判例タイムズ

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記事紹介

■名古屋民事実務研究会4
ファイナンス・リース契約におけるユーザーの民事再生手続開始申立てを解除事由とする特約の効力について
最三小判平20.12.16民集62巻10号2561頁,判タ1295号183頁/天川博義

福岡地方裁判所における労働審判事件の実務/木村元昭・藤田正人

マイカル債大阪集団訴訟(上)
社債のリスクの説明義務,債券の格付け/清水俊彦

■量刑に関する諸問題〔大阪刑事実務研究会〕
余罪と量刑(2)/増田啓祐
(コメント)
増田啓祐「余罪と量刑」について/宇藤 崇

■世界の司法132――その実像を見つめて
フランス
近隣裁判官(juge de proximite)制度について/鈴木雅久

■ブック・レビュー
加藤雅信=加藤新太郎編著
『現代民法学と実務ー気鋭の学者たちの研究のフロンティアを歩く』上巻・中巻・下巻/永石一郎


判例紹介

特 報
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平20.12.16判決)
外国人を含む10名の女性に対する準強姦,準強姦致傷,準強姦致死,わいせつ誘拐,死体損壊・遺棄被告事件につき,うち1名の外国人女性について被告人による犯行とは認められないとした原判決には事実の誤認があるとして控訴審において破棄された事例

速 報
[憲 法]
1(東京地裁平21.7.28判決)NHK受信料請求訴訟
1 放送法32条及び日本放送協会放送受信規約9条は,自由な意思に基づいて本件各放送受信契約を締結した被告らとの関係においては,憲法19条に違反しないとした事例
2 放送法32条及び日本放送協会放送受信規約9条は,憲法21条1項並びに市民的及び政治的権利に関する国際規約19条1項に違反しないとした事例
3 放送法32条及び日本放送協会放送受信規約9条は,憲法13条後段に違反しないとした事例
4 日本放送協会が負担する「豊かで良い放送を行う義務」は,放送受信契約の相手方個々人に対する義務ではないから,放送受信契約の相手方が負担する放送受信料支払義務とは牽連関係にないとした事例

[刑事訴訟法]
2(東京高裁平21.6.23決定)足利事件再審開始決定
抗告審において実施したDNA型の再鑑定の結果により,申立人がわいせつ誘拐,殺人及び死体遺棄事件を犯した犯人ではない可能性が高いと認められたとして,再審請求を棄却した原決定を取り消し,再審を開始した事例

最高裁判例
[民事訴訟法]
1(最高裁第三小法廷平21.6.30決定)
特別抗告の理由として形式的には憲法違反の主張があるがそれが実質的には法令違反の主張にすぎない場合に原裁判所が特別抗告を却下することの可否

[刑事訴訟法]
2(最高裁第三小法廷平21.4.14判決)
1 上告審における事実誤認の主張に関する審査の方法
2 満員電車内における強制わいせつ被告事件について,被害者とされた者の供述の信用性を全面的に肯定した第1審判決及び原判決の認定が是認できないとされた事例

行政裁判例
[行政法一般]
1(東京高裁平21.3.12判決)原爆症認定千葉訴訟控訴審判決
肝硬変または心筋梗塞及び脳梗塞後遺症について放射線起因性が認められた事例

2(大阪地裁平20.8.7判決)
開発許可処分の取消訴訟において,開発区域周辺住民の原告適格について判断した事例

[租税法]
3(名古屋高裁金沢支部平20.6.16判決)
1 破産法人である株式会社に対して行われた,同社が破産宣告後の課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等に係る,消費税等の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分が,適法とされた事例
2 破産法人である株式会社に対して行われた,同社が破産宣告後の課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等に係る,消費税等の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分について,同社が有する同社の破産した関係会社に対する売掛債権(税込譲渡額)には消費税法39条1項が適用されるため,前記課税期間中の課税資産の譲渡による消費税の申告及び納付の義務を負わないなどとしてした前記各処分の取消請求が,棄却された事例

4(東京地裁平18.7.14判決)
法人税の決定処分を受けた外国法人が,都民税につき期限後の申告納付をした後,租税条約に基づく相互協議により所得の再計算が行われ,法人税の減額更正,次いで都民税の減額更正が行われた場合につき,地方税法17条の4第1項1号を適用すべきものとして,納付の日の翌日が還付加算金の計算期間の起算点とされた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平20.12.5判決)
無許可で通訳などの業務に従事し,そのために講義を休講,代講としたことなどを理由とする大学教授に対する懲戒解雇処分が,就業規則に定める懲戒事由に該当せず,無効であるとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平20.12.16判決)
1 事件を受任した弁護士と当該弁護士から雇用されていた外国法事務弁護士との間で報酬を加算する合意がされたものとは認められないとされた事例
2 弁護士が雇用していた外国法事務弁護士から合意に違反する報酬の増額要求を受けたこと等の事情があっても報酬に関する合意を解除することができないとされた事例

2(東京地裁平21.4.15判決)
週刊誌の記事本文等の名誉毀損の成立を否定したが,電車内中吊り広告見出し及び新聞広告見出しによる名誉毀損の成立を認めた事例

3(神戸地裁平21.2.26判決)
1 電子掲示板に書き込まれた名誉毀損表現(論評)について,違法性阻却事由(公益要件・真実要件)の立証がされたとし,損害賠償請求が棄却された事例
2 電子掲示板を含むサーバの管理者を被告として提起された名誉毀損事件に対し,書き込みをした者及び当該電子掲示板の開設者の独立当事者参加が認められた事例

4(福岡高裁平21.2.6判決)
当該建物にみられる不具合は,建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵には当たらないとして,建物の買受人の設計者,施工者,工事監理者に対する不法行為に基づく損害賠償請求を棄却した事例

5(東京地裁平21.1.28判決)
1 ある意見ないし論評が,その域を逸脱するものであるか否かについて,表現内容の相当性のほか,当該意見ないし論評の必要性の有無を総合して判断すべきであるとされた事例
2 原告に対する名誉毀損表現について,長年にわたる相手方に対する批判的言論の応酬が繰り広げられてきた経緯を考慮して,違法性阻却を認めた事例
3 過去の逮捕歴の公表及び婚姻前の不倫関係の公表について,プライバシー侵害を否定した事例

6(札幌地裁平21.3.18判決)
S状結腸切除術を受けた患者が手術後に縫合不全から腹膜炎,敗血症を起こして死亡した場合につき,医師に再開腹手術等の治療が遅れた過失はないとされた事例

[知的財産]
7(知的財産高裁平21.1.28判決)
特許権の実施契約の対象たる発明の技術的範囲についての認識の誤りが実施契約の要素の錯誤に当たらないとされた事例

8(東京地裁平20.11.26判決)
物の発明につき,製法の記載のない先行文献の存在を理由として特許発明の新規性が否定された事例

[民事保全法]
9(福岡地裁久留米支部平21.3.27決定)
暴力団組事務所等として使用されている建物について,暴力団組事務所等としての使用の差止め等を求める仮処分命令の申立てが一部認容された事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京高裁平20.9.8判決)
1 傷害の共同正犯の公訴事実について,第一審がこれを認定したものの,控訴審が,その認定には合理的な疑いが残るとして,第一審判決を破棄した事例
2 複数の者が共謀によることなく異なる場所において暴行を加え,被害者に傷害が生じたものの,傷害結果がいずれの者によるものかを確定することができない場合において,両者の暴行の間には時間的な差,場所的な移動があるものの,暴行の経過,暴行に及んだ経緯・動機,暴行を加えた者の認識等を考慮して,刑法207条の同時傷害の特例が適用される,とされた事例

記事紹介

「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」(平成21年7月)について/井戸俊一・伊藤大介
ケースブック 民事訴訟活動・事実認定と判断
──心証形成・法的判断の過程とその解説(5)/瀬木比呂志
■独占禁止法の新たな展開7
適用除外/村上政博
■続・元裁判官の書斎8
三好達治『諷詠十二月』(昭和17年)/倉田卓次


判例紹介

最高裁判例
[行政法一般]
1(最高裁第一小法廷平20.2.28判決)生活保護下のバンコク渡航事件
生活保護を受け始めて間もない時期に外国への渡航費用を支出した者に対する,同渡航費用の金額を超えない金額を生活扶助の金額から減じて差し引く旨の保護変更決定が,適法であるとされた事例

[商 法]
2(①最高裁第三小法廷平21.6.2判決)(②最高裁第三小法廷平21.6.2判決)
1 生命保険の指定受取人と当該指定受取人が先に死亡したとすればその相続人となるべき者とが同時に死亡した場合において,その者又はその相続人は,商法676条2項にいう「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」に当たるか(①事件)
2 死亡給付金の指定受取人と当該指定受取人が先に死亡したとすればその相続人となるべき者とが同時に死亡した場合における死亡給付金受取人の確定方法についての年金共済約款の解釈(②事件)

[特別刑法]
3(最高裁第三小法廷平20.11.10決定)
1 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和40年北海道条例第34号)2条の2第1項4号にいう「卑わいな言動」の意義
2 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和40年北海道条例第34号)2条の2第1項4号の「卑わいな言動」の要件は不明確か
3 ズボンを着用した女性の臀部を撮影した行為が,被害者を著しくしゅう恥させ,被害者に不安を覚えさせるような卑わいな言動に当たるとされた事例

4(最高裁第一小法廷平20.7.17決定)
世田谷区清掃・リサイクル条例における資源ごみの持ち去り規制に係る「所定の場所」と憲法31条

行政裁判例
[行政法一般]
1(大阪地裁平20.12.25判決)
1 公法上の法律関係に関する確認の訴えである自己申告票の提出義務の不存在確認の訴えが適法とされた事例
2 教職員の勤務評定制度として自己申告票を提出させることなどを内容とする評価育成システムが適法とされた事例

[租税法]
2(東京地裁平20.11.27判決)
1 会社の事業の譲渡に伴って支払われた金員が当該会社の経営者等の個人の営業的価値(パーソナル・グッドウィル)の対価ではなく当該会社の営業譲渡の対価であるとされた事例
2 滞納者が長期貸付金を有する場合において国税徴収法39条の「滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合」に当たるとされた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(札幌高裁平20.8.29判決)
昭和39年ころからホテルの設備係として勤務してきた者が悪性胸膜中皮腫に罹患して死亡したことにつき,同疾患の原因が多量の石綿(アスベスト)を吸引する可能性の高い作業に従事したことによるものであり,使用者であるホテルの経営会社に安全配慮義務違反があったとして,遺族の損害賠償請求が認容された事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(神戸地裁平21.1.27判決)
1 複数の自動車に発生した多数の不具合について,使用者の使用態様等を総合的に検討した結果,欠陥の証明がないとした
2 自動車製造業者によってリコールの届出がされた内容と同一の不具合が発生した自動車について,欠陥の存在を認め,自動車製造業者の不法行為責任を肯定した
3 自動車の欠陥を原因とする自動車製造・販売業者の不法行為に基づく損害賠償請求権について,不具合発生の時点ではいまだ使用者が損害を知った時には当たらないとして,消滅時効の完成を否定した 180

2(大阪地裁平21.5.18判決)
心肺停止状態の患者に対し,蘇生のために禁忌とされているボスミン(アドレナリン)を投与したことが過失に当たらないとされた事例

3(横浜地裁平21.3.26判決)
1 添付文書上,投薬量について具体的な限度量の記載とともに「適宜増減」が許される旨の記載がある抗精神病薬につき,具体的に記載された限度量以上の投薬を行った医師に,過失が認められなかった事例(甲事件)
2 添付文書上の禁忌情報に違反して投薬を行った医師に,過失が認められなかった事例(甲事件)
3 精神保健福祉法上の保護義務者に対する,同法33条1項の保護入院について生じた入院治療費の支払請求が棄却された事例(乙事件)

4(仙台地裁平20.7.31判決)
中学1年生の生徒が,始業前教室で,他の生徒に対し自在箒を投げつけ,右眼を損傷させた事故について,加害生徒,その両親及び,学校設置者(町)の責任を肯定した事例

[知的財産]
5(知的財産高裁平21.2.25判決)インディアン商標事件
X社が,過去に周知著名であった米国のA社商標の潜在的な周知性に訴えてその営業上の信用を利用しようとしてA社商標と同一又は類似のX表示(「Indian」商標)を使用していた場合は,A社と離れて,商品の出所がX社であることを示すものとして需要者,取引者の間に知られるようになっていたということはできないとして,Y商標の商標法4条1項15号,7号該当性を否定した事例

[民事訴訟法]
6(大阪地裁平21.2.27判決)
原審における訴状等の公示送達による送達が無効であるとして,原審に差し戻した事例

[民事執行法]
7(東京高裁平21.1.8決定)
債務者に対し破産手続開始決定がされたことを理由として債権差押命令を取り消した原審の取扱いについて,破産手続開始決定がされたことにより既にされている強制執行手続を当然に取り消すべきであるとはいえないが,破産管財人が取消しの上申をするのは,強制執行手続の効力が回復することを想定し得ない場合に限られるとして,上申がある場合に限り上記取扱いを是認し得るとした事例

8(東京高裁平19.12.7決定)
競売手続で買い受けた建物に現況調査報告書及び評価書に記載されていないシロアリ被害が生じていた場合において,民事執行法75条にいう「損傷」に当たる可能性があるとして,売却許可決定の取消しを求める申立てを棄却した執行裁判所の原決定を取り消して,事件を原審に差し戻した事例

刑事裁判例
[特別刑法]
1(東京高裁平20.7.25判決)ライブドア控訴審判決
証券取引法違反の罪に問われ実刑に処せられた被告人からの事実誤認や量刑不当等を理由とする控訴が棄却された事例
記事紹介

◆民事訴訟の現状と今後の展望(1)
主張整理関係【東京地方裁判所プラクティス委員会第三小委員会】
/河野清孝・酒井良介・安部 勝・柴田啓介・小林亜久・岸谷秀樹・竹内久美

◆民事訴訟の現状と今後の展望(2)
証拠調べ関係【東京地方裁判所プラクティス委員会第二小委員会】
/畠山 稔・矢尾 渉・寺本昌広・草野克也・澤村美洋・齊藤洋哉・田渕 誠

■家事法研究会(3)――実親子関係
いわゆる推定の及ばない嫡出子の手続的側面/岡部喜代子

実父子関係の成立を巡る実務上の諸問題/澤井真一

民法772条をめぐる解釈論・立法論に関する2,3の問題
いわゆる300日問題に関連して/前田陽一

◆東京地裁知財部と日弁連知的財産制度委員会との意見交換会
(平成20年度)

◆「東京地方裁判所知的財産専門部と日本弁護士連合会知的財産制度委員会との意見交換会」の協議事項に関連する諸問題について
①統計資料に基づく東京地裁知財部の実情
②特許法104条の3の「無効主張」及び「対抗主張」に関する要件事実
/清水 節・國分隆文

◆知財高裁における審理等の実情/森 義之

■公判前整理手続に関する諸問題5[大阪刑事実務研究会]
被告人の身体拘束に関する問題(2)/長瀬敬昭


判例紹介

最高裁判例
[民 法]
1(①最高裁第三小法廷平21.3.3判決) (②最高裁第二小法廷平21.3.6判決)(③最高裁第二小法廷平21.7.17判決)
1 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が,利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合における,上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効の起算点(①,②事件)
2 過払金返還請求権の消滅時効は継続的な金銭消費貸借取引が終了した時から進行するとして,過払金返還請求及び過払金発生時からの民法704条所定の利息の請求が認容された事例(③事件)


[刑 法]
2(最高裁第二小法廷平20.8.27決定)
詐欺の事案につき,控訴審判決が宗教上の教義の真偽を判断しており信教の自由を侵害しているとの違憲主張が排斥された事例


[特別刑法]
3(最高裁第一小法廷平20.5.19決定)
銀行がした融資に係る頭取らの特別背任行為につき,当該融資の申込みをしたにとどまらず,その実現に積極的に加担した融資先会社の実質的経営者に,特別背任罪の共同正犯の成立が認められた事例

行政裁判例
[行政法一般]
1(東京地裁平18.7.19判決)
来日時7歳,処分時15歳の外国人女子に対し,在留特別許可を付与しないでされた出入国管理及び難民認定法49条1項に基づく異議の申出は理由がない旨の裁決には裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があって違法であるとして,同裁決及びこれに基づく退去強制令書発付処分が取り消された事例

[国家補償法]
2(名古屋地裁平21.2.24判決)半田市ビジネスホテル耐震強度偽装損害賠償請求事件第一審判決
1 2階から10階までが専ら耐震壁により支えられている鉄筋コンクリート造りの建築物の構造設計に関し,建築確認審査に当たった建築主事に,耐震壁の評価方法及び完全ピロティ階を有するピロティ型建築物とされていることにつき,設計者に問い合わせて真意(設計意図)を確認するなどの調査をすべき職務上の注意義務があるとされた事例
2 建設業者に対する経営指導及び建築主に対するビジネスホテルの開業指導に特化した経営コンサルタント業者が,設計上の瑕疵のために建築物が基本的安全性を欠くことによって,建築主に不測の損害を被らせることのないように,設計業者を適切に選定かつ指導監督すべき注意義務に違反したとされた事例

3(東京地裁平20.7.11判決)
1 地方自治体の管理する公園において,不安定な状態にあった標識が倒れて,後頭部及び背部に当たった被害者が,公園を管理する地方自治体に対し国家賠償法に基づいて損害賠償を請求する場合に,地方公共団体に当該標識の管理に瑕疵があるとされた事例
2 上記事案において,被害者が,標識を倒した少年及び少年の両親に対し不法行為に基づいて損害賠償を請求する場合に,少年に故意又は過失が認められず,少年及び少年の両親に対する不法行為責任は認められないとされた事例
3 被害者の休業損害の算定において,家事労働について30パーセントの労働能力の制限が認められるとされた事例

4(東京高裁平20.2.20判決)
1 時効の停止の規定を手掛かりにして民法724条後段の効果を制限するための要件
2 有罪判決を受けた者からの検察官の再審請求権不行使の違法を理由とする国家賠償請求の可否(消極)

[租税法]
5(東京地裁平20.2.14判決)
平成16年3月31日に公布され,翌4月1日に施行された個人の土地等又は建物等の長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額について発生しなかったものとみなす租税特別措置法31条1項後段の規定を平成16年1月1日以降の譲渡に適用することが租税法律主義に反しないとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平20.12.24判決)
1 不動産の売買契約が,売主に意思能力がないことを理由として,無効とされた事例
2 売主に意思能力がないことを理由として無効とされた不動産の売買契約の買主との間で抵当権設定契約を締結した抵当権者について,民法94条2項を類推適用すべきではなく,売主は抵当権者に対して当該不動産の所有権が買主に移転していないことを主張することができるとされた事例

2(東京地裁平21.1.23判決)
控訴事件を受任した弁護士が,控訴期間を徒過したため,依頼人敗訴の第一審判決が確定した場合において,控訴審において第一審判決が取り消される蓋然性があったとはいえないとして,保険会社に対する保険金請求が認められなかった事例

3(東京地裁平21.1.21判決)
司法書士と依頼者との間の債務整理委任契約について,契約書中の報酬の定めの一部が不明確であるとして,当該部分に係る報酬合意の成立が否定された事例

4(東京地裁平20.3.12判決)
死亡した税理士の相続人らの当該税理士の顧問先を引き継いだ税理士に対する所属税理士会支部の相互扶助規程上の援助制度に基づく援助金相当額の損害賠償請求及び不当利得返還請求が棄却された事例

5(東京地裁平21.3.25判決)
1 振り込め詐欺グループにより行われた詐欺につき,詐欺行為を直接実行しなかった被害者との関係においても共同不法行為が成立するとされた事例
2 振り込め詐欺により財産的損害を被った被害者の慰謝料請求が認められた事例

6(東京地裁平20.11.27判決)
本人確認情報提供制度に基づき,資格者代理人となった司法書士が行った登記義務者の本人確認に過失があったとして,不法行為による損害賠償責任を認めた事例

7(東京地裁平20.8.26判決)
1 口のきけない者のした秘密証書遺言の効力が認められた事例
2 脳出血により失語症等を発症した遺言者の遺言能力が認められた事例

[知的財産]
8(知的財産高裁平20.7.30判決)黒澤明事件
旧著作権法の下で製作された映画について,その著作者は同映画の映画監督であり,同法6条の団体名義の著作物に当たらないから,その著作権は同法3条,52条1項により同監督の死後38年間存続するとされた事例

[民事訴訟法]
9(名古屋高裁平20.11.27判決)
執行裁判所の裁判所書記官が債務者兼所有者の住居所等が不明であるとして実施した競売開始決定正本等の公示送達について,同裁判所書記官による認定資料の収集につき裁量権の範囲を逸脱し,あるいはこれに基づく判断が合理性を欠くなどの事情があるとはいえず,当該公示送達は適法であるとされた事例

10(東京高裁平20.4.30決定)
搭乗者傷害保険契約に基づく保険金請求訴訟について同一人を被保険者とする他の保険会社は法律上の利害関係がないとして補助参加の申出を許さないとした事例

[民事保全法]
11(東京高裁平20.4.25決定)
債務者に対して既に確定判決を得ている債権者が債務者所有の不動産に対して申し立てた仮差押えの適否(消極)

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平20.11.18判決)
公判前整理手続を経た後の公判審理の段階でされた訴因変更請求が許されるとされた事例
記事紹介

◆大阪地裁民事事件における現況と課題
専門部・集中部に関して/小佐田 潔

◆大阪地裁民事保全事件における現況と課題/川畑正文

◆大阪地裁行政事件における現況と課題/吉田 徹

◆大阪地裁商事事件における現況と課題/西川知一郎

◆大阪地裁労働事件における現況と課題/中村 哲

◆大阪地裁倒産事件における現況と課題
民事再生事件を中心として/小久保孝雄

◆大阪地裁建築・調停事件における現況と課題/林 圭介

◆大阪地裁(本庁)民事執行事件における現況と課題/中本敏嗣

◆大阪地裁交通・労災事件における現況と課題/田中 敦

◆大阪地裁医事事件における現況と課題/大島眞一

◆大阪地裁知的財産権事件における現況と課題/田中俊次

■公判前整理手続に関する諸問題4[大阪刑事実務研究会]
被告人の身体拘束に関する問題(1)/長瀬敬昭


判例紹介

最高裁判例
[地方自治法]
1(最高裁第三小法廷平21.4.28判決)
市の発注した工事に関し談合をしたとされる業者らに対して市長が不法行為に基づく損害賠償請求権を行使しないことが違法な怠る事実に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例

[民 法]
2(最高裁第三小法廷平21.4.14判決)
貸金業者が,借主に対し,期限の利益の喪失を宥恕し,再度期限の利益を付与したとした原審の判断に違法があるとされた事例

憲法裁判例
[憲 法]
1(大阪地裁平21.2.26判決)靖國合祀は嫌ですよ大阪訴訟
1 被告靖國神社による合祀行為等によって原告らの法的利益が侵害されたとは認められないとした事例
2 被告国の行為には被告靖國神社に対する事実上の強制とみられる何らかの影響力があったとは認められないとして,被告国による原告らの法的利益の侵害について,被告靖國神社による合祀それ自体が原告らの法的利益を侵害したか否かを検討し,被告国による原告らの法的利益の侵害を否定した事例

行政裁判例
[行政争訟法]
1(大阪地裁平21.1.30決定)
1 相手方が学校設置条例の一部を改正する条例の制定をもってした特別支援学校の廃止が,抗告訴訟の対象となる処分には該当しないとされた事例
2 相手方がした特別支援学校の廃止が,特別支援教育に係る教育基本法の理念及び学校教育法の趣旨等を没却するものとしてその裁量権の範囲を超え,又はこれを濫用したものであるということはできず違法であるとはいえないとして,行政事件訴訟法25条4項の「本案について理由がないとみえるとき」に該当するとされた事例

[租税法]
2(大阪地裁平20.7.29判決)
ゴルフ場利用税に係る税率の等級判断に当たり,会員制ゴルフ場においては平日非会員の「利用料金」が等級基準の一つとして大阪府税規則に定められているところ,原告ゴルフ場の「エントリーフィー」と「キャディーフィー」が同「利用料金」に含まれるとされ,処分行政庁の等級変更処分には違法がないとされた事例

[地方自治法]
3(大阪地裁平20.8.7判決)
地方公共団体の非常勤職員に対し,退職慰労金を支出することが,給与条例主義に反し,違法であるとされた事例

4(大阪地裁平20.3.27判決)
1 地方自治法244条2項と同法238条の4第7項の関係について判断した事例
2 団体の事務所としての目的外使用許可の申請を不許可とした処分について普通地方公共団体の長の裁量権の逸脱濫用は認められないとした事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(名古屋地裁平20.9.5判決)
日本郵政公社職員が郵便貯金の権利保全手続について,その権利者Xらからの質問に対し誤った説明をしたために,Xらが権利消滅前に権利行使をしなかったという事情の下において,Xらの郵便貯金払戻請求に対し日本郵政公社又はその承継人が郵便貯金の権利消滅を主張することが権利濫用に当たるとされた事例

2(大分地裁平20.12.12判決)
所有する土地に隣接する公道上にごみ集積場がある者が,その移設に反対する者らに対して,ごみの排出の差止めを求めた請求が棄却された事例

3(大阪地裁平20.10.31判決)
1 再生債務者は,民法177条の第三者にあたるか否か(積極)
2 再生手続開始前に登記をしなかった根抵当権者が,再生債務者に根抵当権設定登記手続を求め,監督委員にその登記手続への同意を求めた請求が,いずれも棄却された事例

4(大阪地裁平20.9.18判決)
廃プラスチックの選別・圧縮等施設及び廃プラスチックのリサイクル等施設から排出された有害化学物質により,受忍限度を超えた健康被害が生じたとして求めた両施設の操業差止めの請求がいずれも棄却された事例

5(大分地裁平20.7.18判決)
後遺障害が生じた場合の消滅時効の起算日について,症状固定時か症状固定の診断を受けた時かが争われた事案で,被害者の具体的認識に照らし,症状固定の診断を受けた時よりも前の時点を消滅時効の起算日と認定した事例

6(大阪地裁平21.2.9判決)
近視矯正手術(レーシック手術)により遠視化したことについて,手術に関する説明義務違反が認められるとして,自己決定権侵害に対する慰謝料が認容された事例

[知的財産]
7(知的財産高裁平21.1.28判決)
特許権侵害訴訟において,相手方が文書提出命令に従わなかった場合に,民訴法224条3項により,文書提出命令申立人である特許権者の損害額に係る主張(販売台数)を真実であると認めた事例

[民事訴訟法]
8(東京高裁平20.2.19決定)
元海上自衛隊員の自殺事件の原因究明・再発防止を目的として作成された文書,人事管理や訓育のために作成された文書など,海上自衛隊内で作成された文書に対する文書提出命令の申立てにつき,民事訴訟法220条4号ロ所定の除外文書に該当しないとして,その一部を認容した原決定を変更して,さらにその一部を追加して認容した事例

刑事裁判例
[特別刑法]
1(大阪高裁平21.1.20判決)
けん銃部品の輸入について,違法性の意識の可能性がなく,故意の成立が認められないとされた事例
記事紹介

■名古屋民事実務研究会3
共同暴走行為を行っていた自動二輪車の運転手Aの過失を後部座席に乗車していたBの過失として考慮することができるとされた事例についての検討
最二小判平20.7.4判タ1279号106頁/徳永幸藏・小林健留

■山形地裁民事実務研究12
委託を受けた保証人が主債務者に対して有する事前求償権の消滅時効/目黒大輔

■判例展望民事法42
PTSDをめぐる裁判例と問題点/石川真紀子

■独占禁止法の新たな展開6
企業結合(市場集中規制)に関する事前規制手続/村上政博

◆企業の損害と民訴法248条の活用/苗村博子

■座談会
民事訴訟における当事者,弁護士,裁判官(下)
訴訟行動調査と実務との対話 PARTIII/和田安弘・神長百合子・太田勝造・ダニエル・フット・永石一郎・須藤典明・垣内秀介・前田智彦・河合幹雄・守屋 明・加藤新太郎(司会)


判例紹介

特 報
[特別刑法]
1(東京高裁平21.2.3判決)村上ファンド事件控訴審判決
1 投資顧問業者から特定の会社の株式買収の提案を受けその業者との間で当該買収に関する会議を設定することを了承したことが平成18年法律第65号による改正前の証券取引法167条2項にいう「公開買付け等を行うことについての決定」に当たるとされた事例
2 公開買付けに準ずる行為の実施に関する事実の伝達を受け,同事実の公表前に巨額の買付け(いわゆるインサイダー取引)を行った投資顧問業者(株式会社)の実質的経営者に対し,懲役刑につき,刑の執行が猶予された事例

最高裁判例
[憲 法]
1(最高裁第一小法廷平21.4.23判決)
建物の区分所有等に関する法律70条と憲法29条

[国家補償法]
2(最高裁第三小法廷平21.4.28判決)
公立小学校の教員が,女子数人を蹴るなどの悪ふざけをした2年生の男子を追い掛けて捕まえ,胸元をつかんで壁に押し当て,大声で叱った行為が,国家賠償法上違法とはいえないとされた事例

[地方自治法]
3(最高裁第一小法廷平21.4.23判決)
1 地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第7項にいう「相当と認められる額」の意義及び算定基準
2 地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第7項にいう「相当と認められる額」についての原審の認定判断に違法があるとされた事例

[民 法]
4(最高裁第三小法廷平21.4.28判決)
被害者を殺害した加害者が被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出したため相続人がその事実を知ることができなかった場合における上記殺害に係る不法行為に基づく損害賠償請求権と民法724条後段の除斥期間

[商 法]
5(最高裁第二小法廷平21.4.17判決)
株式会社の代表取締役が取締役会の決議を経ないで重要な業務執行に該当する取引をしたことを理由に同取引の無効を会社以外の者が主張することの可否

[民事執行法]
6(最高裁第二小法廷平21.4.24判決)
保全すべき権利が発令時から存在しなかったものと本案訴訟の判決で判断され,仮処分命令が事情の変更により取り消された場合において,当該仮処分命令の保全執行としてされた間接強制決定に基づき取り立てられた金銭につき,不当利得返還請求をすることができるか

行政裁判例
[行政争訟法]
1(福岡地裁平21.3.17判決)
1 原告は,正当な理由なく処分通知書の受領を拒絶したものであるが,本件の具体的事情によれば,その受領拒絶をもって行政不服審査法14条1項にいう「処分があったことを知った」とはいえないとして,処分取消しの訴えを適法とした事例
2 生活保護停止処分が,書面による指示がなかった点,弁明の機会の保障がなかった点,書面による処分の通知がなかった点において手続違背があり,違法であるとされた事例
3 生活保護廃止処分が,本件の具体的事情を考慮すると重きに失し,保護実施機関に与えられた裁量の範囲を逸脱するとともに,保護世帯員全員に対する弁明の機会の保障を欠いた手続違背があるとされた事例
4 保護実施機関が,法令の要求する手続保障を履践する姿勢が希薄であり,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と保護停止処分を行ったとして,国賠法1条1項に基づく慰謝料請求を一部認容した事例

[国家補償法]
2(東京地裁平20.11.26判決)
警察署に勤務する職員の職場の上司及び同僚らによる暴行や脅迫を含む嫌がらせ等を理由とする国家賠償法に基づく損害賠償請求が一部認容された事例

[地方自治法]
3(東京高裁平21.2.24判決)
1 随意契約締結日から1年を経過して住民監査請求がされたことについて地方自治法242条2項ただし書にいう正当な理由がないとされた事例
2 随意契約により得ないのに締結された随意契約によって当該地方公共団体に損害が発生していると認められないとされた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平20.11.18判決)
1 会社を退職した従業員の,会社に対する競業避止義務が認められるとされた事例
2 上記競業避止義務に基づき,退職した従業員が,本判決確定から2年間,原告が施工ないしフランチャイズ事業化している技術と同一内容の技術を用いた事業を行うことの差止請求が認容された事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(福岡地裁平21.3.26判決)
詐害行為となる債権譲渡が提訴後合意解除されても詐害行為取消権の行使を認めた事例

2(東京地裁平20.4.9判決)
ゴルフ会員権者のゴルフ会員権を紹介した金融機関に対する説明義務違反等による不法行為に基づく損害賠償請求が棄却された事例

3(福岡高裁平21.2.10判決)
アルゼンチンで発生した日本人運転者の交通事故により日本人同乗者が死亡した交通事故についてアルゼンチン法を準拠法とした上で,アルゼンチン民法を適用して損害賠償額を算定することは公序に反するとして,その適用を排除した事例

4(名古屋地裁平19.7.4判決)
後医において胃がんで死亡した患者につき,前医が,造影検査の結果を踏まえて内視鏡検査が実施できる医療機関に転院させるべき注意義務を怠ったとして,遺族らからの損害賠償請求が一部認容された事例

[商 法]
5貴乃花名誉毀損事件(週刊新潮)
週刊誌を発行する出版社らに対する名誉毀損訴訟において出版社の代表取締役に対する改正前商法266条ノ3第1項に基づく責任が認められた事例 (東京地裁平21.2.4判決)… 261

[知的財産]
6(知的財産高裁平21.1.28判決)
発明の名称を「回路用接続部材」とする本願発明の進歩性の有無の判断に当たり,本願発明の進歩性を否定するためには,引用発明から本願発明の特徴点に到達できる試みをしたであろうという推測が成り立つのみでは十分ではなく,本願発明の特徴点に到達するためにしたはずであるという示唆等が引用例に存在することが必要であると述べた上,引用例には,本願発明の特徴に対する示唆等があるとはいえないと判示し,審決の判断には誤りがあるとして,これを取り消した事例

7(仙台地裁平20.1.31判決)つつみ人形事件
1 伝統工芸品である堤人形について,原告の著作権が否定された事例
2 被告の店舗の看板や入り口等に「堤」,「つゝみ」との文字を使用した行為について商標権侵害が否定された事例
3 伝統工芸品である堤人形の名称及び形態並びに「宮城県伝統工芸品堤人形」との表示について,商品等表示としての使用が否定された事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京地裁平20.10.27判決)
布団の上に横になって被告人と口論をしていた同棲相手が両手で勢いよく布団をたたき上体を起こして被告人の方を振り向こうとしたのに対し,未必の殺意をもって包丁でその背部を突き刺した行為について,正当防衛・過剰防衛は成立しないが誤想過剰防衛が成立するとされた事例

記事紹介

■民法判例レビュー〔第2期〕第104回

■今期の主な裁判例
契 約/石川博康

担 保/副田隆重

不動産/野澤正充

民事責任/水野 謙

家 族/神谷 遊

■判例評釈
契 約 コンビニエンス・ストアのフランチャイズ契約においてフランチャイズ・チェーン運営者が加盟店経営者に対して負う報告義務/沖野眞已

担 保 動産売買先取特権者による請負代金債権に対する物上代位/副田隆重

不 動 産 賃貸人の修繕義務の不履行と賃借人による損害の回避/野澤正充

民事責任 反倫理的行為に該当する不法行為の被害者が受けた利益についての損益相殺の可否と民法708条の趣旨/前田陽一

家 族1 預金者の共同相続人の一人による預金口座の取引経過の開示請求の可否/水野貴浩

家 族2 婚姻破綻の判断要素/渡邉泰彦


判例紹介

特 報
[個別的労働関係]
1(宇都宮地裁栃木支部平21.5.12決定)いすゞ自動車(期間労働者)事件仮処分決定
1 使用者による期間労働者の全員に対する契約期間満了日までとする包括的,かつ,一律の休業処分について,「合理性な理由」が認められないとして,賃金の仮払いが命じられた事例
2 民法536条1項及び2項規定の双務契約における危険負担としての反対給付債権(賃金請求権)の消滅・不消滅の立証責任の分配について,債務者(労働者)側が「債務者の責めに帰することができない事由による」「履行不能」であることを主張立証すれば,債権者(使用者)側が抗弁として「債権者の責めに帰することができない事由」を主張立証しない限り,同条1項により反対給付債権が消滅することはないと解釈した事例
3 使用者の休業処分(休業命令)による労務提供の受領拒絶を正当化する事由として,「合理性」が要件となるとして,その判断基準として,期間労働者と正社員との間の均衡や,労働組合等との交渉の状況等を考慮要素として判示した事例
4 過去の賃金の仮払いの保全の必要性について原則として否定する見解を排斥して,仮払いを認容した事例

速 報
[民事執行法]
1(名古屋地裁豊橋支部平21.4.17決定)
いわゆる定額給付金を差押債権とする債権差押命令申立事件につき,同債権は性質上差押えができない債権であるとして申立てが却下された事例

行政裁判例
[行政法一般]
1(大阪地裁平20.12.10判決)
生活保護法63条に基づく返還金の額を定める処分が,同条にいう「資力」の取得時期の認定を誤ったものとして取り消された事例

[租税法]
2(大阪地裁平21.1.30判決)
平成18年政令第125号による改正前の法人税法施行令134条の2は,法人税法22条3項1号,2号の規定内容の技術的,細目的事項を定めたものであり,同法65条による委任の範囲を逸脱するものではないとされた事例

[地方自治法]
3(東京地裁平21.2.20判決)
1 都営住宅の入居者で組織する自治会が当該都営住宅の敷地に無許可で自動車を駐車させていた入居者から実質上の利用料を受け取っていたものとして,東京都に対し不当利得返還義務を負うとされた事例
2 東京都が上記の自治会に対し不当利得返還請求権を行使しないことが違法であるとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(大分地裁平20.11.28判決)
不動産が二重譲渡された場合において,対抗関係に立つ善意の中間取得者が登記を経由した場合には,登記欠缺者は特段の事情がない限り不動産を取得することはできないが,中間取得者から不動産を譲り受けた登記具備者が,中間取得者をわら人形として利用するなど,取引秩序に著しく反するような態様で不動産取引に関与してきたと評価できるような背信的事情がある場合には,登記具備者は,信義則上,登記欠缺者との関係で不動産取得の効果を主張できないとされた事例

2(東京地裁平20.6.4判決)
1 築後12年の中古木造建物の雨漏りによる腐食及びシロアリによる侵食の一部が「隠れた瑕疵」(民法570条)に該当するとされた事例
2 中古建物の売買契約を仲介した宅地建物取引業者が,委託者である買主に対して,対象建物の雨漏りやシロアリの被害の有無についての調査義務を負担しないとされた事例
3 中古建物売買契約の瑕疵担保責任に基づいて売主が賠償すべき損害額について,瑕疵があることによる本件建物の減価分であるとして,当該減価分を具体的に算出した事例

3(東京地裁平21.3.18判決)
1 事実の摘示ないし意見論評が公然となされたといえるためには,必ずしも不特定多数人に対して事実の摘示ないし意見論評がなされることは必要とされず,特定少数人に対して事実の摘示ないし意見論評がなされた場合であっても,不特定多数人に伝播する可能性があれば足りるとされた事例
2 「協会内部」「事務局」との表現が協会の事務局長ら個人の名誉を毀損するとはいえないとされた事例
3 原告らが協会の専務理事名義の文書を偽造して文化庁に提出したとしてこれが刑法上の私文書偽造・同行使罪,公文書偽造・同行使罪等に当たる旨の発言をした被告の行為について,名誉毀損に当たるとされた事例

4(東京地裁平20.12.24判決)
広告出演契約終了後に引き続き芸能人の氏名等を広告に利用したことによるパブリシティ権の侵害等を理由として財産的損害の賠償及び精神的損害の賠償が認められた事例

5(名古屋地裁平20.2.13判決)
1 破裂脳動脈瘤に対するクリッピング術に医師による手技上の過失が認められるが,結果との相当因果関係は認められないとされた事例
2 医師に説明義務違反が認められるとして,慰謝料請求が一部認容された事例

6(東京地裁平20.10.29判決)
1 県立高等学校が正課の授業として実施したカヌー実習において生徒が溺死した事故について,同校からカヌー実習での生徒らへの指導を委託されたカヌー業者及びカヌーインストラクターらの不法行為責任が認められた事例
2 県立高等学校が正課の授業として実施したカヌー実習において生徒が溺死した事故について,同校からカヌー実習での生徒らへの指導を委託されたカヌー業者を履行補助者とする同校の設置者たる県の安全配慮義務違反による債務不履行責任が認められた事例

[商 法]
7(東京地裁平21.2.24判決)
1 日刊新聞法に定める「事業関係者」の範囲については,役員・従業員及びこれに準じる地位にある者を指すとともに,準じるものであるか否かについては,日刊新聞の発行事業に密接に関係する業務を行う者であるか否か,という観点から判断すべきである
2 日刊新聞法に基づく株式譲渡制限の効力
3 日刊新聞法に基づいて定款に株式の譲渡制限規定を設けている株式会社において,事業関係者以外の者に株式の譲渡を行い,譲渡承認請求及び不承認の場合の買受人指定請求をした場合には,会社法145条2号の適用・類推適用はなく,会社が譲渡承認及び買受人の指定通知をしなかったとしても,譲渡を承認したものとみなされることはなく,その譲渡の効力は無効である

[知的財産]
8(東京地裁平20.3.27判決)
1 ジオキサビシクロ〔3.3.0〕オクタン誘導体とα―トコフェロールとを一定範囲の重量比で含有する新規な飲食物について特許権を有する原告が,被告らが製造・譲渡等した健康食品が上記特許権を侵害するとして,その健康食品の製造・譲渡等の差止め及び廃棄を請求した事案において,被告らが主張した多数の特許無効理由がいずれも成り立たないとして原告の請求が認容された事例
2 前記特許権の侵害に基づく原告の損害賠償請求において,特許法102条2項に基づく損害額の推定について,被告らの侵害行為の一体性から,被告製品の製造及び販売という一連の侵害行為により被告らが受けた利益の全体額をもって原告が受けた損害の額と推定すべきものとした事例

[民事訴訟法]
9(東京高裁平21.3.31決定)
別居する妻子の住所における妻子に対する訴状等の訴訟関係書類の交付をもって,別居する夫の住所における補充送達として有効であるとされ,夫から送達が無効であるとしてされた再審請求が棄却された事例

刑事裁判例
[特別刑法]
1(東京地裁平20.10.22判決)
1 所有者から所有権及び賃貸人たる地位を取得したように仮装した上,弁護士資格を有しない者らがした不動産の立ち退き交渉等の業務について弁護士法違反(非弁行為)に該当するとされた事例
2 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律による没収・追徴の判断において,立ち退き料等の経費については,弁護士法違反の本件犯行を遂行する過程において費消されることが当然に予定されていたとし,そのような経費として既に費消された分は犯罪収益に当たらないものとして控除した上で,没収・追徴額が算定された事例
記事紹介

■2008年度 大阪地方裁判所第21・26民事部と大阪弁護士会知的財産委員会との協議会

■大阪民事実務研究
連帯納付義務者(相続税法34条1項)による不服申立てについて
第二次納税義務者(国税徴収法39条)による不服申立てを参考に/森鍵 一

■ケースブック 民事訴訟活動・事実認定と判断
――心証形成・法的判断の過程とその解説(4)/瀬木比呂志

■判例展望民事法41
環状取引をめぐる裁判例と問題点/松村一成

■独占禁止法の新たな展開5
手続法総論と行政手続/村上政博

◆新司法試験の合格者数について(続)/石川 明

■量刑に関する諸問題〔大阪刑事実務研究会〕
余罪と量刑(1)/増田啓祐


判例紹介

特 報
[民 法]
1(東京地裁平21.3.31判決)西武鉄道株式・機関投資家訴訟
有価証券報告書等の虚偽記載が発覚してその株式が上場廃止となった会社の株主が,当該会社及び代表取締役に対し,不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において,「株式の取得価格-売却価格」の損害を認めた事例

最高裁判例
[商 法]
1(最高裁第二小法廷平21.4.17判決)
株式会社の取締役等の解任又は選任を内容とする株主総会決議不存在確認の訴えの係属中に当該株式会社が破産手続開始の決定を受けた場合における訴えの利益の消長

[刑 法]
2(最高裁第三小法廷平21.4.21判決)和歌山カレー毒物混入事件
死刑を維持した原判決が是認された事例

行政裁判例
[国家補償法]
1(福岡高裁平20.4.24判決)
受刑者の投稿作品を掲載した刑務所の所内誌に掲載された小説によってプライバシー権ないし名誉権などが侵害されたとして在監者が国に対して求めた国家賠償請求が第1審判決の認容した慰謝料5万円及びこれに対する遅延損害金の限度で相当であるとして同判決に対する国の控訴が棄却された事例

2(名古屋地裁平19.1.26判決)
裁判所構内の仮監において,弁護人が被告人に対する文書の差入れを申し出たのに対し,拘置所職員が「ここは仮の接見場所であるので,文書の差入れはできません。」「名古屋拘置所へ行っていただかないと文書の差入れはできません。」などと述べて申出に応じなかった行為は違法でないとした事例

[租税法]
3(名古屋地裁平19.5.17判決)
1 都市計画法56条1項の規定に基づく土地の買取りが収用の実質を有しないとして,土地を売却した納税者に対する租税特別措置法上の譲渡所得の特例措置の適用が否定された事例
2 税務署長が事前協議において都市計画法56条1項の規定に基づく土地の買取りに租税特別措置法上の譲渡所得の特例措置の適用があることを確認していたとしても,当該納税者に上記特例措置の適用がないとすることが信義則に反するものではないとされた事例

[地方自治法]
4(名古屋地裁平20.11.6判決)
市長が政務調査費に係る不当利得返還請求権を行使しなかったこと(怠る事実A)が市議会の歴代議長らの当該請求権に係る調査権限の不行使(懈怠)に基づくものであるとし,当該調査権限の行使を懈怠して市長をして当該請求権の行使をさせず,消滅時効期間の経過によりこれを消滅させたことが違法であるとして,これに基づいて発生する損害賠償請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実(怠る事実B)とした上で,怠る事実Bを対象とする監査請求がされたときは,当該監査請求については,怠る事実Aの終わった日を基準として1年の監査請求期間の制限に服する

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平20.10.15決定)
債権者が,債務者である大学経営学部等の,平成21年度における特定の講義又は演習の指導を担当する地位にあることを仮に定めた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平20.9.29判決)つくば市風車訴訟
市と風力発電機導入に関する業務委託契約を締結した大学に,発電機の性能を評価し,事業に影響を与える事情を考慮してエネルギー取得量や経済性の検討を行う等の契約上の義務の不履行があったとして,市の大学に対する損害賠償請求が認められた事例

2(大阪地裁平21.3.25判決)
出産直後の妊産婦が出血性ショックにより死亡したことにつき,担当医に適切な輸液を行う注意義務違反があり,これが尽くされていれば救命された相当程度の可能性があるとして,1500万円の慰謝料等の支払が命じられた事例

3(岡山地裁平21.1.20判決)
意識障害により救急搬送された患者がくも膜下出血により死亡した場合,担当医師に過失はなかったとして,病院側の損害賠償責任が認められなかった事例

[商 法]
4(東京地裁平20.7.22判決)
税理士が相続税の更正の請求手続を怠ったことにより依頼者に対して損害を賠償した場合における税理士職業賠償責任保険約款の免責条項の適用の有無

[知的財産]
5(東京地裁平21.2.27判決)
商標権に基づく結合商標(結合標章)の使用の差止等請求が,「AGATHA」という欧文字6字から成る本件商標と「Agatha Naomi」という欧文字11字から成る被告各標章の構成部分全体とを対比すると,被告各標章は本件商標に類似する商標に当たらないとして,棄却された事例

6(知的財産高裁平20.6.26判決)
商標法4条1項8号,10号,15号,19号への該当性の有無と密接不可分な事情については,専ら,当該条項の該当性の有無によって判断すべきであるとして,同法4条1項7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当することを理由として商標を無効とした審決を取り消した事例

[諸 法]
7(東京高裁平20.5.28判決)
1 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項にいう「発信者情報」の意義
2 いわゆるインターネットカフェの運営者が特定電気通信の過程とは別個の過程で得た顧客に関する情報が特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項にいう「発信者情報」に該当しないとされた事例

[民事訴訟法]
8(大阪地裁平20.11.28判決)
マンション管理組合を原告とする訴訟について,当該管理組合の内部の部会の代表者には当該管理組合の代表権がないとした上で,補正を命じることなく訴えを却下した事例

9(東京地裁平20.11.18中間判決)
夫婦共同財産についての清算は,財産分与の審判の申立て又は人事訴訟手続によるものであって,夫婦の共有財産に共有物分割請求訴訟を提起することは許されないか(消極)

刑事裁判例
[特別刑法]
1(東京高裁平20.12.9判決)
1 外国人に係る大麻密輸入事件につき,1審で無罪判決があった後,控訴審で勾留の職権が発動されなかったため,退去強制により被告人が南アフリカへ出国したが,審理には特段の支障を生じなかった事例
2 大麻を手荷物に隠匿して輸入した事案につき,被告人に大麻密輸入の故意を認めるには合理的な疑いが残るとして無罪を言い渡した原判決が維持された事例
記事紹介

◆控訴審における裁判員裁判の審査の在り方/東京高等裁判所刑事部部総括裁判官研究会

■公判前整理手続に関する諸問題3〔大阪刑事実務研究会〕
検察官による証明予定事実記載書面の提出と証拠調請求,被告人・弁護人の主張明示等に関する問題/水島和男

■量刑に関する諸問題〔大阪刑事実務研究会〕
犯罪後の時の経過と量刑/丸田 顕

(コメント)丸田顕「時の経過と量刑」について/安田拓人

■刑事裁判ノート
裁判員裁判への架け橋として(3)/門野 博

■判例展望民事法40
抵当権に基づく妨害排除
その現状と課題/本多健司

■現代企業法研究会 企業間提携契約の法的諸問題11
企業提携交渉をめぐる法的諸問題/金丸和弘

■座談会
民事訴訟における当事者,弁護士,裁判官(上)
訴訟行動調査と実務との対話PARTⅡ
/和田安弘・神長百合子・太田勝造・ダニエル・フット・永石一郎・須藤典明・加藤新太郎(司会)


判例紹介

特報
[商 法]
1(①東京地裁平21.3.31決定)(②東京地裁平21.3.31決定)日興コーディアルグループ株式買取価格決定申立事件
いわゆる三角合併に反対する株主の株式買取請求における「公正な価格」が判断された事例

最高裁判例
[刑 法]
1(最高裁第二小法廷平21.3.26決定)
他人所有の建物を同人のために預かり保管していた者が,金銭的利益を得ようとして,同建物の電磁的記録である登記記録に不実の抵当権設定仮登記を了したことにつき,電磁的公正証書原本不実記録罪及び同供用罪とともに,横領罪が成立するとされた事例

[特別刑法]
2(最高裁第一小法廷平21.3.26判決)
1 軽犯罪法1条2号にいう「正当な理由」の意義及びその存否の判断方法
2 軽犯罪法1条2号所定の器具に当たる催涙スプレー1本を専ら防御用として隠して携帯したことが同号にいう「正当な理由」によるものであったとされた事例

行政裁判例
[行政法一般]
1(福岡地裁平20.8.26判決)
不動産の前所有者が基準年度の固定資産課税台帳登録価格につき審査の申出をした後,基準年度途中に当該不動産を譲り受け,地方税法433条11項・行政不服審査法37条6項に基づき審査請求人の地位を承継して,同申出の棄却決定を受けた原告は,同決定に対する取消訴訟につき原告適格を有するとされた事例

[行政争訟法]
2(東京地裁平20.12.19判決)
第1種市街地再開発事業に関する地区計画変更決定及び都市計画決定は,いずれも抗告訴訟の対象となる処分に当たらないとされた事例

[国家補償法]
3(大阪地裁平21.2.18判決)
1 留置場における防声具等の使用を認める被疑者留置規則20条の2第1項の規定は,憲法18条,36条に違反しない
2 留置担当官らによる戒具の使用により被留置者が死亡した事故につき,警察署の署長及び留置主任官が戒具の使用方法等に係る教育・教養義務を怠ったことが,国家賠償法上違法とされた事例
3 上記事故につき,戒具の使用方法等が訓令及び通達の定めに違反するものであるとして,留置担当官らによる戒具の使用が国家賠償法上違法とされた事例

[地方自治法]
4(大阪地裁平20.8.7判決)
市営住宅の入居者に対し,市営住宅内の敷地の一部を駐車場として無償で使用することを許諾した行為は,住民訴訟の対象となる財務会計行為に当たるとされた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平21.1.19判決)
再雇用・再任用職員採用選考で,卒業式における国歌斉唱などを命じた校長からの職務命令に違反したことを理由に不合格としたことが,教育委員会の裁量権を逸脱,濫用したものであるとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京高裁平20.10.30判決)
国有地を時効取得した者からの所有権確認請求訴訟において,時効完成後に国有財産特別措置法5条1項5号に基づく一括譲与を受けたとして地方公共団体からする登記欠缺の主張が,信義誠実の原則に反するとして制限された事例

2(名古屋地裁平19.3.23判決)
国公立大学の在学契約の予約における学生の意思表示に要素の錯誤があったとして在学契約の予約を無効とした事例

3(大阪地裁平20.7.14判決)
1 法定地上権の成立時から地代確定訴訟の判決確定時までの地代につき履行遅滞が認められた事例
2 上記地代につき弁済の提供の有効性が否定された事例

4(東京地裁平20.11.19判決)
ヒ素による土壌汚染が判明した場合において,売主に信義則上の付随義務としての汚染浄化義務違反による債務不履行責任を認めた事例

5(東京地裁平21.1.21判決)
原告の配偶者の氏名・住所,親族の経営する会社の名称・本支店の所在地・電話番号をインターネット上の掲示板に書き込んだ行為が,プライバシーを侵害するとされた事例

6(大津地裁平20.12.5判決)
交通事故の後遺障害に関する示談契約において,弁護士でない者の介入があったとしても,被害者自身の意思に基づいて締結されたなど判示の事実関係の下においては,上記示談契約を無効と認めることはできないとされた事例

7(広島高裁岡山支部平19.5.25判決)
ウイルス性髄膜脳炎で入院治療を受けていた患者が,右鎖骨下静脈穿刺を受けた約32時間後に死亡した事案につき,肺出血により気道閉塞を生じて窒息死した可能性が最も高いが,医師には穿刺の手技の誤りその他の注意義務違反が認められないとされた事例

[知的財産]
8(知的財産高裁平20.8.26判決)
綴りが分からなくても発音から単語を検索できる英語辞書を引く方法の発明について,自然法則を利用した技術的思想の創作ではなく,特許法2条1項所定の発明に当たらず,同法29条1項柱書きの規定により特許を受けることができないとした審決を取り消した事例

9(東京地裁平20.2.20判決)
1 特許権の共有者が第三者に当該発明の実施品の製造を発注していたが,当該製造行為が共有者によるものとして,同行為につき,他の共有者の許諾が不要とされた事例
2 職務発明の実施により得られた利益以外の利益が「発明により受けるべき利益」に含まれるかについての判断がされた事例

[民事執行法]
10(東京高裁平21.3.31決定)
民事執行法197条1項1号にいう「配当等」とは,「配当又は弁済金の交付」(同法84条3項)をいう

[倒産処理法]
11(東京地裁平20.10.21判決)
再生計画の効力発生後,再生計画の履行中に破産手続開始決定がなされた場合における平成16年法律第76号による改正前の民事再生法190条1項に基づく再生計画の効力の遡及的消滅の有無

刑事裁判例
[刑 法]
1(名古屋地裁平19.2.27判決)
産婦人科医師である被告人が,患者の分娩を介助するに当たり,子宮頚管裂傷を見落とし,かつ高次の医療機関に転送する義務を怠ったなどとして,業務上過失致死罪で起訴された事案について,いずれの過失も否定し無罪を言い渡した事例
記事紹介

■公判前整理手続に関する諸問題2〔大阪刑事実務研究会〕
公判前整理手続の実施(進行)に関する問題/岩倉広修

■ケースブック民事訴訟活動・事実認定と判断
――心証形成・法的判断の過程とその解説(3)/瀬木比呂志

■判例展望民事法39
敷金をめぐる裁判例と問題点/宮永忠明

◆横浜地裁における医療訴訟の審理の実情
専門委員制度及び鑑定人選任手続等の運用について/太田雅之・中島真希子・多田雅子

◆主要目的ルールに関する裁判例の検討
クオンツ新株発行差止認容決定事件(①事件)
オープンループ新株等発行差止却下決定事件(②事件)/若松 亮

■独占禁止法の新たな展開4
国際取引への法適用/村上政博

■続・元裁判官の書斎(7)
司馬遼太郎『翔ぶが如く』(文春文庫,全10巻)/倉田卓次

■ブック・レビュー
民法の共有を目指して
能見善久=加藤新太郎編『論点体系・判例民法9親族/10相続』/水野紀子

◆賃料増減請求訴訟をめぐる諸問題〔補訂版〕/山下 寛・上田卓哉・土井文美・森里紀之


判例紹介

特 報
[地方自治法]
1(大阪地裁平20.10.31判決)枚方市非常勤職員特別報酬住民訴訟
1 地方自治法242条の2第1項4号に基づき当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを求める訴えにおいて,当該職員又は相手方がその氏名等でもって特定表示されていない場合であっても,これを氏名等以外の方法で客観的に特定することができるときは,当該訴えは請求の特定に欠けるところがない適法な訴えと解するのが相当であるとされた事例
2 地方自治法204条1項にいう常勤の職員とは,その勤務の態様に照らして当該勤務が当該職員及びその家族の生計を支えるいわゆる生活の糧を得るための主要な手段と評価し得るような職務に従事する職員をいい,1週間当たりの勤務時間数が常勤の職員の1週間当たりの勤務時間数の4分の3を超えるような態様の勤務に従事する職員は,同項にいう常勤の職員に該当するものと推定されるとされた事例
3 「非常勤職員」に対し「特別報酬」名目の給与を支給することを定めた地方公共団体の条例の規定が,当該特別報酬は地方自治法204条2項にいう期末手当又は退職手当に該当するが,同条例がその支給の対象として規定する非常勤職員は地方地自法204条1項にいう常勤の職員に該当するものをいうと合理的に解することができるから,その限りにおいて,同条2項の規定に違反するものということはできないとされた事例
4 地方自治法204条1項にいう常勤の職員に該当する「非常勤職員」に対する期末手当及び退職手当に該当する「特別報酬」について,算定の基礎となる額の上限及びこれに乗じるべき掛け率の上限あるいは支給額の上限のみを定めた地方公共団体の条例の規定が,およそ個々の非常勤職員に対する支給額を決定するに当たっての具体的な基準についての定めを欠くものというほかないとして,地方自治法204条3項,204条の2,地方公務員法25条1項等の規定する給与条例主義に違反するとされた事例
5 地方公共団体の長が,専決権限を付与された職員が給与条例主義に違反する条例の規定に基づいて公金の支出を専決処理するのを阻止することなく放置していたことについて,過失が認められた事例
6 地方公共団体の職員が,その専決権限に基づいて給与条例主義に違反する条例の規定に基づく公金の支出を専決処理したことについて,過失は認められないとされた事例

最高裁判例
[民 法]
1(最高裁第二小法廷平21.3.27判決)
譲渡禁止の特約に反して債権を譲渡した債権者が譲渡の無効を主張することの可否

2(最高裁第三小法廷平21.3.24判決)
相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合において,遺留分の侵害額の算定に当たり,遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することの可否

[商 法]
3(最高裁第三小法廷平21.3.10判決)
株主代表訴訟の対象となる商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)267条1項にいう「取締役ノ責任」には,取締役が会社との取引によって負担することになった債務についての責任も含まれるか

[倒産処理法]
4(最高裁第三小法廷平20.12.16判決)
いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リース契約中の,ユーザーについて民事再生手続開始の申立てがあったことを契約の解除事由とする旨の特約の効力

[刑 法]
5(最高裁第二小法廷平21.1.14決定)
保険金目的による被殺者2名の殺人の事案につき,無期懲役の量刑が維持された事例

6(最高裁第一小法廷平20.10.16決定)
刑法(平成19年法律第54号による改正前のもの)208条の2第2項後段にいう赤色信号を「殊更に無視し」の意義

行政裁判例
[国家補償法]
1(東京高裁平21.1.29判決)
いわゆるNシステム等による車両ナンバーの読み取り等につき,肖像権,自由に移動する権利及び自己情報コントロール権の侵害が否定され,国の不法行為責任が認められなかった事例

2(大阪地裁平20.9.26判決)
1 外国籍生徒に中学校への就学義務がないと判断された事例
2 中学校校長が,中学校に在籍する外国籍生徒の親権者から提出された退学届を受理する際に,退学と転学の違い等について,当該生徒自身に何も説明しなかったことが違法とされた事例

[租税法]
3(大阪地裁平20.7.24判決)
外国法人を買主とする造船契約において,売主から買主に船舶が引き渡される前に同契約が解除されたことにより,売主から外国法人に対し,同契約の約定により,既に受領していた分割払金の返還とともに本件分割払金に対する約定の割合に基づく金員の支払がされた事案について,同金員が所得税法161条6号所定の「貸付金(これに準ずるものを含む。)」の「利子」には該当せず,外国法人の国内源泉所得に該当しないとして,これに該当することを前提としてされた源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分が取り消された事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(大阪地裁平20.5.26判決)過重な業務とうつ病ないしうつ状態の発症との間の因果関係を肯定した上,Xの勤務態度を勘案し,民法418条を類推適用して,損害の3分の1を減額した事例

2(東京地裁平20.3.12判決)
1 房総半島の海岸に建築されたプレハブ式の倉庫の建築請負契約において,同敷地の環境下においても雨漏り防止はもちろん倉庫内における湿度の上昇やカビの繁殖の防止に配慮した倉庫としての基本的性能を有することが契約の内容になっていたとされた事例
2 同プレハブ式の倉庫の瑕疵により,保管物の水濡れ,加湿,カビの発生により生じた損害の損害額の認定について,民事訴訟法248条が適用された事例

3(東京地裁平20.7.31判決)信越放送取材ヘリ墜落事故事件
テレビ局所属の記者がヘリコプターに搭乗して取材中,ヘリコプターが送電線に接触して墜落,炎上し,当該記者が死亡した事故につき,送電線を設置・管理していた電力会社には,送電線に航空障害標識を設置するのを怠った責任(工作物責任)を肯定する一方で,ヘリコプター取材を命じたテレビ局の安全配慮義務違反,及び国の国家賠償責任(送電線の管理者に航空障害標識を設置させるよう行政権限を行使すべき義務違反)を否定した事例

4(神戸地裁平19.4.10判決)
急性心筋梗塞の患者が転送措置の途中で心室細動により死亡した場合,転送措置の開始が約70分遅延したとして転送義務違反の責任が認められた事例

[民事執行法]
5(東京地裁平20.11.17判決)
権利能力なき社団を債務者とする金銭債権の債務名義を有する債権者が,当該社団の資産である不動産に対し強制執行するため,当該社団の構成員でない第三者を債務者とする執行文の付与を求めることはできないとされた事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京高裁平20.5.15判決)大型ディスカウントショップ等連続放火事件
大型ディスカウントショップ等に対する連続放火事案について,前頭側頭型認知症(ピック病)の影響により完全責任能力が認められないとの主張が排斥された事例
記事紹介

■大阪民事実務研究
管轄合意と移送申立てについて
債権譲渡や金融機関の合併等は管轄合意及び移送申立てに対する判断にどのような影響を与えるのか/真鍋美穂子

■判例展望民事法38
医学鑑定
その現状と課題/小磯武男

◆ウィトゲンシュタインの火かき棒
供述の信用性について/濱口 浩

■公判前整理手続に関する諸問題1〔大阪刑事実務研究会〕
公判前整理手続の運用の現状と課題
施行から3年を経過して/長井秀典


判例紹介

最高裁判例
[民 法]
1(最高裁第二小法廷平21.3.27判決)
全身麻酔と局所麻酔の併用による手術中に生じた麻酔による心停止が原因で患者が死亡した場合において,麻酔医に各麻酔薬の投与量を調整すべき注意義務を怠った過失があり,同過失と死亡との間に相当因果関係があるとされた事例

[商 法]
2(最高裁第三小法廷平21.2.17判決)
株式会社の従業員がいわゆる持株会から譲り受けた株式を個人的理由により売却する必要が生じたときは持株会が額面額でこれを買い戻す旨の当該従業員と持株会との間の合意が有効とされた事例

行政裁判例
[行政争訟法]
1(名古屋高裁平19.10.31判決)
うつ病にり患した後,焼身自殺した電力会社員について,うつ病の発症とこれに基づく自殺に業務起因性が認められるとして,遺族補償年金及び葬祭料の不支給決定を取り消した原審の判断を維持した事例

[租税法]
2(福岡高裁平20.10.21判決)
建物譲渡による損失について損益通算を廃止した租税特別措置法を公布日以前の譲渡に遡及適用することが憲法84条に違反しないとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平19.7.31判決)
弁護士報酬につき,2800万円を下らないという弁護士の主張を排斥して,依頼者との間で報酬額を500万円とする旨の合意があったとの事実を認定した事例

2(さいたま地裁平20.11.14判決)
スキー場のゲレンデで滑降していた者が,上方からスノーボードで滑降してきた者に衝突されて負傷した事故につき,スノーボードの滑降者に不法行為責任が認められた事例

3(東京地裁平20.6.13判決)ライブドア株主損害賠償請求事件第1審判決
1 金融商品取引法21条の2第1項の有価証券報告書の虚偽記載があるとされた事例
2 同項に基づく有価証券報告書の提出者の損害賠償責任の発生には,証券取得の際に有価証券報告書の記載内容を信頼したことを要しない
3 同第3項の「公表」の主体は,法令上,報告聴取,検査,調査等の権限を有する者をいい,検察官は,これに含まれる
4 一般に広く報道されることを前提として,検察官が,報道機関に対し,事実を伝達することは,同第3項の「公表」に当たる
5 同第2項による損害額の推定を認めた事例
6 同第5項に基づき損害額について裁判所による裁量的減額を認めた事例

[商 法]
4(東京高裁平20.9.24判決)
退任した取締役が主位的に退職慰労金を,予備的に退職慰労金相当損害金を各請求した場合において,第1審が主位的請求を棄却し,予備的請求を認容したのに対し,控訴審が附帯控訴に基づき主位的請求を認容した事例

5(知的財産高裁平19.6.13判決)
「不正の目的」があったものと認めることはできないとして,会社法8条に基づく商号の使用差止等の請求が斥けられた事例

[知的財産]
6(知的財産高裁平20.8.28判決)
意匠に係る物品を「研磨パッド」とする意匠登録出願の拒絶査定不服審判請求について創作容易性(意匠法3条2項)を理由に審判請求不成立とした審決を取り消した事例

7(東京地裁平19.3.23判決)
被告の使用する溶融アルミニウム合金搬送用加圧式取鍋が原告の有する特許権及び意匠権を侵害するとして提起された訴えにおいて,被告の開発した取鍋の設計図は刊行物に当たらないとして進歩性無効の主張を排斥する一方で,先使用権の成立を一部肯定し,また,意匠権侵害を肯定し,損害額を当該特許権及び意匠権の対象となる物を使用して納入される溶融アルミニウムの販売価格を基に算定した事例

[諸 法]
8(広島地裁平20.10.2判決)
弁護士が,テレビ番組に出演し,他の弁護士らに対する懲戒請求をするように呼びかけたことなどについて,不法行為が成立するとした事例

9(盛岡地裁平19.7.27判決)
農業協同組合の行った融資が回収不能となったことにつき,当該融資に関与した代表理事及び理事に善管注意義務違反及び忠実義務違反があったとして代表理事らの農業協同組合に対する損害賠償責任が認められた事例

[民事執行法]
10(①東京高裁平20.11.6決定)(②東京高裁平20.11.6決定)
1 執行官が仮差押えの一部執行をしなかった措置についてされた執行異議の申立てを却下する裁判に対して執行抗告をすることは許されない
2 追徴保全命令に基づく仮差押えの執行において,国の差押禁止動産の範囲変更を求める申立てが理由がないとされた事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京高裁平20.7.18判決)
電車内でのすり未遂の事案において,被告人が女性のショルダーバッグ内に左手指を差し入れて在中品を窃取しようとした旨述べる警察官の目撃証言について,捜査に手抜かりもあるため,証言内容に関して生じる様々な疑問点を解消できず,これに依拠することができないとして,第1審の有罪判決を破棄し,無罪を言い渡した事例

[特別刑法]
2(①東京高裁平20.4.24判決)(②東京高裁平20.5.19判決)
家屋解体工事により生じた木くずのうちチップ原料用に選別されて再生利用としてチップ製造を行う業者に無償で処分を委託されたものが廃棄物の処理及び清掃に関する法律2条4項にいう「産業廃棄物」に当たるとされた2つの事例
記事紹介

■ケースブック民事訴訟活動・事実認定と判断
――心証形成・法的判断の過程とその解説 (2)/瀬木比呂志

■現代企業法研究会 企業間提携契約の法的諸問題10
企業間提携契約の更新条項に関する若干の考察/奈良輝久

■独占禁止法の新たな展開3
措置体系および行政上の措置/村上政博

◆破産債権査定異議の訴えに関する覚書(下)
訴訟物,手続法的性質,手続構造と審理上の問題点について/北澤純一

■続・元裁判官の書斎(6)
絶句類選の詩と遠麟の思い出/倉田卓次

◆新司法試験の合格者数について
法科大学院の一教員の立場から/石川 明

■ブック・レビュー
井上繁規著『民事控訴審の判決と審理』/松田 亨


判例紹介

行政裁判例
[行政法一般]
1(東京地裁平20.6.26判決)生活保護老齢加算廃止東京訴訟第1審判決
老齢加算の廃止等を内容とする生活保護基準の改定及びこれに基づいて給付を減額すること等を内容とする保護変更決定が生活保護法56条,8条2項及び9条並びに憲法25条等に反するものではなく適法とされた事例

[国家補償法]
2(高松高裁平20.9.30判決)県警配転国賠訴訟控訴審判決
現職警察官が,愛媛県の捜査費等不正支出問題に関して行った内部告発の記者会見に関して,その記者会見前に,上司らが同警察官と面談したことは違法ではなく,記者会見直後に,同警察官のけん銃を保管した措置も違法ではないものの,記者会見直後に,同警察官を配置換えしたこと及び勤勉手当を減額したことは違法であるとして,愛媛県に対して,100万円の慰謝料の支払を命じた事例

[地方自治法]
3(東京地裁平19.10.26判決)
1 公社発注の土木工事の指名競争入札において,指名業者間で談合が行われた結果,市が損害を被ったと認定した事例
2 談合による市が被った損害について,民訴法248条によって認定すべき損害額は,存在する資料等から,ここまでは確実に存在したであろうと考えられる範囲に抑えた額ではなく,むしろ存在する資料等から合理的に考えられる中で,実際に生じた損害額に最も近いと推測できる額をいうと解すべきであるとして,談合があったと認定した各工事について予定価格の8パーセントないし10パーセントの損害額を算定した事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京高裁平19.12.6判決)
有料駐車場に放置された自動車の所有権留保権者は,有料駐車場の所有者に対し,放置自動車の撤去義務を負わないとされた事例

2(東京地裁平20.9.18判決)
マンション建築工事の請負人と注文者との間でされた,注文者の事由により請負契約が不履行となった場合には,注文者は,請負代金の35%相当額を違約金として請負人に支払うとの違約金約定の適用が認められた事例

3(名古屋地裁平20.3.28判決)
被告の提供するインターネットオークションサービスを利用して詐欺被害にあった原告らが,被告に対し,詐欺被害を生じさせないインターネットオークションシステムを構築すべき注意義務を怠ったとして,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において,被告には上記サービスの利用者に対し詐欺等の被害防止に向けた注意喚起を時宜に沿って行う利用契約における信義則上の義務があるが,その違反を認めることはできないと判断して原告らの請求を棄却した事例

4(大阪地裁平20.12.26判決)
1 名誉毀損に基づく損害賠償請求訴訟について,いわゆる真実性の抗弁を認めた事例
2 記者会見において,断定的な表現ではなく,「可能性」(疑い)がある旨の発表をした場合に,「可能性」の内容たる事実ではなく,「可能性」の存在が証明されれば名誉毀損の違法性が阻却されるとした事例

5(東京地裁平20.8.27判決)
商品先物取引において,受託業者に,取引開始時に適合性原則に違反するとまでは認められないが,委託意思のない顧客に対する勧誘行為,一口勧誘禁止違反,説明義務違反,断定的利益判断の提供,新規委託者保護義務違反,仕切拒否,取引開始後の適合性原則違反の違法行為があり,取引全体について不法行為が成立するとされた事例(過失相殺4割)

6(東京地裁平20.8.27判決)
職場を異動した直後の過重な業務と小脳出血及び水頭症の発症との間の因果関係を肯定した上,先天的な脳動脈奇形が発症に一定程度寄与したとして,20パーセントの素因減額を行った事例

[知的財産]
7(東京地裁平20.9.29判決)
1 特許発明の自己実施により特許権者において独占の利益が生じているといえるためには,当該特許権の保有と競業他者の排除との間に因果関係が認められることが必要であり,その存否については,①当該特許権者が採用しているライセンスポリシーの内容,②競業他者による当該特許発明の代替技術の使用の有無及びその代替技術の内容,③ライセンス契約の相手方による当該特許発明の実施の有無,④当該特許権者自身による代替技術の実施の有無等の事情を総合的に考慮して判断すべきである
2 職務発明対価請求権の消滅時効の起算点となる実施褒賞金の支払時期について,特許権の設定登録時,当該発明の実施又は実施許諾時のうち,いずれかの遅い時点と解するのが相当であるとされた事例

8(東京地裁平20.12.26判決)黒烏龍茶事件
1 原告の商品表示の周知性を肯定しつつ,その著名性を否定した事例
2 原告の商品表示と被告らの二種類の商品表示との類否について,一方については類似性を肯定し,他方については類似性を否定した事例
3 原告の商品と被告らの商品とを比較する広告が原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知するものであるとされた事例
4 登録商標の使用が商標としての使用に当たらないとされた事例
5 商品のデザインの著作物性が否定された事例
6 製造業者と販売業者の関係にある被告らの関連共同性が肯定された事例

9(東京地裁平20.11.26判決)
1 不正競争防止法2条6項における秘密管理性の認定においては,当該情報が営業秘密であると認識できるようにされているか,当該情報にアクセスできる者が制限されているか等を判断要素とし,当該情報の性質等のほか,情報を利用しようとする者が誰であるか等も考慮すべきである
2 退職後においては,職業選択の自由の保障のため,契約上の秘密保持義務を合理的な範囲に限定して解釈するのが相当である
3
退職後の競業避止に関する合意は,職業選択の自由に対して極めて大きな制約を及ぼすものであるから,それに基づく競業避止義務の範囲については,制約の合理性を基礎付け得る必要最小限度の内容に限定して効力を認めるのが相当である

[民事執行法]
10(東京高裁平20.10.31決定)
民事執行法190条2項の動産競売の開始の許可に係る決定書正本を有する金銭債権の債権者に,財産開示手続の申立権が認められるか(消極)

[倒産処理法]
11(東京地裁平20.8.18判決)
1 保証金2億円は,原告が破産法53条1項に基づき賃貸借契約を解除したことにより,違約金条項に基づき,損害賠償請求権に全額充当されて,消滅した
2 賃貸人である被告が原告に対して取得した原状回復費用請求権は,破産法148条1項4号及び8号の適用又は類推適用により財団債権と認められる
3 破産手続開始決定前に履行期が到来している賃料債権は,破産債権であるから,破産手続によらなければ,行使できない
4 原状回復費用債務は,原状回復義務と目的を同じくするものであるから,原状回復費用債務の履行期は,原状回復義務の履行期と同一となる

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京地裁平20.4.3判決)
被告人両名が共謀の上我が子に体罰を加えて死亡させたとして起訴された傷害致死事件において,被告人両名以外に被害児の死因となった暴行を加えた人物は想定できないとの検察官の消去法的な立証は尽くされておらず,被告人両名を有罪とするには合理的な疑いが残るとされた事例
記事紹介

◆面会交流審判例の実証的研究
/横田昌紀・石川 亨・伊藤彰朗・加藤 幸・吉永 希

◆特許権侵害争訟におけるダブル・トラック現象と判決効
特許法104条の3及び最判平成20年4月24日を踏まえて/重冨貴光

◆破産債権査定異議の訴えに関する覚書(中)
訴訟物,手続法的性質,手続構造と審理上の問題点について/北澤純一

■山形地裁民事実務研究11
貸金業者が期限の利益喪失特約により債務者が期限の利益を喪失したと主張するのは信義誠実の原則により許されないとされた事例
大阪高判平20.1.29判時2005号19頁/梶 智紀

■刑事裁判ノート
裁判員裁判への架け橋として(2)
/門野 博


判例紹介

特 報
[刑 法]
1(東京地裁平20.7.2判決)新宿歌舞伎町ビル火災事件
雑居ビルの火災事故において,ビルを所有する会社の実質的経営者及び代表取締役並びにビル内の店舗の経営者及び店長に業務上過失致死傷罪が成立し,店舗の経営者を補佐するだけで経営上の重要事項についての裁量権が与えられていなかった者に同罪が成立しないとされた事例

[刑事訴訟法]
2(大阪高裁平20.12.3決定)
1 証拠開示に関する裁定(証拠開示命令)請求棄却決定を取り消して原審に差し戻した事例
2 殺人被告事件において,①捜査官が被告人方建物の内外,その室内の状況及び現場にあった物等をデジタルカメラで撮影して記録した電磁データ,②被害者の遺体写真をデジタルカメラで撮影して記録した電磁データにつき,「検察官の手持ち証拠ではなく,捜査機関においても保管しておらず,消去済みである」旨の検察官の主張に対し,「事件が現に係属中であるのに,捜査機関が①及び②を消去するなどというのは通常考え難いことであって,裁判所としては,検察官の上記のような不合理な主張を容易に受け入れるべきではなく,検察官に対し,消去の経緯や時期,その理由等について具体的な説明を求め,場合によっては担当者の証人尋問などの事実取調べを行うなどして事の真偽を確かめる必要があるというべきであり,それによって納得のいく説明等がなされなければ,それらの証拠は捜査機関が保管しており,検察官において入手が容易なものとみなすべきであると解される」と判示した事例

最高裁判例
[知的財産]
1(最高裁第三小法廷平21.1.27決定)
特許権又は専用実施権の侵害差止めを求める仮処分事件において特許法105条の4第1項に基づく秘密保持命令の申立てをすることの許否

[刑事訴訟法]
2(最高裁第一小法廷平20.9.30決定)
警察官が私費で購入したノートに記載し,一時期自宅に持ち帰っていた取調べメモについて,証拠開示を命じた判断が是認された事例

行政裁判例
[租税法]
1(東京地裁平20.6.27判決)
同族会社である株式会社の代表取締役が監査役になったことについて,役員としての地位又は職務の内容が激変し,実質的に退職したと同様の事情にあると認められた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平20.6.13判決)
1 懲戒解雇が無効であると主張して敗訴した原告が後に追加退職金請求訴訟を提起したことが訴権の濫用に当たらないとされた事例
2 追加退職金規定の定める追加退職金が労基法上の「賃金」に当たらないとされた事例
3 追加退職金規定の定める不支給事由が存在するとして追加退職金請求が棄却された事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平20.7.8判決)
1 売買の目的物である宅地の中に埋設物が存在した場合において,その埋設物の存在を民法570条にいう「隠れた瑕疵」に当たるとした事例
2 売買の目的物である宅地の中に汚染土壌が存在した場合において,その汚染土壌の存在を民法570条にいう「隠れた瑕疵」に当たるとした事例

2(東京高裁平19.9.5判決)
先履行すべき売買契約上の債務が履行遅滞に陥り,債権者から債務者に対する催告により契約解除権が発生した場合には,その後になって債権者が債務者に対して負う後に履行すべき反対債務の期限が到来したからといって,債権者はその負う反対債務の履行の提供をしなければ既に発生した契約解除権を行使することができないと解すべきものではないとされた事例

3(東京地裁平20.5.21判決)
1 権利能力なき社団から分離独立した元役員に対し,権利能力なき社団の財産の返還請求が認められた事例
2 権利能力なき社団の人格的利益の侵害を理由として,同社団から分離独立した元役員に対し,権利能力なき社団の名称と同一の名称の使用が禁止された事例
3 権利能力なき社団の元役員が同社団の承諾を得ることなく同社団の名称である「医療過誤原告の会」なる商標の商標登録出願を行い商標権を取得した場合において,同商標権者が同社団から分離独立した後に「医療過誤原告の会」の名称を使用することが許されないとされた事例

4(東京地裁平20.5.12判決)二子玉川東地区再開発事業差止請求事件
人格権に基づく再開発事業の差止請求が棄却された事例

5(東京地裁平20.4.10判決)
社会保険診療報酬支払基金が歯科医師からの保険診療報酬の支払請求を拒否したことについて不法行為の成立が否定された事例

6(名古屋地裁平20.7.18判決)
産婦人科医院で出生後,原因不明の発熱が続いていた新生児について,医師には,敗血症及び細菌性髄膜炎等の感染症に罹患した可能性を疑い,必要な治療を施すことのできる医療機関へ速やかに転院すべき義務があったのにこれを怠った過失があるとされ,適時に転院されていれば現実に生じた重大な後遺障害の発生を回避できた高度の蓋然性が認められるものの,軽度の後遺障害が生じた蓋然性も認められるとして,財産上の損害額につき重大な後遺障害が生じたことを前提として算定される額の5割とするのが相当とされた事例

[商 法]
7(東京地裁平20.9.30判決)
1 執行役員に付与された新株予約権が,退職後一定期間の経過により消滅したと判断された事例
2 執行役員について退職の意思表示により,直ちに退職の効力が生じると判断された事例
3 新株予約権の行使の妨害行為の成否について,ロックアップ合意の効力が問題となった事例

[知的財産]
8(東京地裁平20.9.30判決)
1 種苗法に基づく品種登録がされたしいたけの育成者権者である原告が,被告が上記しいたけ品種の種菌から菌床を製造・販売した行為が原告の育成者権を侵害するとして,種苗の生産・譲渡等の差止め等を請求した事案において,原告の請求が一部認容された事例
2 種苗法に基づく品種登録がされたしいたけの育成者権者である原告が,被告が上記しいたけ品種の種菌から菌床を製造・販売した行為が原告の育成者権を侵害するとして,損害賠償等を請求した事案において,原告の請求が一部認容された事例

[倒産処理法]
9(大阪地裁平20.10.31判決)
委託を受けない保証人が主債務者の破産手続開始後に取得した事後求償権を自働債権とする相殺が認められた事例

刑事裁判例
[特別刑法]
1(東京高裁平20.4.15判決)
大証ヘラクレス上場のコンピューター用システム機器メーカーの代表取締役社長であった被告人の詐欺再生及び特別背任事件につき実刑を言い渡した事例

[刑事訴訟法]
2(東京高裁平20.7.10判決)
刑事訴訟法403条の2第1項と憲法32条
記事紹介

■民法判例レビュー〔第2期〕第103回

■今期の主な裁判例
契 約/野村豊弘 担 保/下村信江

不動産/松尾 弘 民事責任/関口剛弘

家 族/渡邉泰彦

■判例評釈
契 約① 土壌汚染と売主の瑕疵担保責任/岡 孝

契 約② クレジットカードの不正利用とカード会社の責任/下村信江

不動産 入会権確認請求に同調しない入会団体構成員を被告に加える提訴方法の可否/松尾 弘

民事責任 共同不法行為と過失相殺暴走バイクがパトカーと衝突し,バイク同乗者(被害者)が死亡した事故の場合/新美育文

家 族① 事実婚の父母間に生まれた婚外子の氏を父の氏に変更することを許可した事例/二宮周平

家 族② 遺言執行者の解任/中川忠晃


判例紹介

行政裁判例
[行政法一般]
1(福岡地裁平20.8.26判決)
重婚的内縁関係にあった厚生年金保険の被保険者の戸籍上の妻が提起した,遺族厚生年金の不支給処分の取消請求が認容された事例

2(東京地裁平17.11.25判決)日の出町廃棄物処分場訴訟第1審判決
廃棄物広域処分場建設事業についての事業認定処分の取消請求及びその事業用地取得のための収用裁決の取消請求がいずれも棄却ないし却下された事例

[国家補償法]
3(高松高裁平20.5.29判決)
村の発注する公共工事の指名競争入札に長年指名を受けて継続的に参加していた建設業者を特定年度以降全く指名せず入札に参加させなかった村の措置につき,村長に国家賠償法1条1項の過失があるとはいえないとされた事例

[租税法]
4(東京地裁平20.8.28判決)
1 租税特別措置法40条の4が規定する所得税に係るタックス・ヘイブン税制が,日本とシンガポール共和国との間の日星租税協定に違反しないと判断された事例
2 租税特別措置法40条の4第3項が規定する適用除外要件のうち,非持株会社等基準を充足しないとして同条1項に基づく課税処分が適法と判断された事例

[地方自治法]
5(東京地裁平20.11.28判決)
政務調査費を支出して住民訴訟を提起し遂行した区議会議員に対し,区長が同支出は区政に関する調査研究に資するために必要な経費に当たらないとしてした政務調査費返還命令が違法であるとして取り消された事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平20.5.20判決)
1 期間の定めのある労働契約を締結している高齢の労働者である原告らについて,雇用継続の期待があるとされた事例
2 高齢の原告らの,雇用契約上の地位確認請求が,終期を限定しないで認められた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平20.9.11判決)
厚生年金基金が解散業務の一環として数理計算事務を保険会社に委託したところ,その数理計算の結果に誤りがあったため,基金の構成員に対して支給すべき残余財産分配金額に誤りが生じた場合について,上記の誤りは厚生年金基金が提供した基礎データに誤りがあったために生じたものであり,また,基礎データに誤りが生じたことについて説明,助言,是正義務等の違反も認められないとして,当該保険会社の責任が否定された事例

2(大阪地裁平20.8.28判決)
1 都市型立体遊園地内の飲食店用建物の賃貸借契約において,同遊園地の施設及び賃貸建物を所有する賃貸人は同遊園地の営業維持・集客努力義務を負い,賃貸人に同義務の不履行があるときは賃貸借契約を締結した目的が達成できない状態にあるから,賃借人の賃料支払義務は発生しないとの主張を排斥し,賃料不払を理由とする賃貸借契約の解除を認めた事例
2 賃貸借契約終了後の不法占拠を原因とする賃料相当損害金は,当該不動産の有する使用価値それ自体が侵害されたことによる積極的損害であって,当該不動産における得べかりし利益を意味するものではないとした事例

3(仙台高裁平19.7.13判決)
妻が,勤務先の資金を横領して,その一部を夫の預金口座に入金したり,夫に交付したりした事実関係において,横領についての妻との共同不法行為を理由とする勤務先からの夫に対する損害賠償請求が棄却され,不当利得返還請求が一部認容された事例

4(東京地裁平20.10.30判決)
1 テレビ局が,貨幣損傷等取締法違反被疑事件に関して放送した報道番組において,出演者等の実演を交えて奇術用コインの種を説明したことが,奇術を職業又は趣味とする原告らが所有する奇術用コインの財産的価値を違法に低下させたものとは認められないとされた事例
2 テレビ局が貨幣損傷等取締法違反被疑事件に関して放送した報道番組において,奇術を職業又は趣味とする原告らの社会的評価を低下させるような事実が摘示されたものとは認められないとされた事例

5(東京地裁平20.7.29判決)
海外に本拠を置く歌劇場によるオペラ公演に,当初の宣伝と異なった指揮者が出演した場合において,公演主催者らが観客に対し債務不履行責任等を負わないとされた事例

6(大阪地裁平20.5.20判決)
居住目的による土地・建物の売買契約において売主を仲介する宅地建物取引業者は,建物の物理的瑕疵によって居住目的が実現できない可能性があることを示唆する情報を認識している場合,買主に対し,積極的にその旨を告知すべき注意義務があるとされ,これを尽くさなかったことに不法行為責任が認められた事例

[知的財産]
7(知的財産高裁平21.1.29判決)
民訴法6条1項が規定する「特許権に関する訴え」の意義

8(知的財産高裁平21.1.14判決)
特許庁の担当職員の過失により特許権を目的とする質権を取得することができなかったことによる損害額を認定した事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京高裁平20.6.11判決)
共犯者のアリバイ証人の偽証が控訴審で発覚した事例

2(松山地裁平20.1.17判決)
主位的訴因である危険運転致死罪の事実につき,被告人運転車両が「進行を制御することが困難な高速度」による走行とは認められないとして,予備的訴因である業務上過失致死罪が成立するにとどまるとされた事例
記事紹介

■ケースブック 民事訴訟活動・事実認定と判断
――心証形成・法的判断の過程とその解説(1)/瀬木比呂志

■座談会
当事者は民事裁判に何を求めるのか?(下)
訴訟行動調査と実務との対話 PARTⅠ
/加藤新太郎(司会)
河合幹雄・守屋 明・垣内秀介・前田智彦・永石一郎・須藤典明

◆賃料増減請求訴訟をめぐる諸問題(下)
/山下 寛・上田卓哉・土井文美・森里紀之

■独占禁止法の新たな展開2
3条中心と不公正な取引方法の解体/村上政博


判例紹介

特 報
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平20.7.14決定)布川事件第2次再審請求抗告審決定
強盗殺人事件につき刑訴法435条6号に該当するとして再審を開始した原決定が維持された事例

最高裁判例
[情報公開]
1(最高裁第一小法廷平21.1.15決定)
情報公開法に基づく行政文書の開示請求に対する不開示決定の取消訴訟において,不開示とされた文書を検証の目的として被告にその提示を命ずることの許否

[民 法]
2(最高裁第一小法廷平21.1.22判決)
1 金融機関の預金者に対する預金口座の取引経過開示義務の有無
2 共同相続人の一人が被相続人名義の預金口座の取引経過開示請求権を単独で行使することの可否

[刑 法]
3(最高裁第一小法廷平21.2.24決定)
急迫不正の侵害に対する反撃として複数の暴行を加えた場合において,単独で評価すれば防衛手段としての相当性が認められる当初の暴行のみから傷害が生じたとしても,1個の過剰防衛としての傷害罪が成立するとされた事例

行政裁判例
[行政法一般]
1(①東京高裁平19.9.19判決)(②東京高裁平19.9.26判決)
当事者は難民に当たるとの主張が認められず,難民に当たるとした原判決が取り消された2事例

[国家補償法]
2(横浜地裁平20.10.24判決)
勾留中の被疑者の取調べに当たっていた検察官が被疑者に対して「弁護過誤だな」などと弁護人の弁護方針を批判する内容を告知した行為が,当該弁護士に対する関係で国家賠償法1条1項の適用上違法となるとされた事例

[地方自治法]
3(京都地裁平20.9.30判決)
平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2第7項所定の弁護士に支払う報酬額の範囲内で「相当と認められる額」を算定するに当たっては,弁護士会報酬規程の直接の適用はなく,その算定は,①事件の内容・性質・難易度,②訴訟活動に要する時間・労力,③弁護士の人数,④同1項4号請求の勝訴によって当該普通地方公共団体が現実に得た利益,⑤同1項4号請求勝訴に対する当該普通地方公共団体の寄与の有無・程度を総合的に考慮して行われるべきであるとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(大阪地裁平20.7.29判決)
税理士がその業務の履行に過失があったとして損害賠償責任が認められたが,会計監査法人はその業務の履行に過失はあったものの,税理士の行為とは客観的関連共同性がなく,損害との因果関係もないとされた事例

2(大阪地裁平20.6.10判決)
1 インターネットオークションで購入した中古車につき,メーターの巻き戻しによって実際の走行距離が表示の8倍以上であったことが民法570条所定の「瑕疵」に当たるとされた事例
2 瑕疵修補費用及び弁護士費用は瑕疵担保責任を負う売主が賠償すべき損害には当たらない

3(東京地裁平21.1.28判決)赤白ストライプハウス事件
建物の赤白ストライプ外壁部分は近隣住民の景観利益,平穏生活権を侵害するものではないとして,赤白ストライプ外壁部分の撤去請求を棄却した事例

4(神戸地裁平19.11.13判決)
貸金業法が適用されない継続的金銭消費貸借取引に基づき,消費者金融業者が消費者より利息制限法所定の上限利率を超えた利息による過払金を受領する行為は不法行為にあたる

5(東京高裁平20.11.26判決)
甲と乙の親子関係の存在が人事訴訟における原告の法律上の利益を基礎付けるために必要であるが,乙を甲の子とする戸籍上の記載が真実でない場合における法律上の利益の判断基準

[商 法]
6(東京地裁平20.7.18判決)
1 株式会社の一人株主である取締役が,任務違背行為により会社に損害を与えた場合に,取締役の会社に対する善管注意義務又は忠実義務違反による責任が生じないとはいえないとされた事例
2 株式会社の取締役がその一人株主であった期間に生じた取締役の会社に対する責任が,一人株主であったことにより当然に免除されるか(消極)

[知的財産]
7(知的財産高裁平20.5.30判決)ソルダーレジスト(除くクレーム)事件知的財産高裁大合議事件
1 訂正が,当業者によって,明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであるときは,当該訂正は,「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」するものということができるとされた事例
2 いわゆる「除くクレーム」とする訂正が,「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」するものということができるとされた事例
3 訂正における登録商標は,先願明細書に基づく特許出願時において当該登録商標によって特定されるすべての製品を含むものであるということができるから,当該登録商標によって特定された物が技術的に明確でないとはいえないとされた事例
4 いわゆる「除くクレーム」とする訂正において,登録商標の記載を使用して除外部分を表示したことが,特許法施行規則が定める「当該登録商標を使用しなければ当該物を表示することができない場合」における登録商標の使用であるとされた事例
5 本件特許出願に係る発明は当業者が引用例記載の発明に基づいて容易に想到し得たものではないとされた事例

8(東京地裁平19.1.19判決)
1 レコード製作者に付与された著作隣接権としての送信可能化権について,著作権法改正による同権利の創設前に音楽事務所とレコード会社との間で締結された共同制作原盤譲渡契約及び原盤独占譲渡契約における包括的な権利譲渡条項に基づき,音楽事務所からレコード会社への譲渡が認められた事例
2 自己の計算と責任においてレコード原盤に録音した者がレコード製作者であるとされた事例

[諸 法]
9(大阪高裁平20.9.24判決)
転借人が転貸人(賃借人)に提供した敷金をもって転貸人が賃貸人に敷金を提供した場合において同敷金返還請求権を信託目的とする旨の合意をしたとまでは認められないとされた事例

[民事保全法]
10(知的財産高裁平20.9.29決定)
1 特許権に関する仮処分事件につき大阪地方裁判所がした保全取消決定に対する保全抗告事件について,東京高裁(知財高裁)が管轄権を有するとされた事例
2 特許権侵害禁止仮処分決定の後,同特許を無効とする審決があっても,その取消訴訟において同審決が取消しを免れない場合には,仮処分決定を取り消すべき事情変更があるとはいえないとされた事例

[民事執行法]
11(東京高裁平20.11.7決定)
1銀行の特定の普通預金口座に係る普通預金債権及び既発生利息債権を差し押さえるべき債権であるとしつつ,その時的範囲として,「命令送達の時から3営業日以内に上記口座にかかる普通預金債権となる部分(本命令送達の時に存在する預金及び同日を含む3営業日が経過するまでに受入れた金員によって構成される部分)」とした債権差押命令の申立てが,差押債権の特定を欠くとされた事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京高裁平20.10.23判決)
銃砲刀剣類所持等取締法違反(けん銃及びその適合実包の所持)被告事件の控訴審において,被告人にけん銃等の所持についての概括的かつ未必的故意が認められるとした1審判決を破棄し,被告人には保管していた物の中身がけん銃及びその適合実包である旨の認識があったとは認められないとして,無罪が言い渡された事例

2(東京高裁平19.9.18判決)
1 包括一罪を構成する一連の行為の中間に別罪の確定裁判が介在した場合と刑法45条後段の適用
2 包括一罪を構成する一連の行為が執行猶予付き懲役刑を言い渡した確定裁判の前後にまたがって行われた場合と刑法25条の適用
記事紹介

■座談会
当事者は民事裁判に何を求めるのか?(上)
訴訟行動調査と実務との対話 PARTⅠ
/加藤新太郎(司会)
河合幹雄・守屋 明・垣内秀介・前田智彦・永石一郎・須藤典明

◆賃料増減請求訴訟をめぐる諸問題(上)
/山下 寛・上田卓哉・土井文美・森里紀之

◆破産債権査定異議の訴えに関する覚書(上)
訴訟物,手続法的性質,手続構造と審理上の問題点について/北澤純一

■刑事裁判ノート
裁判員裁判への架け橋として(1)/門野 博


判例紹介

特報
[民 法]
1(大阪地裁平21.2.16判決)
労災保険法上の保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じた場合に,被害者に対して休業給付及び障害給付として支払われた保険金を,加害者が被害者に対して負担する損害賠償債務の遅延損害金の支払債務に充当することの可否

速報
[民 法]
1(最高裁第一小法廷平21.1.22判決)
継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が,利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合における,上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効の起算点

最高裁判例
[行政法一般]
1(最高裁第一小法廷平20.12.11判決)
遺産分割調停調書に,相続人が遺産取得の代償としてその所有する建物を他の相続人に譲渡する旨の条項がある場合において,上記調書を添付してされた上記建物の所有権移転登記申請につき,登記原因証明情報の提供を欠くことを理由に却下した処分が違法とされた事例

[民 法]
2(最高裁第二小法廷平21.1.19判決)
店舗の賃借人が賃貸人の修繕義務の不履行により被った営業利益相当の損害について,賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたと解される時期以降に被った損害のすべてが民法416条1項にいう通常生ずべき損害に当たるということはできないとされた事例

[刑 法]
3(最高裁第二小法廷平20.4.11判決)
1 管理者が管理する,公務員宿舎である集合住宅の1階出入口から各室玄関前までの部分及び門塀等の囲障を設置したその敷地が,刑法130条の邸宅侵入罪の客体に当たるとされた事例
2 各室玄関ドアの新聞受けに政治的意見を記載したビラを投かんする目的で公務員宿舎である集合住宅の敷地等に管理権者の意思に反して立ち入った行為をもって刑法130条前段の罪に問うことが,憲法21条1項に違反しないとされた事例

[特別刑法]
4(最高裁第二小法廷平20.3.4決定)
児童ポルノをインターネット・オークションの落札者にあてて外国から郵送した行為が,「不特定の者に提供する目的で」外国から輸出したものといえるとされた事例

行政裁判例
[国家補償法]
1(名古屋地裁平20.3.14判決)
1 洗堰により結ばれた二つの河川が本川と派川の関係にあるとされた事例
2 本川及び派川の関係にある二つの河川に適用される河川管理の瑕疵に関する判断基準
3 洗堰を閉鎮せず派川への洪水の流入を残したまま改修を行ってきた本川及び派川の河川管理に,河川管理における財政的,技術的及び社会的制約の下で,同種・同規模の河川の管理の一般水準及び社会通念に照らして瑕疵はないとされた事例
2(大阪地裁平19.12.18判決)
あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約2条1項柱書き及び同項(d)の規定は,締約国に対し,私人間の人種差別を禁止させるための立法措置を執ることについて,個別の国民に対する具体的作為義務を定めたものではない

[租税法]
3(大阪地裁平20.7.11判決)
1 課税庁が移転価格税制を適用するに際し国外所得移転の蓋然性を認定する等の事前手続履践は必要か(消極)
2 電子接続部品の製造卸業を営む納税者について,台湾における非関連者取引に,租税特別措置法66条の4第2項1号ハに規定する原価基準法の下でシンガポール及び香港における国外関連取引に対する比較対象取引としての適格性が認められるとされた事例
3 国外関連取引と比較対象取引との間において,通常の利益率の算定に重大な影響を及ぼすような差異につき課税庁が行った調整は,取引規模の差異の点を除けば相当であるとされた事例
4 取引規模の拡大に伴って値引き圧力が加わる関係は取引社会における経験則に照らして一般的に首肯し得るものであるところ,納税者の国外関連者に対する売上金額の全体に占める割合が約50パーセントに達するなどの事情の下においては,取引規模に着目して比較対象取引との差異を調整すべきであるとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(横浜地裁平20.6.27判決)
併合審理された占有回収の訴えと本権の訴えにおいて,侵奪者の悪意の承継人であると認めて占有権に基づく占有回復請求権としての明渡請求を認容し(占有回収の訴え),留置権の抗弁を認めて所有権に基づく明渡請求(本権の訴え)を棄却した事例
2(東京地裁平20.7.30判決)
銀行が商品取引員に対する貸付金債権を自働債権とし当該商品取引員が商品取引責任準備金積み立てのために当該銀行に開設した預金口座に係る預金債権を受働債権としてする相殺の可否
3(東京地裁平18.7.28判決)
飲酒運転中の交通事故につき,運転者と共に飲酒し同乗しなかった者についても民法719条2項に基づく責任を肯定すると共に,運転者の妻については同責任を否定した事例
4(福島地裁平20.5.20判決)
帝王切開歴のある妊婦に対し,経膣分娩の方法を選択したところ,子宮破裂を起こして新生児に重度の脳性麻痺が生じた場合について,妊婦の状態に応じて慎重な分娩監視や帝王切開の準備をすべきであったとして,医師らの過失が認められた事例
5(東京地裁平20.10.9判決)
1 遺言書の内容全体をみた場合に民法969条の2第1項に定める方式に従って公正証書が作成されたことが明瞭に読み取れれば同条3項所定の要件を満たすとした事例
2 パーキンソン氏病に罹患し,その治療のため言葉を発することができなくなっていた遺言者の介助を約9年間行っていた者が民法969条の2第1項の「通訳人」に該当するとした事例
3 通訳人が公証人の問いかけに対する遺言者の反応(腕,足を動かしたり,喉を震わせて音を出したり,まぶたを開閉したりする動作等)から遺言者の意思として表示した内容は経験則に裏打ちされた妥当なものであり民法969条の2第1項「通訳人の通訳により申述」したといえるとした事例

[知的財産]
6(東京地裁平20.5.28判決)ロクラクⅡ事件第1審判決
ハードディスクレコーダー2台のうち1台(親機)を日本国内に設置して,受信するテレビ放送の放送波を親機に入力するとともに,これに対応するもう1台(子機)を利用者に貸与又は譲渡することにより,当該利用者をして,子機を操作して親機が日本国内で放送されるテレビ番組を複製することができるようにするサービスに関し,これを事業として行うことが,複製の対象となったテレビ番組について放送事業者の有する著作権又は著作隣接権を侵害するとされた事例
7(東京地裁平20.9.30判決)
周知又は著名な営業表示「東急」に基づく被告の営業表示「TOKYU」及び「tokyu」の差止等請求が,両表示が類似しないとして,棄却された事例
8(名古屋地裁平20.3.13判決)
産業用ロボットシステムの製造販売等を目的とする会社Xの管理する設計図面,設計CADデータ等が営業秘密に当たるとされた上,Xと同種の産業用ロボットを取り扱う会社Y1,Y2においてXを退社したY3,Y4の設計等に係る産業用ロボットを製造,販売した行為が不正競争防止法2条1項7号,8号の不正競争行為に当たるとされた事例

[諸 法]
9(大阪地裁平20.6.26判決)
インターネットのチャットルームにおける書込みがプライバシー侵害・名誉毀損に当たるなどとして発信者情報開示請求が認められたが,プロバイダーによる情報開示請求の拒否について重過失が認められないとして損害賠償請求が棄却された事例

[倒産処理法]
10(東京地裁平20.6.30判決)
第三者名義の定期預金債権に対してされた質権設定行為につき,破産管財人の否認権行使が認められた事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平20.9.11判決)
業務上過失致死傷等被告事件の控訴審において,交通事故を起こした自動車の運転者が被告人であることに合理的な疑いがあるとして無罪を言い渡した1審判決を破棄し,同乗者の供述の信用性を認めて被告人を当該自動車の運転者であると認定した事例

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