判例タイムズ

判例タイムズ 発売日・バックナンバー

全1551件中 226 〜 240 件を表示
講演 弁護過誤を避けるために/加藤新太郎

建物の占有と土地の占有
――民法,民事訴訟法,民事執行法を踏まえた法的分析/淺生重機

争点整理の新しい運用に関する一試案
――福岡民事プラクティス研究会の議論を踏まえて/藤田正人

判例展望民事法 44
文書提出命令
――その現状と課題/松井雅典


最高裁判例
[国家補償法]
1(最高裁第三小法廷平22.3.2判決)
北海道内の高速道路で自動車の運転者がキツネとの衝突を避けようとして自損事故を起こした場合において,小動物の侵入防止対策が講じられていなかったからといって上記道路に設置又は管理の瑕疵があったとはいえないとされた事例

[租税法]
2(最高裁第三小法廷平22.3.30判決)
1 県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い,県から同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が,当該建物を第三者に譲渡して上記土地外に曳行移転させた場合において,上記補償金のうちに上記曳行移転の費用に充てられた金額があるときは,当該金額について所得税法44条の適用を受けるか
2 県が施行する道路事業の用地として所有地を買い取られたことに伴い,県から同土地上に存する所有建物を移転することに対する補償金の支払を受けた個人が,当該建物を第三者に譲渡して上記土地外に曳行移転させた場合において,上記補償金が「公共用地の取得に伴う損失補償基準細則」(昭和38年3月7日用地対策連絡会決定)所定の再築工法によった場合の建物の移転料の算定方法に準ずる方法で算定されたものであり,かつ,上記の建物譲渡が個人に対する無償の譲渡であるときは,上記補償金の金額で上記曳行移転の費用に充てられた金額以外の金額のうちに所得税法44条又は租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条1項の適用を受ける金額があるか

[民 法]
3(最高裁第三小法廷平22.1.26判決)
損害賠償額の算定に当たり被害者の将来の逸失利益を現在価額に換算する場合における中間利息控除の方法はホフマン方式によらなければならないか

[諸 法]
4(最高裁第三小法廷平22.3.30判決)
金の商品先物取引の委託契約において将来の金の価格は消費者契約法4条2項本文にいう「重要事項」に当たるか

[刑 法]
5(最高裁第一小法廷平22.3.15決定)
1 インターネットの個人利用者による名誉毀損と摘示事実を真実と誤信したことについての相当の理由
2 インターネットの個人利用者による名誉毀損行為につき,摘示事実を真実と誤信したことについて相当の理由がないとされた事例

行政裁判例
[行政法一般]
1(福岡高裁平21.11.30判決)原爆症認定熊本訴訟控訴審判決
原爆症認定申請却下処分が違法として取り消されたが,国家賠償請求は理由がないとされた事例


[国家補償法]
2(福岡地裁小倉支部平21.10.1判決)
小学生の担任教諭の体罰直後の自殺について,学校側の損害賠償責任が認められた事例

労働裁判例
[集団的労働関係]
1(東京地裁平21.4.22判決)
会社と業務委託契約を締結し,住宅設備機器の修理業務に従事するカスタマーエンジニア(CE)が労組法上の労働者と認められた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平21.11.9判決)
八百長相撲等を内容とする週刊誌の記事が名誉毀損に当たり,裏付け取材が不十分であった等として,出版社,執筆者らの不法行為責任が肯定された事例

2(大阪地裁平21.1.30判決)
いわゆるヤミ金融業者が債権回収に名を借りて行った過酷な取立てが恐喝行為に当たるとされた上,同行為と債務者の自殺との間に相当因果関係が認められた事例

3(横浜地裁平21.10.14判決)
腹痛を訴え病院に救急搬入された小児が絞扼性イレウスで死亡した場合,病院の医師に所定の検査を怠った過失があったとして,病院側の損害賠償責任が認められた事例

[商 法]
4(大阪地裁平21.5.18判決)
1 自動車保険契約約款の車両条項における飲酒免責条項につき,制限的解釈をした事例
2 追突による自損事故を起こした原告が政令数値以下のアルコールを保有していた事案につき,運転者の飲酒行動,身体に保有したアルコール量,アルコール耐性や事故当時の肉体的及び精神的状態,事故当時の運転状態ないし事故態様及び原因等を総合的に考慮し,「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」での運転に当たるとして,保険者の免責を認めた事例

[知的財産]
5(大阪高裁平22.1.22判決)
節分用の巻き寿司についての被告標章「十二単の招福巻」のうち「招福巻」の部分は普通名称となっていたことを理由に原告登録商標「招福巻」の商標権の効力が及ばないとされた事例

6(知的財産高裁平21.9.8判決)アイディー事件
本願商標(「アイディー」の片仮名文字を標準文字で書して成る。)は,商標法3条1項6号所定の「需要者が何人かの業務に係る商品……であることを認識することができない商標」に該当するとした審決が維持された事例

[諸 法]
7(東京高裁平21.12.18判決)東京都新都市建設公社(多摩地区)談合事件財団法人東京都新都市建設公社発注の特定土木工事の取引分野(指名競争入札)において,多摩地区において営業活動をするいわゆるゼネコン33社による入札談合の基本合意が認められ,これに基づき受注調整行為が行われた結果として,競争の実質的制限(不当な取引制限)がされたもので,課徴金対象該当性が認められるとして,課徴金納付命令審決の取消請求が棄却された事例

[民事訴訟法]
8(東京地裁平21.11.17判決)
契約の債務不履行に基づく損害賠償請求訴訟について,民事訴訟法の義務履行地の裁判籍の規定(民事訴訟法5条1号)に依拠して我が国の裁判所の国際裁判管轄を肯定するためには,原則として,原告と被告の間に当該債務の発生原因である契約が締結されたとの客観的事実関係が証明されることが必要であるが,その証明がないとされた事例

[民事執行法]
9(東京高裁平21.9.25決定)
1 買受けの申出をする前に不動産が損傷した場合に民事執行法75条1項が類推適用されるのは,買受人が買受申出前に損傷の存在を知り得なかった場合に限られるとされた事例
2 評価書において,競売目的物件内で事故死があった旨,評価額の算定に当たって事故死があったことを考慮して10%を控除した旨の記載がされていれば,買受人は,不動産の損傷,すなわち,同物件の交換価値を著しく損なう事実が存在することを知り得たものとされた事例

[倒産処理法]
10(福岡高裁那覇支部平21.9.7決定)
賃料債権に対する譲渡担保権について,民事再生法31条1項が類推適用され,担保権の実行手続の中止命令がされた事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(大阪地裁平21.6.11決定)
検察官による勾留請求が違法な再勾留請求にあたるとされた事例


【記事紹介】

大阪民事実務研究
偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律第4条の要件の検討
――債権の準占有者に対する弁済における「債権者の帰責事由」考/原司

民事手続法判例研究 (4)
外国の仲裁機関による仲裁の定めがある事件につき我が国で提起された保全命令事件の我が国の国際裁判管轄/河野正憲

独占禁止法の新たな展開 15
最近の個別事例/村上政博

【判例紹介】
速 報
[憲 法]
1(福岡高裁那覇支部平22.3.9判決)
いわゆる1人別枠方式を前提とした現行の選挙区割りの合憲性

最高裁判例
[租税法]
1(最高裁第三小法廷平22.2.16判決)
仕入れた重油及び灯油を石油精製工場に持ち込み,同工場を設置する会社に委託してこれらを軽油にし,販売先に譲渡する取引を行っていた業者について,上記業者が当該軽油の所有権を原始取得していなかった疑いがあることのみを理由として,上記業者は地方税法(平成21年法律第9号による改正前のもの)700条の4第1項5号にいう「軽油の製造」を行ったとはいえないから上記業者を同号に基づく軽油引取税の納税義務者であると解する余地はないとした原審の判断に違法があるとされた事例

[地方自治法]
2(最高裁第三小法廷平22.2.23判決)
市議会の会派に交付する政務調査費の使途を「会派が行う」調査研究活動と定める函館市議会政務調査費の交付に関する条例施行規則(平成13年函館市規則第4号)の下で,会派の代表者の承認を得て政務調査費が会派から所属議員に支出された場合において,当該支出が上記の「会派が行う」との要件を満たすとされた事例

行政裁判例
[国家補償法]
1(東京地裁平21.7.31判決)
構造計算書に偽装がなされた建築物の建築確認審査について,建築主事を置く自治体及び指定確認検査機関に注意義務違反がないとして,責任を否定した事例

[地方自治法]
2(名古屋地裁平21.3.26判決)
市議会の会派が政務調査費から支出した費用のうち,㈰当該会派の所属議員により構成される議員総会等の昼食代,㈪当該会派発行に係る機関紙の印刷費用のうち,所属議員の後援会活動又は選挙活動の一環と認められる記載部分に係る費用は,政務調査費の使途基準に適合しないとされた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(宮崎地裁平21.9.28判決)
解雇が無効とされた場合,使用者は,解雇時点に遡って当該労働者の被保険者資格等を回復させることが望ましく,年金資格の回復方法について労働者の選択に委ねる余地があるとしても,使用者は,雇用契約に付随する義務として,当該労働者に対し,労働者が資格回復方法について合理的に選択できるよう,資格回復方法の利害得失について具体的に説明する義務を負うものとした事例

[集団的労働関係]
2(東京地裁平20.10.8判決)
1 人事部長による組合脱退慫慂行為が不当労働行為に当たるとされた事例
2 雇用契約期間満了時までに契約更新手続に応じなかった組合員に対する雇止めが,不当労働行為に当たらないとされた事例
3 雇用契約期間の満了した組合員の雇用契約上の地位に関する組合からの団体交渉申入れに対する対応が,不当労働行為に当たるとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平21.5.14判決)
1 他人による株式信用取引口座の使用を許諾した契約者に対する証券会社の差損金請求が認容された事例
2 インターネットを通じた株式信用取引における本人確認義務違反,取引リスク説明義務違反等の主張が認められなかった事例

2(大阪地裁平22.1.25判決)
フランチャイズ契約において,契約終了後の競業避止義務規定が公序良俗に違反せず,無効とはいえないとされた事例

3(東京地裁平21.12.24判決)
インターネットによる株式信用取引について名義貸しをした顧客らとの間の契約が認められ,同顧客らに対し,差損金の支払が命じられた事例

4(鳥取地裁平21.10.16判決)
医師である国立大学の大学院生が自動車を運転してアルバイト先病院に向かう途中,交通事故を起こして死亡した場合,その原因が過労による居眠り運転であるとし,大学側の安全配慮義務違反の責任が認められた事例

5(東京地裁平21.7.9判決)
1 弁護士事務所の代表者が中小企業基盤人材確保助成金の給付に係る事務処理等を社会保険労務士に委任したが,上記助成金の支給を受けることができなかったことについて,社会保険労務士の責任を否定した事例
2 弁護士事務所の法人化に伴い,所属弁護士及び従業員全員が弁護士国民健康保健組合を脱退し,その後同組合に再加入できなかったことについて,同組合及び社会保険労務士の説明に不備があったとはいえないとされた事例

6(大阪地裁平21.11.25判決)
後縦靱帯骨化症除去前方除圧術について被告病院医師に除圧幅が狭すぎた注意義務違反があり,それによって四肢麻痺の後遺障害が生じたとして損害賠償請求が認められた事例

7(名古屋地裁平21.6.24判決)
被告病院で出生したX1に脳性麻痺による後遺障害が残ったことについて,徐脈の発生時期が争われた事案において,分娩監視を怠った過失,及び同過失と上記後遺障害との間の因果関係が認められるものの,適切に分娩監視がなされていたとしても,一定の後遺障害の残った可能性が高いとして,その点を損害額の算定にあたって考慮し,原告らの損害賠償請求の一部を認容した事例

8(東京高裁平21.8.6判決)
遺言者が痴呆により遺言能力が欠けていたとして,自筆証書遺言が無効とされた事例

[知的財産]
9(知的財産高裁平21.8.27判決)
米国カリフォルニア州製のギターを指定商品とする登録商標と同一の引用商標が同登録商標の出願時及び登録査定時のいずれの時点においても米国人又はその関係会社が製造するギターを表示するものとして需用者の間に広く認識されており商標法4条1項10号に該当するとされて,同登録商標に係る登録を無効とした審決が維持された事例

[諸 法]
10(東京地裁平21.10.21判決)
坂道に停車していた自動車が,運転者の降車後後退を開始し,これを追いかけた運転者が死亡した事案につき,自動車に製造物責任法3条の「欠陥」が存在したとの主張が排斥された事例

[民事訴訟法]
11(東京地裁平21.11.10中間判決)
被告ら(英国領ヴァージン諸島で設立された法人と日本法人)が香港の裁判所に提起した損害賠償を求める訴えに対抗して,原告(日本法人)が提起した債務不存在確認を求める訴えにつき,日本の裁判所に国際裁判管轄が認められた事例

[倒産処理法]
12(東京地裁平21.11.10判決)
再生債権を自働債権とする相殺について,再生債権者が債務(受働債権)を負担するに当たり民事再生法93条1項2号にいう「専ら再生債権をもってする相殺に供する目的」を有していたと認めることはできないから,その相殺は,民事再生法93条1項2号の規定に違反するものと認めることはできないとされた事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京地裁平22.2.25決定)
建物ドアの違法な解錠を契機として現行犯逮捕がなされた場合に,逮捕手続に違法があるとして勾留請求を却下した原裁判が維持された事例


記事紹介
担保不動産収益執行の諸問題/中村隆次/野田恵司/小河好美/溝口 優
〔第1章〕収益執行の開始
〔第2章〕収益執行の開始に伴う諸問題
〔第3章〕収益執行期間中の対象不動産の管理,使用収益等に伴う諸問題
〔第4章〕収益執行における配当についての諸問題
〔第5章〕収益執行の終了に伴う諸問題
〔第6章〕収益執行と訴訟

公判前整理手続に関する諸問題 13[大阪刑事実務研究会]
複雑困難事件における問題(その3)――鑑定が事件の帰すうを決する場合/笹野明義


判例紹介
行政裁判例
[国家補償法]
1(東京高裁平21.12.17判決)
県知事が所定の要件を満たしていないのにこれを看過して一般建設業の許可をしたために,当該許可を受けた業者が瑕疵ある工事をして損害が発生したとして,当該業者に住宅の建設を注文した者が県に対してした損害賠償請求が棄却された事例

2(大阪地裁平20.12.8判決)
1 高速道路におけるスリップ事故について,事故態様に関する原告の主張を排斥して,路面凍結を原因とする事故とは認められないと判断した事例
2 国賠法2条1項にいう道路管理の瑕疵について,道路管理者は,自動車運転者に社会通念上要求される一般的な運行態度を前提として,予見しうる道路の危険性の有無や程度に応じた管理を行えば足り,それにもかかわらず発生した危険については,予見可能性及び回避可能性がないものとして,設置又は管理の瑕疵についての責任を負わないとの判断基準を示し,仮に,路面凍結がスリップ事故の原因となっているとしても,道路管理者には凍結の予見可能性もスリップ事故の回避可能性もなかったとして,国賠法2条1項に基づく責任を否定した事例

[租税法]
3(大阪高裁平21.10.16判決)
1 法人税の確定申告に対して,課税庁が所得金額の加算とともに減算をして行った増額更正処分に対する取消訴訟において,確定申告に係る申告所得金額・税額を超える部分の取消しを求めることは不適法か
2 法人が支給する使用人賞与の損金算入時期についての平成18年政令第125号による改正前の法人税法施行令134条の2の定めは,租税法律主義又は法人税法の定める損金算入基準に違反するか

[地方自治法]
4(神戸地裁平20.10.8判決)
酒気帯び運転をしたことを理由とする市役所職員に対する懲戒免職処分が裁量権を濫用したものであるとして取り消された事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平21.6.12判決)
財団法人の総務部長が,常務理事兼事務局長のパワハラ・セクハラ的言動を告発する報告書を理事長に提出したこと及び同報告書の内容を漏洩したことを理由とする懲戒解雇が無効とされた事例

2(東京地裁平20.12.8判決)
在籍出向中の労働者がうつ病に罹患し自殺した場合において,①出向先の安全配慮義務違反は肯定された(過失相殺3割)が,②出向元の安全配慮義務違反は否定された事例

[集団的労働関係]
3(東京地裁平20.9.10判決)
破産手続廃止決定が確定した株式会社を被申立人とする不当労働行為救済申立ての可否(消極)

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平20.12.19判決)
循環取引あるいは環状取引がされた疑いのある商流に介入して締結された売買契約が,錯誤により無効であるとされた事例

2(東京高裁平21.9.24判決)
箱根仙石原所在の分譲マンションにおいて,各居室の使用目的を原則として「不定期に保養施設として」使用することに限定する管理規約を新たに制定することの可否(消極)

3(東京地裁平21.9.3判決)
営業権譲渡代金債権を担保として譲渡する旨の契約の有効性

4(東京地裁平21.9.29判決)
転リース契約のリース料支払債務を貸金返還債務に類するものとみて当該リース料支払債務が転リース契約の締結時に全額発生するものとみることはできないから,毎月の転リース料の支払と毎月の転リース物件の使用とは対価関係に立つものというべきであって,当該転リース契約は,民事再生法49条1項にいう「双務契約」に当たるとした事例

5(東京地裁平21.9.15判決)
区分所有建物の管理組合の部会が専有部分における心療内科クリニックの営業開始を承認せず,区分所有者による専有部分の賃貸を妨げたことが同区分所有者に対する不法行為に当たるとされた事例

6(大阪地裁平21.7.27判決)
天然ガスエコ・ステーションの設置工事の指名競争入札において,入札事業者間で談合が行われたために発注者が損害を被ったと主張して,不法行為に基づき,発注者が受注者に対してした損害賠償請求が棄却された事例

7(東京地裁平20.2.29判決)
支払督促の申立ての違法性について

8(大阪地裁平21.9.29判決)
1 脳出血により入院中の患者が肺血栓塞栓症により死亡したことについて,医師に肺血栓塞栓症の予防措置を執らなかった注意義務違反が認められた事例
2 上記注意義務違反と死亡との間の因果関係が否定され,死亡時点で生存していた相当程度の可能性が認められた事例

[商 法]
9(東京地裁平21.7.15判決)
譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任(会社法22条)が認められた事例

[知的財産]
10(知的財産高裁平21.10.28判決)クラビット錠事件
特許権存続期間の延長登録がされた期間のうち,データ収集のために米国臨床試験に係る期間(1年8月23日)について,薬事法14条1項の承認等を受けることが必要であるために,その特許発明の実施をすることができない期間(特許法67条2項)に該当しないとされた事例

11(知的財産高裁平21.8.25判決)
1 切削対象物が「半導体パッケージ」である切削方法が,切削対象物として「半導体ウェーハ」のみを特許請求の範囲に記載した特許発明との関係で,均等侵害の第5要件を充たさないとされた事例
2 特許法104条の3の抗弁に対する再抗弁としては,①特許権者が,適法な訂正請求又は訂正審判請求を行い,②その訂正により無効理由が解消され,かつ,③対象方法が訂正後の特許請求の範囲にも属するものであることが必要である

[諸 法]
12(京都地裁平21.9.30判決)
1 定額補修分担金条項が消費者契約法10条により無効であるとされた事例
2 上記の無効条項を含む契約の申込み又はその承諾の意思表示を行うことの差止めが消費者契約法12条により認められた(一部は,却下又は棄却)事例

[民事訴訟法]
13(東京高裁平22.1.26決定)
金銭消費貸借基本契約書の「債権者の本社または営業店所在地を管轄する裁判所を合意管轄裁判所とする」との条項に基づいて提起された過払金返還請求訴訟について,同条項が無効であるとして消費者金融業者がした管轄違いを理由とする移送申立てが棄却された事例

[民事保全法]
14(福岡高裁平21.7.15決定)
暴力団組事務所等としての使用差止めなどを求める仮処分命令申立てのうち,暴力団組事務所等として使用されていた建物については認容し,暴力団組事務所等として使用されていた建物が取り壊された跡地については却下した事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平21.7.6判決)
特定不能のパーソナリティー障害に罹患した被告人がサバイバルナイフで母及び弟を多数回突き刺して殺害した殺人事件について,検察官が被告人に有利な事情をも相当程度斟酌して有期懲役刑を選択した上でした法定刑の最上限(懲役30年)の求刑に対し,被告人を懲役20年に処した原判決の量刑は軽すぎるとして,原判決を破棄し懲役28年の刑が宣告された事例
記事紹介

独占禁止法の新たな展開 14
一定の取引分野における競争の実質的制限と公正競争阻害性/村上政博

証人尋問,被告人質問に関する諸問題 [大阪刑事実務研究会]
1尋問等の際の動作による再現/細谷泰暢

2尋問における書面等の提示と証拠制限規定(刑訴法316条の32)との関係/渡部市郎

3尋問の関連性について/出口博章

4立証趣旨の追加・変更,証人尋問請求の撤回,反対尋問の機会における新たな事項の尋問,被告人質問における新たな主張に関する供述/飯畑正一郎


判例紹介

特 報

[憲 法]
1(最高裁大法廷平22.1.20判決)
1 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が憲法89条,20条1項後段に違反するとされた事例
2 市が連合町内会に対し市有地を無償で神社施設の敷地としての利用に供している行為が憲法の定める政教分離原則に違反し,市長において同施設の撤去及び土地明渡しを請求しないことが違法に財産の管理を怠るものであるとして,市の住民が怠る事実の違法確認を求めている住民訴訟において,上記行為が違憲と判断される場合に,その違憲性を解消するための他の合理的で現実的な手段が存在するか否かについて審理判断せず,当事者に対し釈明権を行使しないまま,上記怠る事実を違法とした原審の判断に違法があるとされた事例

最高裁判例

[憲 法]
1(最高裁大法廷平22.1.20判決)
市が町内会に対し無償で神社施設の敷地としての利用に供していた市有地を同町内会に譲与したことが憲法20条3項,89条に違反しないとされた事例

[民 法]
2(最高裁第二小法廷平22.1.29判決)
A社の財務部門を法人化して設立され,A社を中核とするグループに属するX社が,上記グループに属するB社に金員を貸し付け,B社の代表取締役であるYがこの貸付けに係るB社の借入金債務を保証した場合において,B社が既に事業を停止している状況下で,X社がYに対して保証債務の履行を請求することが権利の濫用に当たるとされた事例

3(最高裁第二小法廷平21.12.18判決)
特定の商品の先物取引につき,委託玉と自己玉とを通算した売りの取組高と買いの取組高とが均衡するように自己玉を建てることを繰り返す取引手法を用いている商品取引員の従業員が,信義則上,専門的な知識を有しない委託者に対して負う説明義務

4(最高裁第一小法廷平21.12.10判決)
学校による生徒募集の際に説明,宣伝された教育内容や指導方法の一部が変更され,これが実施されなくなったことが,親の期待,信頼を損なう違法なものとして不法行為を構成する場合

[刑 法]
5(最高裁第一小法廷平21.12.8決定)
1 精神鑑定の意見の一部を採用した場合と責任能力の有無・程度の判断
2 責任能力の有無・程度について原判決の判断手法に誤りがないとされた事例

6(最高裁第一小法廷平21.7.14決定)
刑法96条の2にいう「強制執行」と民事執行法1条所定の「担保権の実行としての競売」

7(最高裁第三小法廷平21.6.30決定)
共犯者が住居に侵入した後強盗に着手する前に現場から離脱した場合において共謀関係の解消が否定された事例

8(最高裁第一小法廷平21.6.29決定)
1 パチスロ店内で,パチスロ機から不正な方法によりメダルを窃取した者の共同正犯である者が,上記犯行を隠ぺいする目的をもって,その隣のパチスロ機において,自ら通常の方法により遊戯していた場合,この通常の遊戯方法により取得したメダルについて窃盗罪が成立するか
2 窃取した財物と窃取したとはいえない財物とが混在している場合における窃盗罪の成立範囲について判示した事例

9(最高裁第三小法廷平21.3.16決定)
防衛庁調達実施本部副本部長等の職にあった者が,退職後に私企業の非常勤顧問となり顧問料として金員の供与を受けたことについて,事後収賄罪が成立するとされた事例

[特別刑法]
10(最高裁第二小法廷平21.12.7判決)
旧株式会社日本債券信用銀行の平成10年3月期の決算処理における支援先等に対する貸出金の査定に関して,これまで「公正ナル会計慣行」として行われていた税法基準の考え方によることも許容されるとして,資産査定通達等によって補充される平成9年7月31日改正後の決算経理基準を唯一の基準とした原判決が破棄された事例

11(最高裁第二小法廷平21.9.15決定)
1補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律29条1項違反の罪(補助金等不正受交付罪)の成立範囲及びその判断方法
2 保管又は処分した国産牛肉の量に応じて交付される補助金につき,対象外の牛肉等を上乗せして補助金の交付を受けた場合,補助金等不正受交付罪は,交付を受けた補助金全額ではなく,上乗せした牛肉に係る受交付額について成立するとされた事例

行政裁判例

[地方自治法]
1(佐賀地裁平21.1.30判決)コピー費訴訟
本件の事実関係の下では,当時の県知事には,「ゼロ精算」目的で行われた複写機使用料名下の不正支出(いわゆる裏金の創出)について具体的な予見可能性があり,指揮監督上の義務として,不正支出の有無を調査すべき義務があり,調査していれば不正支出を防げたにもかかわらず,これを怠ったとして,当時の県知事の県に対する損害賠償責任が認められた事例

労働裁判例

[個別的労働関係]
1(大阪地裁平21.3.25判決)
1 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律9条は直截的に私法的効力を認めた規定とまで解することはできない
2 被告が定めていた60歳定年以後の勤務措置が同条1項2号に該当するとされた事例

民・商事裁判例

[民 法]
1(大阪地裁平20.2.21判決)
患者に予期しない重篤な後遺症が残っているなどの判示の事情のもとでは,医療機関の患者に対するてん末報告義務として診療録等を示しながら診療経過等を説明する必要があったとして,診療録等を開示しなかった医療機関の債務不履行責任を肯定した事例

2(東京地裁平19.12.14判決)
1 名誉毀損の成否が問題となっている表現行為の対象者の特定
2 批判に対する反論としてされた表現行為と名誉毀損の成否

[商 法]
3(東京地裁平21.10.22判決)
1 株式会社の取締役は,会社の事業の規模や特性に応じて,従業員による不正行為などを含めて,リスクの状況を正確に把握し,適切にリスクを管理する体制を構築し,また,その職責や必要の限度において,個別リスクの発生を防止するために指導監督すべき善管注意義務を負うとされた事例
2 報道機関である株式会社において,その従業員によるインサイダー取引を防止できなかったことにつき,取締役らに善管注意義務違反がないものとされた事例

4(東京地裁平22.1.12判決)アーバンコーポレイション株主損害賠償請求債権査定異議事件
1 特定の株価下落により生じた損害の全部が,金融商品取引法21条の2第4項にいう「虚偽記載等によって生ずべき当該有価証券の値下がり以外の事情」により生じた損害であることの証明があるというためには,㈰虚偽記載等に係る真実情報の公表がなくとも,他の特定の株価下落原因だけで,当該株価下落がすべて生じたことの証明があることに加えて,㈪虚偽記載等に係る真実情報の公表だけでは,当該株価下落は一切生じなかったことの証明がなければならないとした事例
2 虚偽記載等に係る真実情報の公表がなくとも他の特定の株価下落原因だけで当該株価下落がすべて生じたことの証明はあるが,虚偽記載等に係る真実情報の公表だけでは当該株価下落は一切生じなかったことの証明はない,しかし,虚偽記載等に係る真実情報の公表だけで当該株価下落がすべて生じたと認めることもできず,とはいえ,当該株価下落分のうち虚偽記載等に係る真実情報の公表だけでは生じなかった部分(金額)を証明することは極めて困難であるという事案において,金融商品取引法21条の2第5項を類推適用し,当該株価下落分の8割に相当する部分をもって,虚偽記載等に係る真実情報の公表だけでは生じなかった株価下落分と認め,同条第2項による推定損害額の8割に相当する額をもって,同条第5項にいう「賠償の責めに任じない損害の額として相当な額」と認めた事例
3 金融商品取引法21条の2第2項による推定損害額は,虚偽記載等の公表日までに生じた株価下落により生じた損害の額を含んでいないとした事例

[知的財産]
5(知的財産高裁平21.10.28判決)
「肌優」の漢字2文字からなる商標(本件商標)が,中段に漢字「優肌」,上段にひらがな「ゆうき」,下段に欧文字「YU─KI」を配した引用商標と観念において同一又は類似し,外観において類似するから,商標法4条1項11号に該当し,同法46条1項1号の無効事由があるとして,無効不成立とした審決が取り消された事例

6(知的財産高裁平21.10.28判決)苦菜花事件
テレビドラマの著作権者であるXが,通信衛星を利用したデジタル多チャンネル放送番組の放送業務等を行う電気通信事業者Y2を被告とし,テレビドラマを放送したY1の行為がXの有する著作権(公衆送信権)を侵害すると主張して損害賠償請求をした事案において,電気通信役務利用放送事業者Y1から委託を受けて放送した当該放送番組の著作権に関して,電気通信事業者(被告Y2)には,委託元となった電気通信役務利用放送事業者が適法な権限を有していたか否かについての注意義務違反がなかったとされた事例

[倒産処理法]
7(東京高裁平21.3.17決定)
小規模個人再生の決議において再生計画案が否決され廃止決定がされた後に反対債権者から計画案への同意が得られた場合の措置

刑事裁判例

[刑 法]
1(東京高裁平21.5.25判決)
統合失調症の被害妄想の強い影響下で行われた傷害致死の行為につき,上告審が原審が採用しなかった心神喪失を示唆する鑑定の基本的な信用性を肯定して破棄差し戻した後の控訴審において,上告審判決が要検討事項として指摘した点について新たに行った事実取調べの結果を踏まえ,鑑定の信用性を肯定できないとして心神耗弱が認定された事例
記事紹介

企業間提携契約の法的諸問題 14 [現代企業法研究会]
システム開発契約の裁判実務からみた問題点/滝澤孝臣

判例展望民事法 43
説明義務違反をめぐる裁判例と問題点
ー説明義務の成否及び内容の問題を中心として/光岡弘志

当事者主義と職権主義の間で/福田剛久

陳述書の利用の現状と今後の課題/寺本昌広

民事手続法判例研究 (3)
報道関係者の取材源の秘匿と証人義務
最高裁平成18年(許)第19号
証拠調べ共助事件における証人の証言拒絶についての決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件/河野正憲

公判前整理手続に関する諸問題 12 [大阪刑事実務研究会]
複雑困難事件における問題(その2)(下)
ー多数の間接事実の証明が必要となる場合/樋口裕晃


判例紹介

速 報

[商 法]
1(東京高裁平21.9.30判決)
保険料の未払により医療保険契約及び生命保険契約が催告を要せずに当然に失効する旨の保険約款の条項が消費者契約法10条の規定により無効となるか


最高裁判例

[行政争訟法]
1(最高裁第一小法廷平21.12.17判決)
東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条3項に基づく安全認定が行われた上で建築確認がされている場合に,建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することの可否

[国家補償法]
2(最高裁第三小法廷平20.4.15判決)
弁護士会の設置する人権擁護委員会が受刑者から人権救済の申立てを受け,同委員会所属の弁護士が調査の一環として他の受刑者との接見を申し入れた場合において,これを許さなかった刑務所長の措置に国家賠償法1条1項にいう違法がないとされた事例

[租税法]
3(最高裁第一小法廷平21.12.3判決)
内国法人によりチャネル諸島ガーンジーに設立された子会社において,0%超30%以下の範囲で税務当局に申請し承認された税率が適用税率になるとの制度に基づき26%の税率でガーンジーに納付した所得税が,法人税法(平成13年法律第6号による改正前のもの,平成14年法律第79号による改正前のもの及び平成21年法律第13号による改正前のもの)69条1項,法人税法施行令141条1項にいう外国法人税に該当しないとはいえないとされた事例

4(最高裁第二小法廷平21.6.5判決)
固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。平成12年自治省告示第217号による改正前のもの)及び市の評価要領に基づき宅地の価格に比準する方法によって決定された市街化区域内の農地等の価格につき,当該区域が市街化区域としての実態を有していないことのみを理由として上記価格が適正な時価を上回るとした原審の判断に違法があるとされた事例

[民 法]
5(最高裁第一小法廷平21.10.1判決)
簡易生命保険特約約款の別表に手術保険金の支払対象となる手術として「その他の子宮観血手術(人工妊娠中絶術を除く。)」が掲げられている場合における,同別表にいう「子宮観血手術」の意義

6(最高裁第三小法廷平22.1.26判決)
当直の看護師らが抑制具であるミトンを用いて入院中の患者の両上肢をベッドに拘束した行為が,診療契約上の義務に違反せず,不法行為法上違法ともいえないとされた事例

7(最高裁第三小法廷平22.1.19判決)
共有者の1人が共有不動産から生ずる賃料を全額自己の収入として所得税の額を過大に申告しこれを納付した場合における事務管理の成否

8(①最高裁第二小法廷平21.7.10判決)(②最高裁第三小法廷平21.7.14判決)
期限の利益喪失特約の下での利息制限法所定の制限を超える利息の支払の任意性を否定した最高裁判所の判決の言渡し日以前にされた制限超過部分の支払について,貸金業者が同特約の下でこれを受領したことのみを理由として当該貸金業者を民法704条の「悪意の受益者」と推定することの可否

9(最高裁第二小法廷平21.12.18判決)
遺留分減殺請求を受けた受遺者が,民法1041条所定の価額を弁償する旨の意思表示をしたが,目的物の現物返還請求も価額弁償請求も受けていない場合において,受遺者の提起した弁償すべき額の確定を求める訴えに確認の利益があるか

10(最高裁第二小法廷平21.12.4判決)
養親自身が婚姻又は養子縁組により家に入った者である場合にその養親が家を去ったときと民法(昭和22年法律第222号による改正前のもの)730条2項

[知的財産]
11(最高裁第一小法廷平20.4.24判決)
特許法104条の3第1項に基づく無効主張を採用して特許権の侵害を理由とする損害賠償等の請求を棄却すべきものとする控訴審判決がされた後に特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正審決が確定した場合において,同審決が確定したため民訴法338条1項8号の再審事由が存するとして控訴審の判断を争うことが特許法104条の3の規定の趣旨に照らし許されないとされた事例

[諸 法]
12(最高裁第三小法廷平22.1.26判決)
団地建物所有者全員で構成されるマンション管理組合の総会決議により行われた自ら専有部分に居住しない組合員が組合費に加えて住民活動協力金を負担すべきものとする旨の規約の変更が,建物の区分所有等に関する法律66条,31条1項後段にいう「一部の団地建物所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきとき」に当たらないとされた事例

[特別刑法]
13(最高裁第三小法廷平21.11.9決定)
銀行の代表取締役頭取が,実質倒産状態にある融資先企業グループの各社に対し,客観性を持った再建・整理計画もないまま,赤字補てん資金等を実質無担保で追加融資したことが,特別背任罪における取締役としての任務違背に当たるとされた事例

行政裁判例

[国家補償法]
1(静岡地裁下田支部平21.10.29判決)西伊豆町指定ごみ袋訴訟
1 地方公共団体が行う指定ごみ袋の一括購入・一括販売方式は,本件の事実関係のもとでは原告の職業活動の自由を侵害する違法なものとは認められないとした事例
2 地方公共団体が指定ごみ袋の販売によって徴収するごみ処理手数料等は憲法84条の「租税」には該当せず,また本件の事実関係のもとでは租税法律主義の趣旨に反するものとは認められないとした事例


労働裁判例

[個別的労働関係]
1(東京地裁平21.3.25判決)
多発性嚢胞腎にり患した労働者のくも膜下出血による死亡について業務起因性が認められた事例

民・商事裁判例

[民 法]
1(札幌地裁平21.4.22判決)
1 いわゆる建物のサブリース契約と借地借家法28条の適用の有無
2 いわゆる建物のサブリース契約において,賃貸人である建物所有者がサブリース契約の更新を拒絶した場合に,その更新拒絶について借地借家法28条の「正当の事由」が認められるか否かを判断するための考慮要素

2(札幌地裁平21.10.16判決)
「流氷ダイビングツアー」参加者のダイビング中の溺死について,企画・主催者の安全配慮義務違反の責任が認められた事例

3(京都地裁平21.9.25判決)
建物賃貸借契約における更新料を支払う旨の条項が,消費者契約法10条に該当し無効であると判断された事例

4(名古屋地裁平21.11.25判決)
交通事故により,手,肩に障害が残り,手話に影響が及んだ場合に手話障害を後遺障害と認め,後遺障害等級12級相当とした事例

[知的財産]
5(知的財産高裁平20.5.29判決)
「ガラス多孔体及びその製造方法」の発明につき,原告が発明者であると認定した上で,原告の発明者名誉権,名誉権及び名誉感情の侵害を理由とした損害賠償請求を一部認容した原判決が取り消された事例

6(大阪地裁平20.10.14判決)マスカラ容器事件判決
マスカラの容器が周知な商品表示と認められた事例

[民事執行法]
7(東京高裁平21.10.8決定)
建物所有者に対する底地所有者の建物収去土地明渡請求が第1審で認容され,当該訴訟が控訴審に係属中である場合に,これを踏まえたものとして,当該建物の強制競売事件における物件明細書の記載や売却基準価額決定の基礎となった評価額の算定に誤りはないとして,売却許可決定に対する執行抗告が棄却された事例

刑事裁判例

[刑 法]
1(大津地裁平21.7.16判決)
集団強姦未遂罪の訴因につき,同罪の成立を認めず,強姦未遂罪の共同正犯の限度で犯罪が成立するとした事例
記事紹介

民事訴訟の現状と今後の展望 (3)
書面尋問の意義とモデル書式について
【東京地方裁判所民事部プラクティス委員会第一小委員会】
須藤典明/片田信宏/浅岡千香子/甲元雅之/橋本吾郎/久保宗義/中曽根由美

新しい民事訴訟の実務に向けて
現在と将来の訴訟実務をどう考えるか
【福岡民事実務改善研究会】
藤田光代/西森政一/伊藤正晴/松永栄治/前澤達朗/藤田正人

独占禁止法の新たな展開 13
競争の実質的制限に関する判例法の動向/村上政博

公判前整理手続に関する諸問題 11[大阪刑事実務研究会]
複雑困難事件における問題(その2) (中)
─多数の間接事実の証明が必要となる場合/樋口裕晃

〔翻訳〕スウェーデンの法律扶助関係諸法/萩原金美

ブックレビュー
大阪地裁民事交通訴訟研究会 編 著
『大阪地裁における交通損害賠償の算定基準〔第2版〕』/中西 茂


判例紹介

最高裁判例

[租税法]
1(最高裁第二小法廷平21.12.4判決)
租税特別措置法(平成14年法律第79号による改正前のもの)40条の4第1項は,「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定」7条1項に違反するか

[地方自治法]
2(最高裁第一小法廷平21.12.17判決)
市が土地開発公社に対し土地の先行取得を委託する契約が,私法上無効とはいえず,また市にその取消権又は解除権があるとはいえないものの,著しく合理性を欠き,そのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存する場合であっても,市が上記公社の取得した上記土地を上記委託契約に基づく義務の履行として買い取る売買契約を締結したことが違法とはいえないとされた事例

3(最高裁大法廷平21.11.18判決)
地方自治法施行令115条,113条,108条2項及び109条の各規定のうち,公職選挙法89条1項を準用することにより,公務員につき議員の解職請求代表者となることを禁止している部分は,地方自治法85条1項に基づく政令の定めとして効力を有するか

[情報公開]
4(最高裁第一小法廷平21.12.17判決)
品川区議会における会派が交付を受けて視察旅行等の経費に充てた政務調査費の使途制限違反を問題とする住民監査請求に係る監査に際し,監査委員が同会派から任意に提出を受けた文書に記録された政務調査活動の目的や内容等に係る情報が,品川区情報公開・個人情報保護条例(平成9年品川区条例第25号)8条6号ア所定の非公開情報に当たるとされた事例

[個別的労働関係]
5(最高裁第二小法廷平21.12.18判決)
請負人と雇用契約を締結し注文者の工場に派遣されていた労働者が注文者から直接具体的な指揮命令を受けて作業に従事していたために,請負人と注文者の関係がいわゆる偽装請負に当たり,上記の派遣を違法な労働者派遣と解すべき場合に,注文者と当該労働者との間に雇用契約関係が黙示的に成立していたとはいえないとされた事例

6(最高裁第二小法廷平21.12.18判決)
いわゆる管理監督者に該当する労働者が深夜割増賃金を請求することの可否

[商 法]
7(最高裁第二小法廷平21.12.18判決)
株式会社が株主総会の決議等を経ることなく退任取締役に支給された退職慰労金相当額の金員につき不当利得返還請求をすることが信義則に反せず権利の濫用に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例


[諸 法]
8(最高裁第二小法廷平20.2.15判決)
証券取引法(平成16年法律第97号による改正前のもの)17条に定める損害賠償責任の責任主体は同法にいう発行者等に限られるか

[民事訴訟法]
9(最高裁第三小法廷平20.6.10判決)
採石権侵害の不法行為を理由とする損害賠償請求事件において,損害の発生を前提としながら,民訴法248条の適用について考慮することなく,損害額を算定することができないとして請求を棄却した原審の判断に違法があるとされた事例

[刑 法]
10(最高裁第三小法廷平21.12.7決定)川崎協同病院事件
気管支ぜん息の重積発作により入院しこん睡状態にあった患者から,気道確保のため挿入されていた気管内チューブを抜管した医師の行為が,法律上許容される治療中止に当たらないとされた事例

11(最高裁第二小法廷平21.12.7決定)
人工の砂浜の管理等の業務に従事していた者につき砂浜での埋没事故発生の予見可能性が認められた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(札幌地裁平21.11.12判決)
陳旧性心筋梗塞等の基礎疾患のある労働者の研修期間中の帰省先での急性心筋虚血による死亡について,業務起因性が認められた事例

2(東京地裁平21.5.20判決)
管理職の地位にある労働者が部下から中傷を受けたことを発端として勤務先会社から責任を問われ,うつ病を発症して自殺した事案について,業務起因性が認められた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(大阪地裁平21.8.31判決)
契約締結にあたっての説明義務違反につき,不法行為による損害賠償請求権は時効消滅しているが,債務不履行にも該当するとして,その損害賠償請求が認容された事例

2(京都地裁平21.7.23判決)
居住用の建物賃貸借契約における敷引特約及び更新料特約が,消費者契約法10条により無効であるとされた事例

3(東京地裁平21.8.28判決)
芸能人の私生活上の行状についての週刊誌報道が,社会的評価を低下させるものであり,また,公共の利害に関する事実に該当しないとした事例

4(大阪地裁平21.11.24判決)
左眼の黄斑円孔に対する硝子体手術を受けた後に視力の低下が生じたことについて,予見可能性が認められないことを理由に,当該手術を実施した医師の手術手技上の過失を否定するとともに当該手術と視力低下の因果関係も否定した事例

[商 法]
5(大阪高裁平21.9.1決定)サンスター株式取得価格決定申立事件抗告審決定
1 上場会社にかかるMBOを目的とする株式公開買付けにおける全部取得条項付種類株式の会社法172条1項にいう取得の価格(公正な価格)について,株式の客観的価値は同株式の取得日における株式市場価格(株価)によるものとし,これに相当のプレミアムを加えた価格とするのを相当とした事例
2 相手方会社の株式については,上記取得日に近接した時点で上場が廃止されたから,その時点での株価を当該株式の客観的価値とすべきところ,本件においては経営陣により株価を安値に誘導する工作が行われた疑いがあることを考慮し,公開買付けが発表された日の1年前の株価に近似する価格を客観的価値とした事例
3 公開買付けにおける上記プレミアムを20パーセントとした事例

6(東京高裁平21.11.25判決)
1 自動車に対するいたずらによる損傷を保険事故とする保険金請求者は,「被保険者以外の者がいたずらをして被保険自動車を損傷したこと」という外形的な事実を主張,立証する責任を負い,その外形的事実は,「損傷が人為的にされたものであること」及び「損傷が被保険者以外の第三者によって行われたこと」から構成される
2 自動車に対するいたずらによる損傷という保険事故の発生を認め,損害保険会社の故意免責を認めなかった事例

7(大阪地裁堺支部平21.9.30判決)
他車運転危険担保特約に関する免責条項にいう「正当な権利を有する者の承諾を得ないで」とは,その自動車の所有者又はそれに準ずる権限が与えられている者から当該自動車を使用することについて承諾を得ないでとの意味であって,承諾は明示のものに限られず黙示のものであっても差し支えないが,実際に承諾がされなければならないとされた事例

[知的財産]
8(知的財産高裁平21.2.18判決)
「電話番号情報の自動作成装置」に係る発明について,被告が製造使用する装置はその技術的範囲に属しないとした原判決が取り消された事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京高裁平20.7.16判決)
1 先行する交通事故によって進路前方に転倒していた被害者に対する業務上過失傷害罪の成立を否定した原判決の判断が維持された事例
2 救護・報告義務違反の故意を認めて有罪とした原判決を破棄して無罪とされた事例
記事紹介

労働審判制度に関する協議会
第7回

付加金/鈴木拓児

破産管財事件における進行協議のあり方と破産裁判所の監督について(下)
─より良い連携関係の考察を兼ねて/北澤純一

刑事裁判ノート
裁判員裁判への架け橋として(8)/門野 博


判例紹介

最高裁判例
[行政争訟法]
1(最高裁第一小法廷平21.10.15判決)
1 自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)4条2項に基づく設置許可がされた場外車券発売施設の周辺に居住する者等は,いわゆる位置基準を根拠として上記許可の取消訴訟の原告適格を有するか

2 自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)4条2項に基づく設置許可がされた場外車券発売施設の周辺において文教施設又は医療施設を開設する者は,いわゆる位置基準を根拠として上記許可の取消訴訟の原告適格を有するか

3 自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)4条2項に基づく設置許可がされた場外車券発売施設の周辺において文教施設又は医療施設を開設する者が,いわゆる位置基準を根拠として上記許可の取消訴訟の原告適格を有するか否かの判断基準

4 自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)4条2項に基づく設置許可がされた場外車券発売施設の周辺に居住する者等は,いわゆる周辺環境調和基準を根拠として上記許可の取消訴訟の原告適格を有するか

[租税法]
2(最高裁第一小法廷平21.12.10判決)
1 遺産分割協議は国税徴収法39条にいう第三者に利益を与える処分に当たり得るか
2 滞納者に詐害の意思のあることは国税徴収法39条所定の第二次納税義務の成立要件か

[民 法]
3(最高裁第二小法廷平21.11.27判決)
1 賃借人が,借地上の建物の建て替えに当たり賃貸人から得た承諾とは異なる持分割合で新築建物を他の者らの共有とすることを容認して借地を無断転貸したことにつき,賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるとされた事例

2 賃借人が,借地上の建物の共有者がその持分を他の者に譲渡することを容認して借地を無断転貸したことにつき,賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるとされた事例

4(最高裁第一小法廷平21.7.16判決)
特定の種類の商品先物取引について差玉向かいを行っている商品取引員が,専門的な知識を有しない委託者との間で締結した商品先物取引委託契約上,委託者に対して負う説明義務及び通知義務

[諸 法]
5(最高裁第一小法廷平21.12.17判決)
被害者が自賠法73条1項所定の他法令給付に当たる年金の受給権を有する場合に,政府が同法72条1項によりてん補すべき損害額を算定するに当たって控除すべき年金の額

[民事執行法]
6(最高裁第三小法廷平21.7.14判決)
債権差押命令の申立書には請求債権中の遅延損害金につき申立日までの確定金額を記載させる執行裁判所の取扱いに従って上記命令の申立てをした債権者が受けることのできる配当額の計算の基礎とすべき債権額

行政裁判例
[行政法一般]
1(広島高裁松江支部平21.3.13判決)
パチンコ店において,外部者と内部従業員が共謀して,遊技機の主基板を不正に改造された裏ロムが内蔵された主基板に取り替える不正改造が行われたことについて当該パチンコ店に対して公安委員会がなした営業停止の行政処分が取り消された事例

[国家補償法]
2(東京地裁平21.2.17判決)
道路上に設置された自動車ナンバー自動読み取りシステム(Nシステム)に誤って手配車両と登録された自動車に対して警察官による車両停止及び職務質問が繰り返し行われたことにつき,当該誤登録を行った地方公共団体の国家賠償責任が認められ,国及び職務質問を行った地方公共団体の国家賠償責任が認められなかった事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平21.8.26判決)
中古車販売センターのセンター長が発症した脳梗塞につき業務起因性が認められた事例

2(福岡高裁平21.2.9判決)
造船所において稼働した従業員がじん肺に罹患したことにつき,造船所経営会社の安全配慮義務違反による債務不履行責任が認められた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平21.5.13判決)
コンサルティング会社と日本スケート連盟との間の業務委託契約の成立が否定され,同会社の行った業務は同連盟の意思に反するものであり事務管理も成立しないとして,同会社からの報酬請求が棄却された事例

2(大阪地裁平21.6.9判決)アトシステム事件
1 既製品の容器を使用したがこれに独自の模様,彩色等をほどこすなどした化粧品容器の形態が不正競争防止法2条1項3号の「他人の商品の形態」に該当するとされた事例
2 上記化粧品の譲渡等が民法709条の不法行為に該当するとして,その譲渡等の禁止及び損害賠償を求める原告の請求が棄却された事例

3(東京地裁平19.12.10判決)
「テロ資金」を海外へ送金するための地下銀行を運営していた濃厚な嫌疑が存在し,捜査機関はその嫌疑について捜査した結果,ほぼ確実視していることなどを内容とする新聞記事について,名誉毀損に基づく損害賠償請求が認められた事例

[知的財産]
4(知的財産高裁平21.2.26判決)キヤノン職務発明事件控訴審判決
包括クロスライセンス契約と自己実施に基づく職務発明の対価の額を算定した事例

5(知的財産高裁平20.6.30判決)GuyLiANチョコレート立体商標事件
チョコレート等を指定商品とする,4種類の魚介類の形を表した板状のチョコレートの形状についての立体商標の登録出願について,商標法3条1項3号に該当するとして拒絶すべきものとした審決を取り消した事例

[民事訴訟法]
6(東京地裁平21.4.21判決)
日本法人である原告が,外国法人である被告に対し,不法行為に基づく損害賠償を請求した訴えについて,共同原告が,被告に対し,契約に基づく履行請求等をした訴えとの主観的併合による国際裁判管轄を認めるべき特段の事情が認められるとして,我が国の国際裁判管轄が肯定された事例

[民事執行法]
7(東京高裁平21.7.8決定)
転貸人を賃貸人(所有者)と同視することが相当であるとして,根抵当権に基づく物上代位による転貸賃料債権に対する債権差押命令の申立てを認容した原決定が維持された事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京地裁平21.6.4判決)
中等度うつ病エピソードに相当する精神障害を患っていた被告人が,その両親と妻を殺害し,長男と次男については殺害するに至らなかったという事案につき,被告人に完全責任能力を認めた事例

記事紹介

労働債権の立替払いと財団債権/山本和彦

■民事手続法判例研究(2)
事実上の利害関係がある者への補充送達の効力と民訴法338条1項3号の再審事由
最高裁平成18年(許)第39号 再審請求棄却決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件/河野正憲

破産管財事件における進行協議のあり方と破産裁判所の監督について(上)
─より良い連携関係の考察を兼ねて/北澤純一

ケースブック民事訴訟活動・事実認定と判断
─心証形成・法的判断の過程とその解説(10・完)/瀬木比呂志

■現代企業法研究会 企業間提携契約の法的諸問題13
サブリース判決と企業間提携契約/金丸和弘

■独占禁止法の新たな展開12
排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針
─独占禁止法の基本構造/村上政博

■公判前整理手続に関する諸問題10[大阪刑事実務研究会]
複雑困難事件における問題(その2)(上)
─多数の間接事実の証明が必要となる場合/樋口裕晃

■ブック・レビュー
園尾隆司著『民事訴訟・執行・破産の近現代史』/伊藤 眞


判例紹介

速 報
[民 法]
1(鹿児島地裁名瀬支部平21.10.30判決)奄美ひまわり基金法律事務所弁護過誤訴訟判決
債務整理事件を受任した公設事務所の弁護士が辞任に当たって説明義務に違反したとして債務不履行に基づく損害賠償請求が認容された事例

最高裁判例
[憲 法]
1(最高裁第二小法廷平21.9.30決定)
民法900条4号ただし書前段と憲法14条1項

[知的財産]
2(最高裁第一小法廷平21.10.8判決)
著作者が自然人である著作物について,当該自然人が著作者である旨がその実名をもって表示されて公表された場合における旧著作権法(昭和45年法律第48号による改正前のもの)による著作権の存続期間

[諸 法]
3(最高裁第二小法廷平21.11.27判決)
農業協同組合の代表理事が,補助金の交付を受けることにより同組合の資金的負担のない形で堆肥センター建設事業を進めることにつき理事会の承認を得たにもかかわらず,その交付申請につき理事会に虚偽の報告をするなどして同組合の費用負担の下で同事業を進めた場合において,資金の調達方法を調査,確認することなく,同事業が進められるのを放置した同組合の監事に,任務のけ怠があるとされた事例

4(最高裁第三小法廷平21.3.31判決)
1 農業協同組合の理事に対する代表訴訟を提起しようとする組合員が,同組合の代表者として監事ではなく代表理事を記載した提訴請求書を同組合に送付したが,監事において,当該理事に対する訴訟を提起すべきか否かを自ら判断する機会があった場合における,上記組合員の提起した代表訴訟の適法性
2 農業協同組合の合併契約に,被合併組合の貸借対照表等に誤びゅう等があったため新設組合が損害を受けたときは故意又は重過失のある被合併組合の役員個人が賠償責任を負う旨の条項がある場合,被合併組合の理事会で上記契約の締結に賛成した理事等は上記条項に基づく責任を負うか
3 農業協同組合の合併契約中の,被合併組合の貸借対照表等に誤びゅう等があったため新設組合が損害を受けたときは故意又は重過失のある被合併組合の役員個人が賠償責任を負う旨の条項が,被合併組合に貸倒引当金の過少計上があったときには,故意又は重過失のある被合併組合の役員に引当不足額相当額をてん補する義務を負わせる趣旨を含むとされた事例

[刑事訴訟法]
5(最高裁第一小法廷平21.10.20決定)
犯人の一時的な海外渡航と公訴時効停止の効力

行政裁判例
[行政争訟法]
1(東京地裁平21.3.26判決)
1 戒告処分を受けた東京都教職員が訴訟係属中に退職した場合であっても,同戒告処分の取消しを求める法律上の利益を有するとされた事例
2 公立学校の式典において国歌斉唱及びピアノ伴奏を命じる校長の職務命令及びこれに違反したことを理由とする懲戒処分が憲法19条,20条に違反しないとされた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平21.6.29判決)
女性労働者が男性労働者と比べて資格及び賃金で差別されていたとして,使用者に対する不法行為に基づく慰謝料請求を認めたが,昇格地位などの確認請求,差額賃金請求及び差額賃金相当額の賠償請求を認めなかった事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京高裁平21.8.6判決)
マンションの規約共用部分を取得した者が背信的悪意者とされて専用部分としての登記をもって管理組合に対抗することができないとされた事例

2(東京地裁平21.5.19判決)
元取締役に対し,退職後の競業避止義務等を課す合意等が公序良俗に反せず,有効であるとされた事例

3(東京地裁平21.3.26判決)
第三者が権利能力なき社団の不動産の登記名義人となっている場合に,当該社団に対して金銭債権を有する債権者が,債権者代位権に基づき,当該社団の代表者名義への所有権移転登記手続請求権を代位行使することができるとされた事例

4(東京地裁平20.6.19判決)
1 弁護士報酬に関する弁護士と依頼者との合意が暴利行為として無効とされた事例
2 弁護士費用についての説明義務違反を理由とする損害賠償請求が棄却された事例

5(前橋地裁平21.2.27判決)
遅発型GBS感染症の劇症型・敗血症型を発症した新生児に対する産婦人科医の対応,処置に過失は認められず,また,受診前に既に発症しており救命は困難であったから因果関係も認められないとされた事例

[知的財産]
6(知的財産高裁平21.5.26判決)押しピンおよびそのカートリッジ事件
「押しピンおよびそのカートリッジ」を名称とする発明に係る特許出願における補正の目的が特許法所定のものでないとした審決の判断は誤りであるが,同補正が独立特許要件を満たさないとした審決の判断が是認される結果,補正を却下した審決の判断に誤りはないとされた事例

[民事保全法]
7(東京地裁平21.9.10決定)
営業権に基づき労働組合及びその組合員に対する情報宣伝活動の差止請求が認められた事例

[民事執行法]
8(東京高裁平21.8.28決定)
民事執行法10条5項3号(執行抗告が不適法であってその不備を補正することができないことが明らかであるとき。)に該当するとして執行抗告を却下した原決定に対する同条8項の執行抗告事件において,同条5項4号(執行抗告が民事執行の手続を不当に遅延させることを目的とされたものであるとき。)に該当するので,原決定は結論において正当であるとして,原決定を維持した事例

9(東京高裁平20.12.19決定)
抵当建物の使用者が,民法395条2項所定の使用対価を仮に元所有者又はその管理者に支払ったとしても,買受人に支払ったとはいえないから,抵当建物の引渡猶予を受けることはできないとされた事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平21.7.1判決)
警察官が,覚せい剤使用の嫌疑が認められる対象者について,強制採尿令状を請求してその発付を得て執行するため,対象者が取調室から退出しようとするのを阻止して同室内に留め置いた行為等を違法としつつその違法の程度は令状主義の精神を没却するような重大なものではないことを理由に,その後発付された上記令状に基づいて被告人から採取された尿及びこれに基づく鑑定書の各証拠能力を認めた原判決の判断は,上記留め置き行為等は任意捜査として許容される範囲をいまだ逸脱したものとまでは見られないからこれを違法とした点で誤りであるものの,その誤りは判決に影響を及ぼさないとされた事例
記事紹介

消費税法30条における仕入税額控除に関する立証責任
─租税訴訟における要件事実論の一展開/伊藤滋夫

保険金請求訴訟における「人為性」または「非人為性」の証明構造に関する一考察(下)/林 昭一

刑事裁判ノート
裁判員裁判への架け橋として(7)/門野 博

■量刑に関する諸問題〔大阪刑事実務研究会〕
量刑事実の証明と量刑審理(下)
─裁判員裁判における量刑審理を中心に/杉田宗久

(コメント)
杉田宗久「量刑事実の証明と量刑審理」について/堀江慎司

■公判前整理手続に関する諸問題9[大阪刑事実務研究会]
争点整理・証拠厳選等に関する諸問題(下)/秋山 敬

■世界の司法136─その実像を見つめて
統計の活用と長期未済事件の処理
ニュージャージー州裁判所における取組/中村修輔


判例紹介

最高裁判例
[憲 法]
1(最高裁第三小法廷平21.7.14判決)
1 刑訴法403条の2第1項と憲法32条
2 即決裁判手続の制度が虚偽の自白を誘発するか

2(最高裁第二小法廷平21.3.9判決)
1 福島県青少年健全育成条例16条1項にいう「自動販売機」に該当するとされた事例
2 福島県青少年健全育成条例21条1項,34条2項(平成19年福島県条例第16号による改正前のもの),35条の規定と憲法21条1項,22条1項,31条

[行政争訟法]
3(最高裁第一小法廷平21.11.26判決)
市の設置する特定の保育所を廃止する条例の制定行為が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとされた事例

[民 法]
4(最高裁第三小法廷平21.11.17判決)
貸金業者が,借主に対し,期限の利益を再度付与し,仮にこれを付与したものではなかったとしても,貸金業者において借主が期限の利益を喪失したと主張することは信義則に反するとした原審の判断に違法があるとされた事例

5(最高裁第二小法廷平21.11.9判決)
民法704条後段の規定の趣旨

6(最高裁第二小法廷平21.10.23判決)
特別養護老人ホームの入所者に対して虐待行為が行われている旨の新聞記事が同施設の職員からの情報提供等を端緒として掲載されたことにつき,同施設を設置経営する法人が,複数の目撃供述等が存在していたにもかかわらず,虐待行為はなく上記の情報は虚偽であるとして同職員に対してした損害賠償請求訴訟の提起が,違法な行為とはいえないとされた事例

[商 法]
7(最高裁第二小法廷平21.11.27判決)
A銀行が,県から要請を受け,県において再建資金の融資を計画していたB社に対し,上記融資が実行されるまでのつなぎ融資をした後に,B社に追加融資をしてもその回収を容易に見込めない一方で,これをしなければB社が破綻,倒産する可能性が高く,上記つなぎ融資まで回収不能となるおそれがある状況の下で,B社に対して追加融資をした場合において,その追加融資の一部につき,これを決定したA銀行の取締役らに善管注意義務違反があるとされた事例

[民事訴訟法]
8(最高裁第二小法廷平21.10.16判決)
米国の州によって同州港湾局の我が国における事務所の現地職員として雇用され,解雇された者が,雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認及び解雇後の賃金の支払を求めて提起した訴訟につき,同州は我が国の民事裁判権から免除されるとした原審の判断に違法があるとされた事例

[刑事訴訟法]
9(最高裁第二小法廷平21.9.29決定)
再審請求人により選任された弁護人が再審請求がされた事件の保管記録の閲覧を請求した場合,保管検察官は刑事確定訴訟記録法4条2項5号に当たるとしてその閲覧を不許可にできるか

憲法裁判例
[憲 法]
1(名古屋高裁平20.4.17判決)自衛隊のイラク派遣差止訴訟
イラクにおいて航空自衛隊が行っている空輸活動は,武力行使を禁止したイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(イラク特措法)2条2項,活動地域を非戦闘地域に限定した同条3項に違反し,かつ,憲法9条1項に違反する活動を含むものではあるが,これによる控訴人らの平和的生存権に対する侵害は認められないとして,控訴人らによる自衛隊のイラク派遣に対する違憲確認の訴え及び派遣差止めの訴えを却下し,国家賠償請求を棄却した原判決を維持した事例

行政裁判例
[行政争訟法]
1(名古屋地裁平21.2.19判決)
1 通信制御販売システムに係る商品販売用機械に愛知県青少年保護育成条例で自動販売機への収納を禁止された有害図書類を収納して販売している業者が愛知県に対し同条例8条1項の定める届出義務及び同条例11条2項の定める図書の撤去義務を負わないことの確認を求める訴えが公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法であるとされた事例
2 通信制御販売システムに係る商品販売用機械が愛知県青少年保護育成条例4条2号にいう「自動販売機」に当たるとされた事例
3 通信制御販売システムに係る商品販売用機械への有害図書類の収納を禁止する愛知県青少年保護育成条例の規制が憲法22条1項に違反しないとされた事例

[国家補償法]
2(東京地裁平21.6.9判決)
1 複数の捜索すべき場所が記載された1通の捜索差押許可状について,本件事情の下では,憲法35条2項の各別令状主義に違反しないとした事例
2 適法に発付された捜索差押許可状に基づく差押えについて,同捜索差押許可状記載の「差し押さえるべき物」に該当しない物を差し押さえたとして,これを違法とした事例

[地方自治法]
3(大津地裁平21.1.22判決)
労働委員会,収用委員会及び選挙管理委員会の各委員に対し,月額報酬を支給するのは違法であるとして,報酬支給の差止が認められた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京高裁平21.7.30判決)
法律事務所の経営者弁護士と勤務外国人弁護士との間の報酬加算合意の解除が認められた事例

2(東京地裁平21.7.28部判決)プリンスホテル日教組大会会場等使用拒否事件第一審判決
教職員組合の大会に使用される予定だった宴会場等を有するホテル会社が,仮処分命令に反して当該宴会場等の使用を拒否し,その説明文をホームページ上に掲載するなどしたことにつき,損害賠償請求及び謝罪広告掲載請求が認容された事例

[知的財産]
3(大阪地裁平21.3.26判決)マンション読本事件判決
「マンション読本」なる冊子等に描かれたイラストが自己の作成したイラストを複製又は翻案したものであり,自己の著作権及び著作者人格権を侵害すること等を理由とする著作権侵害差止等請求が棄却された事例

[諸 法]
4(東京地裁平20.8.29判決)
電気ストーブの使用により化学物質に対する過敏症が残った事故につきストーブの輸入業者の製造物責任が認められた事例

[民事訴訟法]
5(大阪高裁平21.5.15判決)
1 セクハラ行為を受けたという電子記録たるメールを証拠資料として採用する場合,それが作成者自身によって作成され,かつ,改ざんされていないか確認する必要があるところ,提出されたメールには変更を加えた跡があり,その提供者も加害者とされる者を糾弾する側の支持者であったことから,そのメールについて改ざんされていないと断定できないとされた事例
2 セクハラ被害者の直接の供述なく,伝聞供述により,その被害事実を認定するには,その伝聞事実を述べる者に相当程度の信用性を必要とし,もとの供述者に反対尋問のテストをしなくても真実性を担保できる事情が必要であるところ,伝聞事実を提供した者が加害者とされる者を糾弾する側の者であったことから,その供述は採用できないとされた事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(鹿児島地裁平19.2.23判決)鹿児島公職選挙法違反事件(志布志事件)無罪判決
鹿児島県議会議員選挙(平成15年4月施行)の公職選挙法違反(供与罪等)の事案につき,自白調書の信用性を否定して被告人12人全員に対し無罪が言い渡された事例

記事紹介

民法判例レビュー〔第2期〕第106回
■今期の主な裁判例
[契 約] 平林美紀
[担 保] 堀 龍兒
[不動産] 原田純孝
[民事責任] 大塚 直
[家 族] 床谷文雄

■判例評釈
[契 約]
譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者が同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張することの可否/円谷 峻

[民事責任]
麻酔薬投与の過誤と患者の死亡との間の因果関係/加藤新太郎

[家 族①]
藁の上からの養子に対する親子関係不存在確認請求と権利濫用/本山 敦

[家 族②]
子の引渡しに関する2つの裁判例
1 一方の共同親権者の監護下にある未成年者を他方が違法に連れ去った場合における子の引渡しを求める審判前の保全処分(東京高決平20.12.18家月61巻7号59頁)
2 子の引渡事件の執行力のある債務名義の正本に基づき,1日につき3万円の間接強制金の支払を命じた事例(東京高決平20.7.4家月61巻7号53頁)
/山口亮子


判例紹介

行政裁判例
[行政法一般]
1(東京高裁平21.8.5判決)
旧軍人として戦病死した亡夫が無断でした協議離婚の届出により亡夫の戸籍から除籍されていた妻の旧恩給法72条1項の「遺族」としての恩給(公務扶助料)の受給権は,離婚無効の判決が確定して戸籍の訂正がされるまでの間,その権利の行使について法律上の障害があり,時効消滅しないとされた事例

2(東京地裁平21.4.17判決)
メニエール症候等の傷病を有する者につきその初診日が確定できないという理由でされた特別障害給付金の不支給決定が取り消された事例

[国家補償法]
3(大阪高裁平20.9.26判決)大和都市管財国家賠償請求訴訟控訴審判決
1 財務局長が抵当証券業の規制等に関する法律8条1項に基づいてした抵当証券業者に対する更新登録が,本件の具体的事実関係の下では,許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠き,国家賠償法1条1項の適用上違法であるとして,国が,これにより被害を受けた者の財産的損害の賠償責任を負うとされた事例
2 上記場合の損害額は,更新登録後に,現実に抵当証券業者に払い込んだ抵当証券の購入代金相当額から,抵当証券の担保物件等からの回収額や抵当証券受取利息額を控除した差額(実損害額)であり,その額に対し,6割の過失相殺を行うのが衡平であるとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平21.5.26判決)
私道の所有者からの近隣土地所有者に対する私道上のコンクリート舗装の原状回復工事についての妨害予防請求等が認められた事例

2(東京地裁平21.2.6判決)
宅地として売買された土地の地中に井戸が存在したことが隠れた瑕疵に当たるとして売主の瑕疵担保責任が認められた事例

3(東京高裁平21.7.29判決)
弁護士が債務弁済契約公正証書を作成の上債権差押・転付命令を取得して債権回収を図る過程で結果として債権の水増しを見過ごした場合,弁護士懲戒請求者において,弁護士が当初から水増し代金等の存在を認識していたと疑ったことは無理もないところ,当該懲戒請求が事実上の根拠を欠くものとはいえず,不法行為を構成しないとされた事例

4(仙台地裁平21.2.26判決)
不貞行為をした妻の夫に対する財産分与の合意,慰謝料の支払約束は,その自由意思に基づいたものではないから,無効であるとされた事例

[知的財産]
5(知的財産高裁平21.6.25判決)
指定商品を「レーザー光照射型混入異物検査装置」とする「Laser Eye」なる商標は,指定商品に「牛乳殺菌機」を含む「レーザーアイ/LASER EYE」なる登録商標との関係で,商標法4条1項11号に該当する

[民事執行法]
6(東京高裁平21.9.8決定)
担保不動産収益執行の手続が開始されている不動産について担保不動産競売の開始決定前の保全処分の申立てがされた場合に,担保不動産収益執行の管理人に使用を許すことを命ずることはできないとして,申立てを一部却下した原決定が維持された事例

7(東京高裁平21.8.19決定)
1 承継執行文付与の要件である承継事由の欠缺をいう場合は,執行文付与に対する異議の申立て又は訴えによらなければならず,債権差押命令及び転付命令に対する執行抗告の理由とはならないとされた事例
2 差押債権の不存在又は消滅は,債務名義に基づく債権差押命令及び転付命令に対する執行抗告の理由とはならないとされた事例

8(東京高裁平21.6.29決定)
雇用関係の先取特権に基づく債権差押命令の発令において,被担保債権及び請求債権(未払賃金)から所得税等の税金や社会保険料を控除する必要はないとされた事例

9(東京高裁平21.5.8決定)
物件明細書中の「買受人が負担することとなる他人の権利」の欄において,賃借人として記載された法人と同一商号の法人が複数存在していたとしても,本件における物件明細書の記載のほか,評価書の記載も合わせれば,当該売却物件の権利関係に影響を及ぼす情報の提供としては十分であり,本件物件明細書の記載に重大な誤りがあるとはいえないと判断された事例

[倒産処理法]
10(名古屋高裁金沢支部平21.7.22判決)
公共工事の請負者が,保証事業会社の保証の下に地方公共団体から前払金の支払を受け,預託金融機関に預金していたところ,工事続行が不可能となり請負契約が解除され,請負者が破産宣告を受けた場合,破産宣告後に行われた公共工事の出来高確認により地方公共団体へ返還されるべき前払金が存在しないことが確認されるまでは,前払金に係る預金払戻請求権が破産財団に帰属したものとはいえないから,預金払戻請求権と当該金融機関の請負者に対する破産債権たる貸金債権との相殺は,破産法71条1項1号の相殺禁止条項により行うことができない


記事紹介

■民事手続法判例研究(1)
反訴請求債権を自働債権とする相殺の抗弁
最高裁平成16年(受)第519号 損害賠償等請求本訴,請負代金等請求反訴事件/河野正憲

ケースブック民事訴訟活動・事実認定と判断
─心証形成・法的判断の過程とその解説(9)/瀬木比呂志

■独占禁止法の新たな展開11
刑事手続/村上政博

保険金請求訴訟における「人為性」または「非人為性」の証明構造に関する一考察(上)/林 昭一

欧州知的財産訴訟の最新事情
ドイツ特許法改正とクロスボーダー訴訟の現在(下)/菊地浩明

■公判前整理手続に関する諸問題8[大阪刑事実務研究会]
争点整理・証拠厳選等に関する諸問題(上)/秋山 敬


判例紹介

最高裁判例
[租税法]
1(最高裁第一小法廷平21.10.29判決)
いわゆるタックス・ヘイブン対策税制である租税特別措置法(平成12年法律第97号による改正前のもの)66条の6第1項は,日星租税条約7条1項に違反するか

[刑 法]
2(最高裁第二小法廷平21.10.19判決)
銃刀法違反被告事件につき,けん銃等所持の共謀が認められないとした第1審判決及びこれを是認した原判決に重大な事実誤認の疑いがあるとして破棄し,事件を第1審に差し戻した事例

[特別刑法]
3(最高裁第二小法廷平21.7.7決定)
1 児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合の罪数
2 児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,不特定又は多数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した行為が,全体として一罪とされた事例

[刑事訴訟法]
4(最高裁第二小法廷平21.10.16判決)
被告人の検察官調書の取調べ請求を却下した第1審の訴訟手続について,同調書が犯行場所の確定に必要であるとして,その任意性に関する主張立証を十分にさせなかった点に審理不尽があるとした控訴審判決が,刑訴法294条,379条,刑訴規則208条の解釈適用を誤っているとされた事例

行政裁判例
[行政法一般]
1(名古屋高裁金沢支部平21.8.19判決)
1 温泉法(平成19年法律第31号及び同第121号による改正前のもの。以下,単に「法」という)3条1項に基づく温泉の掘削許可申請を,法4条1項2号に該当するとして不許可とした処分行政庁である県知事の処分が,裁量権の範囲を超えて違法であると判断された事例
2 上記申請については,合理性のある裁量判断として法4条1項所定の不許可事由が存在すると認めることができる場合ではなく,処分行政庁がこれを許可しないことは裁量権の範囲を超えており,処分行政庁は,上記申請を許可しなければならないとして,行政事件訴訟法3条6項2号の義務付けの訴えが認容された事例

[行政争訟法]
2(東京地裁平20.12.25判決)
独立行政法人都市再生機構が施行する第一種市街地再開発事業に係る施行規程及び事業計画の変更で新たな施行地区の編入を伴わないものについて国土交通大臣がした認可と抗告訴訟の対象

[地方自治法]
3(名古屋地裁平21.2.26判決)
市発注の土木工事等の競争入札において談合が行われたと認定し,各土木工事等について予定価格の約15%の損害額を算定した事例

労働裁判例
[集団的労働関係]
1(東京地裁平21.6.25判決)
1 単位労働組合の下部組織である組合支部についても,当該組合支部限りの交渉事項に当たるものについては,組合本部の統制に服するものの独自に団体交渉を行う権限があり,組合東京支部による団体交渉申入れの交渉議題は,東京支店に係る組合東京支部限りの交渉事項であり,組合本部が組合東京支部の団体交渉権限に制約を加えていたとはいえないから,組合東京支部と使用者との間の義務的団体交渉事項であるとされた事例
2 使用者には,組合支部限りの団体交渉事項について,組合支部との間で個別の団体交渉に応じる義務があり,組合支部が組合本部及び組合各支部が提示した団体交渉の議題を一括して取り上げるという連名方式による団体交渉を拒否しているのに,使用者が連名方式による団体交渉に固執して実質的な交渉に入れなかった場合には,使用者が当該組合支部との間の団体交渉を実質的に拒否したものと評価できるとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平21.4.7判決)
1 Yの営業の自由を制限する規定や,Xの自由終了権を認める規定等を含む「SUBLEASE AGREEMENT」と題する契約が,共同経営を目的とする業務執行参加型・非典型的匿名組合契約ではなく,Yが賃料支払義務を負う賃貸借契約であると認められた事例
2 転貸人・転借人間の転貸賃料が賃貸人・賃借人間の賃料の7倍を超える転貸借契約について,賃料支払合意が公序良俗に違反しないとされた事例

2(大阪地裁平21.8.31判決)
1 アスベスト吹き付け建材を使用した建物(店舗)で就労していた男性が悪性胸膜中皮腫に罹患し,死亡したことについて,建物賃貸人兼所有者に民法717条1項の工作物責任を認めた事例
2 アスベスト吹き付け材が施工されている建物について設置,保存上の瑕疵を認め,建物の賃貸人兼所有者を民法717条1項にいう「占有者」に当たると判断した事例

3(知的財産高裁平21.8.27判決)ピンク・レディー事件控訴審判決
1 著名人の氏名・肖像の使用が違法性を有するか否かの判断基準
2 雑誌記事に芸能人の写真が無断で使用されたことについて,当該芸能人が社会的に顕著な存在に至る過程で許容することが予定されていた負担を超えて自らの氏名・肖像を排他的に支配する権利が害されているものということができないとして損害賠償請求が認められないとされた事例

4(名古屋地裁平21.4.24判決)
原告の経理担当者が原告の資金を不正流用して行った外国為替証拠金取引について,取引を担当していた被告が取引当初から不正流用を知っていたと認定したうえで,被告が取引によって不正行為を誘発させないように配慮する義務に違反したとして,原告に対する直接の不法行為に基づく損害賠償責任を認めた事例

5(東京地裁平21.4.16判決)
昭和61年の交通事故による高次脳機能障害と現在の労働能力喪失との因果関係を肯定した上で,民法722条類推適用により,減責を認めた事例

6(東京高裁平21.8.6判決)
認知症の老人のした養子縁組届出が縁組意思を欠き無効とされた事例

[商 法]
7(東京地裁平21.5.13判決)
保険金請求訴訟において,当該火災が原告の故意により生じたものであるという抗弁が排斥された事例

[知的財産]
8(東京地裁平21.2.27判決)
1 編集物の創作性の有無について判断した事例
2 編集著作物の全部を複製しなくても編集著作権を侵害するとした事例
3 編集著作物の編集に関与した者の編集著作権を否定した事例
4 著作権を侵害する行為によって作成されたものを情を知って頒布したと認めた事例

[諸 法]
9(東京地裁平21.6.29判決)
1 委託者指図型投資信託において,受託者は,信託終了後に信託財産に関して支出した費用について,民法650条や旧信託法64条,54条,36条に基づき,委託者にその償還を請求することはできない
2 委託者指図型投資信託において,委託者が,受託者に対し,信託終了後に費用負担が生じるリスクがある旨の情報を提供すべき信義則上の付随義務があり,委託者においてこの義務に違反する債務不履行があったとされた事例

[民事執行法]
10(東京高裁平21.6.30決定)
一括売却の決定をせずに個別売却を実施したことが売却の手続に重大な誤りがあるとはいえず,売却許可決定の取消しが認められなかった事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京地裁平21.7.13決定)
刑事訴訟法227条1項に基づく第1回公判期日前の証人尋問において宣誓を拒否した証人に対して過料が命じられた裁判に対して,証人尋問が同項の要件を満たしていないことを理由として,同証人が準抗告を申し立てることの適否


記事紹介

■現代企業法研究会 企業間提携契約の法的諸問題12
合弁事業の法形態選択/清水建成・近藤陽子

欧州知的財産訴訟の最新事情
ドイツ特許法改正とクロスボーダー訴訟の現在(上)/菊地浩明

刑事裁判ノート
裁判員裁判への架け橋として(6)/門野博

■世界の司法135─その実像を見つめて
米国ネブラスカ州ダグラス郡における子どもを持つ夫婦の離婚手続(下)/渡部信吾


判例紹介

特 報
[行政法一般]
1(東京高裁平21.9.29判決)いわゆる混合診療事件控訴審判決
1 保険外併用療養費制度(平成18年法律第83号による改正前の特定療養費制度)を導入した健康保険法の下では,同制度に該当するもの以外の混合診療(本来「療養の給付」に該当する保険診療と,これに該当しない自由診療を併用する診療)については,本来保険診療に相当する部分についても「療養の給付」に当たらず,健康保険法による保険給付を受けられない
2 健康保険法について上記のように解することは,憲法14条,25条,29条,84条に違反しない

[民 法]
2(東京地裁平21.3.26判決)
八百長相撲等を内容とする週刊誌の記事が名誉毀損に当たるとして,出版社,執筆者らの日本相撲協会,横綱を含む多数の現役及び元力士に対する不法行為責任が認められた事例

最高裁判例
[特別刑法]
1(最高裁第一小法廷平21.7.16判決)
1 労働基準法36条1項に基づき月単位の時間外労働の協定が締結されている場合における協定時間を超えた時間外労働と同法32条1項違反の罪
2 週単位の時間外労働の規制違反に係る訴因の特定が不十分で,その記載に瑕疵がある場合に,訴因変更と同様の手続を採ってこれを補正しようとした検察官の予備的訴因変更請求について,裁判所の採るべき措置

[刑事訴訟法]
2(最高裁第二小法廷平21.9.25判決)
殺人未遂等被告事件において,被告人と犯行とを結びつける唯一の証拠である共犯者の証言の証拠価値に疑問があるとして,控訴審判決が破棄され,控訴審裁判所に事件が差し戻された事例

行政裁判例
[国家補償法]
1(東京地裁平21.4.13判決)
国家公務員が,国の建物建設計画に反対する市民からの電話の内容を記載した文書を同建物建設推進派の者に交付したことが,個人情報の漏洩として不法行為を構成するとされた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(名古屋地裁平21.5.28判決)
1 精神疾患発症及び自殺の業務起因性についての判断基準及び判断方法
2 業務の量的な過重性判断において,脳・心疾患の発症に関する基準を指標とすることの可否(積極)
3 精神障害発症後の過重な業務の考慮の可否
4 精神障害発症前後において引き続き過重な業務に従事した事案において,同発症後の過重な業務をも考慮して業務起因性を肯定した事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平21.6.17判決)
就職情報提供会社の社長秘書が多量の新幹線回数券等を繰り返し購入したことにつき,表見代理が成立せず,また,使用者責任も認められないとされた事例

2(名古屋高裁金沢支部平21.6.15判決)
1 貸金業者に取引履歴開示義務違反があり,その結果,借主が貸金業者の借主に対する貸付け(貸付年月日,貸付金額,弁済期,利息の約定を含む)の事実を主張立証できない場合には,借主は,貸金業者に対する不当利得返還請求の要件事実として,借主から貸金業者への金員の交付(弁済)のみを主張立証すれば足り,これを争う貸金業者において,抗弁として,貸金業者の借主に対する貸付け(貸付年月日,貸付金額,弁済期,利息の約定を含む)及びこの貸付けに基づく弁済としてこの金員の交付が行われたことの主張立証責任を負うとされた事例
2 借主の貸金業者に対する不当利得返還請求権に基づく過払金請求訴訟において,貸金業者がいわゆる「みなし弁済」の適用がないことを知りながら過払金を取得したものと認められる場合に,借主の貸金業者に対する民法704条後段に基づく弁護士費用請求が認められた事例

3(京都地裁平21.4.23判決)
1 金銭消費貸借契約において,弁済期限前に貸付金の全額を返済する場合に,借主が貸主に対し,利息以外の金員(違約金)を交付する旨を定める契約条項は,貸付利率が利息制限法所定の制限利率を超える場合には,利息制限法により取得が認められない利息の取得を認めるのと等しい内容であるから消費者の義務を加重し,信義則に反して消費者の利益を一方的に害するので,消費者契約法10条に該当し無効である
2 差止請求の対象である契約条項が,当該契約の他の契約条項の内容によって,法10条に該当し無効となるか否かの判断が分かれる場合であっても,当該契約条項を使用した契約締結を差止めるべき必要性が高い場合には,契約締結を差止めることができる

4(東京地裁平21.3.10判決)
メインバンクが勧誘した海外投資による配当金を原資とする定期預金に対する質権設定及びその実行が有効とされた事例

[商 法]
5(東京地裁平21.6.18判決)ライブドア株主損害賠償請求事件
1 半期報告書及び有価証券報告書の重要な事項に虚偽記載があったとして損害賠償が認められた事例
2 旧証取法21条の2第2項に基づく損害額の算定方法

[知的財産]
6(知的財産高裁平21.4.8判決)
印刷物等を指定商品とする商標「girls walker/ガールズウォーカー」が商標法4条1項15号に規定する商標に当たらないとされた事例

[民事訴訟法]
7(東京高裁平21.12.3決定)
敗訴判決確定による猶予費用取立決定及びこれに対する即時抗告の根拠法条

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平13.12.12決定)調布駅南口事件刑事補償請求抗告審決定
1 刑事補償法25条1項にいう「無罪の裁判を受けるべきものと認められる充分な事由があるとき」とは無罪の裁判を受けるべきことが明白な場合に限定されない
2 抗告審で非行事実が認められないとして中等少年院送致決定が取り消され,差し戻し後の家庭裁判所により検察官送致決定がされ,公訴を提起されたものの公訴棄却の裁判を受けるに至った請求人らにつき,公判手続及び少年審判手続で取り調べられた証拠並びに検察官の手持ち証拠を総合的に検討すると,刑事補償法25条1項にいう「無罪の裁判を受けるべきものと認められる充分な事由」があるとされた事例
3 少年院への収容が刑事補償法1条1項の「未決の抑留又は拘禁」に当たるとされた事例
記事紹介

ケースブック民事訴訟活動・事実認定と判断
─心証形成・法的判断の過程とその解説(8)/瀬木比呂志

■独占禁止法の新たな展開10
民事手続/村上政博

特許法126条3項にいう「記載した事項の範囲内において」の解釈について(3)/杜下弘記

■量刑に関する諸問題〔大阪刑事実務研究会〕
量刑事実の証明と量刑審理(上)
─裁判員裁判における量刑審理を中心に/杉田宗久

■公判前整理手続に関する諸問題7[大阪刑事実務研究会]
公判段階における問題(下)/和田 真

■ブック・レビュー
民事証拠法の現在をめぐる対話/加藤新太郎

◆判例タイムズ記事総索引◆
No.1281(平成21年1月1日号)~No.1308(平成21年12月15日号)


判例紹介

特 報
[刑 法]
1(東京高裁平21.1.30判決)
インターネット上において,個人利用者が,公共の利害に関する事実について,主として公益を図る目的で他人の名誉を毀損する表現行為に及んだ場合においても,摘示された事実の重要な部分が真実であると証明されず,かつ,行為者がこれが真実であると誤信したことについて確実な資料,根拠に照らして相当な理由があったと認められない場合には,名誉毀損罪が成立する

速 報
[国家補償法]
1(東京高裁平21.9.30判決)
身体障害者が介護者の介護を受けて鉄道及びバスに乗車する際介護者にも運賃割引制度がある旨の情報を市の担当職員が提供しなかったことについて,情報提供義務違反があるとされた事例

行政裁判例
[行政法一般]
1(東京地裁平21.6.5判決)
既存建築物の増築計画に係る建築確認処分の取消訴訟につき,当該建築物の周辺に建物を賃借して本店事務所を置く株式会社の原告適格が,否定された事例

2(大阪地裁平21.3.31判決)
1 放送法33条1項の規定に基づき総務大臣が日本放送協会(NHK)に対してした国際放送実施要請及び委託協会国際放送業務実施要請の処分性(肯定)
2 総務大臣がNHKに対してした放送法33条1項に基づく国際放送実施要請及び委託協会国際放送業務実施要請の違法,無効確認を求める訴えが,原告適格又は確認の利益を欠き,不適法として却下された事例
3 総務大臣がNHKに対してした平成19年法律第136号による改正前の放送法33条1項に基づく国際放送実施命令及び委託協会国際放送業務実施命令並びに同改正後の放送法33条1項に基づく国際放送実施要請及び委託協会国際放送業務実施要請により,原告らの知る権利が侵害され精神的損害を被ったなどとしてされた,国に対する国家賠償請求及びNHKに対する損害賠償請求が,いずれも棄却された事例

[行政争訟法]
3(宮崎地裁平21.2.16判決)
1 地方公務員法29条1項が現業職員に対して適用除外とされていない以上,現業職員に対しても同条項が適用される
2 飲酒運転を理由とする懲戒免職処分には,被告の飲酒運転防止に対する取り組み内容,原告の本件酒気帯び運転に至る経緯及び態様等に照らし,裁量権の範囲を逸脱・濫用した違法はない

4(東京高裁平20.8.20判決)
合併する前の会社の子会社が操業していた工場の跡地からダイオキシン類が発見された場合に当該会社の親会社を合併した後の会社が公害防止事業費事業者負担法3条所定の事業者に当たるとして当該公害防止事業費を負担させることとした東京都の決定が適法とされた事例

[地方自治法]
5(①名古屋高裁金沢支部平20.5.26判決)(②名古屋高裁金沢支部平20.5.26判決)(③名古屋高裁金沢支部平20.5.26判決)
1 普通地方公共団体が,官公需について中小企業者の受注機会の確保を図ること等を目的として,随意契約の方法により締結した灯油の購入単価を定める契約(以下「単価契約」という),同単価を変更する契約(以下「単価変更契約」という),同契約に基づく灯油の購入契約(以下「購入契約」という)が,地方自治法(以下「法」という)施行令167条の2第1項2号の「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当するか否かが争われた事例
2 随意契約の方法により締結した単価変更契約,購入契約が法施行令167条の2第1項2号の「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当しない場合に,単価変更契約の締結,購入契約の締結及びこれに基づく支出命令を専決させたり,自ら単価変更契約の締結を行った普通地方公共団体の長並びに単価変更契約の締結を専決した職員及び単価変更契約,購入契約に基づく支出を行った職員の責任の存否が争われた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(大津地裁平20.10.17判決)
権利能力なき甲社団が解散してその大多数の社員からなる権利能力なき乙社団が設立された場合において,甲社団の解散の効力を争う同社団の社員が乙社団こと甲社団に対して求めた同社団の社員の地位を有することの確認請求及び甲社団の役員会における解散決定が無効であることの中間確認の訴えに係る請求が全部認容され,同社団の会計帳簿及び会計書類の閲覧謄写請求及び不法行為に基づく損害賠償請求が一部認容された事例

2(大阪地裁平21.9.4判決)
民事再生手続が開始された主債務者に代わって保証債務を履行し,再生債権となる求償権を取得した保証人が,民法501条に基づいて代位取得した共益債権たる原債権を,民事再生手続外で行使することの可否(消極)

3(東京地裁平21.3.25判決)
地盤改良工事の施工が不十分であったことを理由とする不法行為又は瑕疵担保に基づく損害賠償を求める訴えが仲裁合意の成立により訴訟要件を欠くとして却下された事例

4(東京地裁平20.11.14判決)
不動産の売却に関する事務を委任した弁護士を解任したのは当該弁護士が事務処理を遅滞したことによるものであるとして,みなし報酬の特約は効力を生じないとされた事例

5(福岡高裁平21.4.10判決)
パチンコ店に連れて来られた女児が同じく同店に連れて来られた男児が押す同店の台車に乗って店外に出て衝突した車両に挟圧されて死亡した事故につき,女児の親権者で当時同店で遊技中であった両親の,事故車両の運転者,男児の親権者で当時同店で遊技中であった両親及び同店の経営者に対する損害賠償請求が,事故車両の運転者の自賠法3条ないし民法709条の責任,男児の両親の民法714条の責任及び店舗の経営者の民法415条の責任(安全配慮義務違反)と被害者の両親の過失とを前提に,一部認容された事例

6(大阪高裁平21.1.23判決)
債権者の提訴により被相続人に多額の債務があることが判明したとしてなされた相続放棄の申述について,熟慮期間を繰り下げるべき特段の事情がないとされた事例

[商 法]
7(東京高裁平20.11.5判決)
保険代理店との間で無効な傷害保険契約を締結した者につき,それが当該保険代理店の職務権限内において適法にされたものではないことにつき悪意又は重過失があったとして,保険業法283条及び民法715条に基づく保険会社の責任が否定された事例

[知的財産]
8(知的財産高裁平21.6.25判決)忠臣蔵事件
米の販売業者から米を購入し,同販売業者の米袋に商標を表示したラベルを貼付して第三者に販売する行為が商標法50条1項にいう「使用」であると認められた事例

9(知的財産高裁平20.12.25判決)
発明の名称を「レーダ」とする本願発明の進歩性の有無の判断に当たり,引用発明に,周知技術であるオフセンタ機能を採用する解決課題,優位性ないし動機等は存在しないと判示し,拒絶査定不服審判の不成立審決を取り消した事例

[民事保全法]
10(東京地裁平21.8.13決定)
肖像権に基づき出版物事前差止めが認められた事例

[民事執行法]
11(東京高裁平21.10.15決定)
従業員でもない別会社所属の者が,書類作成事務を行ったにとどまらず,裁判所の許可を受けないまま,自ら代理の者と称して申し立てたことが明らかな不動産引渡命令の申立ては,弁護士法72条及び民事執行法13条を潜脱する違法なものであるとして,不動産引渡命令が取り消され,申立て自体が却下された事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京高裁平20.10.6判決)
殺人の現場に同行したが実行行為を行わなかった者について,作為義務違反が認められた上で,実行行為者との共同正犯が認められた事例
記事紹介

■座談会
自治体が絡む事業再生案件への対処
第三セクター再生に関する現状と課題
/池田辰夫・林 圭介・小久保孝雄・中井康之・阿多博文・中務裕之

特許法126条3項にいう「記載した事項の範囲内において」の解釈について(2)/杜下弘記

刑事裁判ノート
裁判員裁判への架け橋として(5)/門野 博

■量刑に関する諸問題〔大阪刑事実務研究会〕
社会的制裁・行政処分と量刑/西崎健児
(コメント)
西崎健児「社会的制裁・行政処分と量刑」について/宇藤 崇

■世界の司法134――その実像を見つめて
米国ネブラスカ州ダグラス郡における子どもを持つ夫婦の離婚手続(上)/渡部信吾


判例紹介

速 報
[倒産処理法]
1(東京高裁平21.7.7決定)
1 民事再生手続の担保権消滅許可制度における「当該財産が再生債務者の事業の継続に欠くことができないもの」であることの意義
2 土地付き戸建分譲を主たる事業とする再生債務者所有の販売用土地について事業継続不可欠性要件を充たす財産といえるとされた事例

最高裁判例
[情報公開]
1(最高裁第一小法廷平21.7.9)
判決凶悪重大犯罪等に係る出所情報ファイルの有効活用等を要請する警察庁から県警察本部長あての通達文書に記録された情報のうち,同ファイルの記録対象者を限定する入所罪名及び出所事由の種別並びに同ファイルの活用方法に係る情報が,新潟県情報公開条例(平成13年新潟県条例第57号)7条4号所定の非公開情報に当たるとされた事例

[民 法]
21 貸金業者において,特約に基づき借主が期限の利益を喪失した旨主張することが,信義則に反し許されないとした原審の判断に違法があるとされた事例(①事件)
2 貸金業者において,特約に基づき借主が期限の利益を喪失した旨主張することが,信義則に反し許されないとされた事例(②事件)
(①最高裁第二小法廷平21.9.11判決)
(②最高裁第二小法廷平21.9.11判決)

3(最高裁第二小法廷平21.7.10判決)
町とその区域内に産業廃棄物処理施設を設置している産業廃棄物処分業者とが締結した公害防止協定における,上記施設の使用期限の定め及びその期限を超えて産業廃棄物の処分を行ってはならない旨の定めは,廃棄物処理法の趣旨に反するか

4(最高裁第二小法廷平21.9.4判決)
貸金業者が借主に貸金の支払を請求し借主から弁済を受ける行為が不法行為を構成する場合

[諸 法]
5(最高裁第一小法廷平21.8.12決定)
債権の管理又は回収の委託を受けた弁護士が,その手段として本案訴訟の提起や保全命令の申立てをするために当該債権を譲り受ける行為の私法上の効力

[民事訴訟法]
6(最高裁第三小法廷平21.9.15判決)
宗教法人の所有する土地の明渡しを求める訴えが,法律上の争訟に当たらず,不適法とされた事例

[民事執行法]
7(最高裁第二小法廷平21.7.3判決)
1 担保不動産収益執行における担保不動産の収益に係る給付を求める権利の帰属
2 抵当不動産の賃借人が,担保不動産収益執行の開始決定の効力が生じた後に,抵当権設定登記の前に取得した賃貸人に対する債権を自働債権とし賃料債権を受働債権とする相殺をもって管理人に対抗することの可否

行政裁判例
[行政法一般]
1(大阪高裁平20.5.30判決)
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定申請に対する却下処分が申請に係る疾病の放射線起因性及び要医療性が認められるとして取り消された事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平21.1.28判決)
1 株式会社の営業部部長が,同社のためにテレビショッピング番組の製作会社との間で同番組の協賛契約を締結する権限を有しないにもかかわらず,同社との間で同契約を締結したことについて,民法110条に基づく表見代理の成立が認められた事例
2 株式会社Y2が株式会社Y1の取引先に対してファクシミリで送信した,Y2がY1の取引関係を引き継ぐことを示す記載及びY1との間で既に発生している債権についてもY2に対して弁済するよう求める記載を併記した書面が,会社法23条1項所定の譲受会社が譲渡会社の事業によって生じた債務を引き受ける旨の広告には当たらないとされた事例
3 テレビショッピング番組について,協賛会社の商品を紹介する映像は収録されたが,販売用の商品の製造が放送予定日に間に合わなかったために,同番組の製作会社が上記映像を放送せず,代わりに同社が取り扱う他の商品を紹介する映像を放送した場合において,同社は,当該協賛会社に対し,協賛契約で定められた協賛金の額から,自社が取り扱う他の商品を紹介する映像を放送したことによって得た利益を差し引いた金額を請求することができるとされた事例

2(東京地裁平21.5.20判決)
レンタルサーバ業者の提供する共用サーバホスティングサービスを契約者を介して利用してホームページを開設した第三者がサーバの故障によりプログラム等を喪失したことにつき,第三者の上記業者に対する不法行為に基づく損害賠償請求が棄却された事例

[知的財産]
3(東京地裁平21.7.10判決)
「携帯型コミュニケータおよびその使用方法」に関する特許権の侵害訴訟において,特許請求の範囲に規定される「選択手段」の意義を「携帯コンピュータ」自体が備える選択手段に限定されると解釈して,被告製品が特許発明の技術的範囲に属さないとした事例

[民事訴訟法]
4(東京高裁平21.3.27判決)
名誉毀損による損害賠償等請求訴訟において証拠として提出された音声データが削除等の加工をされたものと認められ,録音がないことを理由に録音されたもの以外の発言等がなかったとは認められないとされた事例

[民事保全法]
5(東京地裁平21.8.13決定)
1 契約上の不作為請求権に基づき会員に対する年会費徴収行為が差し止められた事例
2 仮処分命令の中で間接強制額20億円の支払が認容された事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京高裁平21.7.1判決)
窃盗事件において,被害品の占有物性,被告人の犯人性,不法領得の意思の存在がいずれも肯定された事例

2(横浜地裁平21.6.25判決)
強盗致傷の訴因について,被害者の傷害を帰属させるべき行為は存在しないとして,強盗犯人の行為と被害者の傷害との間の因果関係が否定された事例
記事紹介

ケースブック民事訴訟活動・事実認定と判断
──心証形成・法的判断の過程とその解説(7)/瀬木比呂志

■民事訴訟法改正の計量分析に基づく検証(1)
争点整理手続の分析
──弁論準備手続は制度目的を達成しているか?/近藤隆司

■民事訴訟法改正の計量分析に基づく検証(2)
人証調べの分析
──集中証拠調べは制度目的を達成しているか?/濱田陽子

特許法126条3項にいう「記載した事項の範囲内において」の解釈について(1)/杜下弘記

■独占禁止法の新たな展開9
差止請求権/村上政博

■量刑に関する諸問題〔大阪刑事実務研究会〕
違法捜査等と量刑
──被告人が捜査・公判の段階で,捜査官や拘置所職員から違法捜査や違法不当な処遇を受けた場合,これを量刑に反映させることは適当か/小倉哲浩
(コメント)
小倉哲浩「違法捜査等と量刑」について/宇藤 崇

■公判前整理手続に関する諸問題6[大阪刑事実務研究会]
公判段階における問題(上)/和田 真


判例紹介

最高裁判例
[租税法]
1(最高裁第二小法廷平21.7.10判決)
法人税の確定申告において,法人税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)68条1項に基づき配当等に係る所得税額を控除するに当たり,計算を誤ったために控除を受けるべき金額を過少に記載したとしてされた更正の請求が,法人税法68条3項の趣旨に反するということはできず,国税通則法23条1項1号所定の要件を満たすとされた事例

[地方自治法]
2(最高裁第三小法廷平21.7.7判決)
市議会の会派に交付する政務調査費の使途を「会派が行う」調査研究活動と定める函館市議会政務調査費の交付に関する条例施行規則(平成13年函館市規則第4号)の下で,会派の代表者の承認を得て政務調査費が会派から所属議員に支出された場合において,議員が行う調査研究活動は所属会派の代表者の承認があるだけでは「会派が行う」ものとはいえないとし,上記の支出は上記の定めに適合しないとした原審の判断に違法があるとされた事例

[民 法]
3(最高裁第二小法廷平21.7.17判決)
自動車の買主が,当該自動車が車台の接合等により複数の車台番号を有することが判明したとして,錯誤を理由に売買代金の返還を求めたのに対し,売主が移転登録手続との同時履行を主張することが信義則上許されないとされた事例

[商 法]
4(最高裁第一小法廷平21.7.9判決)
株式会社の従業員らが営業成績を上げる目的で架空の売上げを計上したため有価証券報告書に不実の記載がされ,株主が損害を被ったことにつき,会社の代表者に従業員らによる架空売上げの計上を防止するためのリスク管理体制構築義務違反の過失がないとされた事例

行政裁判例
[行政法一般]
1(東京地裁平21.1.16判決)
旧軍人として戦病死した亡夫が無断でした協議離婚の届出により亡夫の戸籍から除籍されていた妻の旧恩給法72条1項の「遺族」としての恩給の受給権は,離婚無効の判決が確定して戸籍の訂正がされるまでの間,その権利の行使について法律上の障害があり,時効消滅しないとされた事例

[行政争訟法]
2(東京地裁平21.3.26判決)
道路交通法70条所定の安全運転義務違反の違反行為があるとして運転免許取消処分を受けた原告がした同処分の取消請求が,認容された事例

[国家補償法]
3(札幌地裁平20.12.17判決)
豪雨により橋の取付道路の路体が流失し,通行中の車が転落した事故について,橋及び取付道路の管理に瑕疵がなく,通行止め規制を行わなかったことに違法性はないとされた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平21.3.9判決)
1 ソフトウェア等開発会社のシステム・エンジニアであるXらが,労基法41条2号にいう管理監督者に当たらないとされた事例
2 Yの時効の抗弁の援用が権利の濫用に当たらないとされた事例
3 Xらの,新職制下での課長職としての職務手当請求権,管理職扱いでの計算による退職金請求権等の存在確認を求める訴えにつき,訴えの利益がないとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平21.3.25判決)
訴訟提起の遅延について,弁護士に債務不履行責任が認められた事例

2(大阪簡裁平21.5.22判決)
建物賃貸人が,未払賃料を支払わせるために,建物の鍵を取り替えて,賃借人を閉め出したことは,賃借人の平穏に生活する権利を侵害し,不法行為を構成するとして,賃借人の賃貸人に対する損害賠償請求が認められた事例

3(名古屋高裁金沢支部平21.3.18判決)志賀原発運転差止訴訟控訴審判決
1 人格権に基づく原子力発電所の運転差止請求における,原子炉の運転により被控訴人(原告)ら周辺住民が許容限度を超える放射線を被ばくする具体的危険性の主張立証責任
2 原子力発電所の運転差止請求における原子炉施設の安全性の意義
3 志賀原子力発電所に増設された2号原子炉に安全性に欠ける点があり,これが運転されれば,平常運転時や地震等の異常事象時に環境中に放出される放射線,放射性物質によって被ばくすることにより被控訴人(原告)らの生命,身体,健康が現に侵害され,又は侵害される具体的危険性があるものと認めるには足りないとして,本件原子炉の運転差止請求が棄却された事例

[商 法]
4(東京地裁平20.12.15判決)
株式会社の代表取締役が,同会社の賃借不動産の賃貸借契約解除後,同会社に同不動産を占有させていた行為につき,善管注意義務違反ないし忠実義務違反を認めるとともに,他の取締役に監視義務違反を認めた事例

[知的財産]
5(知的財産高裁平20.7.14判決)「生海苔の異物分離除去装置」再審事件
特許権侵害訴訟において差止請求を認容する旨の確定判決後に当該特許について無効審決が確定したことを理由とする再審の訴えが信義則に反するとはいえないとされた事例

[民事訴訟法]
6(福岡高裁那覇支部平21.5.29決定)
領事送達が不奏功であっても,中央当局送達で送達できる見込みもあるから,直ちに公示送達をすることはできないとされた事例

[民事執行法]
7(東京高裁平21.3.30決定)
動産売買の先取特権に基づく物上代位権の行使としての債権差押命令の申立てにあたり,担保権(動産売買の先取特権)の存在を証する文書が提出されたとはいえないとされた事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京地裁平21.1.13判決)
1 自車の前方に突然左方車線から車両が進出してきた場合において,同車両との衝突の回避に必要な限度を超えて自車を右方車線に進出させた行為について,自動車運転上の注意義務違反が肯定された事例
2 過失行為(自動車運転過失傷害罪)につき過剰避難の成立を認め,刑法37条1項ただし書を適用して,刑を免除した事例

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