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記事紹介

■民法判例レビュー〔第2期〕第103回

■今期の主な裁判例
契 約/野村豊弘 担 保/下村信江

不動産/松尾 弘 民事責任/関口剛弘

家 族/渡邉泰彦

■判例評釈
契 約① 土壌汚染と売主の瑕疵担保責任/岡 孝

契 約② クレジットカードの不正利用とカード会社の責任/下村信江

不動産 入会権確認請求に同調しない入会団体構成員を被告に加える提訴方法の可否/松尾 弘

民事責任 共同不法行為と過失相殺暴走バイクがパトカーと衝突し,バイク同乗者(被害者)が死亡した事故の場合/新美育文

家 族① 事実婚の父母間に生まれた婚外子の氏を父の氏に変更することを許可した事例/二宮周平

家 族② 遺言執行者の解任/中川忠晃


判例紹介

行政裁判例
[行政法一般]
1(福岡地裁平20.8.26判決)
重婚的内縁関係にあった厚生年金保険の被保険者の戸籍上の妻が提起した,遺族厚生年金の不支給処分の取消請求が認容された事例

2(東京地裁平17.11.25判決)日の出町廃棄物処分場訴訟第1審判決
廃棄物広域処分場建設事業についての事業認定処分の取消請求及びその事業用地取得のための収用裁決の取消請求がいずれも棄却ないし却下された事例

[国家補償法]
3(高松高裁平20.5.29判決)
村の発注する公共工事の指名競争入札に長年指名を受けて継続的に参加していた建設業者を特定年度以降全く指名せず入札に参加させなかった村の措置につき,村長に国家賠償法1条1項の過失があるとはいえないとされた事例

[租税法]
4(東京地裁平20.8.28判決)
1 租税特別措置法40条の4が規定する所得税に係るタックス・ヘイブン税制が,日本とシンガポール共和国との間の日星租税協定に違反しないと判断された事例
2 租税特別措置法40条の4第3項が規定する適用除外要件のうち,非持株会社等基準を充足しないとして同条1項に基づく課税処分が適法と判断された事例

[地方自治法]
5(東京地裁平20.11.28判決)
政務調査費を支出して住民訴訟を提起し遂行した区議会議員に対し,区長が同支出は区政に関する調査研究に資するために必要な経費に当たらないとしてした政務調査費返還命令が違法であるとして取り消された事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平20.5.20判決)
1 期間の定めのある労働契約を締結している高齢の労働者である原告らについて,雇用継続の期待があるとされた事例
2 高齢の原告らの,雇用契約上の地位確認請求が,終期を限定しないで認められた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平20.9.11判決)
厚生年金基金が解散業務の一環として数理計算事務を保険会社に委託したところ,その数理計算の結果に誤りがあったため,基金の構成員に対して支給すべき残余財産分配金額に誤りが生じた場合について,上記の誤りは厚生年金基金が提供した基礎データに誤りがあったために生じたものであり,また,基礎データに誤りが生じたことについて説明,助言,是正義務等の違反も認められないとして,当該保険会社の責任が否定された事例

2(大阪地裁平20.8.28判決)
1 都市型立体遊園地内の飲食店用建物の賃貸借契約において,同遊園地の施設及び賃貸建物を所有する賃貸人は同遊園地の営業維持・集客努力義務を負い,賃貸人に同義務の不履行があるときは賃貸借契約を締結した目的が達成できない状態にあるから,賃借人の賃料支払義務は発生しないとの主張を排斥し,賃料不払を理由とする賃貸借契約の解除を認めた事例
2 賃貸借契約終了後の不法占拠を原因とする賃料相当損害金は,当該不動産の有する使用価値それ自体が侵害されたことによる積極的損害であって,当該不動産における得べかりし利益を意味するものではないとした事例

3(仙台高裁平19.7.13判決)
妻が,勤務先の資金を横領して,その一部を夫の預金口座に入金したり,夫に交付したりした事実関係において,横領についての妻との共同不法行為を理由とする勤務先からの夫に対する損害賠償請求が棄却され,不当利得返還請求が一部認容された事例

4(東京地裁平20.10.30判決)
1 テレビ局が,貨幣損傷等取締法違反被疑事件に関して放送した報道番組において,出演者等の実演を交えて奇術用コインの種を説明したことが,奇術を職業又は趣味とする原告らが所有する奇術用コインの財産的価値を違法に低下させたものとは認められないとされた事例
2 テレビ局が貨幣損傷等取締法違反被疑事件に関して放送した報道番組において,奇術を職業又は趣味とする原告らの社会的評価を低下させるような事実が摘示されたものとは認められないとされた事例

5(東京地裁平20.7.29判決)
海外に本拠を置く歌劇場によるオペラ公演に,当初の宣伝と異なった指揮者が出演した場合において,公演主催者らが観客に対し債務不履行責任等を負わないとされた事例

6(大阪地裁平20.5.20判決)
居住目的による土地・建物の売買契約において売主を仲介する宅地建物取引業者は,建物の物理的瑕疵によって居住目的が実現できない可能性があることを示唆する情報を認識している場合,買主に対し,積極的にその旨を告知すべき注意義務があるとされ,これを尽くさなかったことに不法行為責任が認められた事例

[知的財産]
7(知的財産高裁平21.1.29判決)
民訴法6条1項が規定する「特許権に関する訴え」の意義

8(知的財産高裁平21.1.14判決)
特許庁の担当職員の過失により特許権を目的とする質権を取得することができなかったことによる損害額を認定した事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京高裁平20.6.11判決)
共犯者のアリバイ証人の偽証が控訴審で発覚した事例

2(松山地裁平20.1.17判決)
主位的訴因である危険運転致死罪の事実につき,被告人運転車両が「進行を制御することが困難な高速度」による走行とは認められないとして,予備的訴因である業務上過失致死罪が成立するにとどまるとされた事例
記事紹介

■ケースブック 民事訴訟活動・事実認定と判断
――心証形成・法的判断の過程とその解説(1)/瀬木比呂志

■座談会
当事者は民事裁判に何を求めるのか?(下)
訴訟行動調査と実務との対話 PARTⅠ
/加藤新太郎(司会)
河合幹雄・守屋 明・垣内秀介・前田智彦・永石一郎・須藤典明

◆賃料増減請求訴訟をめぐる諸問題(下)
/山下 寛・上田卓哉・土井文美・森里紀之

■独占禁止法の新たな展開2
3条中心と不公正な取引方法の解体/村上政博


判例紹介

特 報
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平20.7.14決定)布川事件第2次再審請求抗告審決定
強盗殺人事件につき刑訴法435条6号に該当するとして再審を開始した原決定が維持された事例

最高裁判例
[情報公開]
1(最高裁第一小法廷平21.1.15決定)
情報公開法に基づく行政文書の開示請求に対する不開示決定の取消訴訟において,不開示とされた文書を検証の目的として被告にその提示を命ずることの許否

[民 法]
2(最高裁第一小法廷平21.1.22判決)
1 金融機関の預金者に対する預金口座の取引経過開示義務の有無
2 共同相続人の一人が被相続人名義の預金口座の取引経過開示請求権を単独で行使することの可否

[刑 法]
3(最高裁第一小法廷平21.2.24決定)
急迫不正の侵害に対する反撃として複数の暴行を加えた場合において,単独で評価すれば防衛手段としての相当性が認められる当初の暴行のみから傷害が生じたとしても,1個の過剰防衛としての傷害罪が成立するとされた事例

行政裁判例
[行政法一般]
1(①東京高裁平19.9.19判決)(②東京高裁平19.9.26判決)
当事者は難民に当たるとの主張が認められず,難民に当たるとした原判決が取り消された2事例

[国家補償法]
2(横浜地裁平20.10.24判決)
勾留中の被疑者の取調べに当たっていた検察官が被疑者に対して「弁護過誤だな」などと弁護人の弁護方針を批判する内容を告知した行為が,当該弁護士に対する関係で国家賠償法1条1項の適用上違法となるとされた事例

[地方自治法]
3(京都地裁平20.9.30判決)
平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2第7項所定の弁護士に支払う報酬額の範囲内で「相当と認められる額」を算定するに当たっては,弁護士会報酬規程の直接の適用はなく,その算定は,①事件の内容・性質・難易度,②訴訟活動に要する時間・労力,③弁護士の人数,④同1項4号請求の勝訴によって当該普通地方公共団体が現実に得た利益,⑤同1項4号請求勝訴に対する当該普通地方公共団体の寄与の有無・程度を総合的に考慮して行われるべきであるとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(大阪地裁平20.7.29判決)
税理士がその業務の履行に過失があったとして損害賠償責任が認められたが,会計監査法人はその業務の履行に過失はあったものの,税理士の行為とは客観的関連共同性がなく,損害との因果関係もないとされた事例

2(大阪地裁平20.6.10判決)
1 インターネットオークションで購入した中古車につき,メーターの巻き戻しによって実際の走行距離が表示の8倍以上であったことが民法570条所定の「瑕疵」に当たるとされた事例
2 瑕疵修補費用及び弁護士費用は瑕疵担保責任を負う売主が賠償すべき損害には当たらない

3(東京地裁平21.1.28判決)赤白ストライプハウス事件
建物の赤白ストライプ外壁部分は近隣住民の景観利益,平穏生活権を侵害するものではないとして,赤白ストライプ外壁部分の撤去請求を棄却した事例

4(神戸地裁平19.11.13判決)
貸金業法が適用されない継続的金銭消費貸借取引に基づき,消費者金融業者が消費者より利息制限法所定の上限利率を超えた利息による過払金を受領する行為は不法行為にあたる

5(東京高裁平20.11.26判決)
甲と乙の親子関係の存在が人事訴訟における原告の法律上の利益を基礎付けるために必要であるが,乙を甲の子とする戸籍上の記載が真実でない場合における法律上の利益の判断基準

[商 法]
6(東京地裁平20.7.18判決)
1 株式会社の一人株主である取締役が,任務違背行為により会社に損害を与えた場合に,取締役の会社に対する善管注意義務又は忠実義務違反による責任が生じないとはいえないとされた事例
2 株式会社の取締役がその一人株主であった期間に生じた取締役の会社に対する責任が,一人株主であったことにより当然に免除されるか(消極)

[知的財産]
7(知的財産高裁平20.5.30判決)ソルダーレジスト(除くクレーム)事件知的財産高裁大合議事件
1 訂正が,当業者によって,明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであるときは,当該訂正は,「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」するものということができるとされた事例
2 いわゆる「除くクレーム」とする訂正が,「明細書又は図面に記載した事項の範囲内において」するものということができるとされた事例
3 訂正における登録商標は,先願明細書に基づく特許出願時において当該登録商標によって特定されるすべての製品を含むものであるということができるから,当該登録商標によって特定された物が技術的に明確でないとはいえないとされた事例
4 いわゆる「除くクレーム」とする訂正において,登録商標の記載を使用して除外部分を表示したことが,特許法施行規則が定める「当該登録商標を使用しなければ当該物を表示することができない場合」における登録商標の使用であるとされた事例
5 本件特許出願に係る発明は当業者が引用例記載の発明に基づいて容易に想到し得たものではないとされた事例

8(東京地裁平19.1.19判決)
1 レコード製作者に付与された著作隣接権としての送信可能化権について,著作権法改正による同権利の創設前に音楽事務所とレコード会社との間で締結された共同制作原盤譲渡契約及び原盤独占譲渡契約における包括的な権利譲渡条項に基づき,音楽事務所からレコード会社への譲渡が認められた事例
2 自己の計算と責任においてレコード原盤に録音した者がレコード製作者であるとされた事例

[諸 法]
9(大阪高裁平20.9.24判決)
転借人が転貸人(賃借人)に提供した敷金をもって転貸人が賃貸人に敷金を提供した場合において同敷金返還請求権を信託目的とする旨の合意をしたとまでは認められないとされた事例

[民事保全法]
10(知的財産高裁平20.9.29決定)
1 特許権に関する仮処分事件につき大阪地方裁判所がした保全取消決定に対する保全抗告事件について,東京高裁(知財高裁)が管轄権を有するとされた事例
2 特許権侵害禁止仮処分決定の後,同特許を無効とする審決があっても,その取消訴訟において同審決が取消しを免れない場合には,仮処分決定を取り消すべき事情変更があるとはいえないとされた事例

[民事執行法]
11(東京高裁平20.11.7決定)
1銀行の特定の普通預金口座に係る普通預金債権及び既発生利息債権を差し押さえるべき債権であるとしつつ,その時的範囲として,「命令送達の時から3営業日以内に上記口座にかかる普通預金債権となる部分(本命令送達の時に存在する預金及び同日を含む3営業日が経過するまでに受入れた金員によって構成される部分)」とした債権差押命令の申立てが,差押債権の特定を欠くとされた事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京高裁平20.10.23判決)
銃砲刀剣類所持等取締法違反(けん銃及びその適合実包の所持)被告事件の控訴審において,被告人にけん銃等の所持についての概括的かつ未必的故意が認められるとした1審判決を破棄し,被告人には保管していた物の中身がけん銃及びその適合実包である旨の認識があったとは認められないとして,無罪が言い渡された事例

2(東京高裁平19.9.18判決)
1 包括一罪を構成する一連の行為の中間に別罪の確定裁判が介在した場合と刑法45条後段の適用
2 包括一罪を構成する一連の行為が執行猶予付き懲役刑を言い渡した確定裁判の前後にまたがって行われた場合と刑法25条の適用
記事紹介

■座談会
当事者は民事裁判に何を求めるのか?(上)
訴訟行動調査と実務との対話 PARTⅠ
/加藤新太郎(司会)
河合幹雄・守屋 明・垣内秀介・前田智彦・永石一郎・須藤典明

◆賃料増減請求訴訟をめぐる諸問題(上)
/山下 寛・上田卓哉・土井文美・森里紀之

◆破産債権査定異議の訴えに関する覚書(上)
訴訟物,手続法的性質,手続構造と審理上の問題点について/北澤純一

■刑事裁判ノート
裁判員裁判への架け橋として(1)/門野 博


判例紹介

特報
[民 法]
1(大阪地裁平21.2.16判決)
労災保険法上の保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じた場合に,被害者に対して休業給付及び障害給付として支払われた保険金を,加害者が被害者に対して負担する損害賠償債務の遅延損害金の支払債務に充当することの可否

速報
[民 法]
1(最高裁第一小法廷平21.1.22判決)
継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が,利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合における,上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効の起算点

最高裁判例
[行政法一般]
1(最高裁第一小法廷平20.12.11判決)
遺産分割調停調書に,相続人が遺産取得の代償としてその所有する建物を他の相続人に譲渡する旨の条項がある場合において,上記調書を添付してされた上記建物の所有権移転登記申請につき,登記原因証明情報の提供を欠くことを理由に却下した処分が違法とされた事例

[民 法]
2(最高裁第二小法廷平21.1.19判決)
店舗の賃借人が賃貸人の修繕義務の不履行により被った営業利益相当の損害について,賃借人が損害を回避又は減少させる措置を執ることができたと解される時期以降に被った損害のすべてが民法416条1項にいう通常生ずべき損害に当たるということはできないとされた事例

[刑 法]
3(最高裁第二小法廷平20.4.11判決)
1 管理者が管理する,公務員宿舎である集合住宅の1階出入口から各室玄関前までの部分及び門塀等の囲障を設置したその敷地が,刑法130条の邸宅侵入罪の客体に当たるとされた事例
2 各室玄関ドアの新聞受けに政治的意見を記載したビラを投かんする目的で公務員宿舎である集合住宅の敷地等に管理権者の意思に反して立ち入った行為をもって刑法130条前段の罪に問うことが,憲法21条1項に違反しないとされた事例

[特別刑法]
4(最高裁第二小法廷平20.3.4決定)
児童ポルノをインターネット・オークションの落札者にあてて外国から郵送した行為が,「不特定の者に提供する目的で」外国から輸出したものといえるとされた事例

行政裁判例
[国家補償法]
1(名古屋地裁平20.3.14判決)
1 洗堰により結ばれた二つの河川が本川と派川の関係にあるとされた事例
2 本川及び派川の関係にある二つの河川に適用される河川管理の瑕疵に関する判断基準
3 洗堰を閉鎮せず派川への洪水の流入を残したまま改修を行ってきた本川及び派川の河川管理に,河川管理における財政的,技術的及び社会的制約の下で,同種・同規模の河川の管理の一般水準及び社会通念に照らして瑕疵はないとされた事例
2(大阪地裁平19.12.18判決)
あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約2条1項柱書き及び同項(d)の規定は,締約国に対し,私人間の人種差別を禁止させるための立法措置を執ることについて,個別の国民に対する具体的作為義務を定めたものではない

[租税法]
3(大阪地裁平20.7.11判決)
1 課税庁が移転価格税制を適用するに際し国外所得移転の蓋然性を認定する等の事前手続履践は必要か(消極)
2 電子接続部品の製造卸業を営む納税者について,台湾における非関連者取引に,租税特別措置法66条の4第2項1号ハに規定する原価基準法の下でシンガポール及び香港における国外関連取引に対する比較対象取引としての適格性が認められるとされた事例
3 国外関連取引と比較対象取引との間において,通常の利益率の算定に重大な影響を及ぼすような差異につき課税庁が行った調整は,取引規模の差異の点を除けば相当であるとされた事例
4 取引規模の拡大に伴って値引き圧力が加わる関係は取引社会における経験則に照らして一般的に首肯し得るものであるところ,納税者の国外関連者に対する売上金額の全体に占める割合が約50パーセントに達するなどの事情の下においては,取引規模に着目して比較対象取引との差異を調整すべきであるとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(横浜地裁平20.6.27判決)
併合審理された占有回収の訴えと本権の訴えにおいて,侵奪者の悪意の承継人であると認めて占有権に基づく占有回復請求権としての明渡請求を認容し(占有回収の訴え),留置権の抗弁を認めて所有権に基づく明渡請求(本権の訴え)を棄却した事例
2(東京地裁平20.7.30判決)
銀行が商品取引員に対する貸付金債権を自働債権とし当該商品取引員が商品取引責任準備金積み立てのために当該銀行に開設した預金口座に係る預金債権を受働債権としてする相殺の可否
3(東京地裁平18.7.28判決)
飲酒運転中の交通事故につき,運転者と共に飲酒し同乗しなかった者についても民法719条2項に基づく責任を肯定すると共に,運転者の妻については同責任を否定した事例
4(福島地裁平20.5.20判決)
帝王切開歴のある妊婦に対し,経膣分娩の方法を選択したところ,子宮破裂を起こして新生児に重度の脳性麻痺が生じた場合について,妊婦の状態に応じて慎重な分娩監視や帝王切開の準備をすべきであったとして,医師らの過失が認められた事例
5(東京地裁平20.10.9判決)
1 遺言書の内容全体をみた場合に民法969条の2第1項に定める方式に従って公正証書が作成されたことが明瞭に読み取れれば同条3項所定の要件を満たすとした事例
2 パーキンソン氏病に罹患し,その治療のため言葉を発することができなくなっていた遺言者の介助を約9年間行っていた者が民法969条の2第1項の「通訳人」に該当するとした事例
3 通訳人が公証人の問いかけに対する遺言者の反応(腕,足を動かしたり,喉を震わせて音を出したり,まぶたを開閉したりする動作等)から遺言者の意思として表示した内容は経験則に裏打ちされた妥当なものであり民法969条の2第1項「通訳人の通訳により申述」したといえるとした事例

[知的財産]
6(東京地裁平20.5.28判決)ロクラクⅡ事件第1審判決
ハードディスクレコーダー2台のうち1台(親機)を日本国内に設置して,受信するテレビ放送の放送波を親機に入力するとともに,これに対応するもう1台(子機)を利用者に貸与又は譲渡することにより,当該利用者をして,子機を操作して親機が日本国内で放送されるテレビ番組を複製することができるようにするサービスに関し,これを事業として行うことが,複製の対象となったテレビ番組について放送事業者の有する著作権又は著作隣接権を侵害するとされた事例
7(東京地裁平20.9.30判決)
周知又は著名な営業表示「東急」に基づく被告の営業表示「TOKYU」及び「tokyu」の差止等請求が,両表示が類似しないとして,棄却された事例
8(名古屋地裁平20.3.13判決)
産業用ロボットシステムの製造販売等を目的とする会社Xの管理する設計図面,設計CADデータ等が営業秘密に当たるとされた上,Xと同種の産業用ロボットを取り扱う会社Y1,Y2においてXを退社したY3,Y4の設計等に係る産業用ロボットを製造,販売した行為が不正競争防止法2条1項7号,8号の不正競争行為に当たるとされた事例

[諸 法]
9(大阪地裁平20.6.26判決)
インターネットのチャットルームにおける書込みがプライバシー侵害・名誉毀損に当たるなどとして発信者情報開示請求が認められたが,プロバイダーによる情報開示請求の拒否について重過失が認められないとして損害賠償請求が棄却された事例

[倒産処理法]
10(東京地裁平20.6.30判決)
第三者名義の定期預金債権に対してされた質権設定行為につき,破産管財人の否認権行使が認められた事例

刑事裁判例
[刑事訴訟法]
1(東京高裁平20.9.11判決)
業務上過失致死傷等被告事件の控訴審において,交通事故を起こした自動車の運転者が被告人であることに合理的な疑いがあるとして無罪を言い渡した1審判決を破棄し,同乗者の供述の信用性を認めて被告人を当該自動車の運転者であると認定した事例

記事紹介

◆裁判員制度の下における控訴審の在り方について
/東京高等裁判所刑事部 陪席裁判官研究会〔つばさ会〕

◆講演 調停の現状と展望/星野雅紀

◆岐阜地方裁判所多治見支部における倒産事件処理の現状について
/榊原信次

■独占禁止法の新たな展開1
大陸法系の手続法へ/村上政博


判例紹介

最高裁判例
[民 法]
1(最高裁第二小法廷平20.11.7判決)
痴漢の虚偽申告を理由とするXのYに対する損害賠償請求訴訟において,目撃者が見付からない場合に,これに準ずる立場にある者の証人尋問を実施せず,Yの供述の信用性を肯定して,Xが痴漢行為をしたと認めた原審の判断に違法があるとされた事例
2(最高裁第三小法廷平20.10.7判決)
交通事故の加害者Yが被害者Xに賠償すべき人的損害の額の算定に当たり,Xの父が締結していた自動車保険契約の人身傷害補償条項に基づきXが支払を受けた保険金の額を控除した原審の判断に違法があるとされた事例

[商 法]
3(最高裁第一小法廷平21.1.15決定)
子会社の会計帳簿等の閲覧謄写許可申請をした親会社の株主につき,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)293条の8第2項が不許可事由として規定する同法293条の7第2号に掲げる事由があるというためには,当該株主に閲覧謄写によって知り得る情報を自己の競業に利用するなどの主観的意図があることを要するか

行政裁判例
[国家補償法]
1(東京地裁平19.10.22判決)
住民基本台帳ネットワークシステムの導入によるプライバシー権等の侵害や市長の法令改正廃止要求義務違反等を理由とする慰謝料請求が棄却された事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(大阪地裁平20.7.31判決)
保証人が名義貸しによって借主欄に署名押印した金銭消費貸借契約書は民法446条2項所定の書面に当たる
2(東京地裁平19.8.24判決)
1 弁護士に対する訴訟委任をなした場合には,民法648条1項の規定にかかわらず,特約がなくとも黙示の合意による報酬支払義務を認めるべきである
2 その場合の報酬額は,事件の難易,訴額及び労力の程度,依頼者との平生からの関係,その他諸般の状況をも審査し,当事者の意思を推定した上で相当報酬額を算定すべきである
3(東京地裁平20.12.10判決)USEN対キャンシステム事件
業界1位の会社が,2位の会社の従業員を大量かつ一斉に引き抜いた上,2位の会社の顧客に対し差別対価(昭和57年公正取引委員会告示第15号「不公正な取引方法」3項)を提示して大量にその顧客を奪取した行為が,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2条5項及び3条に違反するとともに,不法行為に当たるとして,20億円の損害賠償請求が認容された事例
4(東京地裁平20.10.1判決)
1 インターネット上の掲示板に第三者による投稿が自動的に公開される管理体制が採られていた場合において,掲示板を開設し管理する者は,一見して第三者に対する誹謗中傷を含むなど第三者の名誉を毀損することが明らかな内容の投稿については,上記内容の投稿を具体的に知ったときには,第三者による削除要求なくして削除義務を負うが,これに至らない内容の投稿については,第三者から削除を求める投稿を特定した削除要求があって初めて削除義務を負うとされた事例
2 インターネット上の掲示板が管理者による投稿内容の確認を経て公開される体制の下において,掲示板に第三者の名誉を毀損する投稿がされた場合は,掲示板の管理者は,当該投稿を公開しない条理上の義務を負い,これに反して当該投稿を公開した場合には,速やかにこれを削除すべき条理上の義務を負うとされた事例
3 インターネット上の掲示板における対抗言論の抗弁が否定された事例
4 使用者に関する表現行為が名誉毀損に当たる場合において,正当な組合活動としての違法性阻却事由が認められないとされた事例
5(岡山地裁平20.2.26判決)
手掌多汗症治療のため行われた内視鏡下両側胸部交感神経焼灼手術後に,従来報告のなかった脳梗塞が生じた場合において,病院側に義務違反がないとして,患者の求めた債務不履行に基づく損害賠償請求が棄却された事例

[商 法]
6(東京地裁平19.7.25判決)
分離保管義務違反等により行政処分を受け破綻した商品先物取引会社の行った商品先物取引について違法が認められ,当該会社が損害賠償義務を負う場合の,改正前商法266条ノ3に基づく代表取締役ないし取締役の責任につきその一部の者に対しこれを認め,法人格否認の法理等に基づく持株会社の責任を否定した事例
7(東京地裁平20.10.15判決)
被保険者が運転する自動車の事故が,自殺目的で事故を惹起し死亡したものとして,傷害保険契約に基づく保険金請求が棄却された事例

[知的財産]
8(大阪地裁平20.3.11判決)ダックス商標権侵害事件
1 商標権侵害による信用毀損の無形損害の額を200万円と算定した事例
2 商標権侵害行為について謝罪広告を命じた事例
9(東京地裁平19.12.20判決)
被告が原告の取引先に被告の特許権を侵害している旨告知した行為が,不正競争防止法2条1項14号の「虚偽の事実」に該当しないとして,差止請求を棄却した事例

[諸 法]
10(東京地裁平19.11.14判決)
マンションの区分所有者が管理費及び修繕積立金を滞納し続けた行為が建物の区分所有等に関する法律6条1項の共同利益背反行為に当たるとして当該区分所有者の専有部分について同法59条1項に基づく競売請求が認められた事例

[民事執行法]
11(東京高裁平20.10.1決定)
債権差押命令の申立て前に,債務者が執行停止文書を執行裁判所に提出し,執行裁判所が事実上これを受理したとしても,債権差押命令の申立てには何ら影響を及ぼさないとした事例
12(東京高裁平20.7.30決定)
新築分譲用マンションの全室を転貸目的で所有者から一括して賃借し,それらを第三者に使用させようとした者に対し,民事執行法55条1項2号の保全処分を認めた原決定が維持された事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京地裁平19.9.28判決)酒販組合年金基金横領等事件
酒販組合中央会の事務局長が,同団体の年金資金の約7割に当たる144億円余りを商品内容や適切な投資規模等を検討しないまま危険性の高い1つの金融商品に年金資金の運用として投資した行為につき,上記投資により年金資金の運用として通常許容される限度を超えたリスクを同会に負わせたことが刑法247条にいう「財産上の損害」に当たるとされた事例
記事紹介

◆「模擬裁判の成果と課題」について
裁判員制度にふさわしいプラクティスの確立に向けた取組みの現時点での到達点
/河本雅也・大西直樹・小野寺明

■名古屋民事実務研究会2
「相当程度の可能性」に関する一考察――分析と展望
最二小判平12.9.22民集54巻7号2574頁
最三小判平15.11.11民集57巻10号1466頁
/永野圧彦・伊藤孝至

■山形地裁民事実務研究10
賃貸人の承諾を得ていない明渡猶予制度が適用される抵当建物の賃借人からの転使用借人に対する買受人からの引渡命令の可否
抗告審〔否定〕:東京高決平20.4.25判タ1279号333頁,金判1299号52頁
原 審〔肯定〕:東京地決平20.2.28金判1299号55頁
/南雲大輔

■世界の司法131――その実像を見つめて
ベルギーの陪審制/都野道紀


判例紹介

最高裁判例
[行政法一般]
1(最高裁第三小法廷平20.11.25判決)
建築基準法第3章の規定が適用されるに至った際,幅員4m未満の道のうち一方の端から特定の地点までの部分には現に建築物が立ち並んでいたが,同地点から他方の端までの部分には建築物が存在しなかった場合において,後者の部分が同法42条2項にいう現に建築物が立ち並んでいる道に当たらないとされた事例

行政裁判例
[国家補償法]
1(東京地裁平19.12.13判決)
国土交通省自動車交通局長がタクシー運賃のいわゆる大口割引を認めることを明示する内容の通達を発出したことによってタクシー運転者及びタクシー利用者に損害が発生したとは認められないとした事例

2(福岡地裁平19.8.1判決)西日本じん肺訴訟(第1次)第1審判決
じん肺被害を理由とする債務不履行(安全配慮義務違反)に基づく損害賠償債権の消滅時効の起算点及び国家賠償法1条1項に基づく損害賠償債権の除斥期間の起算点は,いずれも,最終の行政上の決定(じん肺管理区分の決定,法定合併症の認定)を受けた時又はじん肺による死亡の時と解するのが相当であるとした事例 … 98

[地方自治法]
3(大阪地裁平20.1.30判決)
市の臨時的任用職員に対する年2回の一時金の支給が条例の根拠を欠き違法であり,改正条例附則の規定によってさかのぼって適法なものとなったということもできないなどとして,市長に対し当該支給を決裁した市長に対する損害賠償の請求をすることを命じた事例

[情報公開]
4(東京高裁平20.3.12判決)滞納地方税の徴税経緯を記録した個票が,つくば市情報公開条例で定める非公開情報に該当し,実施機関には部分公開も義務づけられないとして,この個票についてされた非公開決定の取消請求が認められなかった事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平20.12.17判決)アプラス買収訴訟
1 株式譲渡代金の調整に係る,その算出に必要な貸借対照表の確定手続に関する合意が,調整後の差額支払請求権の存否の判断の前提となる事実を第三者である会計事務所にゆだねる趣旨の仲裁鑑定契約ではないとされた事例
2 上記1の確定手続を経ていないことから,契約に基づく株式譲渡代金の調整差額の支払請求ができないとされた事例
3 上記1の確定手続を遵守しない買主らに債務不履行責任として47億円余の損害賠償を認めた事例
2(大阪地裁平20.5.14判決)
弁護士が,依頼者(法人)の代表者等が私的に流用することを知りながら預託金を依頼者に返還した行為について,債務不履行を構成するとされた事例
3(大阪地裁平20.6.25判決)
超高層マンションの高層階の専有部分を購入した原告らが,分譲業者である被告らに対し,被告らが同マンション分譲後に約82.5m離れた場所に別の超高層建築物を建設した結果,専有部分からの眺望が悪くなったと主張して,眺望に関する説明義務違反等に基づく損害賠償を求めた事案について,原告らは被告らから重要事項説明を受けるなどして同所に超高層建築物が建設される可能性があることを知っていたなどの事実関係の下では,被告らに上記説明義務違反等はないとされた事例
4(大阪地裁平20.4.21判決)
市の職員がリース会社に対し,架空のリース契約を持ち掛ける等して,リース物件の売買代金相当額を騙し取ったことについて,市のリース会社に対する使用者責任が認められ,かつ,4割の過失相殺がされた事例

[知的財産]
5(大阪地裁平20.6.10判決)
1 インクカートリッジのリサイクル事業を行っている原告会社が,「人と地球に貢献します」という文言を含む結合標章を付したリサイクルボックスを使用して,使用済みプリンター用インクカートリッジの再生を行い,同標章を用いて上記再生を一般消費者に呼びかける目的の一面広告を全国紙に掲載したことが,被告会社の有する商標権を侵害するものとはいえないとされた事例
2 被告会社が原告会社に対し,原告会社の上記行為に対し商標権侵害の警告行為をしたことが,原告会社に対する不法行為を構成するものではないとされた事例
6(①大阪地裁平20.4.18決定)(②大阪地裁平20.12.25決定)青色LED事件
1 LEDチップの詳細な構造を記載した準備書面及び書証につき,秘密保持命令が発令された事例(①事件)
2 LEDチップの詳細な構造を記載した準備書面及び書証につき発令された秘密保持命令の一部が取り消された事例(②事件)

[諸 法]
7(大阪高裁平20.4.30判決)
1 商業ビルの1フロアの建物賃貸借契約における賃料増額確認請求について,賃貸借契約を締結した時点から,借地借家法32条1項が規定する経済事情は,いずれも賃料を増額する方向に変動していなかったが,賃貸借契約当時に,賃貸人が賃借人の事情を配慮してほかのテナントの賃料よりも低額の賃料とし,賃貸人が3年後に賃料の増額を要請していたことを考慮して,賃貸人の同項に基づく賃料増額請求権を認めた事例
2 相当賃料額について,当事者双方から提出された私的鑑定,裁判所による鑑定の各内容の信用性を検討し,裁判所による鑑定の一部を修正して相当賃料額を認定した事例

[民事訴訟法]
8(東京地裁平20.6.11判決)
1 外国会社の取締役の責任を追及する損害賠償請求に係る訴えにつき,被告が我が国においてした行為により,原告の法益について損害が生じたとの客観的事実関係が証明されていないとして,民訴法5条9号に依拠して,我が国の裁判所の国際裁判管轄を肯定することはできないとされた事例
2 主観的併合の場合において,併合請求の裁判籍に依拠して我が国の裁判所の国際裁判管轄が肯定されるのは,相被告に対する請求と密接に関連し,矛盾する判決が下される重大なおそれを回避するため,併せて裁判すべき場合に限られるとされた事例
3 我が国に普通裁判籍を有しない外国会社の取締役に対する商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)266条ノ3第1項に基づく損害賠償請求訴訟について,義務履行地の裁判籍の規定のみに依拠して我が国の裁判所の国際裁判管轄を肯定することは,当事者間の公平,裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情があるとされた事例
9(東京地裁平20.3.19判決)
日本人が,香港法人に対し,契約上の預託証拠金返還義務を負う外国会社と実質的に同一人格であるとして提起した訴訟について,我が国の国際裁判管轄が否定された事例

[民事執行法]
10(東京高裁平20.5.26決定)
債務者は第三債務者に対して請負契約の履行として本件各商品(家具類)を納入しており,また,請負代金債権の全部又は一部を本件各商品の転売による売買代金債権と同視するに足りる特段の事情も認められないとして,債権者の動産売買の先取特権(物上代位)に基づく債権差押命令の申立てを却下した原決定が維持された事例
11(東京高裁平17.11.30決定)
財産開示手続実施決定について,民事執行法197条1項2号の要件を備えていると認めた事例

刑事裁判例
[特別刑法]
1(東京地裁平19.3.16判決)ライブドア事件
1 東証マザーズ市場に株式を上場していた会社の代表取締役社長が,子会社株式の売買のため及び同株式の相場の変動を図る目的をもって,偽計を用いるとともに風説を流布し,また,内容虚偽の連結損益計算書を掲載した有価証券報告書を提出したという証券取引法違反の事案において,懲役2年6月の実刑判決が言い渡された事例
2 複数の投資事業組合を経由してなされた親会社株式の売却につき,同組合は子会社が会計処理の潜脱等の目的で組成した組合であり,会計処理上,子会社が親会社株式を売却したものとみるべきであるとした事例
記事紹介

■特集:新民事訴訟法の10年〔現代民事法研究会〕
新民事訴訟法の10年
―その原点を振り返って/高橋宏志(司会)・井垣敏生・西口 元・小山 稔・小松初男

民事訴訟改革の軌跡
―民事訴訟の法制史と実務の素描/園尾隆司

陳述書の軌跡とそのあるべき姿/川添利賢

民事訴訟法におけるローカル・ルールの試み/島川 勝

専門家の巻き込み
―弁論の活性化の観点から/安西明子

新民事訴訟法と法曹養成制度/北尾哲郎

■量刑に関する諸問題〔大阪刑事実務研究会〕
被告人の真実解明への積極的協力と量刑/長瀬敬昭

(コメント)長瀬敬昭「被告人の真実解明への積極的協力と量刑」について/堀江慎司

■世界の司法130―その実像を見つめて
米国ノースカロライナ州における複雑な商事関係事件の審理について/家原尚秀


判例紹介

最高裁判例
[地方自治法]
1(最高裁第一小法廷平20.11.27判決)
県が職員の退職手当に係る源泉所得税を法定納期限後に納付したため不納付加算税等の納付を余儀なくされた場合において,源泉所得税の納付に必要な出納長に対する払出通知が遅滞したことにつき,同払出通知に関する専決権限を有する職員に重大な過失はなく,同職員は県に対し地方自治法(平成18年法律第53号による改正前のもの)243条の2第1項後段の規定による損害賠償責任を負わないとされた事例

行政裁判例
[行政法一般]
1(東京地裁平20.5.29判決)
東京都震災対策条例により避難場所に指定された土地を避難場所として利用することが予定されている地域に居住する住民が同土地を施行地区とする土地区画整理事業の施行認可の取消訴訟の原告適格を有するとされた事例

[地方自治法]
2(名古屋地裁平19.9.27判決)
住民訴訟に勝訴した住民が平成14年法律第4号による改正前の地方自治法242条の2第7項の規定に基づき弁護士報酬相当額を請求した事案において,住民訴訟における請求・認容額を基礎として同項所定の相当額を算定した事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平19.5.14判決)
内部調査の担当者の自殺につき,使用者による虚偽事実の発表の強制は認められないなどとして使用者の安全配慮義務違反を否定した事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京高裁平20.2.28判決)
農地につき条件付所有権移転仮登記に後れる抵当権設定登記を受けた者が農地法5条の許可申請協力請求権を援用できる当事者に当たらないとされた事例
2(大阪地裁平20.4.21判決)
元依頼者が,中途で終了した弁護士との委任契約につき,委任事務処理の程度に応じた着手金の精算義務があるなどと主張し,その一部の返還を求めたところ,弁護士らの事務処理の内容は着手金全額に相当するものと評価できるとして,着手金の返還義務が否定された事例
3(東京高裁平20.10.9判決)
業務上過失致死罪で起訴された後に無罪判決を受けた医師が民放テレビ局に対して求めた同局のニュース放映による名誉毀損を理由とする損害賠償請求を一部認容し,肖像権侵害を理由とする損害賠償請求を棄却した第1審判決の判断が相当とされた事例
4(東京地裁平20.4.22判決)
情報提供者の発言を引用する形で構成された雑誌記事による名誉毀損が成立する場合において,当該情報提供者に名誉毀損の不法行為責任を認めた事例
5(東京地裁平19.9.20判決)
階層的に組織されている暴力団の下部組織の構成員がした殺傷行為について最上位組織の長の使用者責任を認めた事例
6(東京地裁平20.5.9判決)
1 硬膜外麻酔を受けた患者に,下肢の疼痛,痺れ等の症状が生じたことについて,同麻酔を施行した医師に,同麻酔の危険性等についての説明義務違反が認められたが,患者に生じた症状との因果関係は否定され,自己決定権侵害の限度で被告の責任が認められた事例
2 複数の医師によるRSDとの診断にもかかわらず,患者の症状につき,後遺障害としてのRSDが生じているとは認められないとされた事例
7(東京地裁八王子支部平20.5.29判決)
授業の休み時間中に発生した特別支援学級に在籍する当時8歳の自閉症児の転落負傷事故につき,担任教諭の指導に過失を認め,市に損害賠償を命じた事例

[商 法]
8(東京地裁平20.4.11判決)
火災保険金請求事件において請求者側の放火等による免責事由の主張が排斥された事例

[知的財産]
9(知的財産高裁平20.11.27判決)
特許無効審判の手続において,無効審判請求の対象とされている請求項及び無効審判請求の対象とされていない請求項の双方について訂正請求がされた場合において,無効審判請求の対象とされていない請求項についての訂正請求が許されないことのみを理由として,無効審判請求の対象とされている請求項についての訂正請求を認めないとすることは許されないとした事例
10(東京地裁平19.12.25判決)
1 明細書の記載を考慮して,構成要件に規定する「筒状体の内側の筒状可とう体」という用語の意義について,筒状可とう体のすべての部分が筒状体の内側のみに位置するものに限定されるものではないと解釈して,被告製品が特許発明の技術的範囲に属するとした事例
2 特許権侵害訴訟において,計算鑑定の結果を踏まえて,特許法102条2項の規定により損害と推定すべき利益の額を認定した事例

刑事裁判例
[特別刑法]
1(東京地裁平20.9.17判決)ジャパンメディアネットワーク事件
風説の流布の事案において,「犯罪行為により得た財産」として旧証券取引法198条の2による必要的没収・追徴の対象となる株式の売却代金の範囲について,「風説の流布と因果関係が認められる株式の売却代金全額」であるとした上で,同条1項ただし書を適用して,その株式の買付代金相当額を控除した売買差益相当額に限って没収,追徴するのが相当であるとした事例

[刑事訴訟法]
2(東京高裁平20.9.17判決)
刑訴法382条の2にいう「やむを得ない事由」に当たらないとされた事例

記事紹介

◆過払金返還請求権の消滅時効の起算点/滝澤孝臣

◆2人の鑑定人が責任能力なしと鑑定している場合に,
裁判所が完全責任能力ありと判決することは許されるか/木川統一郎

◆祖父母その他の第三者の監護権について/野田愛子

◆過剰投資と金融機関役員の経営責任
岡山地判平19.3.27判タ1280号249頁を題材として/木村哲彦

■量刑に関する諸問題〔大阪刑事実務研究会〕
付加刑と量刑(2)/秋山 敬

(コメント) 秋山敬「付加刑と量刑」について/永田憲史

■世界の司法129――その実像を見つめて
米国ニュージャージー州における少年に対する
集中的監督プログラム/大竹敬人


判例紹介

最高裁判例
[行政法一般]
1(最高裁第二小法廷平20.10.10判決)
統合失調症を発症し医師の診療を必要とする状態に至った時点において20歳未満であったことが事後的診断等により医学的に確認できた者と国民年金法30条の4所定のいわゆる初診日要件
2(最高裁第二小法廷平20.10.3判決)
都市公園内に不法に設置されたテントを起居の場所としている者につき,同テントの所在地に住所を有するものとはいえないとされた事例

[民 法]
3(最高裁第二小法廷平20.10.10判決)
振込依頼人と受取人との間に振込みの原因となる法律関係が存在しない場合における受取人による当該振込みに係る預金の払戻請求と権利の濫用
4(最高裁第二小法廷平20.7.4判決)
コンビニエンス・ストアのフランチャイズ・チェーンの運営者が,加盟店に代わって支払った商品仕入代金の具体的な支払内容について,加盟店に報告すべき義務を負うとされた事例

[民事訴訟法]
5(最高裁第三小法廷平20.11.25決定)
1 金融機関を当事者とする民事訴訟の手続の中で,当該金融機関が顧客から守秘義務を負うことを前提に提供された非公開の当該顧客の財務情報が記載された文書につき,文書提出命令が申し立てられた場合において,上記文書が民訴法220条4号ハ所定の文書に該当しないとされた事例
2 金融機関を当事者とする民事訴訟の手続の中で,当該金融機関が行った顧客の財務状況等についての分析,評価等に関する情報が記載された文書につき,文書提出命令が申し立てられた場合において,上記文書が民訴法220条4号ハ所定の文書に該当しないとされた事例
3 事実審である抗告審が民訴法223条6項に基づき文書提出命令の申立てに係る文書をその所持者に提示させ,これを閲読した上でした文書の記載内容の認定を法律審である許可抗告審において争うことの許否

[特別刑法]
6(最高裁第三小法廷平20.11.4決定)
1 犯罪行為の実行に着手する前に取得した前払い代金等の財産の取得につき事実を仮装した場合と,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の成否
2 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の罪となるべき事実の摘示として欠けるところはないとされた事例
3 注文に応じて有償で児童ポルノを送付して提供するに際し,提供者が注文者から取得した金員の一部を送料として支出した場合と,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律による追徴金額の算定方法

行政裁判例
[地方自治法]
1(東京高裁平19.11.28判決)
公正取引委員会の審判審決でA市が発注したごみ処理施設(ストーカ炉)建設工事の入札について5社が談合していたと推認されているところ,同市の住民が,同市が発注したごみ処理施設(ストーカ炉)建設工事の入札について,入札参加業者間に談合があったとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前のもの)242条の2第1項4号に基づき,同市に代位して,入札参加業者7社に対し損害賠償を求めて提起した住民訴訟が,談合5社以外の2社も入札に参加しているなどとして,請求が認められなかった事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京高裁平19.6.28判決)昭和シェル女性賃金差別訴訟控訴審判決
賃金について女性であることを理由に差別的取扱いを受けたことを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求が認容された事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京高裁平19.12.17判決)
契約締結上の過失を理由として慰謝料の支払が命じられた事例

2建(東京高裁平18.12.26判決)
築請負工事の請負人が特定建設業の許可を受けていなかったことや契約締結交渉中の一時期に一般建設業の許可がなかったこと等に基づく注文者からの信義則違反を理由とする無催告解除を否定し,民法641条に基づく注文者の損害賠償責任を認めたが,請負人に生じた損害の2割を過失相殺により減額するのが相当であるとした事例
3(東京地裁平19.10.23判決)
景観利益の侵害等を理由とするマンションの一部撤去請求が棄却された事例
4(水戸地裁平20.2.27判決)
1 原子力損害の賠償に関する法律2条2項,3条1項にいう原子力損害について,同法3条1項本文の規定による損害賠償のほかに,民法上の不法行為の規定による損害賠償を求めることができるか(消極)
2 核燃料物質の加工事業に際して発生した臨界事故と,事故当時,同事業を行う事業所付近の工場で稼働していた者らが訴えた健康被害との間に相当因果関係が認められないとされた事例
5(福岡高裁平18.9.14判決)
患者がMRSA敗血症を発症して死亡したことにつき,担当医師らにMRSA感染防止対策を怠った過失が認められ,その過失と患者の死亡との因果関係も肯定された事例

[知的財産]
6(知的財産高裁平20.9.30判決)「土地宝典」著作権侵害訴訟控訴審判決
1 土地宝典について著作物性を認めた事例
2 国が,本訴請求に係る各土地宝典を各法務局に備え置いて利用者に貸し出すとともに,各法務局内にコインコピー機を設置し,当該コインコピー機を用いた利用者による無断複製行為を放置していたことは,不特定多数の第三者(各法務局内に設置されたコインコピー機を用いて,本件土地宝典を無断複製した者)による本件土地宝典の複製権侵害行為を幇助したものであって,国は,共同不法行為者とみなされるから,不法行為による使用料相当額の損害を賠償すべき責任を負うとされた事例
3 国は,本件土地宝典の複製権侵害行為を幇助したことにより,民法703条所定の利益を受けたとは認められないとして,不法行為の消滅時効が完成した期間に係る不当利得返還請求が認められなかった事例
4 著作権法114条の5による相当な損害額が認定された事例

[諸 法]
7(東京地裁平20.7.29判決)
社会保険労務士とリース会社との電話機のリース契約について,特定商取引に関する法律に基づくクーリング・オフの権利の行使による契約解除が認められた事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(横浜地裁平19.12.13判決)
走行中のトラックのハブが破断したためタイヤが脱落して歩行者等に衝突した事故に関し,自動車製造会社で品質保証業務を担当する従業員らに,リコール等の改善措置を実施するための措置を講じなかった過失があるとされて,業務上過失致死傷罪の成立が認められた事例

[刑事訴訟法]
2(名古屋地裁平19.11.13判決)
1 被告人は少年であり,公訴棄却されるべきとの主張が排斥された事例
2 被告人を犯人とする共犯者供述の信用性が肯定された事例
3 写真に写っている人物が被告人と同一人物であるとの顔貌鑑定の証明力が十分ではないとされた事例
記事紹介

■民法判例レビュー〔第2期〕第101回[民法判例研究会]
民法判例レビュー再開の辞/加藤雅信
■今期の主な裁判例
契 約/片山直也 担 保/荒木新五
不 動 産/秋山靖浩 民事責任①/宮下修一
民事責任②/大塚 直
■今期の裁判例
家 族/本山 敦
■判例評釈
契 約 過払金の他債務への充当/原田昌和
担 保 抵当建物の屋上に執行妨害目的で築造されたプレハブ式建物についての処分禁止仮処分命令/荒木新五
不動産 「またがり建物」を対象とした借地借家法20条2項・19条3項に基づく借地権設定者の優先譲受申立て/秋山靖浩
民事責任 殺人後,26年間遺体を自宅の床下に隠匿し続けた者に対する,不法行為による損害賠償請求権の除斥期間の経過を認めなかった事例/加藤雅信
家 族① 遺言事項とは何か?/本山 敦
家 族② 後見人が自己の直系卑属である未成年者被後見人を養子とするため民法794条の許可申立てをした場合における裁判所の審査すべき範囲/山口亮子

■民法判例レビュー〔第2期〕第102回
■今期の主な裁判例
契 約/池田真朗 担 保/角紀代恵
不 動 産/池田恒男 民事責任/浦川道太郎
■今期の裁判例
家 族/山口亮子
■判例評釈
契約・不動産 共有の性質を有する入会権の処分につき入会集団の構成員全員の同意を要件としない慣習の効力/石田 剛
担 保 手続開始時現存額主義の適用範囲/角紀代恵
民事責任 先行状況に基づく作為義務違反による不法行為の成否の限界/加藤新太郎
家 族① 子の監護者の指定審判に対する抗告事件/二宮周平
家 族② 死因贈与について民法994条1項は準用されないとされた事例/水野貴浩


判例紹介

行政裁判例
[行政法一般]
1(東京地裁平20.5.22判決)
医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法に基づき,医薬品である高脂血症治療薬の副作用により筋萎縮等を発症したことを理由とする医療費及び医療手当の給付請求について,医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構理事長が医薬品の副作用によるものとは認められないとして不支給とした決定が,取り消された事例

[国家補償法]
2(東京地裁平19.12.4判決)
性犯罪の初動捜査に従事する警察官らは,被害者の尊厳を確保した捜査を行う義務を負っているところ,当該義務の不履行により精神的苦痛を受けたとして,損害賠償を求めたのに対し,警察官には,性犯罪被害申告者が警職法3条1項2号の要保護者に該当するか否かを判断するため,慎重かつ的確な対応が求められるものの,具体的事実関係の下では要保護者であったとは認められないなどとして,国家賠償請求が棄却された事例

[租税法]
3(長野地裁平20.2.22判決)
地方税法367条に基づく固定資産税の免除措置について,同条を受けて規定された条例に定める「公益のために直接専用する固定資産」に該当しないとして,これを取り消した事例

[地方自治法]
4(仙台高裁平19.4.20判決)
1 地方公共団体の運営する公立病院が国立大学医学部の医局に対してした寄附が,地方財政再建促進特別措置法24条2項ないし地方財政法4条の5の規定に抵触するものであった疑いが払拭できないとされた事例
2 地方財政再建促進特別措置法24条2項に違反する行為の私法上の効力(積極)

[情報公開]
5(名古屋地裁平20.1.31判決)
愛知県個人情報保護条例(平成16年愛知県条例第66号,平成19年愛知県条例第47号による改正前のもの)に基づく死体見分調書等の開示請求について,愛知県警察本部長が同条例17条6号の不開示事由があるとして不開示とした処分が取り消され,開示決定の義務付けが認められた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平20.9.22判決)
1 配転命令が不当労働行為に該当して無効であり,不法行為にも該当するとして,労働者及び組合の損害賠償請求を認めた事例
2 使用者の取引先による組合からの脱退勧奨と評価される事実が認められないとして,労働者及び組合につき,団結権侵害による損害賠償を認めなかった事例

[民 法]
1(東京地裁平20.4.23判決)
1 信頼関係の破壊を理由とする賃貸借契約の解除が認められなかった事例
2 立退料の支払を正当事由の補完事由として,老朽化した建物の解約申入れに基づく明渡請求が認容された事例
2(福岡高裁平20.2.15判決)
乗用車内で高校2年生の女子が運転者からわいせつ行為を受けたとする供述を全面的に採用し,慰謝料額を250万円と算定した事例
3(福岡高裁平19.12.20判決)
建物収去土地明渡請求に付随する賃料相当損害金請求につき,その支払義務は認めたが,賃料相当損害金を認定する証拠がないとして請求を棄却した第1審判決を取り消し,固定資産評価額に年間利回りとして5分を乗じて賃料相当損害金の額を計算するのが相当であるとして,その限度で請求を一部認容した事例
4(福岡高裁平20.2.15判決)
腰椎手術と同日に行われた頸椎手術により患者の障害が悪化したことについて医師の過失が概括的に認定された事例

[商 法]
5(東京高裁平20.4.4決定)
デジタルコンテンツ配信事業を営む株式会社が発行する譲渡制限株式の価格を収益還元方式により定めた事例
6(大阪地裁平20.1.21判決)
時計の卸売り等を業とする会社が破産申立て前に行った信用取引について,当時同社は経済的破綻状態にあったとはいえないとして,取引担当者,取締役らの不法行為若しくは旧商法266条ノ3に基づく責任が否定された事例
7(東京地裁平20.1.11判決)
医療施設に勤務する医師が,患者の気管内チューブを抜き,筋弛緩薬を投与して死亡させたことから,医療施設が,県医師会の医事紛争特別委員会における討議を経ないで,患者の遺族に賠償金5000万円を支払い,医師賠償責任保険を締結していた保険会社に対し,賠償金に加えて,交渉にあたった弁護士費用250万円の保険金の支払請求をした事案において,一部認容された事例

[知的財産]
8(東京地裁平20.3.31判決)
職務発明に係る特許を受ける権利の承継の対価の算定に当たり,使用者が特許権の存続期間満了前に特許権を放棄したことも考慮すべきであるとして,特許権放棄の約6か月後までの実施品の売上高に限り,相当対価額算定の基礎とした事例

[倒産処理法]
9(神戸地裁伊丹支部平19.11.28決定)
貸付金債務の処理,自己破産の申立てなどについて,破産者から,報酬の支払を受けていた代理人弁護士に対する破産管財人からの否認権の行使が認められた事例

刑事裁判例
[特別刑法]
1名古屋地下鉄談合事件判決(名古屋地裁平19.10.15判決)
地下鉄建設に関して大手建設会社が独占禁止法3条違反(不当な取引制限)罪に問われ,高額の罰金刑が言い渡された事例
記事紹介

■大阪民事実務研究
公務員に対する懲戒免職処分について
懲戒権者の有する裁量権の範囲をめぐる判例の動向/上田賀代

■現代民事法研究会
民事訴訟のマインド
弁護士と裁判官の立場から/島川 勝

◆弁護士が遺言執行者に就任した場合と利益相反の問題/柏木俊彦

■量刑に関する諸問題〔大阪刑事実務研究会〕
付加刑と量刑(1)/秋山 敬

■世界の司法128――その実像を見つめて
米国におけるInns of Court/田端理恵子


判例紹介

最高裁判例
[租税法]
1(最高裁第二小法廷平20.10.24判決)
法人税の決定を受けた法人が都民税の申告納付をした後に法人税の減額更正がされ,これに伴い都民税の法人税割額について減額更正がされたことにより過納金が生じた場合において,その還付に際して加算すべき還付加算金の算定の起算日が,地方税法(平成14年法律第80号による改正前のもの)17条の4第1項1号の場合と同様に,納付の日の翌日であると解された事例
[刑 法]
2(最高裁第二小法廷平20.5.20決定)
被告人が,自らの暴行により相手方の攻撃を招き,これに対する反撃としてした傷害行為について,正当防衛が否定された事例

行政裁判例
[行政法一般]
1原爆症認定訴訟事件控訴審判決(仙台高裁平20.5.28判決)
1 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づく原爆症認定の要件である,原子爆弾の傷害作用に起因して負傷又は疾病にかかったこと(起因性),疾病等について現に医療を要する状態にあること(要医療性)が認められるとして,原爆症認定申請の却下処分を取り消した1審判決を維持した事例
2 原爆症認定申請の要件の一つである,起因性の判断基準が控訴審の審理段階で変更された場合には,新基準を判断の基礎とするのが相当であるとした事例
3 原爆症認定申請の判断について,審議会等の意見答申を受けてなした厚生労働大臣の却下処分には故意過失がないとして,国家賠償請求を棄却した1審判決を維持した事例 … 74
[行政争訟法]
2(東京高裁平19.5.16判決)
退去命令を受けたが,本邦から退去しなかったため,退去強制令書の発付処分を受けるに至った外国人が,その過程において法務大臣から同大臣に対してした異議の申出に理由がない旨の裁決を受けたところ,当該裁決ないしその前提となっている退去命令には,当該退去命令以前に退去を強制された外国人と原告とが同一人ではないのに,これを同一人と誤認した瑕疵があるなどと主張して,裁決及び退去強制令書発付処分の取消しを求めた場合において,当該退去命令以前に退去を強制された外国人と原告とが同一人であることは明らかであるなどとして,原告の請求を棄却した事例
[国家補償法]
3(仙台高裁平20.3.19判決)
県費負担教職員の違法行為により発生した賠償債務を支払った県が,学校の設置者である市に対して,国家賠償法3条2項に基づき求償権を行使した事案について,同項に規定する「内部関係でその損害を賠償する責任ある者」について判断を示した事例
[租税法]
4(東京高裁平20.1.23判決)
日本国から香港に移住し,外国法人の出資口数の贈与を受けた者が日本国内に住所を有していたとして贈与税の決定が適法とされた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平20.9.10判決)
退職年金規定に基づく適格年金制度の廃止等が,年金受給者に対する債務不履行とはならないとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(大阪高裁平20.3.26判決)
1 直接の契約関係のない建築資材(シーリング剤)のメーカーが,ユーザーである建設会社に対して,契約締結に必要な情報を提供するという目的で当該製品の売買契約の交渉に関与した場合は,信義則上,ユーザーが当該製品の売買契約を締結するか否かにつき誤った意思決定を下すことがないように必要な説明をする義務を負うと判断した事例
2 メーカーが,ユーザーに対して,当該製品(シーリング剤)と塗料との密着性について,相性があるので,使用前に確認を行う必要があるとの説明義務を負わないと判断された事例
2(千葉地裁平19.8.30判決)
たこ焼き店のフランチャイズ契約の締結に際して,フランチャイザーが,自営業を営んだことのない主婦のフランチャイジー候補者(加盟候補者)に対し,その自己資金だけでは開業することが困難となるであろうことを告げず,初期投資総額の見込額等を記載した文書を交付せずに,加入金等を入金させた後にその不返還を定めた契約書に署名押印させるなどしたことが,加盟候補者に対し同契約を締結してフランチャイジーになるか否かにつき自由に意思決定をするに足りる必要かつ十分な情報を適時かつ正確に提供・開示すべき信義則上の義務を尽くしたとはいえないと判断するなど,フランチャイズ契約で問題となる多数の争点につき判断した事例
3(東京地裁平20.8.26判決)
弁護士による弁護士法58条1項に基づく弁護士会に対する懲戒請求及び訴訟提起がいずれも不法行為に該当しないとされた事例
4(東京地裁平20.6.30判決)
1 原告が商品先物取引業者に委託して商品先物取引を行い損失を被った場合に,商品先物取引業者と従業員の不法行為責任が認められた事例
2 商品先物取引の経験を有している者についても,新規委託者保護義務の趣旨が妥当するとした事例
5(東京地裁平20.2.13判決)
週刊誌に記載された記事の内容が原告の音楽著作権管理業務の正当性を疑わせる印象を与えるなどとして名誉毀損に基づく損害賠償請求が一部認められた事例
6(名古屋地裁平19.10.16判決)
1 レンタカー会社からレンタカーの提供を受けた者からレンタカー会社に無断でレンタカーを借り受けた者が,その返還期限後に起こした事故について,レンタカー会社に自動車損害賠償保障法3条の運行供用者責任が認められないとされた事例
2 自動車保険契約に附帯された人身傷害補償特約に基づき被保険者に保険金を支払った保険会社が加害者に保険代位する範囲について,保険会社の支払った保険金はまず損害額のうち被保険者の過失割合に対応する額に充当され,保険会社は,その支払った保険金の額が被保険者の過失割合に対応する額を上回る場合にその上回った額について加害者に対する損害賠償請求権を取得するとされた事例
7(東京地裁平19.8.24判決)
被告病院の担当医師には,患者の訴える症状から大腸癌を疑い,下部消化管検査を実施すべき義務を怠った過失があったと認められ,この過失がなければ,大腸癌を発見することができ,化学療法によって患者の生存期間を延長できた相当程度の可能性があったとして,原告らの債務不履行に基づく損害賠償請求の一部が認容された事例
[商 法]
8(千葉地裁平20.3.27判決)
1 火災保険の目的物である建物に生じた火災が,被保険者の故意により生じたとは認められないとして,保険金支払についての免責が否定された事例
2 保険料分割払特約が付されている火災保険契約において,保険契約者が保険金の支払を受ける以前に未払込分割保険料を一時に払い込まなければならない旨の特約がある場合,上記特約は,保険金支払債務の履行期後に払込期限が到来する未払込分割保険料債務につき,保険会社において,保険金支払債務と相殺することを可能にすべく,未払込分割保険料債務の期限の利益を喪失させることを定めた規定と解すべきであり,未払込分割保険料債務に先履行義務を定めたものと解することはできないとされた事例
3 未払込分割保険料債務と保険金支払債務は,同時履行の関係にあるものとは認められず,保険金支払債務のうち,相殺により消滅した未払込分割保険料相当額を控除した残額については,履行期の経過により遅滞に陥っているとされた事例
[知的財産]
9(東京地裁平20.3.13判決)
八坂神社の祇園祭の写真に依拠して水彩画を制作した行為は,当該写真の翻案権を侵害するとされた事例
10(東京地裁平19.5.25判決)
会社の代表取締役らが行った流通・販売業者向け商品説明会における説明等が不正競争防止法2条1項14号所定の営業上の信用を害する虚偽事実の告知に当たるとして,その差止め及び損害賠償の一部を認容するとともに,信用回復措置として説明会に出席した業者に対する訂正文の送付を命じた事例
[諸 法]
11(東京地裁平19.11.28判決)
監査報告書において粉飾された計算書類に適正意見を付した公認会計士である会計監査人につき商法特例法10条の責任を否定した事例

刑事裁判例
[特別刑法]
1(東京地裁平20.2.22判決)
1 通勤電車内で爆発物であるTATPを爆発させる意図であったとの被告人の捜査段階の自白の信用性を否定した事例
2 TATPの製造並びに同TATP及び爆発物の使用に供すべき器具の所持につき,人の身体,財産を害する目的を有していたとは認められず,爆発物取締罰則3条違反の罪の成立を否定した事例
3 TATPの製造及び所持につき,人の財産を害する目的がなかったことの証明がなされたとはいえないとして,爆発物取締罰則6条違反の罪の成立を肯定した事例
[刑事訴訟法]
2(大阪地裁平19.3.12判決)
現金輸送車の警備員に対し未必の殺意をもってけん銃を発射し現金を強取した強盗殺人未遂等の事件について,情況証拠の積み重ねにより被告人が犯人であると認定された事件

記事紹介

◆控訴審からみた離婚事件の基本問題/稲田龍樹

■山形地裁民事実務研究9
破産者の連帯保証に係る複数口の主債務のうちの一部の債権全部が
弁済された場合における開始時現存額主義の適用の可否
大阪高判平20.5.30判タ1269号103頁(第1審・大阪地堺支判平19.6.15)/片瀬敏寿

■続・元裁判官の書斎(5)
夢枕漠『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』(全4冊)/倉田卓次

■量刑に関する諸問題〔大阪刑事実務研究会〕
刑種の選択と執行猶予に関する諸問題(3)
――併せて,罰金刑に関する若干の問題/植野 聡

(コメント) 植野聡「刑種の選択と執行猶予に関する諸問題
――併せて,罰金刑に関する若干の問題」/永田憲史

◆検察官が保管していない警察官備忘録の開示/松代剛枝


判例紹介

行政裁判例
[行政法一般]
1(名古屋地裁平20.3.12判決)
パキスタン国籍の外国人男性に対する帰化不許可処分が国籍法5条1項3号の素行条件の該当性に疑問を抱かせる十分な理由が認められるなどとして適法とされた事例

[行政争訟法]
2(京都地裁平19.11.7判決)
1 工事が完了し検査済み証が交付された場合における建築確認及びそれについての裁決の取消しを求める訴え並びに開発行為非該当確認及びそれについての裁決の取消しを求める訴えを訴えの利益を欠くとして却下した事例
2 建築基準法9条1項に基づく建築物の一部除却命令等を京都市長がすることを求めるいわゆる非申請型義務付けの訴えを重大な損害が認められないとして却下した事例

[国家補償法]
3(熊本地裁平20.1.15判決)
刑務所に服役していた受刑者が刑務作業中に負傷した事故について,刑務所側に安全配慮義務違反があったとして,国の国家賠償責任が認められた事例

[租税法]
4(東京高裁平20.2.27判決)
被告(株式会社)に雇用された原告が被告から付与された新株予約権(ストック・オプション)に係る権利行使をして経済的利益を得たとして被告が原告から当該利益に係る源泉徴収税相当額を徴収したことが違法であるとして原告が被告に対してその徴収額の返還ないし損害賠償の支払を求めた請求が被告の徴収が適法であったとして棄却された事例
5(東京地裁平20.2.15判決)
1 不法行為による損害賠償請求権を法人の収益として計上すべき事業年度
2 従業員の詐欺行為により当該従業員に対して法人が取得することとなる損害賠償請求権の益金計上時期が法律上当該請求権の発生した事業年度ではなく法人が損害及び加害者を知った時期の属する事業年度であるとされた事例
6(大阪地裁平19.11.14判決)
相続開始時においてその弁済期が約50年後となっていた保証金債務の相続時価値を算出するに際して中間利息を控除するために用いるべき通常の利益率は,長期国債の応募者利回りと長期プライムレートの相続開始時以前10年間の各月における利率を単純に平均して得られた平均利率が相当であるとされた事例

[地方自治法]
7(大阪地裁平20.6.26判決)
1 監査請求期間経過に正当な理由がないとされた事例
2 市が,賃貸借契約に基づき,適正賃料の1.23倍から1.99倍の賃料を支出したことが,違法とはいえないとされた事例
8(大阪地裁平20.5.16判決)
地方自治法126条ただし書に基づく地方公共団体の議会の議員の辞職許可処分が,正当な理由を欠き,同条の規定により議長に付与された裁量権の範囲を超え,又はこれを濫用したものとして取り消された事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平19.7.19判決)
国歌斉唱等をしなかったことを理由に懲戒処分を受けた教職員を対象とする服務事故再発防止研修の発令・実施が,思想及び良心の自由等を侵害せず,裁量権の逸脱・濫用もないとされた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平20.3.3判決)
紳士服販売会社が客を韓国人俳優のファンイベントに招待するキャンペーンを企画し,日本の旅行会社のあっ旋により韓国法人と俳優のパブリシティ権使用契約を締結したが,同俳優の承諾が得られなかったためキャンペーンが挫折した場合に韓国法人の債務不履行責任及び日本の旅行会社の信義則上の義務違反による不法行為責任が認められた事例
2(東京地裁平20.3.7判決)
ヤミ金融業者から出資法違反の高金利の取立てを受けた被害者が,ヤミ金融組織の統括経営者に対して不法行為に基づく損害賠償を請求する場合に,財産的損害額の算定にあたり,貸付金の額を損害額から控除すべきではないとされた事例
3(旭川地裁平19.12.26判決)
地方公共団体の管理する流雪溝付近の河川において,除雪作業をしていた管理業務受託会社の従業員が急激な水流に流される事故に遭遇した事案について,同地方公共団体において,従業員の生命,身体の安全を図るための措置を自ら講じ又は会社をして講じさせるべき注意義務に違反したとして,その不法行為責任が認められた事例
4(東京地裁平19.8.27判決)
1 手術を実施した患者の死亡を原因として業務上過失致死罪で起訴されたが,第1審で無罪判決を受けた医師が,当該刑事事件の民放テレビ局のニュース放映によりその名誉が毀損されたとして,当該テレビ局に対して求めた損害賠償請求が一部認容された事例
2 手術を実施した患者の死亡を原因として業務上過失致死罪で起訴されたが,第1審で無罪判決を受けた医師が,当該刑事事件の民放テレビ局のニュース放映によりその肖像権が侵害されたとして,当該テレビ局に対して求めた損害賠償請求が棄却された事例
5(名古屋地裁平19.2.14判決)
生体肝移植を受けた患者にMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の感染徴候が見られたにもかかわらず,適時に細菌培養検査をせず,抗生物質の投与を再開するのが遅れたとして,被告に責任があるとされた事例

[商 法]
6(東京高裁平20.5.12決定)ピコイ新株発行差止事件保全抗告審決定
新株予約権無償割当てが現経営陣の経営支配権を維持するためのものであり,株主平等原則の趣旨に反し,著しく不公正な方法によるものであるとして,新株発行の差止めが認められた事例

[知的財産]
7(東京地裁平19.2.15判決)
「使い捨て紙おむつ」に関する特許権の侵害訴訟において,充足論及び無効論での被告の主張をいずれも排斥して特許権侵害を認め,実施料相当額の損害賠償を認容した事例
8(東京地裁平19.12.26判決)
1 不正競争防止法に基づく不正目的使用開示行為の差止請求及び侵害組成物の廃棄請求について,同法2条6項の営業秘密に該当しない(秘密管理性を否定)として,棄却した事例
2 競業禁止合意に基づく競業行為差止請求について,競業禁止合意の範囲外の行為であるとして棄却した事例

刑事裁判例
[特別刑法]
1(東京高裁平20.4.17判決)
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例2条1項の「転売する目的」の意味

[刑事訴訟法]
2(東京高裁平20.9.29判決)
公判期日外の証人尋問が適法とされた事例

記事紹介

◆日本民法典財産法改正試案
「日本民法改正試案・仮案(平成21年1月1日案)」の提示/加藤雅信

◆『日本民法改正試案』条文案一覧
(民法改正研究会・仮案〔平成21年1月1日案〕)

◆子の監護審判事件における第三者の当事者適格
東京高決平20.1.30の問題点/梶村太市

■量刑に関する諸問題〔大阪刑事実務研究会〕
刑種の選択と執行猶予に関する諸問題(2)
―併せて,罰金刑に関する若干の問題/植野 聡


判例紹介

最高裁判例
[租税法]
1(最高裁第二小法廷平20.9.12判決)
宗教法人が死亡したペットの飼い主から依頼を受けて葬儀等を行う事業が法人税法2条13号所定の収益事業に当たるとされた事例

[刑事訴訟法]
2(最高裁第三小法廷平20.9.29決定)静岡大学生強殺事件
被殺者2名の殺人,強盗殺人等の事案につき,無期懲役の量刑が維持された事例

行政裁判例
[行政法一般]
1(長野地裁平20.7.4判決)
被告が公共下水道を使用させる義務を怠っているとして,被告に対し,公共下水道を使用させることを求めた原告の請求が認められた事例

[行政争訟法]
2(名古屋高裁金沢支部平20.7.23判決)
県知事が病院開設申請者に対してした医療法30条の7(平成9年法律第125号による改正前のもの)に基づく病院開設中止勧告処分は,上記申請者から提出された病院開設申請書の受理を執拗に拒み返戻行為を繰り返してその実質的な審査を拒否し,また,上記申請者を他の病院開設等予定者と比較して不公平・不公正に取り扱った上でされたという手続的違法性を有し,取り消されるべきであるとされた事例

[国家補償法]
3(熊本地裁平20.6.25判決)
警察署に留置されている被疑者を接見等禁止決定を受けているものと誤解し,被疑者に対する速達の交付が約3日間にわたり遅延した行為は接見交通権を侵害し,違法であるとして国家賠償請求が認められた事例

[租税法]
4(大阪地裁平20.2.29判決)
1 固定資産の所有者が当該固定資産を地方税法348条2項各号に掲げる公用又は公共の用等に供するとともに当該固定資産の全部又は一部を有料で貸すなどしてこれを収益している場合であっても,当該固定資産が現実に当該各号に掲げる公用又は公共の用等に供されている限り,市町村は,当該固定資産の所有者に対し固定資産税等を課することはできないとされた事例
2 地目をため池として登記されているが水面上にデッキプレートが構築され建物敷地として利用されている土地についてその貯溜水が現実に耕地かんがいの用に供されていたものとは認められないから市が当該デッキプレートが設置されている部分を宅地として評価せず固定資産税等を賦課徴収することを怠っていることは違法であるとされた事例

[地方自治法]
5(千葉地裁平20.1.25判決)
1 市立学校の学校行事において,その参加者が持参した祝い金は市の収入である寄附金に当たる
2 学校長は,上記祝い金を市の会計に計上しないまま支出したことにより,市に対し,不当利得返還義務を負う

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平20.1.15判決)
1 いわゆる統一協会の信者による違法な勧誘行為等により損害を被ったとする原告が訴訟提起前にその信者との間で損害賠償の支払とともに不起訴の合意をしていたとして,信者に対する訴えが却下された事例
2 原告と統一協会の信者との間でなされた不起訴の合意の効力が統一協会には及ばないとされた事例
3 統一協会の信者による献金等の勧誘行為等が違法であるとして,統一協会に使用者責任が認められたものの,慰謝料の請求は否定された事例
2(名古屋地裁平19.11.30判決)
1 健康食品である粉末あまめしばを摂取した後に閉塞性細気管支炎を発症した消費者につき同食品の摂取と同疾病との間に因果関係があるとされた事例
2 健康食品である粉末あまめしばが製造物責任法2条1項の「製造物」に当たるとした上,同食品を通常予見される使用方法に従って使用した場合にも閉塞性細気管支炎が生じ得るとして,同食品に同法2条2項の「欠陥」があるとされた事例
3 健康食品である粉末あまめしばに発売者として表示された者が製造物責任法2条3項3号の「実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者」に当たるとされた事例
4 医学博士の肩書を有する者があまめしば(野菜)及び粉末あまめしば(健康食品)に関する雑誌の特集記事においてあまめしば(野菜)の健康増進効果につき解説したことが,粉末あまめしばを摂取して閉塞性細気管支炎を発症した者に対する不法行為に当たるとされた事例
3(札幌地裁平20.1.30判決)
左頸部膿瘍切開排膿手術を受けた患者が,手術の際に気道閉塞に陥り,重度の低酸素脳症に罹患したことにつき,担当医師に過失がなかったとして,病院側に対する損害賠償請求が認められなかった事例

[商 法]
4(東京高裁平20.5.21判決)ヤクルト株主代表訴訟控訴審判決
会社の資金運用の一環としてデリバティブ取引が行われて533億円余の損失が発生したとして,同社の当時の取締役ないし監査役に対して会社に対する損害賠償を求めて提起された株主代表訴訟において,当該取引の担当取締役については,善管注意義務に違反した責任を肯定したが,当該取締役以外の取締役ないし監査役については,担当取締役に対する監視義務に違反した責任を否定して,当該担当取締役に対して会社に対する67億円余の損害賠償を命ずる限度で請求を一部認容した第1審判決を相当として同社の株式を保有している関連会社を含む株主の第1審判決に対する控訴を棄却した事例

[知的財産]
5(知的財産高裁平20.10.28判決)
特許を受ける権利を共有とする合意の効力が,製品開発委託契約の合意解除後も特約により存続するとされた事例

[諸 法]
6(京都地裁平20.4.30判決)
定額補修分担金特約が消費者契約法10条に該当し無効であるとして,同特約に基づき支払われた金員の返還請求が認容された事例

[倒産処理法]
7(名古屋地裁平19.11.30判決)
新株引受権の贈与が否認された場合において,受贈者が否認権行使時までに新株引受権を行使して株式を取得した上,その株式を売却していたときは,受贈者が破産管財人に償還すべき価額は否認権行使時における当該株式の時価によるべきであるとされた事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(東京高裁平17.7.7判決)
埼玉県条例に違反して常習として卑わいな言動(盗撮)をする罪と東京都条例に違反して常習として同様の行為をする罪及び愛知県条例に違反して盗撮目的で卑わいな言動をする罪との関係

[特別刑法]
2(東京高裁平19.8.30判決)
盗犯等の防止及び処分に関する法律2条3号の定める「門戸牆壁等ヲ踰越損壊シ」に該当するとされた事例

[刑事訴訟法]
3(東京地裁平19.12.21)
勾留中の被告人・被疑者について,参議院外交防衛委員会による証人尋問を実施するためになされた接見等禁止一部解除の職権発動要請に対し,捜査継続中であることなどにかんがみて職権を発動しなかった例

記事紹介

◆夫婦の倒産事件における支払不能とそのおそれについて/北澤純一

■現代企業法研究会 企業間提携契約の法的諸問題9
株式の持ち合い/堀 天子

■量刑に関する諸問題〔大阪刑事実務研究会〕
刑種の選択と執行猶予に関する諸問題1
―併せて,罰金刑に関する若干の問題/植野 聡

◆アメリカ合衆国ジョージア州における行政審判の実務について /伊藤隆裕

■世界の司法127―その実像を見つめて
フランスにおける主任書記官養成の現状について
平成19年度一般職長期在外研究員(フランス)/柳橋さくら


判例紹介

特 報
[行政争訟法]
1(最高裁大法廷平20.9.10判決)
市町村の施行に係る土地区画整理事業の事業計画の決定と抗告訴訟の対象

速 報
[民 法]
1(高松高裁平20.9.17判決)
高等学校の生徒が課外のクラブ活動としてのサッカーの試合中に落雷により負傷した事故について引率者兼監督の教諭及び大会主催者の会場担当者の教諭に落雷事故発生の危険が迫っていることを予見すべき注意義務を怠った過失が認められた事例

[情報公開]
2(福岡高裁平20.5.12決定)
行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく行政文書の不開示決定の処分取消請求事件において,裁判所が当該不開示文書を直接見分しなければ当該不開示決定の当否を適正に判断することができず,他にこれに代わり得る有効適切な手段も見当たらないなどの事情が存するときは,裁判所だけが同文書を直接見分する方法で検証を行うことができ,その場合には,裁判所は,検証の目的である同文書の所持者に対し,その提示を命ずることができる

最高裁判例
[民 法]
1(最高裁第一小法廷平20.6.12判決)NHK番組期待権訴訟
1 放送事業者等から放送番組のための取材を受けた者において,取材担当者の言動等によって当該取材で得られた素材が一定の内容,方法により放送に使用されるものと期待し,信頼したことが,法的保護の対象となるか
2 放送番組を放送した放送事業者及び同番組の制作,取材に関与した業者が取材を受けた者の期待,信頼を侵害したことを理由とする不法行為責任を負わないとされた事例
2(最高裁第二小法廷平20.9.12判決)
Xの友人Aが,Xの運転するXの父親B所有の自動車に同乗してバーに赴き,Xと飲酒をした後,寝込んでいるXを乗せて同自動車を運転し,追突事故を起こした場合において,Bが自賠法3条にいう運行供用者に当たるとされた事例

[知的財産]
3(最高裁第二小法廷平20.9.8判決)
「つつみのおひなっこや」の文字を横書きして成り,土人形等を指定商品とする登録商標と,いずれも土人形を指定商品とする「つゝみ」又は「堤」の文字から成る引用商標が類似しないとされた事例

[民事訴訟法]
4(最高裁第二小法廷平20.7.18決定)
地方裁判所にその管轄区域内の簡易裁判所の管轄に属する訴訟が提起され,被告から同簡易裁判所への移送の申立てがあった場合における同申立てを却下する旨の判断と地方裁判所の裁量
5(最高裁第一小法廷平20.7.10判決)
前訴において1個の債権の一部についてのみ判決を求める旨が明示されていたとして,前訴の確定判決の既判力が当該債権の他の部分を請求する後訴に及ばないとされた事例

[特別刑法]
6(最高裁第二小法廷平20.7.18判決)
旧株式会社日本長期信用銀行の平成10年3月期に係る有価証券報告書の提出及び配当に関する決算処理につき,これまで「公正ナル会計慣行」として行われていた税法基準の考え方によったことが違法とはいえないとして,同銀行の頭取らに対する虚偽記載有価証券報告書提出罪及び違法配当罪の成立が否定された事例

[少年法・矯正保護法]
7(最高裁第三小法廷平20.7.11決定)
強盗致傷の非行事実を認定して少年を中等少年院送致とした家庭裁判所の決定が,抗告審で事実誤認を理由に取り消されて差し戻された場合において,検察官の申し出た証拠を取り調べずに,非行なしとして少年を保護処分に付さなかった受差戻審の決定に法令違反はないとされた事例

行政裁判例
[行政法一般]
1(東京地裁平20.5.16判決)
1 一般乗用旅客自動車運送事業に従事する運転者が,その労働条件の適正を保護される利益を有する者として,一般乗用旅客自動車運送事業者を処分の相手方とする運賃認可処分の取消訴訟を提起する原告適格を有するか(消極)
2 国土交通大臣の権限の委任を受けた地方運輸局長は,道路運送法の規定に基づいて運賃認可処分をするに当たり,一般乗用旅客自動車運送事業に従事する個々の運転者に対する関係で,その適正な労働条件の保護について配慮すべき職務上の法的義務を負うか(消極)

[租税法]
2(東京高裁平19.10.31判決)
質問検査権の行使には第三者を立ち会わせないと応じられないとする納税者に対する青色申告承認の取消処分と消費税について仕入れ税額控除をしないでされた更正処分等が是認された事例

[地方自治法]
3(名古屋地裁平19.3.22判決)
1 政務調査費の交付を受けた市議会会派に対する不当利得返還請求が認容された事例
2 新4号訴訟における遅延損害金の起算日

労働裁判例
[集団的労働関係]
1(東京高裁平20.1.31判決)
男女のコース別人事制度について,不法行為の成立が認められ,差額賃金相当損害金,慰謝料等の支払が命じられた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(大阪高裁平20.8.29判決)
土地についての使用借権の時効取得が認められなかった事例
2(東京地裁平20.2.27判決)
1 賃料額の合意が認められない賃貸借契約につき,賃料債務の残債務の不存在確認及び将来賃料額の確認請求について棄却した事例
2 賃料額の合意が認められず,占有合意の存在しか認められない場合に,新規賃料額の確認を求める訴えが法律上の争訟に当たらないとした事例
3 債務不存在等確認の訴えが債権確認の訴えである前訴の既判力(訴訟判決で確定した訴訟要件の欠缺についての既判力)に抵触するとして却下した事例
4 賃貸借契約の成立が認められない場合において建物明渡時における預託金返還請求権の条件付権利を確認した事例
3(大阪高裁平19.8.30判決)
ゴルフ場の法人会員権の譲渡について理事会の承認を必要とする会則が設けられている場合につき,従前の登録記名者が引き続いてゴルフ場を利用するために名義変更申請をした場合,客観的に見て会員の適格性を欠くと判断することが当然として是認されるような特段の事由がない限り,承認を拒絶できないとした事例
4(岡山地裁平19.3.27判決)岡山市民信金訴訟第一審判決
破綻した信用金庫の理事の善管注意義務違反による損害賠償請求が一部認容された事例
5(東京地裁平20.7.4判決)
ある芸能人の歌唱時の振り付けを利用したダイエットに関する記事について,記事中に当該芸能人が撮影されている写真を使用したことが,当該芸能人のパブリシティ権を侵害する不法行為には当たらないとされた事例
6(高松高裁平18.7.11判決)
未成年者の起こした交通事故につき,監督義務違反に基づく親の不法行為責任を認めた事例

[知的財産]
7(東京地裁平20.1.28判決)
昭和25年および26年に公開された劇場用映画の著作権の存続期間が満了していないとされた事例

[民事保全法]
8(東京高裁平20.7.1決定)
1 法人の業務遂行権に基づき業務妨害行為の差止めを請求するための要件
2 法人の業務遂行権に基づき業務妨害行為の差止めが認められた事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(大分地裁平18.11.29判決)
夜間,速度規制がない道路において,時速約60キロメートルで運転中,自車進路上に転倒していた被害者を右前輪で轢過し,業務上過失致死罪に問われた自動車運転者について,轢過の結果回避可能性がないとして無罪とされた事例
記事紹介

■特集・M&Aをめぐる株価紛争と情報開示・買収防衛策の諸問題

[株価紛争編]
1M&Aをめぐる株価紛争の概観/山田 純

2株価算定の手法/山本浩二

3レックス株式取得価格決定申立事件(高裁決定)
全部取得条項付種類株式の取得の対価について/若松 亮

4カネボウ株式買取価格決定事件
非上場株式の評価に関する裁判例/清水建成

5日本テレネット対デジタルアドベンチャー
売買価格決定抗告審
非公開会社において鑑定によらずに株価を算定した裁判例/石井 亮

[委任状勧誘・情報開示編]
6委任状勧誘規制とモリテックス事件判決 /日下部真治

7原弘産対日本ハウズイング株主名簿閲覧謄写仮処分事件
株主名簿の閲覧謄写請求に関する裁判例 /若松 亮

8会計帳簿等閲覧謄写請求事件
最一小判平16.7.1民集58巻5号1214頁,判タ1162号129頁/奈良輝久・石井 亮

9TBS対楽天
会計帳簿等の閲覧謄写請求に関する裁判例/秋元大樹

[買収防衛策編]
10買収防衛規範の最前線
「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」(企業価値研究会)
及び裁判例(ブルドックソース事件最高裁決定等)を踏まえて/奈良輝久


判例紹介

最高裁判例
[民 法]
1(最高裁第二小法廷平20.7.4判決)
Aが運転しBが同乗する自動二輪車とパトカーとが衝突しBが死亡した交通事故につき,Bの相続人がパトカーの運行供用者に対し損害賠償を請求する場合において,過失相殺をするに当たり,Aの過失をBの過失として考慮することができるとされた事例

[知的財産]
2(最高裁第一小法廷平20.7.10判決)
特許異議申立事件の係属中に複数の請求項に係る訂正請求がされた場合,特許異議の申立てがされている請求項についての特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正は,訂正の対象となっている請求項ごとに個別にその許否を判断すべきか

[民事訴訟法]
3(最高裁第一小法廷平20.7.17判決)
入会集団の一部の構成員が訴えの提起に同調しない構成員を被告に加えて構成員全員が訴訟当事者となる形式で第三者に対する入会権確認の訴えを提起することの許否

[刑事訴訟法]
4(最高裁第二小法廷平20.8.27決定)
火災原因の調査,判定に関し特別の学識経験を有する私人が燃焼実験を行ってその考察結果を報告した書面について,刑訴法321条3項は準用できないが,同条4項の書面に準じて同項により証拠能力が認められるとされた事例

憲法裁判例
[憲 法]
1(東京地裁平20.5.21判決)
容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律11条2項2号ロの規定(業種別特定容器利用事業者比率を定めた規定)は,憲法14条1項,29条1項,3項に違反しない

行政裁判例
[行政法一般]
1(東京地裁平19.11.9判決)
「保育所入所選考基準表」に基づく優先指数が劣後しているとしてされた保育所入所不承諾処分が適法であるとされた事例

[行政争訟法]
2(富山地裁平19.8.29判決)
1 病院開設許可申請書を受理せず返戻する行為が行政手続法上違法であり,このことを含めた病院開設中止勧告に至る原告に対する不公平・不公正な取扱いが,病院開設中止勧告の手続的瑕疵に当たるとされた事例
2 病院開設中止勧告の上記手続的瑕疵はその結果に影響を及ぼすから病院開設中止勧告の取消原因に当たるとして,原告の請求を認容した事例

[国家補償法]
3(東京高裁平19.11.29判決)
弁護士会懲戒委員会委員長が公共団体の公権力の行使に当たる公務員であるとされた事例

[租税法]
4(大阪地裁平19.10.31判決)
1 相続税の連帯納付義務者に対する督促においては,督促に係る国税債権が有効に存在していることに加えて,督促状において当該国税債権が特定して記載されていれば足りるが,督促状に記載された国税債権の額が当該督促の時点において存在する国税債権の額と著しくかい離しているような場合については,当該督促が徴収権の濫用として違法となると解する余地もなくはないとされた事例
2 複数の国税の一部が納付された場合における充当については,国税通則法62条2項,64条3項の規定が適用される場合を除いて,他の法令に特別の定めがない限り,民法488条ないし490条の規定が適用ないし類推適用されるとされた事例
3 税務署長が相続税の連帯納付義務者に対してした督促処分が徴収権の濫用に当たらないとされた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(札幌高裁平19.10.19判決)
銀行従業員がうつ病を発症して退職したことにつき,業務起因性を否定した原判決が維持された事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平20.4.24判決)
黙示の通行地役権の成否
2(京都地裁平20.1.30判決)
建物賃貸借契約における更新料支払の約定が,消費者契約法10条により無効であるとはいえないと判断された事例
3(東京地裁平19.10.10判決)
住宅の注文者で居住者である原告らがホルムアルデヒドを原因物質とするシックハウス症候群ないし化学物質過敏症に罹患していること及びその原因が新築建物への入居にある可能性を認めつつ,原告らのそのような症状の発症について,建物,その使用建材又は換気に瑕疵があるとか,施工業者である被告に債務不履行や不法行為に当たる事実があると認めることはできないとした事例
4(名古屋地裁豊橋支部平19.12.21判決)
売掛金債権の仮差押えを受けた協同組合が,第三債務者との間の農作物の販売取引を中止し,同組合の理事が実質上経営している他の団体と第三債務者との農作物の販売取引を開始した場合,同販売取引の中止,開始は執行妨害に当たるとして,同組合の理事の不法行為責任が認められた事例
5(東京地裁平19.9.18判決)
1 一部被告のいわゆる誤信相当性の抗弁を認めた事例
2 通信社からの配信を受けた記事を掲載した新聞社のいわゆる配信サービスの抗弁及び誤信相当性の抗弁の援用をいずれも排斥した事例
6(東京高裁平19.6.28判決)
事実無根の新聞記事により社会的評価が毀損されたとして損害賠償及び謝罪広告等を求めた訴訟において,当該人物の属性や関連する既報記事等から,当該記事によりその社会的評価が更に低下するとは認め難く,仮に低下するとしても法的保護に値するほどのものとは認められないとした事例

[知的財産]
7(知的財産高裁平19.10.31判決)
1 特許権者が,競業者(製造業者)の顧客(量販店)を相手方として特許権に基づく販売禁止等の仮処分を申し立て,報道機関への発表を行ったことについて,特許権者は当該特許に無効理由が存在することを容易に知り得たものであり,また,特許権者の行為は,特許権侵害に基づく権利行使という外形を装っているものの,当該競業者の取引先に対する信用を毀損し,契約締結上優位に立つこと等を目的とした行為であって,著しく相当性を欠くとして,当該競業者に対する不法行為が成立するとされた事例
2 仮処分制度の利用及びこれに当然随伴する行為を差し止めることは不正競争防止法の予定するところではないとして,特許権侵害等を理由とする差止の仮処分の申立てに伴って申立書の内容を相手方に知らしめることは,同法2条1項14号所定の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し,又は流布する行為には該当しないとされた事例
8(東京地裁平19.6.27判決)
特許を受ける権利の確認訴訟において,同権利の共有者であると主張して被告側に参加しようとする者は,共同訴訟参加の方法によることができる

[民事執行法]
9(東京高裁平20.4.25決定)
抵当不動産の賃借人が民法395条所定の明渡猶予制度の保護を受け得る場合に,賃貸人の承諾を得ないで当該賃借人との間の使用貸借契約に基づき当該不動産を占有している転使用借人に対して,当該不動産の買受人が民事執行法83条所定の引渡命令を求めることの可否(積極)

刑事裁判例
[刑 法]
1(大阪地裁平20.3.14判決)
他人所有の建物及び地上権の名義人が,その所有者に無断で同不動産につき第三者名義の抵当権設定の仮登記をした後,その移転仮登記をした所為につき,前者のみに横領罪の成立を認め,後者をその不可罰的ないし共罰的事後行為として同罪の成立を否定した事例
2(青森地裁弘前支部平18.11.16判決)
殺意をもって被害者の頚部を強く絞め付けて失神させることを数回にわたって繰り返し,被害者が死亡したものと誤信してその頚部から両手を離した後,被害者が呼吸をしていることを確認して被害者がいまだ死亡するに至っていないことを認識しながら,更にその頚部を強く絞め付けるなどの行為に及ばなかった事案につき,中止未遂の成立を認めた事例


記事紹介

◆裁判員が関与する公判審理の在り方/東京地方裁判所公判審理手続検討委員会
同裁判員模擬裁判企画委員会

■裁判員制度のもとにおける控訴審の在り方7・完〔大阪高等裁判所陪席会〕
控訴審の判決/小島正夫・細谷泰暢

「裁判員制度のもとにおける控訴審の在り方」の連載終了に当たって/石井一正

■山形地裁民事実務研究会8
自動車による通行を前提とする民法210条1項に基づく公道に至るための
他の土地の通行権が,一団の土地のうち,一部の土地所有者については
認められ,その余の土地所有者については否定された事例
東京高判平19.9.13判タ1258号228頁/三宅康弘

◆不貞慰謝料請求事件に関する実務上の諸問題/安西二郎

■ブック・レビュー
クリストファー・W・ムーア著(レビン小林久子訳・編)
『調停のプロセス』(原題:The Mediation Process -3ed.)/上原裕之

判例紹介

行政裁判例
[行政法一般]
1(東京地裁平19.8.31判決)
難民不認定処分並びに出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項の在留特別不許可処分を受けた在留資格未取得外国人がした同法49条1項の異議の申出に対する法務大臣の裁決において,当該外国人の難民該当性を看過したことが裁決の違法事由となるか(積極)

[行政争訟法]
2(大阪地裁平19.3.28決定)
1 住民基本台帳法8条に基づく住民票の消除の行政処分性
2 住民基本台帳法8条に基づく住民票の消除の差止めの訴えを本案とする行政事件訴訟法37条の5第2項に基づく仮の差止めの申立てが,本案の訴えに係る処分がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要はあるが,本案について理由があるとみえるときには当たらないとして却下された事例

3六ヶ所低レベル放射性廃棄物訴訟判決(青森地裁平18.6.16判決)
1 低レベル放射性廃棄物埋設事業の許可処分取消訴訟における周辺住民の原告適格
2 低レベル放射性廃棄物埋設事業の許可について,㈰原子力安全委員会若しくは核燃料安全専門審査会の調査審議において用いられた具体的審査基準について不合理な点があるということはできないし,㈪廃棄物埋設施設が上記具体的審査基準に適合するとした調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤,欠落があるということはできないから,事業許可処分が違法であるとはいえないとされた事例

[租税法]
4(東京高裁平20.2.28判決)
国内に住所を有しているとしてされた株式譲渡に係る所得税の課税処分が,被処分者が譲渡当時国内に住所を有しておらず,かつ,引き続いて1年以上居所を有しているともいえないから,所得税法2条1項3号の「居住者」に当たらないとして,取り消された事例

[地方自治法]
5(奈良地裁平19.2.28判決)
1 自治会が権利能力なき社団としての実体を備えているとされた事例
2 自治会決議の瑕疵について自治会会員による黙示の追認があったものとされた事例
3 町有財産の無償譲渡について,地方自治法237条2項,96条1項6号の議会の議決の有効性に加え,無償譲渡の合理性等をも踏まえた上で,違法であるということはできないとされた事例
4 町有財産の無償譲渡及び補助金の交付が,補助金交付要綱を濳脱する違法な行為であるということはできないとされた事例
5 町有財産の自治会に対する無償譲渡が,他の自治会との関係で平等原則に違反し違法であるということはできないとされた事例

[情報公開]
6(東京地裁平19.12.26判決)
行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づいてされた開示請求に対し外務大臣が開示決定等をしない不作為が違法であると判断された事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平19.12.13判決)
くも膜下出血の既往歴を有する地方公務員が学校式典の司会中にくも膜下出血を発症して死亡した場合につき死亡と公務との間に相当因果関係はないとされた事例

[民 法]
1(福岡高裁平19.7.24判決)
1 店舗のいわゆる「建て貸し契約」において,賃借人の賃貸人に対する修繕義務違反を原因とする解除が認められなかった事例
2 相当の理由があるとして,同契約の中途解約が認められ,それにより賃貸人が被る損害の填補金額が判断された事例

2(東京地裁平20.3.17判決)
弁護士に対し懲戒相当の議決をした弁護士会の綱紀委員会委員に対する損害賠償請求及び議決の無効確認を求める訴えがいずれも法律上の争訟性がないとして不適法であるとされた事例

3(東京地裁平19.8.28判決)
有価証券報告書に虚偽の記載をしていた株式発行会社の株式が上場廃止されたことによる損害は認められないとして,上場廃止前に株式を取得した株主から,株式発行会社,その代表取締役らに対する損害賠償請求が認められなかった事例

4(東京地裁平19.4.20判決)老人保健施設に入所していた高齢者が施設内で下肢を骨折し,褥瘡を生じたことにつき,施設の運営者に過失があったとされたものの,上記骨折及び褥瘡とその両下肢機能障害及び死亡との間の因果関係は否定された事例

5(仙台高裁平20.5.29判決)
工事用車両通路兼農道をトラクターを運転して走行していた者が,道路から転落し,用水路の側溝とトラクターとの間に挟まれて死亡した事故につき,上記道路の設置又は管理に瑕疵があったと認められないとして,国家賠償請求が認められなかった事例

6(広島高裁平20.6.26判決)
柔道整復師の五十肩の患者に対する治療について,治療上の過誤,転医助言義務の懈怠があったとしてその損害賠償責任が認められた事例

7(名古屋高裁金沢支部平19.10.17判決)
入院患者が絞扼性イレウスによる多臓器不全により死亡した場合,担当医師が絞扼性イレウスの発症を疑うべき根拠があった段階で直ちに開腹手術を決定し,その実施(実施準備)に着手しなかった過失があるとして,病院と医師の不法行為責任が認められた事例

8(東京高裁平20.2.27判決)
子の親権者を母として受理された離婚届書に関し,認定した事実関係の下では,離婚については届書の記載時点で夫にいずれが親権者であっても離婚するとの意思は認められないものの追認により有効であるが,親権者の指定については協議がなく無効とされた事例

[知的財産]
9 抗血栓薬職務発明対価請求訴訟知財高裁判決(知的財産高裁平20.5.14判決)
抗血栓薬などの医薬成分として有用なアルガトロバンの製造方法に係る職務発明の対価を請求する訴訟において請求を認容した事例

[民事訴訟法]
10(横浜地裁平19.9.21決定)
元海上自衛隊員の自殺事件の原因究明・再発防止を目的として作成された文書,人事管理や訓育のために作成された文書など,海上自衛隊内で作成された文書に対して文書提出命令が申し立てられた事案につき,申立文書のうち一部について,民訴法220条4号ロの要件に該当しないとして文書提出命令が認められた事例

[民事執行法]
11(大阪高裁平20.2.28判決)
1 控訴に伴う執行停止の担保により担保される損害賠償請求権の性質
2 控訴に伴う執行停止の申立てにおいて相手方が被る損害について未必的な故意があるとされた事例
3 控訴に伴う執行停止が不法行為となる場合において執行停止決定の後民事再生手続開始決定がされたときの損害の算定

[倒産処理法]
12(大阪地裁平20.8.27判決)
利息制限法を超過する過払金の返還請求につき,旧会社更生法241条により失権したとの主張が信義則に反するとして一部認められなかった事例

刑事裁判例
[刑 法]
1(大阪地裁平19.2.28判決)
見ず知らずの通行人5名に対する殺人,殺人未遂被告事件において,被告人が犯行当時統合失調症に基づく高度の幻覚妄想状態にあって,幻聴に直接支配され,その圧倒的な影響を受けていたから,心神喪失状態であったとの合理的な疑いが残るとして無罪が言い渡された事例
記事紹介

◆小泉総理大臣の靖国神社参拝訴訟に関する判決の
「判決理由の構成」に対する民事訴訟法上の疑問/木川統一郎

◆文書提出義務をめぐる判例法理の形成と展開/伊藤 眞

◆逮捕・勾留・起訴をめぐる国家賠償事件の検討/村重慶一

判例紹介

特 報
[刑 法]
1(東京地裁平20.2.29判決)
インターネットを用いた名誉毀損行為は,摘示された事実が公共の利害に関する事実に係るもので,主として公益を図る目的でなされたものである場合,発信者がインターネットの個人利用者として要求される水準を満たす調査を行った上,摘示した事実が真実であると誤信して発信したと認められるときには,被害者がインターネットを利用できる環境と能力があり,かつ,被害者に反論を要求しても不当とはいえない状況がある限り,発信者に名誉毀損の罪責を問うことはできない

行政裁判例
[行政法一般]
1(東京地裁平20.4.17判決)
労働保険の保険料の徴収等に関する法律8条1項の「厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行なわれる場合には,……その事業を一の事業とみなし,元請負人のみを当該事業の事業主とする。」の解釈適用の誤りを理由として,労働保険料の認定決定処分が取り消された事例

2(東京高裁平19.11.5判決)
出生届が不受理となった場合において職権で住民票を作成する義務はないとして当該子の住民票の記載をしない旨の処分の取消請求を棄却し,住民票作成の義務付けの訴えを却下した事例

3(東京地裁平19.10.19判決)
1 確定給付企業年金の規約変更の要件について定める確定給付企業年金法施行規則5条2号及び3号の規定が,確定給付企業年金法5条1項5号,同法施行令4条2号による委任の趣旨に反するものではなく,無効とはいえないとした事例
2 確定給付企業年金の規約変更の申請が,確定給付企業年金法施行令4条2号,規則5条ただし書,規則6条1項2号の「給付の額を減額する」場合に該当するとされた事例
3 確定給付企業年金の規約変更の申請が,規約の変更が「給付の額を減額する」ことを内容とする場合に必要な規則5条2号の要件を満たさないとされた事例
4 確定給付企業年金の規約変更の申請が,規約の変更が「給付の額を減額する」ことを内容とする場合に必要な規則5条3号の要件を満たさないとされた事例

[行政争訟法]
4(東京高裁平19.5.31判決)
1 退職年金を受給していた元地方公務員の夫とその退職前から既に14年間にわたって別居していた妻が夫の失踪宣告による擬制死亡後に地方公務員共済組合に対してした遺族共済年金の決定請求を棄却する旨の処分を受けた場合において,当該妻は地方公務員等共済組合法にいう「遺族」に該当するとして,当該処分の取消しを求めたその妻の請求が認容された事例
2 退職年金を受給していた夫の失踪宣告による擬制死亡後に共済組合に対して遺族共済年金の決定請求をした妻が当該組合の職員の行政手続法に違反する行為が不法行為を構成するとして当該組合に対して慰謝料の支払を求めた国家賠償請求が認容された事例

[国家補償法]
5(東京地裁平19.11.27判決)
保育ママの保育児童に対する虐待について,東京都世田谷区の国家賠償責任が認められた事例

[租税法]
6(大阪地裁平20.2.15判決)
1 親会社である外国法人からいわゆるストックアワード(当該外国法人の株式を無償で取得することができる権利)を付与された当該外国法人の子会社である日本法人の従業員に対し当該ストックアワードの「vest」時に当該株式の時価相当額の経済的利益を取得し当該経済的利益は給与所得に該当するとしてされた所得税の更正処分が適法とされた事例
2 納税者が所得税の確定申告において勤務先の日本法人の親会社である外国法人から付与されたいわゆるストックアワード(当該外国法人の株式を無償で取得することができる権利)に係る株式の売却代金等を給与所得ないし一時所得として申告したことにつき国税通則法65条4項にいう「正当な理由」がないとされた事例

7(東京地裁平19.9.14判決)
1 所得税法2条1項3号の「住所」とは,各人の生活の本拠をいい,生活の本拠がいずれの土地にあると認めるべきかは,住居,職業,生計を一にする配偶者その他の親族の居所及び資産の所在等の客観的な事実に基づき判定するのが相当であるとされた事例
2 株式の譲渡所得があるとしてされた所得税の決定処分及び無申告加算税賦課決定処分が,被処分者は譲渡日に日本に住所を有していなかったので納税義務を負わないとして取り消された事例

8(東京地裁平19.8.23判決)
政令に定める会社分割によって自益信託の委託者兼受益者の地位を承継した会社が,受託者から信託財産の移転を受けた場合は,不動産取得税の非課税に関する平成19年3月30日改正前の地方税法73条の7第4号に該当するとされた事例

[地方自治法]
9(名古屋高裁金沢支部平20.2.20判決)
1 県が,特定の期間のすべての県職員の旅費の支出について1件ごとに調査を行い,公務出張の事実がないのにされた旅費(以下「架空の旅費」という)の支出を事務処理上不適切な支出として,その合計額を公表したという事実関係の下において,上記調査において事務処理上不適切な支出とされたものが違法な公金の支出であるとして,その支出負担行為及び支出命令につき本来的な権限を有する県知事に対して,受任者又は専決者に対する指揮監督上の義務違反を理由に損害賠償を求める住民訴訟の請求は,個々の旅費の支出ごとに日時,支出金額,支出先,支出目的等が特定されていなくても,その対象の特定に欠けるところはない
2 県知事は,旅費に係る支出負担行為及び支出命令に関する事務を補助職員に委任又は専決させていたところ,架空の旅費に係る支出負担行為又は支出命令が行われた場合において,同県では,㈰市民オンブズマンから職員の出張につき質問書の送付があったのみでカラ出張の具体的な指摘がなく,㈪これまで食料費等の支出が違法であるとの監査請求が理由がないものとされており,㈫自治事務次官からなされた旅費,食料費等に関する通知も一般的な助言,勧告の性質を持つにすぎないものであり,㈬総務部長が,知事の命を受けて,旅費等の適正な予算の執行に務めるよう通知しているなどの事実関係の下では,受任者又は専決者が財務会計上の違法行為をすることを阻止すべき指揮監督上の義務の懈怠は認められないから,架空の旅費支出により県が被った損害について賠償義務を負わない

10(福岡地裁平19.3.1判決)
1 市長による資源循環型社会形成事業に対する公金支出の差止めを求める訴えにつき,既に支出した部分及び相当程度の確実性をもって予測されない将来部分に係る訴えが不適法とされた事例
2 市長による資源循環型社会形成事業に対する公金支出の差止めを求める訴えにつき,同事業に公共性及び公益性があるとして請求が棄却された事例

11(東京地裁平18.11.24判決)
1 公社発注の土木工事について実施された指名競争入札において,指名業者らの間で談合が行われた結果,市が損害を被ったと認められた事例
2 談合が行われて発生した市の損害について,民訴法248条に基づき,工事請負契約における契約金額の5パーセントに相当する金額が損害と認定された事例
3 公社発注の土木工事について実施された指名競争入札において,指名業者らの間で談合が行われた結果,市が損害を被ったとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して,工事請負契約の相手方業者に対してされた不法行為に基づく損害賠償請求につき,上記談合に関連する課徴金納付命令に係る審判請求に対する公正取引委員会の審決が確定する前の時期であっても,認められるとされた事例

労働裁判例
[個別的労働関係]
1(長野地裁平19.12.4判決)
トラック運転手の腰痛の発症,腰椎間板ヘルニア,腰部脊柱管狭窄の後遺障害の残存について,使用者に安全配慮義務違反があったとして損害賠償責任が認められた事例

民・商事裁判例
[民 法]
1(東京地裁平19.7.25判決)
更新の予定されていたビル管理契約の更新打ち切りにつき,独占禁止法違反等を理由とする不法行為責任が否定された事例

2(福岡地裁平19.6.26判決)
入院中の高齢の患者がおにぎりを誤嚥して死亡した場合,看護師に看護上の過失があったとして,病院側の損害賠償責任が認められた事例

3(金沢地裁平18.3.24判決)
電気事業者である被告に対し,発電用原子炉施設に被告が設計に当たって想定した地震動を超える地震動が作用して安全保護設備が所期の機能を発揮できず,同施設から約700キロメートル以内に居住する原告ら全員が許容限度を超える放射線を被ばくする具体的危険があるとして,同施設の運転の差止めを命じた事例

4(那覇地裁平19.11.28判決)
自宅で意識を失い救急車で搬送された患者が,入院中に脳梗塞を発症して重篤な後遺障害が残った場合において,病院の医師に治療上の過失はなく,看護師にも看護上の過失はなかったとして,病院側の損害賠償責任が認められなかった事例

5(名古屋地裁平19.1.31判決)
頸部手術後の経過観察中に生じた反回神経麻痺に起因する呼吸困難に対する医師の対応に過失があるとして原告らの請求が一部認められた事例

6(高松高裁平18.6.16判決)
共同相続人間において相続財産である可分債権につき遺産分割の対象でないことの確認を求める訴えの適否

[知的財産]
7(東京地裁平18.12.26判決)
米国における部分継続出願を基礎としたパリ条約の優先権主張について,当該部分継続出願は,パリ条約4条の「最初の出願」に該当しないとして優先権主張を無効とし,その結果,当該部分継続出願の原出願に対応する日本出願の出願公開公報が,本件特許の出願前に頒布された刊行物に該当することとなり,本件特許は特許法29条1項3号違反の無効理由を有するとして,原告の請求を棄却した事例

[民事訴訟法]
8(東京高裁平19.9.26判決)
控訴人の代表者の経営する別会社の従業員が同代表者に対する個人的怨恨から第1審裁判所が控訴人に送達した訴状,期日呼出状等の書類を隠匿・廃棄したため控訴人において控訴期間を経過した後に第1審判決の送達された事実を知ったことを理由とする控訴の追完が認められなかった事例

[民事執行法]
9(横浜地裁川崎支部平20.2.26判決)
競売不動産の買受人は,留置権の被担保債権の支払義務まで負わないとして,留置権者の被担保債権の支払請求が棄却された事例



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