判例タイムズ

判例タイムズ 発売日・バックナンバー

全1548件中 196 〜 210 件を表示
●記事紹介

裁判所と日弁連知的財産センターとの意見交換会(平成22年度)……4

知財高裁における審理の実情などについて/真辺朋子……24

東京地裁における知財関係訴訟の実務について/岡本 岳……31

いわゆる過労死及び過労自殺における使用者の損害賠償責任(上)/大島眞一・戸取謙治……37

判例展望民事法52
法定地上権に関する判例の分析と展望/畠山 新……58

独占禁止法の新たな展開24
東日本電信電話会社事件最高裁判決と今後の課題/村上政博……75


●判例紹介

最高裁判例
[民 法]
1(最高裁第二小法廷平23.4.22判決)……87
契約の一方当事者が契約の締結に先立ち信義則上の説明義務に違反して契約の締結に関する判断に影響を及ぼすべき情報を相手方に提供しなかった場合の債務不履行責任の有無

2(最高裁第三小法廷平23.4.26判決)……92
精神神経科の医師の患者に対する言動と上記患者が上記言動に接した後にPTSD(外傷後ストレス障害)と診断された症状との間に相当因果関係があるということはできないとされた事例

3(最高裁第二小法廷平23.4.22判決)……97
信用協同組合が自らの経営破綻の危険を説明すべき義務に違反して出資の勧誘をしたことを理由とする出資者の信用協同組合に対する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効が,遅くとも同種の集団訴訟が提起された時点から進行するとされた事例

[知的財産]
4(最高裁第一小法廷平23.4.28判決)……102
特許権の存続期間の延長登録出願の理由となった薬事法14条1項による製造販売の承認に先行して当該承認の対象となった医薬品と有効成分並びに効能及び効果を同じくする医薬品について同項による製造販売の承認がされていることを延長登録出願の拒絶の理由とすることが許されない場合

[諸 法]
5(最高裁第二小法廷平23.4.22判決)……106
司法書士会に新たに入会する者のみに課される負担でその履行が入会の要件となっていないものが司法書士法(平成14年法律第33号による改正前のもの)15条7号にいう「入会金その他の入会についての特別の負担」に当たるか

行政裁判例
[行政争訟法]
1生活保護老齢加算廃止東京訴訟控訴審判決(東京高裁平22.5.27判決)……110
老齢加算の廃止等を内容とする生活保護基準の改定及びこれに基づいて給付を減額すること等を内容とする保護変更決定が生活保護法56条,8条2項及び9条並びに憲法25条等に反するものではなく適法とした第1審判決の判断が控訴審において是認された事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1税理士法人職員割増賃金等請求事件(東京地裁平22.6.30判決)……146
小規模な税理士法人の部長の肩書きを持つ従業員の管理監督者性が否定され,時間外労働に対する割増賃金及び解雇予告手当並びに各付加金の請求が認められた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(大阪地裁平21.11.26判決)……166
マンションの売買契約に際し,居室内で死亡事件のあったことを売主が告げなかったことが買主に対する契約上の告知義務違反に当たると判断した事例

2(東京地裁平22.2.23判決)……171
週刊誌に連載された記事による労働組合の名誉毀損が一部認められた事例

3(福岡地裁平23.1.27判決)……191
将来の介護費用及び在宅介護用品費等について,原告が一時金賠償を求めたにもかかわらず,定期金賠償の方式による支払を命じた事例

[知的財産]
4(知的財産高裁平22.8.31判決)……200
本件商標と引用商標は類似しないこと,引用商標は本件商標の出願時及び登録審決時において相当程度に多数の需要者・取引者に知られていたといえるが著名性が高いとはいえなかったことなどの事情を考慮し,本件商標は,商標法4条1項15号所定の商標には該当しないと判断し,同号により本件商標を無効とした審決が取り消された事例

5(東京地裁平22.9.10判決)……214
小説を原作とする映画の脚本(二次的著作物)を「年鑑代表シナリオ集」に掲載することについて,原著作者である小説家には諾否の自由があり,これを拒否したとしても,脚本家らに対する関係で不法行為を構成するものではないとされた事例

[民事訴訟法]
6(仙台地裁平23.2.25判決)……226
訴訟手続に関与する機会が与えられないまま本案の敗訴判決が確定したことを理由に開始された再審事件において,再審原告の主張が認められ,本案判決が取り消された事例

[民事執行法]
7(東京高裁平22.9.3決定)……232
明渡猶予の認められる物件における建物使用の対価の性質は,使用収益者自身による当該建物の使用収益を経済的に評価して,買受人に返還すべき不当利得に類似するものであり,占有者の従前からの使用収益の継続を前提とした継続賃料の額をも考慮して,適正な使用の対価の額を算定するのが相当である

[倒産処理法]
8(東京地裁平23.3.1判決)……236
再生債務者がした抵当権設定行為について無償行為否認が認められた事例

9(東京高裁平22.12.22判決)……243
小規模個人再生の手続開始後,再生債権者は再生手続外で詐害行為取消権を行使することはできないとした事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(福岡高裁平22.9.16判決)……246
看護師が入院患者2名の足の爪を剥離させたとして起訴された傷害2件の事案について,捜査段階の自白の信用性を否定し,一部は傷害の故意がない,一部は正当業務行為として違法性が阻却されるとの理由により,無罪が言い渡された事例
●記事紹介

大阪地方裁判所第21・26民事部と大阪弁護士会知的財産委員会との協議会(2010年度)

訴訟代理人から見た知的財産関連事件の立証について/溝上哲也

パブリシティ権についての裁判例の分析(下)/菊地浩明

労働災害事件/鈴木拓児

刑事裁判ノート?裁判員裁判への架け橋として(11)/門野 博


●判例紹介

最高裁判例
[集団的労働関係]
1新国立劇場運営財団事件(最高裁第三小法廷平23.4.12判決)
年間を通して多数のオペラ公演を主催する財団法人との間で期間を1年とする出演基本契約を締結した上,各公演ごとに個別公演出演契約を締結して公演に出演していた合唱団員が,上記法人との関係において労働組合法上の労働者に当たるとされた事例

[民 法]
2(最高裁第一小法廷平23.4.28判決)
新聞社が通信社からの配信に基づき自己の発行する新聞に記事を掲載するに当たり当該記事に摘示された事実を真実と信ずるについて相当の理由があるといえる場合

3(最高裁第二小法廷平23.3.18判決)
妻が,夫に対し,夫との間に法律上の親子関係はあるが,妻が婚姻中に夫以外の男性との間にもうけた子につき,離婚後の監護費用の分担を求めることが,権利の濫用に当たるとされた事例

[倒産処理法]
4(最高裁第三小法廷平23.3.1判決)
届出のない再生債権である過払金返還請求権について,届出があった再生債権と同じ条件で弁済する旨を定める再生計画と上記過払金返還請求権の帰すう

憲法裁判例
[憲 法]
1(東京高裁平22.6.29判決)
1 裁判官以外の者を裁判所の構成員に加える「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」は,憲法32条に違反せず,憲法が保障する裁判を受ける権利を侵害しない
2 裁判員がくじで選定され,その氏名等が非開示とされていることは,公平な裁判所の保障を定めた憲法37条1項に違反しない
3 裁判員の氏名等を非開示とすることは,憲法37条1項が規定する公開裁判の原則に違反しない
4 裁判員がくじで選定されることは,憲法15条1項が定める国民の公務員選定罷免権を侵害しない
5 一定の職種について就職禁止事由を定める「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」15条は,憲法14条の定める法の下の平等に違反しない

行政裁判例
[行政争訟法]
1(京都地裁平23.4.28決定)
1 行訴法12条1項及び3項に基づいて取消訴訟の管轄を定めるに当たり,処分後に処分行政庁及び下級行政機関が廃止された場合であっても,同法7条・民訴法15条により,訴え提起時を標準とすべきである
2 日本年金機構は,社会保険庁長官等がした分限免職処分の権限を承継した行政庁とはいえない

[国家補償法]
2(大阪地裁平23.1.20判決)
強盗致傷の罪で起訴されたものの無罪判決が確定するなどした原告らが,捜査及び公訴提起の違法性等を理由に国家賠償を求めた事案について,警察官による取調べが違法であったとして請求の一部を認容した事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1アールインベストメントアンドデザイン事件控訴審判決(東京高裁平22.9.16判決)
1 労基法81条の打切補償をしたうえで解雇した場合には特段の事情がない限りは,当該解雇は合理的理由があり社会通念上も相当であるとされた事例
2 会社代表者の顔写真,住所を記載したビラを会社前,代表者の居住するマンションで配付等する行為は,正当な組合活動を逸脱しているとして会社代表者の損害賠償請求が認容された事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(大阪地裁平22.9.30判決)
水俣病患者団体とチッソ株式会社との間で昭和48年7月9日に締結された水俣病補償協定は,民法537条1項の第三者のためにする契約であるとしても,水俣病による損害賠償請求についての紛争解決を目的とする協定の性質からみて,第三者として協定の適用を受けられる者は,協定締結以降に認定された患者をすべて含むのではなく,水俣病を発生させた原因企業である被告に対する水俣病による損害賠償請求権について認定前に確定判決を受けた者は,解釈上当然に除かれるとした事例

2小笠原テクノスーパーライナー(TSL)事件(東京地裁平22.9.21判決)
1 傭船者が傭船契約の解除を主張するなどして船舶の引取りを拒絶する意思を表明したことが,船主の船舶引渡債務の履行の前提となる建造代価支払のための金融機関からの融資,ひいては傭船契約の実現を妨げるものとされ,信義則上の義務に違反するものと認められた事例
2 国が主導した高度船舶技術の事業化プロジェクトにおいて,運航事業者である傭船者が,運航事業による巨額の損失発生が見込まれるとして,国及び東京都に対して損失補填の確約等の公的支援を求めるとともに,船舶の引取りを拒絶する意思を表明したことについて,正当な理由があるとはいえないとされた事例

3(千葉地裁平23.2.17判決)
売買された土地が接道義務を満たしていない場合,売主及びその仲介業者に説明義務の違反があったとして,買主に対する不法行為責任が認められた事例

4(大阪高裁平22.7.13判決)
証券会社の担当者の勧誘により東証一部の上場株式(NTT株)を大量に購入し,その値下がりにより損失を受けた顧客が,その勧誘行為が適合性原則から著しく逸脱したものであり不法行為を構成するなどと主張して,証券会社にその賠償を求めた請求が棄却された事例

5(名古屋高裁平22.3.31判決)
交通事故の被害者についていわゆる信頼の原則が適用される場合であるとして過失相殺が否定された事例

[知的財産]
6顧客支援システム事件(知的財産高裁平22.10.13判決)
発明の名称を「インターネットを利用した顧客支援システム」とする特許出願について,特許請求の範囲の補正を含む手続補正が特許法17条の2第3項の規定に違反するので却下すべきとした審決が,維持された事例

[民事執行法]
7(東京高裁平23.5.16決定)
支店を一つに特定せず支店間支店番号順序方式により差押債権である預金債権を表示した差押命令申立てが差押債権の特定を欠き不適法であるとされた事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平21.5.28決定)
供述録取書等の証拠書類から供述者の特定に係る住居,職業,本籍,電話番号等の事項を除外して証拠請求することの可否
●記事紹介

座談会 交通損害賠償における実務の現状/中西茂・鈴木尚久・德永幸藏・佐藤克則・田中敦・藤田昌宏

パブリシティ権についての裁判例の分析(上)/菊地浩明

建物賃貸借契約における更新料条項を巡る裁判例の諸相/梶山太郎・高嶋諒

判例展望民事法51
詐害行為取消権(下)―近時の裁判例を概観しつつ若干の検討を加えて/西村真人

類型別会社訴訟シリーズ〔追補〕2
株券電子化に伴う会社訴訟における留意事項について/有田浩規

大阪地方裁判所における個人再生手続の現状と運用の改善について―『改正法対応 事例解説個人再生―大阪再生物語』刊行後の運用/木下竜哉・大西千流・上田さおり・山田真弓・上田健二・林茂・長尾友子・鰐渕幸枝・三浦毅

ブック・レビュー
坂原正夫著『民事訴訟法における訴訟終了宣言の研究』
学問の薫りに誘われて/須藤典明


●判例紹介

速 報
[地方自治法]
1(東京地裁平23.2.4判決)
市が住民基本台帳ネットワークシステムに接続していないことが違法であり,それに伴う公金支出が違法であるとして,市民である原告らが,市長に対し,その支出の差止めを求めるとともに市長個人に対する損害賠償を請求することを求めた住民訴訟が一部認容された事例

憲法裁判例
[憲 法]
1(①福岡高裁平23.1.28判決)(②高松高裁平23.1.25判決)(③広島高裁平22.12.10判決)
平成18年法律第52号による改正後の公職選挙法14条,別表第3に係る選挙区及び議員定数の規定の合憲性

2(東京高裁平22.11.17判決)
公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性(違憲)

行政裁判例
[行政争訟法]
1(東京地裁平22.8.27判決)
日本司法支援センター理事長が,同センターとセンター相談登録契約等を締結した弁護士に対してした同契約等について1年の契約締結拒絶期間を伴う契約解除の措置をとるとの決定は,行政事件訴訟法3条2項の「処分」に当たらないとした事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平22.4.19判決)
大麻使用を理由としてされた力士の解雇が無効な法律行為とはいえないとされた事例

2(東京高裁平22.1.20判決)
外資系旅行代理会社のファイナンシャル・コントローラーが会社から使用を許されていないディレクターの肩書を用いて手紙やEメールを作成し,自分が私的に関心をもった事業案件について,あたかも会社がその案件に関心を持っているように装い,繰り返し会社の実績・信用を利用して情報提供を求め,案件への参画を実現しようとしたことは,職務上の地位を利用して自己の利益を図ったものということができ,懲戒解雇が相当であるとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平22.9.15判決)
1 半導体容器洗浄装置の継続的供給契約における競業禁止条項は公序良俗に反しないとされ,上記装置製造業者に対する競業行為の差止め請求が認容された事例
2 供給者のした継続的供給契約の更新拒絶は,自動更新後の期間満了との関係では有効であるが,継続的な受注義務に違反するとされた事例

2(さいたま地裁平23.1.26判決)
判例雑誌に掲載された判決文中の当事者名が実名のまま表示されたことについて,プライバシー侵害による不法行為は成立しないとされた事例

3(徳島地裁阿南支部平23.1.21判決)
26歳の中国人研修生の逸失利益の算定における基礎収入について,日本における賃金センサス産業計男性中学卒全年齢平均賃金の3分の1をもって基礎収入とするのが相当であるとした事例

4(東京地裁立川支部平22.12.8判決)
デイサービスの利用者が食事中の誤嚥で死亡した事故について,事業者の責任が否定された事例

5(広島高裁平22.1.28判決)
交通事故の被害者に脊柱管狭窄が認められる場合において,当該脊柱管狭窄が個体差の範囲内に属するということができず,誰にでも起こり得る通常の加齢による骨の変成とも異なるものであるとして,いわゆる素因減額が認められた事例

[商 法]
6(大阪地裁平21.10.22判決)
弁護士賠償責任保険において,社会福祉法人から預託を受けていた補助金につき法人の理事長の母が補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律11条1項に違反して他の用途に流用することを知りながら,同人の依頼により弁護士が送金をしたことにより,依頼者である社会福祉法人に損害を被らせて弁護士としての損害賠償義務を負った場合について,その弁護士の行為が,約款の免責条項に定める「他人に損害を与えるべきことを予見しながら行った行為」に該当するとして,弁護士賠償責任保険金の請求を棄却した事例

[諸 法]
7(東京地裁平21.8.7判決)
トランス(電気変圧器)製造工場において発生した火災の原因が,同工場内の熱風循環式乾燥装置内部からの発火であり,同装置に欠陥があるとして,その製造販売業者に対する製造物責任法に基づく損害賠償請求が認められた事例

[民事執行法]
8(東京高裁平22.11.9決定)
建物の賃貸人と賃借人の間の減額合意による賃料額が,民法395条2項にいう「使用の対価」の額とは認められないと判断された事例

[倒産処理法]
9(東京地裁平22.11.12判決)
支払停止などを予約完結権の発生事由とする集合債権譲渡担保の予約契約に基づく債権譲渡について破産法162条1項1号イに基づく否認が認められた事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(大阪地裁平22.5.25判決)
被告人と犯人の同一性が争われている傷害被告事件において,情況証拠を検討して犯人性が肯定されたと考えるには合理的疑いが残っているとして無罪を言い渡した事例
●記事紹介

倉田卓次先生を偲んで
倉田卓次の思い出/石川義夫
知の巨人倉田卓次さんとの思い出/田尾桃二
倉田卓次さんの大きな世界/中野貞一郎
倉田さんのことー思いだすままに/伊藤滋夫
思い出すことども/加茂紀久男
碩学倉田さんを偲ぶ/篠田省二
追 悼 倉田卓次さん/渋川 満
教育者としての倉田さん/柏木邦良
倉田さんのご指導とご厚情に感謝して/並木 茂
交通事故による損害賠償算定の基準について/田中康久
倉田卓次先生の想いで/佐々木一彦
倉田さんとの思い出/大野市太郎
倉田「所長」の思い出/嘉村 孝

遺留分減殺請求訴訟における遺留分算定について
ー計算シートによるモデル訴状の提案/東京地方裁判所プラクティス委員会第三小委員会

判例展望民事法50
詐害行為取消権(上)
ー近似の裁判例を概観しつつ若干の検討を加えて/西村真人

独占禁止法の新たな展開23
多摩地区入札談合(東京都新都市建設公社)事件13判決の意味するもの(下)/村上政博

実務現代刑事法(その3)
ー刑事の裁判に関するワンポイントアドヴァイス集/植村立郎

ブック・レビュー
坂本慶一著『新要件事実論ー要件事実論の生成と発展』
もう一つの要件事実論入門/加藤新太郎


●判例紹介
最高裁判例
[租税法]
1(最高裁第二小法廷平23.3.25判決)
1 家屋の建替え中のため固定資産税の賦課期日に地方税法(平成18年法律第7号による改正前のもの)349条の3の2第1項所定の居住用家屋が存しない土地に係る当該年度の固定資産税及び都市計画税につき,同条2項1号,地方税法702条の3第2項各所定の住宅用地に対する課税標準の特例の適用があるとされた事例
2 家屋の建替え中のため固定資産税の賦課期日に地方税法349条の3の2第1項所定の居住用家屋が存しない土地に係る当該年度の固定資産税及び都市計画税につき,同条2項1号,同法702条の3第2項各所定の住宅用地に対する課税標準の特例の適用がないとされた事例

2(最高裁第三小法廷平23.3.22判決)
給与等の支払をする者が判決に基づく強制執行によりその回収を受ける場合における源泉徴収義務の有無

3(最高裁第二小法廷平23.2.18判決)
香港に赴任しつつ国内にも相応の日数滞在していた者が,国外財産の贈与を受けた時において,相続税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)1条の2第1号所定の贈与税の課税要件である国内(同法の施行地)における住所を有していたとはいえないとされた事例

[民事訴訟法]
4(最高裁第三小法廷平23.3.9決定)
抗告事件を終了させることを合意内容に含む裁判外の和解と抗告の利益

5(最高裁第三小法廷平23.2.15判決)
給付の訴えにおける原告適格

憲法裁判例
[憲 法]
1(東京高裁平22.6.21判決)
1 裁判官でない者が刑事裁判に関与することを定める裁判員法は憲法80条1項に違反するか(消極)
2 裁判員の参加する合議体は憲法76条2項にいう特別裁判所に当たるか(消極)

行政裁判例
[行政法一般]
1生活保護老齢加算廃止福岡訴訟控訴審判決(福岡高裁平22.6.14判決)
老齢加算の廃止等を内容とする生活保護基準の改定及びこれに基づいてなされた保護変更決定が生活保護法56条に違反するとされた事例

[租税法]
2(大阪地裁平22.6.24判決)
ゴルフ場及び遊園地として使用されている土地の固定資産税に係る固定資産課税台帳における登録価格が「適正な時価」を超えているとして,当該登録価格を維持した固定資産評価審査委員会の決定のうち適正な時価を超える部分が取り消された事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平22.10.19決定)
労働審判法24条1項によって労働審判事件が終了した場合において,申立人からの裁判所に対してされた「労働審判事件の手続費用を相手方に負担させる」との決定を求める申立てについて,手続費用を申立人の負担とさせない特別の事情があるとは認められないとして,却下された事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(高松高裁平22.9.28判決)
いわゆる求償権制限特約が付された金銭消費貸借及び連帯保証契約において,一部弁済者から他の連帯保証人に対する求償請求が認められた事例

2(東京高裁平23.4.21判決)
貸金業関係グループ会社の企業再編のため,ある会社の貸金債権を別会社に移行させる契約を締結し,併せて顧客に対する債務につき当該別会社が並存的債務引受をしたが,1年半後に債務引受を撤回する変更契約をした事案につき,債務引受後まもなく行われた顧客との間の切替契約において,顧客が債務引受についての受益の意思表示をしたものと認めた事例

3(大阪地裁平22.8.26判決)
売主の代理人として投資信託の受益証券を販売した銀行の担当者の勧誘につき,適合性原則違反,説明義務違反があり,不法行為の成立が認められた事例

4(大阪地裁平21.12.4判決)
1 弁護士の守秘義務違反を理由とする慰謝料請求が認容された事例
2 弁護士である被告の依頼者である原告に対する委任契約に基づく報酬請求権の消滅時効の起算点は,原告が被告に対し訴訟代理人から解任する旨を通知した時であるとして,上記報酬請求権は短期消滅時効によって消滅したと判断された事例

5(東京高裁平22.10.28判決)
交通事故で死亡した鉄道会社従業員について,事故に遭わなければ,定期昇給をして定年まで勤務を続け,定年後65歳までは再雇用されていたものとして,逸失利益が算定された事例

[商 法]
6カネボウ普通株式保有株主集団損害賠償請求事件(東京地裁平23.1.27判決)
1 種類株式を買い付ける者は,普通株式まで公開買付けする義務はないとされた事例
2 口頭弁論終結直前になって種類株式の買付けの違法に加えて普通株式の公開買付けの価格が適正でない主張を追加することは許されないとされた事例

[知的財産]
7(知的財産高裁平23.1.31判決)
名称を「換気扇フィルター及びその製造方法」とする発明において,容易想到性の判断に当たり,当該発明が容易であったとするためには,「課題解決のために特定の構成を採用することが容易であった」ことのみでは十分ではなく,「解決課題の設定が容易であった」ことも必要となる場合があり,「解決課題の設定が容易であったこと」についての判断は,証拠に基づいた論理的な説明が不可欠であると判示し,課題解決設定及び解決手段の達成の容易想到性について証拠を基礎とした論理的な説明が示されていないとして,審決が取り消された事例

8SLDVD事件(知的財産高裁平22.11.10判決)
1 蒸気機関車を撮影した映像の著作権者に無断で当該映像を編集した放送番組を収録したDVDを販売した会社に対する著作権及び著作者人格権侵害に基づく損害賠償請求訴訟において,著作権者に過失があるとまで認めることは困難であるとして,過失相殺(1割)を認めた原判決の判断が否定された事例
2 著作権法114条3項による損害を算定するに当たり,映像の複製権侵害は,実際に販売されたDVDの枚数のみならず,納品された枚数において生じているものであるとして,著作権者が受けるべき著作権料相当額につき,原判決を変更して,納品枚数について損害が算定された事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平22.5.26判決)
裁判員の参加する合議体により,4件の性犯罪について有罪と認定した上,被告人を懲役13年に処した事案について,原判決後に,1件の被害者との間で示談が成立し,賠償金が支払われたことを理由として,原判決が破棄された事例
●記事紹介

刑事損害賠償命令の概要と大阪地方裁判所(本庁)における運用状況について/和田 真

判例展望民事法49
倒産手続における別除権をめぐる裁判例と問題点/杜下弘記

企業間取引訴訟の現代的展開4
企業間の訴訟における過失相殺規定の運用状況/若松亮

独占禁止法の新たな展開22
多摩地区入札談合(東京都新都市建設公社)事件13判決の意味するもの(上)/村上政博

ブック・レビュー
瀬木比呂志著『民事訴訟実務入門』/遠藤賢治

ブック・レビュー
山本和彦=須藤典明=片山英二=伊藤尚編『文書提出命令の理論と実務』/加藤新太郎


●判例紹介

特 報
[憲 法]
1(最高裁大法廷平23.3.23判決)
1 衆議院小選挙区選出議員の選挙についてのいわゆる1人別枠方式を含む区割基準を定める衆議院議員選挙区画定審議会設置法3条及び同基準に従って選挙区割りを定める公職選挙法13条1項,別表第1の各規定の合憲性
2 衆議院小選挙区選出議員の選挙において候補者届出政党に選挙運動を認める公職選挙法の規定の合憲性

速 報
[民 法]
1(東京地裁平23.2.10判決)
担当医の常用量を上回る処方指示について,調剤・監査を行った薬剤師が疑義照会義務を怠った場合,薬剤師にも不法行為責任が認められる

最高裁判例
[民 法]
1(最高裁第二小法廷平23.2.18判決)
簡易生命保険契約の保険金受取人が無断で保険金等の支払を受けた者に対し不法行為に基づく損害賠償を請求する場合において上記の者が損害の発生を否認して請求を争うことが信義誠実の原則に反し許されないとされた事例

2(最高裁第二小法廷平23.2.25判決)
適切な医療行為を受ける期待権の侵害のみを理由とする整形外科医の不法行為責任の有無を検討する余地がないとされた事例

3(最高裁第三小法廷平23.2.22判決)
「相続させる」旨の遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合における当該遺言の効力

行政裁判例
[国家補償法]
1(大阪地裁平22.11.29判決)
国税職員が関税法違反嫌疑事件の調査関係資料を流出させたことについて,当該情報の管理責任者の注意義務違反が認められ,国家賠償請求が一部認容された事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平22.10.4判決)
従業員が,終業時間後に勤務先事業所近くの体育館で開催された従業員会主催のバドミントン大会に参加し,その帰宅途中に遭った交通事故について,通勤災害とは認められなかった事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京高裁平22.9.30判決)
グループホームにおいて認知症対応型共同生活介護を受けていた高齢者が嘔吐,下痢等の症状を呈した後入院先の病院で死亡した事案において,グループホームを運営する法人の損害賠償責任が否定された事例

2(東京地裁平22.6.10判決)
1 犯罪被害者及びその親族又は遺族にとって個人の尊厳が尊重され,その尊厳にふさわしい処遇を保障されることは法律上保護に値する利益であり,私人との関係でこのような法律上保護に値する利益が侵害されたと評価できる場合には,民法上の不法行為が成立し得るとした事例
2 加害者の両親である被告らが,刑事裁判の際に被害者の遺族である原告らに対し謝罪の申入れをしたり,謝罪や被害弁償をしたい旨を情状証人として証言したが,刑事裁判の確定後に謝罪や被害弁償等の行動をとらなかったことについて,被告らには,原告らの被害者遺族としての尊厳を踏みにじらないよう配慮すべき法的義務があるとまではいえないとした事例

3(東京高裁平22.4.7判決)
銀行口座・証券顧客口座開設,生命保険契約の締結に他人の氏名を無断使用したことが人格的利益を侵害する不法行為に当たるとして3万円の慰謝料が認められた事例

4(東京高裁平22.10.20判決)
1 交通事故の被害者について,低髄液圧症候群の発症が認められなかった事例
2 因果関係について,裁判官の心証の程度による段階的認定が認められなかった事例

5(大阪地裁平23.1.31判決)
肺がんの治験に参加した患者が,治験薬投与から約1か月後に死亡したことについて,当該治験薬の投与及び当該治験の説明に関する医師の注意義務違反が否定された事例

6(千葉地裁平22.10.28判決)
NHKとの間のカラー放送受信契約の締結が民法761条所定の「日常の家事に関する法律行為」に当たるとされた事例

[知的財産]
7シルバーヴィラ事件(東京地裁平22.7.16判決)
登録商標を「シルバーヴィラ」とする商標権を有し,かつ,「シルバーヴィラ向山」との名称の老人ホームを運営する原告の,「シルバーヴィラ揖保川」等の名称で介護保険に係る施設を開設・運営する被告に対する,不正競争法に基づく「シルバーヴィラ」の標章の使用の差止請求及び商標権侵害に基づく損害賠償請求の一部が認められた事例

8(知的財産高裁平22.8.4判決)
法人等と業務に従事する者との間に雇用関係があり,法人等の業務計画や法人等が第三者との間で締結した契約等に従って,業務に従事する者が所定の職務を遂行している場合には,法人等の具体的な指示あるいは承諾がなくとも,業務に従事する者の職務の遂行上,当該著作物の作成が予定又は予期される限り,著作権法15条1項にいう「法人等の発意」の要件を満たす

[民事執行法]
9(東京高裁平22.5.28決定)
信用金庫の出資持分権につき譲渡命令を発令する場合において,評価人による評価を経ずに,当該譲渡価額を決定することの可否について判断(積極)した事例

[倒産処理法]
10(横浜地裁川崎支部平22.4.23判決)
財団債権である破産者の従業員が有する未払給与債権について,これを立替払した者が取得する求償債権及び弁済によって代位取得する原債権が財団債権に当たるか(積極)

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京地裁平22.4.22判決)
裁判員裁判事件として審理された強姦致傷,強姦事件の被告人について,先行して別件強盗殺人未遂等事件で起訴されており(裁判員制度施行前に起訴されたもの),一括審理が可能であったが,裁判員の負担が考慮されて併合されず,別件につき懲役25年の判決が確定したという経緯を考慮した上,一括審理していれば懲役30年が上限であるから本件において懲役5年を超える刑を宣告することはできないとする弁護人の主張を排斥し,懲役7年に処するのが相当とされた事例

[特別刑法]
2(東京高裁平22.4.27判決)
被告人が覚せい剤代金として得た1万円札1枚が,他の1万円札と一緒に財布に入れられるなどして特定できなくなり,さらにそこから1万円札1枚が任意提出され,残余の現金が別途保管されるなどの判示の事実関係の下においては,任意提出された1万円1枚及び残余の現金から成る混和財産から混和に係る不法財産の額である1万円を没収すべきであるとして,被告人から同額を追徴した原判決を破棄した事例
●記事紹介

座談会[訴訟理論研究会]
民事訴訟手続における裁判実務の動向と検討 第1回/伊藤眞・垣内秀介・春日偉知郎・加藤新太郎・松下淳一・山本和彦

職員の解雇をめぐる訴訟と外国国家に対する民事裁判権免除
―最二小判平21.10.16民集63巻8号1799頁/垣内秀介

固有必要的共同訴訟において合一確定の要請に反する判決がされた場合と不利益変更禁止の原則
―最三小判平22.3.16民集64巻2号498頁,判タ1325号82頁/春日偉知郎

金利スワップ取引契約に関する稟議書の文書提出義務
―大阪高決平21.5.15金法1901号132頁/山本和彦

民訴法248条による相当な損害額の認定
―最三小判平20.6.10判タ1316号142頁,判時2042号5頁/加藤新太郎

インカメラ手続による秘密保護の新たな展開
―ドイツ法における模索とわが法への示唆/春日偉知郎


●判例紹介

速 報
[個別的労働関係]
1(横浜地裁平23.1.25判決)
人材派遣会社が待機社員にした解雇が,切迫した人員削減の必要性が認められず,解雇回避努力を尽くしたといえない上,対象者の人選にも合理性がないとして無効とされた事例

最高裁判例
[租税法]
1(最高裁第二小法廷平23.1.14判決)
1 弁護士である破産管財人は,自らの報酬の支払について,所得税法204条1項2号所定の源泉徴収義務を負うか
2 弁護士である破産管財人の報酬に係る源泉所得税の債権は,旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの)47条2号ただし書にいう「破産財団ニ関シテ生シタル」請求権に当たるか
3 破産管財人は,破産債権である所得税法199条所定の退職手当等の債権に対する配当について,同条所定の源泉徴収義務を負うか

[地方自治法]
2(最高裁第二小法廷平23.1.14判決)
町がその所有する普通財産である土地を町内の自治会に対し地域集会所の建設用地として無償で譲渡したことにつき地方自治法232条の2所定の公益上の必要があるとした町長の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用による違法があるとはいえないとされた事例

[民事保全法]
3(最高裁第二小法廷平23.2.9決定)
権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を有する債権者が,当該社団の構成員全員に総有的に帰属し,当該社団のために第三者がその登記名義人とされている不動産に対して仮差押えをする場合における申立ての方法

憲法裁判例
[憲 法]
1(広島高裁平22.1.25判決)
平成21年8月30日に施行された衆議院議員総選挙の小選挙区広島県第1区における選挙について,いわゆる1人別枠方式を前提とした選挙区割りが憲法の趣旨に反し,違憲というべきであるとしたが,事情判決の法理により,選挙無効の請求を棄却した事例

行政裁判例
[国家補償法]
1(大阪地裁平22.10.15判決)
1 戦没者等の妻に対する特別給付金に関し,時効による失権を回避させるため,受給権者に対して個別に請求指導を行わなかった不作為が,国家賠償法1条1項の規定の適用上,違法と評価することはできないとされた事例
2 特別給付金の消滅時効の定めをさかのぼって撤廃しない立法不作為が,国家賠償法1条1項の規定の適用上,違法と評価することはできないとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(大阪高裁平22.6.17判決)
貸金業者と消費貸借取引をした債務者が,弁護士を代理人として,この貸金業者との間で,残債務の存在を確認して分割弁済を約し,清算条項を付して裁判外の和解契約をし,その際この弁護士が過払金が発生している可能性を認識していた事案において,この和解契約が強行法規違反若しくは公序良俗違反又は錯誤により無効であるとする債務者の主張を排斥した事例

2(大阪簡裁平22.4.13判決)
株式会社と同代表者個人の破産申立てをするに際し,両名の代理人弁護士が株式会社名義の預金口座から振込みを受け,代表者個人の破産申立着手金として受領した金員が,破産会社の破産財団との関係で不当利得に当たるとされた事例

3(東京地裁平22.9.27判決)
1 監視カメラによる店舗内の客の撮影が不法行為法上違法でないとされた事例
2 監視カメラにより撮影された個人の映像を報道機関に提供して公表したことが,不法行為法上違法でないとされた事例

4(東京地裁平22.2.12判決)
1 交通事故により,頚髄損傷等の傷害を負った後,症状固定となったが,交通事故から6年後に誤嚥性肺炎によって死亡した場合,事故と死亡との間に相当因果関係があると認められた事例
2 口頭弁論終結日の前日に提出された準備書面に記載された過失相殺の主張が,時機に後れた攻撃防禦方法として却下された事例

[知的財産]
5(知的財産高裁平22.7.21判決)
複数の請求項に係る特許出願について,補正の機会を与えられた場合において,1の請求項が特許を受けることができないものであるとして,その余の請求項に係る発明について検討することなくされた拒絶査定不服審判の審判請求不成立審決に,結論に影響を及ぼすべき違法はないとされた事例

6インクカートリッジ審決取消事件(知的財産高裁平21.9.1判決)
発明の名称を「インクカートリッジおよびインクカートリッジホルダ」とする発明に係る特許出願についてされた拒絶査定不服審判請求を成り立たないとした審決が取り消された事例

7(知的財産高裁平22.5.27判決)
学術論文(英文)の著作権・著作者人格権の侵害を肯定して損害賠償を一部認めた原判決の認容部分を取り消し,創作性がないことを理由にそれらの侵害を否定した事例

[諸 法]
8(東京高裁平23.2.24判決)
1 区分所有者のマンション共用敷地への駐車を違法とし冷暖房室外機設置の違法性を否定した事例
2 区分所有建物を競売で取得した会社と管理組合との間の共用敷地の使用をめぐる紛争の原因及び解決の方向性について判示した事例

[民事執行法]
9(東京高裁平22.8.17決定)
株式会社甲を債務者とする債務名義に基づく「株式会社甲代理人弁護士乙」名義の口座に係る預金債権の差押えが認められなかった事例

[倒産処理法]
10(東京高裁平22.10.22決定)
提出された再生計画案が否認対象行為に係る額を弁済額に加算しておらず清算価値保障原則に反するとして新たな再生計画案を作成すべき旨の個人再生委員の勧告を拒否した小規模個人再生手続の申立人について,当該再生計画案は決議に付するに足りないものであるとして再生手続を廃止するとした原決定に対する即時抗告が棄却された事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平22.1.26判決)
アスペルガー障害を有する被告人の自白の信用性が否定された事例
●記事紹介

東京地裁破産再生部における近時の免責に関する判断の実情/原 雅基

支払不能前の債権差押えと執行行為の否認について/中尾 彰

企業間取引訴訟の現代的展開3[現代企業法研究会]
企業間取引における複合契約の解除(下)ー主として二当事者間の場合/奈良輝久

刑事裁判ノートー裁判員裁判への架け橋として(10)/門野 博

ブック・レビュー
研究者の視点から読み解く/山本和彦
ブック・レビュー
裁判官の頭の中を覗く44の窓/二宮照興


●判例紹介

特 報
[民 法]
1諫早湾干拓地潮受堤防撤去等請求事件控訴審判決(福岡高裁平22.12.6判決)
漁業行使権に基づく妨害予防請求権及び妨害排除請求権により,判決確定後3年までに以後5年間にわたって潮受堤防の排水門の開放を継続することの請求が認められた事例

最高裁判例
[民 法]
1(最高裁第二小法廷平23.1.21判決)
抵当権設定登記後に賃借権の時効取得に必要な期間不動産を用益した者が賃借権の時効取得を当該不動産の競売又は公売による買受人に対抗することの可否

[知的財産]
2(最高裁第一小法廷平23.1.20判決)
放送番組等の複製物を取得することを可能にするサービスの提供者が複製の主体と解される場合

3(最高裁第三小法廷平23.1.18判決)
1 公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置が単一の機器宛てに送信する機能しか有しない場合に,当該装置は自動公衆送信装置に当たるか
2 公衆の用に供されている電気通信回線に接続することにより,当該装置に入力される情報を受信者からの求めに応じ自動的に送信する機能を有する装置が,公衆の用に供されている電気通信回線に接続しており,これに継続的に情報が入力されている場合における送信の主体

行政裁判例
[行政法一般]
1(名古屋地裁平21.11.5判決)
児童福祉施設最低基準(昭和23年厚生省令第63号)11条1項の規制の特例措置として,保育所における入所児童に対する食事の提供を給食センターで調理して搬入する外部搬入方式により行うことなどを内容とする構造改革特別区域計画について,内閣総理大臣が構造改革特別区域法4条8項に基づいてした認定は,抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらないとされた事例

[国家補償法]
2(大阪地裁平22.9.15判決)
1 暴行による自白強要があったと認定することはできないとされた事例
2 被疑者が取調べに当たった警察官から暴行を受けたとして弁護人の接見を希望し,弁護人から接見申出がされた場合において,接見申出があったとの連絡を受けてからも,接見指定のための手続を行うこともなく,約10分間取調べを続けた後に接見をさせた行為は,即時の接見をさせたものということはできず,違法であるとされた事例

3(福岡高裁平22.2.4判決)
県立高校陸上部の生徒が競技大会に出場し,棒高跳び競技中に負傷した事故につき,顧問教諭の注意義務違反を認めて,県の賠償責任を肯定した事例

[地方自治法]
4(大津地裁平22.7.1判決)
1 建設業者が,町が発注した下水道工事について実施された指名競争入札で談合を行ったことで,町が損害を被ったとして,建設業者,役員,談合に便宜を図った助役に対する損害賠償を求める住民訴訟が一部認められた事例
2 町が被った損害の額を落札価格の18パーセントと認定した事例

労働裁判例
[集団的労働関係]
1(東京地裁平22.2.10判決)
労働組合が高年齢者雇用安定法9条1項2号に規定する継続雇用制度に関してした団体交渉申入れに対し,事業主が,当該労働組合に同条2項の協定締結資格がないことを理由として拒否した行為が,労働組合法7条2号の不当労働行為に当たるとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平22.9.30判決)
1 ファンドによる出資のために利用された特別目的会社につき,法人格の濫用又は形がい化が認められなかった事例
2 株券が引渡債務の履行遅滞後に引き渡された場合において遅滞による損害賠償請求が認められなかった事例

2(東京地裁平22.3.9判決)
1 土地の売買契約において,土地の現況と公図の記載とが異なっており,売買契約当時,将来土地所有権をめぐる紛争が生じる可能性があったとして,当該土地につき民法570条の瑕疵があると認められた事例
2 土地の売買契約を仲介した不動産業者が,売買契約当時,土地の現況求積図の地形と公図の地形とが異なり,登記簿上の面積と現況の面積とに違いがあることを認識していたにもかかわらず,買主に対し,このような土地の性状により生じ得る問題について何らの説明もしなかったとして,買主との間の仲介契約に基づく説明義務等を怠ったと認められた事例

3(福岡高裁那覇支部平22.7.27判決)
台船を係留していたアンカーワイヤが破断した原因が,台風によって漂流した他の台船との摩擦にあったとして,当該台船の管理上の過失が否定された事例

4(東京地裁平21.8.26判決)
いわゆるモデル小説に記載された内容が原告の記者としての信用性を疑わせる印象を与えるなどとして名誉毀損に基づく損害賠償請求が一部認容された事例

[商 法]
5(盛岡地裁平22.6.11判決)
1 団体信用生命保険契約について告知義務違反による解除が認められなかった事例
2 保険者が団体信用生命保険契約に基づく保険金を支払わない場合に,被保険者の相続人が金融機関を被告として訴えを提起するに当たり定立すべき請求の内容

[知的財産]
6(知的財産高裁平22.10.20判決)
最初の拒絶理由通知に対してされた特許請求の範囲等の補正が,新規事項追加の禁止の要件を満たしていないときは,出願の拒絶理由となるのであって,拒絶の理由を通知しなければならない場合に当たるが,決定をもって補正を却下しなければならない場合には当たらないから,補正を却下することなく当該補正に係る発明を審理の対象とすることに誤りはない

7I-Lux事件(知的財産高裁平21.9.15判決)
本願商標(「I-Lux」の文字を図案化したもの。別紙参照)と引用商標(「Eye Lux」の欧文字を横書きして成る。)は称呼を共通にする類似の商標であり,両商標の指定商品も同一又は類似であるから,本願商標は商標法4条1項11号に該当するとして,本願商標に係る拒絶査定不服審判請求を成り立たないとした審決が維持された事例

8(知的財産高裁平22.8.4判決)
1 翻訳権侵害による二次的著作物の購入者がこれを貸与することは原著作者の氏名表示権の侵害とはならない
2 著作権侵害の幇助者にすぎない者の行為について著作権法112条に基づく差止請求を求めることはできない

[民事執行法]
9(東京高裁平22.10.8決定)
訴訟上の救助の決定がされた民事訴訟において,請求を全部認容し,訴訟費用を相手方の負担とする判決を得た者が,当該判決に基づき執行費用を含む請求債権について得た債権差押命令により第三債務者から債権を取り立てた場合には,救助決定は当然に効力を失い,救助決定の取消決定をすることなく執行費用の支払を命じることができるなどとされた事例

刑事裁判例
[特別刑法]
1(東京高裁平22.8.3判決)
1 行為者を相手方として児童に淫行をさせる場合の児童福祉法34条1項6号に違反する罪の罪となるべき事実の摘示に理由不備の違法があるとされた事例
2 養父が児童をして自己を相手に性行させた行為が児童福祉法34条1項6号にいう「児童に淫行をさせる行為」に該当するとされた事例
●記事紹介

権利能力のない社団の不動産に対する強制執行―強制執行の形式化との対応/中野貞一郎

調停委員の役割と責任/星野雅紀


●判例紹介

速 報
[憲 法]
1(東京高裁平22.4.22判決)
1 裁判員制度と憲法32条,37条
2 裁判員に選任された者の就職義務と憲法13条,18条,19条
3 裁判員,補充裁判員及びこれらの職にあった者の守秘義務と憲法21条
4 裁判員及び補充裁判員の財産的負担と憲法29条

行政裁判例
[国家補償法]
1(大分地裁平22.3.25判決)
都市計画道路の工事のために締結された補償契約について憲法29条3項に基づく補償請求を認めなかった事例

2(広島高裁平22.8.25判決)
付審判請求によって起訴とみなされた刑事手続において無罪となった者が付審判決定が違法であるとしてした国家賠償請求が棄却された事例

3(大阪地裁平22.6.10判決)
警察庁が管理する犯歴情報データベースに誤った犯歴が16年間登録され,それを利用されてたびたび捜査,起訴,裁判を受けたことにより精神的苦痛を受けたことについて,犯歴情報の管理は,警察庁の通達に基づき,警察庁の職務として行われている行政事務であり,犯歴情報を誤ってデータベースに登録した都道府県警察の職員の過失による行為は,警察庁の職員の職務上の過失による違法行為と評価されるべきものとして,国家賠償法1条1項に基づき,国に対し,慰謝料1万円,弁護士費用2000円の合計1万2000円の国家賠償責任が認められた事例

4(奈良地裁平22.1.27判決)
警察官が逃走車両を停止させるために運転者をねらって発砲したところ,助手席に同乗していた者に弾丸が命中して同人が死亡した事案において,警察官による発砲行為は,警察官職務執行法7条に則った適法な武器の使用であり,かつ,けん銃の使用方法についても過失がないとして,損害賠償請求が棄却された事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1自衛官公務災害事件(仙台高裁平22.10.28判決)
自衛官が夜勤勤務中にくも膜下出血ないし脳内出血を発症したことによる死亡が,公務に起因すると判断された事例

[集団的労働関係]
2(東京高裁平22.8.25判決)
1 地方公務員法52条3項ただし書にいう「管理職員等」は,地方公共団体との労使関係において使用者側の立場に立って行動すべき職責を有する職員をいうところ,本件における市の会計課出納担当主幹はこれに当たらないとされた事例
2 市の会計課出納担当主幹が,市職員労働組合から会計課出納担当主幹は管理職員等に該当すると定める「管理職員等の範囲に関する規則」により加入を拒否された場合において,その権限・役割から会計課出納担当主幹は管理職員等に該当するものではないのに公平委員会が同規則を維持した結果,労働組合に加入する権利が侵害されたとして国賠請求が認められた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平22.6.21判決)
前任のマンション管理者に対する管理費の残余金引渡請求訴訟において,原告が推定計算した当該残余金の一部について請求を認めた事例

2奄美ひまわり基金法律事務所弁護過誤第2号事件判決(鹿児島地裁名瀬支部平22.3.23判決)
債務整理事件を受任した公設事務所の弁護士が委任事務の経過等に関する説明義務に違反したとして債務不履行に基づく損害賠償請求が一部認容された事例

3プリンスホテル日教組教研集会会場等使用拒否事件控訴審判決(東京高裁平22.11.25判決)
日本教職員組合の教育研究全国集会に使用される予定だった宴会場等を有するホテル会社が,裁判所の仮処分命令に反して当該宴会場等の使用を拒否し,その説明文をホームページ上に掲載するなどしたことにつき,損害賠償請求が認容された事例

4(名古屋地裁平22.1.28判決)
1 プロ野球を主催する12球団及びプロ野球の運営を統括する社団法人が,特定の応援団の団員に対し,プロ野球の試合等の入場券の販売を拒否し,球場等への立入りを禁止する旨を通知した措置が,裁量権の範囲を逸脱するものであり,権利の濫用として違法,無効であるとされた事例
2 プロ野球を主催する12球団及びプロ野球の運営を統括する社団法人が,特定の応援団が申請した楽器,応援旗等を使用して観客を組織化し又は統率して行われる集団による応援の申請を不許可としたことが,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとは認められず,違法とはいえないとされた事例

5(新潟地裁長岡支部平22.10.27判決)
S状結腸切除術を受けた患者が手術後に敗血症で死亡した事案において,回顧的にみれば同患者が手術時の縫合不全からなる急性腹膜炎を発症していたといい得るが,積極的な所見に乏しい症例であることから,医師に緊急開腹手術等の適切な措置をとることを怠った過失はないとされた事例

[商 法]
6インテリジェンス株式買取価格決定抗告審決定(東京高裁平22.10.19決定)
株式交換完全子会社の株主による株式買取請求に係る「公正な価格」につき,回帰分析の手法を用いて補正された株式価格をもって「公正な価格」とするのが相当であるとされた事例

7(福岡地裁平22.9.30判決)
1 会社分割による個々の財産移転行為が否認権行使の対象となるとされた事例
2 債務超過状態にある分割会社が,承継させた債務を重畳的債務引受しつつ,担保権が設定されていない土地を承継させたことから,会社分割による当該土地の所有権移転につき破産法160条1項による否認が認められた事例
3 仮に重畳的債務引受が形式的なもので,分割会社の純資産に変動がなく,設立会社の株式が交付されたことより分割会社が相当な対価を取得したものといえても,破産法161条1項による否認が認められるとされた事例

8(奈良地裁平22.8.27判決)
精神障害者のマンションからの自殺的な転落について保険会社の自殺免責を認めなかった事例

[知的財産]
9(知的財産高裁平22.11.8判決)
拒絶査定不服審判手続において,拒絶査定の主引用例とは異なる文献を審決の主引用例として判断するに際し,改めて拒絶理由を通知しなかったとしても,審決の主引用例との対比を中心とした主張が審判手続においてされている場合には,手続違背はない

10(知的財産高裁平22.8.31判決)
特許法36条6項2号を解釈するに当たって,特許請求の範囲の記載に,発明に係る機能,特性,解決課題ないし作用効果との関係での技術的意味が示されていることを求めることは許されないとされた事例

11(知的財産高裁平21.10.29判決)
1 無効審決の取消訴訟の係属中に特許請求の減縮を目的とする訂正審決が確定したことを理由に,審決を取り消した事例
2 無効審判請求不成立審決の取消判決の確定後,特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正審決が確定した場合には,当該訂正によっても影響を受けない範囲における認定判断については格別という余地があるとしても,訂正前の特許請求の範囲に基づく発明の要旨を前提にした取消判決の拘束力は遮断され,再度の審決に当然に及ぶということはできない

[民事訴訟法]
12(東京高裁平22.7.20決定)
相当賃料額に関する不動産鑑定評価書に引用された賃貸事例の対象物件特定文書について文書提出命令が却下された事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平22.5.27判決)
共犯者とされる証人の証言拒絶が刑訴法321条1項2号前段のいわゆる供述不能に当たるとしてその検察官調書を採用した訴訟手続に法令違反があるとされた事例
●記事紹介

ソフトウェア開発関連訴訟の審理/田中俊次・山田陽三・小林久起・達野ゆき・大野祐輔・北岡裕章・山下隼人・足立堅太・志賀隆士

大阪地方裁判所第6民事部における倒産事件処理の概況/小久保孝雄・大須賀綾子・中尾彰

大阪地裁(本庁)における民事執行実務の現状/中本敏嗣

効果的で無駄のない争点整理について/東京地方裁判所プラクティス委員会第三小委員会

効果的で無駄のない尋問とは何か/東京地方裁判所プラクティス委員会第二小委員会

効果的で無駄のない審理を経た事件での新様式判決の在り方/東京地方裁判所プラクティス委員会第一小委員会

複数鑑定制度の検証に関する報告書(下)/千葉県医事関係裁判運営委員会複数鑑定制度検証小委員会


●判例紹介

速 報
[倒産処理法]
1(東京地裁平22.10.14判決)
自己破産の申立てを受任した弁護士が破産者から支払を受けた報酬のうち,破産申立てに係る適正報酬額を超える部分につき,役務の提供と合理的均衡を失するものであり,詐害行為否認に当たるとして,破産管財人による否認権行使が認められた事例

最高裁判例
[商 法]
1(最高裁第三小法廷平22.12.7決定)
社債等振替法128条1項所定の振替株式についての会社法172条1項に基づく価格の決定の申立てを受けた会社が,裁判所における株式価格決定申立て事件の審理において,申立人が株主であることを争った場合における,社債等振替法154条3項所定の通知の要否

[刑 法]
2(最高裁第一小法廷平22.10.26決定)
航行中の航空機同士の異常接近事故について,便名を言い間違えて降下の管制指示をした実地訓練中の航空管制官及びこれを是正しなかった指導監督者である航空管制官の両名に業務上過失傷害罪が成立するとされた事例

[特別刑法]
3(最高裁第三小法廷平22.12.20決定)
労働基準法32条1項(週単位の時間外労働の規制)違反の罪と同条2項(1日単位の時間外労働の規制)違反の罪との罪数関係

憲法裁判例
[憲 法]
1(東京高裁平22.3.29判決)
当時の社会保険庁に年金審査官として勤務する厚生労働事務官がした政党の機関紙や政治的文書の配布(いわゆるビラまき)行為について,罰則規定である国家公務員法110条1項19号(平成19年法律第108号による改正前のもの)及び102条1項並びに人事院規則14─7(政治的行為)6項7号及び13号(5項3号)との関係で,法益侵害の抽象的危険性が肯認できない上,罰則規定を適用することが,憲法21条1項及び31条に違反すると判断された事例

行政裁判例
[行政法一般]
1(名古屋地裁平21.2.26判決)
都市計画事業に係る第3次事業計画変更の認可の取消訴訟において,行政庁が当該事業計画変更部分のみについて都市計画との適合性を審査したとしても,従前の都市計画事業の認可並びに第1次及び第2次事業計画変更の認可について不可争力が生じており,第3次事業計画変更が従前の事業計画全体に影響を及ぼすような内容を含むものでなく,従前の認可処分後において都市計画事業の全体を見直さなければならないような客観的な事情の変更が生じたものといえないという事情の下においては,当該行政庁に裁量権の逸脱又は濫用があったとはいえないとされた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平21.11.16判決)
1 被告が設置する市立病院の参事副院長であった原告に対する「参事を命ずる」,「被告市立病院付属市民健康相談室勤務を命ずる」という処分が,地方公務員法49条1項の不利益処分に当たるとして,取り消された事例
2 原告の被告に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求が棄却された事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平22.3.18判決)
1 建築基準法42条2項の道路(いわゆる2項道路)は民法210条の「公道」に該当するとされた事例
2 2項道路の通行に関して,セットバック義務を履行したことを根拠とする所有権に付随する使用権,人格権的通行権に基づく妨害排除請求権及び妨害予防請求権並びに隣地使用権をいずれも認めなかった事例

2(東京高裁平22.7.15判決)
貸金業者2社との間で行われた継続的な金銭消費貸借取引につき,両取引を通算した上での過払金返還請求が認められた事例

3(東京地裁平22.5.27判決)
1 マンションの床材につき,住戸の売買契約の締結及びマンションの建築後の法改正により化学物質過敏症を防止する見地から使用が禁止された床材が使用されていたことが住戸の瑕疵には当たらないとされた事例
2 上記法改正後に行われた住戸の漏水を防止する修補工事につき,施工業者が上記床材から放散されるホルムアルデヒドが室内に流入しないように配慮すべき注意義務を負わないとされた事例

4(大阪地裁平22.1.29判決)
1 民法545条2項の「利息」は法定利息であると判示した事例
2 民法545条2項に基づく利息請求権と売買代金返還請求権の履行遅滞に基づく損害賠償請求権との訴訟物の異同について判示した事例
3 相殺の意思表示は自働債権の消滅時効の進行を中断させる請求ないし催告に当たらないとした事例

5(東京地裁平21.10.26判決)
確定申告書等の作成を委任された税理士が,依頼者から提出された不備のある資料の内容を精査,確認しないまま,その内容に基づいて確定申告書等を作成したことにつき,税理士に委任契約の債務不履行による損害賠償責任が認められた事例

6(神戸地裁姫路支部平22.11.17判決)
1歳9か月(当時)の子がいわゆるこんにゃくゼリーを食べた際にこれを喉に詰まらせ死亡した事故につき,両親がこんにゃくゼリーの設計上の欠陥による製造物責任及び不法行為に基づく損害賠償を製造会社等に対し求めた事案について,こんにゃくゼリーは通常有すべき安全性を備えており製造物責任法上の欠陥はないとして,請求を棄却した事例

7(東京地裁平22.7.21判決)
公衆浴場のボイラー騒音により被害を受けたとする隣接地住民からの損害賠償請求が棄却された事例

8(東京高裁平22.9.6判決)
産院で取り違えられ,生物学的な親子関係がない夫婦の実子として戸籍に記載され,長期間にわたり実の親子と同様の生活実体を形成してきた兄に対して,両親の死後,遺産争いを直接の契機として,戸籍上の弟らが提起した親子関係不存在確認請求は,権利の濫用に当たるとされた事例

[知的財産]
9(東京地裁平22.7.16判決)
外国語特許出願につき,国内書面提出期間経過後に明細書等の翻訳文が提出された場合には,特許法184条の5第2項の補正命令を認める余地がなく,特許庁長官が出願人である原告に補正の機会を与えずに行った国内書面に係る手続の却下処分は適法であるとして,当該却下処分の取消しを求める原告の請求を棄却した事例

10(知的財産高裁平22.5.12判決)
指定商品の表現及び商品区分を改める商標登録出願の補正が「要旨の変更」に当たらないとされた事例

11(知的財産高裁平21.10.13判決)
アクセサリー等の通信販売に使用された「Agatha Naomi」「Agatha Naomi」の標章からは「Agatha」という称呼・観念も生じ,身飾品等を指定商品とする登録商標「AGATHA」と類似する

12(知的財産高裁平22.10.13判決)
1 著作権法32条1項にいう引用としての利用に当たるか否かの判断においては,他人の著作物を利用する側の利用の目的のほか,その方法や態様,利用される著作物の種類や性質,当該著作物の著作権者に及ぼす影響の有無・程度などが総合考慮されなければならない
2 絵画の鑑定書に絵画の複製が添付された場合において,その目的が鑑定対象である絵画を特定し,かつ,鑑定書の偽造を防ぐためであって,添付の必要性・有用性が認められること,鑑定業務が適正に行われることは著作権者等の権利の保護を図ることにつながること,当該複製物が鑑定書と分離して利用に供されることや鑑定書が当該絵画と別に流通することも考え難いこと,著作権者が当該絵画の複製権を利用して経済的利益を得る機会が失われることも考え難いこととの事情の下において,当該複製は著作権法32条1項にいう引用としての利用に当たるとされた事例

[民事訴訟法]
13日本電産判決(知的財産高裁平22.9.15判決)
大韓民国に本店を有する在外法人に対する特許侵害予防等請求訴訟につき,国際裁判管轄を認めず訴えを却下した原判決を取り消し,訴えを原審に差し戻した事例

[民事執行法]
14(①東京高裁平22.6.29決定,②東京高裁平22.6.22決定)
差押禁止債権である厚生年金等の給付が銀行の口座に振り込まれて預金債権となった場合に,債務者が,差押禁止債権の範囲変更の申立て(民事執行法153条)をして,当該預金債権の差押命令の取消しを求めたところ,取消しが否定された事例(①事件)及び取消しが肯定された事例(②事件)

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京高裁平22.6.3判決)
住居侵入,強盗強姦の犯行において,姦淫の際の様子を記録したビデオテープは,刑法19条1項2号の犯罪行為の用に供した物に該当するが,同項3号の犯罪行為によって生じた物には該当しない
●記事紹介

近現代法制史からみた優先主義と平等主義(下)
──我が国固有の平等主義の起源と裁判実務からみた立法課題/園尾隆司

複数鑑定制度の検証に関する報告書(上)/千葉県医事関係裁判運営委員会複数鑑定制度検証小委員会

企業間取引訴訟の現代的展開 2[現代企業法研究会]
企業間取引における複合契約の解除(上)
──主として二当事者間の場合/奈良輝久

民事執行判例・実務フロンティア2011年版/大門 匡


●判例紹介

最高裁判例
[行政法一般]
1(最高裁第三小法廷平22.11.30判決)
明石海峡航路北側の航路外で西に向かう甲船と東に向かう乙船が衝突した事故について,海技士である甲船の船長を戒告とした高等海難審判庁の裁決が適法であるとされた事例

[民 法]
2(最高裁第一小法廷平22.12.2決定)
構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の効力は,譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶか

[諸 法]
3(最高裁第二小法廷平22.12.17判決)
自ら設置した加入者光ファイバ設備を用いて戸建て住宅向けの通信サービスを加入者に提供している第一種電気通信事業者が,他の電気通信事業者に対して上記設備を接続させて利用させる法令上の義務を負っていた場合において,自ら提供する上記サービスの加入者から利用の対価として徴収するユーザー料金の届出に当たっては,光ファイバ1芯を複数の加入者で共用する安価な方式を用いることを前提としながら,実際の加入者への上記サービスの提供に際しては光ファイバ1芯を1人の加入者で専用する高価な方式を用いる一方で,その方式による上記設備への接続の対価として他の電気通信事業者から取得すべき接続料金については自らのユーザー料金を上回る金額の認可を受けてこれを提示し,自らのユーザー料金が当該接続料金を下回るようになるものとした行為が,独禁法2条5項にいう「他の事業者の事業活動を排除」する行為に該当するとされた事例

[特別刑法]
4(最高裁第一小法廷平22.12.20判決)
観賞ないしは記念のための品として作成された家系図が,行政書士法1条の2第1項にいう「事実証明に関する書類」に当たらないとされた事例

[刑事訴訟法]
5(最高裁第二小法廷平22.12.20決定)
保釈された者が実刑判決を受けた後,逃亡等を行ったが判決確定前にそれが解消された場合に刑訴法96条3項により保釈保証金を没取することができるか

憲法裁判例
[憲 法]
1(①東京高裁平22.11.17判決)(②東京高裁平22.11.17判決)
平成18年法律第52号によって改正された公職選挙法(昭和25年法律第100号)14条,別表第三及び同法附則による選挙区及び議員定数の規定の合憲性

行政裁判例
[国家補償法]
1(大阪高裁平22.5.12判決)
弁護士会の会長であり,当該弁護士会の資格審査会の会長でもある弁護士が,元弁護士からなされた弁護士名簿登録請求の進達を拒絶する旨の弁護士会資格審査会の議決に関与した行為や,同議決を受けて上記登録請求の進達を拒絶する旨の弁護士会の決定に関与した行為は,いずれも「公共団体の公権力の行使にあたる公務員」としての行為に該当し,個人として不法行為責任を負わないものと判断された事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(宮崎地裁平22.2.5判決)
女子生徒に対しキスなどのセクハラ行為を行った町立中学校の教諭に対する懲戒免職処分には裁量権の濫用は認められないとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京高裁平22.8.30判決)
マンション建築請負工事契約において,建築確認取得後に確認図面上存在しない新たな住戸を増設するなど,注文者・請負人が故意に,建ぺい率,容積率違反,北側斜線制限違反,日影規制違反,耐火構造規制等に違反する悪質な建築基準法違反を企図した場合には,公序良俗違反により無効であるとして,その有効性を前提とする残代金本訴請求及び損害賠償反訴請求がいずれも棄却された事例

2(仙台地裁平21.11.26判決)
コンビニエンス・ストアのリロケイト物件に関するフランチャイズ契約において,フランチャイザーのフランチャイジーに対する説明義務違反(情報の不開示)による損害賠償請求が認容された事例(過失相殺5割)

3(大阪地裁平21.10.30判決)
税理士によるリース契約であっても,「営業のために若しくは営業として」締結されたものかどうかは,当該事業,職務及び取引の実態,物件の活用状況等から個別具体的に判断されるべきであるとした事例

4(東京高裁平22.9.29判決)
1 貸金業者間で企業再編の一環として行われる業務提携契約において,借主が,廃業していく旧業者への債務の返済資金を業務提携契約により存続することになる新業者から借り入れる新たな消費貸借契約をして契約の切替えをした場合,この契約切替えは債権譲渡とは認められないとされた事例
2 貸金業者間で企業再編の一環として業務提携契約が締結され,併存的債務引受の合意がされていたが後に撤回された場合において,併存的債務引受合意撤回前に,借主が契約の切替えについて同意をした上で残高確認書兼振込代行申込書に署名しても,受益の意思表示をしたとは認められないとされた事例

5(東京地裁平21.9.29判決)
1 週刊誌に掲載された記事が,過去に自著により私生活上の事実を公表した者のプライバシー権を侵害するかについて
(1)自著の出版からの年月の経過を考慮しても,自ら公表した事実への言及が,承諾の範囲外のものということはできないとされた事例
(2)摘示事実が,一定の事実を公表している者の立場に立った場合,公開を欲しない事柄ということはできないとされた事例
2 週刊誌に掲載された写真が,世間の耳目を集めた人物の妻の肖像権を侵害するものと認められた事例

6(京都地裁平22.9.15判決)
菓子製造工場の発する騒音及び悪臭は違法であるとして,近隣住民の損害賠償請求が一部認容された事例

7(千葉地裁松戸支部平22.6.4判決)
大学附属病院に入院中に開腹手術を受けた患者が多臓器不全により死亡した場合,担当医師に諸検査義務及び転科措置義務の違反はなかったとして,同医師と病院側の損害賠償責任が認められなかった事例

8(名古屋家裁平22.9.3判決)
認知症等に罹患した養親に養子縁組の意思がなかったとして養子縁組無効確認請求が認容された事例

[知的財産]
9(大阪地裁平22.2.18判決)
共同発明者の1人を発明者として記載せずに特許出願を行うことが,当該共同発明者の発明者としての名誉を侵害する不法行為となるとされた事例

10弾性ラミネート構造体事件(知的財産高裁平21.9.29判決)
発明の名称を「弾性ラミネート構造体とその製造方法」とする発明に係る特許出願についてされた拒絶査定不服審判請求を成り立たないとした審決が維持された事例

[民事執行法]
11(東京高裁平22.12.7決定)
複数の保険契約に基づく配当金請求権,解約返戻金請求権,満期金請求権につき,契約日順等での特定をし,順位付けをする本件債権差押命令申立ては,第三債務者である保険会社に過度の負担を負わせるものであって,各保険会社において格別の負担を伴わずに調査することによって当該債権を他の債権と誤認混同することなく認識し得る程度に表示して特定することが可能であるにもかかわらず,特定することなく申立てがされたものといえるから,不適法である

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(福岡高裁那覇支部平22.8.17判決)
自動車運転過失致死の事件において,被告人を犯人と認めるには合理的な疑いが残るとして,1審判決が破棄され,無罪が言い渡された事例
【記事紹介】

近現代法制史からみた優先主義と平等主義(上)
──我が国固有の平等主義の起源と裁判実務からみた立法課題/園尾隆司

過払金返還請求訴訟における実務的問題/澤野芳夫・三浦隆志・武田美和子・佐藤重憲

地方公共団体の損失補償契約をめぐって/髙部眞規子

東京地方裁判所商事研究会
類型別会社訴訟シリーズ〔追補〕1
役員の地位を仮に定める仮処分について/岡部弘・布目貴士

ブック・レビュー
現代民事法研究会著『民事訴訟のスキルとマインド』/永石一郎


【判例紹介】

最高裁判例
[刑 法]
1(最高裁第一小法廷平21.12.17決定)
強盗殺人1件,強盗致死・強盗致傷1件等の事案につき,無期懲役の量刑が維持された事例

憲法裁判例
[憲 法]
1(東京高裁平22.11.17判決)
公職選挙法14条,別表第三の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性

行政裁判例
[国家補償法]
1(大阪地裁平22.7.9判決)
地方公共団体が管理する道路供用予定地の上に放置された可燃性廃棄物に放火され隣接する建物に延焼したことについて,当該土地の管理に国家賠償法2条1項の瑕疵があったとはいえないが,当該地方公共団体が当該廃棄物の撤去をしなかったこと等は,当該地方公共団体が当該建物の管理者らから当該廃棄物の撤去を求める陳情を受けていた等判示の事実関係の下では,注意義務に違反するとして,同法1条1項の責任が認められた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(神戸地裁平22.9.3判決)
鉄道システム受注・納入会社のグループ長のうつ病罹患による自殺について業務起因性が認められた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平22.7.13判決)
商業ビルの厨房排水除害施設に新しい排水処理方式を導入する工事を請け負った請負人に債務不履行が認められるとして,損害賠償請求を一部認めた事例

2(東京地裁平21.11.11判決)
クレジットカード発行会社が提携先のクレジットカード会社から譲り受けた代金債権が,カード保持者でない者の悪用により生じたものであっても,原則としてクレジットカード発行会社がその損害を負担する旨の条項により上記債権譲渡は有効であるとされた事例

3(東京高裁平22.3.24判決)
1 金先物取引において専門的知識を有しない委託者が損失を被った場合において,商品取引員に取引手法等についての説明義務違反,助言義務違反,過当取引であることから損害賠償義務が認められた事例(過失相殺3割)
2 商品取引員から委託者に対する差損金請求が信義則違反として棄却された事例

4(東京地裁平21.9.30判決)
外国産自動車のエアバッグが停車中に暴発したのは,製造物責任法3条の欠陥に当たるとされた事例

5(横浜地裁川崎支部平22.5.21決定)
子ども文化センターの利用者の発する騒音の差止めを求める仮処分申立てが被保全権利の疎明がないとして却下された事例

6(神戸家裁明石支部平22.6.1審判)
偽造された婚姻届による婚姻に係る戸籍の記載について,その記載の訂正の申立てが許可された事例

[商 法]
7(知的財産高裁平22.5.26決定)
ドイツ法人の販売代理店の元代表者が退職後設立した会社とドイツ法人との間で販売代理店契約が締結された場合において,元代表者に対し,同一事業への従事の禁止や取引先への連絡の禁止等を求めることはできないとされた事例

8ライブドア株式一般投資家集団訴訟(東京地裁平21.7.9判決)
1 有価証券報告書の重要事項についての虚偽記載により当該報告書を提出した株式会社,同社の取締役,監査役及び同社の監査を受嘱していた監査法人に対する損害賠償請求が認容された事例
2 有価証券報告書の虚偽記載による損害額算定に当たり旧証取法21条の2第2項,第5項が適用された事例

9(神戸地裁平22.9.14判決)
飲酒後にうたた寝をしていた被保険者が,起きざまに飲酒しようとしたときに食吐物誤嚥を起こし,窒息死したことが外来の事故に当たるとして,傷害保険契約に基づく死亡保険金の請求が認められた事例

[知的財産]
10(知的財産高裁平22.9.28判決)
特許法29条2項の判断に際して,先行技術から出発して当該発明の特徴点に到達できる試みをしたであろうという推測が成り立つのみでは十分ではなく,当該発明の特徴点に到達するためにしたはずであるという程度の示唆等の存在していたことが必要であるとされた事例

11紅いもタルト判決(知的財産高裁平22.6.30判決)
商標登録出願された「紅いもタルト」が,「(原材料として)紅いもを使用したタルト」を認識させるから,商標法3条1項3号における「商品の品質又は原材料を表示するもの」に該当するとした審決が維持された事例

12(知的財産高裁平21.9.1判決)
1 審判の審理中に原告の内容説明の申し出を採用しなかったことが審決の結論に影響したということはできないとされた事例
2 特許発明の容易想到性を理由とする無効審判請求が成り立たないとした審決の取消訴訟において,本件発明の記載が明確でなく,実施可能要件を満たしていないとか,そのために容易に想到することができるなどという主張をすることは許されない

[民事執行法]
13(東京高裁平22.9.9決定)
建物建築工事請負代金債権を被担保債権とする商事留置権が成立することを前提に決定された買受可能価額に基づくと無剰余であるとして担保不動産競売手続を取り消した決定に対する執行抗告において,商事留置権は成立しないとして原決定が取り消された事例

[倒産処理法]
14(東京地裁平22.7.8判決)
破産法162条1項2号の規定にいう「支払不能」の解釈

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平22.1.21判決)
平成16年の刑法改正前の行為に刑法205条を適用するに当たり,刑の短期について軽い行為時法を適用しなかった原判決の法令適用の誤りが,本件の具体的事情の下では判決に影響を及ぼすことが明らかであるとされた事例
●記事紹介

座談会
立証活動における倫理(下)/加藤新太郎・馬橋隆紀・須藤典明・村田渉

会社分割の濫用を巡る諸問題──「不患貧,患不均」の精神に立脚して/難波孝一

独占禁止法の新たな展開 21
事業者団体の活動への規制──8条のあり方/村上政博

刑事裁判ノート
裁判員裁判への架け橋として(9)/門野博

米国における医療訴訟の現状とADRの利用(下)/平野佑子


●判例紹介

最高裁判例
[租税法]
1(最高裁第二小法廷平22.10.15判決)
被相続人が生前に提起して相続人が承継していた所得税更正処分等の取消訴訟において同処分等の取消判決が確定した場合,被相続人が同処分等に基づき納付していた所得税等に係る過納金の還付請求権は相続税の課税財産となるか

[民 法]
2(最高裁第一小法廷平22.9.13判決)
1 被害者が,不法行為によって傷害を受け,その後に後遺障害が残った場合において,労働者災害補償保険法に基づく保険給付や公的年金制度に基づく年金給付を受けたときに,これらの各社会保険給付との間で損益相殺的な調整を行うべき損害
2 被害者が,不法行為によって傷害を受け,その後に後遺障害が残った場合において,不法行為の時から相当な時間が経過した後に現実化する損害をてん補するために労働者災害補償保険法に基づく保険給付や公的年金制度に基づく年金給付の支給がされ,又は支給されることが確定したときに,損益相殺的な調整に当たって,損害がてん補されたと評価すべき時期

[諸 法]
3(最高裁第二小法廷平22.10.22判決)
証券取引法施行令(平成18年政令第377号による改正前のもの)7条5項4号,発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令(平成18年内閣府令第86号による改正前のもの)3条の2の4第1項及び第2項所定の「株券等」に,特定買付け等(同施行令7条5項にいうもの)の対象とならない株券等は含まれるか

[民事訴訟法]
4(最高裁第一小法廷平22.10.14判決)
法人であるYから定年により職を解く旨の辞令を受けた職員であるXがYに対し雇用契約上の地位確認及び賃金等の支払を求める訴訟において,控訴審が,X,Yともに主張していない法律構成である信義則違反の点についてXに主張するか否かを明らかにするよう促すとともにYに十分な反論及び反証の機会を与える措置をとることなく,Yは定年退職の告知の時から1年を経過するまでは賃金支払義務との関係では信義則上定年退職の効果を主張することができないと判断したことに釈明権の行使を怠った違法があるとされた事例

5(最高裁第二小法廷平22.10.8判決)
定額郵便貯金債権が遺産に属することの確認を求める訴えの確認の利益

6(最高裁第二小法廷平22.7.16判決)
住民訴訟における共同訴訟参加の申出につき,これと当事者,請求の趣旨及び原因が同一である別訴において適法な住民監査請求を前置していないことを理由に訴えを却下する判決が確定している場合における当該申出の許否

行政裁判例
[行政法一般]
1(東京地裁平21.10.16判決)
ロシア国籍を有する外国人が出入国管理及び難民認定法7条の2第1項に基づいてした在留資格認定証明書交付申請に対し,申請に係る活動が虚偽のものではないと認められないとしてされた認定証明書を交付しない旨の処分が,違法であるとされた事例

[行政争訟法]
2(那覇地裁平21.1.20判決)
近隣住民の賃貸マンションの建築確認処分の差止めを求める請求が認められなかった事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(①東京地裁平22.9.15決定,②東京地裁平22.11.29決定)
労働審判手続の申立てが労働審判法6条の規定により却下された事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(大分地裁平20.9.16判決)
乙が名義貸しをして甲との間で空リース契約を締結したことを理由とする甲の乙に対する不法行為に基づく損害賠償請求権につき,甲が乙に対して未払リース料ないし未払リース料相当損害金の支払を求めた民事調停事件において成立した調停調書の「本調停条項に定めるほか,本件に関し何らの債権債務の存在しないことを相互に確認する」旨の清算条項により,これが免除されているとされた事例

2(神戸地裁平22.4.22判決)
個人タクシー事業協同組合の組合員に対する制裁処分は違法ではないとして,協同組合の不法行為責任が否定された事例

3(福岡高裁平21.9.14判決)
携帯電話基地局から発射される電磁波による健康被害を理由として当該基地局の操業の差止め等を求める請求を棄却した第1審判決が控訴審において是認された事例

4(東京地裁平22.8.30判決)
硝子体切除等の手術を行った際に患者の眼球周辺に誤って強膜プラグが残置されたことにより,患者が強い精神的ショックを受け,眼球部位に違和感を覚えるに至ったとして,これに伴う精神的苦痛に対する慰謝料の損害賠償請求が認容された事例

[商 法]
5(宮崎地裁平21.9.11判決)
信用金庫の総代会における会員の除名決議につき,除名事由が軽微であるなど,本来除名の必要がなかったにもかかわらず,形式的に除名事由が備わっていることを奇貨として,専ら会員代表訴訟における当該会員の原告適格を喪失させることを目的として除名決議がされたような場合には,当該決議は,本来出資口数に係わりなく個々の会員に認められた監督是正権という重要な権利を不必要に奪うとともに,当該会員の正当な訴訟活動を妨害するという,著しく不公正な結果を招くものであり,決議取消事由に該当する

6(千葉地裁平22.9.16判決)
電車に轢過されて死亡した事故について自殺の疑いがあるとして傷害保険金の請求が棄却された事例

[知的財産]
7(知的財産高裁平22.7.15判決)
審決には,審判手続において提出された実験結果を参酌すべきでないとした点,同実験結果を参酌しても本願発明が予想外の顕著な効果を奏するものとはいえないとした点にいずれも誤りがあるとして,審決が取り消された事例

8(東京地裁平22.4.21判決)
撮影者である著作権者に無断で編集・作成されたDVDが100円均一ショップにおいて廉価で販売されたことによる著作権法114条3項に基づく損害額につき,被告による販売額ではなく,同種のDVDの通常の販売価格を考慮して損害額が算定された事例

[民事保全法]
9(京都地裁平22.3.18決定)
トラックの点検,整備,修理サービスの継続的供給を受ける契約上の地位を仮に定め,同地位に基づくサービスの供給を命じた事例

[民事執行法]
10(東京高裁平22.9.8決定)
債務者が第三債務者である生命保険会社に対して有する生命保険契約に基づく保険金支払請求権(配当金請求権,解約返戻金請求権,満期金請求権)を対象とする債権差押命令の申立てにおいて,契約の種別・種類でなく,契約年月日の先後で特定した場合につき,債権の特定を欠くとはいえないとされた事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京高裁平21.11.16判決)
住居侵入後,キャッシュカードの窃取に着手し,いつでも容易にその占有を取得できる状態に置いた上で,同キャッシュカードの占有者に脅迫を加えて同キャッシュカードの暗証番号を強いて聞き出した行為につき,刑法236条2項の強盗罪の成立が認められた事例
●記事紹介

座談会
立証活動における倫理 (上)/加藤新太郎・馬橋隆紀・須藤典明・村田渉

名古屋民事実務研究会 8
第三者の原告適格に関する近時の最高裁判例の検討 (下)
――場外車券発売施設の設置許可取消訴訟について/杉浦一輝

専ら検挙されるためにした財物奪取行為と窃盗罪における不法領得の意思/神山千之

米国における医療訴訟の現状とADRの利用 (上)/平野佑子

ブック・レビュー
特許関係訴訟の昨日,今日そして明日
髙部眞規子著『実務詳説 特許関係訴訟』/井上泰人・荒井章光


●判例紹介

最高裁判例
[民 法]
1(最高裁第一小法廷平22.10.14判決)
数社を介在させて順次発注された工事の最終の受注者XとXに対する発注者Yとの間におけるYが請負代金の支払を受けた後にXに対して請負代金を支払う旨の合意が,Xに対する請負代金の支払につき,Yが請負代金の支払を受けることを停止条件とする旨を定めたものとはいえず,Yが上記支払を受けた時点又はその見込みがなくなった時点で支払期限が到来する旨を定めたものと解された事例

2(最高裁第一小法廷平22.9.9判決)
土地の賃貸人及び転貸人が,転借人所有の地上建物の根抵当権者に対し,借地権の消滅を来すおそれのある事実が生じたときは通知する旨の条項を含む念書を差し入れた場合において,賃貸人及び転貸人が地代不払の事実を土地の転貸借契約の解除に先立ち根抵当権者に通知する義務を負い,その不履行を理由とする根抵当権者の損害賠償請求が信義則に反するとはいえないとされた事例

[刑 法]
3(最高裁第一小法廷平22.7.29決定)
他の者を搭乗させる意図を秘し,航空会社の搭乗業務を担当する係員に外国行きの自己に対する搭乗券の交付を請求してその交付を受けた行為が,詐欺罪に当たるとされた事例

4(最高裁第一小法廷平21.10.8判決)
事後強盗としての暴行についての共謀等を認めなかった原判決を重大な事実誤認の疑いが顕著であるとして破棄して差し戻した事例

5(最高裁第一小法廷平21.7.16判決)
財産的権利等を防衛するためにした暴行が刑法36条1項にいう「やむを得ずにした行為」に当たるとされた事例

[特別刑法]
6(最高裁第三小法廷平21.8.7決定)
1 鑑定入院命令が発せられた後に鑑定入院の必要がなくなったことなどの事情と「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」72条1項の鑑定入院命令取消し請求の理由
2 裁判所が職権で鑑定入院命令を取り消すことの可否

7(最高裁第三小法廷平20.6.18決定)
妄想型統合失調症による幻覚妄想状態の中で幻聴,妄想等に基づいて行った行為が「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」2条2項の対象行為に該当するかどうかの判断方法

[刑事訴訟法]
8(最高裁第三小法廷平21.9.28決定)
宅配便業者の運送過程下にある荷物について,荷送人や荷受人の承諾を得ずに,捜査機関が検証許可状によることなくエックス線検査を行うことは適法か

行政裁判例
[国家補償法]
1相互信金出資者国家賠償請求訴訟第一審判決(大阪地裁平20.9.30判決)
1 信用金庫が出資を勧誘し,出資金を拠出させたが,その後破綻して出資者が出資金の返還を受けられなくなった場合において,一部の出資勧誘に出資の法的性格の説明義務違反の違法があったとして,同信用金庫の一部の出資者に対する不法行為責任(使用者責任)が認められた事例
2 上記の違法な出資の勧誘に関し,国が監督権限を行使してこれを阻止しなかったことについて国家賠償責任が否定された事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平22.2.26決定)
債務者会社のコンプライアンス規定に違反した等の理由でされた諭旨退職が有効と判断されて,地位保全等の仮処分命令申立てが却下された事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平22.4.21判決)
自社グループに所属するSPCを事実上一括管理するグループ中核会社に対し当該SPCによる不動産処分行為に関する包括的代理権があらかじめ授与されていたとされた事例

2(東京高裁平22.2.16判決)
1 準委任契約である分譲地管理契約が受任者の利益のための契約とはいえないとされた事例
2 分譲地管理契約について委任者の死亡を終了原因と認めた事例

3(横浜地裁平22.1.28判決)
購入した土地建物の建物の一室内で貸借人が自殺したことが判明した場合,特約上その損失は売主の負担であるとし,買主の価値減少額に相当する損失の返還請求が認められた事例

4(名古屋簡裁平22.3.23判決)
貸金業者が,「約定支払日より15日以上前に支払った場合は,約定支払日は次回に繰り越されない」との定めがある消費貸借契約で,約定支払日の16日前にした支払を当月分の支払と認めず,期限の利益が喪失したと主張することは信義則上許されないとされた事例

5(名古屋高裁平21.5.28判決)
証券会社は,社債を販売する際に,投資家に対して,その投資家の知識経験等により社債取引に伴うリスクの内容や取引の仕組みの重要部分を理解しているような場合を除き,倒産した場合のリスクや信用リスクを知るための方法及び信用リスク回避方法等を説明する義務があるとされた事例

6(東京高裁平22.7.15判決)
司法書士立会の下に作成された公正証書による遺言が認知症により遺言能力を欠き無効であるとされた事例

[商 法]
7(東京高裁平22.2.9決定)
株券電子化会社の株主総会において全部取得条項付種類株式取得決議があったことに伴い反対株主が価格決定の申立てをする場合においては,裁判所における価格決定申立事件の審理終結までの間に,会社に対して個別株主通知をすれば足りる

8(東京地裁平22.6.14判決)
火災保険金請求訴訟において,当該火災が原告の故意により生じたものであるとは認められないとして,保険会社の免責が否定された事例

[知的財産]
9(知的財産高裁平22.7.15判決)
本件訂正は明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではないから,本件訂正が「願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」との要件に適合しないとした審決の判断には誤りがあるとされた事例

10「つゝみ」事件(知的財産高裁平22.4.28判決)
「つゝみ」の平仮名文字を横書きしてなり,土人形を指定商品とする登録商標について,商標法2条3項1号及び2号所定の使用が認められた事例

11(東京地裁平22.1.22判決)
原告による特許の無効理由回避の主張を時機に後れた攻撃防御方法であるとして却下した事例

[民事執行法]
12(東京高裁平22.6.25決定)
区分所有者に対して建物の区分所有等に関する法律7条1項に規定する管理費等の請求権を有する管理組合は,同建物が強制競売により売却された場合の売却代金に対し,同請求権を被担保債権とする先取特権に基づく物上代位権を行使できるとされた事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平22.3.17決定)
被告人の取調べ状況を撮影したDVDについて,無条件の謄写を求めた弁護人の証拠開示命令請求に対し,謄写枚数の制限,複写の禁止,外部に接続したパソコンによる再生の禁止,弁護活動終了時のデータ消去等の条件を付した上で,弁護人に謄写の機会を与えることを検察官に命じた原決定が是認された事例
●記事紹介

大阪地方裁判所医事部の審理運営方針/大阪地方裁判所第17,第19,第20民事部

企業間取引訴訟の現代的展開 1[現代企業法研究会]
システム開発取引における紛争―─契約成立と仕様変更に伴う問題/清水建成

判例展望民事法 48
法律上の争訟性をめぐる裁判例と問題点 (下)/安福達也

名古屋民事実務研究会 7
第三者の原告適格に関する近時の最高裁判例の検討 (上)―─場外車券発売施設の設置許可取消訴訟について/杉浦一輝


●判例紹介

最高裁判例
[租税法]
1(最高裁第二小法廷平22.7.16判決)
社団たる医療法人の定款に,出資した社員が退社時に受ける払戻し及び当該法人の解散時の残余財産分配はいずれも当該法人の一部の財産についてのみすることができる旨の定めがある場合において,当該法人の増資時における出資の引受けに係る贈与税の課税に関し,当該法人の財産全体を基礎として当該出資を評価することに合理性があるとされた事例

[地方自治法]
2(最高裁第二小法廷平22.9.10判決)
1 普通地方公共団体の臨時的任用職員に対する手当の支給が地方自治法204条2項に基づく手当の支給として適法といえるための要件
2 市の臨時的任用職員に対する期末手当に該当する一時金の支給が地方自治法204条2項の要件を満たさないとされた事例
3 普通地方公共団体の臨時的任用職員の給与について条例において定められるべき事項
4 市の臨時的任用職員に対する期末手当に該当する一時金の支給が地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの)203条5項,地方自治法204条3項に違反するとされた事例
5 市が地方自治法204条2項に規定する同条1項の常勤の職員に該当しない臨時的任用職員に対し期末手当に該当する一時金を支給した場合において,市長が補助職員の専決による上記支給を阻止しなかったことに過失があるとはいえないとされた事例
6 市が地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの)203条5項,地方自治法204条3項に違反して臨時的任用職員に対し期末手当に該当する一時金を支給した場合において,市長が補助職員の専決による上記支給を阻止しなかったことに過失があるとはいえないとされた事例

[個別的労働関係]
3(最高裁第二小法廷平22.7.12判決)
1 株式会社の新設分割において,会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(平成17年法律第87号による改正前のもの)3条によれば分割をする会社との労働契約が分割によって設立される会社に承継されるものとされている労働者が,当該承継の効力を争うことができる場合
2 株式会社の新設分割において,会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(平成17年法律第87号による改正前のもの)3条によれば分割をする会社との労働契約が分割によって設立される会社に承継されるものとされている労働者につき,当該承継の効力が生じないとはいえないとされた事例

[刑 法]
4(最高裁第一小法廷平22.9.7決定)
北海道開発庁長官が,下部組織である北海道開発局の港湾部長に対し,競争入札が予定される港湾工事の受注に関し特定業者の便宜を図るように働き掛ける行為について,賄賂罪における職務関連性が認められた事例

5(最高裁第三小法廷平21.7.21決定)
単独犯の訴因で起訴された被告人に共謀共同正犯者が存在するとしても,訴因どおりに犯罪事実を認定することが許されるか

6(最高裁第一小法廷平21.7.13決定)
警察署の塀の上部に上がった行為について建造物侵入罪の成立が認められた事例

[刑事訴訟法]
7(最高裁第二小法廷平22.2.17決定)
前訴の建造物侵入,窃盗の訴因と後訴の非現住建造物等放火の訴因との間には公訴事実の単一性がなく,前訴の確定判決の一事不再理効は後訴に及ばないとされた事例

行政裁判例
[租税法]
1神奈川県臨時特例企業税条例事件控訴審判決(東京高裁平22.2.25判決)
臨時特例企業税を課す県条例の違法・無効を理由に既に納付した税額の返還を求める請求を認容した第1審判決を取り消して請求を棄却した事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平22.4.28判決)
原告が生徒に対する体罰を繰り返してきたこと,その行為態様・程度,体罰の件で事情聴取を受けることになった際に被害者である生徒及びその保護者に働きかけて原告から体罰を受けていない旨の「確認書」を交付して署名を求めたことなど,判示の事実関係の下においては,原告について地方公務員法28条1項3号に該当する事由があるとしてされた分限免職処分に,裁量権の逸脱・濫用の違法があるということはできないとして,分限免職処分取消請求を棄却した事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平22.4.20判決)
立体駐車場に駐車中の車両からの出火により駐車場が延焼し,その駐車場内の他の車両が損傷した火災について,失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)が適用されるとした上で,出火した車両に関与した被告らにはいずれも同法の規定する「重大な過失」は認められないとした事例

2(東京地裁平22.3.19判決)
発電所建設工事の下請労働者の転倒事故について,転倒原因を作業中の感電によるものと認定した上,後遺障害が残存した(PTSDの発症は否定)などとして,元請及び下請業者の安全配慮義務違反の責任を認め,注文者の責任は否定した事例

3(東京地裁平21.10.29判決)
1 絞扼性イレウスで死亡したと認められる患者について,担当医には原因疾患の鑑別をするために腹部エコー検査や造影CT検査などの必要な検査を実施しなかった過失があるとされた事例
2 上記過失と死亡との間の因果関係は否定されるが,死亡時点で生存していた相当程度の可能性が認められるとして,その可能性を侵害したことを理由に慰謝料請求が一部認容された事例

[商 法]
4(東京地裁平22.4.19判決)
外国為替証拠金取引業者が関連会社である会社から十分な証拠金の預託を受けずに同会社との間で外国為替証拠金取引を行い,これにより当該業者が他の顧客に対し証拠金を返還できなくなったことについて,当該業者及び当該関連会社の名目的取締役等に会社法429条1項に基づく責任が認められた事例

5(宮崎地裁平22.3.12判決)
鹿児島県種子島沖合で漂泊中の漁船に航行中の貨物フェリーが衝突した事故について,同フェリーに8割の過失があったとして,その損害賠償責任が認められた事例

[知的財産]
6(知的財産高裁平22.4.14判決)
多数のリンクにより直接ウェブサイトの商品カタログのページにおいて商品写真等を閲覧することができる仕組みになっているメールマガジン及びWeb版に「クラブハウス」標章を表示する行為は,指定商品を「加工食料品」等とする「CLUBHOUSE/クラブハウス」なる商標の使用に当たる

7エチオピア国コーヒー商標訴訟(知的財産高裁平22.3.29判決)
1 商標「SIDAMO」について,「その商品の産地又は品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」(商標法3条1項3号)には当たらないが,「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標」(商標法4条1項16号)には当たるとされた事例
2 社団法人全日本コーヒー協会に商標登録の無効審判の請求人適格を認めた事例

8塗料品質誤認事件(知的財産高裁平22.3.29判決)
継続的な取引において構築されてきた信頼関係を基礎として,納入する塗料に求められる技術的レベルを共有することができる取引先に対し,当該塗料を特定の自動車部品に使用したときの要求特性を達成するために,被控訴人のノウハウに属する一定の調整が必要となることについても共通認識が形成されていた場合において,被控訴人が,複数の塗料をベースとして,取引先におけるコーティング加工後に仕様書記載の要求特性を満たすようにこれに一定の塗料を混合し,調整を施したものについて,調整前の塗料の名称を付したまま,これらを取引先に対して販売したとしても,これによって取引先において,そのように調整済みの塗料として納入を受けるのが当然であって,反対に,取引先が自ら調整する前提で,被控訴人が,その仕入れた塗料を調整未了の状態で納入することが予定されていないときは,取引先がその品質等を誤認する余地はなく,これをもって,不正競争防止法2条1項13号にいう「商品の原産地,品質,内容,製造方法,用途若しくは数量……について誤認させるような表示をし」たということはできない

[民事訴訟法]
9(東京地裁平22.4.15判決)
アメリカ合衆国カリフォルニア州中部地区合衆国地方裁判所がした判決の執行判決を求める訴えにつき,同裁判所がその事件につき国際裁判管轄を有するとは積極的に認めることができず民事訴訟法118条1号の要件を具備しないとして,請求を棄却した事例

刑事裁判例
[特別刑法]
1(福岡高裁平22.8.5判決)
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律18条の2第1項の意義
●記事紹介

担保のために手形・小切手を金融機関に預け入れた債務者に倒産手続が開始された場合と当該手形・小切手の取扱いの帰すう/滝澤孝臣

企業間提携契約の法的諸問題 18[現代企業法研究会]
企業間提携契約における段階的撤退に関する一考察 (下)─段階的撤退条項の意義及び限界/奈良輝久

判例展望民事法 47
法律上の争訟性をめぐる裁判例と問題点 (上)/安福達也

独占禁止法の新たな展開 20
元詰種子事件および着うた事件東京高裁判決─意思の連絡に係る判例法の展開/村上政博

米国ノースカロライナ州における裁判所の情報システムの紹介 (下)/松長一太

判例タイムズ記事総索引No.1309(平成22年1月1日号)?No.1333(平成22年12月15日号)


●判例紹介

速 報
[地方自治法]
1安曇野市損失補償契約に基づく債務支払差止め住民訴訟(東京高裁平22.8.30判決)
1 地方公共団体が第三セクターの債務について金融機関との間で締結した損失補償契約が法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(財政援助制限法)3条の趣旨に反する場合における私法上の効力
2 地方公共団体が金融機関との間で締結した当該金融機関の第三セクターに対する融資について金融機関に生じた損失を補填する旨の損失補償契約に基づき当該地方公共団体の長が金融機関に対して補償債務の支払いのためにする出費の差止めを求める住民訴訟に理由がある場合

行政裁判例
[行政争訟法]
1(福岡高裁那覇支部平22.2.23判決)
1 市が施行した土地区画整理事業に係る仮換地指定処分が,照応の原則に違反するとされた事例
2 市が施行した土地区画整理事業に係る仮換地指定処分の取消訴訟において,事情判決の要件を満たさないとされた事例

[国家補償法]
2(松山地裁平22.4.14判決)
1 捜査機関が,被害者がけんかの結果死亡したとの誤った記者発表を行い,それに基づき事実と異なる報道が行われた場合につき,被害者の遺族の死者に対する敬愛追慕の情の侵害を認めて,慰謝料請求を認容した事例
2 上記の場合につき,遺族の謝罪広告請求を棄却した事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(大阪高裁平20.12.18判決)
町役場に勤務する職員が出張中に橋出血を発症したことが公務上災害であるとして,公務外と認定した処分が取り消された事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(千葉地裁佐倉支部平22.7.28判決)
不貞行為を原因とする損害賠償として3000万円の内金2940万円を支払う旨の公正証書は強迫による取消しにより無効であるとされた事例

2(京都地裁平22.10.29判決)
賃貸マンションの賃貸借契約における更新料特約について,更新料は賃料前払いと途中解約時の違約金の性質を有し,消費者契約法10条に反しないとして,賃借人からの更新料返還請求を棄却した事例

3(東京地裁平22.5.26判決)
1 首都高速道路都心環状線を走行中に自動車が炎上した事故について,警察官が交通規制を行った際に用いた発炎筒の炎が自動車のアンダーカバー付近をあぶり,アンダーカバーに着火したことによるものであって,これは警察官が設置した発炎筒を適切に除去すべきであったのにこれを怠ったことにより発生したものであるとした事例
2 公権力の行使に当たる公務員の失火による国又は地方公共団体の国家賠償法上の損害賠償責任については,失火ノ責任ニ関スル法律が適用される
3 交通規制を行う警察官が,交通規制に用いた発炎筒につき,設置後の状況を確認して,消火,除去することを怠り,少なくとも交通規制で用いられた発炎筒1本について,発炎筒をまたいでいる車両等が存在しているかなどといった設置後の状況を十分に確認せず,確実に消火,除去しなかった場合に,上記警察官の行為には重大な過失があるとした事例

[商 法]
4インターネットナンバー株主総会決議取消請求事件判決(東京地裁平22.9.6判決)
1 原告らが,全部取得条項付種類株式の取得決議により株主としての地位を喪失しても,同決議について提起した株主総会決議取消請求の原告適格を喪失しない
2 全部取得条項付種類株式制度を利用した完全子会社化スキームにおいて,株主総会決議が著しく不当であるというためには,少なくとも,少数株主に交付される予定の金員が,対象会社の株式の公正な価格に比して著しく低廉であることを必要とする
3 会社に少数株主を排除する目的があるというのみでは,全部取得条項付種類株式制度を規定した会社法の趣旨に違反するとはいえない

5(横浜地裁平21.9.18判決)
火災保険契約の申込者であり建物の管理者である者の放火について,保険会社の免責を認めた事例

[知的財産]
6(東京地裁平22.3.24判決)
納付期間及び追納期間内に特許料等を納付できなかったことにつき,特許法112条の2第1項所定の「その責めに帰することができない理由」が認められなかった事例

7(知的財産高裁平22.1.28判決)
「性的障害の治療におけるフリバンセリンの使用」とする発明について,発明の詳細な説明において,フリバンセリン類の性欲障害治療用薬剤としての有用性を裏付ける薬理データ又はそれと同視すべき程度の記載がないことを理由として,当該出願は特許法36条6項1号の要件を充足しないとして拒絶した審決に,理由不備の違法があるとして,審決を取り消した事例

8(知的財産高裁平21.11.26判決)
「衣類のオーダーメイド用計測サンプル及びオーダーメイド方式」の発明について自己実施による職務発明の対価の額を算定した事例

9(知的財産高裁平21.7.2判決)
指定商品を「菓子及びパン」とする「天使のスィーツ」なる文字商標と,指定商品に「菓子及びパン」を含む「エンゼルスィーツ」及び「Angel Sweets」を上下二段に表した登録商標との,観念における類否(積極)

[諸 法]
10(東京地裁平21.1.29判決)
マンションの管理規約に基づき,管理組合法人の区分所有者に対するバルコニー上に存在する増築部分の撤去請求が認容された事例

[民事訴訟法]
11(東京地裁平22.1.29判決)
原告が主張する被告らの共同不法行為による結果はいずれも日本国内において生じるものであるなどとして,共同不法行為に基づく損害賠償請求に適用される準拠法が日本法とされた事例

12(大阪高裁平22.1.28判決)
宗教法人が寺院建物等を占有する者に対し明渡等を求めた訴訟において,その代表者の代表権限が争われた場合に,代表権限の存否が宗教上の教義に関わる事項であるため裁判所の審判対象にならないためその証明がないことに帰するとして訴えを却下した原判決につき,代表権限の証明があるとしてこれを取り消して,差し戻した事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京地裁平22.1.28判決)
前科となる判決(確定裁判)の罪,その判決の確定後に行われたことが明らかな罪及びその確定前後のいずれに行われたか明らかでない罪の併合罪の関係

[刑事訴訟法]
2(東京高裁平22.1.5決定)
刑訴法316条の20第1項の主張関連証拠として証拠開示命令請求の対象とされた被害者の前科・前歴に関する証拠について,抗告審において当該証拠の提示を受けた上で開示の当否を検討し,開示の必要性は低く,開示により相応の内容・程度の弊害が生じるおそれが否定できないとして,開示を命じた原決定を取り消し,開示命令請求を棄却した事例
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「判例タイムズ」は、1948年の創刊以来、我が国を代表する判例紹介誌として、幅広い分野の法律実務家から高い評価を受けています。全国の判例情報から実用性の高いものを迅速的確に紹介しつつ、実務家・研究者と連携して時事問題を取り扱った論文・鼎談等をタイムリーに掲載しており、実務家・研究者に限らず、広く法務に携わるすべての人々必見の書です。

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