団組事務所等として使用されていた建物については認容し,暴力団組事務所等として使用されていた建物が取り壊された跡地については却下した事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平21.7.6判決)
特定不能のパーソナリティー障害に罹患した被告人がサバイバルナイフで母及び弟を多数回突き刺して殺害した殺人事件について,検察官が被告人に有利な事情をも相当程度斟酌して有期懲役刑を選択した上でした法定刑の最上限(懲役30年)の求刑に対し,被告人を懲役20年に処した原判決の量刑は軽すぎるとして,原判決を破棄し懲役28年の刑が宣告された事例
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